(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃エンジン及び排気系統を有するタイプの車両用の排気装置であって、該排気装置が外周壁によって境界付けされた排気ガスが導入される主室を備えるとともに、前記外周壁に配置され、排気ガスを大気中に放出するのに適する、直線に沿って細長く延在する実質的にスロットの形状のガス出口と、前記ガス出口の下流側に、前記ガス出口の長さ(L3)の殆ど又は全てに沿って延在し、前記ガス出口から流出する排気ガスに接触するように配置された前記外周壁の外表面を有する下流側の壁と、前記ガス出口の上流側に、前記ガス出口の長さ(L3)の殆ど又は全てに沿って延在する前記外周壁の外表面を有し、かつ前記ガス出口の方向に流れる排気ガスに接触するように配置された内表面を有する上流側の壁と、を備え、
前記ガス出口及び下流側の壁がそれぞれ、前記ガス出口から流出する前記排気ガスが前記下流側の壁に対して実質的に接線方向に流出するようにそれぞれ配置されると共に、
前記下流側の壁と、前記ガス出口で下流側の壁に対して接線方向にある平面と、の間の距離が、前記ガス出口からの距離と共に増大し、該ガス出口からの排気ガスの流れによって、前記上流側の壁の周囲の空気を同伴する排気装置。
前記下流側の壁の前記外表面の少なくとも中間部が凸面であり、前記中間部が、前記下流側の壁に沿って、且つ前記ガス出口から離れて、前記ガス出口を全体的に画定する主要寸法の中でも最も小さい寸法(H3;H703)の少なくとも20倍の距離に沿って延在する請求項2に記載の排気装置。
前記排気ガスの流れを前記下流側の壁に対して実質的に接線方向に案内するように配置された少なくとも1つの中間室を画定するように、前記主室の内側、及び前記ガス出口の上流側、及び前記上流側の壁の下流側部分に対向する側に延在する内壁を更に備える請求項5に記載の排気装置。
一部又は全体が円筒形の気流デフレクタを更に備え、該気流デフレクタが、前記内壁の上流側の端部に位置し、前記気流デフレクタが前記ガス出口の長さの殆ど又は全てに沿って延在する請求項6乃至9のいずれかに記載の排気装置。
前記主室から離れて位置し、前記上流側の壁から、及び前記下流側の壁から実質的に一定の距離に配置された少なくとも1つの固体バッフルを更に備える請求項5乃至10のいずれかに記載の排気装置。
前記排気ガスが、それぞれの下流側の壁に対して実質的に接線方向に各々のガス出口から流出するように少なくとも2つのガス出口を備える請求項1乃至13のいずれかに記載の排気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、排気後処理システムからの排気ガスの温度を効果的に低下させることができる排気装置を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、特に停止状態にあり、移動せず、又は低速で移動する場合に、大気中に放出された排気ガスを周囲空気と混合することができる排気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主題は、内燃エンジン及び排気系統を備える車両用の排気装置であって、少なくとも、
−排気ガスを大気中に放出するのに適する、実質的にスロットの形状のガス出口と、
−ガス出口の下流側に、前記ガス出口の長さの殆ど又は全てに沿って延在し、ガス出口から流出する排気ガスに接触するように配置された外表面を有する下流側の壁と、を備え、
ガス出口及び下流側の壁がそれぞれ、ガス出口から流出する排気ガスが下流側の壁に対して実質的に接線方向に流出するようにそれぞれ配置されると共に、
下流側の壁と、ガス出口で下流側の壁に対して接線方向にある平面との間の距離が、ガス出口からの距離と共に全体的に増大する排気装置である。
【0015】
本願では、「上流側」及び「下流側」という用語は、ガス入口からガス出口へと流れる排気ガスの流れに関する用語である。本願では、「内」及び「外」という用語は、主室の容積、即ち排気装置の容積に関する用語である。
【0016】
本願では、入口及び出口の外周及び領域に用いられる「全体の」という用語は、1つのガス出口について外周又は面積の全体が考慮されることを含意している。例えば、ガス出口は隣接する幾つかの開口に、又は更には複数の穴に分割されることがある。このような場合、全体の出口面積は全ての開口又は穴の個々の面積の合計に相当する。
【0017】
ある実施形態では、下流側の壁は概して凸面を形成することができる。
【0018】
凸面度又は曲率は、ガス出口の最長寸法に沿って若干変化することがある。
【0019】
別の実施形態では、下流側の壁は概ね平坦な外表面を有する。
【0020】
本発明の代替実施形態は、内燃エンジン及び排気系統を備えるタイプの車両用の排気装置であって、少なくとも、
