(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記電圧クランプモードにおいて、前記出力検出部からの信号が、前記第1のしきい値とは異なる第2のしきい値となるように、前記整流型ループ電流モードと前記短絡型ループ電流モードの切り替え周期を調整する請求項1から4のいずれかに記載の非接触受電装置。
前記出力検出部からの信号が第1のしきい値に達した時に、前記非接触受電装置から前記非接触給電装置に、前記非接触給電装置の動作を制限する給電動作制限信号を送信する請求項6に記載の非接触電力伝送システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る非接触電力伝送システム100のシステム構成ブロック図であり、
図2は非接触電力伝送システム100の詳細なシステム構成図である。
図1および
図2に示す非接触電力伝送システム100は、非接触給電装置104と非接触受電装置108を備え、非接触給電装置104から非接触受電装置108へ非接触(ワイヤレス)で電力伝送を行うものである。
【0022】
(構成例)
非接触給電装置104は、送電コイル120と、送電コイルに交流電力を供給する電源装置110とを含む。非接触受電装置108は、受電コイル130と、受電キャパシタ132と、ブリッジ型回路140と、平滑回路142と、制御部170と、出力検出部150と、受電電圧検出部160と、受電装置動作制限部180を含む。
【0023】
電源装置110は、交流電力を送電コイル120に供給する。送電コイル120は送電キャパシタ(図示せず)とともに送電側LC共振回路を形成している。電源装置110は、送電コイル120に、その周波数がfoである交流電流(例えば、方形波または正弦波の電流)を供給する。電源装置110は、例えば、スイッチングコンバータやスイッチングインバータ等のスイッチング電源装置である。送電コイル120のインダクタンスと受電キャパシタ132のキャパシタンスは、送電側LC共振回路の共振周波数が交流電流の周波数foに略一致するように設定されている。なお、送電キャパシタを用いることなく、周波数foの交流電流を送電コイル120に供給してもよい。
【0024】
受電コイル130は受電キャパシタ132とともに受電側LC共振回路を形成している。受電コイル130のインダクタンスと受電キャパシタ132のキャパシタンスは、受電側LC共振回路の共振周波数が交流電流の周波数foに略一致するように設定されている。なお、受電キャパシタ132は必ずしも用いなくてもよい。
【0025】
ブリッジ型回路140は、4つのダイオード(整流素子)D1〜D4がフルブリッジ接続された回路構成をしており、これらのダイオードD1〜D4にはそれぞれ並列にスイッチング素子SW1〜SW4が接続されている。この例では、スイッチング素子SW1〜SW4は全てNチャンネルのMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)により構成されている。このブリッジ型回路140は、定常時に受電コイル130により受電された交流電流I1を整流する。
【0026】
受電コイル130の一端は受電キャパシタの一端と接続される。スイッチング素子SW1のゲートには、制御信号SG1が供給され、ソースが受電キャパシタ132の他端に、ドレインがスイッチング素子SW3のドレインに接続される。スイッチング素子SW2のゲートには制御信号SG2が供給され、ソースがスイッチング素子SW4のソースに、ドレインが受電キャパシタ132の一端に接続される。スイッチング素子SW3のゲートには制御信号SG3が供給され、ソースが受電コイル130の他端に、ドレインが後述する平滑キャパシタC1の一端および出力端子T1に接続される。スイッチング素子SW4のゲートには制御信号SG4が供給され、ソースが平滑キャパシタC1の他端および出力端子T2に、ドレインが受電コイル130の他端に接続される。ダイオードD1は、アノードがスイッチング素子SW1のソースに接続され、カソードがスイッチング素子SW1のドレインに接続されている。ダイオードD2は、アノードがスイッチング素子SW2のソースに接続され、カソードがスイッチング素子SW2のドレインに接続されている。ダイオードD3は、アノードがスイッチング素子SW3のソースに接続され、カソードがスイッチング素子SW3のドレインに接続されている。ダイオードD4は、アノードがスイッチング素子SW4のソースに接続され、カソードがスイッチング素子SW4のドレインに接続されている。これにより、ブリッジ型回路140の入力側の一端と他端は受電コイル130の一端および他端にそれぞれ接続されている。ブリッジ型回路140の出力側の一端と他端は、出力端子T1とT2にそれぞれ接続されている。
【0027】
なお、スッチング素子SW1〜SW4として、MOS−FETではなくIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いてもよい。スイッチング素子SW1〜SW4としてMOS−FETを用いた場合には、ダイオードD1〜D4をそれぞれ、このMOS−FETの寄生ダイオードから構成することが可能である。
【0028】
