(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
本発明は、a)式(1)の化合物、その立体異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩と、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、任意選択のc)少なくとも1種の追加の獣医薬剤と、を含む新規の抗寄生虫組成物に関し、
【0006】
上記式中、
R
1a、R
1b、及びR
1cは、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、C
1−C
6アルコキシ、C
0−C
3アルキルC
3−C
6シクロアルキル、C
1−C
6ハロアルコキシ、−C(O)NH
2、−SF
5、又は−S(O)
pRであり;
R
2は、フルオロ、クロロ、又はC
1−C
6アルキルであり;
R
3は、シアノ、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、−C(O)NR
aR
b、C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、C
2−C
6ハロアルケニル、又はC
2−C
6ハロアルキニルであり;
R
4は、水素、C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、C
0−C
6アルキルC
3−C
6シクロアルキル、C
0−C
6アルキルフェニル、C
0−C
6アルキルへテロアリール、又はC
0−C
6アルキルへテロサイクルであり;
R
5は、水素、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、−S(O)
pR
c、又はC
1−C
6アルコキシであり;
Rは、少なくとも1つのハロ置換基で任意に置換されていてもよいC
1−C
6アルキル又はC
3−C
6シクロアルキルであり;
R
aは、水素、C
1−C
6アルキル、又はC
0−C
3アルキルC
3−C
6シクロアルキルであり;アルキル及びアルキルシクロアルキルは、シアノ又は少なくとも1つのハロ置換基で任意に置換されていてもよく;
R
bは、水素、C
1−C
6アルキル、C
3−C
6シクロアルキル、C
0−C
3アルキルフェニル、C
0−C
3アルキルへテロアリール、又はC
0−C
3アルキルへテロサイクルであり、それぞれ、化学的に可能な場合、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、又は−S(O)
pRから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよく;
R
cは、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、C
1−C
6ハロアルキルC
3−C
6シクロアルキル、C
0−C
3アルキルC
3−C
6シクロアルキル、C
0−C
3アルキルフェニル、C
0−C
3アルキルへテロアリール、又はC
0−C
3アルキルへテロサイクルであり、それぞれ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、C
1−C
6ハロアルキル、−S(O)
pR、−SH、−S(O)
pNR
aR
b、−NR
aR
b、−NR
aC(O)R
b、−SC(O)R、−SCN、又は−C(O)NR
aR
bから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよく;
R
4がC
1−C
6アルキル又はC
0−C
6アルキルC
3−C
6シクロアルキルの場合、それぞれの部分が、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6ハロアルコキシ、C
1−C
6ハロアルキル、C
1−C
6アルキル、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル−、−S(O)
pR
c、−SH、−S(O)
pNR
aR
b、−NR
aR
b、−NR
aC(O)R
b、−SC(O)R、−SCN、又は−C(O)NR
aR
bから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよく;
R
4がC
0−C
6アルキルフェニル、C
0−C
6アルキルへテロアリール、又はC
0−C
6アルキルへテロサイクルの場合、それぞれの部分が、シアノ、ハロ、オキソ、=S、=NR
5、ヒドロキシルC
1−C
6アルキル−、ヒドロキシル、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、−SH、−S(O)
pR、及びC
1−C
6ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基でさらに任意に置換されていてもよく;
nは、整数0、1、又は2であり、nが2の場合、R
2同士が同じであっても異なっていてもよく;
pは、整数0、1、又は2である、
化合物、その立体異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩に関する。
【0007】
本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、水素、ハロ、シアノ、C
1−C
6ハロアルキル、及びC
0−C
3アルキルC
3−C
6シクロアルキルから独立に選択される。本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、水素、ハロ、シアノ、及びC
1−C
6ハロアルキルから独立に選択される。本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、及びC
1−C
6ハロアルキルから独立に選択される。本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びC
1−C
6ハロアルキルから独立に選択される。本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、及び−CF
3から独立に選択される。本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、水素、フルオロ、クロロ、及び−CF
3から独立に選択される。本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、水素、フルオロ、及びクロロから独立に選択される。本発明のさらに別の態様では、R
1a、R
1b、及びR
1cのそれぞれは、クロロである。本発明のさらに別の態様では、R
1a及びR
1cはクロロであり、R
1bは水素である。本発明のさらに別の態様では、R
1a及びR
1cはクロロであり、R
1bはフルオロである。
【0008】
本発明のさらに別の態様では、R
2は、ハロ、シアノ、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、ヒドロキシル、−C(O)NR
aR
b、−S(O)
pR、又は−ORである。本発明のさらに別の態様では、R
2は、ハロ、シアノ、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、又はヒドロキシルである。本発明のさらに別の態様では、R
2は、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、メチル、エチル、CF
3、又はヒドロキシルである。本発明のさらに別の態様では、R
2は、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、又はCF
3である。
【0009】
本発明のさらに別の態様では、R
3は、シアノ、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6ハロアルキル、又は−C(O)NH
2である。本発明のさらに別の態様では、R
3は、シアノ、C
1−C
6アルキル、又はC
1−C
6ハロアルキルである。本発明のさらに別の態様では、R
3は、シアノ、メチル、エチル、又はC
1−C
6ハロアルキルである。本発明のさらに別の態様では、R
3は、シアノ、メチル、又はC
1−C
6ハロアルキルである。本発明のさらに別の態様では、R
3は、シアノ、又はC
1−C
6ハロアルキルである。本発明のさらに別の態様では、R
3は、C
1−C
6ハロアルキルである。本発明のさらに別の態様では、R
3は、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、及び−CF
2Clである。本発明のさらに別の態様では、R
3は、−CF
3、−CHF
2、及び−CH
2Fである。本発明のさらに別の態様では、R
3は、−CF
3である。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、R
4は、C
1−C
6アルキル、C
0−C
6アルキルフェニル、C
0−C
6アルキルC
3−C
6シクロアルキル、C
0−C
6アルキルへテロアリール、又はC
0−C
6アルキルへテロサイクルである。本発明のさらに別の態様では、R
4は、C
1−C
6アルキルである。本発明のさらに別の側面において、R
4は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、及びイソブチルなどが挙げられる。R
5のC
1−C
6アルキルのそれぞれは、本明細書中に定義されているように、例えば、シアノ、ヒドロキシル、ハロ、トリフルオロメチル、−S(O)
pR及び−NHCHOから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよい。本発明のさらに別の態様では、R
4は、C
0−C
6アルキルC
3−C
6シクロアルキルである。本発明のさらに別の態様では、R
4は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、−CH
2シクロプロピル、−CH
2シクロブチル、−CH
2シクロペンチル、チアタン、オキセタン、アゼチジン、−(CH
2)
2シクロプロピル、−(CH
2)
2シクロブチル、−(CH
2)
2シクロペンチル、−CH
2チアタン、−CH
2オキセタン、−CH
2アゼチジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジンなどが挙げられる。R
4のC
0−C
6アルキルC
3−C
6シクロアルキルのそれぞれは、本明細書中に定義されているように、例えば、シアノ、オキソ、−S(O)
pR
c、ヒドロキシル、−CH
2OH、ハロ、メチル、エチル、及びトリフルオロメチルから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよい。本発明のさらに別の態様では、R
4は、C
0−C
6アルキルフェニルである。本発明のさらに別の態様では、R
4は、フェニル、−CH
2フェニル、−(CH
2)
2フェニルなどが挙げられる。本発明のさらに別の態様では、R
4のC
0−C
6アルキルフェニル部分は、本明細書中に定義されているように、例えば、シアノ、ヒドロキシル、−S(O)
pR
c、メチル、ハロ、及びトリフルオロメチルで任意に置換されてもよい。本発明のさらに別の態様では、R
4は、C
0−C
6アルキルへテロアリールである。本発明のさらに別の態様では、R
4は、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、−CH
2ピラゾール、−CH
2ピリジン、−CH
2イミダゾール、−(CH
2)
2ピラゾール、−(CH
2)
2ピリジン、及び−(CH
2)
2イミダゾールである。R
5のC
0−C
6アルキルへテロアリール部分のそれぞれは、本明細書中に定義されているように、例えば、シアノ、ヒドロキシル、−S(O)
pR
c、メチル、ハロ、及びトリフルオロメチルから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されてもよい。本発明のさらに別の態様では、R
4は、C
0−C
6アルキルへテロサイクルである。本発明のさらに別の態様では、R
4は、オキシラン、チアラン、アジリジン、オキセタン、アゼチジン、チアタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、−CH
