(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の構成においては、蓄電ユニットを構成する蓄電素子間で、種々の原因により、充放電電流が不均一になり、充放電時において、各蓄電素子の発熱量が不均一になる場合がある。すると、蓄電ユニットを構成する各蓄電素子間に温度差が生じる。各蓄電素子間に温度差が生じた状態で充放電が繰り返されると、比較的に温度が高い蓄電素子の劣化が進行することにより、蓄電モジュールの充放電サイクル特性が全体として低下することが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、並列接続された蓄電素子間の温度差を小さくする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電池モジュールであって、並列接続された複数の蓄電素子に伝熱的に接触する1つのヒートシンクを備えた複数の蓄電ユニットと、前記複数の蓄電ユニット間を電気的に接続する接続部材と、を備え、
前記複数の蓄電素子は、それぞれ扁平な形状をなす本体部を有し、前記本体部は前記ヒートシンクに伝熱的に接触する扁平な伝熱面を有する一方、前記本体部から突出して形成されると共に扁平なタブ状をなす正極端子及び負極端子を備え、前記ヒートシンクは、板状をなし、前記複数の蓄電素子が並べて固定される固定部と、前記固定部の前端縁から前方に延出されるとともに前記固定部から下方に曲げられて前記蓄電素子の前記正極端子及び前記負極端子との干渉を避ける退避部と、前記固定部の後端縁から後方に延出されるとともに前記固定部から下方に曲げられてなる延出部と、前記退避部の前端縁に配され当該退避部から上方に曲げられてなる退避側端部と、前記延出部の後端縁に配され当該延出部から上方に曲げられてなる延出側端部と、を備え、前記複数の蓄電素子はバスバーと電気的に接続されており、前記バスバーは絶縁部材を介して前記ヒートシンクの前記退避側端部上に積層されており、前記蓄電ユニットが収容されたケースをさらに備え、前記退避側端部と前記延出側端部は、前記ケースに弾性的に接触して伝熱的に接触してなる。
【0008】
本発明によれば、蓄電素子からヒートシンクへの熱伝達の速度は、蓄電素子とヒートシンクとの間の温度勾配が大きいほど大きなものとなるから、複数の蓄電素子のうち比較的に温度が高い蓄電素子の熱は、比較的に速くヒートシンクに伝達される。一方、比較的に温度が低い蓄電素子の熱は、比較的にゆっくりとヒートシンクに伝達される。そして、複数の蓄電素子の熱は1つのヒートシンクに伝達されて、均熱化される。これにより、複数の蓄電素子間の温度差を小さくすることができる。
【0009】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。ヒートシンクは板状をなし、ヒートシンクの一方の面は複数の蓄電素子が固定された固定面とされ、複数の蓄電素子は固定面に並べられた状態でヒートシンクに固定されていることが好ましい。
【0010】
上記の態様によれば、複数の蓄電素子で発生した熱は、蓄電素子から固定面を経由してヒートシンクへと伝達される。これにより、複数の蓄電素子からヒートシンクへの熱伝達の経路を揃えることができる。また、複数の蓄電素子はヒートシンクに並べられているので、複数の蓄電素子がヒートシンクにランダムに配された状態に比べて、各蓄電素子の周囲の温度を揃えることができる。このように本態様によれば、複数の蓄電素子の熱的な環境を揃えることができるので、複数の蓄電素子間の温度差を一層小さくすることができる。
【0011】
複数の蓄電素子はバスバーと電気的に接続されており、バスバーは絶縁部材を介してヒートシンクに積層されていることが好ましい。
【0012】
上記の態様によれば、バスバーに電流が流された時にバスバーで発生する熱は絶縁部材を介してヒートシンクに伝達されて均熱化される。これにより、バスバーで発生した熱により蓄電素子の温度が上昇することを抑制することができるので、複数の蓄電素子間の温度差を一層小さくすることができる。
【0013】
ヒートシンクの表面には絶縁被膜が形成されていることが好ましい。
【0014】
上記の態様によれば、ヒートシンクとバスバーとを確実に絶縁することができる。また、ヒートシンクと蓄電素子とを確実に絶縁することができる。
【0015】
複数の蓄電素子は扁平な形状をなす本体部を有し、本体部はヒートシンクに伝熱的に接触する扁平な伝熱面を有することが好ましい。
【0016】
上記の態様によれば、蓄電素子は扁平な伝熱面を介してヒートシンクと接触するので、蓄電素子とヒートシンクとが接触する面積を広くすることができる。これにより、蓄電素子で発生した熱を速やかにヒートシンクに伝達することができるので、複数の蓄電素子間の温度差を一層小さくすることができる。
