特許第5978892号(P5978892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978892
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】手提げ紐付き袋体
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/00 20060101AFI20160817BHJP
   A45C 13/26 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A45C3/00 P
   A45C13/26 F
   A45C3/00 S
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-213255(P2012-213255)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-64813(P2014-64813A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】工藤 智典
(72)【発明者】
【氏名】氣谷 啓介
(72)【発明者】
【氏名】田口 頼幸
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−168509(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3115704(JP,U)
【文献】 特開2009−173323(JP,A)
【文献】 米国特許第04194602(US,A)
【文献】 実公昭35−006974(JP,Y1)
【文献】 特開2010−279435(JP,A)
【文献】 特開2009−096524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
A45C 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有する袋本体と,少なくとも1つの紐状部材を有し,
前記袋本体は,
所定距離離間した2つの紐取付部と,
前記2つの紐取付部の間に設けられたスリットと,を有し,
前記紐状部材は,
前記2つの紐取付部を介して前記袋本体に取付けられた状態では,前記袋本体の前記開口部の上方に,少なくとも1つの大ループを形成し,
前記2つの紐取付部を介して前記袋本体に取付けられ,かつ前記スリットに一部を挿通した状態では,前記袋本体の前記開口部の上方に,少なくとも1つの小ループを形成するものであり,
前記紐取付部から前記スリットの端部までの距離は12cm以上である
手提げ紐付き袋体。
【請求項2】
前記紐取付部と前記スリットは直線上に設けられている
請求項1に記載の手提げ紐付き袋体。
【請求項3】
前記袋本体は,少なくとも,前後一対の長側面により袋状を形成しており,
前記2つの紐取付部及び前記スリットは,前記前後一対の長側面のそれぞれに,設けられている
請求項1又は請求項2に記載の手提げ紐付き袋体。
【請求項4】
前記スリットは,前記袋本体の下方に向かって突出するように屈折したV字形状である
請求項1から請求項3のいずれかに記載の手提げ紐付き袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,手提げ紐付き袋体に関する。具体的に説明すると,本発明は,2つの紐取付部の間にスリットを設け,このスリットに紐状部材を挿通することにより,手提げ紐の長さを自由に変更することができる手提げ紐付き袋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,袋本体の開口部の上方に手提げ紐を設けた袋体として,手提げ紐を肩に掛けるタイプのものや,手提げ紐を手持ちするタイプのものが知られている。手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体は,袋体の開口部を大きく形成するとともに,手提げ紐の全長を長く形成することにより手提げ紐の輪(ループ)の開口面積を大きくし,腕を挿入する空間を形成するものが一般的である。このような構造を有することで,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体は,多量の収納物を運搬する際に生じる重量負荷を軽減することができる。また,手提げ紐を手持ちするタイプの袋体は,手持ちしたときに袋体の底面が地面に接しないように,手提げ紐の全長を比較的短く形成している。
【0003】
具体的には,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体として,例えば図9(a)に示す形態を有する袋体が知られている。図9(a)に示される袋体は,前後一対の長側面,左右一対の短側面,及び前後一対の長側面を一枚に綴じる底面より構成され,一対の長側面の上部両端寄りの位置に手提げ紐が取付けられている。また,手提げ紐を手持ちするタイプの袋体としては,図9(b)及び図9(c)に示す形態を有する袋体が知られている。図9(b)に示される袋体は,前後一対の長側面,左右一対の短側面,及び前後一対の長側面と左右一対の短側面に連接する底面より構成され,一対の長側面の上部中央寄りの位置に手提げ紐が取付けられている。また,図9(c)に示される袋体は,前後一対の長側面より構成され,一対の長側面の上部中央寄りの位置に手提げ紐が取付けられている。