2オキシラン、−CH
2チアラン、−CH
2アジリジン、−CH
2オキセタン、−CH
2アゼチジン、−CH
2チアタン、−CH
2テトラヒドロフラン、−CH
2テトラヒドロチオフェン、−CH
2ピロリジン、−CH
2テトラヒドロピラン、−CH
2ピペリジン、−CH
2ピペラジンなどが挙げられる。R
4のC
0−C
6アルキルへテロアリール部分のそれぞれは、本明細書中に定義されているように、例えば、シアノ、ヒドロキシル、−S(O)
pR
c、シアノ、メチル、ハロ、及びトリフルオロメチルから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されてもよい。
【0011】
本発明の別の態様では、(R
2)
nの整数nは0である。本発明の別の態様では、(R
2)
nの整数nは1である。整数nが1の場合、R
2は本明細書中で定義されている通りである。本発明のさらに別の態様では、(R
2)
nの整数nは2である。整数nが2の場合、R
2は相互に独立しており、本明細書中で定義されている通りである。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、pは、整数0である。本発明のさらに別の態様では、pは、整数1である。本発明のさらに別の態様では、pは、整数2である。
本発明の別の態様は、a)式(1)の化合物、その立体異性体、又は薬学的又は獣医学的に許容可能なその塩、b)大環状ラクトン又はその誘導体、及びc)少なくとも1種の追加の獣医薬剤を含む組成物である。
【0013】
本発明の別の態様では、式(1)の化合物は、
1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルチオ)エタノン;
(R)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルチオ)エタノン;
(S)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルチオ)エタノン;
1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルフィニル)エタノン;
(R)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルフィニル)エタノン;
(S)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルフィニル)エタノン;
1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン(式1.1);
(R)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン;
(S)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン(化合物A);(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2’,3’−ジヒドロスピロ[アゼチジン−3,1’−インデン]−1−イル)(1,1−ジオキシドチエタン−3−イル)メタノン;
(R)−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2’,3’−ジヒドロスピロ[アゼチジン−3,1’−インデン]−1−イル)(1,1−ジオキシドチエタン−3−イル)メタノン;
(S)−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−2’,3’−ジヒドロスピロ[アゼチジン−3,1’−インデン]−1−イル)(1,1−ジオキシドチエタン−3−イル)メタノン;
1−(5’−(5−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン;
(R)−1−(5’−(5−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン;
(S)−1−(5’−(5−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン;
1−(5’−(5−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン;
(R)−1−(5’−(5−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン;
(S)−1−(5’−(5−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン;
2−(メチルスルホニル)−1−(5’−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)エタノン;
(R)−2−(メチルスルホニル)−1−(5’−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)エタノン;及び
(S)−2−(メチルスルホニル)−1−(5’−(5−(トリフルオロメチル)−5−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)エタノン;
からなる群から選択される化合物、その立体異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩である。
【0014】
本発明の別の態様では、式(1)の化合物は、
1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン(以降、式(1.1)の化合物と呼ぶ)、
【0016】
その立体異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩である。
【0017】
本発明の別の態様では、式(1)の化合物は、
(S)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン(化合物A)、又はその立体異性体、もしくは、獣医学的又は薬学的に許容可能なその塩である。
【0018】
上述の組成物及び/又は後述の組成物のそれぞれは、少なくとも1種の薬学的又は獣医学的に許容可能なキャリアを任意に含んでもよい。さらに、上述の組成物及び/又は後述の組成物のそれぞれは、少なくとも1種の薬学的又は獣医学的に許容可能なキャリアを含む。
【0019】
また、本発明は、a)式(1.1)の化合物と、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0020】
また、本発明は、a)式(1.1)の化合物と、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0021】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0022】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0023】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)モキシデクチンと、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0024】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)モキシデクチンと、c)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0025】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)モキシデクチンと、c)パモ酸ピランテル、オキサンテル、モランテル、ノバルロン、イミダクロプリド、フェバンテル、クエン酸ピペラジン、ニクロサミド、ルフェヌロン、ニテンピラム、オキシベンダゾール、フェンベンダゾール、フィプロニル、及びアミトラズ、又はこれらの任意の組み合わせ、とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0026】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)モキシデクチンと、c)パモ酸ピランテルとを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0027】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)セラメクチンと、c)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0028】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)ミルベマイシン又はミルベマイシンオキシムと、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0029】
また、本発明は、a)化合物Aと、b)モキシデクチン、セラメクチン、ミルベマイシン又はミルベマイシンオキシムと、c)任意選択のプラジカンテル又はエプシプランテルとを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
また、本発明は、有効量の式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aと、大環状ラクトン又はその誘導体と、少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0030】
また、本発明は、それを必要とする動物において寄生虫感染又は寄生虫体内侵入を治療する方法も意図しており、該方法は、a)式(1.1)の化合物、又は化合物Aと、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物を投与することを含む。
また、本発明は、それを必要とする動物において寄生虫感染又は寄生虫体内侵入を治療する方法も意図しており、該方法は、a)化合物Aと、b)モキシデクチン、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、又はセラメクチンと、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物を投与することを含む。
【0031】
また、本発明は、それを必要とする動物において寄生虫感染又は寄生虫体内侵入を治療する方法も意図しており、該方法は、a)化合物Aと、b)モキシデクチン、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、又はセラメクチンと、c)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物を投与することを含む。
【0032】
また、本発明は、薬剤として、有効量の、a)式1、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aと、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物も意図している。
【0033】
また、本発明は、有効量のそれぞれの活性薬剤を、それを必要とする動物に投与することにより、それを必要とする動物において寄生虫感染又は寄生虫体内侵入を治療するための、a)式(1)、式(1.1)の化合物、又は化合物Aと、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物の使用も意図している。
【0034】
本発明の別の態様では、大環状ラクトン又はその誘導体は、イベルメクチン、エマメクチン、セラメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、アバメクチン、エプリノメクチン、ミルベマイシン、及びミルベマイシンオキシムからなる群から選択される。
【0035】
