特許第5979010号(P5979010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979010
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】直噴エンジンの燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 51/06 20060101AFI20160817BHJP
   F02M 61/10 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   F02M51/06 F
   F02M51/06 A
   F02M51/06 J
   F02M61/10 D
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-380(P2013-380)
(22)【出願日】2013年1月7日
(65)【公開番号】特開2014-132162(P2014-132162A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】羽原 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】下川 祐輝
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−307758(JP,A)
【文献】 特許第4243610(JP,B2)
【文献】 特開2012−097728(JP,A)
【文献】 特開2012−149648(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02295785(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00 − 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に噴口を有する中空のインジェクタボディと、
前記インジェクタボディに長手方向に移動可能に収容され、前記噴口が設けられた座面に着座することにより前記噴口を閉じ、前記座面から離間することにより前記噴口を開くニードル弁と、
前記ニードル弁を座面から第1の量だけ離間させるための第1ソレノイド装置と、
前記ニードル弁を座面から前記第1の量より大きい第2の量だけ離間させるための第2ソレノイド装置とを備える直噴エンジンの燃料噴射装置であって、
前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置は、それぞれ、
前記ニードル弁に対してニードル弁の長手方向に相対移動可能な第1可動鉄心及び第2可動鉄心と、
前記第1可動鉄心及び第2可動鉄心を吸引するための第1ソレノイドコイル及び第2ソレノイドコイルと、
前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置の非作動時に前記第1可動鉄心及び第2可動鉄心が当接する第1ストッパ部及び第2ストッパ部と、
前記ニードル弁に設けられ、前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置の作動時に前記第1ソレノイドコイル及び第2ソレノイドコイルに向けて移動する前記第1可動鉄心及び第2可動鉄心が前記移動中に衝突する第1突出部及び第2突出部とを有し、
前記ニードル弁を座面から前記第2の量だけ離間させる開弁時に前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置の双方が作動され
前記第1可動鉄心が第1突出部に衝突するタイミングと前記第2可動鉄心が第2突出部に衝突するタイミングとが相互に異なるように前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置が作動されることを特徴とする直噴エンジンの燃料噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の直噴エンジンの燃料噴射装置において、
前記第1ソレノイド装置を作動するタイミングと前記第2ソレノイド装置を作動するタイミングとが相互に異なっていることを特徴とする直噴エンジンの燃料噴射装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の直噴エンジンの燃料噴射装置において、
前記第1可動鉄心が前記第1ストッパ部に当接している位置から前記第1突出部に衝突するまでの空走距離と前記第2可動鉄心が前記第2ストッパ部に当接している位置から前記第2突出部に衝突するまでの空走距離とが相互に異なっていることを特徴とする直噴エンジンの燃料噴射装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の直噴エンジンの燃料噴射装置において、