【0017】
複数の蓄電素子は、それぞれ、本体部から突出して形成されると共に扁平なタブ状をなす正極端子及び負極端子を備えることが好ましい。
【0018】
上記の態様によれば、正極端子及び負極端子はタブ状をなしているので、例えば正極端子及び負極端子が棒状をなす場合に比べて、正極端子及び負極端子の表面積を大きくすることができる。これにより、正極端子及び負極端子からも熱を放散させることができるので、複数の蓄電素子間の温度差を一層小さくすることができる。
【0019】
また、蓄電モジュールは前記蓄電ユニットが収容されたケースを備え、前記ヒートシンクは前記ケース側に突出すると共に前記ケースに伝熱的に接触する伝熱部を有することが好ましい。
【0020】
蓄電ユニットをケース内に収容すると、複数の蓄電素子で発生した熱がケース内にこもって、局所的にケース内の温度が高くなることが懸念される。上記の態様によれば、複数の蓄電素子で発生した熱は、蓄電素子、ヒートシンク、伝熱部、ケースの順に伝達されて、ケースの外部に放散される。これにより、ケース内の温度が局所的に高くなることが抑制されるので、複数の蓄電素子間の温度差を一層小さくすることができる。
【0021】
ケース内には複数の蓄電ユニットが積層されて収容されており、複数の蓄電ユニットは直列接続されていることが好ましい。
【0022】
上記の態様によれば、複数の蓄電素子を並列接続して並列回路を形成し、その並列回路を直列接続する構成において、複数の蓄電素子間の温度差を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、並列接続された蓄電素子間の温度差を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図17を参照しつつ説明する。本実施形態に係る蓄電モジュール10は、例えば、例えば自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、車両のIntegrated Starter Generator(ISG)に用いられる。以下の説明では、X方向を右方とし、Y方向を前方とし、Z方向を上方とする。
【0026】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、ケース11と、ケース11内に収容された複数(本実施形態では6つ)の蓄電ユニット12A,12B,12C,12D,12E,12Fと、を備える。複数の蓄電ユニット12A〜12Fは上下方向に積層されて積層体13を構成する。
【0027】
(ケース11)
図1に示すように、ケース11は、有底筒状をなして左方に開口するケース本体14と、このケース本体14の開口を閉塞する絶縁性の合成樹脂からなる閉塞部材15と、を備える。ケース本体14は、上方及び左方に開口する金属製のロアケース16と、ロアケース16の上方を覆う金属製のアッパーケース17と、を備える。
【0028】
ロアケース16の底壁の四隅部には、積層体13に上下方向に貫通させたボルト18を貫通させるための留め孔(図示せず)が貫通形成されている。
【0029】
アッパーケース17は略長方形状をなしている。アッパーケース17の四隅部には、ロアケース16と、積層体13と、アッパーケース17と、をボルト18とナット19とで一体に締結するための留め孔(図示せず)が貫通形成されている。
【0030】
閉塞部材15は略長方形状をなしており、ケース11の開口に嵌め入れられて開口を塞ぐようになっている。
【0031】
(積層体13)
図2に示すように、積層体13は、複数の蓄電ユニット12A〜12Fを上下に積層してなる。積層体13の左端部からは、一対の外部接続端子22が前方に突出している。外部接続端子22は、積層体13がケース11内に収容された状態で、閉塞部材15を貫通して左方に導出されている。一対の外部接続端子22の一方は正極であり、他方は負極である。蓄電ユニット12A〜12Fは、下から順に、第1蓄電ユニット12A、第2蓄電ユニット12B、第3蓄電ユニット12C、第4蓄電ユニット12D、第5蓄電ユニット12E、及び第6蓄電ユニット12Fとされる。
【0032】
(蓄電ユニット12A〜12F)
蓄電ユニット12A〜12Fは、複数(本実施形態では3つ)の蓄電素子23と、複数の蓄電素子23に伝熱的に接触するヒートシンク24と、を備える。以下の説明においては、蓄電ユニット12A〜12Fの構成につき、最下層の第1蓄電ユニット12Aを例に説明する。
【0033】
(蓄電素子23)
