(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一方向位置決め部材において前記挟持軸と接触する接触部位は、前記第一方向位置決め部材の回転軸方向から見て、前記第一方向位置決め部材の回転軸を中心に円弧状に形成される請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を
図1〜
図14に従って説明する。なお図中に示す矢印Vは鉛直方向を示し、矢印Hは水平方向であって装置左右方向を示し、矢印Dは水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0019】
(全体構成)
図14に示されるように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行なう画像処理部12が設けられている。
【0020】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっている。そして、画像処理部12によって処理された階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う露光装置14が装置本体10A内の中央側に設けられている。
【0021】
また、露光装置14の鉛直方向上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、水平方向に対して傾斜する方向に間隔をおいて配置され、装置本体10Aに着脱可能とされている。この画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kで、各色のトナー画像が形成されるようになっている。なお、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0022】
一方、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向上方には、各色の画像形成ユニット16で形成されたトナー画像が多重に転写される像保持体の一例としての一次転写ユニット18が設けられている。さらに、一次転写ユニット18の側方(図中右側)には、後述する供給搬送ユニット30によって搬送経路60に沿って搬送された記録媒体としてのシート部材Pに、一次転写ユニット18に多重に転写されたトナー画像を二次転写位置で転写する転写部材の一例としての二次転写ロール22が設けられている。
【0023】
二次転写ロール22に対してシート部材Pの搬送方向の下流側には、シート部材Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によってシート部材Pに定着させる定着装置24が設けられている。また、この定着装置24に対してシート部材Pの搬送方向下流側には、トナー画像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部26に排出する排出ロール28が設けられている。
【0024】
一方、露光装置14の鉛直方向下方及び側方には、シート部材Pを供給し搬送する供給搬送ユニット30が設けられている。
【0025】
〔画像形成ユニット〕
先ず、画像形成ユニット16について説明する。
【0026】
各色の画像形成ユニット16は、すべて同様に構成されている。そして、各色の画像形成ユニット16は、回転する円柱状の像保持体34と、この像保持体34の外周面を帯電させる帯電部材36と、帯電した像保持体34の外周面に前述した露光装置14の画像露光によって形成された静電潜像を現像剤(トナー)で現像してトナー画像とする現像器38と、像保持体34の外周面を清掃する清掃ブレード(図示省略)とを備えている。
【0027】
〔露光装置〕
次に、露光装置14について説明する。
【0028】
露光装置14の筐体14Aの内部には、回転多面鏡であるポリゴンミラー32が配置されている。光源である半導体レーザ54から出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、シリンドリカルレンズ(図示省略)を介してこのポリゴンミラー32に照射され、このポリゴンミラー32によって主走査方向に偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー32によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、結像レンズ及び複数枚のミラー(図示省略)を介して、像保持体34上の露光位置に、斜め下方から走査露光されるようになっている。