前記第1ソレノイドコイルが前記第1可動鉄心を吸引する吸引力と前記第2ソレノイドコイルが前記第2可動鉄心を吸引する吸引力とが相互に異なっていることを特徴とする直噴エンジンの燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの気筒内に燃料を直接噴射する直噴エンジンの燃料噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直噴エンジンに備えられるインジェクタは、気筒内の圧力に抗して高圧の燃料を噴射し得るように、一般に、一端に噴口を有する中空のインジェクタボディと、前記インジェクタボディに長手方向に移動可能に収容され、前記噴口が設けられた座面に着座することにより前記噴口を閉じ、前記座面から離間(リフト)することにより前記噴口を開くニードル弁と、前記ニードル弁を前記座面からリフトさせるためのソレノイド装置とを備える。
【0003】
特許文献1には、前記ニードル弁を相対的に小さい量リフトさせるための小リフト用ソレノイド装置と、相対的に大きい量リフトさせるための大リフト用ソレノイド装置とを備えたダブルソレノイドインジェクタが開示されている。これによれば、低負荷時は小リフト用ソレノイド装置を作動してニードル弁のリフト量を小さくすることにより燃料噴射量を減量することができ、高負荷時は大リフト用ソレノイド装置を作動してニードル弁のリフト量を大きくすることにより燃料噴射量を増量することができる。
【0004】
また、特許文献2には、開弁時にニードル弁により大きな力を作用させることができるフライングアーマチャ方式のインジェクタが開示されている。このインジェクタは、ソレノイド装置の可動鉄心がニードル弁に固定されておらず、ニードル弁に対してニードル弁の長手方向に相対移動可能に設けられている。前記可動鉄心は、閉弁時、すなわちソレノイド装置の非作動時は、ソレノイドコイルに吸引されずにストッパ部に当接する。前記可動鉄心は、開弁時、すなわちソレノイド装置の作動時は、ソレノイドコイルに吸引され、ソレノイドコイルに向けて移動を開始し、その移動中に運動エネルギを蓄え、その状態でニードル弁に設けられた突出部に衝突し、その衝撃力でニードル弁を座面から離間させた後、ソレノイドコイルに当接することでニードル弁を開弁状態に維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−508477号公報(段落0014〜0016)
【特許文献2】米国特許公開2011/0315795号(段落0026〜0027)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダブルソレノイドインジェクタにおいて、高燃圧の状況下でもニードル弁を確実にリフトさせるために、フライングアーマチャ方式を適用することが提案される。その場合、達成すべきことの1つに、ニードル弁が応答性よくリフトすることが挙げられる。すなわち、高燃圧のため、開弁時の単位時間当たりの燃料噴射量が多くなり、燃料噴射量の正確なコントロールのためには、開弁時間の精度が重要であり、そのためには、ニードル弁が応答性よくリフトすることが必要だからである。
【0007】
そこで、本発明は、ニードル弁が応答性よくリフトし得る、フライングアーマチャ方式のダブルソレノイドインジェクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、一端に噴口を有する中空のインジェクタボディと、前記インジェクタボディに長手方向に移動可能に収容され、前記噴口が設けられた座面に着座することにより前記噴口を閉じ、前記座面から離間することにより前記噴口を開くニードル弁と、前記ニードル弁を座面から第1の量だけ離間させるための第1ソレノイド装置と、前記ニードル弁を座面から前記第1の量より大きい第2の量だけ離間させるための第2ソレノイド装置とを備える直噴エンジンの燃料噴射装置であって、前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置は、それぞれ、前記ニードル弁に対してニードル弁の長手方向に相対移動可能な第1可動鉄心及び第2可動鉄心と、前記第1可動鉄心及び第2可動鉄心を吸引するための第1ソレノイドコイル及び第2ソレノイドコイルと、前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置の非作動時に前記第1可動鉄心及び第2可動鉄心が当接する第1ストッパ部及び第2ストッパ部と、前記ニードル弁に設けられ、前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置の作動時に前記第1ソレノイドコイル及び第2ソレノイドコイルに向けて移動する前記第1可動鉄心及び第2可動鉄心が前記移動中に衝突する第1突出部及び第2突出部とを有し、前記ニードル弁を座面から前記第2の量だけ離間させる開弁時に前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置の双方が作動され、前記第1可動鉄心が第1突出部に衝突するタイミングと前記第2可動鉄心が第2突出部に衝突するタイミングとが相互に異なるように前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置が作動されることを特徴とする直噴エンジンの燃料噴射装置である。
【0009】
