(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
携帯用音楽プレーヤを含む多くの電子機器は、通常、2.3V前後にバイアスされるマイクロホン入力を有する。マイクロホン入力は、通常、外部マイクロホンに接続され、または(そのバイアスからの)電源として使用されうる。簡潔にするために、「マイクロホン入力」と「マイクロホンバイアス」とを区別なく使用する。これらの電子機器では、マイクロホンとイヤホンとが独立して動作する。音楽プレーヤの場合、音楽が再生される(出力がイヤホン出力でのものである)ときにはマイクロホン入力は多くの場合使用されず、かつ/または、使用されるときにはマイクロホン入力は、再生/一時停止と音量上げ/下げとのディジタル制御のために変調された信号が入力される制御入力として使用されうる。電話技術用途では、(イヤホン兼マイクロホンのオーディオアクセサリの一部としての)外部マイクロホンがマイクロホン入力に接続されうる。
【0003】
音楽プレーヤを実施する電子機器の例には、多くのスマートフォンおよび携帯用MP3(およびその変形の)プレーヤが含まれる。そうした電子機器では、伝えられるところでは、音楽プレーヤのイヤホン出力に接続されたイヤホンを装着する音楽プレーヤのユーザが暴露される音楽/音の大きさおよび持続期間を推定する(または計算する)ための、ハードウェアまたは利便性の点で扱いやすい方法がない。この音声の大きさおよび持続期間は、イヤホン内のスピーカからの音響(音)出力から生じるユーザの騒音量を構成する。騒音量の安全範囲は十分に確立されており、例えば、米国の労働安全衛生局および他国における同様の団体によって定められた1910.95基準が挙げられる。騒音量が規定の安全範囲を超えるとき、電子機器のユーザは騒音誘発性の難聴になるおそれがある。
【0004】
利便性およびハードウェアの点で扱いやすい方法がないのは以下の理由のうちの1つもしくは複数によるものである。第1に、任意の追加のハードウェア、換言すれば通信装置、例えば、米国特許出願第12/971673号に記載されている発明などは、(電子機器(音楽プレーヤ)の外部の)定期的な交換または充電を必要とするはずの(外部電池といった)外部電源を必要とする。第2に、(スマートフォンなどの)音楽プレーヤのオペレーティングシステムは、内部の他のアプリケーションに、そのディジタル信号プロセッサ/ディジタル−アナログ変換器/電力増幅器の出力へのアクセスを許さない。このアクセス権の欠如により音楽プレーヤの外部のハードウェアが必要になり、その場合、外部ハードウェアは、その電子信号出力をモニタ/測定する(また、スピーカの音響出力からその電子入力への出力/入力伝達関数を使用する)ために、またはスピーカの音響出力を直接測定するために、イヤホン出力にアクセスする必要があるはずである。扱いにくい/実際的ではない先行技術の発明には米国特許出願第2009/0208024号、米国特許出願第2010/0278350号などが含まれる。
【0005】
手短にいうと、マイクロホンバイアスを利用して、イヤホンの出力および/または騒音量を確定する手段の実現を簡便にし、またはそのためのハードウェアを縮小するための公知の方法はない。騒音量を確定することができれば、電子機器(音楽プレーヤとしてのスマートフォンなど)の機能が高まるはずである。
【0006】
高性能の電子機器、例えばスマートフォンなどの機能は、その入力が(スマートフォンの)イヤホン出力の1つに接続されている(通信装置において実施された)電子回路を接続することによって高めることができる。先行技術の発明では、スマートフォンは、Thinkfloodが製造するような、(例えばテレビ用の)リモートコントローラとして機能する。リモートコントローラはTRRSコネクタを備えるハウジングにおいて実施され、TRRSコネクタはさらにスマートフォンのTRRSソケットに挿入される。スマートフォンは、スマートフォン内のアプリケーションに従って、そのイヤホン出力の一方または両方(右、左、または両方のオーディオチャネル出力)を介して信号を出力する。出力信号はその後(通信装置において実施された)電子回路によって赤外線信号に変換されその赤外線信号が送信される。この先行技術の適用例では、通信装置は、赤外線信号によるだけの単方向伝送(スマートフォンとテレビとの間の通信)のための仲介機器である。この発明には、赤外線だけという制限と機械的構造の2つの弱点がある。赤外線だけという制限はおそらく、所望の用途に起因するものであり、イヤホン出力を使用すると、そのためにイヤホン/ヘッドホンが使用できなくなる。機械的接続は、単なるスマートフォンのTRRSソケットへのTRRSコネクタの挿入にすぎず、ハウジングと外枠との間の機械的接続ではない。この機器はスマートフォンから突き出ているため、壊れやすい可能性がある。手短にいうと、機能が制限され、機械的に弱い(壊れやすい)。
【0007】
別の先行技術の単方向伝送が、携帯電話(スマートフォン)と補聴器との間の磁気誘導伝送である。送信側は携帯電話内のスピーカによって発生する磁界である。補聴器は、スピーカによって発生する磁界から誘導される磁界から電圧を生成するテレコイル(Tコイル)を有する。この先行技術の方法の重大な弱点は、スピーカによって発生する磁界が非常に弱く、補聴器の近くでの(携帯電話の)スピーカの慎重で、難しい配置/位置合わせを必要とする(フィドリング(fiddling)、すなわち、「スイート(耳に快い)」スポットを見いだそうとする試行錯誤を必要とする)ことである。ほとんどの場合、磁気誘導は弱いままに留まり、単方向伝送が不具合になり、音声了解度が不十分になる。
【0008】
