(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
1 円筒容器の生産の概略
この実施形態は、円筒容器を生産する方法に関する。
【0012】
図1の模式図は、円筒容器を生産する装置1000を示す。
【0013】
図1に示される円筒容器を生産する装置1000は、この実施形態の円筒容器を生産する方法を自動化するために提供される。
【0014】
円筒容器を生産する装置1000は、
図1に示されるように、溶接機構1010、鏡面排除機構1011、形状測定機構1012、搬送機構1013、制御機構1014等を備える。
【0015】
溶接機構1010は、溶接を行い、溶接痕1030を有する円筒容器状の形状物1020を作製する。鏡面排除機構1011は、溶接痕1030に含まれる鏡面を排除する。形状測定機構1012は、鏡面が排除された溶接痕1031の立体形状を測定し、その合否を判定する。溶接痕1031の立体形状が合格であると判定された円筒容器状の形状物1021は、製品の円筒容器になる。搬送機構1013は、作製された円筒容器状の形状物1020を溶接機構1010から鏡面排除機構1011へ搬送し、鏡面が排除された円筒容器状の形状物1021を鏡面排除機構1011から形状測定機構1012へ搬送する。制御機構1014は、溶接機構1010、鏡面排除機構1011、形状測定機構1012、搬送機構1013等を制御する。
【0016】
溶接痕1030から鏡面を排除するのは、鏡面が溶接痕1030の立体形状の測定を阻害するためである。溶接痕1031の立体形状を測定するのは、円筒容器の内容物の漏れの原因となる欠陥を検出するためである。
【0017】
円筒容器状の形状物1020を作製することに代えて円筒容器状の形状物1020を他の事業者から仕入れることにより円筒容器状の形状物1020を準備してもよい。円筒容器を生産する工程の一部を手作業で行ってもよい。例えば、円筒容器状の形状物1020又は1021を手作業で搬送してもよい。溶接痕1031の立体形状が合格であると判定された円筒容器状の形状物1021をさらに加工したものを製品の円筒容器にしてもよい。
【0018】
2 円筒容器状の形状物
図2の模式図及び
図3の模式図の各々は、作製される円筒容器状の形状物を示す。
図2は、斜視図である。
図3は、断面図である。
【0019】
図2に示される円筒容器状の形状物1020の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。円筒容器状の形状物1020の材質がアルミニウム以外の金属又はアルミニウム合金以外の合金であってもよい。
【0020】
円筒容器状の形状物1020は、接合体1040からなる。
【0021】
接合体1040は、円筒状の構造物1050及び円板状の構造物1051を備える。円板状の構造物1051は、円筒状の構造物1050の一方の端部1060に溶接され、一方の端部1060に露出する開口1070を塞ぐ。
【0022】
円筒容器状の形状物1020においては、円筒状の構造物1050の外周面1061に溶接痕1030が残る。円筒状の構造物1050の外周面1061は、円筒状の構造物1050の円筒軸1080の周りを周方向に1周する。溶接痕1030も、円筒軸1080の周りを周方向に1周する。
【0023】
円筒容器状の形状物1020が接合体1040以外の構成物を備えてもよい。例えば、円筒容器状の形状物1020が蓋を備えてもよい。接合体1040が、円筒状の構造物1050及び円板状の構造物1051以外の構造物を備えてもよい。例えば、接合体1040が取手状の構造物を備えてもよい。
【0024】
3 溶接機構
溶接は、電子ビーム溶接法により行われる。電子ビーム溶接法以外の溶接法により溶接が行われてもよい。例えば、アーク溶接法、ガス溶接法、レーザー溶接法等により溶接が行われてもよい。
【0025】
溶接が電子ビーム溶接法により行われる場合は、
図1に示されるように、溶接機構1010は、溶接ヘッド1090、回転機構1091等を備える。
【0026】
溶接が行われる場合は、円板状の構造物1111が円筒状の構造物1110の一方の端部に当てられた仮組品1100が溶接に先だって準備される。
【0027】
