(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978449
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】大容量円筒型リチウムイオン電池用コア巻回体の極板タブ端面整形方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/26 20060101AFI20160817BHJP
H01M 2/22 20060101ALI20160817BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20160817BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20160817BHJP
【FI】
H01M2/26 A
H01M2/22 B
H01M10/052
H01M10/0587
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-507333(P2015-507333)
(86)(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公表番号】特表2015-519689(P2015-519689A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】CN2012078196
(87)【国際公開番号】WO2013159454
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】201210122201.X
(32)【優先日】2012年4月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189224
【氏名又は名称】シーリエン アペックス ファイアン テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHIHLIEN APEX Huaian Technology CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン グイピン
(72)【発明者】
【氏名】チャン パンイ
【審査官】
大畑 通隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−310254(JP,A)
【文献】
特開2003−162995(JP,A)
【文献】
特開2002−050343(JP,A)
【文献】
特開2006−032112(JP,A)
【文献】
特開昭63−119552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/26
H01M10/04−0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極板タブの端面の箔状体に対して高周波振動を与え、圧力を加えることによって、極板タブの端面における0.1〜6.5mmの範囲内の箔状体が撓み、極板タブの端面における正、負極の箔状体が互いに絡み合って圧縮されることを特徴とする、正負極板が連続的に塗布され容量が30Ahよりも大きい大容量円筒型リチウムイオン電池用コア巻回体の極板タブ端面整形方法。
【請求項2】
0.1〜100.5kWのハイパワー超音波を用いて極板タブの端面の箔状体に対して高周波振動を与えることを特徴とする請求項1に記載の正負極板が連続的に塗布され容量が30Ahよりも大きい大容量円筒型リチウムイオン電池用コア巻回体の極板タブ端面整形方法。
【請求項3】
前記正、負極の箔状体は、それぞれ圧縮されて0.1〜6.5mmだけ減少することを特徴とする請求項1に記載の正負極板が連続的に塗布され容量が30Ahよりも大きい大容量円筒型リチウムイオン電池用コア巻回体の極板タブ端面整形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新エネルギーとエネルギー蓄積発電所に関する化学電源技術分野に属し、特に、風力エネルギーと太陽エネルギーの貯蔵エネルギー及び動力用の大容量円筒型リチウムイオン電池技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、風力エネルギー、太陽エネルギーが急速に発展しているが、生成される電気エネルギーが十分に安定しないため、パワーラインに衝撃を与えやすい。よって、相応するエネルギー蓄積発電所を作ることが必要になるが、風力エネルギー、太陽エネルギーにより生成される電気を蓄積するために、エネルギー蓄積に用いられる信頼性の高い大容量リチウムイオン電池が求められている。エネルギー蓄積発電所においては電池に対する要求がとても高く、例えば、高い信頼性及び長い使用寿命(10年以上)等が求められている。大容量円筒型リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度(≧130wh/kg)及び製造工程が簡単である等のメリットを有する。
