特許第5978311号(P5978311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5978311組み立てキットの要素(の選択肢)および組み立てキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978311
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】組み立てキットの要素(の選択肢)および組み立てキット
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/08 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   A63H33/08 B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-548717(P2014-548717)
(86)(22)【出願日】2013年5月22日
(65)【公表番号】特表2015-504718(P2015-504718A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】RU2013000420
(87)【国際公開番号】WO2014062082
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2014年6月23日
【審判番号】不服2015-22994(P2015-22994/J1)
【審判請求日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】2012149600
(32)【優先日】2012年11月22日
(33)【優先権主張国】RU
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514156552
【氏名又は名称】ソコロフ,ドミトリー アンドレイェヴィッチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ソコロフ,ドミトリー アンドレイェヴィッチ
【合議体】
【審判長】 黒瀬 雅一
【審判官】 植田 高盛
【審判官】 吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/81824(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/274023(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/32434(WO,A1)
【文献】 特開2010−279671(JP,A)
【文献】 kurokila303,【キュービック・レゴ】モノクロ美術知育玩具/立方体レゴシリーズ,その他,2010.10.11掲載
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立てキットの要素であって、
一部品として一体的に形成される、少なくとも2つの連結継手を有し、
前記連結継手のそれぞれは、リブの長さが<<a>>に等しい仮想的な立方体内に収まる基部と、当該基部上に形成された突出部とからなり、
前記基部の表面の少なくとも一部は、前記仮想的な立方体表面の同一面内に位置し、
前記突出部は、前記仮想的な立方体の各面すべての前記基部の表面上に形成されており、
前記突出部は、前記基部の表面からの高さが、<<a/2>>を超えない高さを有するとともに、4つのセクションを備えており、
前記セクションは、前記突出部が形成された前記基部の表面が位置する前記仮想的な立方体表面と隣接する、前記仮想的な立方体表面の同一面内に独立して配置され、
前記立方体表面に垂直な軸上に位置する、隣接する前記仮想的な立方体の中心(O、O間の距離は、前記突出部と、連結する組み立てキットの要素の突出部とが接触可能なように、<<2a>>に等しく、
前記連結継手の前記仮想的な立方体の表面のそれぞれは、別の連結継手の前記仮想的な立方体の、ある1つの表面の同一面内、あるいは、ある1つの表面と平行な面内、の何れかの面内に位置することを特徴とする組み立てキットの要素。
【請求項2】
要素のセットである組み立てキットであって、
前記要素のそれぞれは、一体的に形成され、
前記組み立てキットの前記要素のセットの一部は、1つの連結継手を有し、
前記組み立てキットの前記要素のセットの残部は、請求項1に記載の組み立てキットの要素であることを特徴とする組み立てキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立てキットの要素に関し、特に、組み立て玩具キット(セット)やパズルに用いる事ができる組み立てキットの要素(部品)に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術として知られているのは、基部を有する組み立てキットの要素(部品)であって、それは概して、類似するキットの要素(部品)同士を接続する連結継手を1つ以上有し、平行六面体の形状を有するように作られている(2000年6月20日の露国特許第2150985号明細書)。
【0003】
公知の組み立てキットの要素は、同じ組み立てキットの要素間で1通りの方法でしか接続することができない形状であるため、機能性に乏しいという問題が有る。
【発明の概要】
【0004】
請求項に記載の発明は、類似の部品と連結するのに多数の選択肢を与えてくれる組み立てキットの要素(部品)を作ることを目的としている。
【0005】
技術成果は、提案する組み立てキットの要素と、同型の他のキットの要素との接続の選択肢を増やすことで、組み立てキットの要素の機能的な可能性を向上させることを含む。