溶接ヘッド1090は、仮組品1100を構成する円筒状の構造物1110の外周面1120に電子ビーム1130を照射する。回転機構1091は、円筒状の構造物1110の円筒軸1140を中心として仮組品1100を円筒状の構造物1110の周方向に回転させる。溶接ヘッド1090が電子ビーム1130を照射しながら回転機構1091が仮組品1100を回転させることにより、電子ビーム1130の照射スポットで円筒状の構造物1110の外周面1120が円筒状の構造物1110の周方向に走査され、円板状の構造物1111が円筒状の構造物1110の一方の端部に円筒状の構造物1110の周方向の全体にわたって溶接される。これにより、円筒容器状の形状物1020が得られる。
【0028】
溶接により、先に説明したように、円筒容器状の形状物1020を構成する円筒状の構造物1050の外周面1061に溶接痕1030が残る。
【0029】
溶接痕1030は、円筒状の構造物1050の外周面1061にあり円筒状の構造物1050の周方向に伸びる溶接ビード面により形成される。溶接ビード面の終端部以外は粗面であるが、溶接ビード面の終端部は鏡面である。このため、溶接痕1030は鏡面を含み、円筒状の構造物1050の外周面1061は溶接痕1030を含むことにより鏡面を含み、円筒容器状の形状物1020の表面は溶接痕1030を含むことにより鏡面を含む。溶接ビード面の終端部が鏡面であるのは、溶接ビード面の終端部が形成される溶接の末期においては、被溶接物を溶融させるエネルギーが絞られ、被溶接物の表面が溶融させられた後にただちに凝固させられるからである。
【0030】
4 被測定面の選択
形状測定機構1012において溶接痕1030の立体形状を測定するため、円筒容器状の形状物1020の外周面1061から溶接痕1030を含む被測定面1150が選択される。被測定面1150は、円筒状の構造物1050の一方の端部1060に近接し、円筒状の構造物1050の周方向に延び、円筒状の構造物1050の円筒軸1080の周りを一周する。溶接痕1030は、被測定面1150の一部を占める。溶接痕1030が被測定面1150の全体を占めてもよい。
【0031】
5 鏡面排除機構
図4の模式図は、ブラシ及び円筒容器状の形状物を示す。
【0032】
鏡面排除機構1011は、
図1に示されるように、ブラシ1160、回転機構1161、回転機構1162等を備える。
【0033】
ブラシ1160は、
図4に示されるように、被測定面1150に当てられる。回転機構1161は、円筒状の構造物1050の円筒軸1080を中心として円筒容器状の形状物1020を円筒状の構造物1050の周方向に回転させる。ブラシ1160が被測定面1150に当てられたまま回転機構1161が円筒容器状の形状物1020を回転させることにより、ブラシ1160で被測定面1150の全体がこすられ、被測定面1150の全体にこすり痕がつけられる。これにより、鏡面が排除された円筒容器状の形状物1021が得られる。こすり痕は、複数本の線状痕からなる。線状痕のピッチは、主にブラシ1160の仕様により決まる。複数本の線状痕の各々は、周方向に伸びる。こすり痕をつける工程が複雑になるが、複数本の線状痕の各々が円筒状の構造物1050の周方向以外に伸びてもよい。例えば、複数本の線状痕の各々が円筒状の構造物1050の軸方向に伸びてもよい。
【0034】
ブラシ1160で被測定面1150の全体がこすられ被測定面1150の全体にこすり痕がつけられた場合は、被測定面1150に含まれる鏡面がブラシ1160でこすられ、被測定面1150に含まれる鏡面にこすり痕がつけられる。鏡面にこすり痕がつけられた場合は、鏡面に凹凸が形成され、鏡面が粗面になり、鏡面が拡散反射面になり、被測定面1150から鏡面が排除される。これにより、鏡面が排除された被測定面1170が得られる。拡散反射面は、入射した光をほとんど正反射せず、入射した光をもっぱら拡散反射する。
【0035】
ブラシ1160で被測定面1150の全体がこすられるようにするために、ブラシ1160が被測定面1150に当てられたまま、ブラシ1160が被測定面1150に対して円筒状の構造物1050の周方向に相対移動させられる。円筒軸1080を中心として円筒容器状の形状物1020を回転させることに代えて、又は、円筒軸1080を中心として円筒容器状の形状物1020を回転させることに加えて、円筒軸1080を中心としてブラシ1160を回転させることにより、ブラシ1160を被測定面1150に対して円筒状の構造物1050の周方向に相対移動させてもよい。
【0036】
