特許第5978270号(P5978270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5978270口座評価システム、口座評価方法及び口座評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978270
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】口座評価システム、口座評価方法及び口座評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20160817BHJP
【FI】
   G06Q40/02 300
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-204172(P2014-204172)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-75989(P2016-75989A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2014年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほ情報総研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】間宮 拓司
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−054487(JP,A)
【文献】 特開2008−084038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各顧客の口座情報と、口座を用いた取引情報とを記録した口座関連記憶部と、
各口座に対するアラート情報を記録する評価情報記憶部と、
口座情報を構成する項目と、各項目に含まれる項目値とを記録した口座マスター情報を保持するとともに、担当者端末に接続された制御部を備えた口座評価システムであって、
前記制御部が、
前記担当者端末から、前記口座情報を構成する項目において評価項目を取得し、
複数の評価項目を取得した場合、前記複数の評価項目の項目値の組み合わせを生成し、
前記担当者端末から、前記評価項目の項目値を用いて生成した組み合わせからなるエレメントに対して、前記取引情報に含まれるパラメータの閾値とスコアとを取得し、前記閾値とスコアとを用いて設定した評価ルールを生成する設定手段と、
前記評価ルールにおいて、評価対象口座の口座情報を用いて生成した項目値列に含まれるエレメントを特定し、前記特定したエレメントに対応する閾値と、前記評価対象口座の取引情報におけるパラメータ値とを比較してスコアを算出し、
前記スコアが基準値を超えた評価対象口座に対して、前記評価情報記憶部にアラート情報を設定する検知手段と、
前記アラート情報が設定されたアラート口座を出力する調査支援手段と
を備えたことを特徴とする口座評価システム。
【請求項2】
前記制御部が、更に、
評価項目の項目値、閾値の順番に前記スコアを並べ、
前記スコアの並び順と前記閾値の並び順とが異なる場合には、前記評価対象口座に対してアラームを出力することを特徴とする請求項に記載の口座評価システム。
【請求項3】
前記検知手段が、前記取引情報における取引チャネルに基づいて、前記スコアに対して重み付けを行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の口座評価システム。
【請求項4】
前記調査支援手段が、前記アラート情報が設定されたアラート口座と関連する関連口座を特定し、前記担当者端末に出力することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の口座評価システム。
【請求項5】
前記調査支援手段が、前記アラート口座の名義人情報と共通する名義人情報が記録された口座を関連口座として特定することを特徴とする請求項に記載の口座評価システム。
【請求項6】
前記名義人情報の共通度を識別できるように出力することを特徴とする請求項に記載の口座評価システム。
【請求項7】
前記関連口座を特定した場合、前記評価情報記憶部において、前記関連口座に関連付けられたアラート情報を検索し、前記担当者端末に出力することを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の口座評価システム。
【請求項8】
各顧客の口座情報と、口座を用いた取引情報とを記録した口座関連記憶部と、
各口座に対するアラート情報を記録する評価情報記憶部と、
口座情報を構成する項目と、各項目に含まれる項目値とを記録した口座マスター情報を保持するとともに、担当者端末に接続された制御部を備えた口座評価システムを用いて、口座評価を行なう方法であって、
前記制御部が、
前記担当者端末から、前記口座情報を構成する項目において評価項目を取得し、
複数の評価項目を取得した場合、前記複数の評価項目の項目値の組み合わせを生成し、
前記担当者端末から、前記評価項目の項目値を用いて生成した組み合わせからなるエレメントに対して、前記取引情報に含まれるパラメータの閾値とスコアとを取得し、前記閾値とスコアとを用いて設定した評価ルールを生成する設定段階と、
前記評価ルールにおいて、評価対象口座の口座情報を用いて生成した項目値列に含まれるエレメントを特定し、前記特定したエレメントに対応する閾値と、前記評価対象口座の取引情報におけるパラメータ値とを比較してスコアを算出し、
前記スコアが基準値を超えた評価対象口座に対して、前記評価情報記憶部にアラート情報を設定する検知段階と、
前記アラート情報が設定されたアラート口座を出力する調査支援段階と
を実行することを特徴とする口座評価方法。
【請求項9】
各顧客の口座情報と、口座を用いた取引情報とを記録した口座関連記憶部と、
各口座に対するアラート情報を記録する評価情報記憶部と、
口座情報を構成する項目と、各項目に含まれる項目値とを記録した口座マスター情報を保持するとともに、担当者端末に接続された制御部を備えた口座評価システムを用いて、口座評価を行なうプログラムであって、
前記制御部を、
前記担当者端末から、前記口座情報を構成する項目において評価項目を取得し、
複数の評価項目を取得した場合、前記複数の評価項目の項目値の組み合わせを生成し、