【0029】
このように、露光装置14は、斜め下方から像保持体34上を走査露光するものである。このため、この露光装置14には、上方に位置する各色の画像形成ユニット16に備えられた現像器38等からトナー等の異物が落下する虞が有る。そこで、筐体14Aの外周面において上方を向いた部分には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に向けて透過させる透明なガラス製の透過ガラス40Y、40M、40C、40Kが備えられている。
【0030】
〔一次転写ユニット・二次転写ロール〕
次に、一次転写ユニット18及び二次転写ロール22について説明する。
【0031】
一次転写ユニット18は、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向上方に配置されている。この一次転写ユニット18は、無端状の無端ベルトの一例としての中間転写ベルト42と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ回転駆動して中間転写ベルト42を矢印A方向に周回させる駆動ロール46と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、中間転写ベルト42に張力を付与する張力付与ロール48と、張力付与ロール48の鉛直方向上方に配置されて中間転写ベルト42と従動回転して後述する二次転写ロール22との間でシート部材Pを挟み込む挟持ロール50と、中間転写ベルト42を挟んで各色の像保持体34の反対側に夫々配置される一次転写ロール52とを備えている。
【0032】
これにより、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、各色の一次転写ロール52によって、中間転写ベルト42上に多重に転写されるようになっている。
【0033】
さらに、中間転写ベルト42の外周面に接して中間転写ベルト42の外周面を清掃する清掃ブレード56が、中間転写ベルト42を挟んで駆動ロール46の反対側に配置されている。また、中間転写ベルト42を挟んで挟持ロール50の反対側には、中間転写ベルト42上に転写されたトナー画像を、搬送されるシート部材Pに転写する二次転写ロール22が配置されている。
【0034】
以上により、中間転写ベルト42上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト42によって搬送される。搬送されるトナー画像は、中間転写ベルト42を介して挟持ロール50と二次転写ロール22とに挟まれ、後述する供給搬送ユニット30により搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに二次転写されるようになっている。
【0035】
なお、一次転写ユニット18及び二次転写ロール22を装置本体10Aに位置決めする位置決め構造等については詳細を後述する。
【0036】
〔供給搬送ユニット〕
次に、シート部材Pを供給して搬送する供給搬送ユニット30について説明する。
【0037】
供給搬送ユニット30は、装置本体10A内において露光装置14の鉛直方向下方に配置され、複数のシート部材Pが積載される給紙部材62を備えている。
【0038】
さらに、供給搬送ユニット30は、給紙部材62に積載されたシート部材Pを搬送経路60へ送り出す給紙ロール64と、給紙ロール64によって送り出されたシート部材Pを1枚ずつ分離する分離ロール66と、シート部材Pの搬送タイミングを合わせる位置合せロール68と、を備えている。そして、各ロールが、シート部材Pの搬送方向上流側から下流側に向けてこの順番で配置されている。
【0039】
この構成により、給紙部材62から供給されたシート部材Pは、回転する位置合せロール68によって中間転写ベルト42と二次転写ロール22とが接触する位置(二次転写位置)へ定められたタイミングで送り出されるようになっている。
【0040】
さらに、供給搬送ユニット30は、定着装置24によって一方の面にトナー画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出させずに、他方の面にトナー画像を形成するために用いる両面搬送装置70を備えている。
【0041】