平滑回路142は平滑キャパシタC1を含み、ブリッジ型回路140の後段に接続される。平滑キャパシタC1の一端は出力端子T1に接続され、平滑キャパシタC1の他端は出力端子T2に接続されている。すなわち平滑キャパシタC1はブリッジ型回路140に並列に接続されている。この平滑回路142は、ブリッジ型回路140により整流された電圧を平滑して直流電圧を生成する。生成された直流電圧は、非接触受電装置108の出力端子T1、T2から負荷(図示せず)に出力して供給される。
【0029】
出力検出部150は、出力電圧検出部152と出力電流検出部154を含む。出力電圧検出部152は、平滑回路142により生成された直流電圧、すなわち出力端子T1,T2間の直流出力電圧V0を検出し、検出した直流出力電圧V0から直流電圧出力信号SV0を発生させる。ここで、出力電圧検出部152での電圧検出には、例えば分圧回路や電圧検出トランスが用いられる。出力電流検出部154は、平滑回路142により生成された直流出力電流I0を検出し、検出した直流出力電流I0から直流電流出力信号SI0を発生させる。ここで、出力電流検出部154での電流検出には、例えばカレントトランスや電流センサが用いられる。なお、出力検出部150は、出力電圧検出部152と出力電流検出部154の少なくとも一方を含んでいればよい。
【0030】
受電電圧検出部160は、受電コイル130により受電された交流電圧(受電電圧V1)を検出し、検出した受電電圧V1から受電電圧信号SV1を発生させる。受電電圧信号SV1は、後述する整流型ループ電流モードや短絡型ループ電流モードにおけるスイッチング素子SW1〜SW4のオン・オフ制御のために利用される。受電電圧検出部160での電圧検出には、例えば分圧回路や電圧検出トランスが用いられる。
【0031】
制御部170は、スイッチング素子SW1〜SW4に対してそれぞれ制御信号SG1〜SG4を供給し、これらスイッチング素子SW1〜SW4をオン・オフ制御する。制御信号SG1〜SG4はスイッチング素子SW1〜SW4を駆動する駆動信号である。また、制御部170は、後述する受電装置動作制限部180に、受電動作制限要求信号SL1を発生させてもよい。後述するように、制御部170は、出力検出部150が検出する直流出力電圧V0と直流出力電流I0の少なくとも一方に基づいて、通常動作モードと電圧クランプモードとを切り替えるようにブリッジ型回路140を制御する。更に、制御部170が、電圧クランプモードにおいて整流型ループ電流モードと短絡型ループ電流モードとを交互に切り替えるようにブリッジ型回路140を制御することにより直流出力電圧V0または直流出力電流I0を調整する。
【0032】
受電装置動作制限部180は、受電動作制限要求信号SL1に基づき非接触受電装置108を停止状態あるいは待機状態にする。受電動作制限要求信号SL1が受電装置動作制限部180に送られると、受電装置動作制限部180は、例えば、非接触受電装置108の外部に設けられている主電源から、非接触受電装置108を機械式スイッチにより切り離す。これにより、非接触受電装置108に供給する電力を完全に遮断して停止状態にする。或いは、受電装置動作制限部180は、例えば、非接触受電装置108を起動させるのに必要な最小限の電力を制御部170に供給する。これにより、非接触受電装置108の起動のために必要な電力のみが供給されている待機状態にする。
【0033】
非接触給電装置104では、電源装置110が送電コイル120に交流電力を供給することによって、送電コイル120と受電コイル130との誘導結合に基づき、送電コイル120から受電コイル130に電力供給が行われる。誘導結合は、例えば電磁誘導作用による誘導結合でもよいし、磁場共振作用による誘導結合でもよい。非接触受電装置108では、受電コイル130は、送電コイル120からワイヤレスで送電される交流電力を受電する。ブリッジ型回路140および平滑回路142は、受電コイル130により受電された交流電圧V1を整流および平滑して生成された直流出力電圧V0を、出力端子T1、T2から負荷(図示せず)に出力して供給する。
【0034】
(「整流型ループ電流モード」と「短絡型ループ電流モード」)
以上のような構成の非接触電力伝送システム100の動作について説明する前に、まず、
図11に関連して、「整流型ループ電流モード」と「短絡型ループ電流モード」の2つのモードについて説明する。「整流型ループ電流モード」と「短絡型ループ電流モード」は、非接触受電装置108の動作モードを、非接触受電装置108にて形成されるループ電流のタイプで分類したものである。
【0035】
整流型ループ電流モードは、非接触受電装置108が、受電コイル130、ブリッジ型回路140および平滑キャパシタC1とで形成される閉ループ回路を流れるループ電流を生じさせる動作モードである。整流型ループ電流モードで生じるループ電流は、具体的には、
図11(A)に示される第1の整流型ループ電流や、
図11(B)に示される第2の整流型ループ電流で表される。
【0036】
図11(A)に示されるように、制御部170が、スイッチング素子SW1〜SW4をオン・オフ制御することにより、受電コイル130、受電キャパシタ132、スイッチング素子SW1またはダイオードD1、平滑キャパシタC1、スイッチング素子SW4またはダイオードD4を順に通るループ電流L1Aが流れる。このループ電流が第1の整流型ループ電流である。
【0037】
