(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る電磁弁の構成例を示し、(a)は断面図、(b)は外観図である。
図1(a)では、上半分に作動状態を、下半分に非作動状態を示している。
【0019】
この電磁弁1は、例えば車両に設けられ、電子制御式自動変速装置の変速時におけるシフト操作力を流体圧でアシストするアクチュエータへの流体圧の供給通路に介装して用いられる。
【0020】
電磁弁1は、励磁電流の供給を受けて作動するソレノイド部2と、ソレノイド部2に連結されたスプール制御弁3とを備えて構成されている。
【0021】
ソレノイド部2は、電磁コイル20と、磁性体からなる筒状のカバー部材21と、同じく磁性体からなるコア部材22と、カバー部材21及びコア部材22に対して軸方向移動するプランジャ23とを有している。
【0022】
電磁コイル20は、カバー部材21に形成された環状の収容空間21aに収容され、カバー部材21の外周に固定されたコネクタ部201から励磁電流の供給を受けて磁界を発生させる。電磁コイル20は、軸方向の一端をカバー部材21の収容空間21aにおける底部211に対向させ、他端をコア部材22に対向させて収容空間21aに収容されている。
【0023】
カバー部材21は、電磁コイル20を収容する収容空間21aの内側に、プランジャ23を収容する円筒状のシリンダ部21bが形成されている。シリンダ部21bは、底部212、及び底部212からコア部材22側に突出した円筒状の突出部213から構成されている。突出部213の内側には、プランジャ23の軸方向移動を案内する軸受ブッシュ214が配置されている。
【0024】
コア部材22は、電磁コイル20に軸方向に向かい合うフランジ部221と、フランジ部221からカバー部材21の底部212及び突出部213に向かって突出した円筒状の突出部222とを一体に有している。コア部材22には、軸方向の貫通孔22aが形成され、この貫通孔22a内に軸受ブッシュ223が配置されている。コア部材22の突出部222の先端とカバー部材21の突出部213の先端との間には、空隙2aが形成されている。
【0025】
プランジャ23は、シリンダ部21b内で軸方向移動可能であり、中心部に貫通孔23aが形成されている。この貫通孔23a内には軸状のロッド24の基端部が固定されている。ロッド24には、その外周にプランジャ23のコア部材22側への移動を規制するストッパ体241が固定されている。
【0026】
ロッド24は、軸受ブッシュ223に案内されてコア部材22に形成された貫通孔22aを挿通し、その先端部がコア部材22のフランジ部221側から突出している。コア部材22から突出したロッド24の先端部は、次に述べるスプール制御弁3のスプール弁30の一端に当接し、スプール弁30をその中心軸Cに沿って軸方向の一側に押圧する。
【0027】
スプール制御弁3は、軸状のスプール弁30と、スプール弁30を軸方向移動可能に収容する弁孔4aが形成された筒状のスリーブ4とを備えて構成されている。スリーブ4は、その一端がコア部材22のフランジ部221と共にカバー部材21の加締め部21cに加締め固定されている。
【0028】
スプール弁30は、アルミニウム(Al)を主成分とし、例えば銅(Cu)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)等の金属を含有させて強度を高めたアルミニウム合金からなる。このスプール弁30は、ソレノイド部2側から順に、第1ランド部31と、第1ランド部31よりも小径の小径部32と、第2ランド部33と、筒状突起部34とを一体に有している。また、スプール弁30は、第2ランド部33と筒状突起部34との段差部に当接する弾性部材としてのコイルばね50によって弾性的にソレノイド部2側に付勢されている。第1ランド部31には、ソレノイド部2側に突出する突起311が形成され、この突起311の先端部がロッド24の先端部に当接している。ソレノイド部2の非作動状態では、
図1(a)の上側に示すように、ロッド24の基端部がカバー部材21の底部212に当接する。
【0029】