米国特許第7810729号に記載されている発明では、電子機器(スマートフォン)のマイクロホン入力は、入力および可能な電源として働く。この発明は、クレジットカードとスマートフォン、すなわちクレジットカード読取装置との間の仲介機器、通信装置である。クレジットカード情報が電子機器によって読み取られ、処理され、その出力が同じマイクロホン線上に変調されるものであり、これは、米国特許第7869608号に記載されている先行技術のイヤホンヘッドセットの再生/一時停止および音量上げ/下げと同種のものである。この発明は、前述の赤外線コントローラの事例と同様に大きな機械的弱点を有する。具体的には、クレジットカード読取装置は、スマートフォンのTRRSソケットにさらに挿入されるTRRSコネクタを備えるハウジングにおいて実施され、クレジットカード読取装置とスマートフォンの外枠との間に機械的接続がない。クレジットカード読取装置はスマートフォンから突き出ており、よって機械的に弱い(壊れやすい)。
【0009】
米国特許出願第2009/0296967号に記載されている発明では、電話装置(内部通信装置)は、そのような電話機が専用であることを必要とする電話セットの一部であり、関連する電話機は通常、コード付き電話および無線(DECT)電話である。よってこの発明は、任意の電話、特にスマートフォンに容易に適合されないため、限界がある。
【0010】
米国特許出願第2011/0007916号に記載されている発明では、アドオンモジュール(通信装置)は主として、ユビキタスではない専用の電話ハンドセットだけに適用できる。よってこれは一般に適用できず、利便性もない。さらに、機械的接続も弱い(壊れやすい)。
【0011】
米国特許出願第2004/2406892号に記載されている発明では、仲介通信装置は、電話の音響スピーカ出力を拾うためのマイクロホンを含む扱いにくいアタッチメントである。その扱いにくさは主として、取付けの難しさ、大きいフォームファクタ、および内部の電子回路が外部電池を必要とすることに起因するものである。
【0012】
前述の発明およびそれらと関連付けられた通信装置を備える先行技術の電子機器では、スマートフォン(など)の適用が制限され、往々にして扱いにくいままであり、これはいくつかの理由によるものである。第1に、電子機器のオーディオ出力から生じる騒音量を確定する場合には、利便性の点で、またはハードウェアおよび電源の点で扱いやすい手段がなく、その実現が大きなフォームファクタでのものになり、よって商業的に受け入れられない。第2に、電子機器内のマイクロホンバイアスから利用できる電力は非常に限られたものであり、通常、2V未満で250マイクロアンペア未満である。
【0013】
第3に、マイクロホン入力がすでにマイクロホンに接続されている適用例では、この入力手段は、電源としても入力としてもほとんど利用できない。第4に、データがマイクロホンに入力されるときには、マイクロホン入力は電源として容易に利用することができない。第5に、電子機器(スマートフォンなど)のイヤホン出力がすでにイヤホン(またはヘッドホン)のスピーカに接続されている適用例では、通信装置内の電子回路への出力としてのこの手段は容易に利用することができない。例えば、前述の赤外線遠隔制御は使用することができない。
【0014】
手短にいうと、電子機器(スマートフォンの音楽プレーヤなど)のイヤホン出力の測定と、第1の電子機器(スマートフォンなど)と第2の電子機器(例えば補聴器、ペースメーカなど)との間の通信とのための先行技術の通信装置の発明は、扱いにくく、限界があり、または機械的に弱い(壊れやすい)。物理的には、これら先行技術の通信装置は多くの場合外部機器(別個のエンティティ)であり、外部電源を必要とし、通信が制限され(例えば、より広域的な通信ではなく局部的な通信(例えば、インターネットの一端の第3の電子機器(聴覚診断システムなど)とインターネットの他端のスマートフォン(第1の電子機器)との間の通信や、通信装置を介したスマートフォンと補聴器(第2の電子機器)との間の通信など)になり)、特化された電話などにしか適用できない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、電子機器(スマートフォンの音楽プレーヤなど)の出力を測定する扱いやすい手段を提供するための、かつ/または第1の電子機器(スマートフォンなど)と第2の電子機器(例えば補聴器、ペースメーカなど)との間の無線通信の手段を提供するための通信装置、すなわち仲介通信機器である。本発明のユニークさは、多用性、小さいフォームファクタ、所要電力ゼロまたは非常に低い所要電力、低コスト、および(通信装置と第1の電子機器との間の)強い機械的接続完全性を含み、過去に例をみない利便性をもたらす。
【0038】
図1(a)に、スピーカ出力2および(オーディオ出力兼マイクロホン入力)ソケット3が示されている、上下逆にして描かれた、先行技術の携帯電話1である電子機器(スマートフォン)を示す。
【0039】
図1(b)に、多くの音楽プレーヤおよび携帯電話で、ステレオオーディオ出力兼マイクロホン入力プラグとして使用される先行技術のユビキタス(3.5mm)プラグ110を示し、これはソケット3に挿入されうるものである。4ピンプラグ(TRRS、チップ−リング−リング−スリーブ)バージョンでは、導体は(チップ)左チャネル111、(リング)右チャネル112、(リング)接地113および(スリーブ)マイクロホン114である。バイアス電圧(よって後述する電源)がマイクロホン114で(外部)マイクロホンをバイアスするために利用可能であり、適切な場合には、この導体上の変調信号が携帯電話1に信号(制御)を提供することができる。例えば、スマートフォンの音楽プレーヤといったある電子機器では、これらの変調信号は、再生/一時停止および音量上げ/下げを制御することができる。3ピンプラグ(TRS、チップ−リング−スリーブ)バージョンでは、マイクロホン114がない。
【0040】