図3に示すように、複数の蓄電素子23は同形同大である。本実施形態に係る蓄電素子23はラミネート型の電池である。それぞれの蓄電素子23は、上方から見て略長方形状をなすと共に、上下に重ねられた一対のラミネートフィルムの側縁部が溶着された本体部25を備える。本体部25の内部には図示しない蓄電要素が収容されている。
【0034】
図4に示すように、本体部25の一対の短辺のうち、一の短辺からは、扁平なタブ状をなすと共に蓄電要素に電気的に接続された正極端子26及び負極端子27が外方に突出している。正極端子26及び負極端子27は、下側のラミネートフィルムの上面に重ねられた状態で、上下のラミネートフィルムの間から本外部の外部に導出されている。
【0035】
本体部25の下面は扁平な形状をなしており、ヒートシンク24に伝熱的に接触する伝熱面28とされる。本体部25の一対の長辺においては、両側縁部が上方に曲げられている。
【0036】
本体部25を構成するラミネートフィルムは、アルミニウム箔等を含む金属箔の外側にはポリエチレンテレフタレート、ナイロン等を含む樹脂層(図示せず)が積層されており、金属箔の内側(蓄電要素側)にはポリエチレンまたはポリプロピレン等を含む熱溶着層(図示せず)が設けられている。
【0037】
(ヒートシンク24)
図5及び
図6に示すように、ヒートシンク24は、板状をなしており、上方から見て略長方形状をなしている。ヒートシンク24は比較的に熱伝導率の高い材料からなる。ヒートシンク24を構成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス等の金属、セラミック等、必要に応じて任意の材料を使用することができる。本実施形態においては、アルミニウム、又はアルミニウム合金が用いられている。
【0038】
ヒートシンク24の表面には絶縁被膜(図示せず)が形成されている。本実施形態に係る絶縁被膜はヒートシンク24の表面に公知のアルマイト処理によって形成されたアルマイト層である。絶縁被膜としては、例えば合成樹脂製の塗膜でもよく、必要に応じて公知の手法により任意の絶縁被膜を形成することができる。
【0039】
ヒートシンク24には、複数の蓄電素子23が左右方向に並べて固定される固定部29が設けられている。固定部29の上面は、蓄電素子23が固定される平坦な固定面30とされ、固定部29の下面は非固定面55とされる。
【0040】
図7に示すように、固定面30の上には、複数(本実施形態では3つ)の蓄電素子23が左右方向に間隔を空けて並べて配されている。複数の蓄電素子23は互いの長辺同士が対向する姿勢で配されている。各蓄電素子23は、伝熱面28を固定面30側に向けた姿勢で固定面30に配置されている。蓄電素子23と固定部29とは、図示しない両面テープで固定されている。これにより、蓄電素子23とヒートシンク24とは伝熱的に接触するようになっている。また、蓄電素子23の伝熱面28とヒートシンク24の固定面とが面接触しているので、蓄電素子23からヒートシンク24への熱伝達効率が向上するようになっている。蓄電素子23と固定部29とは、接着剤で接着してもよく、接着シートで接着してもよく、必要に応じて任意の接着手段で固定することができる。
【0041】
図8に示すように、複数の蓄電素子23は、正極端子26及び負極端子27が同じ方向に突出する姿勢で配置されている。
図5及び
図6に示すように、ヒートシンク24には、固定部29の前端縁から前方に延出されると共に、固定部29から下方に2回、直角曲げ加工されることにより、左右方向から見てクランク状に形成されることにより、蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27との干渉を避ける退避部31が設けられている。退避部31には、蓄電素子23が固定部29に固定された状態で、正極端子26及び負極端子27に対応する位置に、正極端子26及び負極端子27を後述する第1バスバー36A及び第2バスバー36Bと溶接するための冶具が挿入される複数の溶接窓部32Aが開口されている。
【0042】
図5及び
図6に示すように、ヒートシンク24には、固定部29の後端縁から後方に延出された延出部33が設けられている。延出部33は、固定部29から下方に2回、直角曲げ加工されることにより、左右方向から見てクランク状に形成されている。この延出部33と、上記した退避部31とは、上下方向の高さ位置が略同じに設定されている(
図9参照)。
【0043】
図5及び