前記担当者端末から、前記評価項目の項目値を用いて生成した組み合わせからなるエレメントに対して、前記取引情報に含まれるパラメータの閾値とスコアとを取得し、前記閾値とスコアとを用いて設定した評価ルールを生成する設定手段、
前記評価ルールにおいて、評価対象口座の口座情報を用いて生成した項目値列に含まれるエレメントを特定し、前記特定したエレメントに対応する閾値と、前記評価対象口座の取引情報におけるパラメータ値とを比較してスコアを算出し、
前記スコアが基準値を超えた評価対象口座に対して、前記評価情報記憶部にアラート情報を設定する検知手段、
前記アラート情報が設定されたアラート口座を出力する調査支援手段
として機能させることを特徴とする口座評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正な取引や犯罪を防止するための口座評価システム、口座評価方法及び口座評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関に開設された口座を用いて、各種取引が行なわれている。このような取引の中には、不正行為や犯罪に係るものが含まれる場合がある。例えば、犯罪行為で得た不正資金等を口座から口座へと転々と移動させることにより、出所や帰属等を隠蔽する資金洗浄(マネーローンダリング)に利用される可能性もある。世界的にも、マネー・ローンダリングの摘発強化の機運が高まっており、日本国内においても、予防、撲滅の取り組みを強化している。
【0003】
そこで、金融機関によって管理されるマネー・ローンダリング防止プログラムに関する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載された技術においては、金融機関に保有される口座に関連して違法行為を行なう可能性に対応する複数のリスク因子を識別する。リスク因子には、法域に基づくリスク因子、実体タイプに基づくリスク因子、業種に基づくリスク因子等が含まれる。リスク因子は、序列化されており、この序列に基づき、各リスク因子は、階層に割り当てられる。
【0004】
また、支払取引を処理するとともに、不正取引やマネー・ローンダリング等の不正行為を制限する技術が検討されている(例えば、特許文献2参照)。この文献に記載された金融取引システムにおいては、取引先、インターネット支払いサービスプロバイダ、承継銀行、及びカード機構に対する動作及び取引処理プロトコルが確立され、かつ支払い及び金融取引をモニタする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−514120号公報
【特許文献2】特開2012−168971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、疑わしい取引に利用されている口座を抽出し、この口座の調査が行われている。しかしながら、金融機関によっては、調査対象として、抽出したい口座が異なる場合がある。また、調査にかけられるリソースも限られる。この場合、画一的なロジックにより、疑わしい口座を抽出する場合には、各金融機関の状況に合わない可能性もあり、効率的な調査を行なうことが困難であった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、金融機関において開設された口座を評価して、不正な取引や犯罪に用いられる可能性がある疑わしい口座を効率的かつ的確に検知するための口座評価システム、口座評価方法及び口座評価プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決する口座評価システムは、各顧客の口座情報と、口座を用いた取引情報とを記録する口座関連記憶部と、各口座に対するアラート情報を記録した評価情報記憶部と、口座情報を構成する項目と、各項目に含まれる項目値とを記録した口座マスター情報を保持するとともに、担当者端末に接続された制御部を備える。そして、前記制御部が、前記担当者端末から、前記口座情報を構成する項目において評価項目を取得し、複数の評価項目を取得した場合、前記複数の評価項目の項目値の組み合わせを生成し、前記担当者端末から、前記評価項目の項目値を用いて生成した組み合わせからなるエレメントに対して、前記取引情報に含まれるパラメータの閾値とスコアとを取得し、前記閾値とスコアとを用いて設定した評価ルールを生成する設定手段と、前記評価ルールにおいて、評価対象口座の口座情報を用いて生成した項目値列に含まれるエレメントを特定し、前記特定したエレメントに対応する閾値と、前記評価対象口座の取引情報におけるパラメータ値とを比較してスコアを算出し、前記スコアが基準値を超えた評価対象口座に対して、前記評価情報記憶部にアラート情報を設定する検知手段と、前記アラート情報が設定されたアラート口座を出力する調査支援手段とを備える。これにより、口座の項目値を用いて口座の属性を評価し、この属性に応じて、効率的に調査対象を特定することができる。
【0009】
(2)上記口座評価システムにおいては、更に、複数の項目値を用いて口座の属性を判断し、この属性に応じた閾値により、口座を評価することができる。
【0010】
(3)上記口座評価システムにおいては、前記制御部が、更に、評価項目の項目値、閾値の順番に前記スコアを並べ、前記スコアの並び順と前記閾値の並び順とが異なる場合には、前記評価対象口座に対してアラームを出力することが好ましい。これにより、設定したスコアの妥当性を判断することができる。
【0011】
(4)上記口座評価システムにおいては、前記検知手段が、前記取引情報における取引チャネルに基づいて、前記スコアに対して重み付けを行なうことが好ましい。これにより、取引チャネルに基づいて、口座に対する評価結果を調整することができる。
【0012】
(5)上記口座評価システムにおいては、前記調査支援手段が、前記アラート情報が設定されたアラート口座と関連する関連口座を特定し、前記担当者端末に出力することが好ましい。これにより、アラート口座と関連する他の口座(関連口座)を用いて、アラート口座の評価を行なうことができる。
【0013】
(6)上記口座評価システムにおいては、前記調査支援手段が、前記アラート口座の名義人情報と共通する名義人情報が記録された口座を関連口座として特定することが好ましい。これにより、アラート口座の名義人と共通性がある名義人が保有する他の口座(関連口座)を用いて、アラート口座の評価を行なうことができる。