図2(a)では、(第1の電子機器)携帯電話1が右を上にして描かれており、この図ではスピーカ出力2が上部にある。携帯電話1は、矢印方向201で指示するように下部から通信装置51へすべらせてはめ込むことができる。この図では、通信装置51は、この通信装置の物理的ハウジングの一例である携帯電話1用の緩衝器(またはケーシング)として描かれており、内部の電子回路はケーシング52内で実施される。通信装置51はいくつかのやり方で構築されてよく、これは、携帯電話1の外枠に物理的に取り付けられるように適合された、ケーシング、部分ケーシング、拡張プラグなどとしてのものを含む。携帯電話1が通信装置51へすべらせてはめ込まれるときに、通信装置51のプラグ53が携帯電話1のソケット3(
図1(a)参照)に挿入される。プラグ53は
図1(b)のプラグ110と同様であり、またはその変形である。
【0041】
図2(b)では、携帯電話1が通信装置51にすべらせてはめ込まれている。ケーシング52内の電子回路はこの場合、第2の電子機器、補聴器54と通信することができる。この通信は、指示202で示すように単方向、または指示203で示すように二重とすることができる。
【0042】
図3(a)〜
図3(d)に、それぞれ、本発明の第1の実施形態、好ましい第1の実施形態、別の好ましい第1の実施形態、およびさらに別の好ましい第1の実施形態を示す。これらは、電子機器、例えば、携帯用音楽プレーヤ、スマートフォンの音楽プレーヤなどのイヤホンオーディオ出力の出力を測定する手段を提供する通信装置51である。適用の一例が、電子機器のユーザの騒音暴露を確定するための騒音線量計である。他の適用も可能である。
【0043】
図3(a)に、通信装置51が抵抗器60を実施する本発明の第1の実施形態を示す。この図では、携帯電話1内のプロセッサ20が1つの入力(マイクロホン入力21)と、左増幅器25および右増幅器26に接続された2つの出力とを有し、左右の増幅器のオーディオ出力はそれぞれ左チャネル出力22および右チャネル出力23である。スピーカ81およびスピーカ82はイヤホンまたはヘッドホンセットのスピーカであり、通常、3.5mmTRSまたはTRRSプラグである、
図1(b)に示すプラグ110に接続される。典型的な適用では、イヤホン/ヘッドホンセットの左スピーカ81は左チャネル出力22と接地24との間に接続され、同じイヤホン/ヘッドホンセットの右スピーカ82は右チャネル出力23と接地24との間に接続される。
【0044】
通信装置51内の電子回路はきわめて単純であり、抵抗器60が携帯電話1の左チャネル出力22とマイクロホン入力21とにまたがって接続されるものである。抵抗器60はマイクロホン入力21が左チャネル出力22の減衰出力をサンプリングするための手段を提供する。減衰は、抵抗器60とマイクロホン入力21のノードにおける入力抵抗との間の分圧によるものである。分圧の比率は抵抗器60の値を変更することによって、または左チャネル出力22と接地24との間に別の抵抗器を接続することによって調整することができる。抵抗器以外の手段を使用して左チャネル22の出力をサンプリングすることも可能であり、分圧が他の方法によって得られてもよい。
【0045】
図3(a)の本発明の第1の実施形態では、携帯電話1のマイクロホン入力21に外部マイクロホンを接続することができないはずである。外部マイクロホンは通常、イヤホン兼マイクロホンのオーディオアクセサリのマイクロホンである。これは、左チャネル出力22からのサンプリング信号が外部マイクロホンの出力を損ない、または圧倒することになるはずだからである。この限界を回避するために、
図3(b)に示す本発明の好ましい第1の実施形態は、外部マイクロホン83が必要とされるときに、スイッチ61がマイクロホン入力21を外部マイクロホン83に接続し、抵抗器60が切断される、スイッチ61による簡単な解決策を提供する。反対に、外部マイクロホン83が不要のときには、スイッチ61は抵抗器60をマイクロホン入力21と左チャネル出力22とに接続し、外部マイクロホン83は切断される。スイッチ61の切換えは手動であってもよく、電子的なものとすることもできる。
【0046】
それぞれ
図3(a)と
図3(b)とに示す、本発明の第1の実施形態と好ましい第1の実施形態のどちらでも、オーディオ出力のサンプリングを用いて、スピーカ81の音響出力が確定/推定されてよく、騒音量は、スピーカ81の音響出力/電子入力を関連付ける伝達関数から計算される。
【0047】
本発明の第1の実施形態および好ましい第1の実施形態には、通信装置51に外部電力が不要であること、通信装置51内の電子回路がきわめて簡単であること、およびその結果として非常に小さいフォームファクタが得られることを含むいくつかのユニークな利点があることが明らかである。これらのユニークさは、高度に実際的で、商業的に許容される騒音線量計を提供するはずである。
【0048】
図3(c)に、電力がこの場合はマイクロホン入力21から取り込まれる本発明の別の好ましい第1の実施形態を示す。通信装置51は、電力管理63と電子回路64とを備える。前述のものと同様に、スピーカ81およびスピーカ82への入力は、それぞれ、携帯電話1の左チャネル出力22および右チャネル出力23である。電子回路64は電力管理63を介してマイクロホン入力21からその電力を得る。電子回路64内の電子回路の所要電力に応じて、電力管理63は、どんな電子回路も必要としない、コンデンサと同程度の単純なものとすることもでき、直流−直流変換器の後にLDO(low dropout linear regulator:低ドロップアウト線形調整器)が続くような複雑なものとすることもできる。電子回路64は通常、アナログ−ディジタル変換器(ADC)を有するマイクロコントローラを備える。ADCによって、左チャネル出力の出力がサンプリングされ、その後でADCのディジタル出力がマイクロコントローラによって処理される。オーディオ出力のサンプリングおよび後続の信号処理には複数の適用がありうる。例えば、線量計の適用例では、電子回路64内のマイクロコントローラは、左チャネル出力22のサンプリング入力からスピーカ81の音響出力から生じる騒音量を確定/推定することができる。
【0049】
