特許第5978244号(P5978244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978244
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20160817BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20160817BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A61F13/56 213
   A61F13/49 313Z
   A61F13/15 351Z
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-95763(P2014-95763)
(22)【出願日】2014年5月7日
(62)【分割の表示】特願2013-121863(P2013-121863)の分割
【原出願日】2009年3月30日
(65)【公開番号】特開2014-138906(P2014-138906A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】中野 祐希
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英聡
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−295836(JP,A)
【文献】 特開2006−158632(JP,A)
【文献】 特表2007−530167(JP,A)
【文献】 特開平10−328237(JP,A)
【文献】 特開2006−230839(JP,A)
【文献】 実開平05−007223(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の腹側に位置する腹側部と背側に位置する背側部とを有する本体部と、前記背側部の両側方に延出する一対の止着部と、前記腹側部の外面に設けられ、前記一対の止着部が着脱自在に止着される被止着部と、を備える吸収性物品において、
前記止着部は、
一端部が前記背側部に接合されたベース基材と、
前記ベース基材の前記一端部から他端部に亘って延在して当該吸収性物品の幅方向に伸縮し、伸縮方向に直交する直交方向に複数配置された弾性部材と、
前記ベース基材において、前記弾性部材が設けられた弾性領域よりも当該吸収性物品の幅方向自由端側の非弾性領域に固着されるファスニング部材と、を備え、
前記弾性領域は、前記直交方向の全域に亘って前記弾性部材が配置されることで伸縮性を有し、前記弾性領域における前記直交方向の中央部のみに、前記弾性部材が切断された切断部を有し、
前記非弾性領域は、前記弾性領域よりも前記直交方向の長さが短く、且つ前記直交方向の中央部において突出した形状に形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て紙おむつの1つとして、人体の腹側に位置する腹側部と背側に位置する背側部とを有する本体部と、本体部の両側方から延出する一対の止着部と、一対の止着部が着脱自在に止着される被止着部と、が備えられた止着式の使い捨て紙おむつが普及している。
この止着式の使い捨て紙おむつに用いる止着テープとして、着用者によりフィットさせ易くすることを目的とした、伸縮性を有する止着テープ(伸縮性止着テープ)が知られている。
従来、こうした伸縮性止着テープにおいては、着用時の基材の伸縮により止着テープのフック材の被止着部からの離脱が起こり易いという問題があった。
これに対して、例えば、特許文献1には、フック材の外れを防止するために、止着式の使い捨て紙おむつに用いる伸縮性止着テープにおいて、テープ基材を非伸縮領域と伸縮領域とから形成し、フック材を非伸縮領域上に配置すると共に、当該非伸縮領域を、フック材を付設した領域の末端から伸縮領域との境に向かって幅広となるように形成した構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−161300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の伸縮性止着テープは、その形状にフック材の外れを防止するための工夫がなされているものの、より強い力で引っ張られた場合には未だ捲れやすいものであった。
つまり、伸縮性止着テープのフック材を被止着部に止着させ、テープ基材を伸張させた際には、伸縮領域において、テープ基材の伸縮方向と直交する直交方向の端部より中央部の方が弾性部材に引張力が加わり易く、この引張力の偏りによってテープ基材に歪みが生じてフック材が捲れ上がり、フック材と衣類とが係合することでフック材が被係止部から離脱してしまい易いという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、吸収性物品において、着用時に止着部が捲れて被止着部から離脱するのをより好適に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