【0004】
ところで,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体を使用している時であっても,袋体の使用者は,手提げ紐を握り,手提げタイプの袋体として使用する場合もある。反対に,手提げ紐を手持ちするタイプの袋体であっても,収納物の重量が重い場合等には,手提げ紐を肩に掛けて使用する場合がある。しかし,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体では,手提げ紐の全長が長く形成されているために,手提げ紐が持ちづらく運搬に不便であるという問題があった。また,手提げ紐自体の長さは予め定められていることが多く,手提げタイプの袋体を肩に掛けて使用しようとする場合には,手提げ紐の長さを長くすることができず,手提げ紐そのものを取り換えなければならないという問題があった。
【0005】
上記の問題を解決するための袋体としては,袋体の中央部に持ち手を設け,袋体の上半分を袋体の下部の中に折り入れる袋体が提案されている(特許文献1)。特許文献1の袋体は,収納物が小さいときには袋体の上半分を袋体中央部で折りたたみ,袋体そのものを小さくする。そして,袋体中央部に設けた持ち手を握ることで,手提げタイプの袋体として使用することができる。このように,特許文献1の袋体は,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体と手提げタイプの袋体とを,収納物の量に応じて変形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−288141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,特許文献1に記載の袋体は,袋体の上半分を袋体中央部で折りたたまなければ,手提げタイプの袋体として使用することができない。このため,手提げタイプの袋体を使用するに際しては袋体の大きさを変えなければならないという問題があった。すなわち,手提げタイプの袋体を使用するに際しては袋体の収納量を減らさなければならないという問題があった。
【0008】
このため,現在では,手提げ紐を肩に掛けるタイプと手提げタイプとを,手提げ紐を取り換えずに,しかも袋体の収納量を変えることなく使い分けることのできる袋体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで,本発明の発明者は,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,2つの紐取付部の間にスリットを設け,このスリットに紐状部材を挿通して手提げ紐の長さを変更することにより,袋体の掛け方を自由に変えることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0010】
本発明は,上部に開口部11を有する袋本体10と,少なくとも1つの紐状部材20を有する手提げ紐付袋体に関するものである。
袋本体10は,所定距離離間した2つの紐取付部12,13と,2つの紐取付部12,13の間に設けられたスリット14と,を有する。
【0011】
ここで,紐状部材20は,袋本体10に取付けられることで,開口部11の上方に突出して手提げ紐としての機能を果たすループを形成する。
紐状部材20を2つの紐取付部12,13を介して袋本体10に取付けた状態では,紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張ると,2つの紐取付部12,13を起点にループが形成される。このため,開口部11の上方に突出するループの開口面積を大きくとることができる。
一方,紐状部材20を2つの紐取付部12,13を介して袋本体10に取付け,かつスリット14に一部を挿通した状態では,スリット14に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張ると,スリット14の両端部分を起点にループが形成される。このため,2つの紐取付部12,13からスリット14の両端部分までの距離だけ,開口部の上方に突出するループの長さが短くなる。すなわち,紐状部材20が2つの紐取付部12,13を介して袋本体10に取付けられた状態と比べ,開口部の上方に突出するループの開口面積が小さくなる。
【0012】
このように,紐状部材20は,2つの紐取付部12,13を介して袋本体10に取付けられた状態では,袋本体10の開口部11の上方に大ループ21を形成する。
一方,紐状部材20は,2つの紐取付部12,13を介して袋本体10に取付けられ,かつスリット14に一部を挿通した状態では,袋本体10の開口部11の上方に小ループ22を形成する。
【0013】