回転機構1162は、ブラシ1160の中心軸1180を中心としてブラシ1160を回転させる。ブラシ1160が回転する場合は、被測定面1150にこすり痕がつきやすくなり、短時間で被測定面1150から鏡面を排除できる。ただし、短時間で被測定面1150から鏡面を排除する必要がない場合は、ブラシ1160が回転させられなくてもよい。
【0037】
ブラシ1160で被測定面1150をこする処理以外の表面処理により被測定面1150から鏡面が排除されてもよい。当該表面処理には、鏡面から物質を除去することにより凹凸を形成する処理及び鏡面に物質を付加することにより凹凸を形成する処理がある。前者の処理は、例えば、レーザーアブレーションである。後者の処理は、例えば、ミストを鏡面に付着させる処理である。
【0038】
ブラシ1160で被測定面1150をこする処理により鏡面が排除される場合は、鏡面の回復を阻止でき、低いコストで鏡面を排除できる。これに対して、レーザー光を被測定面1150に照射することにより鏡面が排除される場合は、鏡面の回復を阻止できるが、低いコストで鏡面を排除できない。また、蒸気を被測定面1150に噴霧することにより鏡面が排除される場合は、低いコストで鏡面を排除できるが、鏡面の回復を阻止できない。ただし、これらの欠点を許容できる場合は、レーザー光を被測定面1150に照射することにより鏡面が排除されてもよく、蒸気を被測定面1150に噴霧することにより鏡面が排除されてもよい。
【0039】
6 形状測定機構
形状測定機構1012は、
図1に示されるように、高さ画像生成機構1200、回転機構1201等を備える。
【0040】
形状測定機構1012は、被測定面1170がもつ立体形状を光切断法を用いて測定する。立体形状は、被測定面1170の高さの分布を表現する高さ画像で表現される。
【0041】
高さ画像生成機構1200は、被測定面1170の切断位置における高さ画像を生成する。被測定面1170の切断位置における高さ画像は、被測定面1170の切断位置における高さの分布を表現した画像である。回転機構1201は、円筒容器状の形状物1021を構成する円筒状の構造物1210の円筒軸1220を中心として円筒容器状の形状物1021を円筒状の構造物1210の周方向に回転させる。これにより、切断位置で被測定面1170の全体が円筒状の構造物1210の周方向に走査され、円筒状の構造物1210の周方向が走査方向になり、円筒状の構造物1210の軸方向が幅方向になる。円筒容器状の形状物1021を円筒状の構造物1210の周方向に回転させることに代えて、高さ画像生成機構1200を円筒状の構造物1210の周方向に回転させることにより、切断位置で被測定面1170の全体が円筒状の構造物1210の周方向に走査されてもよい。走査が複雑になるが、走査方向が変更されてもよい。
【0042】
形状測定機構1012においては、回転機構1201が、切断位置に被測定面1170を走査させながら、高さ画像生成機構1200が、被測定面1170の切断位置における高さ画像を繰り返し生成する。これにより、切断位置が互いに異なる複数の高さ画像が生成される。高さ画像生成機構1200は、切断位置が互いに異なる複数の高さ画像から被測定面1170の全体の高さ画像を生成する。
【0043】
7 高さ画像生成機構
図5及び
図6の模式図の各々は、高さ画像生成機構及び被測定面を示す。
図5に示される被測定面は、切断位置に欠陥を有しない。
図6に示される被測定面は、切断位置に欠陥を有する。
【0044】
高さ画像生成機構1200は、
図5及び
図6に示されるように、青色ラインレーザー1230、3次元カメラ1231等を備える。
【0045】
8 青色ラインレーザー
青色ラインレーザー1230は、被測定面1170の切断位置にライン光1240を照射する。ライン光1240は、その中心光線束と垂直をなす断面において、線状の断面形状を有する。このため、ライン光1240が被測定面1170に照射された場合は、輝線1250が被測定面1170に描写される。輝線1250の形状は、被測定面1170の切断位置における立体形状に一致する。このため、青色ラインレーザー1230は、被測定面1170にライン光1240を照射することにより、輝線1250からなる光切断像1260を被測定面1170に描写する。
【0046】
青色ラインレーザー1230は、ライン光1240を含む面が円筒状の構造物1210の軸方向と平行をなすようにライン光1240を被測定面1170に照射する。これにより、
図5に示されるように切断位置において被測定面1170を円筒面とみなすことができる場合は光切断像1260が直線状になり、
