(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978312
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】心臓弁を血管内で置換するための装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-548903(P2014-548903)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公表番号】特表2015-506194(P2015-506194A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】US2012070991
(87)【国際公開番号】WO2013096644
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/577,880
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/721,466
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サットン、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ブラント、ブライアン ディ.
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−516055(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/042950(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0203503(US,A1)
【文献】
特表2012−500665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/95−2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓弁を血管内で置換するための装置であって、
送達用シースと、
複数の固定具駆動要素を含む留置ツールと、
拡張可能な固定具であって、シース内に配置されるように、かつ、該シースからの拡張可能な固定具の留置後に留置ツールによって拡張するようになされた、固定具と、
置換弁であって、心臓弁の近辺に送達するためにシース内に配置されるようになされた、置換弁と、
複数の固定具駆動要素は、拡張可能な固定具の先端側部分に基端方向の力を加えるようになされており、
拡張可能な固定具の先端側部分に取り付けられた複数の第1の部材であって、複数の第1の部材のそれぞれが、その基端側部分の内側に、1または複数の凹部を含むルーメンを有している、複数の第1の部材と、
複数の第1の部材のそれぞれに解放可能に取り付けられた複数の第2の部材であって、複数の第2の部材のそれぞれが、1または複数の突起を有しており、複数の第1の部材のそれぞれのルーメン内に解放可能に受承されると、1または複数の突起が第1の部材の1または複数の凹部と係合する、複数の第2の部材と、
複数の第2の部材のそれぞれは、1または複数の突起が第1の部材の1または複数の凹部から外れるのを防止する第1の状態と、1または複数の突起が第1の部材の1または複数の凹部から外れるのを許容する第2の状態とを有しており、
拡張可能な固定具の基端側部分に固着して取り付けられ、かつ、拡張可能な固定具を留置形状に錠止するために複数の第1の部材に係合するようになされた、複数の錠止要素と、
を備えており、
複数の第1の部材はそれぞれ、拡張可能な固定具の内側で置換弁を支持するようになされている、
装置。
【請求項2】
複数の第2の部材のうちの1つの第2の部材が、留置ツールの複数の固定具駆動要素のうちの1つに取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第2の部材の1または複数の突起が、径方向に外側に拡張して第1の部材の基端側部分の内側のルーメンの内側に備えられた1または複数の凹部に係合するように付勢された第1の突起を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
第2の部材の1または複数の突起が、径方向に外側に拡張して第1の部材の基端側部分の内側のルーメンの内側に備えられた1または複数の凹部に係合するように付勢された第2の突起をさらに備えている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第2の部材が、摺動可能な要素であって、第1の突起と第2の突起との間で第1の配置状態をとることにより第1の突起および第2の突起が第1の部材の基端側部分の内側のルーメンの内側に備えられた1または複数の凹部から引き抜かれるのを防止するようになされ、かつ、該摺動可能な要素が第1の突起と第2の突起との間にない第2の配置状態をとることにより第1の突起および第2の突起が第1の部材の基端側部分の内側のルーメンの内側に備えられた1または複数の凹部から引き抜かれるのを可能にするようになされた、摺動可能な要素を備えている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