図11(B)に示されるように、制御部170が、スイッチング素子SW1〜SW4をオン・オフ制御することにより、受電コイル130、スイッチング素子SW3またはダイオードD3、平滑キャパシタC1、スイッチング素子SW2またはダイオードD2、受電キャパシタ132を順に通るループ電流L1Bが流れる。このループ電流が第2の整流型ループ電流である。
【0038】
短絡型ループ電流モードは、非接触受電装置108が、受電コイル130とブリッジ型回路140とで形成される閉ループ回路を流れるループ電流を生じさせる動作モードである。短絡型ループ電流モードで生じるループ電流は、具体的には、
図11(C)に示される第1の短絡型ループ電流や、
図11(D)に示される第2の短絡型ループ電流で表される。短絡型ループ電流モードは、受電コイル130(または受電キャパシタ132を備える場合には受電LC共振回路)の両端を短絡する短絡モードである。
【0039】
図11(C)に示されるように、制御部170が、スイッチング素子SW1〜SW4をオン・オフ制御することにより、受電コイル130、受電キャパシタ132、スイッチング素子SW1(及びダイオードD1)、スイッチング素子SW3を順に通るループ電流L2Aが流れる。このループ電流が第1の短絡型ループ電流L1である。
【0040】
図11(D)に示されるように、制御部170が、スイッチング素子SW1〜SW4をオン・オフ制御することにより、受電コイル130、スイッチング素子SW4、スイッチング素子SW2またはダイオードD2、受電キャパシタ132を順に通るループ電流L2Bが流れる。このループ電流が第2の短絡型ループ電流L2である。
【0041】
(非接触電力伝送システムの動作)
次に、非接触電力伝送システム100の動作について説明する。まず、非接触電力伝送システムの動作を、通常動作モードおよび電圧クランプモードに分けて説明する。通常動作モードは、非接触受電装置202の出力端子T1,T2から負荷(図示せず)に直流電力を供給する定常時の動作モードである。電圧クランプモードは、異常時(例えば、負荷の不具合で、出力端子T1,T2間の直流出力電圧V0が急激に上昇して過電圧となったり、直流出力電流I0が急激に上昇して過電流となったりした時)に、ブリッジ型回路140のスイッチング素子SW1〜SW4を制御して所定の出力電圧になるように調整するモードである。以下、直流出力電圧V0が過電圧となった場合を例にして、非接触電力伝送システム100の動作を説明する。受電コイル130を流れる交流電流(受電電流I1)の向きは、
図2に示される矢印の向きを第1の方向、第1の方向と反対方向を第2の方向とする。
【0042】
(1.通常動作モードにおける動作)
図1および
図2に示される非接触電力伝送システム100の非接触受電装置108は、定常時には通常動作モードで動作する。通常動作モードでは、直流出力電圧V0は、その電圧値が所定の範囲に入るように調整されて負荷に供給される。
【0043】
図3(A)は、非接触電力伝送システム100の通常動作モードにおける受電コイル130により受電された交流電圧V1の波形を、
図3(B)は、スイッチング素子SW1〜SW4の制御信号SG1〜SG4のタイミング波形を示している。この例では、スイッチング素子SW1〜SW4は、そのゲートに印加された制御信号SG1〜SG4が高レベル(High)の時にオン状態となり、低レベル(Low)の時にオフ状態となる。
【0044】
通常動作モードでは、制御部170からの制御信号SG1〜SG4によって、スイッチング素子SW1〜SW4が
図3(B)で示されるタイミングでオン・オフ制御される。これにより、ブリッジ型回路140は、受電コイル130を流れる交流電流I1を整流する整流回路として機能する。具体的には、
図3(A)に示されるように、受電コイル130に印加される電圧が正(+)の期間T11では、制御部170からの制御信号SG1〜SG4によって、スイッチング素子SW1およびSW4が共にオン状態に、スイッチング素子SW2およびSW3が共にオフ状態となる。そして、受電コイル130にかかる電圧が負(−)の期間T12では、制御部170からの制御信号SG1〜SG4によって、スイッチング素子SW1およびSW4が共にオフ状態に、スイッチング素子SW2およびSW3が共にオン状態となる。このように、受電電圧V1に基づいて、スイッチング素子SW1およびSW4とスイッチング素子SW2およびSG3のオン・オフは交互に切り替わる。但し、オン・オフを切り替える際には、スイッチング素子SW1とSW2とが同時にオン状態に、またはスイッチング素子SW3とSW4とが同時にオン状態とならないように、デッドタイムtdを設けている。
【0045】
以下、通常動作モードでの期間T11,T12の各期間での電流ルートを詳細に説明する。通常動作モードにおける期間T11と期間T12とで規定される交流電流I1の周期を交流周期P1とする。受電電圧検出部160は、受電電圧V1を検出する。この受電電圧V1の情報(例えば、電圧の大きさ、或いは、電圧の位相)に基づいて、制御部170は、非接触受電装置108の受電コイル130を流れる受電電流I1が第1の方向に流れているのか、第2の方向に流れているのかを判別できる。そして、制御部170は、各期間に応じた制御信号SG1〜SG4を生成しスイッチング素子SW1〜SW4にそれぞれ供給する。
【0046】
(1−2.通常動作モードにおける詳細動作)