図6に示すように、ヒートシンク24の前端縁及び後端縁には、外方に突出する複数の伝熱部34が形成されている。伝熱部34の先端部は上方に曲げ加工されて、接触端部35とされる。接触端部35の板面と、ヒートシンク24の板面(退避部31の板面又は延出部33の板面)とのなす角度は、直角よりも僅かに大きな鈍角に設定されている。これにより、伝熱部34は、積層体13がケース11内に収容された状態で、ケース11側に突出してケース11の内面に弾性的に接触するようになっている。この結果、伝熱部34とケース11とが伝熱的に接触するようになっている。伝熱部34は、ヒートシンク24の前端縁及び後端縁に、左右方向に間隔を空けて並んで配されている。本実施形態では、伝熱部34は、ヒートシンク24の前端縁及び後端縁に、それぞれ4つずつ設けられている。本実施形態においては、接触端部35の板面とヒートシンク24の板面とのなす角度は、93°〜94°に設定されている。なお、接触端部35の板面とヒートシンク24の板面とのなす角度は本実施形態に限定されてない。
【0044】
(第1バスバー36A,第2バスバー36B)
図8に示すように、複数(本実施形態では3つ)の蓄電素子23のそれぞれの正極端子26には第1バスバー36Aが接続されており、複数の蓄電素子23のそれぞれの負極端子27には第2バスバー36Bが接続されている。これにより、第1バスバー36A、複数の蓄電素子23、及び第2バスバー36Bにより、複数の蓄電素子23が並列接続された並列回路37が構成されるようになっている。第1バスバー36A及び第2バスバー36Bは金属板材を所定形状にプレス加工してなる。上記の金属板材を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択しうる。第1バスバー36Aを構成する金属と、第2バスバー36Bを構成する金属は、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。本実施形態においては、第1バスバー36A及び第2バスバー36Bは共に銅又は銅合金からなる。
【0045】
図9に示すように、ヒートシンク24の退避部31の上には、絶縁性の合成樹脂からなる中央セパレータ38(絶縁部材の一例)を介して第2バスバー36Bが重ねられている。この第2バスバー36Bの上には、絶縁性の合成樹脂材からなる絶縁シート39Aを介して第1バスバー36Aが重ねられている。第1バスバー36Aの上には、更に、絶縁性の合成樹脂材からなる絶縁シート39Bが重ねられている。
【0046】
図10に示すように、第1バスバー36Aは、第1バスバー本体部42と、第1バスバー本体部42から分岐されて複数の蓄電素子23の正極端子26に夫々接続される複数(本実施形態では3つ)の第1分岐部40と、第1バスバー本体部42から延出されて外部回路と接続される第1端子部41と、が設けられている。第1蓄電ユニット12Aにおいては、第1端子部41は、上述した一対の外部接続端子22の一方(正極側)とされる。
【0047】
第1分岐部40は、第1バスバー本体部42から僅かに下方にクランク状に曲げられている。これにより、蓄電素子23の正極端子26と第1分岐部40の上下方向の高さを整合させるようになっている。
【0048】
図11に示すように、第2バスバー36Bは、上方から見て略L字状をなす第2バスバー本体部43と、第2バスバー本体部43から分岐されて複数の蓄電素子23の負極端子27に夫々接続される複数(本実施形態では3つ)の第2分岐部44と、第2バスバー本体部43から延出されて、外部回路に接続される接続される第2端子部45と、を備える。第1蓄電ユニット12Aにおいては、第2端子部45は、第1蓄電ユニット12Aの上に積層された第2蓄電ユニット12Bに電気的に接続されるようになっている。
【0049】
図12に、複数の蓄電素子23を含む並列回路37を模式的に示す。複数の蓄電素子23の正極端子26は、それぞれ、第1バスバー36Aの複数の第1分岐部40に接続されている。第1バスバー36Aは第1端子部41を介して外部回路と接続されるようになっている。一方、複数の蓄電素子23の負極端子27は、それぞれ、第2バスバー36Bの複数の第2分岐部45に接続されている。第2バスバー36Bは第2端子部45を介して外部回路と接続されるようになっている。
【0050】
(セパレータ38,46A,46B)
図3に示すように、第1蓄電ユニット12Aは、ヒートシンク24の上に配された中央セパレータ38と、ヒートシンク24の左右両側部に配された端部セパレータ46と、を備える。
【0051】
図13に示すように、中央セパレータ38は、各蓄電素子23を内側に嵌め入れた保持するために矩形に区画された複数(本実施形態では3つ)の区画部47を備える。各区画部47は、蓄電素子23の外形状をほぼ同じかやや大きく設定されており、蓄電素子23を左右に並べて嵌め入れることが可能である。蓄電素子23が区画部47に嵌め入れられることにより、左右方向に並ぶ複数の蓄電素子23は、互いに間隔を空けて配置されるようになっている。