電子回路64は、ハイブリッドアナログ−ディジタル手段によって実現されてもよく、これはADC/マイクロコントローラハードウェアより複雑さの低いハードウェアを提供しうる。例えば、アナログバージョンは、全波整流器および低域フィルタを備えていてよい。低域フィルタの出力はイヤホン出力の全電力推定を提供し、これが騒音量の計算を簡単にするはずである。電子回路64のハードウェアを設計するいくつかの異なるやり方がある。
【0050】
念のためにいうと、この別の好ましい第1の実施形態(
図3(c))と前述の好ましい第1の実施形態および第1の実施形態(
図3(a)および
図3(b))との主な違いは、能動型である(電力を必要とする)別の好ましい第1の実施形態の電子回路64はこの場合、所与の特定の用途のための計算の大部分を行うことができ、これに反して、第1の実施形態および好ましい実施形態では、この計算が携帯電話1によって計算されることである。電子回路64のための電力はマイクロホン入力21から取り込むことができ、その出力をLEDなどによって表示することができることに留意されたい。
【0051】
この別の好ましい第1の実施形態は、外部マイクロホンがマイクロホン入力21に接続されることを許容せず、これは
図3(a)に示す第1の実施形態の場合と同様である。この限界を回避し、それによって本発明の通信装置51の多用性を高めるために、
図3(d)に示すさらに別の好ましい第1の実施形態は、マイクロホン入力21を、外部マイクロホン83に、または接続66を介して電子回路64の出力に接続する電力管理63内のスイッチを実施する。この実施形態は通信装置51に電池65をさらに含む。この場合電池65が存在するため、マイクロコントローラその他の電子回路を含む電子回路64の高度化は相当なものとなりうることに留意されたい。
【0052】
その運用法は以下の通りである(外部マイクロホン83なし、接続65なし)。まず、電子回路64がアイドル状態(非アクティブ)であるシナリオを考える。この場合には、電池65を再充電する電力はマイクロホン入力21から取り込まれる。
【0053】
次に、電子回路64がアクティブである第2のシナリオを考える。十分な電流/電力をマイクロホンバイアス21から取り込むことができる場合、電子回路64を動作させる電力はマイクロホンバイアス21から取り込まれ、電池65は電力を全く提供しない。電力が十分かどうかは、(電力管理63により)マイクロホンバイアス21のバイアス電圧のレベルによってまたは他の手段によって確認することができる。マイクロホン入力21から取り込まれるさらなる余剰の/十分な電力がある場合、電池65を再充電する電力をマイクロホンバイアス21から取り込むこともでき、そうでない場合、電池65は再充電されないはずである。マイクロホンバイアス21から取り込まれる電力が電子回路64を動作させるのに不十分である状況では、電池65が2次電源になる。上記シナリオでは、電力管理63内のスイッチが上記シナリオを実施するのに必要な接続を行う。そのような接続設計は当業者には公知である。
【0054】
次に、外部マイクロホン83(通常は、イヤホン兼マイクロホンのオーディオアクセサリ内のマイクロホン)が使用される/アクティブである(例えば、携帯電話1が無線送受信機(例えばGSM、CDMAなど)として動作しているとき)を考える。この場合には、電力管理63内のスイッチが外部マイクロホン83だけをマイクロホン入力21に接続する。電子回路64を動作させる電力はこの場合、電力管理63内のスイッチを介して電池65から得られる。このように、電子回路64を動作させる電力は常に利用可能であり、外部マイクロホン83はマイクロホン入力21に接続される。外部マイクロホンが非アクティブであるとき、マイクロホン入力21は電池65を再充電するために取り込まれてよい。
【0055】
念のためにいうと、当業者にとっては、マイクロホン入力21からの電力が取り込まれ、しかもマイクロホン入力21が同時に変調されるように設計するのは容易なことである。これは、マイクロホン入力21のところの携帯電話1の入力が交流結合されるからである。
【0056】
本発明のこのさらに別の好ましい第1の実施形態では、通信装置51は、電子回路64が携帯電話1にデータを入力することを可能にすることによってさらに一層多用途とされうる。これは
図3(d)に示されており、この場合マイクロホン入力21は(接続66を介して)マイクロホン入力21を変調しうる電子回路64の出力に接続されてよい。この多用性はこの場合、携帯電話1と通信装置51との間の通信を二重にすることを可能にする。電子回路64の出力がマイクロホン入力21に接続されない前述の事例とは異なり、この場合は、目的の用途に必要とされる計算/処理の一部または全部を、携帯電話1(内のアプリケーション)によって計算することができる。この接続構成では、外部マイクロホン83と電力管理63の両方がマイクロホン入力21から切断され、電子回路64は電力管理63を介して電池65から電力供給される。様々なスイッチングは手動手段によって実現されてもよく、電子スイッチによって実現されてもよい。
【0057】
次に、本発明の通信装置51の第2の実施形態、好ましい第2の実施形態、別の好ましい第2の実施形態、およびさらに別の好ましい第2の実施形態を考える。前述の第1の(また変形の好ましい)実施形態とは異なり、この場合の意図は、第1の電子機器(スマートフォンなど)と第2の電子機器(例えば補聴器、ペースメーカなど)との間の通信のためであり、簡単にいうと、通信装置51は第1の電子機器と第2の電子機器との間の仲介通信機器である。
【0058】
図4(a)に、用途が、通信装置51を介した第1の電子機器の携帯電話1と第2の電子機器との間の短距離単方向通信である本発明の第2の実施形態を示す。
図2(b)では、第2の電子機器は補聴器54であり、別の適用例では、第2の電子機器をペースメーカなどとすることもできる。一適用例では、第1の電子機器の携帯電話1は、通信装置51を介して第2の電子機器に、単方向通信用、制御用、オーディオデータ通信用などを含めて、データを送ることができてよい。