−排気ガスを大気中に放出するのに適する、実質的にスロットの形状のガス出口と、
−ガス出口の下流側に、前記ガス出口の長さの殆ど又は全てに沿って延在し、ガス出口から流出する排気ガスに接触するように配置された外表面を有する下流側の壁と、を備え、
ガス出口及び下流側の壁がそれぞれ、ガス出口から流出する排気ガスが下流側の壁に対して実質的に接線方向に流出するように配置されると共に、
排気装置が更に、ガス出口の上流側に、及び下流側の壁の下流側部分
に対向する側に延在して、排気ガスの流れが下流側の壁に対して実質的に接線方向に向けられるようにする少なくとも1つの中間室を画定する内壁を備える排気装置である。
【0021】
本願では、「実質的に接線方向」という用語は、接線方向プラス接線方向と少ない角度をなす全ての方向、即ち±30°の範囲内にある角度をなす全ての方向に用いられる。更には、「実質的に接線方向」という用語は、下流側の壁の全部、又は一部に沿った局部的な意味で用いられる。言い換えると、「実質的に接線方向」という用語は、
−下流側の壁が、例えば無限の曲率半径等の大きい曲率半径を有する場合、即ち外表面が平坦な場合は不変の方向に、又は、
−下流側の壁の全部、又は一部に沿って滑らかに変化する方向のいずれかに用いることができる。
【0022】
本願では、「長さ」という用語は要素、例えばガス出口の最長寸法を指す。ガス出口は出口面積に対する分周比が比較的高いため、スロットの一般的形状を有している。
【0023】
本発明による排気装置は、大気中に放出される排気ガスの冷却と希釈とを向上させる。実際に、スロット状ガス出口からの排気ガスの流れによって、上流側の壁の周囲の空気の同伴が可能になる。同伴空気の流量は、ガス出口からのガスの流量と同量、又はそれ以上である。
【0024】
この同伴は、排気ガスの流れが下流側の壁に対して実質的に接線方向に放出され、したがって、排気ガスの流れの下流側の壁からの分離が回避されること、又は最小限になることに起因する。運転条件に応じて、このような排気ガスの流れは、ある種のベンチュリ効果及び/又はある種のコアンダ効果を生じ、ひいては排気ガスを希釈及び冷却する周囲空気の同伴を可能にする。
【0025】
言い換えると、下流側の壁、上流側の壁、及びガス出口の配置は、コアンダ効果及び/又はベンチュリ効果を促進することができる。コアンダ効果による空気同伴は、再生プロセス中、及び車両の停止中に発生し得る。
【0026】
出口比が高まると、空気取り入れ口又は空気吸い込み口の流量が、ひいては排気ガスの冷却及び混合が増強される。実際に、空気とガスとの接触面が最大になる。
【0027】
排気ガスが600℃近くで排気装置に流入する場合でさえも、それにより発生するガスと空気の混合流を、出口からわずか100mmで200℃にまで低下させることができるので、再生プロセス中に、停止中の本発明の車両の近傍の人や要素に対するリスクや危険が回避される。
【0028】
その上、本発明による排気装置の動作には信頼性がある。
【0029】
上記の、及びその他の特徴及び利点は、本発明による排気装置の実施形態を非限定的な例として示す以下の記載を添付図面に照らして読むことによって明らかになる。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面を参照して読むことによってより明解に理解される。しかし、本発明は本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1、2、3、及び4は、本発明の第1の実施形態による排気装置1を示している。排気装置1は、内燃エンジン及び排気系統を有するタイプの、特にディーゼル粒子フィルタ及び/又は選択的触媒還元コンポーネントを備えるタイプの車両向きの排気装置である。
【0033】
排気装置1は、排気管(図示せず)に接続手段(図示せず)によって接続されるのに適するガス入口2を備えている。ガス入口2を通る排気流に対して垂直な面に沿った断面図では、ガス入口2は全体として入口外周P2と入口面積A2とを画定する。
【0034】
ガス入口2は、排気ガスが排気装置1に流入する入口流路全体に対応し、ガス入口2は1つの固有な開口として、又は幾つかの平行な開口として形成される。
図1では、矢印F2はガス入口2に流入する排気ガスの流れを示している。
【0035】
ガス入口2は円板状の円形を有し得る。したがって、入口外周P2と入口面積A2とは、例えば40〜160mmの範囲内の入口径D2に左右される。実施例の入口径は100mmである。入口面積A2に対する入口外周P2の入口比は公式R2=P2/A2で定義することができる。ミリメートル単位で表された上記の図では、比率は約0.025〜0.1の間でよい。
【0036】
