(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来技術のように、クッション形成シートを用いて「フルート構造」を形成する場合、例えば、おむつの外装体を形成するアウターシートやインナーシートに対し、クッション形成シートを間欠的に接合した後、これらのシートの間にウエスト伸縮部材が挟持されるように折り返す必要がある。
図12は、従来の「フルート構造」を持つウエストギャザーの構造例を示す断面図である。
図12(a)は、正常な位置で折り返された「フルート構造」の例を示し、
図12(b)は、好ましくない位置において折り返された「フルート構造」の例を示している。
まず、
図12(a)に示されるように、ウエスト開口部近傍には、外装体を形成するアウターシート11´とインナーシート12´が設けられる。アウターシート11´とインナーシート12´の間には複数のタミー伸縮部材15´が挟持固定されている。また、アウターシート11´は、インナーシート12´よりも長く、ウエスト開口部の方向に延びて形成されており、この長く延びたアウターシート11´の部分には、複数のウエスト伸縮部材13´が固定されている。また、アウターシート11´の長く延びた部分であって、複数のウエスト伸縮部材13よりも先端方向に位置する部分には、クッション形成シート20´が取り付けられる。このとき、アウターシート11´の先端部分と、クッション形成シート20´は、ウエスト伸縮部材13´の伸長方向に沿って、接合部と非接合部が連続するように間欠的に接合されている。そして、
図12(a)に示された折線F1の位置、すなわちアウターシート11´に固定された複数のウエスト伸縮部材13´とクッション形成シート20´の境界の位置で、クッション形成シート20´が取り付けられたアウターシート11´を肌当接面側に折り返す。その後、クッション形成シート20´をインナーシート12´に接着させる。このようにして、従来の技術では、クッション形成シート20´によりウエスト開口部近傍に「フルート構造」を形成することとしていた。
【0008】
しかしながら、おむつを高速で生産するような場合において、おむつの長手方向に長いアウターシート11´に対し、長さの短いクッション形成シート20´を接合する際に、両シートの重なる部分がシートを走行させるロールに挟まれると部分的に伸張力が掛かる傾向にあるため、両シートの重なる部分に不要なシワが生じやすい。このように、「フルート構造」を持つウエストギャザーに不要なシワが混入すると、肌触りが悪い部分ができてしまうという問題があった。
【0009】
また、
図12(a)に示された好ましい位置(折線F1)において、クッション形成シート20´が取り付けられたアウターシート11´を肌当接面側に折り返すよう正確に制御することは、困難であった。このため、
図12(a)に示された正常な位置(折線F1)ではなく、例えば、
図12(b)に示された好ましくない位置(折線F2)で、アウターシート11´が折り返される恐れがあった。すなわち、
図12(b)に示されるように、アウターシート11´の折り返し位置に誤差が生じると、例えば、アウターシート11´にクッション形成シート20´が接合された位置(折線F2)で、クッション形成シート20´及びアウターシート11´が肌当接面側に向かって折り返される可能性がある。このような場合、折返域Tにおいて、シートが、アウターシート11´とクッション形成シート20´を含め、4重に重なり合うという事態を招くものであった。このように、
図12(b)に示された好ましくない位置(F2)においてアウターシート11´が折り返された場合、
図12(a)に示された正常な位置(F1)でアウターシート11´を折り返えすことができた場合と比較し、折返域Tにおいて重なり合うシート材の枚数が増加し、結果として折返域Tにおける手触りが劣化するという問題があった。従って、「フルート構造」を持つウエストギャザーを形成するにあたり、クッション形成シート20´をアウターシート11´に取り付け、そのアウターシート11´を折り返すことは、好ましくないものであった。
【0010】
また、従来技術のように、クッション形成シートを用いて「フルート構造」を形成する場合、例えば、アウターシート11´とインナーシート12´に対してウエスト伸縮部材13´及びタミー伸縮部材15´を固定した後、このアウターシート11´にクッション形成シート20´を間欠的に接合するという工程を行う必要がある。すなわち、アウターシート11´の適所にクッション形成シート20´を正確に配置して、これらのシートに対し間欠的な接合を正確に付与することが必要である。しかしながら、おむつを短時間で多量に生産するような場合に、クッション形成シート20´の配置や、その接合位置を正確にコントロールするには、精度の高い制御が要求される。このため、「フルート構造」を有するおむつを製造にあたり、アウターシート11´にクッション形成シート20´を配置して両シートの間欠的な接合を付与する際に誤差が生じると、両シートの接合位置にズレが生じる可能性があり、良品出荷率の低下を招く恐れがあった。
【0011】
このため、現在では、クッション形成シートを用いて「フルート構造」を形成する場合において、例えば、クッション形成シートとアウターシートの重層部のシワであったり、クッション形成シートが取り付けられたシートの折返位置の誤差が原因となってウエスト開口部の風合いが損なわれたり、クッション形成シートの接合位置にズレが生じたりすることを防止するために、より簡単な構造及び工程で形成可能な「フルート構造」を有する使い捨ておむつ、及びその製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明の発明者は、上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果、アウターシート及びインナーシートとは別体のクッション形成シートを設け、このクッション形成シートに、ウエスト伸縮部材に接合される伸縮部材接合層と、この伸縮部材接合層の肌当接面側に位置するクッション形成層を設け、これらの伸縮部材接合層とクッション形成層を間欠的に接合することで、より簡単な構造及び工程で形成可能な「フルート構造」を有する使い捨ておむつ、及びその製造方法を提供できるという知見を得た。そして、本発明者は、上記知見に基づけば、従来技術の課題を解決できることに想到し、本発明を完成させた。
具体的に本発明は、以下の構成を有する。
【0013】
本発明の第1の側面は、使い捨ておむつに関する。
本発明の使い捨ておむつは、前身頃1と、後身頃2と、前身頃1と後身頃2の間に位置する股下部3から構成される。
また、使い捨ておむつは、アウターシート11と、インナーシート12と、一又は複数のウエスト伸縮部材13と、クッション形成シート20を有する。
アウターシート11は、前身頃1及び後身頃2の両方又はいずれか一方に位置するシート部材である。
インナーシート12は、アウターシート11の肌当接面側に対し、前身頃1及び後身頃2の両方又はいずれか一方のウエスト端部4に達しない位置に接合されたシート部材である。
ウエスト伸縮部材13は、アウターシート11の肌当接面側に対し、ウエスト端部4における位置に、おむつの幅方向に沿って伸長状態で固定された一又は複数の弾性伸縮部材である。このため、ウエスト伸縮部材13は、少なくとも一部が、インナーシート12に重畳しない位置に固定される。ただし、ウエスト伸縮部材13の一部は、アウターシート11とインナーシート12の間に挟持固定されるものであってもよい。
クッション形成シート20は、ウエスト伸縮部材13の
肌当接面に接合された、アウターシート11及びインナーシート12とは別体のシート部材である。
ここで、クッション形成シート20は、ウエスト伸縮部材13に接合される伸縮部材接合層21と、伸縮部材接合層21の肌当接面側に位置するクッション形成層22を有する。この伸縮部材接合層21とクッション形成層22は、一体であってもよいし、別体であってもよい。
そして、伸縮部材接合層21とクッション形成層22は、ウエスト伸縮部材13の伸長方向に沿って接合部と非接合部が連続するように、間欠的に接合されている。
【0014】
上記構成のように、本発明において、クッション形成シート20はアウターシート11に対しておむつの長手方向の長さが相対的に短く、しかも「フルート構造」を形成するにあたり伸縮部材接合層21とクッション形成層22を重ね合わせれば済むため、従来よりも単純な工程で、「フルート構造」をもつ使い捨ておむつを生産することが可能になる。従って、使い捨ておむつの生産にあたり、生産トラブルを減少させることができる。
また、本発明は、クッション形成シート20単体に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合を施すものであり、例えば、
図12(b)に示されるように、クッション形成シートが取り付けられたアウターシート11を折り返すものではない。このため、本発明は、おむつのウエスト開口部において、必要以上にシート部材が重畳するような可能性を排除できる。従って、本発明によれば、おむつのウエスト端部において、着用者に対して不要な違和感を与えることや、不織布シートの風合いを低下させてしまうような事態を防止できる。
さらに、本発明では、クッション形成シート20単体に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合が施されるものであるため、クッション形成シート20の伸縮部材接合層21とクッション形成層22を間欠的に接合した後、このクッション形成シート20を、アウターシート11上に固定されたウエスト伸縮部材13に接合することで、使い捨ておむつを製造可能になる。このため、従来技術のように、例えば、おむつの長手方向に長いアウターシート11に対し、長さの短いクッション形成シート20を間欠的に接合する必要がなくなるため、より簡単な構成で「フルート構造」を形成できる。