本発明によれば、小リフト用の第1ソレノイド装置と大リフト用の第2ソレノイド装置とを備え、開弁時に可動鉄心がニードル弁の突出部に衝突する、フライングアーマチャ方式のダブルソレノイドインジェクタが提供される。
【0010】
その上で、ニードル弁を座面から第2の量だけ離間させる開弁時(大リフト時)には、第2ソレノイド装置だけでなく、本来は非作動でよい第1ソレノイド装置も作動されるので、第1ソレノイド装置の第1可動鉄心が第1ソレノイドコイルに吸引されて第1ストッパ部から遊離する。そのため、第1可動鉄心が第1ストッパ部を介してニードル弁に引き摺られることがない。したがって、大リフト時にニードル弁に無用の負荷が掛かることがなく、ニードル弁が応答性よくリフトする。
【0011】
以上により、本発明によれば、ニードル弁が応答性よくリフトし得る、フライングアーマチャ方式のダブルソレノイドインジェクタが提供される。
【0012】
また、前記第1可動鉄心が第1突出部に衝突するタイミングと前記第2可動鉄心が第2突出部に衝突するタイミングとが相互に異なるように前記第1ソレノイド装置及び第2ソレノイド装置が作動される。
【0013】
この構成によれば、第1可動鉄心がニードル弁に与える衝撃力と第2可動鉄心がニードル弁に与える衝撃力とが時間差をもってニードル弁に作用するので、ニードル弁のリフトスピードが全体として向上し、ニードル弁がより一層応答性よくリフトする。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記第1ソレノイド装置を作動するタイミングと前記第2ソレノイド装置を作動するタイミングとが相互に異なっている。
【0015】
この構成によれば、第1ソレノイド装置の作動タイミングと第2ソレノイド装置の作動タイミングとが相互に異なることにより、第1可動鉄心が第1突出部に衝突するタイミングと第2可動鉄心が第2突出部に衝突するタイミングとが確実に相互に異なることになる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記第1可動鉄心が前記第1ストッパ部に当接している位置から前記第1突出部に衝突するまでの空走距離と前記第2可動鉄心が前記第2ストッパ部に当接している位置から前記第2突出部に衝突するまでの空走距離とが相互に異なっている。
【0017】
この構成によれば、第1可動鉄心の空走距離と第2可動鉄心の空走距離とが相互に異なることにより、第1可動鉄心が第1突出部に衝突するタイミングと第2可動鉄心が第2突出部に衝突するタイミングとが確実に相互に異なることになる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記第1ソレノイドコイルが前記第1可動鉄心を吸引する吸引力と前記第2ソレノイドコイルが前記第2可動鉄心を吸引する吸引力とが相互に異なっている。
【0019】
この構成によれば、第1ソレノイドコイルの吸引力と第2ソレノイドコイルの吸引力とが相互に異なることにより、第1可動鉄心が第1突出部に衝突するタイミングと第2可動鉄心が第2突出部に衝突するタイミングとが確実に相互に異なることになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ニードル弁が応答性よくリフトし得る、フライングアーマチャ方式のダブルソレノイドインジェクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る直噴エンジンの燃料噴射装置の全体構成を示す断面図である。
図2】前記燃料噴射装置の小リフト用ソレノイド装置の部分拡大図である。
図3】前記燃料噴射装置の大リフト用ソレノイド装置の部分拡大図である。
図4】前記燃料噴射装置の要部構成を示す模式図である。
図5】前記燃料噴射装置の小リフト時の模式図である。
図6】前記燃料噴射装置の大リフト時の模式図である。
図7】前記燃料噴射装置の大リフト時の過渡時の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1)全体構成
まず、図1図6を参照して、本実施形態に係る直噴エンジンの燃料噴射装置の全体構成を説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る直噴エンジンの燃料噴射装置(インジェクタ)10の全体構成を示す断面図、図2は、前記インジェクタ10の小リフト用ソレノイド装置20の部分拡大図、図3は、前記インジェクタ10の大リフト用ソレノイド装置30の部分拡大図である。また、図4は、前記インジェクタ10の要部構成を示す模式図、図5は、前記インジェクタ10の小リフト時の模式図、図6は、前記インジェクタ10の大リフト時の模式図である。
【0024】
本実施形態に係るインジェクタ10は、直噴エンジンに備えられ、気筒内の圧力に抗して高圧(例えば40〜120MPa程度)の燃料を噴射し得るように構成されている。インジェクタ10は、円筒状のシェルインナ11と、シェルインナ11の一端側(図面で下端側)に結合されたノズル12とを含んでいる。ノズル12の一端(図面で下端)に噴口13が形成されている。シェルインナ11とノズル12とで、一端に噴口13を有する中空のインジェクタボディ15が構成されている。
【0025】