【0006】
組み立てキットの要素の第1の実施形態の技術成果は、少なくとも2つの連結継手(接続部)を有した構成部品によって達成され、連結継手のそれぞれは、表面を有する三次元の主要部を形成するように作られている。当該表面の少なくとも一部は、立方体表面の同一面内に位置し、立方体のリブは<<a>>に等しい。前述の面のうち少なくとも1つは、高さが<<a/2>>以下で、4つのセクション(部分)を備える突出部(突起部)を有する。それぞれのセクションは、突出部が形成された立方体表面と隣接する、表面の同一面上に独立して配置される。立方体の表面に対して垂直な軸上に位置する、隣接する立方体の中心間の距離は、突出部と、連結可能な組み立てキットの要素の突出部とが接触できるように、<<2a>>に等しい。立方体表面の同一面内に位置する、連結継手の表面(接続部の表面)のそれぞれは、別の接続部品の、ある1つの立方体表面の同一面内、あるいは、さらに別の接続部品の、ある1つの立方体表面の面と平行な面内、に位置している。
【0007】
組み立てキットの要素の第2の実施形態における技術成果は、面を有する三次元の主要部を形成するよう作られた、1つの連結継手を有する組み立てキットの要素により達成され、当該面は、少なくとも一部が立方体表面の面内に位置し、立方体のリブの長さは、<<a>である。上述の表面の少なくとも1つは、当該表面の上方に、突出部を有し、突出部の表面からの高さは、<<a/2>>を超えず、表面のそれぞれは、4つのセクションを備える。セクションは、その上に突起部が形成された面と隣接する、立方体表面の面内に独立して配置される。
【0008】
組み立てキットの技術的成果は、組み立てキットの要素を有することによって達成され、一部の組み立てキットの要素は、1つの連結継手を有するように作られ、組み立てキットの要素の残部は、2つ以上の連結継手を有するように作られる。連結継手は、表面を有する3次元の主要部を形成するように作られており、表面の少なくとも一部は、リブが<<a>>に等しい立方体表面の同一面内に位置している。前述の表面の少なくとも1つは、表面に突出部(突起部)を備えており、突出部は、前記表面からの高さが<<a/2>>を超えない高さを有するとともに、4つのセクション(部分)を備えている。セクションは、立方体表面の同一面内に独立して配置され、突出部が形成された表面と隣接している。立方体表面に垂直な軸上に位置する、隣接する前記立方体の中心間の距離は<<2a>>に等しい。前述のセクションと、連結する組み立てキットの要素とは、接触可能であり、立方体表面の面内に位置する連結継手のそれぞれの面は、別の連結継手の立方体表面の面内、あるいは、さらに別の連結継手の立方体表面の面と平行な面内、に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。
図1】2つの連結継手を有する組み立てキットの要素を示す図である。
図2】異なる3つの実施形態に係る、6つの突出部を有する連結継手を示す図である。
図3】突出部を有さない連結継手を示す図である。
図4】突出部を有さない連結継手を示す図である。
図5】突出部を有さない連結継手を示す図である。
図6】立方体表面の同一面内に位置する連結継手の表面を示す図である。
図7】立方体表面の同一面内に位置する連結継手の表面を示す図である。
図8】立方体表面の同一面内に位置する連結継手の表面を示す図である。
図9】異なる方法の連結継手の突出部を示す図である。
図10】異なる方法の連結継手の突出部を示す図である。
図11】異なる方法の連結継手の突出部を示す図である。
図12】異なる方法の連結継手の突出部を示す図である。
図13】突出部が形成された表面と隣接している立方体の表面の面内に位置する、連結継手の突出部のセクションを示す図であり、これらの突出部は、図9に示す突出部と対応する。
図14】突出部が形成された表面と隣接している立方体の表面の面内に位置する、連結継手の突出部のセクションを示す図であり、これらの突出部は、図10に示す突出部と対応する。
図15】突出部が形成された表面と隣接している立方体の表面の面内に位置する、連結継手の突出部のセクションを示す図であり、これらの突出部は、図11に示す突出部と対応する。
図16】突出部が形成された表面と隣接している立方体の表面の面内に位置する、連結継手の突出部のセクションを示す図であり、これらの突出部は、図11に示す突出部と対応する。
図17】組み立てキットの要素の断面図である。
図18】(図1に示すような2つの連結継手を有する、キットの要素のための)連結継手の突出部領域であって、その上に当該突出部が形成された面と隣接する、立方体表面の同一面内に位置する連結継手の突出部領域を示す図である。
図19】3つの連結継手を有する組み立てキットの要素を示す図である。
図20】5つの連結継手を有する組み立てキットの要素を示す図である。
図21】2つの連結継手を有する2つの組み立てキットの要素を示す図である。
図22】キットの要素を接続する際に2つの連結継手と接触する、2つ組み立てキットの要素の突出部のセクションを示す図である。
図23】2つの連結継手を有する組み立てキットの要素が、2つ接続した状態を示す図である。
図24】2つの連結継手を有する、2つの組み立てキットの要素の突出部のセクションが、キットの要素を連結する際に、互いに接続する過程を示す図である。
図25】2つの組み立てキットの要素を示した図であり、一方は、1つの連結継手を有し、他方は、3つの連結受け部を有している。
図26図25に示すように、2つの組み立てキットの要素の突出部のセクションが、部品を接続する際に接触する過程を示す図である。