【0015】
本発明の使い捨ておむつにおいて、クッション形成シート20は、伸縮部材接合層21とクッション形成層22が一体となったシート部材により形成されたものであることが好ましい。すなわち、クッション形成シート20は、肌当接面側に向かって折り返されることにより、伸縮部材接合層21とクッション形成層22が形成されていることが好ましい。
【0016】
上記構成のように、一枚のクッション形成シート20を折り返して、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を形成することにより、クッション形成シート20の肌触りが良好になる。すなわち、クッション形成シート20の上端縁は、基本的に、おむつのウエスト開口部の端縁に相当する。このため、伸縮部材接合層21とクッション形成層22が別体であると、両層21、22を形成するシートの断面が、着用者の腹部に接するため、肌触りが低下する。この点、上記構成のように、一体に形成されたクッション形成シート20を折り返して構成することにより、着用者の腹部に接するのは、クッション形成シート20の折返部となる。一般的に、シートの折返部は、シートの断面よりも肌触りが良好であるため、上記構成のように、一体に形成されたクッション形成シート20を折り返すことで、着用者に対し不要な刺激を与えることを防止できる。
【0017】
本発明の使い捨ておむつにおいて、クッション形成シート20は、折返部23が、アウターシート11のウエスト開口端縁よりも突出した位置となるように、ウエスト伸縮部材13の
肌当接面に接合されていることが好ましい。
【0018】
上記した通り、一般的に、シートの折返部は、シートの断面よりも肌触りが良好である。ただし、本発明において、アウターシート11のウエスト開口端縁は、シートの断面となる可能性がある。そこで、上記構成のように、クッション形成シート20の折返部23を、アウターシート11のウエスト開口端縁よりも突出した位置とすることにより、着用者の腹部が、クッション形成シート20の折返部23に接触し、アウターシート11のウエスト開口端縁には接触しないようにすることができるため、ウエスト開口端部の肌触りが良好になる。
【0019】
本発明の第2の側面は、使い捨ておむつの製造方法に関するものである。
本発明の製造方法では、前身頃1と、後身頃2と、前身頃1と後身頃2の間に位置する股下部3から構成される使い捨ておむつを製造する。
本発明の製造方法では、外装体を得る工程と、クッション形成シートを得る工程と、外装体とクッション形成シートを接合する工程を行う。外装体とクッション形成シートを接合する工程は、外装体を得る工程とクッション形成シートを得る工程の後に行われるものであり、また、外装体を得る工程とクッション形成シートを得る工程は、いずれの構成が先に行われるものであってもよい。
まず、外装体を得る工程は、
前身頃1及び後身頃2の両方又はいずれか一方に位置するアウターシート11の肌当接面側に対して、
前身頃1及び後身頃2の両方又はいずれか一方のウエスト端部4に達しない位置に、インナーシート12を接合する工程と、
ウエスト端部4における位置で、おむつの幅方向に沿って伸長状態で一又は複数のウエスト伸縮部材13を固定する工程を行う。
これらの工程により、外装体を得る工程では、アウターシート11、インナーシート12、及びウエスト伸縮部材13を含む外装体10を得る。
他方、クッション形成シートを得る工程は、
伸縮部材接合層21の
肌当接面側に対して、クッション形成層22を、接合部と非接合部が連続するように間欠的に接合する工程を行う。
この工程により、クッション形成シートを得る工程では、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を含むクッション形成シート20を得る
続いて、外装体とクッション形成シートを接合する工程では、
クッション形成シート20における接合部と非接合部の連続方向が、外装体10におけるウエスト伸縮部材13の伸長方向と一致するように、クッション形成シート20の伸縮部材接合層21を、外装体10におけるウエスト伸縮部材13の肌当接面側に接合する。
【0020】
上記工程のように、本発明では、クッション形成シート20単体に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合を施した上で、このクッション形成シート20をアウターシート11に取り付ける。このように、本発明の製造方法は、従来技術のように、アウターシート11にクッション形成シート20を取り付けた状態で、アウターシート11を折り返すものではないため、おむつのウエスト開口部において、必要以上にシート部材が重畳するような可能性を排除できる。
また、本発明では、クッション形成シート20単体に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合を施した上で、このクッション形成シート20をアウターシート11に取り付けることができる。すなわち、本発明の製造方法は、従来技術のように、クッション形成シート20をアウターシート11に取り付けて両シート11、20に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合を施すものではない。従って、本発明の製造方法によれば、クッション形成シート20に間欠的な接合を施すに際し、それ程高い精度の制御が要求されないため、より簡単な工程で、「フルート構造」を有する使い捨ておむつを製造できるようになる。
【0021】
さらに、一般的なおむつ加工機において、アウターシート11のクッション形成シート20を接合する場合、アウターシート11の連続体(原アウターシート)の幅方向両端に、クッション形成シート20の連続体(原クッション形成シート)が接合される。このとき、一般的には、原アウターシートの両端部分を接合するために、1本の軸の表面の2箇所に、接合パターンが彫刻されたエンボスロールが用いられる。そうすると、幅の広い原アウターシートが少し蛇行した場合、その両端に位置する原クッション形成シートとの積層部は、一方が広く、他方が狭くなり、接合位置についても原アウターシートの両側部で同時に誤差が発生する恐れがあった。
この点、本発明では、原クッション形成シートに接合部を形成する際には、原アウターシートよりも相対的に幅の狭い伸縮部材接合層21とクッション形成層22を接合すればよいので、エンボスロールを後身頃側と前身頃側に別々に配置することも容易にできる。すなわち、従来の技術では、原アウターシートと原クッション形成シートの重層部がその他の位置より強く引かれる傾向にあるために両シートをあわせた全体巾が広いと、シートを流れ方向に引く力に不均等ができやすく、シワが入りやすかった。この点、本発明によれば、前記のようにエンボスロールを後身頃側と前身頃側で別々のロールを備えた別ユニットにすることも可能であり、接合時における幅を狭くすることができるため、シワが入りにくくすることができる。
【0022】
また、従来の製造方法では、アウターシート11にクッション形成シート20が接合された後、タミー伸縮材15が配置され、アウターシート11とインナーシート12で挟持した後、インナーシート上に吸収性本体を積層しウエスト伸縮材13を配置してすぐアウターシート11を折り返して、折返し部に位置する伸縮部材接合層21とアウターシート11で挟持・固定する。このように、従来の製造方法では、クッション形成層が作られた後に、多くの加工工程があるため、クッション形成層の接合部以外の浮いている部分がシワになったり、接合部にせん断力が掛かってダメージを受けることがある。これにより、結果としてフルート形成後の肌触りが悪くなる。
この点、本発明の製造方法によれば、クッション形成シート20に伸縮部材接合層21とクッション形成層22を形成して、両層21、22を間欠的に接合し、間欠的に接合されたクッション形成シート20を、アウターシート11に取り付けるだけで、「フルート構造」を持つウエストギャザーを形成できる。このように、本発明の製造方法では、クッション形成シート20と伸縮部材接合層21が接合された後の工程が少なくなり、製造工程が簡素化されるため、ウエストギャザーに不要なシワが生じることや、接合部にダメージが生じる事態を回避できる。
【0023】
本発明の製造方法において、クッション形成シートを得る工程は、
クッション形成シート20を肌当接面側に折り返して、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を形成した後に、
伸縮部材接合層21とクッション形成層22を、接合部と非接合部が連続するように間欠的に接合する工程であることが好ましい。
また、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を別々のシートとして両シートを積層後、間欠的に接合することによってクッション形成シート20を得ることもできる。
【0024】
上記工程のように、クッション形成シート20を折り返して伸縮部材接合層21とクッション形成層22を形成してから、両層21、22を間欠的に接合することで、折返し部の腹部に当たる部分がループ状になっているので、おむつの肌触りがよい。また両シートを接合することで「フルート構造」の保型性が向上する。また、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を別々のシートにした場合、シートを折り返す工程を省くことができるので生産性が良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、クッション形成シート20単体に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合を施すことができるため、例えば、
