【実施例】
【0225】
miR−208を、α−MHC遺伝子のイントロン内にコードする(
図1A)。α−MHCと同様に、miR−208を、心臓において特異的に発現し、肺においてわずかに発現する(
図1B)。miR−208を、別個の転写産物として転写するのではなく、α−MHCのpre−mRNAの外側に処理する。しかし、興味深いことに、miR−208は、少なくとも14日の著しく長い半減期を示し、その結果α−MHCのmRNAの発現が下方制御された場合でも、機能を発揮できる。マウスにおけるmiR−208の遺伝的欠失は、明白な表現型の誘導に失敗したが、2月齢の野生型及びmiR−208
−/−動物由来の心臓についてのマイクロアレイ分析により、多数の速骨格筋収縮性タンパク質遺伝子の顕著な発現をもたらすmiR−208の除去を明らかにし、速骨格筋収縮性タンパク質遺伝子は通常は心臓において発現しない。したがって、これらの結果は、通常の状態下でmiR−208は、単独の心臓特異的MHC遺伝子と共発現し、心臓における骨格筋遺伝子の発現を抑制することにより、心筋細胞の同一性を維持することを示唆する。
【0226】
miR−208の最も注目に値する機能が、心臓のストレスに対するmiR−208−ヌルマウスの異常応答によって明らかになった(van Rooijら、2007)。胸部大動脈狭窄による圧負荷又は心臓の病理的リモデリングを起動するカルシウム/カルモジュリン依存性ホスファターゼであるカルシニューリンによるシグナル伝達に応答して、miR−208−ヌルマウスは、実質的には心筋細胞の肥大又は線維症がなく、β−MHCの発現を上方制御できないことを示した(
図6〜8)。対照的に、ANF及びBNPをコードするストレス応答遺伝子などの他のストレス応答遺伝子は、miR−208突然変異動物において強く誘導され、miR−208が、心臓ストレス応答の他のファセットから離れることができる、β−MHCの発現の調節に特異的に関与することを実証した。
【0227】
β−MHCの発現は、甲状腺ホルモンシグナル伝達によって抑制され、甲状腺機能低下状態において上方制御される(Leungら、2006)。miR−208
−/−動物は、甲状腺機能低下を誘導する、T3阻害剤のプロピルチオウラシル(PTU)投与の後に、β−MHCの発現の上方制御に対してもさらに耐性であった。しかし、興味深いことに、出生前のβ−MHCの発現は、miR−208突然変異マウスにおいて普通であり、miR−208がβ−MHCの発現の生後の制御に特異的に関与することを示し、このことはβ−MHC遺伝子の甲状腺ホルモン応答性の獲得と一致する(
図5)。
【0228】
miR−208の作用機構の手がかりは、miR−208
−/−の心臓と甲状腺機能亢進症心臓との類似性によってもたらされ、これらは両方ともβ−MHCの発現の遮断、ストレス応答遺伝子の上方制御ならびに病的な肥大及び線維症に対する防御を表す(
図6〜10)。miR−208
−/−心臓における速骨格筋遺伝子の上方制御は、甲状腺機能亢進症状態における速骨格筋線維の誘導もまた模倣する(Weiら、2005)。
【0229】
これらの知見は、miR−208が、少なくとも部分的に、心臓におけるストレス応答及び甲状腺ホルモンのシグナル伝達経路の共通の構成要素の発現を抑制することによって作用することを示唆している。miR−208の最も強い予測標的の1つは、甲状腺ホルモン受容体(TR)共調節因子のTHRAP1であり、これは転写について正及び負の効果を発揮できる。(Pantosら、2006;Yao及びEghbali,1992;
図12)。TRは、負の甲状腺ホルモン応答エレメント(TRE)を介して作用し、成体の心臓においてβ−MHCの発現を抑制する(Zhaoら、2005)。したがって、miR−208の不在下のTHRAP1の発現の増加により、β−MHCの発現に対するTRの抑制活性の強化が予測され、miR−208
−/−の心臓におけるβ−MHCの発現の遮断と一致する。しかし、THRAP1はmiR−208の本物の標的であると思われ、これらのデータは、β−MHCの発現の制御においてさらなる標的の関与の可能性を排除するものではない。
【0230】
β−MHCに対する微妙なシフトでも、成体の心臓の機械的性能及び効率を低下させるので、心疾患の期間のβ−MHCの発現における増加を防ぐために、miR−208の制御を利用することは治療価値があると思われる。心臓特異性及び正常な心臓の発達に対してではない、心臓ストレス応答に対するmiR−208の関与が、miR−208(及びその下流エフェクター)を、β−MHCのレベルを操作するための魅力的な治療標的にさせる(
図13)。
【0231】
材料及び方法