受電電流I1が第1の方向に流れる期間T11では、制御部170は、高レベルに固定された制御信号SG1,SG4を生成しスイッチング素子SW1,SW4にそれぞれ供給し、低レベルに固定された制御信号SG2、SG3を生成しスイッチング素子SW2,SW3にそれぞれ供給する。この時、
図4(A)に示されるように、受電コイル130、受電キャパシタ132、スイッチング素子SW1、平滑キャパシタC1、スイッチング素子SW4を順に通るループ電流L11が流れる。また、期間T11に含まれるデッドタイムtdの期間では、制御部170は、低レベルに固定された制御信号SG1〜SG4を生成しスイッチング素子SW1〜SW4にそれぞれ供給する。この時、受電コイル130、受電キャパシタ132、ダイオードD1、平滑キャパシタC1、ダイオードD4を順に通るループ電流L11が流れる。期間T11におけるループ電流L11は
図11(A)に示される整流型ループ電流モードの第1の整流型ループ電流L1Aである。期間T11では、ブリッジ型回路140は同期整流回路として機能する。
【0047】
受電電流I1が第2の方向に流れる期間T12では、制御部170は、低レベルに固定された制御信号SG1、SG4を生成しスイッチング素子SW1,SW4にそれぞれ供給し、高レベルに固定された制御信号SG2,SG3を生成しスイッチング素子SW2,SW3にそれぞれ供給する。この時、
図4(B)に示されるように、受電コイル130、スイッチング素子SW3、平滑キャパシタC1、スイッチング素子SW2、受電キャパシタ132を順に通るループ電流L12が流れる。また、期間T12に含まれるデッドタイムtdの期間では、制御部170は、低レベルに固定された制御信号SG1〜SG4を生成しスイッチング素子SW1〜SW4にそれぞれ供給する。この時、受電コイル130、ダイオードD3、平滑キャパシタC1、ダイオードD2、受電キャパシタ132を順に通るループ電流が流れる。期間T12におけるループ電流L12は、
図11(B)に示される、整流型ループ電流モードにおける第2の整流型ループ電流L1Bである。期間T12では、ブリッジ型回路140は同期整流回路として機能する。
【0048】
期間T11およびT12において、制御部170は、スイッチング素子SW1〜SW4にそれぞれ低レベルに固定された制御信号を常に供給することにより、ブリッジ型回路140をダイオード整流回路として機能させてもよい。この場合にも、期間T11におけるループ電流は、
図11(A)に示される整流型ループ電流モードにおける第1の整流型ループ電流L1A電流ルートである。また、期間T12におけるループ電流L12は、
図11(B)に示される、整流型ループ電流モードにおける第2の整流型ループ電流L1Bである。
【0049】
ブリッジ型回路140がダイオード整流回路として機能する場合には、後述する電圧クランプモード動作のためのみにスイッチング素子SW1〜SW4を設けることが要求される。一方、ブリッジ型回路140が同期整流回路として機能する場合には、ブリッジ型回路140のスイッチング素子SW1〜SW4は、通常動作モード動作と電圧クランプモード動作の双方の動作に対して利用されるため、スイッチング素子の利用効率が高くなる。また、ブリッジ型回路140が同期整流回路として機能する場合には、ダイオード整流回路として機能する場合よりも非接触受電装置108の伝送効率を高めることができる。
【0050】
通常動作モードでは、期間T11および期間T12に整流型ループ電流モードを連続的に継続することにより、出力端子T1,T2から負荷に直流電力を供給する。
【0051】
(2.電圧クランプモードにおける動作)
次に、
図5に関連して、電圧クランプモードにおける動作を説明する。
図5(A)は、
図1および
図2の非接触受電装置108の、通常動作モード及び電圧クランプモードにおける直流出力電圧V0の変化を示している。
図1および
図2の非接触受電装置108の、通常動作モード及び電圧クランプモードにおける制御信号SG1〜SG4のタイミング波形を示している。
【0052】
例えば、負荷に何らかの異常が発生して出力端子T1,T2間が電気的にオープン状態となった場合、直流出力電圧V0は急激に上昇する。電源装置110から受電コイル130側を見たときのインピーダンス(送電側インピーダンスZt)は直流出力電圧V0に比例するため、送電側インピーダンスZtも急激に大きくなる。
図5(A)に示されるように、時刻t1において出力検出部150からの直流出力電圧V0が第1のしきい値を越えた時に、制御部170は、通常動作モードから電圧クランプモードに非接触受電装置108の動作を移行させる(切り替える)。なお、制御部170は、直流出力電圧V0が第1のしきい値以上となった時に、通常動作モードから電圧クランプモードに非接触受電装置108の動作を移行させてもよい。
【0053】
電圧クランプモードでは、制御部170は、制御信号SG1〜SG4によってスイッチング素子SW1〜SW4がオン・オフ制御されることにより、短絡型ループ電流モードと整流型ループ電流モードとを交互に切り替える。これにより、急激に上昇した直流出力電圧V0を所定の電圧値にクランプする。すなわち、ブリッジ型回路140は、直流出力電圧V0を調整する電圧調整回路として機能する。
【0054】