図12(b)に示されるように、クッション形成シートが取り付けられたアウターシート11を折り返すものではなく、クッション形成部に不要なシワが入りにくくすることができる。また、おむつのウエスト開口部において、必要以上にシート部材が重畳するような可能性を排除できる。従って、本発明によれば、着用者に対して不要な違和感を与えることや、不織布シートの風合いを低下させてしまうような事態を防止できる。
【0026】
また、本発明は、クッション形成シート20単体に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合が施すことができるため、クッション形成シート20の伸縮部材接合層21とクッション形成層22を間欠的に接合した後、このクッション形成シート20を、アウターシート11上に固定されたウエスト伸縮部材13に接合するという工程で、使い捨ておむつを製造可能になる。このため、本発明は、従来技術のように、例えばアウターシート11にクッション形成シート20を間欠的に接合し、アウターシートの折返し予定部に伸縮部材を配置しながらアウターシートを折り返す必要がなくなる。このため、本発明によれば、クッション形成シート20から伸縮部材接合層21とクッション形成層22を形成する工程(接合工程)と、アウターシート11にウエスト伸縮部材13を配置した上に伸縮部材接合層21を積層する工程を別々にすることができ、生産時のトラブルを格段と減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0029】
(1.使い捨ておむつの全体構成)
本発明は、ウエスト端部にウエストギャザーが形成された使い捨ておむつに関する。本発明は、例えば、公知のパンツ型の使い捨ておむつや、テープ型の使い捨ておむつに広く適用可能である。パンツ型の使い捨ておむつは、前身頃と後身頃の両側部が予め接合されたタイプの使い捨ておむつである。パンツ型の使い捨ておむつとしては、吸収性本体が載置される外装体が前身頃から後身頃に掛けて一体となった一体型のものであってもよいし、外装体が前身頃及び後身頃で分離され、前身頃外装体と後身頃外装体の間に吸収性本体が架橋された架橋型のものであってもよい。また、テープ型の使い捨ておむつは、前身頃又は後身頃の両側部に接着テープが取り付けられ、着用時に接着テープを利用して前身頃と後身頃を接着させるタイプの使い捨ておむつである。
以下では、これらの種々のタイプの使い捨ておむつのうち、外装体が前身頃から後身頃に掛けて一体となった一体型のパンツ型の使い捨ておむつを例に挙げて、本発明の内容を具体的に説明する。
【0030】
図1は、使い捨ておむつ100を前身頃1側からみた状態の例を示す斜視図である。また、
図2は、使い捨ておむつの例を示す展開図であって、使い捨ておむつを肌当接面側からみた状態を示している。
図2の展開図に示されるように、使い捨ておむつ100は、装着された際に、着用者の腹部に接する前身頃1と、着用者の背部に接する後身頃2と、着用者の股下にあてがわれる股下部3に区分される。使い捨ておむつ100は、前身頃1と後身頃2を結ぶ方向が「長手方向」となり、この長手方向と直交する方向が「幅方向」となる。
【0031】
図1及び
図2に示されるように、使い捨ておむつ100は、前身頃1から後身頃2にかけて形成された外装体10と、この外装体10の肌当接面側に股下部3を中心として固定された吸収性本体30を有する。
図2の展開図に示されるように、外装体10は、装着時において着用者の両脚部が位置する股下部3の部分がくり抜かれた形状となっている。また、吸収性本体30は、股下部3を中心として前身頃1側から後身頃2側に掛けて延びる略矩形状に形成されている。吸収性本体30は、着用者の尿などの排泄物を吸収し保持するための各種吸収性部材によって構成される。
【0032】
図2に示された展開状態から、外装体10における前身頃1と後身頃2の幅方向両端部を接合することにより、
図1に示される状態に組み上がる。
図1に示されるように、パンツ型の使い捨ておむつ100では、おむつの長手方向における前身頃1の端縁と後身頃2の端縁により、ウエスト開口部5が形成される。また、前身頃1と後身頃2の両端部同士が接合されることにより、装着時に着用者の脚部周りに位置する脚部周り開口部6が形成される。このため、着用者は、ウエスト開口部5から両脚部を入れ、各脚部を脚部周り開口部6から出すことで、パンツ型の使い捨ておむつ100を装着できる。
【0033】
(2.使い捨ておむつの各部構成)
次に、使い捨ておむつ100の各部構成について説明する。
図3は、
図2の展開図に示されたY−Y線において、使い捨ておむつ100を長手方向に切断した状態の例を示す断面図である。
図3では、上下方向が、使い捨ておむつの長手方向となる。また、
図3では、右側が肌当接面側であり、左側が非当接面側である。また、
図4は、
図3の断面図のうち、使い捨ておむつの前身頃を拡大した拡大断面図である。通常、使い捨ておむつを構成する各種シート部材は極めて薄いものであるが、
図3や4の断面図においては、各種のシート部材に概念的な厚みを持たせて描画している。
【0034】
(2−1.外装体)
使い捨ておむつ100の外装体10は、吸収性本体30を着用者の身体にあてがった状態で保持するための部材である。
図2や
図3に示されるように、外装体10は、基本的に、アウターシート11と、インナーシート12と、複数のウエスト伸縮部材13と、複数のタミー伸縮部材15と、複数のレッグ伸縮部材17と、クッション形成シート20を有している。
【0035】
アウターシート11には、ウエスト開口部5を形成する両端縁近傍のウエスト端部4に、複数のウエスト伸縮部材13が、おむつの幅方向に沿って伸長状態で固定されている。アウターシート11には、複数のウエスト伸縮部材13が配置された位置において、複数のウエスト伸縮部材13の肌当接面側に重畳するように、クッション形成シート20が接合されている。このため、アウターシート11とクッション形成シート20の間に、複数のウエスト伸縮部材13が挟持固定される。そして、複数のウエスト伸縮部材13が、アウターシート11とクッション形成シート20の間に固定された状態で収縮することにより、ウエスト開口部近傍のウエスト端部4にウエストギャザー14が形成される。
【0036】
また、アウターシート11の肌当接面側には、ウエスト開口部5を形成する両端縁近傍のウエスト端部4に達しない長さのインナーシート12が貼合されている。アウターシート11とインナーシート12の間には、複数のウエスト伸縮部材13よりもおむつの股下部3寄りの位置に、複数のタミー伸縮部材15が伸長状態で固定されている。複数のタミー伸縮部材15は、おむつの幅方向に沿って伸長状態で固定されており、この複数のタミー伸縮部材15が収縮することにより、前身頃1と後身頃2の腹周りにタミーャザー16が形成される。
【0037】
また、アウターシート11とインナーシート12の間には、装着時に着用者の両脚部が位置するくり抜かれた部分に沿って、複数のレッグ伸縮部材17が伸長状態で固定されている。レッグ伸縮部材17が収縮することにより、装着時における着用者の両脚部周りの位置に、レッグギャザー18が形成される。
【0038】
(2−1−1.ウエストギャザーの構成:第1の実施形態)
ウエストギャザー14は、複数のウエスト伸縮部材13の収縮作用により、使い捨ておむつのウエスト開口部5近傍のウエスト端部4に形成されるギャザーである。本実施の形態において、ウエストギャザー14は、前身頃1側と後身頃2側のそれぞれに形成される。ただし、ウエストギャザー14は、少なくとも、前身頃1側と後身頃2側のいずれか一方に形成されるものであればよい。
【0039】
図3や
図4に示されるように、本実施の形態において、外装体10は、肌非当接面側の最外層にアウターシート11を備えている。アウターシート11を構成する材料としては、織布や不織布が用いることができ、特にポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。なお、本願明細書において、「アウターシート」とは、ウエスト伸縮部材13が固定されるシート材を意味する。このため、アウターシート11は、必ずしも使い捨ておむつの最外層に位置するものに限られない。例えば、アウターシート11の肌非当接面側を覆うように、さらに他のシート材をアウターシート11に対して接合することとしてもよい。
【0040】
アウターシート11の肌当接面側には、インナーシート12が配設される。インナーシート12は、アウターシート11との間において複数のタミー伸縮部材15や複数のレッグ伸縮部材17を挟持する。また、インナーシート12は、ウエスト開口部5を形成する両端縁近傍のウエスト端部4の位置までは達しない長さで、アウターシート11に貼合されている。このため、アウターシート11との間で、複数のウエスト伸縮部材13うちの全部を挟持するものではない。ただし、ウエスト伸縮部材13の幾つかは、アウターシート11とインナーシート12の間に位置するものであってもよい。インナーシート12は、アウターシート11と同様、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布等を用いることが好ましい。
【0041】
図3や
図4に示されるように、アウターシート11の前身頃1と後身頃2におけるウエスト端部4には、複数のウエスト伸縮部材13が、おむつの幅方向に沿って伸長状態で配置されている。すなわち、複数のウエスト伸縮部材13は、アウターシート11が、インナーシート12よりもウエスト開口部5の方向に延出した部分(ウエスト端部4)に、接合される。ただし、複数のウエスト伸縮部材13の一部は、アウターシート11とインナーシート12の間に挟持されるものであってもよい。ウエスト伸縮部材13の数は、少なくとも1本あればよく、例えば、2本〜15本、4本〜12本、又は6本〜9本であることとしてもよい。ウエスト伸縮部材13は、