インジェクタボディ15に、長手方向(図面で上下方向)に移動可能にニードル弁16が収容されている。ニードル弁16は、インジェクタボディ15の一端側(図面で下端側)に移動して前記噴口13が形成された座面15aに着座することにより前記噴口13を閉じ、インジェクタボディ15の他端側(図面で上端側)に移動して前記座面15aから離間(リフト)することにより前記噴口13を開く。
【0026】
なお、次に説明する小リフト用ソレノイド装置20のソレノイドコイル22の内面にスプリング調整管41が設けられ、このスプリング調整管41とニードル弁16との間に、ニードル弁16をインジェクタボディ15の一端側に常に付勢する閉弁用コイルスプリング42が設けられている。
【0027】
インジェクタボディ15に、ニードル弁16を座面15aからリフトさせるための小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30が収容されている。小リフト用ソレノイド装置20は、本発明の第1ソレノイド装置に相当し、ニードル弁16を座面15aから小リフト量(第1の量)だけリフトさせる。大リフト用ソレノイド装置30は、本発明の第2ソレノイド装置に相当し、ニードル弁16を座面15aから小リフト量より大きい大リフト量(第2の量)だけリフトさせる。すなわち、本実施形態に係るインジェクタ10は、2つのソレノイド装置を備えたダブルソレノイドインジェクタである。
【0028】
小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30は、インジェクタボディ15の一端側から、大リフト用ソレノイド装置30、小リフト用ソレノイド装置20の順に配置されている。
【0029】
本実施形態に係るインジェクタ10は、高燃圧の状況下でもニードル弁16を確実にリフトさせるために、フライングアーマチャ方式が適用されている。すなわち、本実施形態に係るインジェクタ10は、フライングアーマチャ方式が適用されたダブルソレノイドインジェクタである。
【0030】
具体的に、小リフト用ソレノイド装置20は、第1可動鉄心21と第1ソレノイドコイル22とを有している。第1可動鉄心21は、ニードル弁16に対してニードル弁16の長手方向に相対移動可能である。第1ソレノイドコイル22は、通電されることにより、磁力で第1可動鉄心21を吸引する。ニードル弁16に第1ストッパ部としてのストッパ管23が設けられている。ストッパ管23はニードル弁16と別体に備えられ、ニードル弁16の外面に圧入されている。また、ニードル弁16に第1突出部としての突出管24が設けられている。突出管24もまたニードル弁16と別体に備えられ、ニードル弁16の外面に圧入されている。これらのストッパ管23及び突出管24は、ニードル弁16の外面から外方に突出している。
【0031】
小リフト用ソレノイド装置20の非作動時、つまり第1ソレノイドコイル22の非通電時は、ニードル弁16は、コイルスプリング42の付勢力によりその一端(図面で下端)が座面15aに押し付けられて噴口13を閉じている。この閉弁時は、第1可動鉄心21は図示しない適宜の付勢手段によって付勢されストッパ管23に当接している(図2参照)。
【0032】
小リフト用ソレノイド装置20の作動時(小リフト時)、つまり第1ソレノイドコイル22の通電時は、第1可動鉄心21は、第1ソレノイドコイル22に吸引され、第1ソレノイドコイル22に向けて移動を開始する。そして、第1可動鉄心21は、その移動中に運動エネルギを蓄え、その状態で突出管24に衝突し、その衝撃力でニードル弁16を座面15aからリフトさせる。そして、第1可動鉄心21は、その後、第1ソレノイドコイル22に当接することでニードル弁16を小リフトの開弁状態に維持する(図5参照)。
【0033】
ここで、小リフトの開弁時に、第1可動鉄心21がストッパ管23に当接している位置から突出管24に衝突するまでの移動距離S1が、第1可動鉄心21が運動エネルギを蓄える空走距離である。また、その後、第1可動鉄心21が突出管24に衝突してから第1ソレノイドコイル22に当接するまでの移動距離L1が、ニードル弁16の座面15aからの離間距離、すなわち小リフト量である(図2及び図4参照)。
【0034】
図4に示すように、第1可動鉄心21の空走距離S1は、閉弁状態においてストッパ管23と突出管24との間の距離Lx1から第1可動鉄心21の厚みを差し引いた値であり、第1可動鉄心21が突出管24に衝突するまでに運動エネルギを蓄える距離である。空走距離S1は、フライングアーマチャ方式のインジェクタにとって重要なパラメータであるため、ストッパ管23と突出管24との間の距離Lx1を精度よく調整する必要がある。以下、前記距離Lx1を小リフト用ソレノイド装置20の被調整距離Lx1と称する。
【0035】