【0014】
(7)上記口座評価システムにおいては、前記名義人情報の共通度を識別できるように出力することが好ましい。これにより、関連口座の妥当性を評価することができる。
【0015】
(8)上記口座評価システムにおいては、前記関連口座を特定した場合、前記評価情報記憶部において、前記関連口座に関連付けられたアラート情報を検索し、前記担当者端末に出力することが好ましい。これにより、他の口座のアラート情報を用いて、アラート口座を評価することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、金融機関において開設された口座を評価して、不正な取引や犯罪に用いられる可能性がある疑わしい口座を効率的かつ的確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の口座評価システムの説明図。
図2】本実施形態の記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)はルール情報記憶部、(b)は口座情報記憶部、(c)は取引情報記憶部、(d)は口座評価情報記憶部の説明図。
図3】本実施形態の処理手順の説明図。
図4】本実施形態の口座マスターテーブルの説明図。
図5】本実施形態の閾値、スコアの設定の説明図であって、(a)は条件設定画面、(b)は評価ルールの説明図。
図6】本実施形態の処理手順の説明図。
図7】本実施形態の処理手順の説明図であって、(a)は検知処理、(b)はスコア算出処理の説明図。
図8】本実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した口座評価システムの一実施形態を図1図8に従って説明する。本実施形態では、金融機関において開設された口座の属性や取引状況に基づいて、調査すべき口座を検知し、検知した口座を調査し、必要に応じて報告する場合を想定する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態では、担当者端末10、管理サーバ20、ホストシステム30を用いる。
担当者端末10は、口座を調査する担当者が用いるコンピュータ端末である。担当者端末10は、制御部、出力部、入力部を備える。出力部は、ディスプレイにより構成され、各種情報の出力を行なう。本実施形態では、管理サーバ20から取得した評価結果が出力される。入力部は、キーボードやポインティングデバイスにより構成され、担当者によって入力された指示を取得する。
【0020】
ホストシステム30は、口座を用いて行なわれる取引を管理するコンピュータシステムである。このため、ホストシステム30は、口座の属性や名義人に関する口座情報や、この口座を用いて行なわれた取引に関する取引情報を管理するコンピュータシステムである。
【0021】
管理サーバ20は、金融機関に開設された口座を評価するためのコンピュータシステムである。この管理サーバ20は、制御部21、ルール情報記憶部22、口座情報記憶部23、取引情報記憶部24、口座評価情報記憶部25を備えている。本実施形態では、口座情報記憶部23、取引情報記憶部24が、口座関連記憶部として機能する。
【0022】
制御部21は、制御手段(CPU、RAM、ROM等)を備え、後述する処理(設定段階、ロード段階、検知段階、調査支援段階、報告支援段階の各処理)を行なう。そのための口座評価プログラムを実行することにより、制御部21は、設定部211、ロード部212、検知部213、調査支援部214、報告支援部215として機能する。
【0023】
設定部211は、調査すべき口座を検知するための評価ルールを設定する処理を実行する。更に、設定部211は、設定された評価ルールの妥当性を確認する処理を実行する。設定部211は、口座情報を構成する各項目や、各項目における項目値、値説明に関する口座マスターテーブルを保持している。本実施形態では、各項目の項目値には、それぞれをユニークに特定することができる文字や文字列を用いる。これにより、各項目値を組み合わせた文字列においても、文字列を構成する項目や項目値を特定することができる。
また、値説明としては、各項目値の内容が記録されている。例えば、項目値「R」、「C」に対しては、値説明として、それぞれ「個人」、「法人」が記録されている。
【0024】
ロード部212は、ホストシステム30から、評価に用いる口座情報、取引情報を取得し、それぞれ口座情報記憶部23、取引情報記憶部24に記録する処理を実行する。
【0025】
検知部213は、評価ルールに基づいて、調査すべき口座を抽出する処理を実行する。検知部213は、調査すべき口座を特定するための基準値に関するデータを保持している。本実施形態では、検知部213は、検知処理において算出した総スコアが基準値以上の口座を調査対象として特定する。更に、検知部213は、取引チャネルに応じて、スコアを調整するための重み付け値に関するデータ(重み付けテーブル)を保持している。
【0026】
調査支援部214は、調査すべき口座を担当者端末10に出力する処理を実行する。この調査支援部214は、調査対象口座の名義人情報と、関連者の名義人情報との共通度に応じて、表示形態(例えば、配色)を決定するための表示形態管理情報を保持している。この表示形態管理情報を用いることにより、共通度が高い程、目立つ表示形態が決定される。金融機関の担当者は、担当者端末10に出力された口座の調査を行ない、報告書作成の要否を判断する。
【0027】
報告支援部215は、疑わしいと判定された口座についての報告書の作成を支援する処理を実行する。このため、報告支援部215は、報告書を作成するためのテンプレートを保持している。そして、報告支援部215は、疑わしいと判定された口座に関する情報を、テンプレートに挿入することにより報告書を作成する。
【0028】
次に、図2を用いて、各記憶部に記録されている情報を説明する。
図2(a)に示すように、ルール情報記憶部22には、各口座を評価するための評価ルールレコード220が記録される。この評価ルールレコード220は、調査すべき口座を特定するためのルールが登録された場合に記録される。評価ルールレコード220は、ルール、エレメント、パラメータ、閾値、スコアに関するデータを含んで構成される。
【0029】
ルールデータ領域には、調査すべき口座を抽出するための評価ルールを特定するための識別子に関するデータが記録される。