本発明の別の態様では、追加の獣医薬剤は、モネパンテル、テトラヒドロピリミジン (例えば、ピランテル(パモ酸塩、エンボン酸塩、クエン酸塩、及び酒石酸塩)、オキサンテル、モランテルなど)、フェバンテル、クエン酸ピペラジン、ニクロサミド、フェンベンダゾール、オキシベンダゾール、メベンダゾール、フルベンダゾール、ジクロルボス、イミダクロプリド、昆虫成長調整剤(例えば、s−メソプレン、ヒドロプレン、プラジカンテル、エプシプランテル、アザジラクチン、ジオフェノラン、フェノキシカルブ、キノプレンなど)、表皮形成阻害剤(例えば、クロルフルアズロン、シロマジン、ジフルベンズロン、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、テブフェノジド、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロンなど)、及びニテンピラムからなる群から選択される。
【0036】
本発明の別の態様では、a)式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aと、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む獣医学的又は薬学的組成物が、それを必要とする動物に、経口、局所、又は注射(皮下、筋肉内、及び静脈内に)経路を介して投与される。好ましい投与経路は、経口及び局所である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書中に記載及び特許請求される本発明の目的のために、用語及び語句を下記のように定義する。
【0038】
本明細書において、「追加の獣医学用薬剤」とは、別段の記載のない限り、本明細書中に記載のように、動物における寄生虫感染の治療に有用な治療有効量の前記薬剤を提供する他の獣医学的又は薬学的化合物又は製品を指す。
【0039】
本明細書において、「アルコキシ」とは、別段の記載のない限り、更なるアルキル置換基を有する酸素部分を指す。アルコキシ基のアルキル部分(alkyl portion)(すなわちアルキル部分(alkyl moiety))は、下記と同じ定義を有する。アルコキシ基の非制限的な例としては、−OCH
3、−OCH
2CH
3などが挙げられる。
【0040】
本明細書において、「アルキル」とは、別段の記載のない限り、一般式C
nH
2n+1の飽和一価炭化水素アルカンラジカルを指す。アルカンラジカルは、直鎖でも分枝でもよく、非置換でも置換されていてもよい。例えば、用語の「(C
1−C
6)アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含有する一価の直鎖又は分枝脂肪族基を指す。(C
1−C
6)アルキル基の非制限的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、n−プロピル、n−ブチル,i−ブチル、s−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル部分は、脂肪族鎖の炭素原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。アルキル基は、本明細書中に記載のように任意に置換されていてもよい。さらに、アルキルフェニルのような複合語に使用される場合、前記アルキル部分は本明細書中に定義されているのと同じ意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。複合語アルキルフェニルの非限定的例な例としては、C
1アルキルフェニルは−CH
2フェニルであり、C
2アルキルフェニルは−CH
2CH
2フェニルであり、C
0フェニルはフェニルであるなど挙げられる。
【0041】
本明細書において、「アルケニル」とは、別段の記載のない限り、2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合(例えば−C=C−、又は−C=CH
2)を含有する直鎖又は分枝脂肪族炭化水素鎖を指す。アルケニルの非制限的な例としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニルなどが挙げられる。
【0042】
本明細書において、「アルキニル」とは、別段の記載のない限り、2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合(例えば−C≡C−、又は−C≡CH)を含有する直鎖又は分枝脂肪族炭化水素鎖を指す。アルキニルの非制限的な例としては、エチニル、2−プロピニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニルなどが挙げられる。
【0043】
本明細書において、「動物」とは、別段の記載のない限り、哺乳動物、鳥、又は魚である個別の動物を指す。具体的には、哺乳動物は、ヒト及びヒト以外の脊椎動物のことを言い、分類学上の哺乳綱のメンバーである。ヒト以外の哺乳動物の非制限的な例としては、伴侶動物及び家畜などが挙げられる。伴侶動物の非制限的な例としては、イヌ、ネコ、ラマ、及びウマなどが挙げられる。好適な伴侶動物は、イヌ、ネコ、及びウマである。さらに好適なのはイヌである。家畜の非制限的な例としては、ブタ、ラクダ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、シカ、ヘラジカ、ウシ(畜牛)、及びバイソンなどが挙げられる。好適な家畜はウシ及びブタである。具体的には、鳥は分類学上の鳥綱の脊椎動物を指す。鳥は、羽毛及び翼を持ち、二足歩行、内温性であり、産卵する。鳥の非制限的な例としては、家禽(poultry)(例えば、ニワトリ、七面鳥、アヒル、及びガチョウ)などで、本明細書中ではこれらすべてを家禽(fowl)とも呼ぶ。
【0044】
本明細書において、「炭素環式」とは、別段の記載のない限り、炭素原子のみを含有する部分飽和又は飽和5〜7員環のことを言い、単環であることも、縮合環又はスピロ環部分の一部のこともある。炭素環の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、及びシクロヘプタンなどが挙げられる。炭素環は本明細書中に記載のように任意に置換されていてもよい。
【0045】
本明細書において、「キラル」とは、別段の記載のない限り、分子をその鏡像に重ね合わせることができないという分子の構造的特徴のことである(例えば、「R」及び「S」エナンチオマー)。この用語は、実施例及び製造法では、星印(すなわち*)でも記載され、S及びRエナンチオマーの両方を含むキラル中心を意味する。特に指示がない限り、特定の高次構造を示さない化合物構造は、全ての可能な配座異性体の組成物を包含することが意図されている。
【0046】
本発明において、「本発明の組成物」は、別段の記載のない限り、a)式(1)の化合物、その立体異性体、又は薬学的又は獣医学的に許容可能なその塩と;式(1.1)の化合物、その立体異性体、又は薬学的又は獣医学的に許容可能なその塩;又は化合物A,又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩;(それぞれの化合物の遊離塩基を含む)と、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む組成物を意味する。組成物は、少なくとも1種の薬学的又は獣医学的に許容可能なキャリアをさらに含む。
【0047】
本明細書において、「シクロアルキル」とは、別段の記載のない限り、完全飽和又は部分飽和の炭素環式アルキル部分を含む。部分飽和シクロアルキルの非制限的な例としては、シクロプロペン、シクロブテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロヘプタ−1,3−ジエンなどが挙げられる。好適なシクロアルキルは、3〜6員の飽和単環式環で、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含む。シクロアルキル基は、炭素環内の炭素原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。シクロアルキル基は少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよい。さらに、アルキルシクロアルキルのような複合語に使用される場合、前記アルキル及びシクロアルキル部分は本明細書中に定義されているのと同じ意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。C
0−C
6アルキルC
3−C
6シクロアルキルの例としては、メチルシクロプロパン(C
1アルキルC
3シクロアルキル又は−CH
2シクロプロパン)、エチルシクロプロパン(C
2アルキルC
3シクロアルキル又は−CH
2CH
2シクロプロパン)、メチルシクロブタン(C
1アルキルC
4シクロアルキル又は−CH
2シクロブタン)、エチルシクロブタン(C
2アルキルC
4シクロアルキル又は−CH
2CH
2シクロブタン)、メチルシクロヘキサン(C
1アルキルC
6シクロアルキル又は−CH
2シクロヘキサン)などが挙げられる。C
0アルキルC
3−C
6シクロアルキルはC
3−C
6シクロアルキルである。シクロアルキル部分は本明細書中に記載のように置換されていてもよい。
【0048】
本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」とは、別段の記載のない限り、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。さらに、「ハロアルキル」、「ハロアルコキシ」、「ハロアルケニル」、又は「ハロアルキニル」のような複合語に使用される場合、前記アルキル、アルコキシ、アルケニル、及びアルキニルは、同じ又は異なっていてもよいハロゲン原子で部分的に又は完全に置換されうる。前記アルキル、アルコキシ、アルケニル、及びアルキニル部分は、上記と同じ意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。「ハロアルキル」の例としては、F
3C−、ClCH
2−、CF
3CH
2−及びCF
3CCl
2−などが挙げられる。用語「ハロアルコキシ」は、用語「ハロアルキル」と同様に定義される。「ハロアルコキシ」の例としては、CF
3O−、CCl
3CH
2O−、HCF
2CH
2CH
2O−及びCF
3CH
2O−などが挙げられる。用語「ハロアルケニル」は、脂肪族鎖が少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有しているという以外、用語「ハロアルキル」と同様に定義される。「ハロアルケニル」の例としては、CF
3C=C−、CCl
3C=C−、HCF
2C=C−及びCF
3C=CC−などが挙げられる。用語「ハロアルキニル」は、脂肪族鎖が少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含有しているという以外、用語「ハロアルキル」と同様に定義される。「ハロアルキル」の例としては、F
3CC≡C−、Cl
3CC≡C−、HF
2CC≡C−などが挙げられる。
【0049】
本明細書において、「ヘテロアリール」又は「Het」とは、別段の記載のない限り、5〜6員の芳香族単環式環又は8〜10員の縮合芳香環で、前記単環及び縮合環部分が、N、O、又はSからそれぞれ独立して、選択される一つ又は複数のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含有するものを指す。単環式ヘテロアリールの非制限的な例としては、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルなどが挙げられる。縮合ヘテロアリールの非制限的な例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、チエノ[2,3−c]ピリジン、チエノ[3,2−b]ピリジン、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールなどが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式環又は縮合環内の炭素原子又は窒素ヘテロ原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。さらに、アルキルヘテロアリールのような複合語に使用される場合、前記アルキル及びヘテロアリール部分は本明細書中に定義されているのと同じ意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。例えば、C
0アルキルへテロアリールはヘテロアリールであり、C
1アルキルへテロアリールは−CH
2ヘテロアリールであり、C
2アルキルへテロアリールは−CH