一方、大リフト用ソレノイド装置30は、第2可動鉄心31と第2ソレノイドコイル32とを有している。第2可動鉄心31は、ニードル弁16に対してニードル弁16の長手方向に相対移動可能である。第2ソレノイドコイル32は、通電されることにより、磁力で第2可動鉄心31を吸引する。インジェクタボディ15(詳しくはシェルインナ11)の一端側に第2ストッパ部としてのストッパ部材33が設けられている。ストッパ部材33はインジェクタボディ15と別体に備えられ、インジェクタボディ15の内面に圧入されている。ストッパ部材33は、インジェクタボディ15の内面から内方に突出している。また、ニードル弁16に第2突出部としての突出段部34が設けられている。突出段部34はニードル弁16と一体に形成され、ニードル弁16の一端側の外面から外方に突出している。この突出段部34と係合し得る係合段部31aが第2可動鉄心31に形成されている(図3参照)。
【0036】
大リフト用ソレノイド装置30の非作動時、つまり第2ソレノイドコイル32の非通電時は、ニードル弁16は、コイルスプリング42の付勢力によりその一端(図面で下端)が座面15aに押し付けられて噴口13を閉じている。この閉弁時は、第2可動鉄心31は図示しない適宜の付勢手段によって付勢されストッパ部材33に当接している(図3参照)。
【0037】
大リフト用ソレノイド装置30の作動時(大リフト時)、つまり第2ソレノイドコイル32の通電時は、第2可動鉄心31は、第2ソレノイドコイル32に吸引され、第2ソレノイドコイル32に向けて移動を開始する。そして、第2可動鉄心31は、その移動中に運動エネルギを蓄え、その状態で突出段部34に係合段部31aで衝突し、その衝撃力でニードル弁16を座面15aからリフトさせる。そして、第2可動鉄心31は、その後、第2ソレノイドコイル32に当接することでニードル弁16を大リフトの開弁状態に維持する(図6参照)。
【0038】
ここで、大リフトの開弁時に、第2可動鉄心31がストッパ部材33に当接している位置から突出段部34に係合段部31aで衝突するまでの移動距離S2が、第2可動鉄心31が運動エネルギを蓄える空走距離である。また、その後、第2可動鉄心31が突出段部34に衝突してから第2ソレノイドコイル32に当接するまでの移動距離L2が、ニードル弁16の座面15aからの離間距離、すなわち大リフト量である(図3及び図4参照)。
【0039】
図4に示すように、第2可動鉄心31の空走距離S2は、閉弁状態においてストッパ部材33と突出段部34との間の距離Lx2から第2可動鉄心31の厚み(詳しくは係合段部31aまでの厚み)を差し引いた値であり、第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するまでに運動エネルギを蓄える距離である。空走距離S2は、フライングアーマチャ方式のインジェクタにとって重要なパラメータであるため、ストッパ部材33と突出段部34との間の距離Lx2を精度よく調整する必要がある。以下、前記距離Lx2を大リフト用ソレノイド装置30の被調整距離Lx2と称する。
【0040】
なお、本実施形態では、ニードル弁16をインジェクタボディ15に実装し、小リフト用ソレノイド装置20又は大リフト用ソレノイド装置30を作動したときのインジェクタ10の実際の噴射特性を検査し、その検査結果に応じて、小リフト用ソレノイド装置20の被調整距離Lx1又は大リフト用ソレノイド装置30の被調整距離Lx2を調整する。
【0041】
以上の構成に加え、本実施形態では、ニードル弁16を座面15aから大リフト量L2だけリフトさせる開弁時(大リフト時)に、大リフト用ソレノイド装置30だけでなく、本来は非作動でよい小リフト用ソレノイド装置20も作動される。すなわち、図6に示すように、大リフト時に小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の双方が作動される。
【0042】
また、本実施形態では、大リフト時に小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の双方が作動される場合に、第1可動鉄心21が突出管24に衝突するタイミングと第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するタイミングとが相互に異なるように作動される。
【0043】
なお、図1に示すように、シェルインナ11の外面に二重管51,52及びミドルボディ53,54が圧入されている。インジェクタ10は、ノズル12と、シェルインナ11を覆うシェルアウタ55と、シェルインナ11の他端側(図面で上端側)に結合されたトップボディ56と、シェルアウタ55に係合しつつトップボディ56に螺合するリテーニングナット57とで外観が形成されている。
【0044】
図外の高圧燃料ポンプから圧送されてきた高圧(例えば40〜120MPa程度)の燃料は、トップボディ56の内部に形成された流入通路61、第1ソレノイドコイル22の内部空間、ニードル弁16の内部に形成された燃料通路62、ニードル弁16の一端側に形成された連通路63、及びノズル12の内部空間を経由して噴口13から噴射される。図1において、符号71は、ニードル弁16のセンタを出すためにノズル12の内面に圧入された環状部材である。
【0045】
(2)特徴的構成
次に、本実施形態に係るインジェクタ10の特徴的構成を説明する。
【0046】
[A]小リフト用ソレノイド装置20のストッパ管23について
本実施形態では、小リフト用ソレノイド装置20のストッパ管23がニードル弁16に設けられている。これは寸法精度の観点から採用した構成である。
【0047】