ノーザンブロット分析。心不全でない、あるいは心不全と診断された、無記名のヒトの左心室の心臓組織試料を、Gilead Colorado(Westminster、CO)から入手した。心筋梗塞に罹っていると診断された匿名の人物の、境界領域の心臓組織試料を得た。トータルRNAを、トリゾール試薬(Gibco/BRL)を使用することによって、細胞、マウス、ラット、ヒト心臓組織試料、又は単離した筋細胞から単離した。臭化エチジウムでノーザンゲルを染色することにより、同等の負荷であることを確認した。マイクロRNAを検出するノーザンブロットを、前述のように行った(van rooijら、2006)。U6プローブはローディングコントロールの役目を果たした。α−MHCの発現を検出するために、成体の野生型及びmiR−208突然変異動物の両方の心臓組織由来のRNA10μgを含むノーザンブロットを、5’UTR領域及び第1エキソンの一部を包含する、α−MHCのcDNA断片を用いて解析した。
【0232】
PTUの投与。甲状腺ホルモンの欠乏は、表示の期間、Harlan Teklad Co.(TD 97061)(Madison、WI)から購入したPTU0.15%を補足した、ヨードを含まない餌を動物に与えることによって誘導した。
【0233】
マイクロアレイ及びリアルタイムPCR分析。心臓組織由来の全RNAを、Trizol(Invitrogen)を使用して単離した。マイクロアレイ分析を、Mouse Genome 430 2.0アレイ(Affymetrix)を使用して実施した。miRNAのレベルを検出するために、製造業者の推奨に従いタックマンマイクロRNA逆転写酵素キット(Applied Biosystems、ABI)を使用して、RT−PCRを行った。RNA5ngを使用して、miRNA特異的プライマーによりcDNAを発生させ、その後、miRNA特異的タックマンプローブは、問題のmiRNAの発現レベルを検出する働きをした。RNA試料でのランダムヘキサマープライマー(Invitrogen)によるRT−PCRの後、ABIから購入したタックマンプローブを使用して、遺伝子のサブセットの発現をPCR又は定量的リアルタイムPCRにより分析した。
【0234】
miR−208突然変異マウスの作製。miR−208標的ベクターを作製するために、miR−208コード領域の上流に伸長した0.4kbの断片(5’アーム)を、ScaII及びNotIを用いて消化し、loxP部位及びFrt−隣接ネオマイシンカセットの上流のpGKneoF2L2dta標的プラスミドに連結した。3.3kbの断片(3’アーム)を、SalI及びHindIIIを用いて消化し、ネオマイシン耐性及びDta陰性選択カセットの間のベクターに連結した。破壊された対立遺伝子を担持する標的ES細胞を、5’及び3’のプローブを用いてサザンブロット分析により特定した。3種のmiR−208標的ESクローンを特定し、胚盤胞注入に使用した。得られたキメラマウスをC57BL/6に交配させ、突然変異対立遺伝子の生殖細胞系列伝達を得た。
【0235】
遺伝子導入マウスの作製。対象のmiRNAに隣接するマウスのゲノム断片を、α−MHC及びヒトGHポリ(a)+シグナルを含む、心臓特異的発現プラスミドにサブクローン化した(Kiriazis及びKranias、2000)。ゲノムDNAをマウスの尾の生検から単離し、ヒトGHポリ(a)+シグナルに特異的なプライマーを使用してPCRにより分析した。
【0236】
ウェスタンブロット。ミオシンを、記載のように心臓組織から抽出した(Morkin、2000)。MHCのイソ型をSDS PAGEにより分離し、マウスモノクロナールα−MHC(BA-G5)(ATCC、Rockville、MD)及びβ−MHCに高度に特異的なマウスモノクロナール抗ミオシン(遅、骨格M8421)(Sigma、MO)を用いてウェスタンブロットを実施した。すべての横紋筋ミオシンを検出するために、汎特異的抗体(マウスモノクロナール3-48;Accurate Chemical & Scientific Corporation、NY)を使用した。THRAP1を、心臓タンパク質溶解物400μgから免疫沈降することによって検出した。試料を4℃において1時間予備クリアリング後、上清を、ウサギポリクロナール抗THRAP1(R.Roeder、Rockefeller Universityのご厚意により送られた)1μl及びプロテインAビーズ15μlと共に4℃において一晩インキュベートした。ビーズを溶解バッファーで3回洗浄し、SDS試料バッファー中で煮沸した。免疫沈降したTHRAP1タンパク質を、SDS−PAGEにより分解し、ウサギポリクロナール抗THRAP1を1:3000の希釈、及び抗ウサギIgG標識ホースラディッシュペルオキシダーゼを1:5000の希釈で使用し、Luminol Reagent(Santa Cruz)により検出して分析した。