2CH
2ヘテロアリールであるなどが挙げられる。ヘテロアリールは、本明細書中に記載のように置換されていてもよい。
【0050】
本明細書において、「ヘテロサイクル」とは、別段の記載のない限り、N、O、又はSからそれぞれ独立して、選択される1種以上のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含有する部分飽和又は飽和3〜7員の単環式環を指す。ヘテロ環式環は、縮合環又はスピロ環部分の一部であってもよい。ヘテロサイクルの非制限的な例としては、オキシラン、チアラン、アジリジン、オキセタン、アゼチジン、チアタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、2H−アジリン、2,3−ジヒドロアゼト、3,4−ジヒドロ−2H−ピロールなどが挙げられる。ヘテロサイクル基は、環内の炭素原子又は窒素ヘテロ原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。さらに、アルキルヘテロサイクルのような複合語に使用される場合、前記アルキル及びヘテロサイクル部分は本明細書中に定義されているのと同じ意味を有し、脂肪族鎖の炭素原子のいずれか一つによって化学部分に結合できる。例えば、C
0アルキルへテロサイクルはヘテロサイクルであり、C
1アルキルへテロサイクルは−CH
2ヘテロサイクルであり、C
2アルキルへテロサイクルは−CH
2CH
2ヘテロサイクルであるなどが挙げられる。ヘテロサイクルは、本明細書中に記載のように置換されていてもよい。
【0051】
本明細書において、「任意に置換されていてもよい(optionally substituted)」は、置換又は非置換という語句と互換的に使用される。別段の記載のない限り、任意に置換されていてもよい基は、基の各置換可能な位置に置換基を有することができ、各置換は互いに独立である。任意に置換されていてもよい基は置換基を持たなくてもよい。従って、「少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよい」という語句は、置換基の数がゼロから置換に利用できる位置の数までの範囲で変動しうることを意味する。
【0052】
本明細書において、「寄生虫」とは、別段の記載のない限り、内部寄生虫及び外部寄生虫を指す。内部寄生虫は、その宿主の体内に棲む寄生虫で、寄生蠕虫(例えば、吸虫、条虫、及び線虫)及び原虫を含む。外部寄生虫は、その宿主の皮膚を通じて又は皮膚上で摂餌する節足動物門の生物である(例えば、クモ形類動物、昆虫、及び甲殻類(例えば、カイアシ−フナムシ))。好適なクモ形類動物は、ダニ目、例えばマダニ(tick)及びマダニ以外のダニ類(mite)である。好適な昆虫は、小昆虫、ノミ、カ、刺咬バエ(サシバエ、ノサシバエ、クロバエ、ウマバエなど)、トコジラミ、及びシラミである。本発明の好適な化合物は、寄生虫の治療、すなわち寄生虫感染又は寄生虫体内侵入の治療に使用できる。
【0053】
本明細書において、「治療有効量」又は「有効量」とは、別段の記載のない限り、(i)特定の寄生虫感染又は寄生虫体内侵入を治療する、(ii)特定の寄生虫感染又は寄生虫体内侵入による1以上の症状を軽減、改善、又は除去する、又は(iii)本明細書中に記載の特定の寄生虫感染又は寄生虫体内侵入による1以上の症状の発症を防ぐ又は遅らせる本発明の化合物の量を指す。
本明細書において、「治療」又は「治療する(こと)」とは、別段の記載のない限り、寄生虫の感染、寄生虫体内侵入、又は状態を逆転、緩和、又は抑制することを言う。本明細書において、これらの用語は、動物の状態に応じて、障害もしくは状態、又は障害もしくは状態に伴う症状の発症を防止することも包含する。また、前記感染又は体内侵入による苦痛の前に障害又は状態又はそれに伴う症状の重症度を低減することも含む。従って、治療とは、投与時点で寄生虫感染又は寄生虫体内侵入に苦しめられていない動物への本発明の化合物の投与と言うこともできる。治療とは、寄生虫感染もしくは寄生虫体内侵入又はそれに伴う症状の再発を防止すること、並びに「制圧」(例えば、死滅、撃退、駆逐、無能化、抑止、排除、緩和、最小化、及び根絶)の意味も包含する。
【0054】
本明細書において、「獣医学的に許容可能な」とは、別段の記載のない限り、物質又は組成物が、製剤、組成物を含む他の成分と、及び/又はそれで治療される動物と化学的に及び/又は毒性学的に適合性がなくてはならないことを示す。「薬学的に」許容可能という用語は、「獣医学的に」許容可能に関して述べたのと同じ意味を有する。
【0055】
式(1)及び式(1.1)の化合物に言及する場合、これらの化合物は、その立体異性体、及び薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩のいずれかをも含み、また同様に遊離塩基も含む。
【0056】
化合物Aに言及する場合、この化合物は、薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩のいずれかをも含み、また同様に遊離塩基、特に結晶形Aも含む。
【0057】
薬学的/獣医学的組成物
本発明の組成物は、任意の好適な経路を介して、好ましくは薬学的に許容可能な又は獣医学的に許容可能で、このような経路に適合した組成物の形で目的の治療に対する有効用量を投与できる。従って、具体的には、本発明は、a)式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aと、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、c)任意選択の少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを組み合わせて含む薬学的又は獣医学的組成物を含む。組成物は、少なくとも1種の薬学的又は獣医学的に許容可能なキャリアをさらに含む。投与される本発明の化合物の量及び該化合物を使って状態又は疾患を治療するための投与計画は、年齢、体重、性別及び動物の病状、疾患の重症度、投与の経路と頻度などの種々の要因に依存し、従って、広範囲に変化してよい。本発明の組成物の投与は、付随的に投与されるのが好ましく、また、同時に投与されるのが好ましい。しかし、該組成物は、例えば、投与時に簡単に混合できる別々の組成物を2連のチューブ構造体に入れ、それを順次投与してもよい。
【0058】
本発明の組成物の投与は、月1回を意図している。しかし、長期間用処方では、2、3、4、5、又は6ヶ月に1回の投与も可能である。年に1回の投与も意図されている。
【0059】
好ましくは、本発明の組成物の投与は、約0.1〜25mg/kg、好ましくは約0.5〜10mg/kg、更により好ましくは約1〜5mg/kg、最も好ましくは約1〜2.5mg/kgの範囲の用量の式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aを動物に投与するように実行される。例えば、ピランテル、フェンベンダゾール、イベルメクチン、セラメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシンオキシム、オキサンテル、イミダクロプリドなどの追加の獣医薬剤に対しては、用量の範囲は、通常、承認製品ラベルに基づく範囲である。例えば、モキシデクチンに対して約0.5〜10μg/kgの用量範囲が意図される。より好ましいのは、約1〜5μg/kg、より好ましくは、約3μg/kgのモキシデクチンの用量範囲が意図されている。ミルベマイシンオキシムの承認用量(0.5〜2mg/kg)、(0.6μg/kg)及びセラメクチンの承認用量(6mg/kg)が意図されている。
【0060】
別の例では、ピランテルに対し約1〜15mg/kgの用量範囲が意図されている。より好ましくは、ピランテルの約2〜10mg/kgの用量、より好ましくは5mg/kgの用量が意図されている。さらに、追加の獣医薬剤の承認用量としては、例えば、イミダクロプリド(10mg/kg)、フェバンテル(15mg/kg)、プラジカンテル(3.5〜12mg/kg)、オキサンテル(20mg/kg)、クエン酸ピペラジン(200mg/kg)、及びルフェヌロン(10mg/kg)が意図されている。局所用溶液としては、式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aは、約0.1〜1000mg/mL、好ましくは約0.5〜500mg/mL、より好ましくは約1〜250mg/mL、更により好ましくは約2〜200mg/mLである。局所用溶液の最終の容積に応じて、有効成分の濃度は、上記の濃度から変わってもよい。同様に、大環状ラクトン及びその誘導体、並びに追加の獣医薬剤は、通常、前記化合物に対する承認用量に相当する量が投与される。
【0061】
注射可能組成物に対しては、より少ない用量の式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aのために、経口又は局所組成物の場合の投与量に比べて、より少ない量で十分でありうる。同様に、追加の獣医薬剤並びに大環状ラクトン及びその誘導体でも、同様に用量の変更が必要となる場合がある。
【0062】
適切な薬学的又は獣医学的に許容可能なキャリアは、当業者に周知であり、炭水化物、ワックス、水溶性及び/又は膨潤性ポリマー、親水性又は疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水などの材料を含む。特定のキャリアは、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存する。溶媒は、一般的に、動物への投与で安全であると当業者に認められている溶媒に基づいて選択される。製剤は、洗練された見栄え(elegant presentation)を良くするか、又は組成物の製造に役立てるために、1種以上の緩衝液、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、香料、フレーバー及びその他の既知の添加剤を含めることもできる。
【0063】
製剤は、従来の溶解及び混合手順を用いて製造できる。それらを製造するこのような組成物及び方法は、例えば「Remington’s Veterinary Sciences」,第19版(Mack Publishing Company,1995;及び、H.Lieberman及びL.Lachmanによる「Veterinary Dosage Forms:Tablets,Vol.1」,MaRcel Dekker,N.Y.,1980(ISBN 0−8247−6918−X)に見出すことができる。本発明の化合物は、典型的には、獣医学用剤形に製剤化されて、容易に制御可能な投与用剤形が提供される。さらに、式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aは、最終剤形に添加される前に噴霧乾燥分散物に処方できる。
【0064】
キャリアの選択は、特定の投与方式、溶解性及び安定性に及ぼす担体の影響、及び剤形の性質といった因子に大きく依存する。
【0065】
本発明の組成物の投与法には、経口、局所、及び注射が含まれる。
【0066】
本発明の組成物は、カプセル、ボーラス、錠剤、散剤、ロゼンジ、咀嚼剤(堅い及び柔らかく美味な)、マルチ及びナノ粒子、ゲル、固溶体、フィルム、スプレー、又は液体形態によって経口投与できる。経口投与は、組成物投与に好ましい方法である。経口製剤は、少なくとも1種のキャリア、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、N−メチルピロリドン又はその他のピロリドン、ゼラチン化及びアルファ化デンプン、プロピレングリコール、グリセリン、グリコール酸ナトリウムデンプン、メチルセルロース、糖(ラクトース、デキストロース、マンノースなど)又は好適な植物油、及び1種以上の乳化剤、風味剤(例えば、動物(豚肉、牛肉、イノシシ)及び非動物風味剤(けむり、及びその他の合成風味剤))、及び/又は沈殿防止剤をさらに含む。液体形は、懸濁液、溶液、シロップ、水薬及びエリキシル剤を含む。液体製剤は、例えば小袋(sachet)から固体を取り出して再構成することによって調製されてもよい。経口用の水薬は、一般的に、本発明の化合物を適切な媒体(例えば、トリエチレングリコール、ベンジルアルコールなど)に溶解又は懸濁することによって調製される。本発明の組成物は、食物と一緒に、例えば、食餌混合物(鳥や魚用食物ペレット)として処方することもできる。防腐剤及び抗酸化剤(例えば、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、クエン酸など)を製剤中に含めることもできる。