前述したように、小リフト用ソレノイド装置20の被調整距離Lx1(ストッパ管23と突出管24との間の距離)は、第1可動鉄心21の空走距離S1を決定するパラメータであるから、精度よく調整する必要がある。突出管24は、その機能上、ニードル弁16に設けることが不可避である。したがって、ストッパ管23をニードル弁16に設けると、単一のニードル弁16にストッパ管23及び突出管24の双方が設けられることになる。すると、ニードル弁16をインジェクタボディ15に収容しなくても、ニードル弁16をインジェクタボディ15に収容する前に、ストッパ管23の位置及び突出管24の位置を調整することにより、小リフト用ソレノイド装置20の被調整距離Lx1を調整することができる。そのため、前記被調整距離Lx1の調整を精度よく行うことができる。
【0048】
これに対し、ストッパ管23をインジェクタボディ15に設けると、ストッパ管23と突出管24とがインジェクタボディ15とニードル弁16とに別れて設けられることになる。すると、ニードル弁16をインジェクタボディ15に収容しないと、小リフト用ソレノイド装置20の被調整距離Lx1を調整することができない。しかも、ストッパ管23をインジェクタボディ15に組み付けた後は、ストッパ管23の位置を調整することができないため、小リフト用ソレノイド装置20の被調整距離Lx1の調整の自由度が小さくなり、前記距離Lx1の調整を精度よく行うことができない。
【0049】
以上のようなことから、本実施形態では、インジェクタ10の寸法精度の観点から小リフト用ソレノイド装置20のストッパ管23をニードル弁16に設けている。
【0050】
[B]大リフト時のソレノイド装置20,30の作動について
本実施形態では、大リフト時に小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の双方が作動される。これは開弁応答性の観点から採用した構成である。
【0051】
前記[A]のように、インジェクタ10の寸法精度の観点から小リフト用ソレノイド装置20のストッパ管23をニードル弁16に設けると、大リフト時に次のような不具合が発生する。すなわち、大リフト時は、第2可動鉄心31が突出段部34に衝突し、その後、大リフト量L2だけ移動することにより、ニードル弁16が大リフト量L2だけリフトする。そのため、小リフト用ソレノイド装置20のストッパ管23をニードル弁16に設けると、ストッパ管23もまたニードル弁16と一緒に大リフト量L2だけ移動するので、小リフト用ソレノイド装置20を作動しなければ、ストッパ管23に当接している小リフト用ソレノイド装置20の第1可動鉄心21がニードル弁16に引き摺られて移動する。このことは、第2可動鉄心31にとって負荷が増えることになり、インジェクタ10の開弁応答性が低下する。
【0052】
そこで、図6に示すように、大リフト時であっても、大リフト用ソレノイド装置30に加えて、本来は非作動でよい小リフト用ソレノイド装置20を作動するようにしたものである。これにより、第1可動鉄心21が第1ソレノイドコイル22に吸引されてストッパ管23から遊離するので、第1可動鉄心21がニードル弁16に引き摺られて移動することが回避される。そのため、大リフト時に第2可動鉄心31に無用の負荷が掛かることがなく、高燃圧の状況下でもニードル弁16が応答性よくリフトする。
【0053】
以上のようなことから、本実施形態では、インジェクタ10の開弁応答性の観点から大リフト時に小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の双方を作動している。
【0054】
[C]大リフト時の可動鉄心21,31の衝突タイミングについて
本実施形態では、大リフト時に第1可動鉄心21が突出管24に衝突するタイミングと第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するタイミングとが相互に異なっている。これはリフトスピード向上の観点から採用した構成である。
【0055】
前記[B]のように、インジェクタ10の開弁応答性の観点から大リフト時に小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の双方を作動する場合に、小リフト用ソレノイド装置20の第1可動鉄心21と大リフト用ソレノイド装置30の第2可動鉄心31とが時間的にずれて突出管24及び突出段部34に衝突することにより、第1可動鉄心21がニードル弁16に与える衝撃力と第2可動鉄心31がニードル弁16に与える衝撃力とが時間差をもってニードル弁16に作用する。そのため、一方の可動鉄心21又は31の衝撃力でニードル弁16がリフトし、そのリフトスピードが減速するタイミングでもう一方の可動鉄心31又は21がニードル弁16に衝突することにより、第1可動鉄心21と第2可動鉄心31とが時間的に同時にニードル弁16に衝突するよりも、ニードル弁16が効率的に加速され、ニードル弁16のリフトスピードが全体として向上する。その結果、ニードル弁16がより一層応答性よくリフトする。
【0056】
以上のようなことから、本実施形態では、リフトスピード向上の観点から大リフト時に第1可動鉄心21の衝突タイミングと第2可動鉄心31の衝突タイミングとを相互に異ならせている。