【0059】
図4(a)では、通信装置51は、その入力が第1の電子機器の携帯電話1の左チャネル出力22である送信機71を備える。送信機71は受動送信機であり、そのため電力を必要とせず、例えば、伝送様式が磁気誘導であるテレコイル(Tコイルともいう)などであり、これをループシステムともいう。この適用例では、第2の電子機器(
図2(b)の補聴器54など)が別のテレコイルで実現される受信機を実施するはずである。伝送は磁界によって達成される(磁界は(送信機71内の)送信側テレコイルにおいて携帯電話1の左チャネル出力22からの電流によって発生し、第2の電子機器内の受信側テレコイルへ誘導される。左チャネル出力22における出力電圧に類似した電圧が受信側テレコイルの出力において得られ、よって、通信装置51を介した第1の電子機器の携帯電話1から第2の電子機器(補聴器54など)への単方向伝送が行われる。
【0060】
第1の電子機器の携帯電話1および第2の電子機器の補聴器54を伴う適用例では、この第2の実施形態の主な利点は、携帯電話1のスピーカ2(
図1(a))からの弱い磁気誘導に優る送信機71内のテレコイルの磁気誘導の強度の大幅な増加である。作成した原型での試験に基づけば、送信機71としてのテレコイルから生じる磁気誘導の強度は、携帯電話1のスピーカ2からのものよりもおおよそ20dB強い。実際のところ、この利点は、現実のずっと望ましい利便性、すなわち、携帯電話1のスピーカ2を補聴器54に慎重に位置合わせしようとしなければならず、しかも弱い伝送しか得られないのではなく、携帯電話1を補聴器54に良好な伝送状態で容易に配置できることを意味する。音響心理学的には、より高い音声了解度が達成される。
【0061】
図4(a)では、送信機71が、携帯電話1のソケット3(
図1(a))への通信装置51のプラグ53(
図2(a))の挿入によって携帯電話1の左チャネル出力22に接続されるときに、携帯電話1のスピーカ2が使用不可になる。このスピーカ2を使用不可にすることは、携帯電話1の通常の音響出力が利用できなくなるために不都合となりうる。この限界を回避し、それによって携帯電話1の音響出力を復元するために、
図4(a)に示す本発明の第2の実施形態は、通信装置51内で実施されたスピーカ72をさらに含む。スピーカ72の入力は携帯電話1の右チャネル出力23に接続される。
【0062】
ある適用例では、スピーカ72がなくてもよい。例えば、ユーザの補聴器アセンブリが、重度の聴覚障害者に特有の、外耳道を完全にふさぐ(すなわち通気孔なしの)耳栓を含むものである補聴器適用例の場合である。この場合には、携帯電話1のスピーカ2からの、またはスピーカ72からのオーディオ出力は、音響出力強度の点で不十分なものになるはずである。通信装置51のスピーカ72が有効ではないため、これが別の受動送信機(別のテレコイルなど)が接続された右出力チャネル23で置き換えられてよい。この場合、(
図4(a)に示す1つだけではなく)2つの受動送信機があり、磁気誘導伝送の強度は倍増し、それによって、無線伝送の品質がさらに改善される。
【0063】
図4(b)に、本発明の好ましい第2の実施形態を示し、
図4(c)および
図4(b)に、その2つの変形を示す。これらの実施形態では、通信装置51内の電子回路74が送信機および/または電子回路を実施し、この場合は電力を必要とし、よって能動型である。これに対し、
図4(a)の本発明の第2の実施形態の送信機71は受動型である。
図4(b)では、電子回路74のための電力が電力ハーベスタ兼管理73を介してマイクロホン入力21から取り込まれる。
【0064】
図4(c)では、電力はこの場合、ハーベスタ兼電力管理77を介して左出力チャネル22のオーディオ出力から取り込まれ、このオーディオ出力は電子回路74にも入力される。オーディオ出力からの電力取り込みは十分に確立した技術である。
図4(d)では、電子回路74のための電力はこの場合、携帯電話1の無線周波数伝送から取り込まれる。無線周波数電力の取り込みも十分に確立した技術である。特定の用途に応じて、ハーベスタ兼電力管理73、77および78は、センサ/ピックアップを備え、非常に単純な電子回路、例えば、電子回路のない、コンデンサを有するものや、直流−直流変換器および調整器、電池充電器などを含むより複雑な電子回路を有するものを備えていてよい。これらのハーベスタ兼電力管理の設計は十分に確立した技術である。
【0065】
携帯電話1(電子機器)と別の電子機器(補聴器54など)との間の単方向伝送の同じ適用例では、
図4(b)〜
図4(d)の電子回路74はこの場合、能動送信機であり、その入力は携帯電話1の左チャネル出力22である。この場合、伝送様式は、送信側テレコイルにさらなる増幅を提供するための増幅器を伴いうる磁気誘導といった受動様式のための追加利得を含む、電力を必要とする無線周波数(RF)その他の手段を含むことができる。RFが使用される場合、伝送は、Bluetoothおよびその変形、超広帯域(Ultra Wide Band)、HIBAN(Hearing Instrument Body Area Network:聴覚機器ボディ・エリア・ネットワーク)などを含む、様々なプロトコルのものとすることができる。前述の場合と同様に、他の適用例では、単方向伝送は無線制御、通信などに使用されてもよい。
【0066】
図4(a)の場合と同様に、第1の電子機器の携帯電話1が第2の電子機器の補聴器54(
図2(b))と通信するある適用例では、携帯電話1のスピーカ2の音響出力は、スピーカ72を携帯電話3の右チャネル出力23に接続することによって復元される。このように、携帯電話1は通常の音響出力を有し、第2の電子機器への無線伝送も有する。別の適用例では、スピーカ72は別の送信機、送信機71または(無線送信機も実施する)電子回路74で置き換えられうる。無線伝送はこの場合、複数の無線様式/プロトコルのものとすることができる。これらが同じプロトコルのものである場合、伝送強度は倍増する。