この両面搬送装置70は、排出ロール28から位置合せロール68に向けてシート部材Pの表裏を反転させるようにシート部材Pが搬送される両面搬送経路72と、両面搬送経路72に沿ってシート部材Pを搬送する搬送ロール74及び搬送ロール76とを備えている。
【0042】
また、両面搬送経路72は、搬送されるシート部材Pの一方の面を支持する第一シュート部材80と、他方の面を支持する第二シュート部材82とを備えている。
【0043】
〔開閉部材〕
一方、装置本体10Aの側方(図中右側)には、開口84(
図12参照)が形成されている。さらに、この開口84を開放する開放位置(
図12参照)と、開口84を閉止する閉止位置(
図13参照)とに移動可能に装置本体10Aに支持された開閉部材の一例としてのメンテナンスドア86が備えられている。
【0044】
メンテナンスドア86は、ヒンジ88を介して装置本体10Aに支持されており、メンテナンスドア86をヒンジ88周りに中心に回転移動させることで、メンテナンスドア86が、開放位置と閉止位置との間を移動するようになっている。
【0045】
また、このメンテナンスドア86には、前述した第一シュート部材80、第二シュート部材82、及び二次転写ロール22が装着されている。
【0046】
(全体構成の作用)
この構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
【0047】
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力される。そして、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材36によって帯電した像保持体34の外周面を走査露光する(主走査方向に露光する)。これにより、像保持体34の外周面には静電潜像が形成される。像保持体34上に形成された静電潜像は、各色の現像器38によって現像され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として可視化される。
【0048】
さらに、一次転写ユニット18の一次転写ロール52によって、像保持体34上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト42上に多重に転写される。周回する中間転写ベルト42上に多重に転写された各色のトナー画像は、給紙部材62から給紙ロール64、分離ロール66、位置合せロール68によって搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに二次転写ロール22によって二次転写される。
【0049】
さらに、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置24へと搬送される。そして、トナー画像が定着装置24によってシート部材Pに定着される。トナー画像が定着されたシート部材Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
【0050】
一方、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置24によって一方の面(表面)にトナー画像が定着されたシート部材Pは、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出されない。排出ロール28を逆転させることで、シート部材Pの搬送方向が切り替えられる。そして、このシート部材Pは、搬送ロール74、76により両面搬送経路72に沿って搬送される。
【0051】
両面搬送経路72に沿って搬送されるシート部材Pは、表裏が反転されて再度位置合せロール68へと搬送される。今度は、シート部材Pの他方の面(裏面)にトナー画像が転写・定着された後、シート部材Pは、排出部26に排出ロール28によって排出される。
【0052】
(要部構成)
次に、一次転写ユニット18及び二次転写ロール22の構成、並びに一次転写ユニット18及び二次転写ロール22を装置本体10Aに位置決めする位置決め構成等について説明する。先ず、一次転写ユニット18について説明し、次に、二次転写ロール22について説明する。
【0053】
〔一次転写ユニット〕
一次転写ユニット18は、装置本体10Aの上側に装着されたカバーを開放して、
図14に示す矢印D方向に一次転写ユニット18を移動させることで、装置本体10Aに対して離脱可能となっている。また、一次転写ユニット18は、