更に、排気装置1は、排気ガスを大気中に放出するのに適するガス出口3を備えることができる。
図1では、矢印F3はガス出口3から放出さえる排気ガスの流れを示している。ガス出口3は全体として出口外周P3と出口面積A3とを画定している。
【0037】
ガス出口3は実質的にスロットの形状を有している。ガス出口3では、排気装置1から流出する排気ガスが外気と接触状態になる。ガス出口3は、ガスがそれを通って排気装置1から出る最小サイズの表面であると定義することができる。この表面は平坦でもよいが、三次元に延びる湾曲面であってもよい。
【0038】
ガス出口3を通る排気流に対して垂直な面に沿った断面図では、ガス出口3は全体として出口外周P3と出口面積A3とを画定する。
【0039】
スロットの形状とは、スロットが他の寸法よりも実質的に大きい主要寸法を有することを意味している。
【0040】
図1から3の実施形態では、ガス出口3は、流れF3に対して垂直の直線に沿って細長く延びている。或いは、ガス出口3は、直線ではなく曲線に沿って細長く延びてもよいであろう。細長い線は更には三次元であってもよいであろう。この線に沿って、ガス出口の長さを画定することができる。この線に対して垂直にガス出口3の幅を画定することができる。
【0041】
ガス出口3は、平面に延びる長方形の形状を有することができる。このような場合は、出口外周P3は方形の4辺の全て、即ち長さL3を有する2つの長辺と、幅H3を有する2つの細い辺を累算した長さに相当する。出口面積A3は、出口幅H3と出口長さL3とに左右される。
【0042】
トラックに搭載される排気装置に適する実施例は、400mm〜1500mm、例えば600mmの長さと、約2〜8mm、例えば3mmの幅を有する出口を有している。したがって、mmで表した場合、出口面積A3に対する出口外周P3の出口比R3は約0.25〜0.66の範囲であってよい。出口比は高く、特に入口比よりも実質的に大きい。
【0043】
絶対的には、ガス出口は、長さが幅の少なくとも15倍、好ましくは幅の少なくとも50倍であるスロットの形状を有するものと考えられる。ある用途では、幅に対する長さの比率は200を超えることもある。別の定義によれば、mmで表して出口面積A3に対する出口外周P3が0.2を超える場合は、出口はスロットの形状を有するものと考えられる。
【0044】
スロットの別の定義によれば、ガス出口は、非寸法的比R’3=(P3)
2/A3で定義することができる。スロットとして定量化される出口の場合は、非寸法的比は好ましくは50超であり、より好ましくは200超である。
【0045】
排気装置1は更に、ガス入口2とガス出口3との間の流路に位置する主室4を備えることができる。この実施形態では、ガス出口3は主室4からの唯一の出口である。
【0046】
主室4は、接続部4.5で管部5に接続される。管部は軸Yと、ガス入口2によって形成される円形ベースとを有する円筒形の形状である。
図1から3では、管部5はガス入口2、入口面積A2、及び入口外周P2を画定している。接続部4.5は、ガス入口2とほぼ同じ面積と外周とを有している。
【0047】
主室4は、排気ガスを接続部4.5からガス出口3へと誘導する。この実施形態では、主室4は円筒形の形状であるため、軸Yと実質的に平行な軸と、航空機の翼形のベースとを有する周囲壁によって境界付けされる。
【0048】
図3に示すように、この航空機の翼形は前縁部3.1と後縁部3.2とを有している。
図1から3の例では、主室4は、その円筒形の壁に対するY軸に沿って管部5の反対側に位置する閉塞端を有している。
【0049】
この実施形態では、ガス出口3は主室4の外周壁内に、より厳密には円筒形の壁内に直接配置される。これに対して、ガス入口2は主室4の端壁内に配置され、この端壁は軸Yに対して概して垂直である。その結果、ガス出口3を通る流れF3は、ガス入口2及び接続部4.5を通る流れF2に対して実質的に垂直である。
【0050】
ガス出口3は、外周壁内に下流側の壁13と上流側の壁12とを画定する。言い換えると、上流側の壁12と下流側の壁13とは間にガス出口3を画定する。
【0051】
実際に、この実施形態では、ガス出口3の近傍で上流側の壁12及び下流側の壁13は、実質的に平行な、即ち30°未満の角度をなす2つの平坦な領域内に延在することができるが、これらの平坦領域は、2つの平坦領域に対して垂直な方向X3に沿って偏位している。
【0052】
上流側の壁12は、下流側の壁13に対して主室4の外側方向に位置している。この実施形態では、これらの平坦領域間でのずれは、軸Yに対して垂直な径方向に延びている。このずれによって、ガス出口3を通る流れF3は、上流側の壁12と下流側の壁13の平坦領域に対して垂直ではなくなり、むしろこれらの平坦領域の少なくとも1つと平行になる。したがって、「上流側」及び「下流側」はそれぞれ、流れF3に対するそれぞれの位置を指す。