エレメントデータ領域には、この評価ルールにおいて、調査すべき口座を抽出するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、口座情報に含まれる項目の項目値を組み合わせたエレメントを評価要素として用いる。この評価要素を用いることにより、この口座の属性(性格)を特定することができる。
【0030】
パラメータデータ領域には、エレメントにより抽出した口座について、この口座を用いての取引情報を評価するための変数に関するデータが記録される。例えば、このパラメータには、取引の金額や回数、比率、期間等を用いることができる。本実施形態では、取引情報における入出金状況(金額や回数)をパラメータとして、以下の口座を抽出する。
・多額の入金や出金がある口座
・入出金の比率が所定範囲に含まれる口座
・口座開設後の所定期間内に多額の入出金がある口座
・短期間に多額の入出金が発生した休眠口座等
【0031】
閾値データ領域には、このパラメータにおいて口座を区分するための閾値に関するデータが記録される。一つのパラメータに対して、複数の閾値を設定することができる。本実施形態では、口座のリスクレベルに応じて閾値を下げる。また、口座属性に基づいて、一般的に取引金額が大きい場合(例えば、個人よりも法人)には、閾値を上げる。
【0032】
スコアデータ領域には、閾値を超えた口座に対して付与されるスコアに関するデータが記録される。一つのパラメータに対して、複数の閾値が設定されている場合には、各閾値に対して、異なるスコアが記録される。本実施形態では、口座のリスクレベルが高い場合には、高いスコアを付与する。
【0033】
図2(b)に示すように、口座情報記憶部23には、評価対象となる口座に関する口座管理レコード230が記録される。この口座管理レコード230は、ホストシステム30から口座情報を取得した場合に記録される。口座管理レコード230は、口座識別子、口座情報、顧客情報に関するデータを含んで構成される。口座情報には、口座種別、口座開設日、生活口座フラグ、口座停止日、リスクレベル等に関する情報が含まれる。顧客情報には、顧客コード、名義人名、職業コード、電話番号、住所等に関するデータを含んで構成される。
【0034】
口座識別子データ領域には、各口座を特定するための識別子(本支店コード、口座種類、口座番号)に関するデータが記録される。
口座種別データ領域には、この口座の種類を特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、この口座の名義人について、法人又は個人を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0035】
口座開設日データ領域には、この口座が開設された年月日に関するデータが記録される。
生活口座フラグデータ領域には、この口座の用途を特定するための識別子に関するデータが記録される。この口座が、公共料金の引き落としに利用されている場合には、生活口座フラグが記録される。
【0036】
口座停止日データ領域には、この口座が利用停止(凍結)された年月日(口座停止日)に関するデータが記録される。
リスクレベルデータ領域には、この口座のリスクを評価した結果に関するデータが記録される。
【0037】
顧客コードデータ領域には、この口座の名義人である顧客を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0038】
名義人名データ領域には、この口座の名義人の名称(姓名や法人名)に関するデータが記録される。
職業コードデータ領域には、この口座名義人の職業を特定するための識別子に関するデータが記録される。
電話番号、住所データ領域には、この口座の名義人の電話番号、住所に関するデータが記録される。
【0039】
図2(c)に示すように、取引情報記憶部24には、各口座を用いて行なわれた取引に関する取引管理レコード240が記録される。この取引管理レコード240は、ホストシステム30から取引情報を取得した場合に記録される。取引管理レコード240は、取引識別子、口座識別子、取引種別、取引日、金額、取引先に関するデータを含んで構成される。
【0040】
取引識別子データ領域には、各取引を特定するための識別子に関するデータが記録される。
口座識別子データ領域には、この取引に用いられた口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0041】
取引種別データ領域には、この取引の種類を特定するための識別子に関するデータが記録される。更に、この取引種別には、取引チャネル(ネットワーク、窓口や現金自動預払機等)を特定する情報が含まれる。
取引日データ領域には、この取引が行なわれた年月日に関するデータが記録される。この取引日から所定期間以上、入出金がない場合には、休眠口座と判定する。
金額データ領域には、この取引における取引金額に関するデータが記録される。
取引先データ領域には、この取引の相手を特定するためのデータが記録される。本実施形態では、例えば、振込先口座の口座識別子や、この口座の名義人に関する情報が記録される。
【0042】
図2(d)に示すように、口座評価情報記憶部25には、各口座を評価した口座評価管理レコード250が記録される。この口座評価管理レコード250は、検知処理を行なった場合に記録される。口座評価管理レコード250は、口座識別子、評価日、総スコア、アラート、調査結果に関するデータを含んで構成される。
【0043】
口座識別子データ領域には、評価を行なった口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
評価日データ領域には、この口座について検知処理を行なった年月日に関するデータが記録される。
【0044】
総スコアデータ領域には、この口座に付与されたスコアの合計点に関するデータが記録される。
アラートデータ領域には、調査担当者による調査の要否を判定するための情報が記録される。本実施形態では、スコアに基づいて、調査すべきと判定した場合には、アラートフラグが記録される。
調査結果データ領域には、報告書作成の要否を識別するための情報が記録される。本実施形態では、報告書作成が必要な場合には報告フラグが記録される。
【0045】
次に、この口座評価システムにおける動作を、図3図8を用いて説明する。
(設定処理)