図14に示す矢印E方向に一次転写ユニット18を移動させることで、装置本体10Aに対して装着可能となっている。
【0054】
一方、一次転写ユニット18に備えられた挟持ロール50は、
図4、
図8に示されるように、二次転写ロール22との間で、シート部材Pを挟み込む円柱状の挟持ロール部位50Aを備えている。さらに、挟持ロール50は、挟持ロール部位50Aの回転軸を構成すると共に挟持ロール部位50Aを回転可能に支持する挟持軸50Bを備えている。この挟持軸50Bは、金属材料(導体)で形成されている。
【0055】
〔一次転写ユニットを位置決めする位置決め部〕
次に、一次転写ユニット18を装置本体10に対して位置決めする第一位置決め部材の一例としての位置決め部128について説明する。この位置決め部128は、一次転写ユニット18に備えられた挟持ロール50の水平方向(第一方向の一例)を位置決めする第一方向位置決め部材の一例としての回転装置124と、鉛直方向(第二方向の一例)を位置決めする第二方向位置決め部材の一例としての案内溝122とを備えている。
【0056】
[鉛直方向の位置決め]
一次転写ユニット18及び二次転写ロール22が装置本体10Aに位置決めされた状態が
図4、
図8に記載されている。
【0057】
図4、
図8に示されるように、装置本体10Aには、一次転写ユニット18が装置本体10Aに対して着脱される際に、挟持ロール50の挟持軸50Bを案内する案内溝122が形成された保持部材120が取り付けられている。この案内溝122は、装置奥行方向における装置内側が開放された凹状とされており、案内溝122は、第一壁122Aと、第一壁に対して下方に形成された第二壁122Bとを含んで構成されている。さらに、案内溝122の終端部には、第一壁122Aの終端部と第二壁122Bの終端部とを連結する連結壁122Cが形成されている。
【0058】
具体的には、保持部材120は、装置奥行方向における装置奥側と装置手前側とに配置されている(
図4、
図8では装置奥側だけを示す)。そして、案内溝122は、一次転写ユニット18を装置本体10Aに対して離脱させる離脱側(
図4に示す左側)が装着側(
図4に示す右側)に対して鉛直方向の上方に位置することで水平方向に対して傾斜している。また、案内溝122における装着側(
図4に示す右側)の部分は、装置奥行方向から見て水平方向に沿って形成されている。そして、装置本体10Aに装着された挟持ロール50の挟持軸50Bは、水平方向に沿った第一壁122Aの端側と第二壁122Bの端側とに挟まれることで、鉛直方向の位置が決まるようになっている。
【0059】
[水平方向の位置決め]
次に、開放位置に配置されたメンテナンスドア86を閉止位置へ向けて移動させるのに伴って、挟持ロール50の水平方向を位置決めすることで、二次転写ロール22との間でシート部材Pにトナー画像を転写可能な転写位置に一次転写ユニット18を位置決めする回転装置124について説明する。
【0060】
メンテナンスドア86が開口84(
図12参照)を開放し、一次転写ユニット18及び二次転写ロール22が装置本体10Aに位置決めされていない状態(挟持軸50Bが後述する接触部位132Bに押さえ付けられておらず、さらに、後述する転写軸22Bが位置決め部位112Bに配置されていない状態)が
図1、
図5に記載されている。
【0061】
図1、
図5に示されるように、回転装置124は、案内溝122に対して、図中右上に配置され、装置奥行方向における装置奥側と装置手前側に備えられている(
図1、
図5では装置奥側だけを示す)。
【0062】
回転装置124は、保持部材120に回転可能に取り付けられ、開放位置から閉止位置へ向けて移動されるメンテナンスドア86に形成された押圧部材140の押圧部位140A(
図11参照)に押圧されて各図に示す矢印F側に回転するようになっている。
【0063】
具体的には、回転装置124は、
図1、
図5に示されるように、回転装置124の回転軸を構成すると共に装置奥行行方向を軸方向とする軸部材130を備え、この軸部材130が保持部材120に支持されている。さらに、この軸部材130には、第一部材132の基端部及び第二部材134の基端部が別個に回転可能に取り付けられている。
【0064】
第一部材132の先端側は、軸部材130に対して、
図1に示す左斜め上方に延びている。これに対して、第二部材134の先端側は、軸部材130に対して、
図1に示す上方に延び屈曲部位134Aで屈曲して
図1に示す右側に延びている。
【0065】