【0003】
しかしながら、技術上では、大容量円筒型リチウムイオン電池は、容量が大きく(>30Ahアンペア時)、極板が長いため、普通の小容量円筒型リチウムイオン電池の製造方法を用いて製造することが困難である。従来の普通の小容量円筒型リチウムイオン電池の正、負極極板の製造時には、間欠塗布を行う。間欠塗布の目的は、棒状極板タブ(ニッケル又はアルミニウム又は銅材)を溶接するためであるが、大容量円筒型リチウムイオン電池も間欠塗布を用いれば、極板をローラープレスするときのスピードが遅く、溶接を必要とする棒状極板タブの数が多く、棒状極板タブと塗布するギャップの溶接作業量が多く、また、絶縁テープを貼らなければならないので、製造プロセスが複雑になり、効率が低くなり、容量密度もこれによって低くなる。よって、大容量円筒型リチウムイオン電池は、間欠塗布の方法を行うことが難しく、極板の左又は右側の箔状体の集電体に塗布していない領域を残し、塗布していない箔状体の集電体を巻いて極板タブの端面を形成し、極板タブの端面における塗布していない箔状体の働きは、電流をひきだす(出力)ことである。
【0004】
大容量円筒型リチウムイオン電池は、電池の電流が集電体から出力されやすくするために、極板タブの端面の箔状体を集電体と溶接する必要があるが、極板タブの端面の箔状体(例えば、銅箔又はアルミ箔)は、厚さが薄くて(6〜30マイクロメートル)柔らかであり、変形しやすいので、集電体と溶接される際、圧力を加えると、箔状体全体が湾曲又は変形する。よって、円筒型の極板タブの端面は、直径が大きくなる又は外へ突起することになるので、コア巻回体は、これによりケースに入れられず又はケースと導通して短絡する。また、箔状体の端面に圧力を直接に加えることで、端面が変形して平らではなくなることにより、集電体との溶接面積が小さく、溶接の強度が低くなるので、極板タブの端面の箔状体を整形することが必要になる。
【0005】
従来技術における箔状体を整形する方法の1つは、正、負極極板の塗布されていない部分をレーザーによりストリップ形状に予備カットし、正極極板、負極極板と隔膜をコア巻回体となるように巻いた後、これらのストリップ形状の箔状体を1つの瓶の蓋形状の集電体盤に溶接する。この整形方法では、レーザーにより箔状体をストリップ形状にカットする必要があり、プロセスが複雑であり、効率が低く、コストが高く、箔状体がストリップ形状にカットされた後、その本体の強度が低くなり、集電体盤に溶接されると、引き切られやすく、もとの箔状体に比べ、ベアリング電流が小さく、いわゆる倍の労力をかけて半分の成果しか得られない。
【0006】
また、従来の小円筒型電池のケースは、通常、一端のみがローリングスロットであり又はローリングスロットではない。そのローリングスロットは、機械により押し出して密閉するためである。機械により押し出して密閉する方法は、ケースの端部の金属壁を数回曲げた後、端部キャップの有機密閉リングを包むことで、機械による密閉を実現するが、長時間使用(5年〜15年以上)により、僅かな漏れが生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術課題は、製造プロセスが簡単であり、単位体積内の箔状体の重量密度及び剛性が増大する、大容量円筒型リチウムイオン電池
用コア巻回体の極板タブ端面整形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した技術課題を解決するために、本発明が採用する技術案は、極板タブの端面の箔状体に対して高周波振動を行い、相応する圧力を加えることにより、極板タブの端面における0.1〜6.5mmの範囲内の箔状体がフレキシブルとなり、極板タブの端面の正、負極の箔状体が互いに絡み合って圧縮される、正負極板が連続的に塗布され
容量が30Ahよりも大きい大容量円筒型リチウムイオン電池
用コア巻回体の極板タブ端面整形方法である。
【0009】
0.1〜100.5kWのハイパワー高周波超音波振動ヘッドを用いて極板タブの端面の箔状体に対して高周波振動を与えることが好ましい。
【0010】
前記正、負極の箔状体がそれぞれ圧縮されて0.1〜6.5mmだけ減少することが好ましい。