また、スプール弁30には、ソレノイド部2とは反対側の端部に、中心軸Cに沿って有底穴形状の収容孔300が形成されている。収容孔300は、ピストン部材6を収容する本発明の収容部の一例であり、その内径は例えば2〜5mmである。収容孔300は、スプール弁30の端部からソレノイド部2側に向かって延びるように形成されている。この収容孔300には、円柱状のピストン部材6がスライド可能に収容されている。ピストン部材6は、軸方向長さが直径の2倍以上であり、かつ収容孔300の深さよりも短く設定されている。ピストン部材6は、例えばスプール弁30と同様のアルミニウム合金からなる。収容孔300は、導入孔320によって小径部32の外周に連通している。収容孔300及びその周辺部の詳細については後述する。
【0030】
スリーブ4は、図略のオイルポンプの吐出ポートから作動油が供給される供給ポート41と、ソレノイド部2の作動状態において供給ポート41と連通し、作動油を制御対象(例えば電子制御式自動変速装置のクラッチ)に出力する出力ポート42と、ソレノイド部2の非作動状態において出力ポート42と連通し、作動油を排出するドレンポート43と、コイルばね50を収容するばね室44aを内部に有する筒部44とを備えている。
【0031】
供給ポート41には、スリーブ4の弁孔4a内への異物の侵入を抑制する第1ストレーナ51が装着され、出力ポート42には、異物の排出を抑制する第2ストレーナ52が装着されている。また、ドレンポート43から排出された作動油は、図略のドレンタンクに導かれる。
【0032】
供給ポート41、出力ポート42、及びドレンポート43の間の連通状態は、スプール弁30の軸方向移動によって切り替えられる。つまり、ソレノイド部2が
図1(a)の上半分に示す非作動状態にあるとき、供給ポート41と出力ポート42との連通はスプール弁30の第2ランド部33によって遮断される一方、出力ポート42とドレンポート43とはスプール弁30の小径部32の外周側を介して連通する。また、ソレノイド部2が
図1(a)の下半分に示す作動状態にあるとき、供給ポート41と出力ポート42とは小径部32の外周側を介して連通する一方、出力ポート42とドレンポート43との連通は、スプール弁30の第1ランド部31によって遮断される。
【0033】
筒部44には、ばね室44aに連通する絞り孔441が形成されている。絞り孔441は、スリーブ4の外周に形成された環状溝442(
図1(b)に示す)に連通している。筒部44は、スリーブ4におけるソレノイド部2とは反対側の端部に設けられ、その開口44bが有底筒状の栓体7によって閉塞されている。
【0034】
栓体7は、コイルばね50の一端が当接する円板状の底部70と、底部70の中心部に設けられ、スプール弁30に向かって突出する突起71と、底部70の周縁部に設けられ、スリーブ4の筒部44の内面に螺着によって結合される円筒部72とを一体に有している。
【0035】
図2(a)は、
図1(a)におけるスプール弁30の収容孔300及びその周辺部の拡大図である。
図2(b)は、(a)における収容孔300の底部付近をさらに拡大して示す拡大図である。
【0036】
収容孔300は、大径部301及び小径部302からなり、小径部302が大径部301よりも奥側(底面300b側)に位置している。収容孔300の加工方法としては、例えばスプール弁30の端部から中心軸Cに沿ってドリルを挿入して小径部302を形成し、その後リーマ等の工具によって開口側の内径を拡大して大径部301を形成することができる。この場合、収容孔300の底面300bは、ドリルの先端部の形状に対応した形状となる。すなわち、
図2に示すように、底面300bの中心部に向かって中心軸C方向の深さが漸次深くなるテーパ状に形成される。
【0037】
導入孔320は、
図2(b)に示すように、その一端部においてスプール弁30の小径部32における外周面に開口320aを有し、他端部において収容孔300の底面300bに開口320bを有している。小径部32は、第1ランド部31側の円筒部321と、第2ランド部33側に形成され、軸方向の中央部において小径となる括れ(くびれ)部322とからなり、開口320aは、括れ部322において最も小径となる最小径部322aよりも第2ランド部33側に形成されている。
【0038】