【0053】
下流側の壁13とガス出口3とは、ガス出口3から流出する排気ガスの流れが下流側の壁13に対して接線方向であるようにそれぞれ配置される。
【0054】
その結果、排気装置1は、ガス出口3の下流側に、ガス出口3の長さL3の全て又は殆ど全てに沿って軸Yと平行に延在する下流側の壁13を備えている。下流側の壁13は、ガス出口3を通って廃棄される流れF3に接触するように配置される外表面13.4を有している。
【0055】
本発明によれば、下流側の壁13と、ガス出口3で下流側の壁13に対して接線方向にある平面P13との距離は、平面P13に沿ったガス出口3からの距離と共に概して増大する。
【0056】
特に、下流側の壁13は概して凸面の外表面を形成することができる。
図1から3の例では、下流側の壁13の外表面全体が凸面である。下流側の壁13の外表面は、ガス出口3から主室4の航空機の翼形の後縁3.2へと延びる湾曲断面を有している。
【0057】
言い換えると、下流側の壁13は、ガス出口3からの排気ガスの排気方向D3から逸れるようにガス出口3に対して配置される。
【0058】
言い換えると、下流側の壁13及びガス出口3は、ガス出口3で、方向D3に沿ってガス出口3から流出する排気ガスの流れが下流側の壁13に対して実質的に接線方向になるように、且つ、下流側の壁13が次いでガス出口3で規定される排気方向D3から逸れるようにそれぞれ配置される。逸れ方は、例えば手順によって連続的または非連続的である。
【0059】
好ましくは、表面の寸法と方向は、少なくとも特定の動作条件(例えば停止時のフィルタ再生)では、排気ガスの流れF3が下流側の壁13を辿る傾向があり、その結果、ガス出口3で初期の方向D3から右に逸れるような寸法と方向である。
【0060】
したがって、円筒形の壁はガス出口3を通る流れF3の上流側に延在する上流側の壁12を備えることができる。上流側の壁12は、ガス出口3の全ての長さL3に沿って軸Yと平行に延在している。上流側の壁12は、ガス出口3を通る流れF3に接触するように配置された内表面12.4を有している。
【0061】
上流側の壁12は、ガス出口3で下流側の壁13に対して接線方向にある平面P13に対して下流側の壁13に反対側に位置する容積内に延在している。
【0062】
言い換えると、上流側の壁12と下流側の壁13とは、ガス出口3の細長い2つの対向端をそれぞれ画定する。
【0063】
排気装置1は、主室4の軸Yが排気装置を搭載した車両の前方走行方向に概して平行に延在ように車両に配置することができる。実際に、排気装置は、特に車両が停止状態にある場合、即ち、車両がある速度で運転中である場合と比較して、排気装置の周囲に自然の大気の流れがあまりない場合に、ガス希釈機能を果たすことを意図している。
【0064】
或いは、それにもかかわらず、軸Yを前記の前方走行方向に対して90°に、例えば概して水平又は概して垂直に配置することも可能である。
【0065】
運転中は、
図1及び2に示すように、例えば600℃の高温であるガス流F2は、主室4の管部5を通って排気装置1に流入し、このガス流F2は主として軸Yと平行に流れる。
【0066】
図2では、実線の流跡は比較的高温のガス、即ち排気装置1に流入するガスを示しており、点線の流跡は比較的低温のガス、即ち排気装置1から放出されたガスを示している。上流側の空気流は
図2には流跡で示されていない。
【0067】
次いで、排気ガスは主室4の主室4を通ってガス出口3に向かって流れる。このように、主室4はガス入口2からの排気ガスをガス出口3へと案内する。
【0068】
その後、排気ガスはガス流F3としてガス出口3から放出される。ガス流F3は上流側の壁12を囲む空気流F12の同伴を可能にする。したがって、後縁3.2の下流側で、全体の流れF3.2はガス流F3と空気流F12との総量に相当する。したがって、排気装置1は大気中に放出された排気ガスの冷却と希釈を向上させる。
【0069】
空気流F12の同伴はコアンダ効果から生じることができる。これは更に、バッフルの位置と形状とに応じてベンチュリ効果から生じることもある。
【0070】
図3及び4に示すように、排気装置1は更に、主室4の内側、ガス出口3の上流側、及び上流側の壁12の下流部分12.1の内表面12.4の反対側に延在する内壁14を備えることができる。
【0071】
好ましくは、ガス出口3の位置の下流側の壁13の接線方向にある平面P13もガス出口3の位置の内壁14の接線方向にあるように、内壁14は下流側の壁13と連続して位置しており、内壁14と下流側の壁13の壁13は連結している。
【0072】