【0067】
本発明の組成物は、皮膚又は粘膜に局所投与することもできる。すなわち皮膚又は経皮投与である。これは、別の好ましい投与方法であり、従って、このような製剤に適合された、例えば、液体形態の本発明の組成物を開発することが望ましい。この目的のための典型的な製剤としては、ポアオン(pour−on)、スポットオン(spot−on)、マルチスポットオン(multi−spot−on)、ストライプオン(stripe−on)、コームオン(comb−on)、ロールオン(roll−on)、ディップ、スプレー、ムース、シャンプー、粉末製剤、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯、泡沫、フィルム、皮膚パッチ、ウエハース、インプラント、スポンジ、ファイバー、救急絆及びマイクロエマルジョンなどが挙げられる。リポソームもキャリアとして使用できる。典型的なキャリアには、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、N−メチルホルムアミド、モノ及びジグリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGMME)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGMEE)など)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。浸透促進剤を配合してもよい。例えば、Finnin及びMorganによるJ Pharm Sci,88(10),955−958(1999年10月)を参照されたい。ポアオン又はスポットオン製剤は、活性成分を、ブチルジゴール、流動パラフィン又は不揮発性エステルなどの許容可能な液体キャリアビヒクル中に溶解することによって調製できる。任意にプロパン−2−オール又はグリコールエーテルなどの揮発性成分を添加してもよい。あるいは、ポアオン、スポットオン又はスプレー製剤は、活性成分の残渣を動物の表面に残すためにカプセル化によって製造することもできる。この効果としては、本発明の組成物が増大した作用の持続性を有するほか、より耐水性となりうるなど、より耐久性を持つことが保証されうる。本明細書で意図されている局所用溶液としては、本発明の式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aの、約0.1〜約50mg/kg、より好ましくは約1〜約10mg/kg、更により好ましくは約1〜約5mg/kgを含めることができる。
【0068】
本発明の組成物は、首輪又は耳標の形状をした支持基剤、例えば、合成又は天然樹脂、プラスチック、布、皮革、又はその他のこのようなポリマー系を介して局所投与することもできる。前記首輪又は耳標は、獣医学的に許容可能な量の式(1)の化合物を付与できる任意の手段を使って、被覆、含浸、層化することができる。このような製剤は、標準の医学的又は獣医学的慣例に従って従来通りに調製される。さらに、これらの製剤は、その中に含有される活性化合物の重量、それぞれの塩の形、治療される宿主動物の種、寄生虫感染又は体内侵入の重症度及び型、及び動物の体重と共に変動するであろう。適用される組成物の容量は、約0.2mL/kg〜約5mL/kg、好ましくは約1mL/kg〜約3mL/kgであってよい。
【0069】
本発明の製剤に薬剤を添加して、該製剤を適用される動物の表面におけるこのような製剤の持続性を改良する、例えば、動物の外皮上でのそれらの持続性を改良することもできる。ポアオン又はスポットオン製剤として適用される製剤にそのような薬剤を含めることは特に好ましい。そのような薬剤の例としては、アクリル系コポリマー、特にフッ素化アクリル系コポリマーなどが挙げられる。特に適切な試薬は、商標「Foraperle」(Redline Products Inc社、Texas、USA)の試薬である。
【0070】
一定の局所製剤は、経口暴露を最小限にするために、口当たりが悪い添加剤を含むこともある。
【0071】
注射用(例えば、皮下や非経口の)製剤は無菌溶液の形態で製造できる。これは、他の物質、例えば溶液を血液と等張にするために十分な塩又はグルコースを含有してもよい。許容可能な液体キャリアとしては、ゴマ油などの植物油、トリアセチンなどのグリセリド、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル及びプロピレングリコールの脂肪酸誘導体などのエステル、並びにピロリジン−2−オン及びグリセロールホルマールなどの有機溶媒などが挙げられる。製剤は、最終製剤に約0.01〜30重量%の活性成分が含有されるように、式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、化合物A、大環状ラクトン又はその誘導体、及び任意選択の追加の獣医薬剤を液体キャリア中に溶解又は懸濁することによって調製される。
【0072】
注射投与用の適切な機器は、針(マイクロ針を含む)注射器、無針注射器及び注入技術などである。注射用製剤は、典型的には、塩、炭水化物及び緩衝剤(好ましくはpH3〜9にするための)などの賦形剤を含有しうる水溶液であるが、一部の用途によっては無菌の非水溶液として又は無菌の発熱物質非含有水などの適切なビヒクルと共に使用される乾燥粉末形として、より適切に処方することもできる。無菌条件下での注射製剤の調製(例えば凍結乾燥による)は、当業者に周知の標準的な獣医学的技術を用いて容易に実現できる。注射溶液の製造に使用される獣医学寄生虫駆除薬(すなわち、式(1)の化合物、大環状ラクトン及びその誘導体類及びその誘導体、及び追加の獣医薬剤)の溶解度は、溶解度増強剤の配合などの適切な処方技術の使用により増大させることができる。
【0073】
使用方法
本発明は、寄生虫感染もしくは寄生虫体内侵入を有するか又はこれを受けやすい動物のこのような感染もしくは体内侵入を治療するための方法をさらに含み、該方法は、そのような治療を必要とする該動物に治療有効量の本発明の組成物を投与するステップを含む。
【0074】
(S)−1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノン化合物(化合物A)は、抗寄生虫薬として有用であり、従って、本発明の別の実施形態は、前記化合物の多形性の形態Aと、獣医学的に許容可能なキャリアから調製される治療有効量の化合物とを含む獣医学組成物である。1−(5’−(5−(3,5−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル)−3’H−スピロ[アゼチジン−3,1’−イソベンゾフラン]−1−イル)−2−(メチルスルホニル)エタノンの多形性の形態Aは、本明細書で記載される治療への応用のための抗寄生虫薬物の製造にも使用できる。
【0075】
本発明の組成物は、外部寄生虫駆除剤及び内部寄生虫駆除剤として有用である。これらの駆除剤は、獣医学、家畜飼育及び公衆衛生の維持の分野において、脊椎動物、特に、伴侶動物、家畜、及び家禽を含む温血脊椎動物に寄生するコナダニ、昆虫に対して使用できる。外部寄生虫のいくつかの非制限的な例としては、マダニ類(ticks)(例えば、イクソデス種(Ixodes spp.)(例えば、リシナス・マダニ(I.ricinus)、イキソデス・ヘキサゴヌス(I.hexagonus))、リピセファルス種(Rhipicephalus spp.)(例えば、クリイロコイタマダニ(R.sanguineus))、ブーフィルス種(Boophilus spp.)、アンブリオンマ種(Amblyomma spp.)(例えば、キララマダニ(A.maculatum)、アムブリオマ・トリステ(A.triste)、アムブリオマ・パルブム(A.parvum)、アムブリオマ・カジェンネンセ(A.cajennense)、アムブリオマ・オバレ(A.ovale)、アムブリオマ・オブロンゴグタタム(A.oblongoguttatum)、アムブリオマ・オウレオラタム(A.aureolatum))、ヒアロンマ種(Hyalomma spp.)、ヘマフィサリス種(Haemaphysalis spp.)、デルマセントル種(Dermacentor spp.)(例えば、アメリカイヌカクマダニ(D.variabilis)、デルマセンター・アンダーソニ(D.andersoni)、デルマセンター・マルギナタス(D.marginatus))、オルニトドルス種(Ornithodorus spp.)など);ダニ類(mites)(例えば、デルマニッスス種(Dermanyssus spp.)、サルコプテス種(Sarcoptes spp.)(例えば、ヒゼンダニ(S.scabiei))、プソロプテス種(Psoroptes spp.)(例えば、プソロプテス・ボビス(P/bovis))、ミミヒゼンダニ種(Otodectes spp.)、コリオプテス種(Chorioptes spp.)、デモデックス種(Demodex spp.)(例えば、ニキビダニ(D.folliculorum)、イヌニキビダニ(D.canis)、コニキビダニ(D.brevis)など);ハジラミ及び吸血性シラミ類(chewing and sucking lice)(例えば、ダマリニア種(Damalinia spp.)、リノグナツス種(Linognathus spp.)、リノグナツス属種(Linognathus spp.)、ケイレチエラ種(Cheyletiella spp.)、ブタジラミ属種(Haematopinus spp.)、ソレノプテス種(Solenoptes spp.)、トリコデクテス属種(Trichodectes spp.)、フェリコラ属種(Felicola spp.)など);ノミ類(fleas)(例えば、シフォナプテラ種(Siphonaptera spp.)、テノセファリデス種(Ctenocephalides spp.)など);刺咬バエ(bitingflies)及び小昆虫類(midges)、及び蚊類(mosquitoes)(例えば、タバニダエ種(Tabanidae spp.)、ヘマトビア種(Haematobia spp.)、(Musca spp.)、ストモキシ種(Stomoxys spp.)、デルマトビア種(Dermatobia spp.)、コクリオミイヤ属種(Cochliomyia spp.)、シムリイダエ種(Simuliidae spp.)、セラトポゴニダエ種(Ceratopogonidae spp.)、プシコディダエ種(Psychodidae spp.)、ヤブ蚊(Aedes spp.)、イエカ属種(Culex spp.)、ハマダラカ(Anopheles spp.)など);及びトコジラミ類(bedbugs)(例えば、シメックス属(genus Cimex)及びシミシダエ科(family Cimicidae)内の昆虫);及び地虫類(grubs)(例えば、ウシバエ(Hypoderma bovis)、キスジウシバエ(H.lineatum))などが挙げられる。
【0076】