人体の腹側に位置する腹側部と背側に位置する背側部とを有する本体部と、前記背側部の両側方に延出する一対の止着部と、前記腹側部の外面に設けられ、前記一対の止着部が着脱自在に止着される被止着部と、を備える吸収性物品において、
前記止着部は、
一端部が前記背側部に接合されたベース基材と、
前記ベース基材の前記一端部から他端部に亘って延在して当該吸収性物品の幅方向に伸縮し、伸縮方向に直交する直交方向に複数配置された弾性部材と、
前記ベース基材において、前記弾性部材が設けられた弾性領域よりも当該吸収性物品の幅方向自由端側の非弾性領域に固着されるファスニング部材と、を備え、
前記弾性領域は、前記直交方向の全域に亘って前記弾性部材が配置されることで伸縮性を有し、前記弾性領域における前記直交方向の中央部のみに、前記弾性部材が切断された切断部を有し、
前記非弾性領域は、前記弾性領域よりも前記直交方向の長さが短く、且つ前記直交方向の中央部において突出した形状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弾性領域の長手方向中央部だけが伸びすぎて弾性領域が歪むことがなく、止着部の長手方向両端部が反り返るのを防止することができる。
よって、ファスニング部材が捲れて離脱するのをより好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における使い捨て紙おむつを示す展開平面図である。
図2図1の使い捨て紙おむつを装着時の状態に組立てた斜視図である。
図3図1の使い捨て紙おむつの止着部を示す拡大模式図である。
図4図1の使い捨て紙おむつの止着部の変形例を示す図である。
図5】第2実施形態における使い捨て紙おむつの止着部を示す拡大模式図である。
図6】第3実施形態における使い捨て紙おむつの止着部を示す拡大模式図である。
図7】第4実施形態における使い捨て紙おむつの止着部を示す拡大模式図である。
図8】本発明の使い捨て紙おむつの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、発明の範囲は図示例に限られない。なお、図面上のXY軸は共通のものである。
【0010】
[第1実施形態]
本実施形態における吸収性物品として使い捨て紙おむつ(以下、紙おむつという。)1を例示して説明する。
【0011】
図1、2に示すように、紙おむつ1は、紙おむつ本体である本体部10と、本体部10を人体に装着するための止着部20、20と、止着部20を係止させるための被止着部30とを備えて構成されている。すなわち、紙おむつ1は、止着部20、20を被止着部30に止着することで装着する止着式の紙おむつである。
【0012】
紙おむつ1は、装着時に人体の股部を腹側から背側にかけて覆うように形成されている。
具体的には、本体部10の一方の端部が人体の腹側に位置する腹側部11を形成し、他方の端部が人体の背側に位置する背側部12を形成し、腹側部11と背側部12との間が人体の股下に位置する股下部13を形成する。
また、腹側部11において股下部13よりも両外側に延出した腹側延出部111、111と、背側部12において股下部13よりも両外側に延出した背側延出部121、121と、は、紙おむつ1が装着された際に胴周り部14を形成する。この際、背側部12の胴周り方向に沿った縁部中央には、糸ゴム等の弾性部材141が幅方向(X方向)に沿って設けられ、この弾性部材141により平面ギャザーが形成され、本体部10は、着用者の胴周りにフィットするように伸縮自在な構成となっている。
また、股下部13の両縁部は、腹側部11から背側部12に亘って、装着時に人体の脚周りを囲む脚周り部15、15を形成する。この脚周り部15、15には、その湾曲形状に合わせて糸ゴム等の弾性部材151がそれぞれ設けられ、この弾性部材151により平面ギャザーが形成され、着用者の脚周りに伸縮自在にフィットし、横漏れを防止するようになっている。
【0013】
本体部10は、人体との接触面側に設けられる透液性の不織布からなるトップシート10aと、装着時に人体との接触面と反対側の外部側に設けられる不透液性のバックシート10bと、トップシート10aとバックシート10bとの間に介装される吸収体10cと、トップシート10a側の吸収体10cの両側部に、本体部10の長手方向に沿って備えられるギャザーシート10d、10dと、により主に構成される。
【0014】
トップシート10aは、紙おむつ1を装着した際に人体に接する面に設けられ、体液を受けて、吸収体10cまで輸送する役割を果たす、透液性のシートである。
透液性シートとしては、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の糸を平織り等したネット状のシート素材、多数の透孔を形成したフィルムシート材、ポリエチレンやポリプロピレン等のフィルムシート材、透液性を有する織布、不織布が適し、特に不織布が適する。不織布としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものを用い得る。