【0067】
図4(e)に、電池75がこの場合通信装置51内で実施されており、電池75を再充電する電力がマイクロホン入力21(または
図4(b)もしくは
図4(c)の場合と同様の他の手段)から取り込まれる本発明の別の好ましい第2の実施形態を示す。前述の場合と同様に、電子回路74は、電子回路(および無線送信機)を実施する。スピーカ72は、通信装置51が携帯電話1の右チャネル出力23からの音響出力を有することが求められる場合に接続されうる。
【0068】
その運用法は以下の通りである。まず、電子回路74がアイドル状態(非アクティブ)であるシナリオを考える。この場合には、電池75に再充電する電力はマイクロホン入力21から、またはハーベスタ兼電力管理73を介して)取り込まれる。
【0069】
次に、電子回路74がアクティブである第2のシナリオを考える。十分な電力をマイクロホンバイアス21から取り込むことができる場合、電子回路74を動作させる電力はマイクロホンバイアス21から取り込まれ、電池75は電力を全く提供しない。電力が十分かどうかは、(電力管理73により)マイクロホンバイアス21のバイアス電圧のレベルによって、または他の手段によって確認することができる。マイクロホン入力21からのさらなる十分な電力がある場合、電池75を再充電する電力をマイクロホンバイアス21から取り込むこともでき、そうでない場合、電池75は再充電されないはずである。マイクロホンバイアス21から取り込まれる電力が電子回路74を動作させるのに不十分である状況では、電池75が増補電源になる。上記シナリオでは、ハーベスタ兼電力管理73内のスイッチが上記接続を実施するのに必要な接続を行う。
【0070】
この場合電池75が電源として増補するため、電子回路74の高度化は大幅に複雑なものになりうることに留意されたい。例えば、電子回路74が磁気誘導に基づく送信機を含む場合、電子回路74は、左出力チャネル22の信号出力を増幅する増幅器をさらに備えることもできるはずである。この増幅は、発生する磁界を強め、それによって伝送の強度/品質が改善されるはずである。また左出力チャネル22からの信号は、(通常のアナログ磁気誘導の代わりに)ディジタル磁気誘導のために処理され、ディジタルに変換されてもよい。
【0071】
電子回路74は、他の電子回路、および第2の電子機器(例えば補聴器54内の送信機(
図2(b))、ペースメーカなど)から信号を受信する無線受信機をさらに備えていてよい。電子回路74は、送信機と受信機の両方を含む送受信機である。この例では、第1の電子機器の携帯電話1と通信装置51と第2の電子機器(補聴器54など)との間の通信は以下の通りである。携帯電話1と通信装置との間の通信は単方向(第1の電子機器の左出力チャネル22から通信装置51の電子回路74へ)である。通信装置51の電子回路74は送受信機を含むため、通信装置51と(送受信機も備える)第2の電子機器との間の通信は二重である。
【0072】
通信装置51の多用性を、第1の電子機器の携帯電話1と通信装置51との間の全二重通信(よって、仲介通信機器としての通信装置51を用いた携帯電話1と第2の電子機器(例えば補聴器54、ペースメーカなど)との間の全二重通信)を可能にすることによってさらに高めるために、
図4(e)に示す本発明の別の好ましい第2の実施形態は、
図4(f)に示す本発明のさらに別の好ましい第2の実施形態へとわずかに変更される。この実施形態では、携帯電話1と通信装置51との間の二重通信は以下の通りである。携帯電話1の左チャネル出力22が通信装置51内の電子回路74にデータを送り、通信装置51内の電子回路74は接続76を介して、(電力管理73内のスイッチにより)携帯電話1のマイクロホン入力21にデータを送る。
【0073】
図4(d)の本発明のこの別の好ましい第2の実施形態では、第1の電子機器の携帯電話1(電子機器)と第2の電子機器(補聴器54など)との間の全般的通信が以下のように要約されている。順方向経路では、携帯電話1の左チャネル出力22が通信装置51の電子回路74に出力され、次いで、電子回路74内の送信機によって処理され/第2の電子機器(補聴器54など)内の受信機に無線で送信される。逆方向経路では、第2の電子機器内の送信機が通信装置51の電子回路74内の受信機に送信し、処理の後で、電子回路74が接続76を介して第1の電子機器の携帯電話1のマイクロホン入力21に出力する。電子回路74の出力と携帯電話1のマイクロホン入力21との間の接続は、ハーベスタ兼電力管理73のスイッチによって得られる。同様に、外部マイクロホンが接続されることが求められる場合(
図3(d)の場合のように、
図4(f)には不図示)にも、この接続は同様に、ハーベスタ兼電力管理73のスイッチによって適切に切り換えられるように接続されてよい。
【0074】
要約すると、
図4(f)のこのさらに別の好ましい第2の実施形態では、通信装置51は事実上、第1の電子機器の携帯電話1と第2の電子機器(補聴器54など)との間の仲介全二重通信機器である。携帯電話1がインターネット対応である場合には、携帯電話1および通信装置51は総体として、第2の電子機器(補聴器54など)と、インターネットリンクの遠端(携帯電話1はインターネットの近端である)において接続された第3の電子機器(補聴器診断システムなど)との間の仲介機器である。念のためにいうと、スピーカ72は、通信装置51が携帯電話1の右チャネル出力23からの音響出力を有することが求められる場合に接続されうる。
【0075】
本発明の通信装置51の多用性をさらに一層高めるために、携帯電話1のオーディオ出力(左チャネル出力22および右チャネル出力23)を通信装置51への通信路として使用する必要がなく、そのためイヤホン・ヘッドセット・アクセサリの完全な使用が可能になる。これは
図4の第2の実施形態(およびその変形)とは異なる。これは本発明の第3の実施形態であり、