本発明の化合物は、内部寄生虫、例えば、犬糸状虫(heartworms)、回虫(roundworms)、鉤虫(hookworms)、鞭虫(whipworms)、条虫(tapeworms)、吸虫(fluke)、並びに、その他の条虫及び吸虫の治療にも使用できる。消化管回虫には、例えば、オステルターグ胃虫(Ostertag ia ostertagi)(抑制幼虫(inhibited larvae)を含む)、オステルタギア・リラータ(O.lyrata)、ヘモンクス・プラセイ(Haemonchus placei)、ヘモンクス・シミリス(H.simili)、捻転胃虫(H.contortus)、イヌ回虫(Toxocara canis)、イヌ小蛔虫(T.leonina)、猫回虫(T.cati)、アクセイ毛様線虫(Trichostrongylus axei)、蛇状毛様線虫(T.colubriformis)、トリチョストロンギルス・ロンギスピクラリス(T.longispicularis)、クーペリア・オンコフォラ(Cooperia oncophora)、クーペリア・ペクチナタ(C.pectinata)、クーペリア・プクチナタ(C.punctata)、クーペリア・スルナバダ(C.surnabada)(同義語:マクマステリ(mcmasteri))、クーペリア・スパチュラ(C.spatula)、ブタ回虫(Ascarissuum)、紅色毛様線虫(Hyostrongylus rubidus)、牛鉤虫(Bunostomum phlebotomum)、ウシ毛頭虫(Capillaria bovis)、ブノストムム・トリゴノセファラム(B.trigonocephalum)、乳頭糞線虫(Strongyloides papillosus)、糞線虫(S.ransomi)、牛腸結節虫(Oesophagostomum radiatum)、豚腸結節虫(O.dentatum)、エソファゴストム・コロンビアナム(O.columbianum)、エソファゴストム・クアドリスピヌラタム(O.quadrispinulatum)、トリチュリス属(Trichuris spp.)などが挙げられる。他の寄生虫としては、鉤虫(hookworms)(例えば、Ancylostoma caninum,A.tubaeforme,A.braziliense,Uncinaria stenocephala);肺虫(lungworms)(例えば、牛肺虫(Dictyocaulus viviparus)、及びブタ肺虫属種(Metastrongylus spp));眼虫(eyeworms)(例えば、テラジア属種(Thelazia spp));寄生期の地虫(例えば、ウシバエ(Hypoderma bovis)、キスジウシバエ(H.lineatum)、ヒトヒフバエ(Dermatobia hominis));腎虫(kidney worms)(例えば、ブタ腎虫(Stephanurus dentatus));螺旋虫(screw worm)(例えば、ラセンウジバエ(Cochliomyia hominivorax(幼虫)));フィラリア(Filarioidea)上科及びオンコセルカ(Onchocercidae)科の糸状線虫(filarial nematodes)、が挙げられる。オンコセルカ(Onchocercidae)科の糸状線虫類(filarial nematodes)の非限定的例には、ブルギア属種(Brugia spp.)(すなわち、マレー糸状虫(B.malayi)、パハン糸状虫(B.pahangi)、チモール糸状虫(B.timori)など)、糸条虫属(Wuchereria spp.)(すなわち、バンクロフト糸状虫(W.bancrofti)など)、ディロフィラリア種(Dirofilaria spp.)(犬糸状虫(D.immitis)、ジロフィラリア・レペンス(D.repens)、ディロフィラリア・ウルシ(D.ursi)、ディロフィラリア・テヌイス(D.tenuis)、ディロフィラリア・スペクタンス(D.spectans)、ディロフィラリア・ルトラエ(D.lutrae)など),ジペタロネマ属(Dipetalonema spp.)(すなわち、ジペタロネマ・レコンジツム(D.reconditum)、ジペタロネマ・レペンス(D.repens)など)、オンコセルカ種(Onchocerca spp.)(すなわち、ギブソン糸状虫(O.gibsoni)、咽頭糸状虫(O.gutturosa)、回旋糸状虫(O.volvulus)など)、エラエオホラ属種(Elaeophora spp.)(E.bohmi、E.elaphi、E.poeli、E.sagitta、E.schneideriなど)、マンソネラ属種(Mansonella spp.)(すなわち、オザード糸状虫(M.ozzardi)、常在糸状虫(M.perstans)など)、及びロア種(Loa spp.)(すなわち、L.loa)、が挙げられる。本発明の別の態様では、本発明の組成物は、ディロフィラリア属(すなわち、犬糸状虫、D.レペンス、D.ウルシ、D.テヌイスなど)の糸状線虫に起因する内部寄生虫感染の治療に有用である。
【0077】
本発明の組成物は、想定される特定の使用、特定の宿主動物及び治療される宿主動物の体重、関与する寄生虫又は複数寄生虫、寄生虫体内侵入の程度などに適する方式で標準的獣医学の慣例に従って投与できる。獣医開業医、又は当業者は、特定の動物に好適な投与量を決定でき、この投与量は、種、年齢、体重、及び応答に伴って変化してよい。平均用量は、平均的症例の代表例である。従って、より高い又はより低い投与量の範囲は、上記因子に応じて是認され、これは本発明の範囲内に入る。
【0078】
本発明の化合物と共に使用できる追加の獣医学用薬剤の下記リストは、可能な組合せを例示することを目的としたものであって、何らかの制限を課すことを意図したものではない。追加の獣医学用薬剤の非制限的な例としては、アミトラズ、アリールピラゾール、アミノアセトニトリル、駆虫剤(例えば、アルベンダゾール、カムベンダゾール、ジクロルボス、フェンベンダゾール、フルベンダゾール、メベンダゾール、オクタデプシペプチド、オキサンテル、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、パラヘルクアミド、パルベンダゾール、ピペラジン、プラジカンテル、エプシプランテル、チアベンダゾール、テトラミソール、トリクラベンダゾール、レバミソール、ピランテル、オキサンテル、モランテル、モネパンテルなど)、アベルメクチン類(例えば、アバメクチン、ドラメクチン、エマメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、モキシデクチン、セラメクチンなど)、ミルベマイシン、ミルベマイシンオキシム、DEET、デミジトラズ、ジエチルカルバマジン、フィプロニル、昆虫成長調整剤(例えば、ルフェヌロン、ノバルロン、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレンなど)、メタフルミゾン、ニクロサミド、ペルメトリン、ピレトリン、ピリプロキシフェン、スピノサドなどが挙げられる。特定の場合には、少なくとも1種の追加の獣医薬剤を含む本発明の組成物は、加えた量を上回る効果を生じ得る。配合の組み合わせの非限定的例としては、式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aと、モキシデクチン及びパモ酸ピランテル;式(1)の化合物、式(1.1)の化合物、すなわち化合物Aと、ミルベマイシン又はミルベマイシンオキシムと、パモ酸ピランテル又はレバミソール;化合物Aとセラメクチン;化合物Aと、モキシデクチンと、イミダクロプリド;化合物Aと、モキシデクチンと、プラジカンテル;などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
動物に適用する獣医学組成物は、本発明の組成物の投与に使われる方法に応じて様々な方法でパッケージ化できる。通常、販売品には、適切な形態で獣医学組成物を入れた容器が含まれる。好適な容器は当業者によく知られており、ボトル(プラスチック及びガラス)、袋、サッシェ、アンプル、ブリスターパック、金属シリンダーなどがある。容器は、パッケージ内容物の不注意な取扱を防ぐ不正開封防止構造物であってもよい。加えて、容器には、内容物を説明するラベルを貼付している。ラベルには、適切な警告も記載されている。
【0080】
実施例
実施例1.化合物A(2mg/kg)、モキシデクチン(3μg/kg)、及びピランテル(5mg/kg)、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0081】
実施例2.化合物A(2mg/kg)、ミルベマイシンオキシム(0.5mg/kg)、及びピランテル(5mg/kg)、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0082】
実施例3.化合物A(2mg/kg)、イベルメクチン(6μg/kg)、及びピランテル(5mg/kg)、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0083】
実施例4.化合物A(2mg/kg)、ミルベマイシン(0.5mg/kg)、及びピランテル(5mg/kg)、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0084】
実施例5.実施例1〜4で記載のピランテルの代わりにオキサンテル、及び任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
実施例6.実施例1〜4で記載のピランテルの代わりにモランテル、及び任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0085】
実施例7.化合物A、及びセラメクチン、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0086】
実施例8.化合物A、及びモキシデクチン、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0087】
実施例9.化合物A、及びミルベマイシン又はミルベマイシンオキシム、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
実施例10.化合物A、及びイベルメクチン、並びに任意の少なくとも1種の獣医学的に許容可能なキャリアを含む抗寄生虫組成物。
【0088】
生物学的データ
インビトロ内部寄生虫評価
この実験の目的は、運動性を100%未満低減させ、モキシデクチン、パモ酸ピランテル及び化合物Aの濃度を単独で評価し、その後選択された最適量以下の濃度を組み合わせて、この組み合わせが、耐性及び感受性株の捻転胃虫(バーバーポールワーム(barber pole worm))L3株並びに犬糸状虫(イヌ糸状虫(Dirofilaria immitis))ミクロフィラリア(MF)のミシガン株の運動性に与える何らかの効果に関する知識をインビトロで得ることであった。
【0089】
抗寄生虫化合物をDMSOに溶解し、384ウエルマイクロタイタープレートのウエルにスポットした。緩衝液中の線虫をプレートに加え、捻転胃虫に対しては96時間、犬糸条虫に対しては72時間、運動性を測定した。100μM〜1Nmの11点のハーフログ(1/2log)用量曲線を使って、各試験化合物をそれぞれの線虫に対し個別にアッセイし、最小有効用量(MED)を決定した。MEDは、光学顕微鏡検査を使った主観的な目視評価に基づいた、大きな運動性の低下を生ずる最低用量とした。MEDより低いハーフログの希釈濃度を単独で、及び組み合わせて使って、LemnaTec Scanalyzerで読み取り、陰性対照と比較して定量的パーセント運動性を得た。MEDデータを表1に示す。
【0090】
捻転胃虫のインビトロアッセイのための材料及び方法:捻転胃虫L3を感染ヒツジの糞便から生成し、抗生物質含有緩衝栄養素培地中で維持した。ウエル当たり、合計で250nLのDMSO溶媒和試験化合物及び25μlの約100捻転胃虫L3を含む培地を入れた384ウエルマイクロタイタープレート中でアッセイを行った。37℃で96時間のインキュベーション後、画像解析により捻転胃虫L3の運動性を測定するLemnaTec Scanalyzerを使って運動性評価を行った。評価項目を未処理対照と比較したパーセント運動性(平均/2プレート)として定義し、表2(感受性)及び表3(耐性)に示す。
【0091】
犬糸状虫のインビトロアッセイのための材料と方法:犬糸状虫MFをミクロフィラリア血症のイヌ科動物血液から赤血球溶解により精製・濾過し、ウシ胎仔血清と抗生物質で強化した細胞培養培地中で維持した。ウエル当たり、合計で250nLのDMSO溶媒和化合物A及び25μlの約200MFを含む培地を入れた384ウエルマイクロタイタープレート中でアッセイを行った。37℃、5%CO
2下で72時間のインキュベーション後、画像解析によりMFの運動性を測定するLemnaTec Scanalyzerを使って運動性評価を行った。評価項目を未処理対照と比較したパーセント運動性(平均/2プレート)として定義し、表4に示す。
【0094】
捻転胃虫の感受性株の結果によると、モキシデクチンとピランテルの組み合わせ、化合物Aとピランテルの組み合わせ、及び化合物Aとピランテルとモキシデクチンの組み合わせにおいて、加算を上回る幼虫の運動性の低減効果が観察された。
【0096】
捻転胃虫の耐性株の結果では、少なくとも潜在的加算効果が観察された。
【0098】
上記に示したように、化合物Aのピランテル又はモキシデクチンへの添加により、犬糸条虫の運動性に対し、加算を上回る、相乗的効果が生じた。
【0099】
イヌに寄生している犬糸条虫MF及び成虫に対する効力