【0011】
上述した技術課題を解決するために、本発明が採用するもう1つの技術案は、次のステップを含む大容量円筒型リチウムイオン電池の製造方法を提供する:
1)コア巻回体の製造:正極をスラリー化
し、正極極板を連続的に塗布し、正極極板をローラープレスし、正極極板を切断し、負極をスラリー化し、負極極板を連続的に塗布し、負極極板をローラープレスし、負極極板を切断し、正、負極極板と隔膜をコア巻回体に形成する、
2)コア巻回体の極板タブの端面整形及び溶接:高周波超音波振動ヘッドが極板タブの端面の箔状体に対して高周波振動を与え、相応する圧力を加えると、極板タブの端面の0.1〜6.5mmの範囲内の箔状体が撓んで、正負極の箔状体が互いに絡み合って圧縮され、形成後の極板タブの端面と集電体がレーザーにより溶接され、高周波超音波振動ヘッドの形状が平面形状又は突出リブ(突出台)付きの平面形状である。突出リブ(突出台)付きの高周波超音波振動ヘッドにより、極板タブの端面に対して高周波振動を与えて整形し、形成後の極板タブの端面は、
図10に示すように、凹み構造付きの形状である。
3)電池ケースの組立て:極板タブの端面に溶接される集電体と極板タブを溶接し、極板タブのもう1つの端と正負極極柱の底部を溶接し、集電体及び極板タブ付きの巻回体をケースに入れ、電池ケースと端部キャップをレーザーにより溶接して密閉し、真空による乾燥を行い、電解液を注入し、活性化と選別スクリーニングをし、鋼球で密閉する。集電体と極板タブが一体化されてもよく、これにより1つの溶接工程を減らすことができる。
【0012】
前記正極極板は、正極活物質と、正極集電体と、接着剤とを含み、前記正極活物質は、燐酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、酸化ニッケルコバルトマンガンリチウム、燐酸マンガンリチウム、燐酸マンガン鉄リチウム又は珪酸マンガンリチウムであり、前記正極集電体は、アルミ箔であり、前記接着剤は、ポリオレニトリル系接着剤、セネガルゴム、変性ポリ酸化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ブタジエン―スチレンゴムラテックス又はカルボキシメチル繊維素であり、前記負極極板は、負極活物質と、負極集電体と、接着剤とを含み、前記負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛の混合物、メソカーボンマイクロビーズ、金属スズ、珪素又はチタン酸リチウムであり、前記接着剤は、ポリオレニトリル系接着剤、セネガルゴム、変性ポリ酸化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ブタジエン―スチレンゴムラテックス又はカルボキシメチル繊維素であることが好ましい。
【0013】
前記隔膜は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンという3つの層の複合微細孔隔膜、単層ポリプロピレン微細孔隔膜、ポリイミド微細孔隔膜又はポリ四弗化エチレン微細孔隔膜であることが好ましい。
【0014】
前記電解液は、溶剤と、可溶性リチウムと、添加剤とを含み、前記溶剤は、炭酸ビニルエステル、炭酸メチルエチルエステル、炭酸アクリルエステル、炭酸ジメチルエステル、炭酸ジエチルエステル、炭酸メチルプロピルエステル又は酢酸エチルであり、前記可溶性リチウムは、ヘキサフルオロリン酸リチウム、リチウムビスオキサラトホウ酸塩又はイミンリチウムであり、前記添加剤は、プロパンスルトン、炭酸ビニリデンエステル、フッ化炭酸エステル、亜硫酸ビニルエステル、ヘキサメチル二珪アミンアルキル又は亜燐酸トリフェニルエステルであることが好ましい。
【0015】
上述した技術課題を解決するために、本発明が採用するもう1つの技術案は、電池ケースと、電池ケース内に設けられているコア巻回体と、コア巻回体の両端をパッキン押えする集電体と、極板タブにより集電体と接続する極柱と、電池の二極の端部キャップとを含み、前記極柱は、正極極柱と、負極極柱とを含み、前記端部キャップは、正極端部キャップと、負極端部キャップとを含み、前記集電体は、正極集電体と、負極集電体とを含み、
前記正極極柱の材質は、アルミ合金であり、負極極柱の材質は、銅メッキニッケルであり、前記正極集電体の材質は、アルミ合金であり、負極集電体の材質は、銅メッキニッケルであり、正極集電体及び負極集電体には、電解液が流れ込むための液入口が設けられ、