【0237】
組織学的分析及びRNAのin situハイブリダイゼーション。組織学に使用する組織を、Krebs−Henselheit溶液中でインキュベートし、4%パラホルムアルデヒドで固定し、切片にし、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)処理し、Masson’s Trichrome染色又は標準的技術(Krenz及びRobbins、2004)によりin situハイブリダイゼーションした。
35S−標識RNAプローブを、Maxiscriptキット(Amersham)を使用して作製した。シグナルを、Adobe Photoshopを使用して赤く疑似カラー化した。
【0238】
経胸壁心エコー検査。心臓機能及び心臓体積を、断層心エコーにより覚醒マウスにおいて、Vingmed System(GE Vingmed Ultrasound、Horten、Norway)及び11.5−MHzのリニアアレイ変換器を使用して評価した。Mモード心エコー図を使用して、拡張末期及び収縮末期の前壁厚及び後壁厚を測定した。左室(LV)内径(LVID)を、拡張期(LVIDd)又は収縮期(LVIDs)のいずれかにおける最も大きな前後径として測定した。データを、単一観察者による盲検により、マウスの遺伝子型に対して分析した。LVの短縮率(FS)を、以下の式に従って計算した。:FS(%)=[(LVIDd−LVIDs)/LVIDd]×100。
【0239】
プラスミド及び形質移入アッセイ。miR−208コード領域を包含する305bpのゲノム断片をPCRにより増幅し、pCMV6に連結した。全ネズミTHRAP1−UTRを包含する1kbの断片を、PCR増幅し、HA−タグ化pCMV6発現構築体及びホタルルシフェラーゼ(f-luc)レポーター構築体(pMIR-REPORTTm、Ambion)に連結した。UCGUCUUA miR−208のシード結合配列の突然変異体を、PCRに基づく突然変異生成を介して構築した。
【0240】
細胞培養、トランスフェクション、及びルシフェラーゼアッセイ。miR−29b−1及びmiR−29aコーディング領域を包含する1793−bpゲノム断片を、PCRによって増幅し、pCMV6中に連結した。(1つ又は複数の)miR−29a〜c結合部位を包含するマウス3’UTRのゲノム断片を、PCR増幅し、ホタルルシフェラーゼ(f-luc)レポーター構成(pMIR-REPORTTM、Ambion)中に連結した。COS細胞に、製造業者の指示に従ってFugene 6(Stratagene)をトランスフェクトした。ウェル当たりのDNAの総量を、cDNAインサートを用いずに、相当する量の発現ベクターを添加することによって一定に保持した。トランスフェクションから48時間後、細胞抽出物を、ルシフェラーゼアッセイキット(Promega)を使用して、ルシフェラーゼの発現に関するアッセイにかけた。相対的なプロモーターの活性を、細胞抽出物中のβ−ガラクトシダーゼ発現に関して規準化された、ルミネセンス相対単位として表す。
【0241】
心臓線維芽細胞(CF)を、前述のように単離した(Simpson及びSavion、1982)。手短に言うと、新生児である1〜2日齢の麻酔をかけたスプラーグ−ドーリーラット(Harlan Sprague Dawley、Indianapolis、IN)の心臓を、切除し、細かくし、パンクレアチン0.1%で消化した。細胞を、primariaプレート上に2時間蒔き、消化された組織の心筋細胞画分を含有する媒体を、除去した。心臓線維芽細胞は、心筋細胞よりも非常に素早く結合及び増殖し、これによって、事実上純粋な線維芽細胞培養物が1次継代後に生成されたが、これは、反復される示差プレーティング及び顕微鏡的評価によって確認された。細胞を、継代のため0.05%トリプシンで引き離し、培養研究を、第2〜4継代で行った。細胞を、10%熱不活性化FBS及び抗生物質(ペニシリン及びストレプトマイシン)を含有する高グルコース(4.5gm/lt)ダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM)で増殖させた。筋線維芽細胞の差別化は、L−アスコルビン酸(10μg/μl)を含む低血清(2%FBS)に培地を交換し、10ng/mlのTGFβ1を48時間投与することによって、誘発された。
【0242】