【0015】
バックシート10bは、紙おむつ1を装着した際に人体に接する面と反対側の面に設けられ、体液などの紙おむつ1外部への染み出し、漏れ出しを防ぐ役割を果たす、不透液性のシートである。
不透液性シートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材であって、ムレ防止の観点から透湿性を有するシート材であることが好ましい。この遮水性と透湿性とを具備するシート材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート材が好適に用いられる。
またその他にも、不透液性を有するフィルム層と、通気性を有する不織布層からなるラミ不織布を用いても良い。ラミ不織布とは、例えばポリエチレンシート等に不織布を積層した、ラミネート不織布と呼ばれる不織布のことであり、不透液性と通気性を併せ持つ不織布である。
【0016】
吸収体10cは、例えば、綿やパルプ等の吸収性素材や、繊維或いはフィルム等のシート状基材と高吸収性ポリマーのような高吸水性樹脂とが組み合わされて形成された吸収体コア(図示略)が、透液性のクレープ紙、不織布、孔開きシート(図示略)等により覆われて構成されている。
高吸水性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。
吸収体10cは、単層構造であっても良いし、複数層に分かれた構造でも構わない。吸収体10cは、人体の腹側部11から両脚の間の股下部13を通り背側部12に亘る位置に装着されている。
【0017】
ギャザーシート10d、10dは、トップシート10a側において、吸収体10cの長手方向に沿った両側部に、腹側部11から背側部12に亘ってそれぞれ備えられている。
このギャザーシート10d、10dの幅方向外側の部分は、吸収体10cの側方でトップシート10aの上面に固着されている。また、このギャザーシート10d、10dの幅方向内側の部分は、トップシート10aに固定されておらず、その長手方向に沿って複数の糸ゴムが略平行に備えられており、断面略く字状及び逆く字状に立ち上がって着用者の体型に合わせて伸縮自在に変形可能な立体ギャザーが形成されている。
【0018】
止着部20、20は、背側部12の背側延出部121、121の左右側方において、それぞれ側方に向かって突出し、装着時には、紙おむつ1の幅方向を伸縮方向として引き伸ばされ、腹側部11のバックシート10b側に設けられた被止着部30に止着可能となっている。
ここで、紙おむつ1の幅方向(伸縮方向)をX方向とし、伸縮方向と直交する直交方向をY方向とする。
【0019】
各止着部20はそれぞれ、ベース基材21を備えている。
ベース基材21は、2枚の不織布によって糸ゴム等の弾性部材22…を狭持して形成される弾性領域21Aと、弾性領域21Aの一側端に接合される非弾性領域21Bと、から構成されている。
弾性領域21Aの基端部211は、背側延出部121に接合されており、非弾性領域21Bの自由端部212は、凸状に突出した形状に形成されている。
なお、基端部211は、トップシート10aやバックシート10bの内面または外面に貼り付けても良いし、トップシート10aとバックシート10bとの間に挟んで固定しても良い。
また、弾性領域21Aにおける不織布と弾性部材との貼り合わせは、ビード塗工が好ましい。また、均等にひだができ、見た目をきれいに形成できることから、ビードの間隔は3〜10mmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0020】
具体的に、弾性領域21AのY方向の両端部には、X方向に沿った複数の弾性部材22・・・が設けられており、この弾性部材22・・・によって、止着部20はX方向に沿って伸縮性を有している。
また、弾性領域21AのY方向中央部には、弾性部材22・・・の配置されない非配置領域24が設けられており、この非配置領域24によって、止着部20がX方向に引っ張られた場合にY方向中央部にかかる力がY方向両端部に分散されるようになっている。
【0021】
このため、弾性領域21Aは、Y方向両端部が、Y方向中央部に比べて伸長しやすくなり、X方向に沿って止着部20(弾性部材22・・・)を引き伸ばし、ファスニング部材23を被止着部30に止着した際に、Y方向中央部だけが伸びすぎて弾性領域21Aが歪むことがなく、Y方向の両端部が反り返るのが防止されるようになっている。
【0022】
なお、非配置領域24をY方向中央部に配置するのは、本実施形態においては、止着部20を引っ張る際に、Y方向中央部に力が特に加わるためである(図3参照。)。すなわち、非配置領域24は、止着部20の伸縮方向に応じて適宜設定可能である。
【0023】
また、非弾性領域21Bは、その内面(被止着部30と対向する面)側に面ファスナのオス材の係止要素であるファスニング部材23を備え、ファスニング部材23を被止着部30に止着することにより、腹周り及び胴回りの調節が可能な構成となっている。