したがって、内壁14は上流側の壁12の内表面12.4と共に中間室15を画定し、この中間壁は排気ガスの流れをガス出口3の位置の下流側の壁13に対して接線方向にある平面P13に対して実質的に接線方向にあるように配置される。
【0073】
言い換えると、上流側の壁12の内壁14と内表面12.4とが、ガス出口3での排気ガスの流れF3の方向を決定する。
【0074】
したがって、中間室15もガス出口3でのガス流F3を適切に方向付けることによって空気流F12の同伴を可能にする。
【0075】
排気方向D3に沿って見た中間室15の長さは、概して出口外周P3を画定する主要寸法の中でも最小の寸法である幅H3の約20倍である。
【0076】
好ましくは、中間室15の長さは幅H3の1〜50倍、より好ましくは幅H3の10倍以上である。このような中間室15の長さによって、より均一な接線方向のガス流F3が可能となるため、空気流F12の同伴を増強する。
【0077】
好ましい実施形態では、中間室15は排気ガスの収束する流跡を規定する。即ち、それによって中間室15内の流れに利用できる断面積はガス出口3に向かって縮小する。したがって、排気ガスが中間室15内で加速され、これも空気流F12の同伴を増強する。
【0078】
図1から4の実施例では、下流側の壁13は内壁14の長さを延ばす。要するに、内壁14は下流側の壁13と一体である。したがって、内壁14と下流側の壁13との移行部は平滑であり、これはガス出口3での流れの分離を防止する。
【0079】
排気装置1は更に、主室4から離隔した位置にある1つの固体バッフル16をも備えることができる。
図3に示すように、バッフル16は主室4の外側に、且つガス出口3の近傍の主室4の円筒形の壁に実質的に平行に配置されている。それによってバッフル16は、円筒形の壁に対して垂直な方向に沿ってある一定の距離だけ上流側の壁12及び下流側の壁13の両方から偏位している。
【0080】
好ましくは、このようなバッフルは、バッフル16と上流側の壁12の外表面との間の収束する流跡を画定することができる。したがって、バッフル16はガス流F3及び空気流F12の流体速度を高め、ひいては空気流F12の同伴率を高めることができる。
【0081】
或いは、バッフルは下流側の壁と反対側に延び、収束する流跡を形成するようにしてもよいであろう。更には、バッフル16は車両の周囲のコンポーネントを保護するための遮熱を形成し、更に、ノイズ吸収又は反射材製であるか、それによって覆われれば、ノイズ遮蔽板とし機能してもよい。
【0082】
図5は、本発明の第2の実施形態による排気装置201を示している。
図1から4を参照して上記に示した排気装置1の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図5の排気装置201にも置き換えられる。排気装置1の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置201の要素は、同じ参照番号に200を加えて示される。
【0083】
したがって、排気装置201、ガス入口202、ガス出口203、主室204、上流側の壁212、下流側の壁213、内壁214、及び中間室215と定義することができる。
【0084】
排気装置201は、主としてバッフルがないため排気装置1と異なっている。したがって、排気装置201は比較的コンパクトであり、利用できるスペースが小さい車両に搭載することができる。
【0085】
図6は、本発明の第3の実施形態による排気装置301を示している。
図5を参照して上記に示した排気装置201の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図6の排気装置301にも置き換えられる。排気装置201の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置301の要素は、同じ参照番号に100を加えて示される。
【0086】
したがって、排気装置301、ガス入口302、ガス出口303、主室304、上流側の壁312、下流側の壁313と定義することができる。
【0087】
排気装置301は、主として中間室も、主室304内に延びる内壁も有していないため排気装置201と異なっている。
【0088】
したがって、排気装置301は比較的軽量で製造し易い。
【0089】
図7は、本発明の第4の実施形態による排気装置401を示している。
図1から4を参照して上記に示した排気装置1の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図7の排気装置401にも置き換えられる。排気装置1の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置401の要素は、同じ参照番号に400を加えて示される。
【0090】