別の試験では、犬糸条虫MFに人為的に感染させたイヌに対して、3種(化合物A、モキシデクチン、及びパモ酸ピランテル)の組み合わせの安全性を評価した。雄(7匹)及び雌(7匹)のビーグル犬に成体犬糸状虫(10匹の雄及び10匹の雌条虫)を人為的に(外科移植)感染させた。3匹の雄及び4匹の雌イヌにプラセボを投与した。4匹の雄及び3匹の雌イヌに経口配合物(12mg/kgの化合物A、18μg/kgのモキシデクチン、及び30mg/kgのパモ酸ピランテル)を0日、28日、56日目に投与した。生存中の評価としては、体重、直接臨床的及び神経系の検査、摂食の定性的推定量、及び薬物動態学及び連続MF計数用の血液採取を行った。0日(投与前)、1日、3日、7日、14日、28日、56日、及び84日目にMF計数用の血液を採取した。平均血液採取MFを表5に示す。
【0101】
試験の終了時点で、それぞれのイヌの部分的な剖検(84日目)を行った。前大静脈、右心房、右心室及び肺動脈(肺を流れる動脈を含む)を切開し、成虫の検査を行った。それぞれのイヌ由来の虫の生死を数えた。運動性と外観上で異常な虫を死亡と見なし、他の全ての虫を生存と見なした。プラセボ及び試験動物由来の虫数の平均値を表6に示す。
【0103】
これらのデータからは、月1回の組み合わせ配合物の3ヶ月間の投与により、徐々に犬糸条虫MFが減少するが、成体犬糸状虫を死滅させるようには見えない。
【0104】
イヌのフィラリア症の予防における効力
−30日目に50匹の感染性L3犬糸条虫の幼虫をイヌに播種した。単回経口用量のプラセボ(T01);化合物A(2mg/kg)、モキシデクチン(3μg/kg)、及びパモ酸ピランテル(5mg/kg)(T02);化合物A(2mg/kg)(T03);又はモキシデクチン(3μg/kg)(T04)を、0日目にイヌ(8匹/群)に投与した。120日目に、イヌを人道的に安楽死させ、成体犬糸条虫を回収するために剖検した。プラセボ群の成虫数の幾何平均は、各イヌから回収した虫34.2匹であった。T02及びT04群のどのイヌからも虫は回収されず、100%の効力であった。T03の成虫犬糸条虫数は、プラセボ群と類似で、各イヌからの回収虫30.3匹の幾何平均であった。従って、モキシデクチン及びピランテルと組み合わせた単回経口用量の化合物Aを用いることにより、犬糸条虫が原因のフィラリア症の予防に100%の効力が得られた。また、モキシデクチン単独でも100%効力が得られ、組み合わせ配合中でモキシデクチンの効力に干渉がないことが確認された。化合物Aでは、プラセボと比較して、成体犬糸条虫数の実質的な減少が認められなかった。
【0105】
イヌの回虫(イヌ小回虫)に対する効力
−75日目に300個の感染性イヌ小回虫卵をイヌに播種した。0日目に、イヌ(8匹/群)に単回経口プラセボ(T01)又は化合物A(2mg/kg)、モキシデクチン(3μg/kg)及びパモ酸ピランテル(5mg/kg)(T02)を投与した。7日目に、イヌを人道的に安楽死させ、成体イヌ小回虫を回収するために剖検した。T01群の成体イヌ小回虫数の幾何平均は、各イヌから回収された回虫11.9匹であった。1匹の回虫をT02群の1匹のイヌから回収し、成体イヌ小回虫に対し,99.2%の効力が得られた。従って、モキシデクチン及びピランテルと組み合わせた単回経口用量の化合物Aを用いることにより、イヌの成体イヌ小回虫感染の治療で99.2%の効力が得られた。ピランテルのみの群が無いために組み合わせ配合産物と直接比較はできないが、これらのデータは、化合物Aも、モキシデクチンも、成体イヌ小回虫に対するピランテルの効力と実質的に干渉しないという結論を裏付けている。
【0106】
イヌの回虫(イヌ回虫)に対する効力
−49日目に300個の感染性イヌ回虫卵をイヌに播種した。0日目に、イヌ(8匹/群)に単回経口プラセボ(T01);化合物A(2mg/kg)及びモキシデクチン(3μg/kg)及びパモ酸ピランテル(5mg/kg)(T02);化合物A(2mg/kg)(T03);ピランテル(5mg/kg)(T04);又はモキシデクチン(3μg/kg)(T05)を投与した。7日目に、イヌを人道的に安楽死させ、成体イヌ回虫を回収するために剖検した。プラセボ群の成虫イヌ回虫数の幾何平均は、各イヌから回収した回虫11.8匹であった。T03、T04、及びT05の成虫数の幾何平均(範囲)は、それぞれ、8.2、0.2、及び10.5匹であった。T02,T03、T04、及びT05群の回虫数のパーセンテージ減少は、それぞれ、100%、30.3%、98.7%、及び10.9%であった。従って、化合物A、モキシデクチン、及びピランテルの配合物の単回経口投与により、成体イヌ回虫に対し100%の効力が得られた。ピランテル単独でも同様の効力が得られ、組み合わせ配合においてピランテルの効力との干渉がないことが確認された。この試験では、プラセボと比較して、T03で成虫イヌ回虫数の30.3%の減少が認められ、化合物Aが成体イヌ回虫に対し、ある程度の活性を有し得ることが示唆された。評価された投与量では、モキシデクチンはイヌ回虫に対し実質的に効力が認められなかった。
【0107】
イヌの鉤虫(イヌ鉤虫及び狭頭鉤虫)に対する効力
−29日目に、イヌ(8匹/群)に200匹の感染性イヌ鉤虫幼虫及び400匹の感染性狭頭鉤虫幼虫を播種した。0日目に、イヌに単回経口プラセボ(T01)又は化合物A(2mg/kg)、モキシデクチン(3μg/kg)及びパモ酸ピランテル(5mg/kg)(T02)を投与した。7日目に、イヌを人道的に安楽死させ、成体イヌ鉤虫及び狭頭鉤虫を回収するために剖検した。T01群の成虫イヌ鉤虫数の幾何平均は、各イヌから回収した鉤虫84.5匹であった。T02のイヌからは成体イヌ鉤虫が回収されず、成体イヌ鉤虫に対し100%の効力が得られた。T01群の成虫狭頭鉤虫数の幾何平均は、各イヌから回収した鉤虫223.5匹であった。8匹中の4匹のT02群のイヌから成体狭頭鉤虫が回収され、各イヌから回収された成虫数の幾何平均は1.1匹であり、従って、成体狭頭鉤虫に対する効力は99.5%であった。従って、ピランテル及びモキシデクチンと組み合わせた化合物Aの単回経口用量では、成体イヌ鉤虫に対し100%の効力が得られ、成体狭頭鉤虫に対し99.5%の効力が得られた。ピランテルのみの群が無いために組み合わせ配合産物と直接比較はできないが、これらのデータは、化合物Aも、モキシデクチンも、成体イヌ鉤虫及び狭頭鉤虫に対するピランテルの効力と実質的に干渉しないという結論を裏付けている。
【0108】
インビトロノミ(ネコノミ)アッセイ
この試験は、致死量以下の濃度のモキシデクチン、パモ酸ピランテル、及び化合物Aの単独、及びモキシデクチン及びパモ酸ピランテルとの組み合わせがノミ(ネコノミ)の死亡率に与える効果を評価するように設計された。ノミは、新規に発生した(3〜7日)非給餌成体とした。このアッセイをインビトロノミ給餌アッセイとした。DMSO溶媒和化合物を96ウエルプレートにスポットし、該化合物に全血を加え、96ウエルプレートの上面に人工膜を貼り付けた。ノミを給餌チャンバに入れ(N=10匹/ウエル)、化合物プレートの上面上に配置した。給餌膜を介してノミに血粉を24時間給餌した。各試験化合物を個別に30mm〜0.1mm(モキシデクチン)、及び1mm〜0.001mm(化合物A)のハーフログ用量漸増曲線の試験を行った。これらの用量漸増曲線に基づいて最小有効用量(MED)を決定した。MEDは、目視評価による主観的な生物生存能の評価を用いて、50%以上の死亡率を引き起こす最低用量である。死亡率を未処理対照の死亡率と比較した。パモ酸ピランテルは、試験最高用量(300mM)ではノミに対して効果がなかった。
【0109】
化合物A及びモキシデクチン単独に対する最低MEDは、それぞれ、0.0001mM及び0,01mMであった。化合物A(0.00003mM)とモキシデクチン(0.003μM)の組み合わせ用量レベルでMEDが達成され、この組み合わせで活性が高められたことが観察された。
【0110】
3種(すなわち、化合物A、モキシデクチン、及びパモ酸ピランテル)の組み合わせを評価するために、化合物Aを0.03μM〜0.000003mMで用量設定し、モキシデクチンを0.3μM〜0.0003mMで用量設定し、及びピランテルを30mMの用量で維持した。このアッセイでは、化合物A、モキシデクチン及びピランテル単独に対する対照MED用量レベルは、それぞれ、0.3mM、10mM及び300mM超であった。0.001/0.003mM、0.001/0.001mM、及び0.000003/0.01mMの化合物A/モキシデクチン用量でMEDが観察された。従って、パモ酸ピランテルの添加により、化合物A/モキシデクチンの組み合わせで見られる効果がさらに高められるようには見えない。
【0111】
インビトロダニ(回帰熱マダニ)アッセイ
この試験は、致死量以下の濃度のモキシデクチン、パモ酸ピランテル、及び化合物Aの単独、及び次に組み合わせがダニ(回帰熱マダニ、ゾエティス株)に与える効果をインビトロダニ給餌アッセイで評価するように設計された。DMSO溶媒和化合物をペトリ皿にスポットし、該化合物に全血を加え、人工膜が血液混合物に接触するように、プレートの上面に人工膜を覆い被せた。マダニに満腹になるまで摂食させ(約15分間)、72時間にわたり生存率及び運動麻痺を評価した。
【0112】
モキシデクチン及び化合物Aに対し、用量漸増曲線に基づいて最小有効用量(MED)を決定した。各試験化合物を個別に、3ug/mL〜0.0003ug/mL(モキシデクチン)、及び0.1ug/mL〜0.0001ug/mL(化合物A)の5点ハーフログ(half log)曲線により試験した。MEDを、生物挙動の主観的な目視評価に基づいて、給餌の24、28、72時間後に50%以上の運動麻痺を引き起こす最低用量とした。0.01ug/mLの化合物A、及び0.03ug/mLのモキシデクチンに対し、MEDを確定した。パモ酸ピランテルは、3又は30ug/mLの量では効果がなかった。試験薬剤が組み合わされた場合、単独薬剤に比較して、予測よりも大きい効果をMEDに与えるようには思われなかった。
【0113】
イヌのノミ(ネコノミ)に対する効力
単回経口プラセボ(T01);化合物A(2mg/kg)、モキシデクチン(3μg/kg)、及びパモ酸ピランテル(5mg/kg)(T02);化合物A(2mg/kg)(T03);又はモキシデクチン(3μg/kg)(T04)を、0日目にイヌ(n=32匹、8匹/群)に投与した。−1日、6日、13日、20日、27日、34日目に、約100匹の非給餌生存可能成体ネコノミを各イヌに感染させた。1日、7日、14日、21日、28日、35日目の生存ノミのコームカウントにより効力を評価した。プラセボに対する生存ノミの幾何平均の%減少として効力を決定した。試験中、対照動物を適切なノミのレベルで維持した(平均範囲:67.9〜91.2匹ノミ/動物/外寄生)。結果を表7に示す。
【0115】
T02及びT03では、プラセボ比較した幾何及び生存ノミ数の相加平均の%減少は、常に100%であり、これら両群の幾何平均数はプラセボ群よりも常に有意に小さかった(P<0.0001)。モキシデクチン及びピランテルと組み合わせた化合物Aの単回経口用量で、現存するネコノミの外寄生に対し、及び少なくとも35日間にわたる週1回のネコノミの再外寄生に対し、100%の効力が得られた。化合物A単独によっても同等の効力が得られ、組み合わせにおける化合物Aの効力に対する干渉がないことが確認された。モキシデクチンは、プラセボと比較して、実質的なノミ数の減少を生じなかった。
【0116】
イヌのマダニ(メキシコ湾岸マダニ)に対する効力
単回経口プラセボ(T01);化合物A(2mg/kg)、モキシデクチン(3μg/kg)、及びパモ酸ピランテル(5mg/kg)(T02);化合物A(2mg/kg)(T03);又はモキシデクチン(3μg/kg)(T04)を、0日目にイヌ(n=32匹、8匹/群)に投与した。−2日、5日、12日、19日、26日、33日目に、それぞれのイヌに約50匹の非給餌生存可能成体メキシコ湾岸マダニを感染させ、2日、7日、14日、21日、28日、35日目に、ダニを取り除きながら計数した。範囲を計数生存マダニ/除去マダニの数とし、プラセボに対する生存マダニの幾何平均の%減少として効力を決定した。試験中、対照動物を適切なマダニのレベルで維持した(平均範囲:18.9〜23.5匹マダニ/動物/外寄生)。結果を表8に示す。
【0118】
全体として、化合物Aとモキシデクチン又はセラメクチン、化合物Aとピランテル、又は化合物Aとモキシデクチン又はセラメクチンとピランテルの組み合わせは、内部寄生虫(捻転胃虫、犬糸状虫、鉤虫、及び回虫)及び外部寄生虫(ノミ及びマダニ)に対し効果的であり、場合によっては、加算を上回る相乗的効果が観察された。
本発明の態様
態様1
a)式(1)の化合物であって、
【化3】
式中、
R1a、R1b、及びR1cは、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C1−C6アルコキシ、C0−C3アルキルC3−C6シクロアルキル、C1−C6ハロアルコキシ、−C(O)NH2、−SF5、又は−S(O)pRであり;