第2の部材の1または複数の突起が、第1の回転配置状態において第1の部材の基端側部分の内側のルーメンの内側に備えられた1または複数の凹部に係合するように、かつ、第2の回転配置状態において第1の部材の基端側部分のルーメンの内側に備えられた1または複数の凹部から離脱するようになされている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
第2の部材が第1の部材の基端側部分の内側のルーメンから取り外されたときに錠止要素は拡張可能な固定具を留置形状に錠止する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
複数の錠止要素がそれぞれ、複数の第1の部材のうち1つを受承することができるルーメンと、爪部であって、該ルーメンに入るように付勢され、かつ、受承された第1の部材の特徴に係合することによって第1の部材が錠止要素のルーメンの内側に受承されたときに第1の部材の錠止要素に対する先端側への移動を防止するようになされた爪部とを備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
爪部が係合しうる第1の部材の特徴が爪部の一部を受承するようになされた凹部である、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して医療装置に関し、特に、患者の心臓弁を血管内で置換するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓弁膜手術は、罹病した心臓弁を修復または交換するために用いられる。弁膜手術は、全身麻酔下で行なわれる心臓を切開する手法である。切開は患者の胸骨を経由して行われ(胸骨切開)、患者の心臓を停止する一方で血流を心肺バイパス装置を通る別の流路に変更する。
【0003】
弁置換術は、一般に狭窄症と呼ばれる生来の心臓弁の狭小化が存在する場合、または生来の弁に漏れもしくは逆流がある場合に、必要となることがある。弁を交換する場合、生来の弁は切除され、生体弁または機械弁のいずれかに置き替えられる。機械弁は、血塊形成を防ぐために終生の抗凝血薬の投薬を必要とし、弁のクリック音が胸部を通して聞こえることがよくある。生体組織弁は典型的にはそのような投薬を必要としない。組織弁は死体から得られる場合もあれば、ブタやウシのものであってもよく、一般には患者の心臓に固定される合成リングに取り付けられる。
【0004】
弁置換手術は重大なリスクを伴う侵襲性の高い手術である。リスクには、出血、感染、脳卒中、心臓発作、不整脈、腎不全、および麻酔投薬に対する有害反応が挙げられる。
術後、患者は、塞栓および人工心肺装置に関連するその他の要因により、一時的に錯乱状態になる場合がある。術後の最初の2〜3日は、心臓機能の精密なモニタリングが可能な集中治療室で過ごすことになる。平均入院期間は1〜2週間であり、全快にはさらに数週間〜数か月を要する。
【0005】
近年、低侵襲手術およびインターベンション心臓治療の進歩に促され、一部の研究者が心臓大動脈弁の経皮的置換を追求してきた。例えば、特許文献1を参照されたい。これらの手法の多くにおいて、置換弁は生来の罹病した弁を横断するように留置されて、生来の罹病した弁を恒久的に開状態に保持することにより、生来の弁を切除してその生来の弁の代わりに置換弁を位置決めする必要性を軽減する。
【0006】
血管内大動脈弁置換術では、大動脈弁を冠動脈入口部および僧帽弁に関して正確に設置することが重要である。しかしながら、標準的な自己拡張型ステントシステムを含む弁固定具は、留置の正確さに極めて乏しいことが予想される。典型的な留置手順では、正確な設置がX線透視検査によって確認されるまでステントの基端部は送達システムから解放されない。ステントは、一旦解放されると別の配置状態へと急激に移動してしまい、解放後にステントの端部が生来の弁、冠動脈入口部および僧帽弁に関してどこにあるのかを知ることが不可能となってしまう可能性がある。
【0007】
さらに、最終的な留置の前に新しい弁が機能している様子を視覚化することは非常に望ましい。一部の自己拡張型固定具について予想される急激な移動動作ゆえに、また、置換弁が最終的な留置の前には完全に機能しない場合があることから、最終的かつ不可逆的な留置に先立って弁の機能および配置状態を視覚化することは、このようなシステムではできないことがある。従って、適切な設置を確保し、次いで拡張した固定具をその場に恒久的に固着させるために、必要に応じて固定具を
収縮および再拡張させることのできるような、固定具を十分に拡張させることを可能にする構成要素を、置換心臓弁および関連する固定化システムの中に提供することが望ましい。
【0008】