導入孔320は、開口320aから開口320bに向かって、中心軸Cの径方向に対して斜めにドリルを挿入することによって形成される。開口320bは、収容孔300の底面300bに形成されるので、ドリル加工後に収容孔300の開口から開口320bを目視することが可能である。これにより、開口320bにおけるバリの有無等を容易に確認することができる。
【0039】
また、底面300bはテーパ状であるので、仮に底面300bが平坦な面である場合に比較して、底面300bに対する導入孔320の角度が直角に近くなる。これにより、導入孔320を加工する際のドリルの負荷に偏りが生じないので、加工を行いやすくなる。つまり、スプール弁30の外周側から底面300bを狙いやすくなる。
【0040】
スプール弁30には、収容孔300の内周面300aを含む領域に、その表面硬度を高めるための無電解メッキが施されている。この無電解メッキとして、より具体的には無電解ニッケルメッキ(NiPメッキ)を適用することができる。アルミニウム合金からなるスプール弁30に無電解ニッケルメッキを施すことにより、その表面硬度Hvを例えば100(メッキを施さない場合)から500(無電解ニッケルメッキを施した場合)程度まで高めることができる。このような無電解メッキをスプール弁30に施すことにより、内周面300aにおける耐摩耗性が向上し、耐異物性が向上すると共に、長期の使用によっても摺動性を維持することが可能となる。
【0041】
なお、収容孔300を有しない従来の電磁弁のスプール弁には、表面硬度を高めるためにアルマイト処理が施されていたが、アルマイト処理では処理中に気泡が発生するため、本実施の形態に係るスプール弁30に対してアルマイト処理を施した場合には収容孔300内に気泡が蓄積し、内周面300aに適切にアルマイト層を形成することはできない。そこで、本実施の形態では、アルマイト処理に替えて、気泡が発生しない無電解メッキを施すこととした。これにより、スプール弁30の収容孔300内に気泡が蓄積することなくメッキ被覆を成膜できるので、内周面300aの表面硬度を高めることができ、耐異物性を向上させると共に耐摩耗性が向上する。
【0042】
また、ピストン部材6にもスプール弁30と同様の無電解メッキを施してもよい。ただし、ピストン部材6の表面処理はアルマイト処理であってもよい。ピストン部材6に無電解メッキ又はアルマイト処理を施して外周面6aの表面硬度を高めることにより、さらに耐異物性、耐摩耗性、及び摺動性を高めることができる。
【0043】
ピストン部材6は、収容孔300の大径部301に収容され、その外周面6aが大径部301における収容孔300の内周面300aと摺動可能である。ピストン部材6の外周面6aには、作動油に混入した異物を収容可能な凹部としての複数(
図2に示す例では3つ)の環状溝61が形成されている。それぞれの環状溝61は、ピストン部材6の周方向に沿って、その全周に亘って形成されている。
【0044】
ピストン部材6に環状溝61が形成されていることにより、作動油に混入した微細な鉄粉等の異物が環状溝61内に取り込まれ、耐異物性が向上する。つまり、このような異物が収容孔300の内周面300aとピストン部材6の外周面6aとの間に挟まってピストン部材6の摺動性が損なわれること、すなわちピストン部材6が収容孔300内を円滑に摺動しなくなることが抑制される。またさらに、異物によって収容孔300の内周面300a又はピストン部材6の外周面6aに傷が生じ、この傷によって漏れ流量が増大することを抑制することができる。また、ピストン部材6は、環状溝61における作動油の圧力によって、その中心軸が収容孔300の中心軸と一致しやすくなる。
【0045】
ピストン部材6の軸方向の一端面6bと収容孔300の底面300bとの間の空間300cには、ソレノイド部2の作動時に、供給ポート41に供給される作動油の圧力が導入孔320によって導入される。つまり、ソレノイド部2が作動してスプール弁30が栓体7側に移動し、供給ポート41と出力ポート42とが小径部32の外周側を介して連通すると、導入孔320の開口320aにおける作動油の圧力が出力ポート42から出力される作動油の圧力となり、この圧力が導入孔320によって空間300cに導入される。
