(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978452
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】気泡上昇水流発生器
(51)【国際特許分類】
F04F 1/18 20060101AFI20160817BHJP
F03B 17/02 20060101ALI20160817BHJP
A01K 63/04 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
F04F1/18 A
F03B17/02
A01K63/04 C
【請求項の数】1
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2012-52634(P2012-52634)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-185530(P2013-185530A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年6月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305060969
【氏名又は名称】石井 孝
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−347377(JP,A)
【文献】
特開昭54−028954(JP,A)
【文献】
特開2002−021699(JP,A)
【文献】
特開昭56−118575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 1/18
A01K 63/04
F03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流の水源1と下流の貯水場2があり、その間に適当な落差3があり、上流の水源1から下流の貯水場2へ水を流すホース4とホース4の途中の空気穴、空気穴より上流のエネルギーを弱めるためのオリフィスやフィルターを有し、エアーブロアー、エアーコンプッレサー、エアーポンプ等の人工的な動力を使用せず、水源1からホース4の中を水が落下するエネルギーを利用し、空気の取込口として空気穴と混合部5を兼用する混合部5をホース4自体に有する気泡上昇水流発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水の自然エネルギー(位置エネルギー)と気泡を利用した動力源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気泡上昇水流を利用した動力源でブロアーやエアーコンプレッサー、エアーポンプ等の電気機器を利用し、水中に気泡を発生させる方法等があるが、これらは別の電力を必要としており設備も大掛かりになる。
【0003】
ダムや河川の水圧を利用してトンネル(パイプ)等の圧縮室へ空気を送り込み圧縮し、高圧空気を吹き出し動力源にするものもあるが他の電力は使用しないが、これについても設備が大掛かりになる。
【0004】
高圧水下の水中で発生させる気泡の浮力を利用したものでは、高圧水下よりも高圧力で水中に空気を出すための大掛かりな設備が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−183637号公報
【特許文献2】特開2000−257544号公報
【特許文献3】特開平6−173841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、水中に気泡を発生させるために、自然の力で空気(気体)を水と混合することなく電気設備のブロアーやエアーコンプレッサー、エアーポンプ等、または圧縮室等を使用して水中に直接空気を噴射するが、大掛かりな設備が必要であり、これらの大掛かりな設備を全く使用せず、安価で安定した気泡上昇水流を発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、基本的に水源(河川、泉、ダム、ため池等)が上流にあり下流に貯水場(ダム、ため池、海、プール等)があればホース(パイプや配管等)数本で気泡上昇水流を発生させることができる。日本では、河川にはいつも水が流れている状態が多く見られるため、本発明による自然エネルギーの利用は有効と考えられる。また、ホース数本を組み合わせて、既設の貯水場等に気泡混合水を流すことで既設設備の利用が可能である。
【0008】
上流の水源から下流の貯水場へ水を流すためのホースを繋ぎ、ホースの入り口から空気と水を混合するためにホースの入り口を全て水へ沈めることなく、ある程度の割合で空気中へ出すことにより、水と空気が混合されホースへ流れ込むが、水源の水位が安定しないとホースの入り口が全て水中へ沈んだり、全て空気中に出たりする。
この場合は、ホースを上流の水源に沈めておきホースの途中に小さい空気穴を数個開ける。空気穴より上流の位置エネルギーが、空気穴より下流の位置エネルギーより小さい時に、空気穴から空気が入りホースの中で水と混合されて流れる。その逆に空気穴より上流の位置エネルギーの方が大きいと空気穴から水が溢れ出る。
【0009】
空気穴から水が溢れる場合は空気穴より上流の位置エネルギーを制限する必要がある。例えば、空気穴のすぐ上流をオリフィスやフィルター等で流れを制限しエネルギーを弱めたり、上流になるほど内径を小さくしたり、空気穴のすぐ上流を切り離し、切り離した上流側の口を貯水槽や漏斗等に入れ、下流側の切り離した口を貯水槽や漏斗の底部付近へ取り付け、貯水槽や漏斗を上流の水源に変更する等、位置エネルギーについて工夫が必要である。(水と気泡混合部)
【0010】
水中に気泡混合水を流すためのホースの注意点としてホースの入り口に水源のごみが入らないような工夫が必要である。また、気泡の浮力で貯水場の水面へホースが浮かないようにおもりを付けたり固定すること等が必要である。
【0011】
本発明で発生する気泡上昇水流の途中にスクリューや水車等の羽根車を設置して回転するための動力源にしたり、バケツを逆さにしたようなものに気泡を一時的に溜めて浮力で上昇させ、上昇したところで中の空気を抜き下降するような仕組みで上下運動するための動力源にしたり、その他、気泡の振動を電力エネルギーに変換する等、色々な動力源として使用できる。主に発電に使用することが望ましいと考えられる。また、浴槽の上端より上に適当な落差がある水源用の貯水槽を設け、貯水槽に湯を汲み入れることで気泡風呂や風呂の攪拌器としての応用が可能である。
【0012】
ダムやため池などに気泡を含む水を流すことによる効果として、攪拌と空気の補給により水質改善が考えられる。さらに、気泡上昇水流で羽根車(スクリュー、水車等)を回すことで貯水場全体の水が回転し、より攪拌効果が大きくなる。
【0013】
ホースの先端におもりを取り付け、下向きにホースから気泡が混ざった水を流すことでヘドロ等に水流で穴を掘り、穴の中に気泡も同時に吹き出す。これを繰り返し水流で穴を掘ることで多くの穴ができ微生物が活性化しヘドロの浄化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】自然エネルギーを利用した気泡上昇水流発生器
【符号の説明】
【0015】
1 上流の水源
2 下流の貯水場
3 落差
4 ホース
5 水と気泡混合部