図6に示されるように切断位置において欠陥1265の存在のため被測定面1170を円筒面とみなすことができない場合は光切断像1260が折れ曲がる。このように、光切断像1260の形状が切断位置における被測定面1170の立体形状に応じて変化するため、被測定面1170の切断位置における立体形状の測定に光切断像1260を利用できる。ライン光1240を含む面が円筒状の構造物1050の円筒軸1080と平行をなさない場合も、光切断像1260の形状が複雑になるが、被測定面1170の切断位置における立体形状の測定に光切断像1260を利用できることは同様である。
【0047】
ライン光1240がレーザー光である場合は、ライン光1240が細くなり、輝線1250が細くなり、立体形状の測定の精度が向上する。これに対して、ライン光1240がLEDスリット光である場合は、ライン光1240が太くなり、輝線1250が太くなり、立体形状の測定の精度が低下する。ただし、立体形状の測定の精度が低下することが許容される場合は、ライン光1240がLEDスリット光であってもよい。ライン光1240がレーザー光及びLEDスリット光以外であってもよい。
【0048】
ライン光1240がレーザー光である場合は、ライン光1240の波長が短くなるほどライン光1240を細くできる。このため、ライン光1240がレーザー光である場合は、望ましくはライン光1240が青色のレーザー光又は青色が属する波長より短い波長を有するレーザー光である。ただし、立体形状の測定の精度が低下することが許容される場合は、ライン光1240が青色が属する波長より長い波長を有するレーザー光であってもよい。
【0049】
ライン光1240に代えてスポット光が被測定面1170に照射されてもよい。スポット光は、その中心光線束と垂直をなす断面において、点状の断面形状を有する。このため、スポット光が被測定面1170に照射された場合は、輝点が被測定面1170に描写される。スポット光が被測定面1170に照射される場合は、輝点で被測定面1170が線状に走査される。スポット光が被測定面1170に照射される場合は、スポット光を被測定面1170に照射するのに加えて輝点で被測定面1170を線状に走査することにより被測定面1170に線状の光切断像が描写される。
【0050】
9 3次元カメラ
図7のブロック図は、3次元カメラを示す。
【0051】
図7に示されるように、3次元カメラ1231は、検出器1300、演算器1301等を備える。
【0052】
検出器1300は、CMOSイメージセンサー、光学系等を備える。検出器1300の構成が変更されてもよい。
【0053】
検出器1300は、被測定面1170の一部を占める被撮像領域1270を撮像することにより画像を生成する。被撮像領域1270には光切断像1260が描写されるので、被撮像領域1270を撮像することにより生成される画像には光切断像が写る。
【0054】
検出器1300は、正反射光をよけて被撮像領域1270を撮像する。検出器1300が正反射光をよけて被撮像領域1270を撮像する場合は、拡散反射光が検出器1300に入射するが正反射光が検出器1300に入射せず、拡散反射光により被測定面1170の立体形状が測定される。これに対して、検出器1300が正反射光をよけずに光切断像1260を撮像する場合は、正反射光が検出器1300に入射する。正反射光が検出器1300に入射する場合は、正反射光の光量が過剰であるため、イメージセンサーが備える電荷蓄積部から蓄積電荷が溢れ出し受光量を正しく検出できない等の不具合が発生しやすい。
【0055】
検出器1300は、一定のフレームレートで被撮像領域1270を撮像する。これにより、切断位置が互いに異なる複数の画像が生成される。フレームレートが可変であってもよい。
【0056】
演算器1301は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を備える。演算器1301の構成が変更されてもよい。
【0057】
演算器1301は、切断位置が互いに異なる複数の画像の各々から切断位置における高さ画像を生成する。これにより、切断位置が互いに異なる複数の高さ画像が生成される。
【0058】
演算器1301は、切断位置が互いに異なる複数の高さ画像から被測定面1170の全体の高さ画像を生成する。
【0059】
演算器1301の機能の全部又は一部が、制御機構1014に担われてもよく、3次元カメラ1231の外部に備えられたパーソナルコンピューター等の汎用演算器に担われてもよい。