図3及び
図4に示されるように、使い捨ておむつの長手方向に所定間隔で配置されている。また、複数のウエスト伸縮部材13は、
図2の展開図に示されるように、略平行に並置されていることが好ましい。
図2に示されるように、複数のウエスト伸縮部材13は、その伸長状態において、前身頃外装体1aと後身頃外装体2aの幅方向のほぼ全域に延びて配置されていることが好ましく、例えば、複数のウエスト伸縮部材13は、前身頃1と後身頃2の幅方向の長さに対して、80%〜99%、又は85%〜95程度の領域に伸長状態で配置されていることが好ましい。
【0042】
複数のウエスト伸縮部材13は、アウターシート11に固定される。複数のウエスト伸縮部材13は、着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることが出来る程度の伸張状態で、アウターシート11に固定されている。複数のウエスト伸縮部材13が固定される際の伸張率は、例えば、200〜400%であることが好ましく、250〜350%であることが特に好ましい。なお、「伸張率」とは、非伸張状態の伸縮部材の長さ(原寸)に対する伸張状態の伸縮部材の長さの百分率を示す。また、複数のウエスト伸縮部材13をシート材に固定する方法としては、公知の方法を適宜採用することができる。複数のウエスト伸縮部材13は、例えば。ホットメルト接着剤のような流動性の高い接着剤を塗工したり、噴霧することとしてもよいし、接着ヒートシールのような熱や超音波等による溶着によって固定することとしてもよい。
【0043】
そして、
図4に示されるように、複数のウエスト伸縮部材13の肌当接面側にはクッション形成シート20が接合されている。クッション形成シート20は、ウエストギャザー14のクッション性と柔軟性を高めることを目的として配置されるシート部材であり、アウターシート11及びインナーシート12とは別体のシート部材によって形成される。クッション形成シート20は、例えば不織布で形成されることが好ましい。クッション形成シート20の不織布は、親水性不織布であってもよいし、撥水性不織布であってもよい。
【0044】
図4に示されるように、クッション形成シート20は、肌当接面側に向かって折り返され、折り返された位置に折返部23が形成される。このとき、クッション形成シート20の折返部23は、ウエスト開口部5を形成するアウターシート11の端縁よりも、突出している位置に形成されていることが好ましい。例えば、クッション形成シート20の折返部23が突出する長さは、0.5mm〜5mm、1mm〜4mm、又は1.5mm〜3mmであることが好ましい。クッション形成シート20の折返部23を、アウターシート11のウエスト開口端縁よりも突出した位置とすることにより、アウターシート11の断面が着用者の腹部に直接接することを防止できる。
【0045】
また、クッション形成シート20が、折返部23において折り返されることにより、この折返部23を境界線として、肌非当接面側に位置する伸縮部材接合層21と、肌当接面側に位置するクッション形成層22が形成される。
【0046】
伸縮部材接合層21は、アウターシート11の肌当接面側と、アウターシート11に固定された複数のウエスト伸縮部材13の肌当接面側に接合される。このため、伸縮部材接合層21は、アウターシート11との間において複数のウエスト伸縮部材13を挟持固定する。すなわち、伸縮部材接合層21は、複数のウエスト伸縮部材13に接合されつつ、複数のウエスト伸縮部材13の間の領域においては、アウターシート11に接合される。また、
図4に示されるように、伸縮部材接合層21は、ウエスト伸縮部材13との接合位置から、おむつの股下部3の方向(
図4の下方)に延びていることが好ましい。この場合、股下部3の方向に延びた伸縮部材接合層21の部分は、吸収性本体30(特にトップシート32)の長手方向両端部分を肌当接面側から被覆するように接合されているものであることが好ましい。また、
図4に示されるように、股下部3の方向に延びた伸縮部材接合層21の部分は、インナーシート12の肌当接面側に部分的に接合されているものであってもよい。このように、クッション形成シート20の伸縮部材接合層21を、吸収性本体30の肌当接面側に接合することにより、吸収性本体30に位置ずれが生じたり、長手方向の両端部分に剥がれが生じることを防止できる。
【0047】
他方、クッション形成層22は、伸縮部材接合層21の肌当接面側に位置する。本実施の形態において、伸縮部材接合層21は、おむつ長手方向の長さが、伸縮部材接合層21よりも短く形成されている。このとき、伸縮部材接合層21とクッション形成層22の重畳部は、少なくとも複数のウエスト伸縮部材13の一部又は全部を被覆できる長さとなる。例えば、
図4に示された例では、伸縮部材接合層21とクッション形成層22の重畳部が、ウエスト端部4に配設された複数のウエスト伸縮部材13の全部を被覆できる長さで形成されている。特に、接合部材接合層21とクッション形成層22の重畳部の長さは、アウターシート11のウエスト端部4よりも長いものであることが好ましい。また、本実施形態において、クッション形成層22は、伸縮部材接合層21と一体として形成されているが、伸縮部材接合層21は、クッション形成層22とは別体のシート部材で形成されたものであってもよい。
【0048】
このように、ウエストギャザー14においては、
図4に示されるように、肌非当接面側に位置する部材から順に、アウターシート11、ウエスト伸縮部材13、伸縮部材接合層21、及びクッション形成層22が位置している。このため、ウエストギャザー14を構成するために積層されたシート部材の数は3枚となっている。
【0049】
そして、クッション形成シート20の伸縮部材接合層21とクッション形成層22は、ウエスト伸縮部材13の伸長方向に沿って、接合部と非接合部が交互に連続するように間欠的に接合される。これにより、ウエストギャザー14には、「フルート構造」が形成される。
【0050】
(2−1−2.フルート構造)
「フルート構造」とは、伸長状態の弾性伸縮部材に接合された2層のシート間を、弾性伸縮部材の伸長方向に沿って間欠的に接合することにより、弾性伸縮部材が収縮した際に、この2層のシート間に空間が生じる構造を意味する。
図5は、本発明のクッション形成シート20によって形成される「フルート構造」を説明するために、ウエストギャザー14を構成するシート部材の一部を抽出して描画した概略図である。
図5においては、図中上側が肌当接面側であり、図中下側が肌非当接面側となっている。
【0051】
図5(a)は、ウエスト伸縮部材13が伸長状態にあり、アウターシート11、及びクッション形成シート20の伸縮部材接合層21とクッション形成層22が、張り詰めた状態の例を示している。
図5(a)に示されるように、クッション形成シート20は、ウエスト開口端縁に相当する折返部23において折り返され、伸縮部材接合層21とクッション形成層22が形成されている。そして、
図5(a)に示されるように、伸縮部材接合層21とクッション形成層22は、ウエスト伸縮部材13の長手方向に沿って、間欠的に接合されている。すなわち、伸縮部材接合層21とクッション形成層22の間には、ウエスト伸縮部材13の伸長方向(おむつ幅方向)に沿って、接合部24と非接合部25が交互に連続して形成されている。例えば、ウエスト伸縮部材13の伸長方向における接合部24同士の間隔は、例えば2〜50mm間隔とすることが好ましく、5〜10mm間隔とすることが特に好ましい。
【0052】
また、
図5(a)に示されるように、各接合部24は、ドット状に複数形成されていることとしてもよい。ドット状に形成された接合部24は、ウエスト伸縮部材13の伸長方向と直交する方向(おむつの長手方向)に沿って列をなして形成されており、各接合部24は、おむつの長手方向に所定間隔を空けて配置されている。例えば、おむつの長手方向における各接合部24同士の間隔は、例えば0.5〜5mmとすることが好ましく、特に1〜3mmであることが好ましい。また、各接合部24は、クッション形成層22に、おむつの長手方向における一端から他端まで設けられていることが好ましい。このように、伸縮部材接合層21とクッション形成層22は、おむつの幅方向における間欠性を維持しつつ、接合部24によって全体的に接合されているものであることが好ましい。
【0053】
図5(b)は、
図5(a)に示された状態から、ウエスト伸縮部材13が収縮し、アウターシート11、及びクッション形成シート20の伸縮部材接合層21とクッション形成層22が撓んだ状態の例を示している。
図5(b)に示されるように、ウエスト伸縮部材13が収縮すると、アウターシート11、伸縮部材接合層21、及びクッション形成層22が撓む。そして、伸縮部材接合層21とクッション形成層22は接合部24において間欠的に接合されているため、ウエスト伸縮部材13が収縮すると、伸縮部材接合層21とクッション形成層22の非接合部25に、空間Sが形成される。このように、伸縮部材接合層21とクッション形成層22の間に形成された空間Sは、クッションの機能を果たし、ウエストギャザー14の手触りを柔軟にする。特に、空間Sが形成されることにより、ウエスト伸縮部材13に塗布された接合剤の硬さや、ウエスト伸縮部材13自体の硬さが、着用者の肌に直接伝わりにくくなるため、ウエストギャザー14が、着用者の肌に与える刺激が低下する。従って、使い捨ておむつの着用感を良好なものとすることができる。
【0054】
(2−1−3.ウエストギャザーの形成工程)
続いて、
図6を参照して、「フルート構造」を持つウエストギャザーを形成する工程の例について説明する。
図6(a)に示されるように、アウターシート11とインナーシート12との間に複数のタミー伸縮部材15が挟持固定されたシート積層体を得る。このとき、アウターシート11の長手方向両端部を、インナーシート12の長手方向両端部分よりも延出させる。このアウターシート11の延出した部分が、ウエスト端部4となる。そして、