受電電流I1が第1の方向に流れる期間T21では、制御部170は、期間T211に形成される短絡型ループ電流モードと期間T212に形成される整流型ループ電流モードとを交互に切り替えるようにスイッチング素子SW1〜SW4を制御する。受電コイル130を流れる交流電流I1が第2の方向に流れる期間T22では、制御部170は、期間T221に形成される短絡型ループ電流モードと期間T222に形成される整流型ループ電流モードとを交互に切り替えるようにスイッチング素子SW1〜SW4を制御する。なお、
図5(B)に示されるタイミング波形ではデッドタイムは省略されている。
【0055】
以下、電圧クランプモードでの各期間T211,T212,T221,T222における電流ルートを詳細に説明する。
【0056】
(2−2.電圧クランプモードにおける詳細動作)
電圧クランプモードでは、短絡型ループ電流モードと整流型ループ電流モードとが交互に切り替えられる。期間T211と期間T212とで規定される動作モード切り替え周期をP21、期間T221と期間T222とで規定される動作モード切り替え周期をP22で表すと、切り替え周期P21およびP22は交流周期P1よりも小さい。また、切り替え周期P21(またはP22)の正の整数倍が交流周期P1となるように切り替え周期が定められている。これにより、各期間を定めるための基準信号を発生しやすくなる。また、通常動作モードと電圧クランプモードとを同期させることが容易になる。
【0057】
期間T211では、制御部170は、高レベルに固定された制御信号SG1,SG3を生成しスイッチング素子SW1,SW3にそれぞれ供給する。また、低レベルに固定された制御信号SG2,SG4を生成しスイッチング素子SW2,SW4にそれぞれ供給する。この時、
図6(A)に示されるように、受電コイル130、受電キャパシタ132、スイッチング素子SW1またはダイオードD1、スイッチング素子SW3を順に通るループ電流L211が流れる。なお、制御部170はスイッチング素子SW1に低レベルの制御信号SG1を供給してもよい。期間T211におけるループ電流L211は、
図11(C) に示される閉ループ型ループ電流モードにおける第1の短絡型ループ電流L2Aである。
【0058】
期間T212では、制御部170は、高レベルに固定された制御信号SG1,SG4を生成しスイッチング素子SW1,SW4にそれぞれ供給する。また、低レベルに固定された制御信号SG2,SG3を生成しスイッチング素子SW2,SW3にそれぞれ供給する。この時、
図6(B)に示されるように、受電コイル130、受電キャパシタ132、スイッチング素子SW1またはダイオードD1、平滑キャパシタC1、スイッチング素子SW4またはダイオードD4を順に通るループ電流L212が流れる。従って、この期間では、ブリッジ型回路140は同期整流回路として機能する。なお、スイッチング素子SW1,SW4に低レベルの制御信号SG1,SG4を供給してブリッジ回路140がダイオード整流回路として機能してもよい。期間T212におけるループ電流L212は、
図11(A)に示される整流型ループ電流モードの第1の整流型ループ電流L1Aである。
【0059】
以上のように、第1の短絡型ループ電流L2Aと第1の整流型ループ電流L1Aが交互に切り替えられる電圧クランプモード(第1の電圧クランプモード)では、スイッチング素子SW1オン状態に固定され、スイッチング素子SW2がオフ状態に固定されたまま、スイッチング素子SW3とSW4が周期T21で互い違いにオン・オフを繰り返すように制御部170により制御される。なお、スイッチング素子SW1およびSW4はオフ状態に固定されていてもよく、この場合、ブリッジ型回路140はダイオード整流回路として機能するため、ダイオードD1およびD4での損失も利用して直流出力電圧V0の調整ができる。
【0060】
期間T221では、制御部170は、高レベルに固定された制御信号SG2,SG4を生成しスイッチング素子SW2,SW4にそれぞれ供給する。また、低レベルに固定された制御信号SG1,SG3を生成しスイッチング素子SW1,SW3にそれぞれ供給する。この時、
図7(A)に示されるように、受電コイル130、スイッチング素子SW4、スイッチング素子またはダイオードD2、受電キャパシタ132を順に通るループ電流L221が流れる。なお、制御部170はスイッチング素子SW2に低レベルの制御信号SG2を供給してもよい。期間T221におけるループ電流L221は、
図11(D)に示される閉ループ型ループ電流モードにおける第2の短絡型ループ電流L2Bである。
【0061】
期間T222では、制御部170は、高レベルに固定された制御信号SG2,SG3を生成しスイッチング素子SW2,SW3にそれぞれ供給する。制御部170は、低レベルに固定された制御信号SG1,SG4を生成しスイッチング素子SW1,SW4にそれぞれ供給する。この時、
図7(B)に示されるように、受電コイル130、スイッチング素子SW3またはダイオードD3、平滑キャパシタC1、スイッチング素子SW2またはダイオードD2を順に通るループ電流L222が流れる。従って、この期間では、ブリッジ型回路140は同期整流回路として機能する。なお、スイッチング素子SW2,SW3に低レベルの制御信号SG2,SG3を供給してブリッジ回路140がダイオード整流回路として機能してもよい。期間T222におけるループ電流L222は、
図11(B)に示される整流型ループ電流モードの第2の整流型ループ電流L1Bである。