先行技術の自己拡張型置換心臓弁システムについて予想される別の欠点は、そのようなシステムが径方向の強さに比較的乏しいことである。自己拡張型システムが送達用シースによって容易に送達されるためには、この構造物は塑性的に変形することなく送達用カテーテルの内部で撓みかつ屈曲する必要がある。他の目的のための血管内送達に適した拡張可能なステント設計物は、置換心臓弁固定具としての役割を果たすのに十分な径方向の強さを有していない場合がある。例えば、アテローム性動脈硬化症を治療するために動脈壁に対して適度な径方向の力を適用し、かつ、塑性的変形を伴わずに送達用カテーテル内に収まるように十分小さな直径まで
収縮することが可能な、数多くの市販の動脈ステントシステムが存在する。しかしながら、ステントがその内部に締結された弁を有し、かつ、その弁が、大動脈弁置換の場合のように心臓内に存在しなければならない場合、血管壁へのステントの固定化には、特に心拡張期において著しく大きな径方向の力を要する。心拡張期に動脈圧を抑えて血液が心室内に戻るのを防止するこの力は、ステント/大動脈壁境界面へ直接伝わることになる。したがって、自己拡張型ステント/弁を大動脈壁と接触しかつ移動または塞栓発症のない状態に維持するのに必要な径方向の力の量は、内部に弁を有していない血管内ステントよりもはるかに高くなる。さらに、十分な径方向の力を持たない自己拡張型ステントは、結局は心臓の鼓動のたびに膨張および収縮することになり、その結果弁を歪め、弁の機能に影響を及ぼし、場合によっては弁が移動して完全に外れてしまう原因となる可能性がある。自己拡張型ステントのストラットの厚さを単に増大させるのは、自己拡張型ステントの外形を大きくし、かつ/または、塑性変形のリスクを高めることから、良い解決策ではない。
【0009】
心臓弁を血管内で置換するための従来既知の技術に関連する欠点を考えると、それらの欠点を克服する方法および装置を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0121434号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記した問題を解決することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
概要
本開示は、患者の心臓弁を血管内で置換するための装置であって、シースと;複数の固定具駆動要素を含む留置ツールと;拡張可能な固定具であって、シース内に配置されるように、かつ、シースからの拡張可能な固定具の留置後に留置ツールによって拡張するようになされた、固定具と、置換弁であって、心臓弁の近辺に送達するためにシース内に配置されるようになされた、置換弁と;複数の固定具駆動要素は、拡張可能な固定具の先端側部分に基端方向の力を加えるようになされていることと;拡張可能な固定具の先端側部分に取り付けられた複数の第1の部材と;第1の部材に個々に解放可能に取り付けられた複数の第2の部材と;拡張可能な固定具の基端側部分に固着して取り付けられ、かつ、拡張可能な固定具を留置形状に錠止するために複数の第1の部材に係合するようになされた、複数の錠止要素と、第1の部材はそれぞれ、拡張可能な固定具の内側で置換弁を支持するようになされていることと、さらに、複数の第2の部材はそれぞれ、第1の部材の解放を防止するようになされた第1の配置状態および第1の部材の解放を可能にするようになされた第2の配置状態を有することと、を含む装置に関する。
【0013】
第1の実施形態では、第1の部材は、略筒状部分および取付け部分を含むことが可能であり、第1の部材は錠止要素に係合するようになされた複数の周方向隆線部をさらに備え、錠止要素は、1つ以上の爪部であって、第1の部材を受承するためのルーメンまたは溝部の内側に配置され、第1の構成においては周方向隆線部に係合するように、また第2の構成においては周方向隆線部から離脱するようになされた、爪部を備えている。
【0014】
第2の実施形態では、第1の部材は、第2の部材を解放可能に受承するようになされた基端側ルーメンを備えてもよい。第2の部材は、第1の部材に解放可能に係合する1つ以上の突起を備えてもよく、かつ、第1の部材および第2の部材が解放可能に取り付けられたときに錠止要素が第1の部材に係合するのを防止すべく第1の部材と協働することにより拡張可能な固定具を必要に応じて解放および再配置することを可能とする部分を、さらに備えてもよい。
【0015】
第3の実施形態では、第1の部材は、錠止要素によって第2の部材またはマンドレルに解放可能に接続されてもよい。そのような実施形態では、第1の部材は、拡張可能な固定具の先端側部分を引き寄せる要素(図示せず)によって、錠止要素に対して前進させられてもよい。第2の部材またはマンドレルは、心臓弁置換の最終的な留置に先立って拡張可能な固定具を再配置することが必要になる場合に、第1の部材の基端側部分の凹部から錠止要素の爪部を解放可能に離脱させる役割を果たす。
【0016】
第4の実施形態では、第2の部材は、当初は第1の部材より先端側に位置付けられ、取外し要素の基端側への引き寄せに応じて第1の部材を基端側へ引き寄せる役割を果たす。そのような実施形態では、錠止要素に関連する1または複数の爪部は、錠止要素内にU字型ブラケットまたはその他の爪部閉鎖要素が存在することによって、第1の部材の凹部と錠止関係をなして係合することを防止されてもよい。U字型ブラケットまたはその他の爪部閉鎖要素は、取外し要素に取り付けられた1つ以上の圧着部または第2の部材との接触によって除去されうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】当分野の典型的な置換心臓弁システムを例証する図。