図3を用いて、設定処理を説明する。この処理は、調査担当者が、調査すべき口座を特定するための条件(評価ルール)を設定する場合に行なわれる。この設定処理を行なう場合には、金融機関の調査担当者は、担当者端末10を用いて、管理サーバ20にアクセスし、設定要求を送信する。
【0046】
この場合、管理サーバ20の制御部21は、評価要素の特定処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21の設定部211は、口座マスターテーブルを用いて口座情報に含まれる項目を特定し、この項目についての一覧リストを生成する。次に、設定部211は、担当者端末10のディスプレイに、一覧リストを含めた評価要素設定画面を出力する。この場合、調査担当者は、評価要素設定画面を用いて、調査すべき口座の検知に用いる項目(評価要素)を指定する。本実施形態では、任意の数の任意の項目を指定することができる場合を想定する。
【0047】
ここでは、図4に示す口座マスターテーブル500(口座マスター情報)を用いる場合を想定する。この口座マスターテーブル500には、口座情報に含まれる項目(1)〜項目(m)が含まれる。更に、この口座マスターテーブル500においては、各項目に対して、複数の項目値、各項目値の説明が記録されている。そして、調査担当者によって、項目(1)〜項目(m)の中で、評価要素として、項目(2)、項目(3)が指定された場合を想定する。この場合、設定部211は、指定された項目を評価要素として仮記憶する。
【0048】
次に、管理サーバ20の制御部21は、組み合わせの生成処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の設定部211は、口座マスターテーブル500から、評価要素として特定された項目の項目値を取得する。この場合、図4に示すように、項目(2)については項目値「L」〜「VH」、項目(3)については、項目値「R」、「C」を取得する。そして、設定部211は、指定された項目について、項目値に展開したスコア設定リストを作成する。この場合、複数の項目が指定されている場合、スコア設定リストには、各項目の項目値を組み合わせたすべてのパターンを生成する。ここでは、項目(2)の項目値「L」〜「VH」、項目(3)の項目値「R」、「C」の組み合わせにより、8個(=4個*2個)のパターンが生成される。
【0049】
次に、管理サーバ20の制御部21は、評価ルールの設定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の設定部211は、担当者端末10のディスプレイに、評価ルールを設定するための画面(条件設定画面)を出力する。
【0050】
図5(a)に示すように、条件設定画面502には、項目値を組み合わせたすべてのパターンが表示される。更に、条件設定画面502には、各パターンに対して、取引情報に含まれるパラメータについて、複数の閾値を設定するための設定欄が設けられている。ここでは、各エレメントに対して、2つの閾値が設定され、各閾値に対してスコアが設定されている。この条件設定画面502には、閾値を越えた口座に対して付与するスコアの設定欄が設けられている。そして、条件設定画面502において、評価ルールの設定を完了する場合、担当者端末10には設定完了が入力される。
【0051】
次に、管理サーバ20の制御部21は、評価ルールの登録処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の設定部211は、条件設定画面502において、設定されたパターンについて、各項目値を組み合わせた文字列からなるエレメントを生成する。そして、設定部211は、閾値及びスコアを記録した評価ルールレコード220を生成し、ルール情報記憶部22に記録する。
【0052】
この場合、図5(b)に示すように、項目(2)の項目値「L」〜「VH」及び項目(3)の項目値「R」、「C」を組み合わせて生成された文字列「LR」〜「VHC」に対して、パラメータの閾値及びスコアが設定された評価ルールレコード504が生成される。
【0053】
(スコア検証処理)
次に、図6を用いて、スコア検証処理を説明する。この処理は、設定処理を終了した場合に行なわれる。
【0054】
ここでは、管理サーバ20の制御部21は、並び替え処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の設定部211は、共通した項目値を含むエレメントが記録された評価ルールレコード220を抽出する。そして、設定部211は、抽出した評価ルールレコード220を閾値の順番で並び替える。
【0055】
次に、管理サーバ20の制御部21は、スコアの比較処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の設定部211は、並び替えた評価ルールレコード220のスコアの傾向を特定する。本実施形態では、閾値が大きくなる程、スコアも高くなる傾向となる。
【0056】
次に、管理サーバ20の制御部21は、スコア逆転かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の設定部211は、スコアの傾向に対して、前後のスコアの順番が相違(逆転)している評価ルールレコード220がある場合には、スコア逆転があると判定する。
【0057】
スコア逆転があると判定した場合(ステップS2−3において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラーム処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の設定部211は、担当者端末10のディスプレイに、注意喚起メッセージを出力する。この注意喚起メッセージには、スコア逆転を検知した評価ルールレコード220及びその前後の評価ルールレコード220に関する情報を含める。
【0058】
一方、すべての項目値の傾向について、スコア逆転がないと判定した場合(ステップS2−3において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラーム処理(ステップS2−4)をスキップして、スコア検証処理を終了する。
【0059】
(検知処理)
次に、図7(a)を用いて、検知処理を説明する。まず、管理サーバ20の制御部21のロード部212は、ホストシステム30から、評価に用いる口座情報、取引情報を取得し、それぞれ口座情報記憶部23、取引情報記憶部24に記録する。そして、口座情報記憶部23に記録された口座を、順次、処理対象口座として特定し、以下の処理を繰り返す。