上記のような構成を有することにより,本発明によれば,スリット14に紐状部材20を挿通し,スリット14に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張ることでループの長さを変更することができる。このため,本発明によれば,紐状部材20を取り換えることなく手提げ紐の長さを変更することができ,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体と手提げタイプの袋体とを自由に使い分けることができる。
【0014】
本発明において,スリット14の両端部分には,中間部14aよりも,開口面積の広がった幅広孔部14b,14cが設けられていることが好ましい。
【0015】
スリット14の両端部においてこのような幅広孔部14b,14cを設けることにより,スリット14に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張った際に,小ループ22の起点がずれにくくなる。このため,小ループ22の保形性を高めることができる。
【0016】
本発明において,袋本体10は,少なくとも,前後一対の長側面10a,10bにより袋状を形成していることが好ましい。また,本発明において,2つの紐取付部12,13及びスリット14は,前後一対の長側面10a,10bのそれぞれに,設けられていることが好ましい。
【0017】
上記のような構成を有することにより,紐状部材20を2つのスリット14,14’に挿通し,小ループ22,22’を2つ形成することができる。このため,収納物を運搬する際の袋体の安定性を高めることができる。また,紐状部材20を対向する長側面のスリット14’,14に更に挿通することができる。このため,対向するスリット14’,14に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張った際に,スリット14’,14間の緩みがなくなり,開口部11を閉じることができる。このため,収納物が袋体から飛び出す事態を防ぐことができる。
【0018】
本発明において,スリット14は,袋本体10の下方に向かって突出するように屈折したV字形状であることが好ましい。スリット14をこのようなV字形状とすることにより,スリット14に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張った際に,小ループ22の起点がV字形状の両端部分で留まり,紐状部材20がスリット14から外れにくくなる。このため,小ループの保形性を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は,手提げ紐を肩に掛けるタイプと手提げタイプとを,手提げ紐を取り換えずに,しかも袋体の収納量を変えることなく使い分けることのできる袋体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は,紐状部材が大ループを形成する第1形態を示す斜視図である。
図2図2は,紐状部材が大ループを形成する第1形態を示す平面図である。
図3図3は,紐状部材がスリットに挿通され,小ループを形成する第2形態を示す斜視図である。
図4図4は,紐状部材がスリットに挿通され,小ループを形成する第2形態を示す平面図である。
図5図5は,紐状部材が対向する長側面のスリットに挿通され,小ループを形成する第3形態を示す斜視図である。
図6図6は,紐状部材が対向する長側面のスリットに挿通され,小ループを形成する第3形態を示す平面図である。
図7図7は,スリットの形状を表す概略図である。
図8図8は,本発明の袋体の使い分けを示す概略図である。
図9図9は,従来における手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体の形状を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0022】
(1.袋体の構成)
まず,図面を参照して,本発明の袋体100の構成を説明する。
図1に示されるように,本発明の袋体100は,上部に開口部11を有する袋本体10と,紐状部材20を有する。袋本体10は,所定距離離間した2つの紐取付部12,13と,2つの紐取付部12,13の間に設けられたスリット14と,を有する。
【0023】
袋本体10の素材は特に限定されず,収納物を多量に入れても袋本体10が破損しない程度の耐重強度を有するものであれば,種々の素材を採用することができる。袋本体10の素材の例としては,紙,プラスチック,不織布,織布,皮革及びこれらを単独あるいは2種以上を組み合わせて積層したシート状の各種素材を用いることが出来る。また,袋本体10の形状は特に限定されず,図示するような縦長の矩形状であってもよく,横長の矩形状であってもよく,略正方状であってもよく,台形状であってもよい。
【0024】
図1に示された例では,袋本体10は,前後一対の長側面10a,10b,左右一対の短側面10c,10d,及び底面10eから構成されている。ただし,袋本体10は,少なくとも,前後一対の長側面10a,10bにより袋状を形成していればよい。左右一対の短側面10c,10dを設ける場合,図1に示されるように,袋体10の短側面10c,10dは,縦方向に延びる折線に沿って内折にされていることが好ましい。底面10eを設ける場合,図1に示されるように,前後一対の長側面10a,10bを1枚に綴じる形状であってもよく,前後一対の長側面10a,10b及び左右一対の短側面10c,10dに連接する平面を設ける形状であってもよい。