第一部材132は、板金部材(導体)で形成され、先端側には、樹脂材料で形成された第三部材136の基端部が固定されている。第三部材136の先端部は、水平方向に延びて第二部材134の先端部よりも外側(図中右側)に配置されている。そして、第三部材136の先端側には、前述した押圧部位140Aに押圧される被押圧壁136Aが形成されている。
【0066】
一方、第一部材132の先端側には、第一部材132を、後述する初期位置から図中矢印F側に回転させることで、案内溝122によって鉛直方向が位置決めされた挟持軸50Bと接触して挟持ロール50の水平方向を位置決めする接触部位132Bが形成されている。この接触部位132Bは、軸部材130の軸方向(本実施形態では、装置奥行方向と同一方向)から見て、軸部材130の回転軸を中心として円弧状に形成されている。
【0067】
さらに、第一部材132を、図中矢印F側に回転させることで、挟持軸50Bを接触部位132Bに向け押し付ける押付部位132Cが、接触部位132Bと対向するように形成されている(
図4、
図8参照)。
【0068】
また、第一部材132には、第一部材132を装置奥行方向に貫通する貫通孔132Aが形成され、第一部材132の先端側が案内溝122から離れる側(各図に示す矢印G側)に付勢する金属製のトーションスプリング138の端部138Aがこの貫通孔132Aに引っ掛けられている。このトーションスプリング138及び第一部材132を介して第一部材132の接触部位132Bと接触する挟持軸50Bが電気的に接地されるようになっている。
【0069】
また、保持部材120には、第三部材136の先端側と当たる突起120Aが形成さている。トーションスプリング138により案内溝122から離れる側に付勢される第一部材132及び第三部材136は、第三部材136の先端側が突起120Aと当たることで、初期位置(
図1、
図5に示す位置)に配置されるようになっている。
【0070】
一方、第二部材134の屈曲部位134Aと第三部材136の基端側との間には、第二部材134の屈曲部位134Aと第三部材136の基端側とが離れるように互いを付勢するコイルスプリング142が備えられている。さらに、第三部材136には、第二部材134側(下側)に向けて突出する突起136Bが形成されている。この突起136Bと第二部材134に形成された突起134Cが当たることで、コイルスプリング142により付勢される第二部材134は、初期位置(
図1、
図5に示す位置)に配置されるようになっている。
【0071】
また、第二部材134の先端側には、開放位置に配置されたメンテナンスドア86を閉止位置へ向けて移動させるのに伴って、被押圧壁136Aを押圧して被押圧壁136Aを通過した押圧部位140Aによって押圧される被押圧壁134Bが形成されている(
図3、
図7参照)。
【0072】
この構成において、開放位置から閉止位置へ向けてメンテナンスドア86を移動させることで、メンテナンスドア86に形成された押圧部材140の押圧部位140A(
図11参照)が装置奥行方向から見て円弧状に移動する。これにより、被押圧壁136Bが移動する押圧部位140Aに押圧され、
図1、
図2、
図5、
図6に示されるように、トーションスプリング138の付勢力に対抗して回転装置124が矢印F側に回転する。これにより、案内溝122によって鉛直方向が位置決めされた挟持軸50Bが、接触部位132Bと押付部位132Cとの間に配置される(
図2参照)。
【0073】
さらに、閉止位置へ向けてメンテナンスドア86を移動させることで、
図3、
図7に示されるように、被押圧壁136Aを通過した押圧部位140Aに被押圧壁134Bが押圧される。これにより、第二部材134が、第一部材132及び第三部材136に対して相対的に矢印F側に回転し、コイルスプリング142が圧縮される。そして、圧縮されたコイルスプリング142の付勢力により、第一部材132及び第三部材136は、矢印F側により強く付勢され、押付部位132Cが挟持軸50Bを接触部位132Bに向けて押し付ける。
【0074】
これにより、回転装置124は、一次転写ユニット18を位置決めする位置決め位置へ移動し、一次転写ユニット18は、前述した転写位置に位置決めされる。
【0075】
さらに、閉止位置へ向けてメンテナンスドア86を移動させることで、
図4、
図8に示されるように、後述する転写軸22Bが位置決め部位112Bへ移動して二次転写ロール22が稼動位置に位置決めされるようになっている。なお、二次転写ロール22の位置決めについては詳細を後述する。
【0076】
〔二次転写ロール〕