【0060】
この場合、管理サーバ20の制御部21は、ルール情報記憶部22に記録されたすべての評価ルールレコード220を、順次、処理対象として特定し、以下の処理を繰り返す。
【0061】
ここでは、管理サーバ20の制御部21は、評価ルール毎にスコア算出処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の検知部213は、処理対象の評価ルールに基づいて、処理対象口座のスコアを算出する。そして、検知部213は、算出したスコアを、口座評価情報記憶部25の総スコアに加算する。この処理(スコア算出処理)の詳細については、後述する。
【0062】
そして、管理サーバ20の制御部21は、すべてのルールについて終了するまで、処理を繰り返す。
更に、管理サーバ20の制御部21は、口座情報記憶部23に記録されたすべての口座について終了するまで、処理を繰り返す。
【0063】
次に、口座評価情報記憶部25に記録された口座を、順次、処理対象口座として特定し、以下の処理を繰り返す。
ここでは、管理サーバ20の制御部21は、総スコアが基準値以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の検知部213は、口座評価管理レコード250に記録されている総スコアと基準値とを比較する。
【0064】
総スコアが基準値以上と判定した場合(ステップS3−2において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラーム処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の検知部213は、口座評価管理レコード250にアラートフラグを記録する。
【0065】
一方、総スコアは基準値未満と判定した場合(ステップS3−2において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラーム処理(ステップS3−3)をスキップして、この口座についての処理を終了する。
以上の処理を、口座評価情報記憶部25に記録されたすべての口座について繰り返す。
【0066】
(スコア算出処理)
次に、図7(b)を用いて、スコア算出処理を説明する。
ここでは、まず、管理サーバ20の制御部21は、項目列の生成処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21の検知部213は、処理対象口座の口座管理レコード230に含まれる各項目の項目値を並べた項目列を生成する。
【0067】
次に、管理サーバ20の制御部21は、エレメントの特定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21の検知部213は、生成した項目列において、ルール情報記憶部22に記録されているエレメントを特定する。
【0068】
次に、管理サーバ20の制御部21は、パラメータ値の算出処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21の検知部213は、ルール情報記憶部22を用いて、特定したエレメントについて、パラメータを特定する。次に、検知部213は、処理対象口座の口座識別子が記録された取引管理レコード240を、取引情報記憶部24から抽出する。そして、検知部213は、取引管理レコード240を用いて、この評価ルールのパラメータのパラメータ値を算出する。ここでは、例えば、以下のパラメータ値を算出する。
「多額の入金や出金がある口座」を特定する場合には、取引管理レコード240を用いて、パラメータ値として、所定期間の入金額合計及び出金額合計、入出金回数を算出する。
また、「入出金の比率が所定範囲に含まれる口座」を特定する場合には、取引管理レコード240を用いて、パラメータ値として、所定期間の入金額合計と出金額合計との比率を算出する。
また、「口座開設後の所定期間内に多額の入出金がある口座」を特定する場合には、取引管理レコード240を用いて、パラメータ値として、口座開設後の所定期間の入金額合計或いは出金額合計、入出金回数を算出する。
また、「短期間に多額の入出金が発生した休眠口座」を特定する場合には、取引管理レコード240を用いて、パラメータ値として、予め定められた一定期間以上の取引がない口座において、取引再開後の所定期間の入金額合計或いは出金額合計、入出金回数を算出する。
【0069】
次に、管理サーバ20の制御部21は、閾値との比較に基づいてスコア算出処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21の検知部213は、算出したパラメータ値と閾値とを比較する。そして、検知部213は、評価ルールレコード220を用いて、パラメータ値以下の閾値であって、最大の閾値に対応するスコアを取得する。
【0070】
次に、管理サーバ20の制御部21は、取引チャネルに応じてスコアの重み付け処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21の検知部213は、抽出した取引管理レコード240を用いて、取引チャネルを特定する。次に、検知部213は、重み付けテーブルを用いて、取引チャネルに応じた重み付け値を取得する。そして、検知部213は、取得した重み付け値を乗算したスコアを算出する。
【0071】
次に、管理サーバ20の制御部21は、スコア加算処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、制御部21の検知部213は、算出したスコアを、処理対象口座の口座評価管理レコード250の総スコアに加算する。
【0072】
(調査支援処理)
次に、図8を用いて、調査支援処理を説明する。
ここでは、まず、管理サーバ20の制御部21は、アラート口座の出力処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、口座評価情報記憶部25において、今回の評価日が記録された口座評価管理レコード250を抽出する。次に、調査支援部214は、アラートフラグが記録された口座評価管理レコード250をアラート口座として特定する。そして、調査支援部214は、特定した口座評価管理レコード250の口座識別子を含めた調査対象口座リストを生成し、担当者端末10のディスプレイに出力する。