したがって、排気装置401、ガス入口402、ガス出口403、主室404、上流側の壁412、下流側の壁413、内壁414、及び中間室415と定義することができる。
【0091】
排気装置401は主として排気装置1が、流れF3と平行な方向に沿って偏位し、しかし互いに実質的に平行に配置された幾つかのバッフル416.1、416.2及び416.3を備えているため排気装置1と相違している。それにもかかわらず、バッフルは好ましくは、
図7に例示するように湾曲し、又は互いに角度をなして、間に連続的な収束する流路を画定するようにされている。バッフル416.1、416.2及び416.3はガス出口403から放出されたガス流によって同伴される空気流の比率を増大させる。
【0092】
図8は、本発明の第5の実施形態による排気装置501を示している。
図5を参照して上記に示した排気装置1の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図8の排気装置501にも置き換えられる。排気装置201の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置501の要素は、同じ参照番号に300を加えて示される。
【0093】
したがって、排気装置501、ガス入口502、ガス出口503、後縁503.2、主室504、上流側の壁512、下流側の壁513、内壁514、及び中間室515と定義することができる。
【0094】
排気装置501は主として、排気装置501が第2のガス出口503B、第2の上流側の壁512B、第2の下流側の壁513B、第2の内壁514B、及び第2の中間室515Bを備えているため排気装置201と異なっている。第1及び第2のガス出口503及び503Bは、第1及び第2のガス出口503及び503Bの各々からの排気ガスが、それぞれの下流側の壁513又は513Bに対して実質的に接線方向である2つの異なる方向に流出するように配置されている。これらの2つの方向は、後縁503.2の領域で実質的に収束する。
【0095】
この特定の実施形態では、2つのガス出口が、主室の中心軸を含む平面に対して対称に配置される。
【0096】
したがって、主室から2つの別個のガス流が放出されるため、排気装置501は大気中に放出される比較的高流量の排気ガスの冷却及び希釈を可能にする。
【0097】
図9は、本発明の第6の実施形態による排気装置601を示している。
図8を参照して上記に示した排気装置1の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図9の排気装置601にも置き換えられる。排気装置501の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置601の要素は、同じ参照番号に100を加えて示される。
【0098】
したがって、排気装置601、ガス入口602、第1及び第2のガス出口603、及び603B、主室604、第1及び上流側の壁612、612B、第1及び第2の下流側の壁613、613B、及び第1及び第2の中間室615、615Bと定義することができる。
【0099】
排気装置601は主として、排気装置601が排気装置1のバッフル16と同様の構造及び機能を有する第1及び第2のバッフル616及び616Bをも備えているため、排気装置501と異なっている。
【0100】
更に、排気装置601が2つの渦流発生装置617及び617Bを更に備えているため、排気装置601は排気装置501と異なっている。2つの渦流発生装置617及び617Bは、主室604に対して対称に、且つそれぞれが各下流側の壁613及び613B上に配置される。
【0101】
したがって、渦流発生装置617及び617Bは、ガス出口603及び603Bから放出されるガス流の乱流を保つために役立つ。渦流発生装置は、乱流、及び排気ガスと大気との混合を促進するであろう。このような渦流発生装置は好ましくは、下流側の壁613、613Bに沿ったガス流が、このような渦流発生装置がなくても壁に沿って平滑に流れずに乱流になる傾向がある、ガス出口からある一定の距離に配置される。
【0102】
図10は、本発明の第7の実施形態による排気装置701を示している。
図6を参照して上記に示した排気装置301の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図10の排気装置701にも置き換えられる。排気装置301の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置701の要素は、同じ参照番号に400を加えて示される。
【0103】
したがって、排気装置701、ガス入口702、ガス出口703、後縁703.2、主室704、上流側の壁712、及び下流側の壁713と定義することができる。