【
図3】本開示の第1の部材および第2の部材を例証する図。
【
図3A】本開示の第1の部材および第2の部材を例証する図。
【
図4】本開示の実施形態の長手方向の断面を例証する図。
【
図5】本開示の第2の部材の長手方向の断面を例証する図。
【
図6B】置換心臓弁の留置後の
図6Aの実施形態を例証する図。
【
図7A】本開示の代替実施形態の部分分解立体図をやや概略的に例証する図。
【
図7B】本開示の代替実施形態の部分分解立体図をやや概略的に例証する図。
【
図7C】本開示の代替実施形態の部分分解立体図をやや概略的に例証する図。
【
図7D】本開示の代替実施形態の部分分解立体図をやや概略的に例証する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
以下の説明は図面を参照しながら読まれるべきであり、図中、同様の参照数字はいくつかの図面全体に共通する同様の要素を示している。図面(必ずしも原寸に比例するものではない)は、特許請求の範囲に記載の発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明および図面は、特許請求の範囲に記載の発明の実例の実施形態を例証する。
【0019】
全ての数値は本明細書中では用語「約」で修飾されているものと見なされる。端点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含される全ての数値を含む(例えば、1〜5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0020】
用語「基端側」および「先端側」とは、概して、開示されたデバイスを使用している人の視点からの、要素または動作の互いに対する相対的な配置状態、配向、または方向を指すものとする。該用語は限定的であることは意図されていないが、開示されたデバイスの長さに沿って、「基端側」は概してユーザにより近いと考えられ、「先端側」は概してユーザからより遠いと考えられる。
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかにそうでないことを述べていない限り、複数の指示物を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、用語「または、もしくは(or)」は概して、内容が明らかにそうでないことを述べていない限り、「選択肢のうち少なくともいずれか(and/or)」を含む意味で使用される。
【0022】
本明細書中において「1つの実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などに言及するということは、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を備えることができるが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を備えているとは限らないことを示している。さらに、そのような言い回しは必ずしも同じ実施形態を指していない。さらに、ある実施形態に関して特定の特徴、構造、または特性が記載される場合、そうでないことが明白に述べられていないかぎり、明示的に記載されているか否かに関わらず他の実施形態に関してもそのような特徴、構造、または特性をもたらすことは、当業者の知識の範囲内にあろう。
【0023】
図1は、非限定的な典型的な置換心臓弁10および該置換心臓弁のための送達システムの要素16を例証している。そのようなシステムは、送達用シース12、複数の固定具駆動要素18を備えた留置ツール16、および拡張可能な固定具14を含む。使用時、置換心臓弁10および留置ツールは、送達用シース12の内側にて
収縮状態で心臓まで送達される。拡張可能な固定具14が置換されるべき弁に対して位置決めされると、留置ツール16および固定具駆動要素18は置換されるべき生来の弁の内側で拡張可能な固定具を拡張し、拡張可能な固定具14に関連している要素は交換されるべき心臓弁の内側で拡張可能な固定具を拡張した構成に保持する。心臓弁置換手術中、拡張可能な固定具14を
収縮させ、かつ、再配置可能な心臓弁10の位置を変えてから、拡張可能な固定具14を再度拡張して拡張可能な固定具14をその場に恒久的に固着することが必要になることがある。従って、置換心臓弁および関連する固定化システムの内部に、配置状態を点検するために当初はラッチ留めせずに固定具を拡張することが可能な構成要素を提供することが望ましい。配置状態の点検に続いて、置換心臓弁は、必要な場合は
収縮および再拡張させられて適切な設置を確実にすることが可能であり、次いで拡張可能な固定具はその場に恒久的にラッチ留めされる。本開示の全体にわたり、包括的な参照は
図1の要素に対してなされることになるが、同図は置換心臓弁および該置換心臓弁のための送達システムの良く知られた特徴を満たすものとして見られるべきであり、そのような特徴については詳細な議論の必要はない。その代りに、置換心臓弁および送達システムの特定の構成要素に注意が向けられることになる。