【0073】
次に、管理サーバ20の制御部21は、調査対象口座の特定処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、調査担当者は、調査対象口座リストに含まれる口座の中で、調査を行なう口座を調査対象口座として指定する。この場合、制御部21の調査支援部214は、指定された調査対象口座の口座識別子を特定する。
【0074】
次に、管理サーバ20の制御部21は、調査対象口座の名義人の出力処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、調査対象口座の口座識別子が記録された口座管理レコード230を口座情報記憶部23から抽出する。そして、調査支援部214は、口座管理レコード230の顧客情報を取得する。そして、調査支援部214は、取得した顧客情報を、担当者端末10のディスプレイに出力する。
【0075】
次に、管理サーバ20の制御部21は、関連口座の検索処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、口座管理レコード230に記録された顧客コードが記録されている他の口座管理レコード230を口座情報記憶部23において検索する。そして、調査支援部214は、同じ顧客コードが記録されている他の口座管理レコード230を抽出できた場合には、この口座を関連口座として特定する。
【0076】
関連口座を特定できた場合、管理サーバ20の制御部21は、アラート情報の確認処理を実行する(ステップS5−21)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、口座評価情報記憶部25を用いて、関連口座の口座識別子が記録されている口座評価管理レコード250を検索する。そして、調査支援部214は、口座評価管理レコード250にアラートフラグが記録されているかどうかを確認する。
【0077】
次に、管理サーバ20の制御部21は、関連口座の出力処理を実行する(ステップS5−5)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、関連口座の口座情報を、担当者端末10のディスプレイに出力する。更に、口座評価管理レコード250にアラートフラグが記録されている場合には、調査支援部214は、関連口座の口座情報に関連付けて、アラートメッセージを出力する。
【0078】
次に、管理サーバ20の制御部21は、名義人と共通性がある関連者の特定処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、口座情報記憶部23を用いて、調査対象口座の顧客情報(名義人情報)に含まれる各項目と共通性がある情報が顧客情報(名義人情報)として記録されている口座管理レコード230を検索する。本実施形態では、共通性として、「電話番号の一致」、「住所の一部の一致」、「名義人名の姓の一致」等を用いる。そして、調査支援部214は、共通性がある顧客情報が記録されている他の口座管理レコード230を抽出できた場合には、この口座管理レコード230の名義人名を関連者として特定する。
【0079】
次に、管理サーバ20の制御部21は、共通度に応じて表示方法の決定処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、関連者の顧客情報と、調査対象口座の顧客情報とを比較して、共通度を算出する。本実施形態では、例えば、共通度として、顧客情報において、共通性がある項目数を用いる。そして、調査支援部214は、表示形態管理情報を用いて、共通度に応じた表示形態を決定する。
【0080】
次に、管理サーバ20の制御部21は、関連者の出力処理を実行する(ステップS5−8)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、担当者端末10のディスプレイに、共通度に応じて決定した表示形態に基づいて、関連者情報を出力する。
【0081】
次に、管理サーバ20の制御部21は、関連者の口座の検索処理を実行する(ステップS5−9)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、関連者の顧客コードが名義情報に記録されている口座管理レコード230を口座情報記憶部23から抽出する。そして、調査支援部214は、抽出した口座管理レコード230を関連者の口座(関連口座)として特定する。
この場合も、関連者の口座について、ステップS5−21と同様に、管理サーバ20の制御部21は、アラート情報の確認処理を実行する(ステップS5−22)。
【0082】
次に、管理サーバ20の制御部21は、関連者の口座の出力処理を実行する(ステップS5−10)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、関連者の口座の口座情報を、担当者端末10のディスプレイに出力する。更に、口座評価管理レコード250にアラートフラグが記録されている場合には、調査支援部214は、関連者の口座の口座情報に関連付けて、アラートメッセージを出力する。
【0083】
次に、管理サーバ20の制御部21は、調査結果の登録処理を実行する(ステップS5−11)。具体的には、調査担当者は、調査対象口座について、関連情報(例えば、関連口座の情報)を参照して報告の要否を判断する。そして、担当者端末10において、調査結果が入力された場合、制御部21の調査支援部214は、調査対象の口座評価管理レコード250の調査結果データ領域に報告フラグを記録する。この場合、制御部21の報告支援部215は、報告書の作成処理を実行する。
【0084】
次に、管理サーバ20の制御部21は、調査対象の変更かどうかについての判定処理を実行する(ステップS5−12)。具体的には、制御部21の調査支援部214は、担当者端末10において、調査対象口座リストに含まれる他のアラート口座や、関連口座、関連者の口座が指定された場合には、調査対象の変更と判定する。
【0085】
調査対象の変更と判定した場合(ステップS5−12において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、調査対象口座の特定処理(ステップS5−2)に戻る。この場合、新たに指定された口座を調査対象口座として特定する。