【0024】
ベース基材21は、トップシート10aと同様の不織布シートを用いて形成することができる。
具体的に、不織布シートとしては、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿、絹、コットン等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものが挙げられる。
【0025】
また、ベース基材21に用いる不織布は、その目付けを着用時に伸縮可能である20〜50gsmの範囲内の値とすることが好ましく、基端部211及び自由端部212においては、耐久性に優れるように60〜80gsmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、弾性部材22・・・は、合成でも天然でも適用可能であり、特に合成の場合、太さを600〜1300dtex、張力を200〜300%の範囲内の値とすることが好ましい。
また、止着部20は、平均的な止着時の力である2.2kgfで10〜30mm伸長することが好ましく、紙おむつ装着時の凡そ最大の力である5.0〜7.0kgfで100%伸長するのが好ましい。
【0026】
被止着部30は、腹側部11における外面であるバックシート10b側に備えられる。
被止着部30は、止着部20、20のファスニング部材23を係止するためのメス材の係止要素である係止層31を備えて構成される。
係止層31は、係止用不織布により構成されている。係止用不織布とは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなど、広く知られた汎用性の高い可塑性素材からなる単組成の素材若しくは複合組成の素材を用いることができる。なお、係止層31は、長繊維で構成されるスパンボンド不織布を用いるのが好ましい。これは、短繊維であるポイントボンド不織布やエアスルー不織布では繊維の長さが短いため抜けやすく、強度が不足するからであって、連続長繊維で構成され、カット面からのほつれが少なく、毛羽立ちによる繊維の脱落が少ないスパンボンド不織布が力学的性能や生産性といった点で優れるからである。
【0027】
次に、紙おむつ1の装着方法について説明する。
着用者は、紙おむつ1を装着する場合、紙おむつ1の腹側部11を腹側に、背側部12を背側に、股下部13を股下に当接させ、背側部12の背側延出部121、121に設けられた止着部20、20を腰回りに亘って引っ張り、腹側部11に設けられた被止着部30に係止させることによって紙おむつ1を装着する。
この際、止着部20の弾性領域21AのY方向中央部にかかる力がY方向両端部に分散されるため、止着部20を引っ張っても、Y方向中央部だけが伸びすぎて弾性領域21Aが歪むことがなく、弾性領域21AのY方向の両端部が反り返るのが防止される。
【0028】
以上にように、本実施の形態による紙おむつ1によれば、止着時において、弾性領域21AのY方向中央部にかかる力がY方向両端部に分散されるため、弾性領域21Aは、Y方向両端部が、Y方向中央部に比べて伸長しやすくなり、止着部20が均等に引き伸ばされ、弾性領域21AのY方向の両端部が反り返るのを防止することができる。よって、ファスニング部材が捲れて離脱するのを防止することができる。
【0029】
なお、弾性部材22…は、図4(a)に示すように、Y方向中央部からY方向の両端部にいくにつれて、配置間隔が狭くなるように配置された構成としても良い。
このように構成した場合、Y方向中央部に弾性部材22…の密度が低い領域が形成されることとなり、止着時において弾性領域21AのY方向中央部にかかる力がY方向両端部に分散される。このため、弾性領域21Aは、Y方向両端部が、Y方向中央部に比べて伸長しやすくなり、止着部20の伸長時に弾性領域21AのY方向の両端部が反り返るのを防止することができる。よって、ファスニング部材が捲れて離脱するのを防止することができる。
なお、弾性部材22…の配置間隔をY方向において変化させる構成とするには、製造過程において、一定速度で流れるベース基材21に対して、時間間隔を変化させて弾性部材22…を繰り出して固着させることで実現可能である。
【0030】
また、弾性部材22…は、図4(b)に示すように、Y方向中央部において切断することとしても良い。
このように構成した場合、Y方向中央部に弾性部材22…が切断された領域(切断部)が形成されることとなり、止着時において弾性領域21AのY方向中央部にかかる力がY方向両端部に分散される。このため、止着部20の伸長時に弾性領域21AのY方向の両端部が反り返るのを防止することができる。よって、ファスニング部材が捲れて離脱するのを防止することができる。
なお、弾性部材22…をY方向中央部において切断する構成とするには、不織布に弾性部材22…を貼着させた後、この弾性部材22…を伸長させた状態で切断を行うのが好ましい。弾性部材22…が収縮した状態で切断を行った場合、切断位置がずれる恐れがあるためである。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