図10に示されるように、二次転写ロール22は、メンテナンスドア86に備えられた後述する移動部材106に、装置奥行方向に延びるように取り付けられている。この二次転写ロール22は、円柱状の転写ロール部位22Aと、転写ロール部位22Aの回転軸を構成すると共に転写ロール部位22Aを回転可能に支持する転写軸22Bとを備えている。
【0077】
〔移動部材〕
次に、二次転写ロール22が取り付けられる移動部材106について説明する。
【0078】
図14に示されるように、移動部材106は、第一シュート部材80を挟んで第二シュート部材82の反対側に配置されている。移動部材106は、第一シュート部材80に移動可能に取り付けられ、メンテナンスドア86に対して相対移動可能とされている。これにより、移動部材106に装着された二次転写ロール22もメンテナンスドア86に対して相対移動可能とされている。
【0079】
具体的には、移動部材106は、メンテナンスドア86が閉止位置に配置された状態で、装置奥行方向から見て、鉛直方向に対して、上方側が装置内部に傾く方向(図中矢印K方向、)に、メンテナンスドア86に対して相対移動可能とされている。これにより、二次転写ロール22もメンテナンスドア86に対して矢印G方向に相対移動可能とされている。
【0080】
そして、メンテナンスドア86が開放位置に配置された状態で、二次転写ロール22は、メンテナンスドア86を構成する天板86A側である一方側に移動した基本位置で、図示せぬストッパ部材と接触して一方側への移動が規制されている。また、
図11に示されるように、メンテナンスドア86には、二次転写ロール22が基本位置に配置されるように、移動部材106を天板86A側に向けて付勢する付勢部材の一例としての付勢バネ108が2個備えられている。
【0081】
一方、
図12、
図13に示されるように、メンテナンスドア86の天板86Aと側板86Bとで成す角部には、外部から押圧されることで、移動部材106を天板86Aから離れる他方側に移動させる押圧部110が備えられている。
【0082】
この構成において、押圧部110を装置内部に向けて押圧することで、付勢バネ108の付勢力に対抗して移動部材106が移動して、基本位置に配置された二次転写ロール22が、天板86Aから離れる他方側に移動するようになっている。
【0083】
〔二次転写ロールを位置決めする位置決め部〕
次に、開放位置に配置されたメンテナンスドア86を閉止位置へ向けて移動させるのに伴って二次転写ロール22と接触して、二次転写ロール22を装置本体10Aに対して位置決めする第二位置決め部材の一例としての位置決め部112について説明する。この位置決め部112は、装置手前側と装置奥側とに備えられている(各図では装置奥側だけを示す)。
【0084】
図1〜
図3に示されるように、位置決め部112は、保持部材120に形成されると共に、メンテナンスドア86が閉止位置へ向けて移動されるのに伴って転写軸22Bと接触して転写軸22Bを押圧し、二次転写ロール22を天板86Aから離れる他方側に移動させる当り部位の一例としてのスロープ部位112Aを備えている。また、メンテナンスドア86(
図10参照)が閉止位置へ向けてさらに押し込まれることで、スロープ部位112Aの端部から離脱して付勢バネ108の付勢力により天板86A側に移動した転写軸22Bと接触する決め部位の一例としての位置決め部位112Bが、保持部材120に形成されている。
【0085】
この位置決め部位112Bには、水平壁114A及び傾斜壁114Bが備えられている。そして、水平壁114A及び傾斜壁114Bに転写軸22Bが接触することで二次転写ロール22が、一次転写ユニット18との間で搬送されるシート部材Pにトナー画像を転写可能な稼動位置に位置決めされるようになっている(
図4参照)。
【0086】
この構成において、メンテナンスドア86の閉止位置への移動に伴って、転写軸22Bは、
図1〜
図3に示されるように、スロープ部位112Aに押圧され、二次転写ロール22は、天板86Aから離れる他方側に移動する。メンテナンスドア86が閉止位置へ向けてさらに押し込まれると、
図4に示されるように、スロープ部位112Aの端部から離脱されて付勢バネ108の付勢力により天板86A側に移動した転写軸22Bが位置決め部位112Bの水平壁114A及び傾斜壁114Bに接触し、二次転写ロール22が稼動位置で位置決めされるようになっている。
【0087】