【0052】
区画部47の前方には、第1バスバー36A及び第2バスバー36Bが載置されるバスバー保持部48が形成されている。バスバー保持部48には、ヒートシンク24に中央セパレータ38が取り付けられた状態で、ヒートシンク24の溶接窓部32Aに対応する位置に、溶接用の冶具を挿入するための複数の溶接窓部32Bが形成されている。
【0053】
中央セパレータ38には、ヒートシンク24に向かって突出するロック部51Cが形成されている。このロック部51Cが、ヒートシンク24に形成されたロック受け部50Cに弾性的に係止することにより、中央セパレータ38とヒートシンク24とは一体に組み付けられる。
【0054】
図3及び
図9に示すように、中央セパレータ38には、左右方向に細長い形状に形成されると共に、蓄電素子23の正極端子26及び負極端子27を上方から覆うカバー49が組み付けられている。
【0055】
端部セパレータ46は、ヒートシンク24の左方に取り付けられる左端部セパレータ46Aと、ヒートシンク24の右方に取り付けられる右端部セパレータ46Bと、からなる。
【0056】
図14に示すように、左端部セパレータ46Aには、ヒートシンク24に形成されたロック受け部50Aに係止する弾性変形可能なロック部51Aが形成されている。このロック部51Aがロック受け部50Aに弾性的に係止することにより、左端部セパレータ46Aとヒートシンク24とが一体に組み付けられる。また、左端部セパレータ46Aには上方に突出するピン52Aが形成されており、このピン52Aが、中央セパレータ38に形成された貫通孔53A内に貫通されることにより、左端部セパレータ46Aと中央セパレータ38とが一体に組み付けられる。第1バスバー36Aは、左端部セパレータ46A及び中央セパレータ38の上に跨って載置される。
【0057】
図15に示すように、右端部セパレータ46Bには、ヒートシンク24に形成されたロック受け部50Bに係止する弾性変形可能なロック部51Bが形成されている。このロック部51Bがロック受け部50Bに弾性的に係止することにより、右端部セパレータ46Bとヒートシンク24とが一体に組み付けられる。また、右端部セパレータ46Bには上方に突出するピン52Bが形成されており、このピン52Bが、中央セパレータ38に形成された貫通孔53B内に貫通されることにより、右端部セパレータ46Bと中央セパレータ38とが一体に組み付けられる。第2バスバー36Bは、右端部セパレータ46B及び中央セパレータ38の上に跨って載置される。
【0058】
(積層構造)
図2に示すように、各蓄電ユニット12A〜12Fには、上下に重ねられた他の蓄電ユニット12A〜12Fに弾性的に係止するロック爪54が形成されている。このロック爪54が、他の蓄電ユニット12A〜12Fに弾性的に係止することにより、各蓄電ユニット12A〜12Fは積層状態に保持される。
【0059】
図16に示すように、最下層に配された第1蓄電ユニット12Aの蓄電素子23は、第1蓄電ユニット12Aの上に重ねられた第2蓄電ユニット12Bのヒートシンク24の非固定面55に下方から接触している。第2蓄電ユニット12Bのヒートシンク24の固定面30には第2蓄電ユニット12Bの蓄電素子23が固定されているので、第2蓄電ユニット12Bの蓄電素子23は、ヒートシンク24を介して、第1蓄電ユニット12Aの蓄電素子23に積層された状態になっている。他の蓄電ユニット12C〜12Fにおいても同様の構成になっているので、各蓄電ユニット12A〜12Fが積層された状態では、各蓄電ユニット12A〜12Fの蓄電素子23は、ヒートシンク24を介して上下に積層された状態になっている。
【0060】
図17に示すように、第1蓄電ユニット12Aに配された第2バスバー36Bの第2端子部45と、第1蓄電ユニット12Aの上に重ねられた第2蓄電ユニット12Bの第1バスバー36Aとは、金属板材をクランク状にプレス加工してなる接続部材56によって電気的に接続されている。接続部材56は、異なる層の第1バスバー36A及び第2バスバー36Bに、超音波溶接、レーザー溶接、ろう付け、はんだ付け等の公知の手法により接続されている。これにより、第1蓄電ユニット12Aの複数の蓄電素子23を含む並列回路37と、第2蓄電ユニット12Bの複数の蓄電素子23を含む並列回路37と、が直列接続される。同様にして、第1蓄電ユニット12Aの並列回路37から第6蓄電ユニット12Fの並列回路37までが、直列接続される。
【0061】