図27】2つの接続した組み立てキットの要素を示した図であり、一方は、1つの連結継手を有しており、他方は、3つの連結継手を有している。
図28】キットの要素を連結する際に接触している、図27に示す、2つの接続した組み立てキットの要素のセクションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の実施形態に係る組み立てキットの要素(図1参照)は、少なくとも2つの連結継手1を有し(図2参照)、連結継手1のそれぞれは、表面を有する三次元の主要部を形成するように作られている(図4参照)。表面2の少なくとも一部は、立方体表面4の面3内に位置し、立方体のリブの長さ5は、<<a>>に等しい(図7は、当該表面のみを示している)。前述の表面2のうち少なくとも1つは、突出部6を有しており(図2,10参照)、突出部6は、表面2からの高さが、<<a/2>>を超えない高さを有しており、4つのセクション7を備えている。セクション7は、立方体4表面の面3内に独立して配置され、突出部6が形成された表面と隣接している(図14は、図10の突出部に対応する突出部のセクションのみを示したものである)。立方体4および4の表面9に垂直な軸8上に位置する、隣接している立方体4の中心である<<O>>と<<O>>との距離は、<<2a>>に等しい(図17)。突出部と、連結する組み立てキットの要素の突出部とは、接触可能である(類似の連結キットの要素のセクションと接触する、突出部のセクションのみを示している、図18参照)。連結継手1のそれぞれの表面は、立方体4の表面の面3内に位置し、別の接続継手1における、立方体4のある1つの表面である面3、あるいは、さらに別の接続継手1における、立方体4のある1つの表面である面3と平行な面3内に位置している(図17参照)。
【0011】
第2の実施形態に係る組み立てキットの要素(図2参照)は、表面を有する3次元の主要部を形成する連結継手を備えており(図4参照)、少なくとも一部2は、リブの長さ5が<<a>>に等しい、立方体表面4の面3内に位置している(図7は、これらの型の表面のみを示したものである)。突出部6は、前述の表面2のうち、少なくとも1つの上に形成されている(図2,10参照)。当該突出部は、表面2からの高さが、<<a/2>>を超えず、4つのセクション7を有している。セクション7は、その上に突出部6が形成される表面と隣接する、立方体表面4の面3上に、独立して配置される。
【0012】
組み立てキットは、キットの要素のセットにより特徴づけられており(図1,2,19,20参照)、その一部は、1つの連結継手を備えるように作られているが、残部は、2つ以上の連結継手を備えるように作られている。連結継手は、表面を有する3次元の主要部を形成するように作られており、表面の少なくとも一部が、リブの長さが<<a>>と等しい、立方体表面の面内に位置する。前述の表面のうちの少なくとも1つは、立方体表面からの高さが<<a/2>>を超えない高さの突出部を有するように作られており、4つのセクションを備えている。セクションは、その上に突出部が形成されている面と隣接する、立方体表面の面の上にそれぞれ独立して配置される。
【0013】
立方体の表面に垂直な軸上に位置する、隣接する立方体の中心間の距離は、前述のセクションと連結組み立てキットの要素とが接触できるように、<<2a>>に等しく、立方体表面の面上に位置する連結継手の表面のそれぞれは、別の連結継手の、ある1つの立方体表面の面内、あるいは、さらに別の連結継手の、立方体表面のある1つの面と平行な面内に位置する。
【0014】
連結継手(図2)は、基部の実施方法が異なっていてもよい。いくつかの選択肢を図3,4および6で示した。立方体表面の面内に位置する基部の表面は、突出部との強固な接続を確実なものにできることが必要である(図3,4,6の基部の表面を、図6,7、8に示す)。さらに、基部の形状は、連結継手の製造を容易にしたり、材料を節約したりすることを確実なものとする。示した3つの基部の選択肢は、請求項の範囲内の基部の実施形態のうち、可能なすべての選択肢を示したものではない。
【0015】
図9−12は、突出部の種類に関して、5つの選択肢を示している。連結継手は、同時に備えている突出部が1種類であってもよいし、それ以外であってもよい。キットの要素が接続している間は、その上に突出部が形成された表面に隣接する、立方体表面の面上に位置する突出部のセクションは、接続された類似のキットの要素の突出部のセクションと接触し、接触している領域内の部分間に摩擦力が発現することにより、接続された部品の安定した接続を確実なものとしている必要がある。図13−16は、図9−12に示す突出部の前述の領域のみを示したものである。さらに、突出部の形状は、製造を容易性および材料の節約に寄与する。
【0016】
前述の5つの突出部の選択肢は、請求項の範囲内の突出部の実施形態のうち、可能なすべての選択肢を示したものではない。
【0017】
2つの連結継手を備える、2つの組み立てキットの要素間の接続を、それぞれ図21−24に示す。図22および24は、組み立てキットの要素の突出部のセクションのみを示したものであり、セクションは、接続している間接触しており、突出部のセクション間に働く摩擦力の合力によりキットの要素の接続が維持されている。
【0018】
図25−28は、一方が1つの連結継手を備えており、他方は3つの連結継手を備えている場合における、2つの組み立てキットの要素間の接続を示したものである。図26および28は、組み立てキットの要素の突出部のセクションみを示したものであり、セクションは、接続している間接触しており、突出部のセクション間に働く摩擦力の合力によりキットの要素の接続が維持されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28