図6(a)に示されるように、インナーシート12の肌当接面側に、吸収性本体30を取り付ける。なお、吸収性本体30は、後述するように、基本的に、トップシートとバックシートの間に吸収体が介在する構成となっている。
【0055】
その後、
図6(b)に示されるように、ウエスト端部4におけるアウターシート11の肌当接面側に、複数のウエスト伸縮部材13を固定する。このとき、ウエスト伸縮部材13は、おむつの幅方向に沿って伸長した状態でアウターシート11に固定される。ウエスト伸縮部材13の固定は、例えばホットメルト接着剤を用いることができる。
【0056】
他方、
図6(c)に示されるように、アウターシート11やインナーシート12とは別体のシート部材として、クッション形成シート20を用意する。そして、クッション形成シート20を、折線Fの位置において、肌当接面側に向かって折り返す。すると、
図6(d)に示されるように、クッション形成シート20には、折返部23を境界として、肌非当接面側に位置する伸縮部材接合層21とクッション形成層22が形成される。このとき、接合部材接合層21がクッション形成層22よりも、股下部3の方向に向かって長く延在していることが好ましい。また、接合部材接合層21とクッション形成層22の重畳部の長さが、アウターシート11のウエスト端部4よりも長いものとなるように、クッション形成シート20を折り返すことが好ましい。そして、ここで、クッション形成シート20をウエスト伸縮部材13に接合する前に、クッション形成シート20の伸縮部材接合層21とクッション形成層22を、ウエスト伸縮部材13の伸長方向に沿って接合部と非接合部が連続するように、間欠的に接合する。
【0057】
その後、
図6(e)に示されるように、接合部材接合層21とクッション形成層22が間欠的に接合された形成されたクッション形成シート20を、アウターシート11のウエスト端部4を中心として、複数のウエスト伸縮部材13の当接面側に接合する。同時に接合部材接合層がクッション形成層より長く延在している部分で、吸収性本体の長さ方向の端部を覆って固定するのが好ましい。こうすることで、吸収性本体の端部から高吸収性ポリマーがこぼれたり、尿がしみだしたりするトラブルを防ぐことができる。クッション形成シート20を接合するための接合剤としては、ホットメルト接着剤を利用でき、ホットメルト接着剤としては、ゴム系、ポリオレフィン系、酢酸ビニル系等の流動性のあるホットメルト接着剤から適宜選択することができる。また、このとき、クッション形成シート20の折返部23が、アウターシート11の上端縁よりも、ウエスト開口部5側に突き出した位置となるように、クッション形成シート20を接合することが好ましい。このように、ウエスト開口部5側に突き出した位置にクッション形成シート20の折返部23が位置していることで、クッション形成シート20の折返部23が、アウターシート11のウエスト開口端縁よりも突出するようになる。これにより、着用者の腹部が、クッション形成シート20の折返部23に優先的に接触し、アウターシート11のウエスト開口端縁の断面には接触しないようになるため、ウエスト開口端部における肌触りが良好になる。
【0058】
クッション形成シート20が接合されると、
図6(f)に示されるように、「フルート構造」を持つウエストギャザーが形成される。
図6(f)に示されるように、クッション形成シート20は、股下部3の方向に延びた伸縮部材接合層21の部分が、吸収性本体30の長手方向両端部分を肌当接面側から被覆するように接合されているものであることが好ましい。
【0059】
このように、
図6に示された例では、クッション形成シート20単体に対して、「フルート構造」を形成するための間欠的な接合を施した上で、このクッション形成シート20をウエスト伸縮部材13に対して固定することができる。すなわち、クッション形成シート20を折り返す工程や、折り返されたクッション形成シート20に対して間欠的な接合を施す工程を、クッション形成シート20のみに対して行うことができる。例えば、クッション形成シート20をウエスト伸縮部材13に固定した後に、クッション形成シート20を折り返す工程や間欠的な接合を施す工程を行うと、クッション形成シート20の折返位置や接合位置に不要なシワが生じやすいが、
図6に示された例においては、クッション形成シート20単体に対して、これらの工程を行うものであるため、より簡単な工程で「フルート構造」を持つウエストギャザーを形成でき、ウエストギャザーに不要なシワが生じる事態を防止できる。
【0060】
また、
図6に示された例では、クッション形成シート20に伸縮部材接合層21とクッション形成層22を形成して、両層21、22を間欠的に接合し、間欠的に接合されたクッション形成シート20を、アウターシート11に取り付けるだけで、「フルート構造」を持つウエストギャザーを形成できる。このように、クッション形成シート20と伸縮部材接合層21が接合された後の工程が少なくなって工程が簡素化されるため、ウエストギャザーに不要なシワが生じることや、接合部にダメージが生じる事態を回避できる。
さらに、
図6に示された例では、伸縮部材接合層21よりクッション形成層22が短いことによってクッション形成シート20の端辺がフルート状の開口を形成するため、開口部を通る空気の経路ができるため、おむつ内空気を排気する経路が増えて換気がよくなることが期待できる。
【0061】
(2−1−4.ウエストギャザーの構成:第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る使い捨ておむつを示している。
図7は、
図4と同様に、使い捨ておむつの前身頃1側の断面形状を拡大して示した拡大断面図である。
図7に示された第2の実施形態において、クッション形成シート20のクッション形成層22が、伸縮部材接合層21よりも、おむつの股下部3が存在する方向(図の下方)に延びて長く形成されている。すなわち、伸縮部材接合層21は、複数の弾性伸縮部材13が配設されたウエスト端部4と同程度の長さで形成されており、他方、クッション形成層22は、伸縮部材接合層21よりも、おむつの股下部3が存在する方向に延在している。このように、クッション形成シート20は、クッション形成層22を伸縮部材接合層21よりも長く形成したものであってもよい。また、
図7に示されるように、クッション形成層22を長く延出させた場合、股下部3の方向に延びたクッション形成層22の部分は、吸収性本体30(特にトップシート32)の長手方向両端部分を肌当接面側から被覆するように接合されているものであることが好ましい。
【0062】
図7に示された形態のように、クッション形成シート20のクッション形成層22を、伸縮部材接合層21よりも長く延出させることで、伸縮部材接合層21とクッション形成層22の接合状態が解離することを防止できる。すなわち、第2の実施形態においては、クッション形成層22によって、伸縮部材接合層21を肌当接面側から完全に被覆することができるため、例えばおむつの装着時においては、着用者の肌が伸縮部材接合層21には接触しない。このため、クッション形成シート20に着用者の肌が擦れた場合でも、伸縮部材接合層21とクッション形成層22の間の接合部分が剥がれる事態を回避できる。
【0063】
(2−1−5.ウエストギャザーの構成:第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る使い捨ておむつを示している。
図8は、
図4と同様に、使い捨ておむつの前身頃1側の断面形状を拡大して示した拡大断面図である。
図8に示された第3の実施形態においては、クッション形成シート20が、伸縮部材接合層21とクッション形成層22とで、別体のシート部材により構成されている。このように、クッション形成シート20は、2つのシート部材を重ね合わせて、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を形成したものであってもよい。伸縮部材接合層21を構成するシート部材と、クッション形成層22を構成するシート部材は、同一の材料で形成されたものであってもよいし、異なる材料により構成されたものであってもよい。
【0064】
図8に示された第3の実施形態のように、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を別体のシート部材で形成することにより、「フルート構造」を持つウエストギャザーを形成するにあたり、クッション形成シート20を折り返す工程を行う必要がなくなり、代わりに、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を重ね合わせる工程をおこなえば済む。このため、比較的容易に、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を有するクッション形成シート20を形成することができる。また、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を間欠的に接合する際に、伸縮部材接合層21とクッション形成層22が連結していると、その連結部分に不要なシワが生じる可能性があるが、伸縮部材接合層21とクッション形成層22を別体として設けることにより、両層21、22を間欠的に接合する際に不要なシワが生じることを回避できる。
【0065】
(2−2.吸収性本体)
吸収性本体30は、外装体10の股下部3を中心に前身頃1及び後身頃2にかけて配置され、使い捨ておむつ100の着用時おいて、着用者の股下に当接して尿などの液体を吸収保持する。
図2の展開図や
図3の断面図に示されるように、吸収性本体30は、吸収体31と、トップシート32と、バックシート33と、立体ギャザー34を基本構成としている。