(本実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態に係る蓄電モジュール10は、並列接続された複数の蓄電素子23に伝熱的に接触する1つのヒートシンク2を備えた複数の蓄電ユニット12A〜12Fと、複数の蓄電ユニット12A〜12F間を電気的に接続する接続部材56と、を備える。本実施形態によれば、蓄電ユニット12A〜12Fを構成する各蓄電素子23の発熱量が不均一になる場合であっても、蓄電素子23からヒートシンク24への熱伝達の速度は蓄電素子23とヒートシンク24との間の温度勾配が大きいほど大きなものとなるから、複数の蓄電素子23のうち比較的に温度が高い蓄電素子23の熱は比較的に速くヒートシンク24に伝達される。一方、比較的に温度が低い蓄電素子23の熱は、比較的にゆっくりとヒートシンク24に伝達される。そして、複数の蓄電素子23の熱は1つのヒートシンク24に伝達されて、均熱化される。これにより、複数の蓄電素子23間の温度差を小さくすることができる。この結果、蓄電モジュール10の充放電サイクル特性を全体として向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、ヒートシンク24は板状をなし、ヒートシンク24の一方の面は複数の蓄電素子23が固定された固定面30とされ、複数の蓄電素子23は固定面30に並べられた状態でヒートシンク24に固定されている。これにより、複数の蓄電素子23で発生した熱は、蓄電素子23から固定面30を経由してヒートシンク24へと伝達される。この結果、複数の蓄電素子23からヒートシンク24への熱伝達の経路を揃えることができる。また、複数の蓄電素子23はヒートシンク24に並べられているので、複数の蓄電素子23がヒートシンク24にランダムに配された状態に比べて、各蓄電素子23の周囲の温度を揃えることができる。このように本態様によれば、複数の蓄電素子23の熱的な環境を揃えることができるので、複数の蓄電素子23間の温度差を一層小さくすることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、複数の蓄電素子23は第1バスバー36Aと電気的に接続されており、第1バスバー36Aは絶縁部材を介してヒートシンク24に積層されている。これにより、第1バスバー36Aに電流が流された時に第1バスバー36Aで発生する熱は絶縁部材を介してヒートシンク24に伝達されて均熱化される。この結果、第1バスバー36Aで発生した熱により蓄電素子23の温度が上昇することを抑制することができるので、複数の蓄電素子23間の温度差を一層小さくすることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ヒートシンク24の表面には絶縁被膜が形成されている。これにより、ヒートシンク24と第1バスバー36Aとを確実に絶縁することができる。また、ヒートシンク24と蓄電素子23とを確実に絶縁することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、複数の蓄電素子23は扁平な形状をなす本体部25を有し、本体部25はヒートシンク24に伝熱的に接触する扁平な伝熱面28を有する。これにより、蓄電素子23は扁平な伝熱面28を介してヒートシンク24と接触するので、蓄電素子23とヒートシンク24とが接触する面積を広くすることができる。これにより、蓄電素子23で発生した熱を速やかにヒートシンク24に伝達することができるので、複数の蓄電素子23間の温度差を一層小さくすることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、複数の蓄電素子23は、それぞれ、本体部25から突出して形成されると共に扁平なタブ状をなす正極端子26及び負極端子27を備える。これにより、正極端子26及び負極端子27はタブ状をなしているので、例えば正極端子26及び負極端子27が棒状をなす場合に比べて、正極端子26及び負極端子27の表面積を大きくすることができる。これにより、正極端子26及び負極端子27からも熱を放散させることができるので、複数の蓄電素子23間の温度差を一層小さくすることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る蓄電モジュール10は、蓄電ユニット12A〜12Fが収容されたケース11を備え、ヒートシンク24はケース11側に突出すると共にケース11に伝熱的に接触する伝熱部34を有する。蓄電ユニット12A〜12Fをケース11内に収容すると、複数の蓄電素子23で発生した熱がケース11内にこもって、局所的にケース11内の温度が高くなることが懸念される。