【0024】
第1の実施形態では、本開示の置換心臓弁は、本明細書中で追ってより詳細に議論される拡張可能な固定具システム錠止機構の一部として、略筒状部分120および取付け部分122を含む第1の部材100を備えている。
図2に例証された非限定的実施形態では、取付け部分122は、2つの概ね平行なストラットであって、縫合、接着結合などのような任意の好都合な方法によってストラットが固着して取り付けられる第1および第2の弁構成要素(図示せず)のエッジ部に沿って概ね位置する、ストラットを含む。取付け部分122は、同様の方式で拡張可能な固定具の先端側エッジ部付近に固着して取り付けることもできる。取付け部分122は、典型的には略筒状部分120に枢動可能に連結されて(ここでは枢動ピン124によって示されている)、拡張可能な固定具(図示せず)が拡張するにつれて第1の部材100が撓むことを可能にし、その結果、さらに本明細書中で説明されるように、第1の部材および錠止機構の他の部分が互いに対して移動するにつれて錠止機構の他の部分、例えば錠止要素および爪部のうち少なくともいずれかと確実に一線上に整列するようになっている。取付け部分122は、筒状部分120に対し、恒久的にかつ/または可撓的に、取り付け可能である。
【0025】
加えて、略筒状部分120は、回転枢軸126であって、この回転枢軸の長手方向軸の周りで自由に回転するようになされることにより、拡張可能な固定具または弁構成要素のいずれかを歪めやすいおそれのある略筒状部分120と取付け部分122との間のあらゆるトルクを取り除く、回転枢軸126を備えることができる。当然のことであろうが、回転枢軸126は、たとえその組み合わせが図中ではより明確さを維持するために明示的に例証されていない場合であっても、本明細書中で議論される代替実施形態であって対応する要素が筒状以外の形状を有する実施形態にも含まれうる。そのような非筒状の実施形態では、第1の部材100は、必ずしも円形の断面を維持する必要はないが、第1の部材100の略筒状部分120に相当する要素および使用される錠止機構のいずれとも適合しうる断面を採用しうることは認識されよう。
【0026】
第1の部材100の略筒状部分120は、拡張可能な固定具の基端側部分に固着して取り付けられた複数の錠止要素のうちの1つの錠止要素に関連した1つ以上の爪部と係合するようになされた、複数の周方向隆線部128を備える。いくつかの実施形態では、錠止要素は1つの爪部を1または複数の周方向隆線部128と係合するようになされる一方、他の実施形態では、錠止要素の複数の爪部を筒状部材の1つ以上の隆線部128と係合するようになされる。この特徴について詳細に説明しないが、拡張可能な固定具の内部に存在する弁小葉は、大きな接合ゾーン(すなわち2つの隣接した小葉が集合する場所)を有することにより、広範囲の拡張径に順応する。従って、複数の周方向隆線部128の使用により、拡張可能な固定具と関連付けられる錠止配置状態をより広範囲とし、その結果、置換される弁を取り囲んでいる心臓組織の厚さの変動に対してより良好に順応することが可能となる。上記に言及するように、周方向隆線部128の断面は、対応する要素の断面が円形でない実施形態においては必ずしも円形である必要はない。
【0027】
爪部が複数である実施形態では、爪部は略筒状部分120の長手方向軸とほぼ平行に位置するように配置構成され、かつ/または、独立した爪部が略筒状部分120の周りに周方向に留置される。この実施形態に関しては明示的に例証されていないが、錠止要素は典型的にはルーメンまたは溝部を備え、ルーメンまたは溝部の内側に1または複数の爪部が位置づけられ、かつ、1または複数の爪部はルーメンの中心軸に向かって変位する配置状態をとるように付勢され、その結果、爪部は、ルーメンまたは溝部の内側への第1の部材100の略筒状部分120の挿入により、径方向外側へ変位するようになっている。
【0028】
例示された実施形態では、第1の部材100は、当分野で既知の手段および本明細書中に記載された手段のうちの1つによって、第2の部材130に解放可能に取り付けられている。典型的には、錠止要素は、第2の部材130が第1の部材100に取り付けられているときには第1の部材100から離脱したままであるように、かつ、第1および第2の部材がもはや取り付けられていないときには第1の部材100と係合するようになされて、その結果、第1の構成においては第1の部材100の略筒状部分120は錠止要素に対して基端側に移動可能であり、錠止要素が第2の構成であるときは第1の部材100の略筒状部分120は錠止要素に対して先端側および基端側のいずれにも移動できるようになっている。錠止要素と第1の部材100との間の相互作用は、典型的には、錠止要素および第1の部材100が第1の構成と第2の構成との間の移行の際にそれらの間の相対運動を制限するために少なくとも部分的に係合されるようなものとなる。
【0029】
いくつかの実施形態(図示せず)では、本発明の装置はさらに、第1の部材100の周方向隆線部128と錠止要素の1つ以上の爪部との間に配置される1つ以上のシムであって、このシムが引き抜かれるまでは上記周方向隆線部と爪部との間の係合を防止する、シムを含む。