【0066】
吸収体31は、尿などの液体を吸収し、吸収した液体を保持するための部材である。吸収体31は、液透過性のトップシート32と、液不透過性のバックシート33の間に配置される。吸収体31は、トップシート32を透過した液体を吸収する機能を有し、吸収性材料により構成される。吸収体31を構成する吸収性材料には、公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては、例えば、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートを用いることとしても良い。また、吸収性材料には、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は、通常、単層又は複数層のマット状に形成され、用いられる。吸収性材料は、上側コアラップシート35と下側コアラップシート36によって、被包することが好ましい。上側コアラップシート35及び下側コアラップシート36は、肌当接面側及び肌非当接面側から、吸収性材料を被覆し、吸収性材料が外側へ漏出することを防止する。上側コアラップシート35及び下側コアラップシート36としては、ティシュペーパー、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を適宜用いることができる。
【0067】
トップシート32は、着用者の股下部の肌に直接接し、尿などの液体を吸収体31へ透過させるための部材である。このため、トップシート32は、柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また、トップシート32は、吸収体31の肌当接面側を被覆するように配置される。トップシート32を構成する不透過性材料の例は、織布、不織布、又は多孔性フィルムである。また、例えばポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0068】
バックシート33は、トップシート32を透過し吸収体31に吸収された液体が、おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため、バックシート33は、液不透過性材料によって構成される。そして、バックシート33は、吸収体31の底面からの液漏れを防止するため、吸収体31を肌非当接面側から被覆する。バックシート33を構成する不透過材料の例は、ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0069】
立体ギャザー34は、吸収体31の両側縁部に沿って起立し、着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。一対の立体ギャザー34のそれぞれには、その先端部に、複数の立体ギャザー伸縮部材37が配置されており、立体ギャザー伸縮部材37が収縮した際に、着用者の肌当接方向に向かって立ち上がる。このため、一対の立体ギャザー34は、尿の防漏壁となり、トップシート32を透過しなかった尿や、吸収体31により吸収しきれなった尿が、使い捨ておむつの脚部周り開口部などから漏出する横漏れを防止する。立体ギャザー34は、従来の使い捨ておむつに用いられている公知の構成を採用することができる。立体ギャザー34は、例えば、撥水性シートの層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮部材37を挟み込んで固定することにより、形成することができる。撥水性シートとしては、例えば、カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ、特に防水性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0070】
(3.使い捨ておむつの製造方法)
(3−1.使い捨ておむつの製造方法:第1の実施形態)
続いて、使い捨ておむつの製造方法の第1の実施形態について、
図9及び
図10を参照して説明する。なお、以下では、例えば「原アウターシート」という表現を使用するが、この「原アウターシート」等は、使い捨ておむつの製造ラインにおいて切断加工されることにより、後に、使い捨ておむつのアウターシート等となる部材を意味する。
【0071】
図9は、本発明に係る使い捨ておむつの製造工程を示した概念図である。
図9では、矢印Aで示された方向が、おむつ製造工程の流れ方向となっている。
本発明の製造方法では、まず、図示しない原反ロールから繰り出された原アウターシート111の上(肌当接面側)に、複数の原タミー伸縮部材115と複数のレッグ伸縮部材117を配置し、例えばホットメルト接着剤などによって固定する(ステップS1)。このとき、複数の原タミー伸縮部材115は、原アウターシート111のウエスト端部に相当する部分を空けて、原アウターシート111の前身頃側と後身頃側に、原アウターシート111の流れと一致する方向に伸長した状態で固定される。また、原レッグ伸縮部材117は、原アウターシート111の前身頃側と後身頃側に、蛇行するようにして、伸長した状態で固定される。原タミー伸縮部材115とレッグ伸縮部材117は、例えば、コームガンといった手法によりホットメルト接着剤が直接塗布されることが好ましい。また、後のステップS3において、原タミー伸縮部材115と複数の原レッグ伸縮部材117は、切断されて部分的に不連続とされる。このため、原タミー伸縮部材115と原レッグ伸縮部材117を接合する際には、これらの伸縮部材を部分的に不連続とすることができるように、接合部分と非接合部分が交互に連続するように接着剤を塗布することが好ましい。
【0072】
その後、原アウターシート111に固定された原タミー伸縮部材115と原レッグ伸縮部材117の上に、原インナーシート112が貼合される(ステップS2)。このとき、原インナーシート112は、原アウターシート111の前身頃側から後身頃側にかけて、原アウターシート111のウエスト端部に達しない幅を有している。原インナーシート112は、例えばカーテンスプレーといった手法によりホットメルト接着剤が全面的に塗布された状態で、原アウターシート111の股下部を中心として接合されることが好ましい。
【0073】
その後、原タミー伸縮部材115と原レッグ伸縮部材117は、原アウターシート111と原インナーシート112の間に挟持された状態で、シートの流れ方向と直交する方向に切断される(ステップS3)。原タミー伸縮部材115と原レッグ伸縮部材117は、接合部分と非接合部分が交互に連続するように、原アウターシート111と原インナーシート112の間に挟持固定されているため、非接合部分を切断することで、当該非接合部分において不連続となる。
【0074】
その後、原インナーシート112の上(肌当接面側)に、吸収性本体130を貼合する(ステップS4)。吸収性本体130は、原タミー伸縮部材115と原レッグ伸縮部材117が不連続となった領域に貼合される。吸収性本体130を形成する工程の図示は省略するが、公知の工程によって形成すればよい。吸収性本体130は、例えばホットメルト接着剤などを用いて接合すればよい。
【0075】
その後、原アウターシート111と原インナーシート112をくり抜き切断することにより、脚部周り開口部106を形成する(ステップS5)。
【0076】
その後、原アウターシート111上(肌当接面側)には、前身頃側と後身頃側のウエスト端部に相当する位置に、複数の原ウエスト伸縮部材113が、シートの流れ方向に沿って伸長状態で取り付けられる(ステップS6)。原ウエスト伸縮部材113は、例えば、コームガンといった手法によりホットメルト接着剤が直接塗布されることが好ましい。なお、ここでいう原ウエスト伸縮部材113の取り付けとは、原ウエスト伸縮部材113が原アウターシート111の上にホットメルト接着剤を介して配置された状態をいう。最終的に、原ウエスト伸縮部材113は、後工程で、原クッション形成シート120の原伸縮部材接合層121と重ねられて貼り合わされることによって固定される。
【0077】
続いて、原アウターシート111上の原ウエスト伸縮部材113に対し、原クッション形成シート120を重ね合わせる工程を行う(ステップS7)。ここで、原クッション形成シート120を重ね合わせる工程について、
図10を参照して詳しく説明する。
図10は、原クッション形成シート120を加工して、原ウエスト伸縮部材113に重ね合わせる工程を概念的に抽出して示した斜視図である。
図10に示されるように、原クッション形成シート120は、原アウターシート111、原インナーシート112、原ウエスト伸縮部材113、原タミー伸縮部材115、及び原レッグ伸縮部材117の積層体を得る工程とは別の工程においてを加工される。
原クッション形成シート120は、例えば図示しない原反ロールから繰り出され、折目のない平坦な状態で製造ラインに導入される。原反ロールの下流側には、原クッション形成シート120の幅方向両端側を、幅方向内方に向かって折り返すための一対のセーラー210が位置している。セーラー210は、原クッション形成シート120の幅方向両端側にそれぞれ設けられており、原クッション形成シート120の両端部分を挟み込みながら、シートに当接する内縁に沿って、シート両端部分を幅方向内方に案内して折り込む。このようにしてセーラー210により折り返された層は、原クッション形成シート120の原クッション形成層122に相当し、折り返されていない層が原伸縮部材接合層121に相当する。
【0078】
原クッション形成シート120の加工ラインにおいて、セーラー210の下流側には、エンボス装置220が位置している。エンボス装置220は、原クッション形成シート120を挟んで互いに対向する位置に、エンボスロール221と、アンビルロール222を備える。エンボスロール221とアンビルロール222は、原クッション形成シート120の流れ方向と直交する方向の回転軸を持つ。