【0062】
上記のように、第2の短絡型ループ電流L2Bと第2の整流型ループ電流L1Bが交互に切り替えられる電圧クランプモード(第2の電圧クランプモード)では、スイッチング素子SW1がオフ状態に固定され、スイッチング素子SW2がオン状態に固定されたまま、スイッチング素子SW3とSW4が周期T22で互い違いにオン・オフを繰り返すように制御部170により制御される。なお、スイッチング素子SW2およびSW3はオフ状態に固定されていてもよく、この場合、ブリッジ型回路140はダイオード整流回路として機能するため、ダイオードD1およびD4での損失も利用して直流出力電圧V0の調整ができる。
【0063】
電圧クランプモードでは、整流型ループ電流モードと短絡型ループ電流モードを周期P21(またはP22)にて交互に切り替える動作を継続する。
【0064】
(2−4.電圧クランプモードの基本的な作用)
非接触電力伝送システム100は通常動作モードで動作している場合、直流出力電圧V0は、その電圧値が所定の範囲に入るように調整されているため、送電側インピーダンスZtも所定の範囲に調整されている。時刻t1において、非接触受電装置108は通常動作モードから電圧クランプモードに移行する。電圧クランプモードにおける短絡型ループ電流モードは、受電コイル130(または受電キャパシタ132を備える場合には受電LC共振回路)の両端を短絡する短絡モードであるため、整流型ループ電流モードと短絡型ループ電流モードを切り替える動作を継続することにより直流出力電圧V0を低下させることができる。
【0065】
時刻t1において第1のしきい値を超えた直流出力電圧V0は、Δt(Δt=t2−t1)経過後に第2のしきい値まで低下する。従って、
図10に示されるように、送電側インピーダンスZtは、Δt経過後に第2のしきい値に応じたインピーダンス値に変化する。一方、従来のように、受電コイル130を短絡し続けることにより直流出力電圧V0を急激に低下させた場合にはインピーダンスZtも急激に低下する。一方、本実施形態の非接触電力伝送システム100では、非接触受電装置108を電圧クランプモードで動作させるため、従来例よりも送電側インピーダンスZtの急激な低下を抑えることができる。
【0066】
非接触受電装置108を電圧クランプモードで動作させることにより、送電コイル120側の各回路素子にかかる電圧や各回路素子に流れる電流の急激な変化を従来よりも抑えることができる。そして、従来よりも各回路素子を保護することができる。特に、第2のしきい値が、定常時における直流出力電圧V0の調整値に相当する値に定められていると、送電側インピーダンスZtが定常動作時と大きく変わらなくなり好ましい。なお、送電コイル120側の各回路素子とは、電源装置のインバータに含まれるスイッチング素子等の半導体素子や、キャパシタ素子等の受動素子であり非接触給電装置104を構成する回路素子である。
【0067】
(2−5.電圧クランプモードのその他の動作および作用)
図5(A),(B)に示されるように、時刻t2において、直流出力電圧V0が第2のしきい値以下となると、制御部170は、電圧クランプモードにおける切り替え周期を調整して、直流電圧出力信号SV0が第2のしきい値を保つようにする。調整された切り替え周期(期間T211´と期間T212´で規定される切り替え周期P21´、または期間T221´と期間T222´で規定される切り替え周期P22´)は、切り替え周期P21(または切り替え周期P22)よりも大きく、かつ、交流周期P1よりも小さい。これにより、送電側インピーダンスZtもほぼ一定に保たれるため、送電コイル120側の各回路素子にかかる電圧や各回路素子に流れる電流の変化が更に抑えられ、送電コイル側120側の各回路素子を更に効果的に保護することができる。
【0068】
電圧クランプモードにおいて、制御部170は、切り替え周期P21,P22を連続的に或いは離散的に可変させて直流出力電圧V0を調整することもできる。離散的に可変させる場合にも、切り替え周期P21(またはP22)の正の整数倍が交流周期P1となるように切り替え周期が定められているのが好ましい。
【0069】
非接触電力伝送システム100は、時刻t2から所定時間(Δt2c)経過後に非接触受電装置108の動作を制限する。制御部170は、出力電圧が第2のしきい値を保つ時間Δt2cの情報を予め保有し、時刻t3(t3=t2+Δt2c)まで電圧クランプモードを継続する。時刻t3で、制御部170は、受電動作制限要求信号SL1を受電装置動作制限部180に送り非接触受電装置108の動作を制限する。制御部170は、非接触受電装置108を電圧クランプモードで動作させた後にその装置の動作を制限するため、電圧クランプモードで動作させたことによる利点が得られるだけでなく、非接触受電装置108を安全に停止状態或いは待機状態にすることができる。そして、非接触受電装置108の各回路素子を保護することができる。
【0070】
非接触電力伝送システム100は、時刻t1から所定時間(Δt1c)経過後に非接触受電装置108の動作を制限してもよい。この場合、Δt1cは電圧クランプモードの継続時間を示す。直流出力電圧V0が第2のしきい値まで下がるのに時間がかかる場合にも、制御部170は、非接触受電装置108を電圧クランプモードで動作させた後にその装置の動作を強制的に制限するため、電圧クランプモードで動作させたことによる利点が得られるだけでなく、非接触受電装置108を安全に停止状態或いは待機状態にすることができる。従って、非接触受電装置108の各回路素子をも保護することができる。