【0060】
10 生成される画像
図8及び
図9の模式図の各々は、生成される画像を示す。
図8は、
図5に示される被撮像領域が撮像された場合に生成される画像を示す。
図9は、
図6に示される被撮像領域が撮像された場合に生成される画像を示す。
図8に示される画像及び
図9に示される画像の各々においては、画素に描かれるハッチングのピッチにより画素が表現する輝度が示され、画素が表現する輝度が明るくなるほど画素に描かれるハッチングのピッチが広くなる。
【0061】
光切断像1260の形状は被測定面1170の切断位置における立体形状に応じて変化するため、生成される画像1310に写る光切断像1315の形状も被測定面1170の切断位置における立体形状に応じて変化する。
図5に示されるように切断位置に欠陥がなく直線状の光切断像1260が被測定面1170に描写される場合は、
図8に示されるように直線状の光切断像1315が生成される画像1310に写る。
図6に示されるように切断位置に欠陥があり折れ曲がった光切断像1260が被測定面1170に描写される場合は、
図9に示されるように折れ曲がった光切断像1315が生成される画像1310に写る。
【0062】
生成される画像1310においては、写った光切断像1315上の各点の横方向の位置が切断位置における幅方向位置を示し、写った光切断像1315上の各点の縦方向の位置が当該幅方向位置における被測定面1170の高さを示す。縦方向の位置が被測定面1170の高さを示し横方向の位置が幅方向位置を示すようにされてもよい。
【0063】
生成される画像1310においては、写った光切断像1315の中心線の位置において輝度が最も高くなり、写った光切断像1315の中心線から離れるにしたがって輝度が低くなる。
【0064】
11 高さ画像を生成する処理
図9に示される画像に着目して高さ画像を生成する処理を説明する。
【0065】
図10の模式図は、輝度頂点等を示す。
図11の模式図は、被測定面の切断位置における高さ画像を示す。
図12の模式図は、被測定面の全体の高さ画像を示す。
図11に示される画像及び
図12に示される画像の各々においては、画素に描かれるハッチングのピッチにより画素が表現する輝度が示され、画素が表現する輝度が明るくなるほど画素に描かれるハッチングのピッチが広くなる。
【0066】
演算器1301は、
図10に示されるように、画像1310の複数の列の各々における輝度頂点1320を求める。輝度頂点1320の各点の横方向の位置は切断位置における幅方向位置を示し、縦方向の位置は当該幅方向位置における被測定面1170の高さを示す。
【0067】
続いて、演算器1301は、
図11に示されるように、被測定面1170の切断位置における高さ画像(1次元画像)1340を生成する。高さ画像1340においては、各画素の横方向の位置が切断位置における幅方向位置を示し、各画素が表現する輝度が当該幅方向位置における被測定面1170の高さを示す。このため、高さ画像1340は、被測定面1170の切断位置における立体形状を示す。
【0068】
さらに続いて、演算器1301は、
図12に示されるように、切断位置が互いに異なる複数の高さ画像1340を合成することにより高さ画像(2次元画像)1350を生成する。高さ画像1350においては、各画素の横方向の位置が幅方向位置を示し、各画素の縦方向位置が走査方向位置を示し、各画素が表現する輝度が当該幅方向位置及び当該走査方向位置における被測定面1170の高さを示す。このため、高さ画像1350は、被測定面1170の全体の立体形状を示す。
【0069】
12 鏡面を排除することの利点
図13の模式図は、高さ画像生成機構及び被測定面を示す。
図13に示される被測定面は、切断位置に鏡面を有する。
図14の模式図は、生成される画像を示す。
図14は、
図13に示される被測定面が撮像された場合に生成される画像を示す。
【0070】
図13に示されるように被撮像領域1270が鏡面1360を有する場合は、ライン光1240が被測定面1170に照射された場合に鏡面1360がライン光1240を正反射し、光量の大きい正反射光1370が発生する。光量の大きい正反射光1370が発生した場合は、発生する拡散反射光1371の光量が小さくなり、検出器1300に入射する拡散反射光1371の光量が小さくなる。このため、
図14に示されるように、画像に写る光切断像1315に欠落1380が生じやすく、被測定面1170の立体形状の測定に欠落が生じやすい。