【0086】
一方、新たな調査対象が指定されず、調査対象の変更でないと判定した場合(ステップS5−12において「NO」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、調査支援処理を終了する。
【0087】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、評価要素の特定処理(ステップS1−1)、組み合わせの生成処理(ステップS1−2)、評価ルールの設定処理(ステップS1−3)を実行する。これにより、調査担当者は、調査対象とする口座を検知するための評価ルールを、設定することができる。そして、この口座属性に応じた閾値を用いて、各口座を評価することができる。
【0088】
(2)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、スコア検証処理を実行する。これにより、設定されたスコアの妥当性を確認することができる。
(3)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、評価ルール毎にスコア算出処理を実行する(ステップS3−1)。ここでは、管理サーバ20の制御部21は、項目列の生成処理(ステップS4−1)、エレメントの特定処理(ステップS4−2)、パラメータ値の算出処理(ステップS4−3)、閾値との比較に基づいてスコア算出処理(ステップS4−4)を実行する。複数の閾値を用いることにより、一つの口座属性に対して、取引状況に応じてスコアを付与することができる。
【0089】
更に、管理サーバ20の制御部21は、取引チャネルに応じてスコアの重み付け処理を実行する(ステップS4−5)。これにより、取引状況に応じて、疑わしい取引を評価することができる。
【0090】
(4)本実施形態では、管理サーバ20の制御部21は、総スコアは基準値以上かどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−2)。総スコアは基準値以上と判定した場合(ステップS3−2において「YES」の場合)、管理サーバ20の制御部21は、アラーム処理を実行する(ステップS3−3)。これにより、調査担当者は、検知された口座について効率的に調査することができる。
【0091】
(5)本実施形態の調査支援処理では、管理サーバ20の制御部21は、関連口座の検索処理を実行する(ステップS5−4)。関連口座を特定できた場合、管理サーバ20の制御部21は、アラート情報の確認処理を実行する(ステップS5−21)。これにより、名義人が保有する他の口座に関する情報を用いて、アラート口座の報告書作成の要否を判断することができる。
【0092】
(6)本実施形態の調査支援処理では、管理サーバ20の制御部21は、名義人と共通性がある関連者の特定処理(ステップS5−6)、共通度に応じて表示方法の決定処理(ステップS5−7)、関連者の出力処理(ステップS5−8)を実行する。これにより、アラート口座の名義人の口座を名寄せして、報告書作成の要否を判断することができる。
【0093】
更に、管理サーバ20の制御部21は、関連者の口座の検索処理(ステップS5−9)、関連者の口座の出力処理(ステップS5−10)を実行する。これにより、名寄せされた口座に関する情報を用いて、アラート口座の報告書作成の要否を判断することができる。
【0094】
(7)本実施形態では、報告支援部215は、疑わしいと判定された口座についての報告書の作成を支援する処理を実行する。これにより、効率的に報告書を作成することができる。
【0095】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・上記実施形態では、2つの項目値を用いて、エレメントを生成する。エレメントを生成するための項目値の数は、2つに限定されるものではない。また、過去の報告書作成の実績を用いて、エレメントを生成するようにしてもよい。この場合には、報告書が作成された口座情報の項目値を用いて、エレメントを生成する。
【0096】
・上記実施形態では、一つのエレメントに対して、2つの閾値を設定したが、閾値の数はこれに限定されるものではない。
・上記実施形態では、総スコアと基準値とを比較することにより、アラート口座を特定する。ここで、状況に応じて、基準値を変更するようにしてもよい。例えば、過去の報告書作成の実績を用いて、基準値を設定するようにしてもよい。この場合には、報告書が作成された口座情報の項目値からなるエレメントにおいて、この口座がアラート口座に含まれるように基準値を算出する。
【0097】
・上記実施形態では、調査支援処理において、管理サーバ20の制御部21は、関連口座の検索処理(ステップS5−4)、アラート情報の確認処理(ステップS5−21)を実行する。更に、上記実施形態では、調査支援処理において、名義人と共通性がある関連者の特定処理(ステップS5−6)、関連者の口座の検索処理(ステップS5−9)、アラート情報の確認処理(ステップS5−22)を実行する。
【0098】
これらの処理を、検知処理において実行するようにしてもよい。この場合には、特定した関連口座の総スコアやアラート情報、調査結果をスコアに換算し、調査対象口座の総スコアに加算するようにしてもよい。このため、検知部213に、関連口座の総スコアやアラート情報、調査結果をスコアに換算するための換算テーブルを保持させておく。
これにより、関連口座の評価結果を用いて、アラート口座のスコアを調整することができる。
【0099】
・上記実施形態では、取引チャネルに応じて、スコアを調整するための重み付け値に関するデータ(重み付けテーブル)を利用する。ここで、重み付けの対象は、取引チャネルに限定されるものではない。例えば、取引時期(曜日や時間帯)を重み付けの対象とすることも可能である。この場合、制御部21の検知部213は、取引管理レコード240を用いて、重み付け対象(取引時期)を特定する。
【符号の説明】
【0100】
10…担当者端末、20…管理サーバ、21…制御部、211…設定部、212…ロード部、213…検知部、214…調査支援部、215…報告支援部、22…ルール情報記憶部、23…口座情報記憶部、24…取引情報記憶部、25…口座評価情報記憶部、30…ホストシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8