【0104】
排気装置701は主として、下流側の壁713の外表面が凹面部713.1と凸面部713.2とを備えているため、排気装置301と異なっている。言い換えると、下流側の壁713の外表面は全体が凸面ではない。凸面部713.2によって形成される中間部だけが凸面である。
【0105】
凹面部713.1は、排気ガスの流れ方向に沿って凸面部713.2よりも更にガス出口703から離れて位置している。凸面部713.2は下流側の壁713に沿って、ガス出口703から離れて、好ましくは、ガス出口703の幅H703の少なくとも20倍の長さに沿って位置しており、幅H703は、ガス出口703の出口外周を全体的に画定する主要寸法の中で最小の寸法である。
【0106】
本発明の他の実施形態と同様に、排気装置701は、ガス出口703から大気に放出される排気ガスの冷却及び希釈を可能にする。
【0107】
図11、12、及び13は、本発明の第8の実施形態による排気装置801を示している。
図8を参照して上記に示した排気装置501の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図11、12及び13の排気装置801にも置き換えられる。排気装置501の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置801の要素は、同じ参照番号に300を加えて示される。
【0108】
したがって、排気装置801、ガス入口802、第1及び第2のガス出口803及び803B、主室804、第1及び第2の上流側の壁812及び812B、第1及び第2の下流側の壁813及び813B、及び第1及び第2の中間室815及び815B、及びバッフル816及び816Bと定義することができる。
【0109】
図11及び13に示すように、排気装置801は主として、主室804と管部805とが両方とも円形ベースを有する円筒形であり、同心であるため、排気装置501と異なっている。したがって、排気装置801は比較的コンパクトであり、製造し易い。更に、主室804と管部805とは同じ円形の円筒形状を有するため、主室804と管部805との間の移行部は過剰な圧力低下を生じない。
【0110】
その上、
図12に示すように、排気装置801は更に対称形の2つの気流デフレクタ818及び818Bを備えている。各々の気流デフレクタ818又は818Bは、それぞれの内壁814又は814Bの上流側端部に位置し、したがって中間室815又は815Bを形成している。各々の気流デフレクタ818又は818Bは、円筒形状を有し、それぞれのガス出口803又は803Bの長手方向に、即ちガス出口803の長さの殆どに沿って延在している。
【0111】
したがって、気流デフレクタ818及び818Bは、主室804から中間室815又は815Bに流入する排気ガスの乱流を制限し、ひいては排気装置801の吸気効率を高める。更に、気流デフレクタ818及び818Bは、排気装置801の構造を強化する。
【0112】
図14及び15は、本発明の第9の実施形態による排気装置901を示している。
図5を参照して上記に示した排気装置201の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図14及び15の排気装置901にも置き換えられる。排気装置201の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置901の要素は、同じ参照番号に700を加えて示される。
【0113】
したがって、排気装置901、ガス入口902、ガス出口903、後縁903.2、主室904及び管部905、上流側の壁912、下流側の壁913、内壁914、及び中間室915と定義することができる。
【0114】
図14、15、及び16では、実線の流跡は比較的高温のガス、即ち排気装置901に流入するガスを表し、一方、点線の流跡は比較的低温のガス、即ち排気装置901から放出されるガスを表している。上流側の空気流は
図14及び15には流跡で示されていない。
【0115】
排気装置901は、ガス出口903が、主室904がそれと平行に延在する軸Yに対して垂直な方向Xの方向に延在しているため、排気装置201と異なっている。言い換えると、入口でのガスの流れ方向F902は、出口でのガスの流れ方向F903と実質的に平行である。その結果、管部905は異なる形状を有している。
【0116】
このような排気装置は、比較的少ない圧力降下を生じることができる。その上、このような構造によりよりコンパクトになる。
【0117】
図17及び18は、本発明の第10の実施形態による排気装置1101を示している。