【0071】
しかし、作製される円筒容器状の形状物1020の表面が鏡面を含む場合においても、鏡面排除機構1011により被測定面1150から鏡面があらかじめ排除された場合は、被測定面1170がライン光1240を正反射しにくくなり、光切断像1315が欠落しにくくなり、被測定面1170の立体形状が欠落なく測定される。
【0072】
13 判定
制御機構1014は、測定された被測定面1170の立体形状から凹状の欠陥の径及び深さを求め、求められた凹状の欠陥の径が基準より小さく求められた凹状の欠陥の深さが基準より小さい場合に測定された被測定面1170の立体形状が条件に適合すると判定し、条件に適合すると判定された立体形状を持つ被測定面1170を有する円筒容器状の形状物1021を搬送機構1013に選択させる。選択された円筒容器状の形状物1021は、製品の円筒容器になる。これにより、製品の円筒容器が得られる。凹状の欠陥の径及び深さの片方が判定対象から除外されてもよい。凹状の欠陥の径及び深さの両方又は片方が欠陥の他の部分の大きさに置き換えられてもよい。凹状の欠陥以外の欠陥の大きさが判定対象にされてもよい。
【0073】
14 線状痕のピッチ
図15の模式図及び
図16の模式図の各々は、被撮像領域を示す。
【0074】
図15に示されるように、被撮像領域1270は、行列状に配列された複数の画素領域1390からなる。
【0075】
生成される画像1310は、
図8及び
図9に示されるように、複数の画素領域1390の各々の輝度を表現する画素1420を含むことにより、複数の画素1420からなる。画素が輝度以外の階調情報を表現してもよい。
【0076】
こすり痕は、
図15に示されるように、複数本の線状痕1400からなる。
【0077】
複数本の線状痕1400の各々が
図15に示されるように矢印1410で示される走査方向に伸びる場合は、複数本の線状痕1400における走査方向と垂直をなす方向についての線状痕のピッチが、複数の画素領域1390における走査方向と垂直をなす方向についての画素領域のピッチより狭くなるように、ブラシ1160の仕様が選択される。これにより、複数の画素領域1390の各々が少なくとも1本の線状痕1400を含み、複数の画素領域1390の全部において正反射が抑制されもっぱら拡散反射が起こり、複数の画素1420の全部において光切断像1315の欠落が抑制される。
【0078】
複数本の線状痕1400の各々が
図16に示されるように走査方向と垂直をなす方向に伸びる場合は、複数の画素領域1390における走査方向についての線状痕のピッチが走査方向についての光切断像1260の太さより狭くなるようにブラシ1160の仕様が選択される。これにより、光切断像1260が幅方向の全体にわたって線状痕1400がつけられた領域に描写され、正反射が抑制され、もっぱら拡散反射が起こり、光切断像1315の欠落が抑制される。
【0079】
15 生産する製品
この実施形態の円筒容器を生産する方法は、円筒容器以外の製品の生産にも転用される。円筒容器を生産する方法が円筒容器以外の製品の生産に転用される場合は、生産される製品に応じた形状物が準備される。例えば、円板状の構造物でない一の構造物が円筒状の構造物でない他の構造物に溶接された接合体を備える形状物が準備され、接合体が有する溶接痕の立体形状が測定されてもよい。一の構造物が他の構造物に溶接以外の接合方法により接合された接合体を備える形状物が準備され、鏡面を含む接合痕の立体形状が測定されてもよい。例えば、はんだ付け痕の立体形状が測定されてもよい。準備される形状物が接合体を備えなくてもよく、接合痕でない鏡面が被測定面から排除された後に被測定面の立体形状が測定されてもよい。製品の生産以外の用途に立体形状を測定する方法が転用されてもよい。
【課題】形状物が有する被測定面の表面が鏡面を含む場合においても、被測定面が切断光を正反射しにくくし、光切断像を欠落しにくくし、被測定面の立体形状を欠落なく測定する方法を提供する。
【解決手段】円筒容器の生産においては、鏡面を含む表面を有する円筒容器状の形状物1020が準備される。鏡面を含む被測定面が表面から選択される。鏡面を含む被測定面から鏡面が排除される。鏡面が排除された被測定面が持つ立体形状が光切断法を用いて拡散反射光により測定される。測定された立体形状が条件に適合するか否かが判定される。条件に適合すると判定された立体形状を持つ被測定面を有する円筒容器状の形状物から円筒容器が得られる。