【0030】
本開示の第2の実施形態(第1の部材200の略筒状部分および複数の周方向隆線部を備えていてもよいし、備えていなくてもよい)では、第1の部材200は、第2の部材230(
図3に部分透視図で示される)の少なくとも一部分を摺動可能かつ解放可能に受承するようになされた基端側ルーメン240を備えている。第2の部材230は、第1の部材200に解放可能に係合する1つ以上の係合突起234を備え、かつ、第1の部材200および第2の部材230が解放可能に取り付けられたときに錠止要素(図示せず)が第1の部材200に係合するのを防止するように第1の部材200と協働する部分232をさらに備えている。
図3の実施形態では、第1の部材200の基端側部分はルーメン240を備え、このルーメンは第1の部材200の基端側部分に限定されてもよいし、少なくとも枢動ピン224にごく近い領域までほぼ全体を貫通して延在してもよい。ルーメン240は、1つ以上の係合突起234を受承するために、同図では第1の部材200の側壁を貫通しているように示された1つ以上の凹部242を備えてもよい。
【0031】
図3に示されるように、第1の部材200は、凹部244であって、第2の部材230の部分232が凹部244から基端側へ引き抜かれた後に1または複数の錠止要素(図示せず)に係合するようになされた、凹部244を1つだけ有している。同図では、突起234の後方で視認できない填隙要素(例えば
図4の338および
図5の438を参照)が、取外し部材236によって留置ツールに取り付けられている。填隙要素が1または複数の突起234に隣接して位置付けられている限り、1または複数の突起234は、1または複数の凹部242から1または複数の突起234を引き抜くために径方向に縮むことはできない。錠止要素(図示せず)が凹部244に係合するのを可能にするために第1の部材200から第2の部材230を取り外すことが望ましい場合、例えば、
図3Aに例証されるように、取外し部材236を引くことにより、填隙要素は1または複数の突起234に隣接している第1の配置状態から第2の配置状態へと基端方向に引き寄せられ、第2の配置状態では填隙要素は
図4に関連して議論されるような状態で第2の部材230と接触し、故に第1の部材200のルーメン240から第2の部材230を摺動可能に取り外すことができる。
【0032】
第2の部材230が凹部244から部分232を取り外すのに十分なだけ基端側へ引き抜かれてしまえば、錠止要素は、第1の部材200に係合することによって
図1の拡張可能な固定具14をその留置される構成に錠止することができる。いくつかの実施形態では、1または複数の突起234は、錠止要素が凹部244または
図2の周方向隆線部128のような他の実施形態の等価構造物に係合することができる前の、第2の部材230が引き抜かれるときの第1の部材200の後退を防止するために、ルーメン240の壁と摩擦係合するのに十分な力で拡張するように付勢される。
【0033】
図4の実施形態では、摺動可能な填隙要素338Aは、取外し部材336Aに適用された張力が第1の部材300および第2の部材330を錠止要素350のルーメン内部の初期配置状態へと基端方向に引き寄せるとき、第2の部材330の1つ以上の突起334が第1の部材300に配置された1つ以上の凹部344から引き出されるのを防止することにより、第2の部材330を第1の部材300に連動させる。錠止要素350の爪部352は第1の部材300のテーパ状基端部に係合するため、取外し部材336Aを引き寄せるのに必要な張力は増大し、かつ、手術者によって感知され、手術者はその後、手順を進める前に固定化部材が適切に位置決めされていることを確認することができる。当業者であれば、爪部352および1つ以上の凹部344の形状は相補的であってもよいこと、ならびに、形状の小さな変更または調整により、本開示の範囲内で上記特徴のある種の機能性についての増強および最適化のうち少なくともいずれかを行うことができることを認識するであろう。例えば、爪部352および1つ以上の凹部344のうち少なくともいずれか一方は、湾曲形状もしくは丸い形状、ブロック様の正方形状もしくは長方形状、三角形状、またはその他の多角形状もしくは複雑な幾何学形状、およびこれらの組み合わせを有することができる。適切な配置状態が確認されると、さらなる張力が適用されて、爪部352が、凹部344Aに係合するまで、または爪部352が連続した凹部から出るようにするのに必要な引寄せ力を瞬間的に高めることによって記載のような任意選択の凹部344Bのうちの1つに係合するまで、取外し部材336Aを基端側へ引き寄せることができる。所望の凹部344A、344Bが係合したら、取外し部材336Bは、摺動可能な填隙要素338Aが透視図で338Bとして示された配置状態の基端側となるまで基端方向に引き寄せられて、その後すぐに1つ以上の突起334は、付与されている外側への付勢および任意のさらなる付勢のうち少なくともいずれかを例えば任意選択のばね339によって克服し、取外し部材336Aおよび取外し部材336Bのうち少なくともいずれかを基端側へさらに引き寄せることにより第2の部材330が第1の部材300のルーメンから取り出されることを可能にする。錠止要素350の爪部352が第1の部材300の凹部344Aまたは凹部344Bのうちの1つに係合していると、拡張可能な固定具は、錠止要素350と第1の部材300との間の係合によって決まるこの固定具の基端部と先端部との間の距離をもって留置される。当然のことであるが、この実施形態の操作は、第2の部材が第1の部材のルーメン内に機能的に嵌合する限りは、第1の部材または第2の部材のうちいずれかのいかなる特定の断面形状にも依存しない。従って、第1または第2の部材の断面は、円形、正方形、楕円形、長方形であってもよいし、その他の適合しうる形状を有してもよい。拡張可能な固定具ならびに第1の部材および錠止要素の間の取り付けの詳細については、明確にするために省略されている。