【0025】
図1に示されるように,袋本体10の開口部11は,前後一対の長側面10a,10b及び左右一対の短側面10c,10dの上縁辺から延出した折り返し部を含むものであってもよい。折り返し部を設けることにより,袋体10の上部に設けた2つの紐取付部12,13及びスリット14を,二重の素材で形成することができる。このため,袋本体10の耐重強度を高めることができ,多量の収納物を運搬する場合においても袋本体10が破れにくくなる。折り返し部は,開口部11の内側に向かって折り返されてもよく,開口部11の外側に向かって折り返されてもよい。
【0026】
本実施形態において,紐状部材20は1本の紐により形成されている。紐状部材20として1本の紐を用いた場合,例えば紐取付部を孔により設けたうえで,一円となるように紐を紐取付部に挿通し,最後に紐の両端を結合すればよい。このような一本の紐を用いる取り付け方法を採用すると,紐の末端の結合が一箇所のみの処理で行えるため,製造工程を簡略にする事が出来る好ましい態様である。なお,紐状部材は2本であってもよい。紐状部材20として2本の紐を用いた場合,例えば前後一対の長側面10a,10bのそれぞれに設けた2つ紐取付部12,13,12’,13’に,紐を1本ずつ固定すればよい。
【0027】
2つの紐取付部12,13は,紐状部材20を袋本体10に固定するための部分である。2つの紐取付部12,13に固定した紐状部材20を開口部11上方へ引っ張ることで,2つの紐取付部12,13を起点にループを形成することができる。2つの紐取付部12,13による紐状部材20の固定方法は特に限定されない。2つの紐取付部12,13は,例えば紐状部材20を挿通するための孔であってもよく,紐状部材20を熱融着した部分であってもよく,紐状部材20を超音波融着した部分であってもよい。また,2つの紐取付部12,13は,スリット14をその間に設けるため,一方の紐取付部12から他方の紐取付部13まで所定距離離間しておくことが好ましい。一方の紐取付部12と他方の紐取付部13とを離間する距離は,好ましくは35cm〜50cmであり,更に好ましくは40cm〜45cmである。
【0028】
スリット14は,紐状部材20を挿通するための横長の開口であり,2つの紐取付部12,13の間に設けられている。スリット14に挿通した紐状部材20を開口部11上方へ引っ張ることで,スリット14の両端部分を起点にループを形成することができる。
【0029】
図1に示されるように,スリット14には,中間部14aよりも開口面積の広がった幅広孔部14b,14cを両端部分に設けることが好ましい。幅広孔部14b,14cの形状は,図1に示されるような円状の孔であってもよく,半円状の孔であってもよい。また,スリット14は,袋本体10の下方に向かって突出するように屈折したV字形状であることが好ましい。スリット14を上記のような構成とすることで,紐状部材20をスリット14に挿通した場合における小ループ22の保形性を高めることができる。この点については後述する。
【0030】
2つの紐取付部12,13及びスリット14は,図1に示すように袋本体10の袋本体10の上部に設けることが好ましい。2つの紐取付部12,13及びスリット14を袋本体10の上部に設けることで,袋本体10の開口部11から折り返し部を設けるとともに,2つの紐取付部12,13及びスリット14を二重の素材で形成することができる。ただし,2つの紐取付部12,13及びスリット14を設ける位置は特に限定されず,例えば袋本体10の中部や下部に設けてもよい。また,2つの紐取付部12,13及びスリット14を設ける位置に応じて,紐状部材20の長さを変えてもよい。また,2つの紐取付部12,13及びスリット14の垂直位置が下がるのに応じて,2つの紐取付部12,13及びスリット14の水平位置を中央寄りにしてもよい。
【0031】
2つの紐取付部12,13及びスリット14は,図1に示すように略直線上に設けることが好ましい。ただし,本発明においては,スリット14に挿通した紐状部材20を引っ張った際に開口部11の上方にループが形成されればよく,2つの紐取付部12,13に対するスリット14の相対位置は特に限定されない。例えば,スリット14を2つの紐取付部12,13よりも低く設けてもよいし,2つの紐取付部12,13よりも高く設けてもよい。
【0032】
図1に示されるように,2つの紐取付部12,13及びスリット14は,前後一対の長側面10a,10bのそれぞれに設けられていることが好ましい。前後一対の長側面10a,10bのそれぞれに2つの紐取付部12,13,12’,13’及びスリット14,14’を設けることにより,紐状部材20をそれぞれのスリット14,14’に挿通し,小ループ22,22’を2つ形成することができる。また,紐状部材20を対向する長側面のスリット14’,14にそれぞれ挿通することができる。この点については後述する。ただし,2つの紐取付部12,13及びスリット14は少なくとも1つ設けられていればよく,前後一対の長側面10a,10bのいずれかに設けられていればよい。
【0033】
(2.第1形態)
次に,紐状部材20が大ループ21を形成する,本発明の第1形態を説明する。図1は,本発明の第1形態を示す斜視図である。また,図2は,本発明の第1形態を示す平面図である。
【0034】