図5に示されており、1つの適用例が、第1の電子機器(携帯電話1など)と第2の電子機器(例えば補聴器54、ペースメーカなど)との間の全無線二重通信である。
【0076】
図5では、携帯電話1は、その通常の電話技術(例えばGSMやCDMA、不図示)用の送受信機以外の送受信機41(例えば、Bluetooth、UWBなど)を備える。通信装置51は2つの送受信機、送受信機91(その通信プロトコルは送受信機41の通信プロトコルに適合する)と送受信機92を備える。第2の電子機器(
図2(b)の補聴器54など)は送受信機、例えば、HIBAN(Hearing Instrument Body Area Network)プロトコルに基づく送受信機などを実施する。第2の電子機器内の送受信機と送受信機92は同じプロトコル、例えばHIBANを有する。通信装置51内の2つの送受信機によって、通信装置51は、第1の電子機器の携帯電話1と第2の電子機器との間の全二重無線仲介通信装置として働き、全二重が求められない場合、送受信機または(1つもしくは複数の)関連送受信機内の受信機のうちの1つもしくは複数が取り外されてもよい。
【0077】
全二重無線通信の運用法は以下の通りである。順方向経路では、携帯電話1の送受信機41内の送信機が、通信装置51の送受信機91内の受信機に送信する。この受信信号は、通信装置51の送受信機92内の送信機によって処理され、第2の電子機器(
図2(b)の補聴器54など)の送受信機内の受信機に送信される。戻り経路では、第2の電子機器(補聴器54など)の送受信機内の送信機が通信装置51の送受信機92内の受信機に送信する。受信信号は通信装置51の送受信機91内の送信機によって処理され、携帯電話1の送受信機41内の受信機に送信される。
【0078】
さらに、携帯電話1がインターネット対応である場合、インターネットの他端にある第3の電子機器がこの場合第2の電子機器と(全二重で)通信することができる。インターネット接続の遠端にある第3の電子機器が補聴器診断システムであり、第1の電子携帯電話1がインターネットの近端にあり、補聴器54が第2の電子機器である、画期的な補聴器適用(および他の類似の適用)のための本発明の第3の実施形態の使用を考える。携帯電話1および通信装置51はこの場合、総体として、第2の電子機器(補聴器54など)と第3の電子機器(補聴器診断システム)との間の仲介通信機器である。補聴器の製造者は、補聴器診断システムによって、この場合、補聴器をリモートで診断してよい(かつ/またはプログラム、データ収集などを行ってよい)。
【0079】
全般的通信システムは以下の通りである。インターネット接続の遠端にある第3の電子機器、補聴器診断システムが、インターネットの近端にある携帯電話1と(例えば、GSM、CDMAなどによって)通信する。携帯電話1内の送受信機41が、その後、通信装置51内の送受信機91と(例えばBluetooothによって)通信する。通信装置51内の送受信機92が、最後に、第2の電子機器、補聴器54内の送受信機と(例えばHIBANによって)通信する。
【0080】
図5では、通信装置51内の送受信機91および92のための電力管理93による電力は、携帯電話1のマイクロホン入力21から(または前述の他の取り込み手段によって)取り込まれてよい。前述の実施形態と同様に、ハーベスタ兼電力管理93は、センサ/ピックアップを実施し、他の電子回路を必要としない、コンデンサと同程度の単純なものとすることもでき、直流−直流変換器、線形調整器、電池充電器などを含むより複雑な電子回路を実施してもよい。ハーベスタ兼電力管理は、組み込み電池を備える通信装置51の前述の実施形態と類似したものとすることができる。送受信機91および92(および関連付けられた電子回路)がアイドル状態(非アクティブ)である第1のシナリオでは、電池94を再充電する電力はマイクロホン入力21から取り込まれる。送受信機91および92(および関連付けられた電子回路)がアクティブである第2のシナリオでは、十分な電流/電力をマイクロホンバイアス21から取り込むことができる場合、送受信機91および92(および関連付けられた電子回路)を動作させる電力はマイクロホンバイアス21から取り込まれ、電池94は電力を全く提供しない。電力が十分かどうかはいくつかの方法によって確認することができる。マイクロホン入力21からの十分な電力がある場合、電池94を再充電する電力をマイクロホンバイアス21から取り込むこともでき、そうでない場合、電池94は再充電されないはずである。マイクロホンバイアス21から取り込まれる電力が送受信機91および92(および関連付けられた電子回路)を動作させるのに不十分である状況では、電池94が2次電源になる。上記シナリオでは、電力管理93内のスイッチが上記接続を実施するのに必要な接続を行い、これを可能にする方法は十分に確立されている。
【0081】
また、外部マイクロホン83の可能な接続を伴う前述の実施形態の場合と同様に、ハーベスタ兼電力管理93内のスイッチが適切な接続を切り換える。
【0082】
本明細書で説明した本発明の第1、第2、および第3の実施形態およびこれらの変形(好ましい実施形態、別の好ましい実施形態、およびさらに別の好ましい実施形態)(通信装置51)は、
図2(a)に示す小型ケーシング(ケーシング52)内で物理的に実施されうる。ケーシング52はこの場合、携帯電話1の外枠の側面を取り囲む緩衝ハウジングの一部である。
【0083】
通信装置51のハウジングを設計するためのいくつかのやり方がある。例えば、緩衝器は、通信装置51のハウジングが、携帯電話1の背面と側面の両方を保護するケーシングになるように裏当てを有していてもよい。また、通信装置51のハウジングを、より一層小型で、主としてケーシング52とプラグ53とを備えるだけになるように設計することも可能である。例えば、このより小型のハウジングは、携帯電話1の上部にだけ、または他の電子機器のイヤホンソケットの近くに取り付けられるように適合されてもよい。このように、通信装置51の機械的完全性は、携帯電話1のソケット3(