【0034】
図5は、本開示の第2の部材430の代替実施形態を例証する。この実施形態では、凹部閉鎖機能は、
図3の部分232の方式に類似の方式で第2の部材430の部分432によって提供される。第1の構成では、摺動可能な填隙要素438は、錠止要素が拡張可能な固定具の留置の位置決め状態の際に通過するときに、アームベアリング部分432が凹部に対して後退するのを防止する。手術者が拡張可能な固定具の配置状態に満足した場合、取外し要素436は基端側へ引き寄せられ、その結果、摺動可能な填隙要素438は、部分432が錠止要素によって加えられた圧力を受けて後退するのを可能にするのに十分なだけ基端側へ移動することができる。取外し要素436のさらに基端側への後退により、摺動可能な填隙要素438は第2の部材430の内部肩部に係合することが可能となる。取外し要素436のなお一層の基端側への後退、または
図4の取外し要素336Aに似た第2の取外し要素(図示せず)の後退により、第2の部材430の、第1の部材(すなわち
図3の第1の部材200)からの取り外しが可能となる。
【0035】
図6〜6Bは、拡張可能な固定具(図示せず)の先端側部分が、置換心臓弁の留置中に留置ツール(図示せず)の固定具駆動要素によって基端側へ後退する代替実施形態を例証する。そのような実施形態では、第1の部材の基端側部分520は、拡張可能な固定具の先端側部分によって錠止要素550に対して基端側へ前進させられ、かつ、第1の部材は錠止要素550を経由して第2の部材またはマンドレル530に解放可能に取り付けられる。前述のように、拡張可能な固定具ならびに第1の部材および錠止要素の間の取り付けの詳細は、明確にするために省略されている。第1の部材の凹部544が十分に前進したとき、錠止要素550の爪部552は
図6に例証されるように第1の部材の基端側部分520の凹部544に係合する。置換心臓弁の配置状態を調節する必要がある場合には、第2の部材またはマンドレル530は、取り外し可能な結合部材531が錠止要素550の開孔部554(
図6A)の中で先端側に摺動し、かつ、第2の部材またはマンドレル530が先端側へ第1の部材の基端側部分520と錠止要素550の基端部との間を前進するように、強制的に先端側へ前進させられて、その結果、爪部552が凹部544から離脱することにより第1の部材の基端側部分520が解放され、
図6Aに見られるように、拡張可能な固定具の位置変更を可能にすることができる。このサイクルは、置換心臓弁を適切に位置決めするために必要に応じて何度も繰り返すことが可能である。弁が適切に位置決めされたと考えられ、かつ、爪部552が凹部544に再び係合されると、取り外し可能な結合部材531は開孔部554から取り外されて、第2の部材またはマンドレル530を
図6Bに例証されるように留置された置換心臓弁から取り外すことが可能となる。取り外し可能な結合部材531は、別個の引戻し部材(図示せず)に取り付けられてもよいし、第2の部材またはマンドレル530が十分な基端側への力で引き寄せられるにつれて、開いて(unfold)開孔部554から抜けるようになされてもよい。
【0036】
図7A〜7Dは、本明細書中に開示された第1の部材、第2の部材、および錠止要素の代替実施形態を、やや概略的かつ分解されたかたちで例証している。要素間の距離には、この実施形態の操作をより明白に示すために誇張されたものもあることに留意すべきである。先の実施形態と同様に、複数の第1の部材600はその個々の先端部付近で置換心臓弁の拡張可能な固定具の先端部に取り付けられ、複数の錠止要素650がその個々の基端部付近で置換心臓弁の拡張可能な固定具の基端部に取り付けられている。それぞれの取り付けは、そのような取り付けについて当分野で使用される方式のうち任意の方式でなされる。例えば、凹部644を備える第1の部材600の先端部、および内側に向かって付勢された爪部652を備えうる錠止要素650の基端部は、拡張可能な固定具のそれぞれ先端部および基端部に縫着される。この概略的に提示された実施形態では示されていないが、第1の部材600は、取付け部分、および/または、その取付け部分と図面に例証された第1の部材600との間の枢動結合を備えることができる。そのような取付け部分および枢動結合のうち少なくともいずれか一方は、本明細書中に開示された実施形態のうちいずれかの形態をとることができる。
【0037】