【0071】
制御部170は、電圧クランプモードを所定時間(Δt+Δt1cまたはΔt2c)継続した後に、高レベルに固定された制御信号SG1〜SG4を生成しスイッチング素子SW1〜SW4に供給してもよい。この場合、スイッチング素子SW1〜SW4の全てがオン状態となり、出力電圧は素早くゼロボルト(0V)に近づく。このようにして非接触受電装置108の動作を制限してもよく、この場合にも、電圧クランプモードで動作させたことによる利点が得られるだけでなく、非接触受電装置108を安全に停止状態或いは待機状態にすることができる。従って、非接触受電装置108の各回路素子をも保護することができる。
【0072】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る非接触電力伝送システム100Bのシステム構成図である。
図8に示す非接触電力伝送システム100Bは、非接触給電装置104Bと非接触受電装置108Bを備え、非接触給電装置104Bから非接触受電装置108Bへ非接触(ワイヤレス)で電力伝送を行うものである。第2の実施形態における非接触電力伝送システム100Bには、非接触給電装置104Bに、給電側受信部220と給電側装置動作制限部210が追加される。また、非接触受電装置108Bには受電側送信部230が追加される。その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0073】
給電装置動作制限部210は、給電動作制限要求信号SL3に基づき非接触給電装置104Bを停止状態あるいは待機状態にするための手段である。例えば、給電動作制限要求信号SL3が給電装置動作制限部210に入力されると、給電装置動作制限部210は、例えば、非接触給電装置104Bの外部に設けられている主電源から、非接触給電装置104Bを機械式スイッチにより切り離す。或いは、例えば、起動に必要な最小限の電力のみを非接触給電装置104Bに供給する。これにより、非接触給電装置104Bの起動のために必要な電力のみが供給されている待機状態にする。また、給電装置動作制限部210は、例えば、電源装置110から送電コイル120に供給する交流電力を小さくする。これにより、非接触給電装置104Bを待機状態にする。
【0074】
受電側送信部230は、制御部170からの給電側動作指示信号SL2に基づき、非接触給電装置104へ給電動作制限要求信号SL11を送信するための通信装置を備えた送信機である。受電側送信部230には、例えば無線LANの親機が備えられている。
【0075】
給電側受信部220は、受電側送信部230から送信された給電動作制限要求信号SL11を受信するための通信装置を備えた受信機である。給電側受信部220には、例えば無線LANの子機が備えられている。
【0076】
この第2の実施形態の非接触電力伝送システム100Bでは、第1の実施形態の非接触電力伝送システム100と同様の利点を得ることができるだけでなく、更に次の利点も有する。
【0077】
非接触電力伝送システム100Bの非接触受電装置108Bは、第1の実施の形態における非接触電力伝送システム100と同様に、時刻t1において、出力検出部150からの直流出力電圧V0が第1のしきい値を越えた時に、通常動作モードから電圧クランプモードに切り替えて動作する。非接触電力伝送システム100Bの非接触受電装置108Bは、直流出力電圧V0が第1のしきい値を越えた後に、制御部170は給電側動作指示信号SL2を発生させる。受電側送信部230は、給電側動作指示信号SL2に基づき、非接触給電装置104へ給電動作制限要求信号SL11を送信する。
【0078】
非接触給電装置104Bは、受電側送信部230から送信された給電動作制限要求信号SL11を給電側受信部220で受信する。そして、給電装置動作制限部210は、給電側受信部220により発生された給電動作制限要求信号SL3を受取ることにより、給電装置動作制限部210は非接触給電装置104Bの動作を制限する。
【0079】
以上のような手順で、非接触給電装置104Bの動作を制限する場合、給電動作制限要求信号SL11を送受信するための通信手順を処理するための時間が必要とされる。このため、時刻t1において過電圧を検出した後に、制御部170が直ちに給電側動作指示信号SL2を受電側送信部230に送ったとしても、非接触給電装置104Bの動作を直ちに制限することは困難である。もし、非接触受電装置108が電圧クランプモードで動作しないとすると、過電圧状態が継続することから、非接触給電装置104Bの動作を制限するまでの期間に、非接触給電装置104Bの各回路部品の破損を引き起こすおそれがある。
【0080】
これに対して本実施形態のように、非接触受電装置108が電圧クランプモードで動作した場合には、直流出力電圧V0を低下させつつ、給電動作制限要求信号SL11を送受信できる。従って、電圧クランプモードで動作させたことによる利点が得られるだけでなく、非接触給電装置104Bを安全に停止状態或いは待機状態にすることができる。そして、送電コイル120側の各回路素子を更に保護することができる。
【0081】