抗miR処理によるin vivo miR−29bサイレンシング。miR−29bに相補的な配列を含む(抗miR−29b)、化学的に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、miR−29b発現を阻害した。全ての塩基は2’−OMe修飾されており、最初の2つ及び最後の4つの塩基はホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しており、オリゴヌクレオチドの3’末端は、コレステロールに連結していた。8週齢のC57BL/6オスマウスに対し、尾静脈注射によって、80mg/kg体重の用量の抗miR−29b(AsAsCACUGAUUUCAAAUGGUsGsCsUsAs-コレステロール)又はミスマッチmiR−29b(AsAsAACUGAUGUCACAUGGUsGsAsUsAs-コレステロール)を与え、又は同等の体積の生理食塩液を与えた。組織を、治療後3日又は3週間で収集した。
【0243】
(実施例1)
ストレス応答性miRNAによる心臓肥大及び心不全の調節
その細胞表現型のモデュレーションへの関与に照らし、本発明者らは、miRNAが、遺伝子発現の転写的及び翻訳的変化をもたらすことが知られている心臓ストレスに対する心臓の応答を調節する役割を演ずると仮定した。心臓肥大でのmiRNAの潜在的関与を調査するために、186の異なるmiRNAを示すマイクロアレイを使用して、心臓肥大の2つの確立されたマウスモデルで、並列miRNAマイクロアレイ分析を行った(Babakら、2004)。心臓に対する後負荷を増大させることによって肥大を誘発させる、胸部大動脈瘤絞扼術(TAB)を施したマウスを、擬似手術を行った動物と比較した。第2のモデルでは、心臓で活性化カルシニュリン(CnA)を発現するトランスジェニックマウスは、重篤な、十分に特徴付けられた形の肥大をもたらすものであり(Molkentinら、1998)、このマウスを野生型同腹子と比較した(
図14)。TABにかけたマウスの心臓から単離されたRNAは、擬似手術した対照に比べて27miRNAで高い発現を示し、CnA Tgマウスは、非トランスジェニック同腹子対照に比べ、33miRNAで高い発現を示し、即ちその21が両方のモデルで上方制御されたものであった。同様に、TAB及びCnA誘発性肥大は、それぞれ15及び14のmiRNAという低い発現を伴い、そのうち7miRNAは、一般に下方制御されたものであった(
図14B)。これらのmiRNAのノーザン分析(公表されていないデータ)及び先のマイクロアレイ分析(Baradら、2004; Sempereら、2004; Shingaraら、2005; Liuら、2004)は、これらが広範な組織で発現することを示す。それらの相対的な発現レベルと、ヒト、ラット、及びマウス配列の保存と、肥大中の発現レベルとに基づき、本発明者らは、11の上方及び5の下方制御されたmiRNAに焦点を当てた(
図14C)。
【0244】
WT及びCnA Tg動物からの心臓RNAのノーザンブロット分析は、miR−21、−23、−24、−125b、−195、−199a、及び−214の高い発現と、miR−29、−93、−150、及び−181bの低い発現を確認した(
図14C及び
図15)。まとめると、これらのデータは、異なるmiRNAが心臓肥大中に調節されることを示し、このプロセスのモジュレーターとして機能する可能性を示唆している。
【0245】
(実施例2)
miR−208による調節のための下流標的としてのmiR−29ファミリーの発見
本発明者らは、miR−208の動作を媒介し得る下流miRNAを特定する試みにおいて、野生型及びmiR−208−ヌルマウスからの心臓でmiRNAマイクロアレイを行った(
図16)。本発明者らは、miR−29ファミリーの多数のメンバーが、miR−208−ヌルマウスで上方制御されることを発見した(
図17)。標的の予測は、miR−29ファミリーメンバーが、多数のコラーゲン及び細胞外基質のその他の成分をコードするmRNAを標的とすることを示した(
図18)。このように、miR−208−ヌルマウスでのmiR−29ファミリーメンバーの上方制御は、これら動物で見られる線維症を遮断する原因である可能性が高い(
図19)。
【0246】
miR−29a〜cは、罹患した心臓で下方制御されかつコラーゲン及び細胞外基質タンパク質をコードするmRNAを標的とするという発見は、miR−29a〜cの発現又はその標的mRNAとの結合を高める戦略が、病的な心臓リモデリング及び線維症の状況にある心臓に対して有益な影響を及ぼすことができることを示唆している。さらに、miR−29a〜cの発現又は機能の増大によって、骨格筋、肝臓、肺、及び腎臓などの組織における多くの疾患に関連した線維症を予防することができる。さらに、miR−208がmiR−29a〜cの発現を抑制し、またmiR−208の喪失がmiR−29a〜cの発現を上方制御するという発見は、miR−29a〜cが、心臓に対するmiR=208の動作の下流メディエーターであることを示している。