図1(a))に挿入される通信装置51のTRS/TRRSプラグ53(
図2(a)のみならず、携帯電話1の外枠への通信装置51のハウジングの機械的取付けでもあることである。機械的には、突出部が低く、よって、機械的完全性を高めるように、ケーシング52の高さを低く保つ方が有利なはずである。
【0084】
通信装置51のハウジングの可能な代替の設計は、ハウジング/ケーシングの裏当て内で通信装置51の電子回路を実施するものである。この場合、ハウジングの高さは通常のケーシングと同じである。この設計は、ユーザによってはより外見的に満足のいくものとなりうる。
【0085】
携帯電話1用のケーシングの中には、(携帯電話1への)補助電源として働き、外部から充電される内蔵電池を有するものがある。通信装置51も同様に、通信装置51内の電子回路のための電力を外部電池から得るための外部電池を有するケーシングとして実現されてよい。携帯電話1用の緩衝器/ハウジング設計の当業者は、多くの変形形態を設計することができるはずである。
【0086】
念のために、本発明の実施形態には、本発明が少なくとも一部は携帯電話1の外枠に取り付けられるように適合されているハウジング内で実施されるときに、いくつかの著しい利点があることに留意されたい。第1の著しい利点は、通信装置1内の(送信機および受信機を含む)電子回路が、第1の電子機器の携帯電話1と、第2の電子機器(補聴器など)とに近接していることである。この近接性ゆえに、携帯電話1と通信装置51と第2の電子機器との伝送のための電力が非常に低い。これは言い換えると、受動送信機、その電力が取り込まれる能動送信機の使用、および、関連する場合には、通信装置51または別の箇所での超小型充電式電池の使用を可能にする所要電力が非常に低いことになる。
【0087】
第2の著しい利点は、別個のデバイスエンティティを有するのではなく、特にその小さいフォームファクタにより、携帯電話1の一部である通信装置51を有することの絶対的利便性である。大部分の先行技術の機器では、通信装置は携帯電話1の外部の別個のデバイスエンティティである。
【0088】
本発明の実施形態の第3の著しい利点は、携帯電話1がおおむね完全な機能を保持することである。例えば、
図4(a)〜
図4(f)では、スピーカ2(
図1(a)および
図1(b)、携帯電話1のスピーカ)からのオーディオ出力は、通信装置51のスピーカによって復元/達成することができる。補聴器適用例での(スピーカからの)音響出力を有する必要は、オープンフィット型補聴器または大きな通気口のある耳栓を有するユーザにとって重要である。これらのユーザは、ユーザの補聴器への通信装置51からの無線伝送、例えば磁気誘導などによって提供される追加の通信からさらに利益を得るはずである。
【0089】
本明細書では、本発明を作成し、使用するための最善のやり方を教示する手段として好ましい実施形態を示したが、ユーザまたは製造者の必要または好みに合わせるために様々な変更を加えることができ、そのような変更は本発明の利点の視点においてとらえられうるものであることが当業者には理解されるはずである。
【0090】
例えば、
図3(b)、
図3(d)、および
図5において、外部マイクロホン83は、携帯電話1のマイクロホン入力21に接続されてもよい。通常、(オーディオアクセサリとしての)外部マイクロホン83は、1次送受信機(典型的にはGSMまたはCDMA)がアクティブである、携帯電話1が電話通信などに使用されるときに使用される。電話通信などの間には、相当のRF伝送が生じ、これは容易に検出される。通信装置51内の電子回路は、強いRF伝送の検出を容易に利用して、すべての他の接続を切断し、マイクロホン入力21にマイクロホン83を接続することができる。このように、イヤホン/マイクロホンのオーディオアクセサリの完全な機能が利用可能になるはずである。
【0091】
本発明の実施形態の適用は幅広いものであり、オーディオ信号だけに限定されないことを理解すべきである。本明細書の本発明の通信装置51は、第1の電子機器(例えば携帯電話1)と第2の電子機器(例えば補聴器、医療機器用音声プロセッサなど)との間の汎用仲介通信機器とみなされてよい。例えば、オーディオ信号伝送を伴わない本発明の適用例が、補聴器、ペースメーカなどの機能を制御するためのリモートコントローラとしての(通信装置51を介した)携帯電話1の使用である。そのような機能は、音量の調整、プログラムの変更などを含みうる。このためのいくつかのやり方があり、1つの簡単な手段は、携帯電話1が異なる制御コマンドについて左チャネル出力22を介して異なる特定のトーンシーケンスを出力するものである。ケーシング52内の電子回路は、これらの特定のトーンを解釈し、対応する信号を補聴器に無線で送信する。このように、組み合わされた携帯電話1兼通信装置51は、補聴器の専用遠隔制御に取って代わる。
【0092】
通信装置51に異なる変換器が組み込まれれば別の適用が可能になる。例えば、携帯電話1兼通信装置51は、赤外線送信機としてテレビのリモートコントローラになることもできる。
【0093】
本明細書の本発明の実施形態は携帯電話1を使用して図示されているが、他の電子機器が使用されてもよい。例えば、コードレス(DECT)電話や双方向無線機(ウォーキートーキー)が使用されてもよい。さらに、本発明の通信装置51の汎用性を高めるために、(TRSまたはTRRSソケット以外に、かつ/またはこれらを含む)USBといった汎用ソケットをさらに備えていてもよい。
【0094】
添付の図面を参照して上記実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の新規の概念の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者により様々な変更および改変が加えられうることを理解すべきである。