図9を参照して上記に示した排気装置601の記述は、以下に記載する顕著な相違(1つ又は複数)という例外を伴って、これと同様の
図17及び18の排気装置1101にも置き換えられる。排気装置601の要素と同様の、又はこれに相当する構造又は機能を有する排気装置1101の要素は、同じ参照番号に500を加えて示される。
【0118】
したがって、排気装置1101、ガス入口1102、2つのガス出口1103及び1103B、主室1104及び管部1105、2つの上流側の壁1112及び1112B、2つの下流側の壁1113及び1113B、及び2つのバッフル1116及び1116Bと定義することができる。
【0119】
排気装置1101は、各々の下流側の壁1113又は1113Bが平坦な外表面を有しているため、排気装置601と異なっている。このような平坦な外表面は、排気方向D1103、平面XVIIIで測定された約25°の角度A1103を有するように形成されている。平面XVIIIは、ガス出口1103及び平坦な外表面の両方に対して垂直である。
【0120】
排気方向D1103は、排気ガスの流れF1103がそれに沿ってガス出口1103から放出される平均的な方向に対応する。角度A1103は、適宜の流量の空気流F1102を同伴するように、1°から35°の範囲であることができる。
【0121】
ガス出口1103Bについては角度A1103と同様の角度を測定できる。
【0122】
平坦な外表面には好ましくは、ガス出口1103での排気ガスの流れに対して事実上接線方向にある別の部分が先行し、これらの2つの部分は滑らかに、又は急激な角度をなして、又は一連の連続的な角度をなして接続される。
【0123】
或いは、下流側の壁1113の平坦部はガス出口3から直接延在してもよいであろう。排気装置601と同様に、下流側の壁1113と、ガス出口1103で接線方向にある平面P1113との距離は、平面P1113がガス出口3での流れ方向F3に対して接線方向にある平面であることが認められる場合は、ガス出口1103への距離と共に概して増大する。
【0124】
排気装置601の場合と同様に、下流側の壁1113は、排気ガスが下流側の壁1113から逸れる排気方向D1103に実質的に沿ってガス出口1103から流出するように、しかし、更に遠ざかると、排気ガスがコアンダ効果によって下流側の表面を辿る傾向になるようにガス出口1103に対して配置される。
【0125】
図19及び20は、内燃エンジン121、及び排気系統122を有する車両100を示している。排気系統122は、ディーゼル粒子フィルタ123及び/又は排気系統122の下流側端部に位置する端末排気管124を備えることができる。車両100は更に、本発明による排気装置101を備えている。
【0126】
排気装置101は、ガス出口103と主室104とを備えている。排気装置101は更に、
−排気管124に接続され、主室104の一端に位置する放出口118と、
−排気ガスが放出口118を通って排気管124へと流れる(矢印F124を参照)開位置(
図18)と、
−排気ガスが放出口118を通って流れることが阻止されるため、排気ガスがガス出口103を通って流れる(矢印F103を参照)閉位置(
図17)との間で移動可能に配置されたシャッタ119と、を備えている。
【0127】
したがって、ガス入口102と放出口118との間に延びる流路は、ガス入口102とガス出口103との間に延びる流路よりも少ない圧力低下を生じることができる。
【0128】
運転中、例えば車両が停止状態にない場合、例えば産業車牽引状態にある場合に、シャッタ119は排気系統122内の圧力低下を減らすために開状態に設定することができる。ディーゼル粒子フィルタ123及び/又は選択的触媒還元コンポーネントの再生プロセスを実施するために車両が停止状態にある場合は、シャッタ119は、排気系統122から放出される排気ガスの冷却及び希釈を確実にするために閉じられる。
【0129】
シャッタは、ガス入口102に流入する排気ガスF102の温度に応じて制御可能である。
【0130】
図21及び22は、制御されるシャッタ119の代わりに実装可能な代替の感応式シャッタ219を示している。気流感応式シャッタ219は、排気系統122を通過するガス流量に応じて移動する。したがって、感応式シャッタ219は、異なる隣接する位置の間を継続的に移動可能である。
【0131】
排気装置の更なる実施形態は、各々が例えば
図5に関連して記載したものと同様の2つの主室を有してもよい。2つの主室はミラー構成で配置されているため、それぞれのガス出口、上流側の壁、及び下流側の壁は互いに対面している。このような構成では、それぞれの主室の間の総容積が、両方から空気の同伴が可能な流路を形成する。
【0132】
勿論、本発明は非限定的な実施例として上述した実施形態に限定されるものではなく、逆に、全ての実施形態を包含する。