なお、この状態で後述するように、メンテナンスドア86は閉止位置に配置される。そして、閉止位置に配置されたメンテナンスドア86は、図示せぬ保持部材によって閉止位置に保持されるようになっている。
【0088】
また、開放位置に配置されたメンテナンスドア86を閉止位置へ向けて移動させることに伴って位置決めされる一次転写ユニット18及び二次転写ロール22の位置決めタイミング等については、後述する作用と共に説明する。
【0089】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について説明する。
【0090】
〔閉止位置のメンテナンスドアを開放位置へ移動〕
閉止位置にメンテナンスドア86が配置された状態では、
図4、
図8に示されるように、二次転写ロール22は稼動位置に配置され、一次転写ユニット18は転写位置に配置されている。そして、閉止位置に配置されたメンテナンスドア86は、図示せぬ保持部材によって閉止位置に保持されている。
【0091】
開口84を開放するために、メンテナンスドア86を閉止位置から開放位置へ移動させる場合には、
図13に示されるように、閉止位置に配置されたメンテナンスドア86の押圧部110を鉛直方向の下方(図中矢印方向)へ押圧する。これにより、移動部材106を天板86Aから離れる他方側に移動させる。
【0092】
移動部材106を他方側に移動させることで、図示せぬ保持部材によるメンテナンスドア86の保持が解除され、
図3に示されるように、転写軸22Bが、位置決め部位112Bから鉛直方向下側に押し出される。そして、押圧部110を離すと、
図1、
図2に示されるように、転写軸22Bが、付勢バネ108(
図11参照)の付勢力により、スロープ部位112Aに沿って鉛直方向の上方へ移動する。これにより、メンテナンスドア86が開放位置へ向けて移動する(
図10、
図12参照)。
【0093】
閉止位置に配置されたメンテナンスドア86が開放位置へ移動することで、メンテナンスドア86に形成された押圧部位140Aも回転移動する。これにより、
図2、
図3に示すように、押圧部位140Aに押圧される回転装置124は、トーションスプリング138の付勢力によって矢印G側に回転する。そして、第三部材136が突起120Aに接触し、
図1に示されるように、回転装置124が初期位置に配置される。
【0094】
これにより、一次転写ユニット18及び二次転写ロール22は、装置本体10Aに位置決めされていない状態となる。
【0095】
この状態で、装置本体10Aの上側に装着されたカバーを開放して、一次転写ユニット18を
図14に示す矢印D方向に移動させることで、転写軸50Bが案内溝122に案内されて一次転写ユニット18が装置本体10Aから離脱される。
【0096】
〔開放位置のメンテナンスドアを閉止位置へ移動〕
離脱された一次転写ユニット18を、装置本体10Aに対して装着する場合には、装置本体10Aの上側に装着されたカバーを開放して、一次転写ユニット18を
図14に示す矢印E方向に移動させることで、転写軸50Bが案内溝122に案内されて一次転写ユニット18は、装置本体10Aに収容される。これにより、一次転写ユニット18に備えられた挟持ロール50の挟持軸50Bが、
図1に示されるように、第一壁122Aの端側と第二壁122Bの端側とに挟まれることで、挟持軸50Bの鉛直方向の位置が決まる。
【0097】
この状態で開放位置のメンテナンスドア86を閉止位置へ向けて移動させると、
図1、
図2に示されるように、転写軸22Bが、スロープ部位112Aに押圧される。これにより、二次転写ロール22は、天板86Aから離れる他方側に移動する。
【0098】
一方、メンテナンスドア86に形成された押圧部材140の押圧部位140Aが装置奥行方向から見て円弧状に移動する。被押圧壁136Bが移動する押圧部位140Aに押圧されることで、
図1、
図2に示されるように、トーションスプリング138の付勢力に対抗して初期位置に配置された回転装置124が、矢印F側に回転する。これにより、挟持軸50Bが、接触部位132Bと押付部位132Cとの間に配置される(
図2参照)。
【0099】
閉止位置へ向けてメンテナンスドア86をさらに移動させると、
図3に示されるように、転写軸22Bは、スロープ部位112Aの端部側に達する。一方、被押圧壁136Aを通過した押圧部位140Aに被押圧壁134Bが押圧される。これにより、第二部材134が矢印F側に回転し、コイルスプリング142が圧縮される。そして、圧縮されたコイルスプリング142の付勢力により、第一部材132及び第三部材136は矢印F側に付勢され、押付部位132Cが挟持軸50Bを接触部位132Bに向けて押し付ける。これにより、回転装置124は、一次転写ユニット18を位置決めする位置決め位置へ移動し、一次転写ユニット18は、前述した転写位置に位置決めされる(