前記正極集電体と正極極板タブは、レーザーにより溶接されて固定され、前記正極極板タブの材質は、アルミ合金であり、正極極板タブのもう1つの端と正極の端部キャップは、溶接され、前記負極集電体と負極極板タブは、レーザーにより溶接されて固定され、前記負極極板タブの材質は、銅メッキニッケルであり、負極極板タブのもう1つの端と負極極柱は、レーザーにより溶接されて固定され、集電体と極板タブが一体にされてもよく、これにより1つの溶接工程を減らすことができる。
前記コア巻回体の正負極の極板タブの端面の箔状体は、それぞれ圧縮されて0.1〜6.5ミリメートルだけ減少され、極板タブの端面の箔状体が互いに絡み合うことが好ましい。
【0016】
前記電池ケースの、前記正極極板タブと負極極板タブに位置するところには、ローリングスロットが設けられ、前記ローリングスロットは、前記円筒体を一周囲むことが好ましい。
【0017】
前記正極極柱と正極の端部キャップは、アルミインゴット一次押し出し又は鋳造方式により一体的に成形されることが好ましい。
【0018】
本発明の有益な効果は、極板タブの端面の箔状体を高周波振動で撓ませ、圧力を加えると、極板タブの端面の0.1〜6.5mmの範囲内の箔状体が「瞬間可塑化」されて撓み、高周波振動の瞬間、箔状体の剛性が大幅に低下し、箔状体同士が互いに絡み合って圧縮され、単位体積内の箔状体の重量密度が増大すると同時に、極板タブの端面が揉まれて平らになるので、端面の圧縮された箔状体の剛性が大幅に増大し、極板タブの端面と集電体をレーザーにより溶接するという次の工程がやりやすくなり、極板タブの端面と集電体のレーザーによる溶接の有効面積が大きくなり、(表1に示すように)溶接の強度が高まる。箔状体がストリップ形状にカットされ、集電体盤に溶接されると、引き切られやすく、ベアリング電流が小さいという従来技術に比べ、顕著に改良されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る大容量円筒型リチウムイオン電池の構造模式図である。
【
図2】本発明に係る大容量円筒型リチウムイオン電池のコア巻回体の構造模式図である。
【
図3】本発明に係る大容量円筒型リチウムイオン電池のコア巻回体を整形する前の構造模式図である。
【
図4】本発明に係る大容量円筒型リチウムイオン電池のコア巻回体を整形した後の構造模式図である。
【
図5】本発明に係る大容量円筒型リチウムイオン電池の正極端部キャップと凸台及び極柱が一体化された構造模式図である。
【
図6】本発明に係る大容量円筒型リチウムイオン電池の正極極板の形状模式図である。
【
図7】本発明に係る大容量円筒型リチウムイオン電池の負極極板の形状模式図である。
【
図8】本発明に係る実施例の高周波超音波振動ヘッドの模式図である。
【
図9】本発明に係る実施例の集電体と極板タブとが一体化された模式図である。
【
図10】本発明に係る実施例の巻回体の端面の形成後の窪み付きの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照しながら、具体的な実施例を挙げて本発明の技術内容、構造特徴、実現しようとする目的及び効果について更に詳しく説明する。
【0021】
(実施例1)
図1〜
図10に示すように、本発明の前記極板タブの端面18は、正負極極板及び隔膜15が巻かれたとき、負極の塗布していない部分の銅箔又は正極の塗布していない部分のアルミ箔の縁により形成された端面であり、コア巻回体2の円筒型の底面に相当する。アルミ箔、銅箔は、厚さがとても薄く(0.03mmより小さい)、柔らかいので、本発明の大容量円筒型リチウムイオン電池の内部のコア巻回体2の極板タブの端面18の箔状体(例えば、銅箔又はアルミ箔)を形成する方法では、3.5kWの高周波超音波振動押出ヘッドで正極及び負極の極板タブの端面18のアルミ箔状体及び銅箔状体に対して同時に高周波振動を与え、撓むと共に、押し出しを行うと、高周波振動の瞬間、箔状体の剛性が大幅に低下し、箔状体同士が互いに絡み合って「面の結び」が形成され、圧縮され、正極及び負極の極板タブの端面18の箔状体がそれぞれ圧縮されて1.5mmだけ減少し、即ち、巻回体全体の高さが約3mmだけ減少する。単位体積内の箔状体の重量密度が増大すると同時に、極板タブの端面18が揉まれて平らになるので、端面の圧縮された箔状体の剛性が大幅に増大し、次のステップで極板タブの端面18と集電体をレーザーにより溶接しやすくなり、極板タブの端面18と集電体をレーザーにより溶接する有効面積が大きくなり、溶接の強度が高まる。
【0022】
本発明のコア巻回体2の極板タブの端面18の整形方法は、スーパーコンデンサー等のエネルギー貯蔵化学物理装置にも同様に適用する。リン酸鉄リチウム電池系、コバルト酸リチウム電池系、三次元材料電池系、マンガン酸リチウム電池系、チタン酸リチウム電池、リン酸マンガンリチウム