R2は、フルオロ、クロロ、又はC1−C6アルキルであり;
R3は、シアノ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、−C(O)NRaRb、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C2−C6ハロアルケニル、又はC2−C6ハロアルキニルであり;
R4は、水素、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C0−C6アルキルC3−C6シクロアルキル、C0−C6アルキルフェニル、C0−C6アルキルへテロアリール、又はC0−C6アルキルへテロサイクルであり;
R5は、水素、C1−C6アルキル、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、−S(O)pRc、又はC1−C6アルコキシであり;
Rは、少なくとも1つのハロ置換基で任意に置換されるC1−C6アルキル又はC3−C6シクロアルキルであり;
Raは、水素、C1−C6アルキル、又はC0−C3アルキルC3−C6シクロアルキルであり;前記アルキル及びアルキルシクロアルキルは、シアノ又は少なくとも1つのハロ置換基で任意に置換され;
Rbは、水素、C1−C6アルキル、C3−C6シクロアルキル、C0−C3アルキルフェニル、C0−C3アルキルへテロアリール、又はC0−C3アルキルへテロサイクルであり、それぞれ、化学的に可能な場合、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、又は−S(O)pRから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換され;
Rcは、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、C1−C6ハロアルキルC3−C6シクロアルキル、C0−C3アルキルC3−C6シクロアルキル、C0−C3アルキルフェニル、C0−C3アルキルへテロアリール、又はC0−C3アルキルへテロサイクルであり、それぞれ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C1−C6ハロアルキル、−S(O)pR、−SH、−S(O)pNRaRb、−NRaRb、−NRaC(O)Rb、−SC(O)R、−SCN、又は−C(O)NRaRbから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換され;
R4がC1−C6アルキル又はC0−C6アルキルC3−C6シクロアルキルの場合、それぞれの部分が、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、C1−C6アルコキシ、C1−C6ハロアルコキシ、C1−C6ハロアルキル、C1−C6アルキル、ヒドロキシルC1−C6アルキル−、−S(O)pRc、−SH、−S(O)pNRaRb、−NRaRb、−NRaC(O)Rb、−SC(O)R、−SCN、又は−C(O)NRaRbから選択される少なくとも1つの置換基で任意に置換されていてもよく;
R4がC0−C6アルキルフェニル、C0−C6アルキルへテロアリール、又はC0−C6アルキルへテロサイクルの場合、それぞれの部分が、シアノ、ハロ、オキソ、=S、=NR5、ヒドロキシルC1−C6アルキル−、ヒドロキシル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル、C1−C6ハロアルキル、−SH、−S(O)pR、及びC1−C6ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基でさらに任意に置換されていてもよく;
nは、整数0、1、又は2であり、nが2の場合、R2同士が同じであっても異なっていてもよく;
pは、整数0、1、又は2である、
化合物、その立体異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩と;
b)大環状ラクトン又はその誘導体と、任意選択のc)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む組成物。
態様2
それを必要とする動物において寄生虫感染を治療する方法であって、a)態様1に記載の式(1)の化合物、その立体異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩と、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、任意選択のc)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む治療有効量の組成物を前記動物に投与するステップを含む方法。
態様3
a)式(1.1)の化合物のS異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩と、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、任意選択のc)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む組成物。
【化4】
態様4
前記大環状ラクトン又はその誘導体が、アバメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、モキシデクチン、セラメクチン、ドラメクチン、ミルベマイシン、及びミルベマイシンオキシムからなる群から選択される、態様3に記載の組成物。
態様5
追加の獣医薬剤をさらに含む、態様1、3、又は4のいずれか1項に記載の組成物。
態様6
前記追加の獣医薬剤が、ピランテル、オキサンテル、モランテル、イミダクロプリド、ノバルロン、フェバンテル、プラジカンテル、エプシプランテル、ニクロサミド、フェンベンダゾール、オキシベンダゾール、メベンダゾール、フルベンダゾール、ルフェヌロン、もしくはニテンピラム、又はこれらの任意の混合物からなる群から選択される、態様5に記載の組成物。
態様7
獣医学的又は薬学的に許容可能なキャリアをさらに含む、態様1、3、4、5、又は6のいずれか1項に記載の組成物。
態様8
それを必要とする動物において寄生虫感染を治療する方法であって、a)式(1.1)の化合物のS異性体、
【化5】
又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩と、b)大環状ラクトン又はその誘導体と、任意選択のc)少なくとも1種の追加の獣医薬剤とを含む治療有効量の組成物を前記動物に投与するステップを含む方法。
態様9
前記大環状ラクトン又はその誘導体が、アバメクチン、エプリノメクチン、イベルメクチン、モキシデクチン、セラメクチン、ドラメクチン、ミルベマイシン、及びミルベマイシンオキシムからなる群から選択される、態様2又は8に記載の方法。
態様10
1種の追加の獣医薬剤をさらに含む、態様2、8、又は9のいずれか1項に記載の方法。
態様11
前記追加の獣医薬剤が、ピランテル、オキサンテル、モランテル、イミダクロプリド、ノバルロン、フェバンテル、プラジカンテル、エプシプランテル、ニクロサミド、フェンベンダゾール、オキシベンダゾール、メベンダゾール、フルベンダゾール、ルフェヌロン、もしくはニテンピラム、又はこれらの任意の混合物からなる群から選択される、態様10に記載の方法。
態様12
投与が、経口、局所、又は注射により行われる、態様2、8、9、10、又は11のいずれか1項に記載の方法。
態様13
前記動物が伴侶動物又は家畜である、態様12に記載の方法。
態様14
a)式(1.1)の化合物のS異性体
【化6】
又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩と、b)モキシデクチン、セラメクチン、又はミルベマイシンもしくはミルベマイシンオキシムと、任意選択のc)パモ酸ピランテルとを含む組成物。
態様15
それを必要とする動物において寄生虫感染を治療する方法であって、a)式(1.1)の化合物のS異性体、又は薬学的もしくは獣医学的に許容可能なその塩と、b)モキシデクチン、セラメクチン、又はミルベマイシンもしくはミルベマイシンオキシムと、任意選択のc)パモ酸ピランテルとを含む治療有効量の組成物を前記動物に投与するステップを含む方法。
【化7】
【0119】
配合物の薬物動態学
給餌イヌに対し、化合物A(2mg/kg)、モキシデクチン(0.25μg/kg)、又はパモ酸ピランテル(5mg/kg)の単回投与、及び、その後、3種の化合物の同時投与を行った。投与の1時間後に、及び28日間にわたって血液試料を採取した単独投与の場合、化合物A、モキシデクチン、及びピランテルは、それぞれ、202、0.562、及び0.671(μg×hr/mL)のAUCであった。同時に投与の場合、AUC値は、それぞれ、206、0.620、及び0.461であった。全体として、組み合わせの場合に比べて独立型として処理される場合、化合物は同じ程度に能力を発揮するように思われた。薬剤関連有害事象は、指摘されなかった。
【0120】
ネコのノミ及びマダニに対する効力:セラメクチンとの配合物
別の組み合わせ試験では、化合物A(1mg/kg又は2mg/kg)をセラメクチン(6mg/kg)と一緒に局所投与して、ネコのアメリカイヌカクマダニ及びクロアシマダニ並びにネコノミに対する効力を評価した。0日目に、各処理群(N=8匹)に単回局所投与を行い、T01はプラセボ対照;T02は化合物A(1mg/kg)とセラメクチン;及びT03は化合物A(2mg/kg)とセラメクチンとした。動物に約50匹の非給餌マダニ(ほぼ同じ数の雌及び雄)を、アメリカイヌカクマダニを−2日、5日、12日、19日、26日、33日、40日、及び47日目に、クロアシマダニを26日目に、それぞれ感染させた。また、13日、27日、41日、及び48日目の計画に従い、動物に約100匹のネコノミを感染させた。それぞれのノミの外寄生(14日、28日、42日、及び49日目)の24時間後、及びそれぞれのマダニの外寄生(2日、7日、14日、21日、28日、35日、42日、及び49日目)の48時間後、寄生虫の計数を行った。合計ノミ及び/又はマダニ数の%減少として効力を決定した。結果を表9に示す。
【0122】
対照動物の外寄生レベルは、試験全体にわたり許容可能であり、アメリカイヌカクマダニでは、平均範囲が、16.4〜33.6匹/外寄生、及びノミでは平均範囲が、62.6〜77.5匹であった。対照動物中のクロアシマダニの28日目の平均外寄生レベルは、9.1匹のマダニであった。幾何平均で1mg/kg程度の低い投与量の場合でも、セラメクチンと組み合わされた化合物Aは、アメリカイヌカクマダニに対して42日間にわたり、極めて効果的(>95%)であった。この試験では、クロアシマダニに対する効力は、28日目にのみ評価されたが、この種に対する活性は、アメリカイヌカクマダニに対するものと類似であった。ノミに対する活性は、極めて強力であった(49日間、98%超)。従って、この試験では、2mg/kg以下の化合物Aとセラメクチン(6mg/kg)を含む局所用配合物は、ネコのアメリカイヌカクマダニ及びクロアシマダニの両方、並びにネコノミに対し、少なくとも1ヶ月間、95%を超える効力を有していた。
【0123】
ネコの鉤虫及び回虫に対する効力:セラメクチンとの配合物
さらに別の組み合わせ試験では、化合物A(2mg/kg)及びセラメクチン(6mg/kg)を成体消化管線虫のネコ鉤虫及びネコ回虫人為的感染ネコに局所投与した。群T01(対照)及びT02(試験)動物に、ネコ回虫(回虫(roundworm))卵を−60日目に、ネコ鉤虫(鉤虫(hookworm))幼虫を−30日目に播種した。0日目に、全動物を単回局所投与により治療した。−2日及び7日目糞便の卵計数を行い、成虫の回収のために7日目に剖検を行った。糞便の卵数及び合計成虫数を評価することにより、効力(%減少)を決定した。効力の結果を表10に示す。
【0125】
化合物A及びセラメクチン配合物は、単回局所投与後、ネコの鉤虫(ネコ鉤虫)及び回虫(ネコ回虫)の両方の成体感染の除去に100%有効であった。
【0126】
全体として、化合物Aとモキシデクチン又はセラメクチン、化合物Aとピランテル、又は化合物Aとモキシデクチン又はセラメクチンとピランテルの組み合わせは、内部寄生虫(捻転胃虫、犬糸状虫、鉤虫、及び回虫)及び外部寄生虫(ノミ及びマダニ)に対し効果的であり、場合によっては、加算を上回る相乗的効果が観察された。