第1の実施形態と同様に、制御部170は、電圧クランプモードを所定時間(Δt1cまたはΔt+Δt2c)継続した後に、非接触受電装置108の動作を制限してもよい。これにより、非接触給電装置104Bを安全に停止状態或いは待機状態にすることができるだけでなく、非接触受電装置108Bも安全に停止状態或いは待機状態にすることができる。そして、非接触給電装置104Bの各回路素子を保護することができるだけでなく、非接触受電装置108Bの各回路素子も保護することができる。
【0082】
[変形例]
第1および第2の実施の形態では、非接触受電装置108は、電圧クランプモードを継続した後に、非接触受電装置108の動作を制限していたが、これに限らない。例えば、
図9に示されるように、出力検出部150からの検出値が第1のしきい値を超えて電圧クランプモードで動作した際に、所定時間(例えば15msec)以内に、検出値が第3のしきい値以下になるという条件を満たした場合には、電圧クランプモードから通常動作モードに移行させるようにしてもよい。ここで、第3のしきい値は、第2のしきい値よりも大きく第1のしきい値よりも小さな値である。この場合にも、第1および第2の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0083】
以上のように、本実施形態等では、制御部が前記スイッチング素子を制御することにより、ブリッジ型回路が整流回路として動作する整流型ループ電流モードと、ブリッジ型回路が受電コイルを短絡する短絡回路として動作する短絡型ループ電流モードとが交互に切り替わる電圧クランプモードで動作するため、受電コイル側の直流出力電圧や直流出力電流が急激に変化した場合に、電源装置から受電コイル側を見たときのインピーダンスを急激な変化を抑えて、送電コイル側の各回路素子を保護することができる。
【0084】
本実施形態等では、スイッチング素子は前記整流素子に並列接続されているので、通常動作モードにおいて、このスイッチング素子を利用してブリッジ型回路が同期整流回路として動作することができ、部品の利用効率を高めることができる。また、通常動作モードでは非接触受電装置の伝送効率を高めることができる。
【0085】
本実施形態等では、整流型ループ電流モードと短絡型ループ電流モードの切り替え周期を調整することにより、出力検出部からの信号を調整するため、電源装置から受電コイル側を見たときのインピーダンスが安定し、送電コイル側の各回路素子を更に保護することができる。
【0086】
本実施形態等では、電圧クランプモードを所定時間継続した後に、非接触受電装置の動作を制限しているため、受電コイル側の各回路素子を保護することができる。
【0087】
本実施形態等では、非接触受電装置は、電圧クランプモードと共に、非接触給電装置に、非接触給電装置の動作を制限する給電動作制限信号を送信するため、非接触給電装置を安全に動作停止または待機状態にできる。
【0088】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0089】
本実施の形態では、制御部170は、直流出力電圧V0を検出して、それに基づいて通常動作モードから電圧クランプモードに非接触受電装置108,108Bの動作を移行させたがこれに限らない。例えば、平滑回路142により平滑された直流出力電流I0を検出して、直流出力電流I0の検出値に基づいて、通常動作モードから電圧クランプモードに切り替えて動作させてもよい。この場合、所定のしきい値(第1のしきい値)は、第2のしきい値より小さな値としてもよい。電圧クランプモードにより直流出力電流I0を第2のしきい値に近づけるようにしてもよい。すなわち、出力検出部150の検出値が第1のしきい値に達した時に、電圧クランプモードで動作させればよい。
【0090】
また、本実施の形態では、整流回路としてブリッジ型回路140を用い、ブリッジ型回路140の整流素子D1〜D4にそれぞれスイッチング素子SW1〜SW4を並列接続させていたがこれに限らない。例えば、ブリッジ型回路140の整流素子D3,D4にのみスイッチング素子SW3,SW4が並列接続されていてもよい。この場合も、スイッチング素子SW3,SW4のオン・オフ制御により整流型ループ電流モードと短絡型ループ電流モードでの動作が可能となる。また、例えばスイッチング素子は、フルブリッジ接続された整流素子D1〜D4による整流出力を短絡するように並列に接続されていてもよい。具体的には、ブリッジ回路140と出力端子T1,T2との間であって、かつ、平滑キャパシタC1に並列にスイッチング素子が設けられていてもよい。この場合にも、スイッチング素子のオン・オフ制御により、受電コイル130を短絡することが可能となり、整流型ループ電流モードと短絡型ループ電流モード(受電コイル短絡モード)での動作が可能となる。すなわち、スイッチ素子のオン・オフ制御により、受電コイル130を短絡するスイッチング素子が設けられていればよい。
【0091】
また、本実施の形態では、受電コイル130と受電キャパシタ132とが直列に接続されてLC共振回路を形成するように設けられていたがこれに限らない。例えば、受電キャパシタ132は受電コイル130に並列に接続されてLC共振回路を形成するように設けられていてもよい。また、例えば、受電キャパシタ132を用いずに、受電コイル130の後段にブリッジ型回路2を接続してもよい。