等の系列のリチウム電池に適用する。
【0023】
(実施例2)
図1〜
図5に示すように、本発明の大容量円筒型リチウムイオン電池は、電池ケース1と、電池ケース1内に配置された、セル軸3に巻かれるコア巻回体2と、コア巻回体2の両端をパッキン押えする集電体と、極板タブにより集電体と接続する極柱と、電池の二極の端部キャップとを含み、前記極柱は、正極極柱11と、負極極柱7とを含み、前記端部キャップは、正極端部キャップ13と、負極端部キャップ6とを含み、前記集電体は、正極集電体14と、負極集電体4とを含み、前記正極極柱11の材質は、アルミ合金であり、負極極柱7の材質は、銅メッキニッケルであり、前記正極集電体14の材質は、アルミ合金であり、負極集電体4の材質は、銅メッキニッケルであり、正極集電体14及び負極集電体4には、電解液が流れ込む液入口が設けられ、前記正極集電体14と正極極板タブ10は、レーザーにより溶接されて固定され、前記正極集電体14と正極極板タブ10、負極集電体4と負極極板タブ8のそれぞれ互いに接する1つの面には、フェルトパッド9が設置され、前記正極極板タブ10の材質は、アルミ合金であり、正極極板タブ10のもう1つの端と正極の端部キャップ13は、溶接され、前記負極集電体4と負極極板タブ8は、レーザーにより溶接されて固定され、前記負極極板タブ8の材質は、銅メッキニッケルであり、負極極板タブ8のもう1つの端と負極極柱7は、レーザーにより溶接されて固定され、前記コア巻回体2の正負極の極板タブの端面18の箔状体がそれぞれ圧縮されて1.5ミリメートルだけ減少され、極板タブの端面18の箔状体が互いに絡み合っている。
【0024】
本発明の大容量円筒型リチウムイオン電池の製造工程は、次の通りである:正極をスラリー化し、正極極板を連続的に塗布しー正極極板をローラープレスし、正極極板を切断し、負極をスラリー化し、負極極板を連続的に塗布し、負極極板をローラープレスし、負極極板を切断し、正、負極極板と隔膜15をコア巻回体2に形成し、コア巻回体2の極板タブに対して超音波を送出して振動させて揉まれて平らになるように整形し、整形後の極板タブの端面18と集電体18を溶接し、集電体と極板タブを溶接し、極板タブと正負極極柱の底部を溶接し、集電体及び極板タブ付きの巻回体をケースに入れ、電池ケース1と端部キャップをレーザーにより溶接して密閉し、真空で乾燥を行い、電解液を注入し、活性化と選別スクリーニングをし鋼球12で密閉する。コア巻回体2の両端の極板タブに対して超音波を送出して振動して揉まれて平らになるように整形する方法は、実施例1の整形方法である。
【0025】
即ち、本発明の大容量円筒型リチウムイオン電池の製造時、電池ケース1は、電池正極の端部キャップ13と負極極柱6をレーザーにより溶接し、正極極柱11の材質は、アルミ合金であり、負極極柱7の材質は、銅メッキニッケルであり、正極集電体14の材質は、アルミ合金であり、負極集電体4の材質は、銅メッキニッケルであり、正極集電体14及び負極集電体4には、電解液が流れ込むための液入口が4つ設けられ、正極集電体14と正極極板タブ10をレーザーにより溶接し、正極極板タブ10の材質は、アルミ合金であり、当該正極極板タブ10のもう一端は、正極の端部キャップ13と溶接するので、正極極柱11と導通する。負極集電体4と負極極板タブ8をレーザーにより溶接し、負極極板タブ8の材質は、銅メッキニッケルであり、当該負極極板タブ8のもう一端と負極極柱7をレーザーにより溶接し、本発明の高周波超音波振動送出形成技術により電池ケース1内のコア巻回体2を形成し、極板タブの端面18の箔状体が圧縮されて1.5mmだけ減少され、極板タブの端面18の箔状体が互いに絡み合って「面の結び」が形成され、極板タブの端面18の箔状体の剛性が大幅に増大する。コア巻回体2は、リン酸鉄リチウム活性材料が塗布されている正極極板17と、黒鉛活性材料が塗布されている負極極板16と、材質がポリエチレン又はポリプロピレンである隔膜15と、材質がポリ四弗化エチレン又はポリプロピレン又はアルミである巻回体の中心のセル軸3とを備える。電池の正極極柱には、注液口が設けられており、注液完了後、鋼球12で注液口を封する。
【0026】
本発明の大容量円筒型リチウムイオン電池の製造プロセスは、次の通りである:前記正極スラリーは、リン酸鉄リチウムであり、導体炭素とポリフッ化ビニリデン接着剤(溶剤NMPに溶解する)を強く撹拌して得られたペーストであり、負極スラリーは、黒鉛であり、導体炭素、カルボキシメチル繊維素ナトリウムCMC、ブタジエン―スチレンゴムラテックスSBR、ポリオレニトリル族LA132、LA133系接着剤(消イオンに溶解する)を強く撹拌して分散して得られたペーストである。