図1及び図2に示されるように,本発明の第1形態では,紐状部材20を2つの紐取付部12,13を介して取り付け,かつ,スリット14に挿通しない状態とする。このような状態では,紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張ると,2つの紐取付部12,13を起点としてループが形成される。このため,本発明の第1形態では,開口部の上方に突出するループの開口面積を大きくとることができる。すなわち,本発明の第1形態では,紐状部材20が,開口部11の上方に大ループ21を形成する。
【0035】
図1及び図2に示されるように,紐状部材20は,前後一対の長側面10a,10bのそれぞれに設けられた2つの紐取付部12,13,12’,13’を介して取り付けられていることが好ましい。このように2つの紐取付部を2組設けることにより,2つの大ループ21,21’を形成することができる。このため,収納物を運搬する際の袋体の安定性を高めることができる。ただし,袋体を肩に掛けて使用するためには,紐状部材20は大ループ21を少なくとも1つ形成すればよい。
【0036】
以上のように,本発明の第1形態においては,紐状部材20が開口部11の上方に大ループ21を形成する。そして,大ループ21に腕を挿入することにより,袋体100を,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体として使用することができる。
【0037】
(3.第2形態)
次に,紐状部材20が小ループ22を形成する,本発明の第2形態を説明する。図3は,本発明の第2形態を示す斜視図である。また,図4は,本発明の第2形態を示す平面図である。
【0038】
図3及び図4に示されるように,本発明の第2形態では,紐状部材20を2つの紐取付部12,13を介して取り付け,かつスリット14に挿通した状態とする。このような状態では,スリット14に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張ることで,スリット14の両端部分を起点としてループが形成される。このため,本発明の第2形態では,2つの紐取付部12,13からスリット14の両端部分までの距離だけ,開口部の上方に突出するループの長さを短くすることができる。すなわち,本発明の第1形態と比べ,開口部の上方に突出するループの開口面積を小さくすることができる。このように,本発明の第2形態では,スリット14に挿通した紐状部材20が,開口部11の上方に小ループ22を形成する。
【0039】
上記のように,本発明の第2形態では,2つの紐取付部12,13からスリット14の両端部分までの距離を利用して,開口部の上方に突出するループの長さを短くする。したがって,2つの紐取付部12,13からスリット14の両端部分まで所定距離離間しておくことが好ましい。2つの紐取付部12,13とスリット14の両端部分とを離間する距離は,好ましくは12cm〜15cmであり,更に好ましくは13cm〜14cmである。
【0040】
図3及び図4に示されるように,紐状部材20は,前後一対の長側面10a,10bのそれぞれに設けられたスリット14,14’に挿通されることが好ましい。このようにスリットを2組設けることにより,2つの小ループ22,22’を形成することができる。このため,収納物を運搬する際の袋体の安定性を高めることができる。ただし,袋体を手に提げて使用するためには,紐状部材20は小ループ22を少なくとも1つ形成すればよい。
【0041】
以上のように,本発明の第2形態では,スリット14に挿通した紐状部材20が,開口部11の上方に小ループ22を形成する。そして,小ループ22を握ることにより,袋体100を手提げタイプの袋体として使用することができる。
【0042】
本発明の第2形態において,図3及び図4に示されるようにスリット14の両端部に幅広孔部14b,14cを設けた場合,スリット14に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張った際に,小ループ22の起点をずれにくくすることができる。また,スリット14を袋本体10の下方に向かって突出するように屈折したV字形状とした場合,小ループ22の起点をV字形状の両端で留めることができる。スリット14を上記のような構成とすることにより,小ループ22の保形性を高めることができる。このため,例えば袋体を手に提げて収納物を運搬している場合でも,袋体の安定性を高めることができる。
【0043】
(4.第3形態)
次に,紐状部材20が対向する長側面のスリットに挿通され小ループを形成する,本発明の第3形態を説明する。図5は,本発明の第3形態を示す斜視図である。また,図6は,本発明の第3形態を示す平面図である。
【0044】
図5及び図6に示されるように,本発明の第3形態では,紐状部材20を,2つの紐取付部12,13を介して取り付け,スリット14に挿通し,かつ対向するスリット14’に更に挿通した状態とする。このような状態では,対向するスリット14’に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張ることで,対向するスリット14’の両端部分を起点としてループが形成される。このため,本発明の第2形態と同様,対向するスリット14’に挿通した紐状部材20が,開口部の上方に小ループ22を形成する。