【0057】
具体的に、本実施形態では、図4に示すように、第1可動鉄心21の空走距離S1と第2可動鉄心31の空走距離S2とを相互に異なる距離とすることにより、第1可動鉄心21が突出管24に衝突するタイミングと第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するタイミングとを相互に異ならせている。
【0058】
特に、本実施形態では、図4から明らかなように、第1可動鉄心21の空走距離S1を第2可動鉄心31の空走距離S2よりも大きくしている。そのため、例えば、両ソレノイド装置20,30の作動タイミングが相互に同じで、両ソレノイドコイル22,32の吸引力(コイルの巻き数や通電電流等)も相互に同じであると、空走距離の短い大リフト用ソレノイド装置30の第2可動鉄心31が先に突出段部34に衝突し、空走距離の長い小リフト用ソレノイド装置20の第1可動鉄心21が後で突出管24に衝突する。これにより、第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するタイミングと第1可動鉄心21が突出管24に衝突するタイミングとの間に時間差が生まれ、同時に衝突するよりもニードル弁16のリフトスピードが向上し、インジェクタ10の開弁応答性がより一層向上する。
【0059】
ただし、先に第2可動鉄心31が突出段部34に衝突した際に、ニードル弁16が大きくリフトし、突出管24が第1ソレノイドコイル22を超えて開弁側に移動してしまうと、第1可動鉄心21が突出管24に衝突できなくなり、結果的に、第1可動鉄心21が一度もニードル弁16に衝撃力を与えることができないまま大リフトの開弁状態が達成してしまう可能性がある。
【0060】
この問題を回避するために、本実施形態では、可動鉄心21の空走距離S1の長い小リフト用ソレノイド装置20を先に作動し、可動鉄心31の空走距離S2の短い大リフト用ソレノイド装置30を後で作動している。あるいは、第1ソレノイドコイル22の吸引力を第2ソレノイドコイル32の吸引力よりも大きくしてもよい。これにより、図7に示すように、空走距離の長い小リフト用ソレノイド装置20の第1可動鉄心21が先に突出管24に衝突し、空走距離の短い大リフト用ソレノイド装置30の第2可動鉄心31が後で突出段部34に衝突するので、先に第1可動鉄心21が突出管24に衝突した際に、突出段部34が過度に開弁側に移動することがなく、第1可動鉄心21の衝突の後に第2可動鉄心31が確実に突出段部34に衝突する。
【0061】
なお、第1可動鉄心21の空走距離S1と第2可動鉄心31の空走距離S2とを相互に異なる距離とする場合に、前記とは逆に、第2可動鉄心31の空走距離S2を第1可動鉄心21の空走距離S1よりも大きくしてもよい。
【0062】
(3)作用等
本実施形態に係る直噴エンジンのインジェクタ10は、一端に噴口13を有する中空のインジェクタボディ15と、前記インジェクタボディ15に長手方向に移動可能に収容され、前記噴口13が設けられた座面15aに着座することにより前記噴口13を閉じ、前記座面15aから離間することにより前記噴口13を開くニードル弁16と、前記ニードル弁16を座面15aから小リフト量だけリフトさせるための小リフト用ソレノイド装置20と、前記ニードル弁16を座面15aから大リフト量だけリフトさせるための大リフト用ソレノイド装置30とを備えるものであって、次のような特徴的構成を有している。
【0063】
前記小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30は、それぞれ、前記ニードル弁16に対してニードル弁16の長手方向に相対移動可能な第1可動鉄心21及び第2可動鉄心31と、前記第1可動鉄心21及び第2可動鉄心31を吸引するための第1ソレノイドコイル22及び第2ソレノイドコイル32と、前記小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の非作動時に前記第1可動鉄心21及び第2可動鉄心31が当接するストッパ管23及びストッパ部材33と、前記ニードル弁16に設けられ、前記小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の作動時に前記第1ソレノイドコイル22及び第2ソレノイドコイル32に向けて移動する前記第1可動鉄心21及び第2可動鉄心31が前記移動中に衝突する突出管24及び突出段部34とを有している。そして、前記ニードル弁16を座面15aから大リフト量だけリフトさせる開弁時に前記小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30の双方が作動される。
【0064】
この構成によれば、小リフト用ソレノイド装置20と大リフト用ソレノイド装置30とを備え、開弁時に可動鉄心21,31がニードル弁16の突出管24及び突出段部34に衝突する、フライングアーマチャ方式のダブルソレノイドインジェクタ10が提供される。
【0065】