図3、
図7参照)。
【0100】
閉止位置へ向けてメンテナンスドア86をさらに移動させることで、
図4に示されるように、スロープ部位112Aの端部から離脱されて付勢バネ108(
図11参照)の付勢力により天板86A側に移動した転写軸22Bが位置決め部位112Bの水平壁114A及び傾斜壁114Bに接触する。これにより、二次転写ロール22が稼動位置で位置決めされる。
【0101】
この状態でメンテナンスドア86は閉止位置に配置される。そして、閉止位置に配置されたメンテナンスドア86は、図示せぬ保持部材によって閉止位置に保持される。
【0102】
このように、一次転写ユニット18が転写位置に位置決めされた後に、二次転写ロール22が稼動位置に位置決めされるようになっている。
【0103】
ここで、グラフを用いて各部材が位置決めされるタイミングについて説明する。
【0104】
図9の縦軸には、回転装置124の第二部材134の回転角度が記載されており、グラフの最下点では、第二部材134が初期位置に配置され、上方に向かうに従って第二部材134の回転角度が増すようになっている。一方、
図9の横軸には、メンテナンスドア86の回転角度が記載されており、グラフの最左点では、メンテナンスドア86が開放位置に配置され、グラフの最右点では、メンテナンスドア86が閉止位置に配置されている。
【0105】
そして、
図9のグラフ中には、第二部材134の回転角度とメンテナンスドア86の回転角度との関係が曲線で記載されている。この曲線上の点Hの際に、一次転写ユニット18の挟持軸50Bが、
図2に示されるように、接触部位132Bと押付部位132Cとの間に配置される。さらに、曲線上の点Jの際に、挟持軸50Bが、
図3に示されるように、押付部位132Cによって接触部位132Bに押し付けられ、一次転写ユニット18が転写位置に位置決めされる。また、曲線上の点Kの際に、
図4に示されるように、二次転写ロール22に稼動位置で位置決めされる。
【0106】
以上説明したように、一次転写ユニット18を装置本体10Aに位置決めするタイミングと、二次転写ロール22を装置本体10Aに位置決めするタイミングとをずらすことで、一次転写ユニット18を装置本体10Aに位置決めする際のメンテナンスドア86の操作力が軽減する。
【0107】
また、付勢バネ108の付勢力の一部を開放することで、二次転写ロール22が装置本体10Aに位置決めされるため、付勢バネの付勢力が開放されることがない場合と比して、二次転写ロール22を装置本体10Aに位置決めする操作力が軽減する。
【0108】
また、挟持軸50Bと接触して一次転写ユニット18を位置決めする接触部位132Bは、軸部材130の軸方向から見て、軸部材130の回転軸を中心として円弧状とされている。このため、接触部位132Bが形成された第一部材132が回転しても、接触部位132Bによる挟持軸50Bの位置決め位置が変化しないため、一次転写ユニット18に対する位置決め精度の低下が抑制される。
【0109】
また、第一部材132には、挟持軸50Bを接触部位132Bに押し付ける押付部位132Cが形成されている。このため、押付部位が形成されていない場合と比して、挟持軸50Bが効果的に接触部位132Bに接触する。
【0110】
また、挟持軸50Bを金属部材で形成し、この挟持軸50Bと接触する接触部位132Bが形成された第一部材132を板金部材で形成することで、金属製のトーションスプリング138を介して挟持軸50Bが接地される。
【0111】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト42の外周面にトナー画像が保持される場合を例にとって説明したが、挟持ロール部位50Aの外周面にトナー画像が保持される構成(所謂感光体ドラム)であってもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、挟持軸50Bを金属部材で形成し、この挟持軸50Bと接触する接触部位132Bが形成された第一部材132を板金部材で形成することで、金属製のトーションスプリング138を介して挟持軸50Bを接地したが、このように各部材を導体で形成することで、例えば、第一部材132と挟持軸50Bとの接点を通して、挟持軸50Bに給電等してもよい。