本実施形態の止着部40のベース基材25は、図5に示すように、弾性部材22…の太さをY方向中央部からY方向の両端部にいくにつれて細くすることにより、中央部から両端部にいくにつれて、張力が低くなるように構成されている。
【0033】
本実施形態によれば、Y方向中央部の弾性部材22…の張力が強く、止着部20を引っ張った際にY方向両端部の弾性部材22…の方が伸長しやすくなっている。このため、ベース基材25の弾性領域25Aは、Y方向両端部が、Y方向中央部に比べて伸長しやすくなり、止着部20が均等に引き伸ばされ、止着部40の伸長時に弾性領域25AのY方向の両端部が反り返るのを防止することができる。
よって、ファスニング部材が捲れて離脱するのを防止することができる。
なお、弾性部材22…の太さをY方向中央部からY方向の両端部にいくにつれて細くする構成とするには、製造過程において、太さや張力の異なる複数種類の弾性部材を繰り出すことで実現可能である。
【0034】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
本実施形態の止着部50のベース基材26は、図6(a)に示すように、X方向に沿った複数の弾性部材22…が、Y方向に等間隔で配置された弾性領域26Aを備えている。
この弾性領域26AのY方向の両端部において、不織布に複数の切れ目27が設けられている。
【0036】
本実施形態によれば、Y方向の両端部の不織布に切れ目27が設けられていることにより、弾性部材22…が弾性領域26AのY方向に等間隔に配置されている場合でも、Y方向の両端部にいくにつれてベース基材26の不織布の強度が弱まることとなるため、Y方向両端部が、Y方向中央部に比べて伸長しやすくなる。
このため、止着部50が均等に引き伸ばされ、止着部50の伸長時に弾性領域26AのY方向の両端部が反り返るのを防止することができる。よって、ファスニング部材が捲れて離脱するのを防止することができる。
なお、切れ目27を設けるには、2枚の不織布に弾性部材22…を狭持して張り合わせることで弾性領域26Aを形成した後、この弾性領域26Aを伸長させた状態で切れ目27を入れるが好ましい。弾性領域26Aの収縮時に切断を行った場合、切断位置がずれる恐れがあるためである。
【0037】
なお、図6(b)に示すように、Y方向中央部からY方向両端部にいくにつれて数が多くなるように切れ目27を設けることとしても良い。
このように構成することで、弾性領域26Aを、Y方向の両端部にいくにつれてより伸びやすくすることができる。
【0038】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施形態の止着部60においては、図7(a)に示すように、ベース基材28が第1の不織布28a及び第2の不織布28bにより形成され、弾性領域28AのY方向中央部が、第1の不織布28a及び第2の不織布28bが二枚重ねとなった嵩高領域Sとなっている。
このため、止着部60のY方向中央部(嵩高領域S)にこしが出て、Y方向両端部が、Y方向中央部に比べて伸長しやすくなり、止着部60が均等に引き伸ばされ、Y方向両端部が反り返るのを防止することができる。よって、ファスニング部材が捲れて離脱するのを防止することができる。
【0040】
なお、図7(b)に示すように、第2の不織布28bを、Y方向中央部からY方向両端部にいくにつれて、幅が狭くなるように形成することとしても良い。このように構成することで、弾性領域28Aを、Y方向の両端部にいくにつれてより伸びやすくすることができる。
また、上記実施形態においては、2枚重ねの構成について説明したが、2枚以上重ねた多層構造とすることも可能である。
【0041】
その他、本発明に係る紙おむつ1は上記構成のものに限るものではなく、適宜変更可能である。
【0042】
例えば、図8(a)に示すように、止着部20を、上下並列に2つずつ備え、止着の際にクロス止めする形態の紙おむつに適用することができる。
具体的には、例えば図8(b)に示すように、止着部20の不織布に、クロス止めの際に力の加わる向きと場所に合わせて長さを設定した切れ目29を設け、力の加わりにくい部分が、力の加わり易い部分より伸長しやすくなるように構成すれば良い。このように構成することにより、止着部20に斜め方向に向かって力が加わった際にも弾性領域21Aが歪むことがなく、止着部が反り返るのを防止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 使い捨て紙おむつ(吸収性物品)
10 本体部
11 腹側部
12 背側部
13 股下部
20、40、50 止着部
21、25、27 ベース基材
21A、25A、27A 弾性領域
21B 非弾性領域
211 基端部
212 自由端部
26 切れ目
27a 第1の不織布
27b 第2の不織布
S 嵩高領域
22 弾性部材
23 ファスニング部材
24 非配置領域
30 被止着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8