【0046】
空間300cに導入された圧力は、収容孔300の底面300bに作用し、スプール弁30をソレノイド部2側に押圧するフィードバック圧となる。これにより、例えばオイルポンプの吐出圧の変動が出力ポート42から出力される作動油の圧力に与える影響を抑制することができ、出力ポート42から出力される油圧を電磁コイル20に供給する励磁電流によって高精度に制御することができる。
【0047】
また、空間300cに導入された圧力は、ピストン部材6の一端面6bに作用し、ピストン部材6を栓体7の突起71に向かって押圧する。
【0048】
栓体7の突起71の先端面71aは、ピストン部材6の軸方向の他端面6c(一端面6bとは反対側の端面)に対向する。突起71は、円柱状であり、その外径は、収容孔300の内径よりも小さく形成されている。突起71の先端面71aは、ソレノイド部2の非作動状態においても、収容孔300内に位置している。すなわち、突起71の先端面71aは、ソレノイド部2の非作動状態から作動状態において収容孔300内に位置している。
【0049】
つまり、突起71の先端面71aを含む先端部は、常に収容孔300の内部にあり、スプール弁30が軸方向移動しても、先端面71a及びピストン部材6の他端面6cが収容孔300の外部に出ることがない。これにより、筒状突起部34の先端がピストン部材6の外周面6aに接触することがなく、スプール弁30に対してピストン部材6が円滑にスライドする。
【0050】
ピストン部材6の他端面6cは、突起71側に突出する凸曲面であり、突起71の先端面71aは、その中心軸に直交する平坦な面である。これにより、ピストン部材6と突起71とが径方向に相対移動しやすくなっている。このため、突起71の中心軸がスプール弁30の中心軸Cに対してずれていても、そのずれによってスプール弁30がスリーブ4の弁孔4aに対して偏心することがなく、作動油の漏れが抑制される。
【0051】
栓体7の底部70は、スプール弁30に対向する内面70aにおける突起71の基端部の周囲にコイルばね50の一端が当接する。底部70の外面70bは、凹曲面状に形成されている。コイルばね50の他端は、第2ランド部33における筒状突起部34との間の段差面33aに当接する。
【0052】
上記のように構成された電磁弁1は、電磁コイル20に励磁電流が供給されると、その磁力によってプランジャ23がコア部材22側に移動し、ロッド24がスプール弁30を押圧し、スプール弁30が弁孔4aを中心軸Cに沿って軸方向に移動する。スプール弁30が軸方向に移動すると、小径部32を介して供給ポート41と出力ポート42とが連通し、出力ポート42から作動油が制御対象に出力される。また、供給ポート41に供給される作動油の圧力が導入孔320によって収容孔300の空間300cに導入され、スプール弁30をソレノイド部2側に押圧するフィードバック圧が発生する。
【0053】
スプール弁30は、その軸方向移動によって、供給ポート41と出力ポート42との間の流路面積、及び出力ポート42とドレンポート43との間の流路面積を変化させる。スプール弁30は、電磁コイル20の磁力とコイルばね27の付勢力及びフィードバック圧とが釣り合う位置に定位する。
【0054】
(比較例)
図3は、本実施の形態に係る電磁弁1Aの構成例を示し、(a)は断面図、(b)は外観図である。
図3において、
図1について説明したものと実質的に共通する機能を有する構成要素については同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0055】
この電磁弁1Aは、スプール制御弁3Aにおけるスプール弁30A及びスリーブ4Aの構成が、本実施の形態に係る電磁弁1と異なっている。なお、電磁弁1Aにおける作動油の圧力や流量等の容量は、電磁弁1の容量と同一であるものとする。
【0056】
スプール弁30Aは、筒状突起部34及び収容孔300に替えて、第3ランド部35及びボス部36を備えている。スリーブ4Aには、図略のバルブボディを介して出力ポート42に連通するフィードバックポート45が設けられている。また、スリーブ4Aの開口は、栓体8によって閉塞されている。
【0057】