【0079】
エンボスロール221は、パターンブロック223を備え、パターンブロック223には、エンボスロール221の回転方向に沿って凸部と凹部が交互に連続して設けられている。エンボスロール221のパターンブロック223の位置に、原クッション形成シート120の伸縮部材接合層121とクッション形成層122が重なった幅方向両端を揃えて加工する。このため、パターンブロック223の凸部が、伸縮部材接合層121とクッション形成層122の重複箇所に当接するようになっている。例えば、パターンブロック223は加熱・加圧できるものであることが好ましく、凸部に当接した原クッション形成シート120の伸縮部材接合層121とクッション形成層122を熱溶融させるものであることが好ましい。
他方、アンビルロール222は、表面がフラットになっており、エンボスロール221と対向した位置に配置されている。アンビルロール222は、エンボスロール221におけるパターンブロック223の凸部との間で、原クッション形成シート120を挟み込む。
【0080】
図10に示されるように、エンボスロール221とアンビルロール222の間には、原クッション形成シート120が導入される。そして、エンボスロール221とアンビルロール222は回転し、原クッション形成シート120を挟み込みながら下流側へと送出する。このとき、エンボスロール221のパターンブロック223が、アンビルロール222のフラット面との間で、原クッション形成シート120の伸縮部材接合層121とクッション形成層122が重なり合った部分を圧着させる。そして、パターンブロック223に設けられた凹部と凸部の連続のパターンに応じて、原クッション形成シート120の伸縮部材接合層121とクッション形成層122を間欠的に接合する。このとき、伸縮部材接合層121とクッション形成層122の間欠方向は、原クッション形成シート120の流れ方向に一致する。このようにして、原クッション形成シート120の伸縮部材接合層121とクッション形成層122に対して、間欠的な接合を付与することができる。
【0081】
原クッション形成シート120の加工ラインにおいて、エンボス装置220の下流側には、スリッター230が位置している。スリッター230は、円形刃を回転させて、原クッション形成シート120を幅方向の中央で切断する。これにより、原クッション形成シート120は、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bとに分断される。前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれには、重複した状態の伸縮部材接合層121とクッション形成層122が形成されている。スリッター230により切断された前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bは、図示しないシートの進行軸を幅方向に移動させる拡幅ロールによって、それぞれ原アウターシート111の両端部(ウエスト端部)に重なる位置まで離間される。
【0082】
スリッター230の下流側には、ガイドローラ240と、貼合ローラ250が位置している。搬送ローラ240は、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bを、原インナーシート112、及び原ウエスト伸縮部材113の積層体の流れに合流させるように誘導・搬送する。なお、ガイドローラ240は、複数設けられていることが好ましい。ガイドローラ240によって搬送された前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bは、重ね合わせローラ250によって、原アウターシート111、原インナーシート112、及び原ウエスト伸縮部材113の積層体に重ね合わせて圧着される。
【0083】
具体的に説明すると、
図10に示されるように、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれは、伸縮部材接合層121とクッション形成層122の間欠方向が、原ウエスト伸縮部材113の伸長方向に一致するように、原ウエスト伸縮部材113の上に重ね合わされる。このとき、例えば、図示しないホットメルト塗布装置によって、原アウターシート111上に固定された原ウエスト伸縮部材113の肌当接面側、又は、前身頃側の原クッション形成シート120aと後身頃側の原クッション形成シート120bの肌非当接面側に、ホットメルト接着剤が塗工又はスプレーされている。このため、前身頃側の原クッション形成シート120aと後身頃側の原クッション形成シート120bは、例えばホットメルト接着剤により、原ウエスト伸縮部材113に接合される。
【0084】
これにより、原アウターシート111の幅方向両端部分に、原ウエスト伸縮部材113が固定され、その上に、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bがそれぞれ接合される。前身頃側の原クッション形成シート120aと後身頃側の原クッション形成シート120bは、それぞれ、伸縮部材接合層121とクッション形成層122が間欠的に接合したものとなっている。
また、このとき、原クッション形成シート120の原伸縮部材接合層121が、原インナーシート121上に配置された吸収性本体130の上に、部分的に接合されるものであることが好ましい。
このようにして、吸収性本体130を保持するための原外装体シート110を得ることができる。
【0085】
使い捨ておむつを製造するためのその後の工程は、
図9に示されている。
図9に示されるように、原ウエスト伸縮部材113に対し、原クッション形成シート120を重ね合わせる工程(ステップS7)を行った後、原外装体シート110の前身頃を、股下部において折り返し、後身頃に重ねる(ステップS8)。
【0086】
その後、原外装体シート110の前身頃と後身頃をサイドフラップに相当する位置に、シートの流れ方向と直交する方向に沿ってサイドシールを形成する(ステップS9)。このとき、サイドシールは、シートの流れ方向と直交する方向に沿って2列で形成される。サイドシールは、例えば、公知の熱エンボス装置や超音波エンボス装置を用いて施せばよい。
【0087】
その後、2列で形成されたサイドの間において、原外装体シート110を、シートの流れ方向と直交する方向に切断する(ステップS10)。これにより、シートの流れ方向に沿って隣り合った使い捨ておむつの連続体を、個別の使い捨ておむつ100に切り離すことができる。
以上の工程により、外装体10が前身頃から後身頃に掛けて一体となったタイプのパンツ型の使い捨ておむつ製造することができる。
【0088】
上記工程によれば、原クッション形成シート120を原ウエスト伸縮部材113に接合する前の段階において、原クッション形成シート120をセーラー210により折り返す工程や、原クッション形成シート120の伸縮部材接合層121とクッション形成層122をエンボス装置220により間欠的に接合する工程を行うことができる。このため、これらの加工処理が施された原クッション形成シート120を、原ウエスト伸縮部材体113に接合することで、「フルート構造」を持つウエストギャザーを簡単に形成することができる。このため、本実施形態の製造方法によれば、例えば、原クッション形成シート120を原アウターシート111に接合した状態で、この原アウターシート111を折り返すような複雑な工程を行う必要がなくなるため、より簡単な工程で、「フルート構造」を持つ使い捨ておむつを製造できる。従って、使い捨ておむつを製造する工程において生じるエラーを抑制することが可能であり、使い捨ておむつの良品出荷率が向上する。
【0089】
(3−2.使い捨ておむつの製造方法:第2の実施形態)
続いて、使い捨ておむつの製造方法の第2の実施形態について、
図11を参照して説明する。
図11は、
図10と同様に、原クッション形成シート120を加工して、原ウエスト伸縮部材113に重ね合わせる工程を概念的に抽出して示した斜視図である。
【0090】
第2の実施形態に係る製造方法では、第1の実施形態に係る製造方法と同様に、まず、原アウターシート111、原インナーシート112、原ウエスト伸縮部材113、原タミー伸縮部材115、及び原レッグ伸縮部材117の積層体を得る。すなわち、第2の実施形態に係る製造方法においては、第1の実施形態と同様の工程(ステップS1〜S5)を行えばよい。
【0091】
他方、第2の実施形態に係る製造方法では、上記積層体を得る工程とは別の工程において、原クッション形成シート120を加工する。原クッション形成シート120は、例えば図示しない原反ロールから繰り出され、折目のない平坦な状態で製造ラインに導入される。そして、原反ロールの下流側には、原クッション形成シート120を幅方向に二分するためのスリッター230が位置している。スリッター230は、例えば円形刃を回転させて、原クッション形成シート120の幅方向中央部に切断線を形成し、原クッション形成シート120を、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bに分断する。スリッター230により切断された前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bは、図示しないシートの進行軸を幅方向に移動させる拡幅ロールによって、それぞれ原アウターシート111の両端部(ウエスト端部)に重なる位置まで離間される。
【0092】