【0045】
さらに,本発明の第3形態では,対向するスリット14’に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張ることで,スリット14’,14間の緩みがなくなり,開口部11を閉じることができる。このため,収納物が袋体から飛び出す事態を防ぐことができる。この際,開口部11はほぼ隙間なく閉じられるため,本発明の第3形態における小ループの長さ及び開口面積は,本発明の第2形態と比べてほぼ変化がない。したがって,袋体の形態を本発明の第2形態からほとんど変えることなく,袋体を手に提げて使用することができる。
【0046】
以上のように,本発明の第3形態においては,対向するスリット14’に挿通した紐状部材20は,開口部11の上方に小ループ22を形成するとともに,開口部11を閉じる。そして,小ループ22を握ることにより,袋本体10の開口部11を閉じた状態で,手提げタイプの袋体として使用することができる。
【0047】
本発明の第3形態において,図5及び図6に示されるようにスリット14,14’の両端部に幅広孔部14b,14c,14’b,14’cを設けた場合,スリット14,14’に挿通した紐状部材20を開口部11の上方へ引っ張った際に,小ループ22の起点をずれにくくすることができる。また,スリット14,14’を袋本体10の下方に向かって突出するように屈折したV字形状とした場合,小ループ22の起点をV字形状の両端で留めることができる。スリット14,14’を上記のような構成とすることにより,小ループ22の保形性を高めることができる。このため,例えば袋体を手に提げて収納物を運搬している場合でも,袋体の安定性を高めることができる。
【0048】
(5.スリットの形状について)
ここで,袋体の前後一対の長側面10a,10bに形成するスリット14,14’の形状について説明する。本発明において,スリットの形状は特に限定されるものではないが,例えば図7に示す形状を採用することができる。図7(a)に示すスリット14は,中間部14aよりも開口面積の広がった幅広孔部14b,14cを両端部分に設け,かつ幅広孔部14b,14cの形状を半円状の孔としたものである。また,図7(b)に示すスリット14は,幅広孔部14b,14cを設けずに形成したものである。また,図7(c)に示すスリット14は,袋本体10に切れ込みを設けることで中間部14a形成しつつ,中間部14aよりも開口面積の広がった幅広孔部14b,14cを両端部分に設け,かつ幅広孔部14b,14cの形状を円状の孔としたものである。また,図7(d)に示すスリット14は,中間部14aよりも開口面積の広がった幅広孔部14b,14cを両端部分に設け,かつ幅広孔部14b,14cの形状を円状の孔としたものである。また,図7(e)に示すスリット14は,袋本体10の下方に向かって突出するように屈折したV字形状で形成したものである。
【0049】
(6.第1形態及び第2形態の使い分け)
上記に説明したとおり,本発明の袋体によれば,2つの紐取付部12,13の間にスリット14を設けることにより,紐状部材20が大ループ21を形成する第1形態と,スリット14に挿通した紐状部材20が小ループ22を形成する第2形態とを,自由に使い分けることができる。このため,本発明の袋体によれば,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体と,手提げタイプの袋体とを,自由に使い分けることができる。
【0050】
図8は,本発明の袋体の使い分けを示す概略図である。図8に示されるように,手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体(a)を使用している際に手提げタイプの袋体を使用したくなった場合は,袋体の紐状部材をスリットに挿通し,開口部の上方へループを引っ張ることにより(b),手提げタイプの袋体(c)に容易に変形することができる。また,手提げタイプの袋体(c)を使用している際に手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体を使用したくなった場合は,袋体の紐状部材をスリットから抜き,ループを引き抜くことにより(b),手提げ紐を肩に掛けるタイプの袋体(a)に容易に変形することができる。
【0051】
このように,本発明の袋体によれば,袋体の使い分けにあたって手提げ紐を取り換える必要がなく,しかも袋体の収納量を変える必要もない。このため,袋体を使用する状況を選ぶことなく,自由に袋体を使い分けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は,手提げ紐付き袋体に関する。このため,製袋産業などにおいて好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 袋本体
10a,10b 長側面
10c,10d 短側面
10e 底面
11 開口部
12 紐取付部
13 紐取付部
14 スリット
14a 中間部
14b,14c 幅広孔部
20 紐状部材
21 大ループ
22 小ループ
100 袋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9