【0247】
(実施例3)
miR−29a〜cは繊維化遺伝子の発現を調節する。
MI後に心臓でのmiR−29a〜cに関する可能性ある機能を定義しようとするため、本発明者らは、可能性あるmiR−29a〜c標的を特定するのにコンピュータによる予測を利用した。Targetscan予測ウェブサイトは、miR−29a〜cの可能性ある標的として、コラーゲン、メタロペプチド、及びインテグリンをコードする予期せぬ多数の線維症関連mRNAを示した(targetscan.orgの世界的なウェブ)。miR−29a〜cの下方制御が心臓線維症を調節し得るか否かを決定するために、本発明者らは、心臓でのECM産生に関与することが予測される標的に焦点を当てた。エラスチン(ELN)、フィブリリン1(FBN1)、コラーゲンI型、α1及びα2(COL1A1、COL1A2)、及びコラーゲンIII型、α1(COL3A1)は全て、miR−29a〜cに関する1つ又は複数の保存された潜在的なシード配列を含有する(
図20A)。
【0248】
miRNAは、それらの標的mRNAの定常状態レベル並びに翻訳を下方制御するので、本発明者らは、予測したmiR−29a〜c mRNA標的の発現を分析した。MIから3日後の心臓試料での、心臓線維症に関するこれら重要な調節遺伝子のリアルタイムRT−PCR分析は、梗塞領域におけるmiR−29a〜cの特定の下方制御が、COL1A1、COL1A2、COL3A1、及びFBN1の発現の増加に相関することを示した。対照的に、ELNは、境界領域で変化しないように見え、遠隔心筋の増大さえ示した(
図20B)。
【0249】
CMV駆動式発現プラスミドを使用して、本発明者らは、予測されるmiR−29a〜c標的の3’−UTRを含有するルシフェラーゼ発現プラスミドにより、COS細胞においてmiR−29b−1及びmiR−29aを過発現させた(
図20C)。多量のCMV駆動式miR−29b−1/miR−29aは、ルシフェラーゼ活性に用量依存性の低下をもたらし、一方、同量のmiR−206は、対照として効果を発揮せず(
図20C〜D)、これらmRNAが、miR−29a〜cによる抑制のための標的であることを実証した。
【0250】
(実施例4)
心臓線維芽細胞でのmiR−29a〜cの調節
心臓線維症は、欠陥を有する心臓に典型的に見られるリモデリングプロセスの主な態様である。線維芽細胞の増殖及びECM成分の多量の沈着は、心筋の硬直及び拡張期不全をもたらす。形質転換増殖因子β(TGFβ)は、心臓でのコラーゲンの産生及び沈着で主要な役割を演じることが示され、線維芽細胞から筋線維芽細胞への形質転換を誘発する(Border及びNoble、1994)。TGFβに曝された心臓線維芽細胞に関するリアルタイムPCR分析は、miR−29a〜c発現の低下を明らかにし、MI後のmiR−29a〜cの減少はTGFβ調節され得ることを示唆している(
図21A)。興味深いことに、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のようなナトリウム利尿ペプチドは、線維症及び筋線維芽細胞の変換に関連したTGFβ調節遺伝子発現を阻害することが示されている(Kapounら、2004)。これに関して、本発明者らは、心臓特異的miRNA miR−208に欠けるマウスが心臓線維症及びリモデリングに対して耐性があり、ベースラインでBNPの高い発現を示すことを、先に報告した(van Rooijら、2007)。BNPはTGFβの作用に拮抗することが知られているので、本発明者らは、これらマウスにおける高いBNPレベルによって、miR−29a〜cの発現が増大し得ると推測した。確かに、ノーザン分析は、miR−208を除去した後に、miR−29a〜c発現で用量依存的な増加を示したが、これはBNPの高い発現レベルと一致するものであった(
図21B)。これらのデータは、TGFβが、心筋細胞によって分泌されたBNPによって阻害することができる少なくとも部分的にはmiR−29a〜cのレベルの低下を通して、線維芽細胞でコラーゲン関連遺伝子の発現を誘発することを示す。
【0251】
(実施例5)
miR−29a〜cのin vivoノックダウンは、線維症及びコラーゲン遺伝子の発現を誘発する。