その上で、ニードル弁16を座面15aから大リフト量だけリフトさせる開弁時(大リフト時)には、大リフト用ソレノイド装置30だけでなく、本来は非作動でよい小リフト用ソレノイド装置20も作動されるので、小リフト用ソレノイド装置20の第1可動鉄心21が第1ソレノイドコイル22に吸引されてストッパ管23から遊離する。そのため、第1可動鉄心21がストッパ管23を介してニードル弁16に引き摺られることがない。したがって、大リフト時にニードル弁16に無用の負荷が掛かることがなく、ニードル弁16が応答性よくリフトする。
【0066】
以上により、本実施形態によれば、ニードル弁16が応答性よくリフトし得る、フライングアーマチャ方式のダブルソレノイドインジェクタ10が提供される。
【0067】
本実施形態においては、前記第1可動鉄心21が突出管24に衝突するタイミングと前記第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するタイミングとが相互に異なるように前記小リフト用ソレノイド装置20及び大リフト用ソレノイド装置30が作動される。
【0068】
この構成によれば、第1可動鉄心21がニードル弁16に与える衝撃力と第2可動鉄心31がニードル弁16に与える衝撃力とが時間差をもってニードル弁16に作用するので、ニードル弁16のリフトスピードが全体として向上し、ニードル弁16がより一層応答性よくリフトする。
【0069】
また、本実施形態においては、前記第1可動鉄心21が前記ストッパ管23に当接している位置から前記突出管24に衝突するまでの空走距離S1と前記第2可動鉄心31が前記ストッパ部材33に当接している位置から前記突出段部34に衝突するまでの空走距離S2とが相互に異なっている。
【0070】
この構成によれば、第1可動鉄心21の空走距離S1と第2可動鉄心31の空走距離S2とが相互に異なることにより、第1可動鉄心21が突出管24に衝突するタイミングと第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するタイミングとが確実に相互に異なることになる。
【0071】
なお、第1可動鉄心21の空走距離S1と第2可動鉄心31の空走距離S2とを相互に異ならせることに代えて、小リフト用ソレノイド装置20を作動するタイミングと大リフト用ソレノイド装置30を作動するタイミングとを相互に異ならせてもよく、また、第1ソレノイドコイル22が第1可動鉄心21を吸引する吸引力(コイルの巻き数や通電電流等)と第2ソレノイドコイル32が第2可動鉄心31を吸引する吸引力とを相互に異ならせてもよい。
【0072】
これらの構成によっても、小リフト用ソレノイド装置20の作動タイミングと大リフト用ソレノイド装置30の作動タイミングとが相互に異なることにより、また、第1ソレノイドコイル22の吸引力と第2ソレノイドコイル32の吸引力とが相互に異なることにより、第1可動鉄心21が突出管24に衝突するタイミングと第2可動鉄心31が突出段部34に衝突するタイミングとが確実に相互に異なることになる。
【0073】
また、状況に応じて、大リフト用ソレノイド装置30のストッパ部材33を前記ニードル弁16に設けてもよい。その場合は、大リフト用ソレノイド装置30のストッパ部材33及び突出段部34の双方が単一のニードル弁16に設けられるので、ニードル弁16をインジェクタボディ15に収容する前にストッパ部材33と突出段部34との間の距離Lx2を調整することができる。そのため、前記距離調整を精度よく行うことができる。
【0074】
また、前記実施形態では、大リフト用ソレノイド装置30の第2突出部をニードル弁16と一体形成の突出段部34としたが、ニードル弁16の外面に圧入された管部材としてもよい。
【0075】
また、小リフト用ソレノイド装置20のストッパ管23及び突出管24、大リフト用ソレノイド装置30のストッパ部材33は、圧入後、溶接等で固定して仕上げてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 インジェクタ(燃料噴射装置)
11 シェルインナ
12 ノズル
13 噴口
15 インジェクタボディ
15a 座面
16 ニードル弁
20 小リフト用ソレノイド装置(第1ソレノイド装置)
21 小リフト用ソレノイド装置の可動鉄心(第1可動鉄心)
22 小リフト用ソレノイド装置のソレノイドコイル(第1ソレノイドコイル)
23 小リフト用ソレノイド装置のストッパ管(第1ストッパ部)
24 小リフト用ソレノイド装置の突出管(第1突出部)
30 大リフト用ソレノイド装置(第2ソレノイド装置)
31 大リフト用ソレノイド装置の可動鉄心(第2可動鉄心)
31a 係合段部
32 大リフト用ソレノイド装置のソレノイドコイル(第2ソレノイドコイル)
33 大リフト用ソレノイド装置のストッパ部材(第2ストッパ部)
34 大リフト用ソレノイド装置の突出段部(第2突出部)
42 閉弁用コイルスプリング
L1 小リフト用ソレノイド装置の小リフト量(第1の量)
L2 大リフト用ソレノイド装置の大リフト量(第2の量)
Lx1 小リフト用ソレノイド装置の被調整距離
Lx2 大リフト用ソレノイド装置の被調整距離
S1 小リフト用ソレノイド装置の可動鉄心の空走距離
S2 大リフト用ソレノイド装置の可動鉄心の空走距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7