また、スリッター230の下流側には、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれに対応する位置に、セーラー210が位置している。セーラー210は、前身頃側の原クッション形成シート120aの搬送ラインと、後身頃側の原クッション形成シート120bの搬送ラインに一つずつ設けられており、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bの端部分を挟み込みながら、シートに当接する内縁に沿って、シートの幅方向内方に案内して折り込む。セーラー210により折り返された層は、原クッション形成シート120のクッション形成層122に相当し、折り返されていない層が伸縮部材接合層121に相当する。伸縮部材接合層121とクッション形成層122は、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれに形成される。
【0093】
セーラー210の下流側には、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれに対応する位置に、エンボス装置220が位置している。エンボス装置220は、前身頃側の原クッション形成シート120aの搬送ラインと、後身頃側の原クッション形成シート120bの搬送ラインに一つずつ設けられており、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bを挟んで互いに対向する位置に、エンボスロール221と、ソニックホーン224を備える。エンボスロール221は、シート120の流れ方向と直交する方向の回転軸を持ち、ソニックホーン224は、エンボスロール221との間でシートを挟む位置に固定される。
【0094】
エンボスロール221は、パターンブロック223を備え、パターンブロック223には、エンボスロール221の回転方向に沿って凸部と凹部が交互に連続して設けられている。前身頃側の原クッション形成シート120aと後身頃側の原クッション形成シート120bにおいて、伸縮部材接合層121とクッション形成層122が重なった部分は、エンボスロール221のパターンブロック223が位置に導入されて、エンボス加工される。このため、パターンブロック223の凸部が、伸縮部材接合層121とクッション形成層122の重複箇所に当接するようになっている。
【0095】
他方、ソニックホーン224は、エンボスロール221のパターンブロック223に形成された凸部との間で、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれを挟み込み、両シート120a、120bに対して、超音波振動による摩擦熱を付与して、伸縮部材接合層121とクッション形成層122を溶着させる。具体的に説明すると、ソニックホーン224は、摩擦対象のシートに接するホーン部と、ホーン部に接続されたブースタ部と、ブースタ部に接続されたコンバータ部を備える。コンバータ部は、高周波電気信号を機械振動に変換し、ブースタ部に伝導する。ブースタ部は、コンバータ部が発生せた振動を増減し、ホーン部を超音波振動させる。ホーン部は、コンバータ部及びブースタ部の超音波振動に共鳴して振動し、振動エネルギーを摩擦対象のシートに対して加え、摩擦熱を発生させる。
【0096】
図11に示されるように、エンボスロール221とソニックホーン224のそれぞれの間には、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれが導入される。そして、エンボスロール221が回転し、ソニックホーン224との間で、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれを挟み込みながら、下流側へと送出する。このとき、エンボスロール221とソニックホーン224の間に、両シート120a、120bの伸縮部材接合層121と、クッション形成層122が重なり合った部分が接触する。そして、ソニックホーン224の超音波振動により両シート120a、120bに対して摩擦熱が付与され、パターンブロック223に設けられた凹部と凸部の連続のパターンに応じて、両シート120a、120bの伸縮部材接合層121とクッション形成層122が間欠的に超音波溶着される。このとき、伸縮部材接合層121とクッション形成層122の間欠方向は、両シート120a、120bの流れ方向に一致する。このようにして、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれについて、伸縮部材接合層121とクッション形成層122を間欠的な接合を行うことができる。
【0097】
エンボス装置220の下流側には、第1の実施形態と同様に、ガイドローラ240と、貼合ローラ250が位置している。ガイドローラ240は、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bを、原インナーシート112、及び原ウエスト伸縮部材113の積層体の流れに合流させるように搬送する。ガイドローラ240によって搬送された前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bは、重ね合わせローラ250によって、原アウターシート111、原インナーシート112、及び原ウエスト伸縮部材113の積層体に重ね合わされる。すなわち、
図11に示されるように、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれは、伸縮部材接合層121とクッション形成層122の間欠方向が、原ウエスト伸縮部材113の伸長方向に一致するように、原ウエスト伸縮部材113の上に重ね合わされる。このとき、例えば、図示しないホットメルト塗布装置によって、原アウターシート111上に固定された原ウエスト伸縮部材113の肌当接面側、又は、前身頃側の原クッション形成シート120aと後身頃側の原クッション形成シート120bの肌非当接面側に、ホットメルト接着剤が塗工又はスプレーされている。このため、前身頃側の原クッション形成シート120aと後身頃側の原クッション形成シート120bは、例えばホットメルト接着剤により、原ウエスト伸縮部材113に接合される。このようにして、吸収性本体130を保持するための原外装体シート110を得ることができる。
【0098】
その後の製造工程においては、第1の実施形態と同様に、原クッション形成シート120を重ね合わせる工程(ステップS7)の後、原外装体シート110の前身頃を後身頃に重ね(ステップS8)、サイドシールを形成し(ステップS9)、使い捨ておむつの連続体を個別の使い捨ておむつ100に切り離す(ステップS10)工程を行う。これにより、外装体10が前身頃から後身頃に掛けて一体となったタイプのパンツ型の使い捨ておむつ製造することができる。
【0099】
上記第2の実施形態に係る工程によれば、原クッション形成シート120を、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれに分断してから、分断されたシート120a、120bのそれぞれについて、セーラー210によって折り返す工程や、エンボス装置220による間欠的な接合を施す工程を行うことが可能になる。このように、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bに対し個別に接合を行うことにより、接合に際して接合部分にヨレやシワが生じることを防止できる。
すなわち、一般的なおむつ加工機において、前身頃側と後身頃側が一体となった原クッション形成シート120に対し、原伸縮部材接合層121と原クッション形成層122を間欠的に接合しようとすると、例えば原クッション形成シート120が少し蛇行したような場合に、その幅方向両端に位置する原伸縮部材接合層121と原クッション形成層122の積層部は、一方が広く、他方が狭くなり、積層部の幅に誤差が発生する恐れがある。
この点、上記第2の実施形態では、原クッション形成シート120を、前身頃側の原クッション形成シート120aと、後身頃側の原クッション形成シート120bのそれぞれに分断してから、分断されたシート120a、120bのそれぞれについて、セーラー210による折り返しや、エンボス装置220による接合を施すものであるため、上記のように、原クッション形成シート120の幅方向両端部に位置する原伸縮部材接合層121と原クッション形成層122の積層部の幅に、誤差が生じるような事態を軽減できる。このため、第2の実施形態によれば、伸縮部材接合層121とクッション形成層122をエンボス装置220によって間欠的に接合しても、その積層部に不要なシワが生じにくくなり、結果として「フルート構造」を持つウエストギャザーの手触りを良好にすることができる。
【0100】
以上、本発明に係る使い捨ておむつの製造方法について、好ましい形態を例に説明を行った。ただし、本発明の製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記製造方法は、外装体が前身頃から後身頃にかけて一体となったタイプのパンツ型使い捨ておむつだけでなく、外装体が前身頃と後身頃において分離したタイプのパンツ型使い捨ておむつや、その他、前身頃又は後身頃の両側部に接着テープが取り付けられたタイプのテープ型使い捨ておむつの製造方法にも応用可能である。
また、使い捨ておむつの製造方法の第1の実施形態においては、原クッション形成シート120における原クッション形成層122と原伸縮部材接合層121接合手段として、エンボスロールとアンビルロールの組み合わせによるエンボス装置を例にあげて説明したが、例えば、エンボスロールとソニックホーンによる超音波融着方式のエンボス装置を採用することもできる。また、使い捨ておむつの製造方法の第2の実施形態においては、原クッション形成シート120における原クッション形成層122と原伸縮部材接合層121接合手段として、エンボスロールとソニックホーンの組み合わせによるエンボス装置を例にあげて説明したが、エンボスロールとアンビルロールの組み合わせによる熱融着方式のエンボス装置を採用することも可能である。