【0027】
前記正極極板17は、正極活物質と、正極集電体と、接着剤とを含み、前記正極極板17活物質は、燐酸鉄リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、酸化ニッケルコバルトマンガンリチウム、燐酸マンガンリチウム、燐酸マンガン鉄リチウム、珪酸マンガンリチウムであり、前記正極集電体は、アルミ箔であり、前記接着剤は、アラビアゴム、変性ポリ酸化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ブタジエン―スチレンゴムラテックス又はカルボキシメチル繊維素である。
【0028】
前記負極極板16は、負極活物質と、負極集電体と、接着剤とを含み、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛の混合物、メソカーボンマイクロビーズ、金属スズ、珪素又はチタン酸リチウムである。前記接着剤は、アラビアゴム、変性ポリ酸化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ブタジエン―スチレンゴムラテックス又はカルボキシメチル繊維素又はポリオレニトリル族LA132、LA133系である。
【0029】
前記隔膜15は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンという3つの層の複合微細孔隔膜、単層ポリプロピレン微細孔隔膜又はポリイミド微細孔隔膜、ポリ四弗化エチレン微細孔隔膜である。
【0030】
前記電解液は、溶剤と、可溶性リチウムと、添加剤とを含み、前記溶剤は、炭酸ビニルエステル、炭酸メチルエチルエステル、炭酸アクリルエステル、炭酸ジメチルエステル、炭酸ジエチルエステル、炭酸メチルプロピルエステル又は酢酸エチルであり、前記可溶性リチウムは、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ドデ弗化硼素酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ホウ酸塩又はイミンリチウムであり、前記添加剤は、プロパンスルトン、炭酸ビニリデンエステル、ビニルエチレンカボネト、フッ化炭酸エステル、亜硫酸ビニルエステル、ヘキサメチル二珪アミンアルキル又は亜燐酸トリフェニルエステルである。
【0031】
本実施例においては、前記円筒型電池ケース1の、前記正極極板タブ10と負極極板タブ8に位置するところには、ローリングスロット5が設けられ、前記ローリングスロット5は、前記円筒体を一周囲む。具体的には、前記ローリングスロット5の溝の深さは、0.1〜5mmであり、3mmが、最も適切なデザインサイズである。前記リチウムイオン電池の製造時、円柱体の電池ケース1の一端をローリングスロット5にした後、コア巻回体2を入れ、もう一端をローリングスロット5にすることにより、
図1に示すように、両端にもローリングスロット5を有するリチウムイオン電池の構造になる。本発明は、両端にもローリングスロット5を有するリチウムイオン電池ケース1の構造を用いる。機械により押し出して密閉するという従来の小円筒型電池ローリングスロットの目的に比べ、本発明の目的は、内部のコア巻回体を有効に固定し、電池の内部空間を増加し、絶縁シートの充填を減少し、電解液の注液量を増やし、密閉時にレーザーによる溶接の高温によりコア巻回体2の隔膜15を破損するリスクを減らし、電池の内部内圧を減少し、電池の安全性を高め、集電体と出力極柱の極板タブの接続に有利になるので、大電流の出力に有利になり、電池全体の性能を高め、電池の使用寿命を5〜15年以上に伸ばすことができる。
【0032】
(比較実施例1)
実施例2との違いは、極板タブの端面と集電体を直接にレーザーにより溶接し、極板タブの端面の箔状体に対して超音波の高周波振動を与えるという整形をしない。
極板タブの端面と集電体の溶接強度の比較
【表1】
【0033】
上述した内容は、本発明の実施例であり、本発明は、これらの実施例に限られるものではない。本発明の主旨から逸脱しない限り、様々な変形や取り替えは、全て本発明の請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 電池ケース
2 コア巻回体
3 コア軸
4 負極集電体
5 ローリングスロット
6 負極端部キャップ
7 負極極柱
8 負極極板タブ
9 フェルトパッド
10 正極極板タブ
11 正極極柱
12 鋼球
13 正極端部キャップ
14 正極集電体
15 隔膜
16 負極極板
17 正極極板
18 極板タブの端面