第3ランド部35は、フィードバックポート45の第2ランド部33側に配置され、フィードバックポート45に供給される作動油の圧力を受けてスプール弁30Aがソレノイド部2側に押圧される。
【0058】
ボス部36は、円柱状の基部361と、基部361から栓体8側に突出し、基部361よりも小径の突起部362とからなる。基部361と突起部362との間の段差面には、コイルばね50の一端が当接する。
【0059】
栓体8は、コイルばね50の一端が当接する円板状の底部80と、底部80の中心部に設けられ、スプール弁30Aに向かって突出する突起81と、底部80の周縁部に設けられ、スリーブ4Aの筒部44の内面に螺着によって結合される円筒部82とを一体に有している。突起81の高さ(軸方向の長さ)は、本実施の形態に係る電磁弁1の栓体7における突起71の高さよりも低く、突起81は、ボス部36の突起部362と当接しないように構成されている。
【0060】
電磁弁1の軸方向寸法をL
1とし、電磁弁1Aの軸方向寸法をL
2とすると、L
1はL
2に比較して10%以上短くなっている。この軸方向寸法の短縮は、スプール弁30に収容孔300を形成し、この収容孔300の内部にピストン部材6を移動可能に収容した構成によるものである。
【0061】
すなわち、収容孔300の空間300cに、導入孔320によって供給ポート41に供給される作動油の圧力を導入してフィードバック圧を発生させることにより、電磁弁1Aにおける第3ランド部35及びフィードバックポート45を不要とし、さらに第2ランド部33と筒状突起部34との段差面33aにコイルばね50を当接させることにより、収容孔300とコイルばね50とを中心軸Cの径方向にオーバーラップさせ、コイルばね50を収容するための専用のスペースを削減したことにより、電磁弁1の軸方向寸法が電磁弁1Aの軸方向寸法よりも短縮されている。また、この軸方向寸法の短縮により、電磁弁1の重量が電磁弁1Aに比較して軽量化される。
【0062】
このように、本実施の形態によれば、電磁弁1の軸方向長さを短縮することが可能となる。また、これにより電磁弁1の軽量化にも資することとなる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態の一例について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、ピストン部材6の形状を
図4及び
図5に示すように変形してもよい。
【0064】
図4は、第1の変形例に係るピストン部材6Aを示し、(a)は外観図、(b)はピストン部材6Aの中心軸に沿った断面図である。このピストン部材6Aは、その中心部における円柱状の軸部620の外周に4つの環状突起(第1乃至第4の環状突起621〜624)が一体に設けられている。この第1乃至第4の環状突起621〜624は、一端部6bから他端部6cに向かって不等間隔に設けられている。第1の環状突起621と第2の環状突起622との間には第1の環状溝631が、第2の環状突起622と第3の環状突起623との間には第2の環状溝632が、第3の環状突起623と第4の環状突起624との間には第3の環状溝633が、それぞれ形成されている。
図4に示す例では、第1の環状溝631の溝幅と第3の環状溝633の溝幅が同じであり、第2の環状溝632の溝幅は、第1及び第2の環状溝631,632の溝幅よりも大きく形成されている。第1乃至第4の環状突起621〜624の外周面621a,622a,623a,624aは、スプール弁30の収容孔300における内周面300aに摺接する。この変形例によっても、第1乃至第3の環状溝631〜633に作動油に混入した鉄粉等の異物が取り込まれ、耐異物性が向上する。
【0065】
図5は、第2の変形例に係るピストン部材6Bを示し、(a)は外観図、(b)はピストン部材6Bの中心軸に沿った断面図である。このピストン部材6Bは、その外周面6aに複数のディンプル状の窪み64が形成されている。
図5に示す例では、一端部6b側から他端部6c側まで略均等な密度で窪み64が形成されているが、窪み64は一端部6b側又は他端部6c側に偏って形成されていてもよい。この変形例によっても、作動油に混入した鉄粉等の異物が複数の窪み64に取り込まれ、耐異物性が向上する。