コラーゲン発現の負のレギュレーターとしての、miR−29a〜cの潜在的な役割をさらに探求するために、本発明者らは、miR−29bの成熟miRNA配列に相補的なコレステロール修飾オリゴヌクレオチドを使用して、miR−29bをin vivoでノックダウンし(抗miR-29b)、負の対照として生理食塩液又は4塩基ミスマッチ含有するオリゴヌクレオチドを用いた(mm miR-29b)(
図22A)。抗miR−29bを尾静脈に1回注射(80mg/kg)してから3日後、本発明者らは、試験をした全ての組織でmiR−29b発現の劇的な減少を観察した(
図22B)。対照的に、同等の用量のmm miR−29bアンチセンスオリゴヌクレオチドは、生理食塩液の対照に比べ、miR−29bの発現レベルに対して効果を発揮しなかった。抗miR−29bによるノックダウンは、pre−miRNAのレベルが抗miRとmm処理動物との間で同等のままであるので、成熟miRNAに特異的であるように見えた。肝臓及び腎臓でのノックダウンは完了したように見えたが、低レベルのmiR−29bが、心臓及び肺では検出可能のままであった(
図22B)。
【0252】
その他のmiR−29メンバーは、miR−29bに対して高い配列相同性を共有するので、抗miR−29bに応答するmiR−29a及びcの発現も試験をした。肝臓及び腎臓で著しいノックダウン(特に、miR-29cに関して)が検出されたが、心臓発現は、変化したようには見えなかった(
図23)。リアルタイムPCR分析は、miR−29bノックダウンが、特に肝臓でコラーゲン遺伝子の発現を誘発するのに十分であることを示したが、この効果は、ミスマッチ対照では存在しなかった(
図22C)。
【0253】
miR−29bの心臓ノックダウンを高めるために、本発明者らは、2日連続して静脈内にオリゴヌクレオチド80mg/kgを注射し、3週間後に材料を収集した。ノーザン分析は、mm miR−29b注射後に見られる発現レベルに比べ、抗miR−29bに応答した腎臓及び肝臓におけるmiR−29bの完全なノックダウンを示した。miR−29bの心臓レベルも劇的に低下したが、肺におけるmiR−29bの発現は、抗miR−29bによって影響を受けないように見えた(
図22D)。心臓内のコラーゲン発現は、miR−29b阻害に応答して増加した(
図22E)。まとめると、これらのデータは、in vivoでのコラーゲン遺伝子発現の負のレギュレーターとしての、miR−29bの機能を示し、それによって、心臓及び肝臓でのコラーゲン沈着及び線維症に影響を及ぼす。
【0254】
(実施例6)
miR−29a〜c模倣体によるコラーゲン発現の下方制御
miR−29a〜cの過発現によってコラーゲン発現を低下させることが可能か否かを決定するために、本発明者らは、線維芽細胞をmiR−29b模倣体に曝した。線維芽細胞培養物中のmiR−29b発現のレベルは、miR−29b模倣体に曝してから3日後に、400倍程度に増加した(
図22F)。miR−29a発現は影響を受けず、miR−29c発現は、miR−29b模倣体によってごくわずかしか増加しなかった(
図22F)。リアルタイムPCR分析は、コラーゲン遺伝子の発現が、miR−29b模倣体に応答して減少することを示した(
図22G)。しかし、コラーゲン発現の減少の大きさは、miR−29bの発現の増加に比べると中程度であり、miR−29a〜cレベルはコラーゲンレベルの唯一の決定因子ではないことが示される。
【0255】
本明細書に論じられ引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示され特許請求の範囲に記載される組成物及び方法の全ては、本発明の開示に照らして過度な実験を行うことなくなされかつ実行することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態に関して述べてきたが、当業者なら、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記述される組成物及び方法と、方法の工程又は工程の順序とに、変更を加えることができることが明らかにされよう。より具体的には、化学的にかつ生理学的に関連しているある薬剤を、本明細書に記載される薬剤の代わりに用いることができ、それと共に同じ、あるいは同様の結果が実現できることが明らかにされよう。当業者に明らかなそのような類似する置換例及び変更例の全ては、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲、及び概念の範囲内であると見なされる。
【0256】
参考文献
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