例証されるように、当初、第2の部材または楔状部630は、第1の部材600より先端側に留置され、かつ、同部材のルーメン640の内側に少なくとも部分的に置かれる。第2の部材または楔状部630は、やや可撓性の材料から形成されて、第2の部材または楔状部630がルーメン640に入ったときに中央の長手方向軸に向かって横方向に偏向かつ/または圧縮される
収縮可能な楔状部となっていてもよい。第2の部材または楔状部630は、その先端部において少なくとも部分的に間隙を塞ぐ取り外し可能な結合部材631によって、内側への偏向、ならびに第1の部材600のルーメン640への完全な入腔およびルーメンの通過のうち少なくともいずれかについて防止される。加えて、取り外し可能な結合部材631の、第2の部材または楔状部630の先端部の間隙から伸びる部分も、第2の部材または楔状部630が第1の部材600のルーメン640に入腔または通過するのを防止することができる。
【0038】
この実施形態では、取外し要素636は留置ツールの固定具駆動要素としての役割を果たす。取外し要素636が基端側へ引き寄せられるにつれて、楔状部630は第1の部材600のルーメン640に入ることができるがただし通過はせず、その結果として第1の部材600は基端側へ移動し、かつ、第1の部材が取り付けられている拡張可能な固定具の先端側部分が第1の部材とともに運ばれる。第1の部材600がその留置される配置状態に接近するにつれて、第1の部材は、拡張可能な固定具の基端側部分に固着して取り付けられている錠止要素650の内側に入り、かつ/または、この該錠止要素の中で基端方向へ前進する(
図7Bに見られるように、透視図で部分的に示される凹部644を伴う)。
図7A〜7Cに示されるように、内側に向かって付勢された錠止要素650の爪部652は、
図3の実施形態の部分232に機能が類似しているU字型ブラケット632によって、第1の部材600の凹部644に係合するのを防止されている。U字型ブラケット632により、第1の部材600は、凹部644が爪部652によって係合されるであろう地点をやや越えて基端側へ前進すること、および、留置部位における拡張可能な固定具の配置状態を調整することが必要になる場合はその地点を係合することなく先端側へ移動して通過すること、のうち少なくともいずれかが可能となる。所望の配置状態が確認されれば、結合要素631は第2の部材または楔状部630から取り外され、その結果取外し要素636は、
図7Cに見られるように圧着部670がU字型ブラケット632に係合し、その後U字型ブラケット632を取り外すことによって爪部652が内側に屈曲して第1の部材600の凹部644に係合することが可能となるまで、基端側へ引き寄せることができる。使用時、結合要素631は、爪部652が凹部644に係合することなく第1の部材600が基端側および先端側へ移動するのを可能にするための安全ラッチとして機能する。結合要素631を第2の部材または楔状部630に係合させている間、取外し要素636は錠止要素650からU字型ブラケット632を取り外すほど遠くまでは引き抜かれない。U字型ブラケット632の取外しに続いて、取外し要素636をさらに引き抜くと、第1の部材600のルーメン640を通して第2の部材または楔状部630が牽引されることにより、先の実施形態の方式で第1の部材600から第2の部材630が解放される。
【0039】
ある種の実施形態では、そのような実施形態の留置プロセスの適切な段階でU字型ブラケットが確実に取り外されるように、任意選択の係留部672がU字型ブラケット632を取外し要素636に接続する。係留部672を係合する目的で第2の圧着部674がさらに使用されてもよい。そのような実施形態では、圧着部670は任意選択であってよい。さらに他の実施形態では、圧着部670、674の両方が存在してもよい。さらに別の実施形態(図示せず)では、第2の部材または楔状部630は、取外し要素636が基端側へ引き寄せられるにつれてU字型ブラケット632と接触してこのブラケットを取り外すようにしてもよい。この実施形態の変形形態において、U字型ブラケットは、爪部閉鎖要素632A(
図7Dを参照)であって圧着部670または第2の部材630のうち一方が爪部閉鎖要素632Aを移動させるまで爪部652によってその場に保持される、爪部閉鎖要素に置きかえられてもよい。爪部閉鎖要素632Aは、そのような実施形態において係留部672によって取外し要素636に取り付けられてもよい。
【0040】
上述の実例となる実施例は、置換心臓弁に関連する拡張可能な固定具の位置決めおよび錠止に関するものであるが、このような構成要素が例えばステント、ステントグラフト、および動脈瘤修復デバイスのような他の医療用デバイスの留置において使用されうることも企図されている。そのような実施形態では、要素の数、大きさおよび配列はより良好に留置部位に適合させるために改変可能である。
【0041】
本発明の様々な改変形態および変更形態は、本発明の範囲および原則から逸脱することなく当業者に明白となるものであり、当然ながら、本発明は上記に述べられた実例となる実施形態に過度に限定されるものではない。全ての出版物および特許文献は、個々の出版物または特許文献が参照により組み込まれるべく特定的かつ個別的に示された場合と同じ程度に、参照により本明細書中に組み込まれる。