本実施形態によれば、複数の蓄電素子23で発生した熱は、蓄電素子23、ヒートシンク24、伝熱部34、ケース11の順に伝達されて、ケース11の外部に放散される。これにより、ケース11内の温度が局所的に高くなることが抑制されるので、複数の蓄電素子23間の温度差を一層小さくすることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ケース11内には複数の蓄電ユニット12A〜12Fが積層されて収容されており、複数の蓄電ユニット12A〜12Fは直列接続されている。これにより、複数の蓄電素子23を並列接続して並列回路37を形成し、その並列回路37を直列接続する構成において、複数の蓄電素子23間の温度差を一層小さくすることができる。また、本実施形態によれば、所望の電圧、及び電池容量を備えた蓄電モジュール10を得ることができる。また、本実施形態によれば、万が一、何らかの原因によって一つの蓄電素子23の導通が失われた場合でも、この故障した蓄電素子23が属する蓄電ユニット12A〜12Fの他の蓄電素子23が回路導通を担うため、直ちに蓄電モジュール10全体の導通不良には至らないという効果を有する。
【0069】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
(1)本実施形態に係る蓄電素子23はラミネート型の電池としたが、蓄電素子23は金属製の筐体に蓄電要素を収容してなる電池でもよい。また、蓄電素子23は円筒状、角筒状、ボタン状等、任意の形状を採用できる。また、蓄電素子23は、外形の一部に平面を形成し、この平面とヒートシンク24とを接触させる構成としてもよい。
【0071】
(2)ヒートシンク24の形状は板状に限られず、例えば冷却フィンを有する形状をしてもよく、必要に応じて任意の形状を採用しうる。また、ヒートシンク24は、熱伝導性を有する材料であれば、金属、セラミック、合成樹脂等、必要に応じて任意の材料を用いることができる。
【0072】
(3)複数の蓄電素子23は、ヒートシンク24の上に、互いの長辺同士が対向する姿勢で配されたが、これに限られず、複数の蓄電素子23の互いの短辺同士が対向する姿勢で配されてもよく、また、ランダムに並べられてもよく、必要に応じて任意の位置に配することができる。
【0073】
(4)本実施形態では、1つの蓄電ユニットには3つの蓄電素子23が並列接続される構成としたが、1つの蓄電ユニットに、2つ、又は4つ以上の複数の蓄電素子23が並列接続される構成としてもよい。
【0074】
(5)本実施形態においては、蓄電素子23として電池を用いたが、これに限られず、コンデンサ、キャパシタ等、必要に応じて任意の蓄電素子23を用いてもよい。
【0075】
(6)本実施形態ではヒートシンク24の表面に絶縁被膜を形成したが、絶縁被膜は省略してもよい。
【0076】
(7)本実施形態においては、ヒートシンク24の固定面30に蓄電素子23を固定する構成としたが、これに限られず、ヒートシンク24の両面に蓄電素子23が固定される構成としてもよい。また、ヒートシンク24に蓄電素子23を固定せずに、ヒートシンク24と蓄電素子23とを伝熱的に接触させる構成としてもよい。
【0077】
(8)本実施形態においては、ケース11内には6つの蓄電ユニットが収容される構成としたが、これに限られず、ケース11内に2つ〜5つ、又は7つ以上の蓄電ユニットが収容される構成としてもよい。
【0078】
(9)本実施形態においては、第1バスバー36Aは中央セパレータ38を介してヒートシンク24に積層される構成としたが、これに限られず、バスバーはヒートシンク24に積層されていなくてもよい。
【0079】
(10)上下に積層された複数の蓄電ユニット12A〜12Fは電線によって電気的に接続されていてもよく、また、金属棒材によって電気的に接続されていてもよく、必要に応じて任意の導電材料により電気的に接続することができる。
【0080】
(11)本実施形態においては、正極端子26及び負極端子27はタブ状に形成される構成としたが、これに限られず、正極端子26及び負極端子27は丸棒状、角棒状等、必要に応じて任意の形状としうる。
【0081】
(12)ケース11内に収容された複数の蓄電ユニット12A〜12F同士は、並列接続されてもよく、複数の蓄電ユニット12A〜12Fのいくつかが並列接続されて、他の蓄電ユニット12A〜12Fのいくつかが直列接続される構成としてもよく、ケース11内に収容された複数の蓄電ユニット12A〜12F同士は必要に応じて任意に接続することができる。
【0082】
(13)本実施形態に係る蓄電モジュール10はISG用としたが、これに限られず、電気自動車又はハイブリッド車の動力源等、他の用途に用いる構成としてもよい。