特許第5979089号(P5979089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979089
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】保管設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20160817BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   B65G1/00 521D
   H01L21/68 T
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-134268(P2013-134268)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-9912(P2015-9912A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149331
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 洋
(72)【発明者】
【氏名】河村 真輔
(72)【発明者】
【氏名】吉本 忠浩
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−338971(JP,A)
【文献】 特開2009−249053(JP,A)
【文献】 特開平07−133004(JP,A)
【文献】 特開2006−327773(JP,A)
【文献】 特開2003−092345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133
F24F 7/06
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と区画形成された保管空間の内部に複数の収納部を備えた保管装置と、前記収納部に収納されている容器の内部に不活性気体を供給する不活性気体供給部と、を備えた保管設備であって、
前記保管装置は、前記容器から排出される不活性気体が混合された前記保管空間の内部の気体を、前記保管空間の外部における作業者が作業を行う作業空間に連通する空間に排出する気体排出部を備え、
前記気体排出部は、気体の流量を制限する絞り部として機能する絞り開口部を備え、
前記絞り開口部が、前記収納部の配置領域よりも下側に形成されている保管設備。
【請求項2】
前記保管装置は、前記保管空間の内部であって前記収納部の配置領域よりも下側に、前記絞り開口部を介して前記配置領域に連通する連通空間を備え、
前記気体排出部が、前記連通空間と前記保管空間の外部とを連通する外部連通部を備えている請求項1に記載の保管設備。
【請求項3】
前記保管装置は、前記保管空間を区画形成する壁体を備え、
前記外部連通部は、前記壁体における上下方向に沿って延びる周壁部に形成されている請求項2に記載の保管設備。
【請求項4】
前記連通空間に、前記保管装置の作動を制御する制御装置が配置されている請求項2又は3に記載の保管設備。
【請求項5】
前記絞り開口部と前記外部連通部とが、上下方向及び前記絞り開口部の開口方向のそれぞれに直交する方向において、互いに異なる位置に配置されている請求項2から4のいずれか一項に記載の保管設備。
【請求項6】
前記保管装置が、前記気体排出部による気体の排出を促進する排出促進部を備えている請求項1から5のいずれか一項に記載の保管設備。
【請求項7】
前記気体排出部が、前記保管空間の外部に向けて送風するファンを備え、
前記排出促進部が、前記ファンにより構成されている請求項6に記載の保管設備。
【請求項8】
前記不活性気体供給部は、複数の前記収納部に含まれる対象収納部に収納されている前記容器の内部に、不活性気体を供給するように構成され、
前記対象収納部は、水平面に沿った配列方向に沿って複数配置されており、
前記絞り開口部の少なくとも一部が、前記配列方向において、前記対象収納部とは異なる位置に配置されている請求項1から7のいずれか一項に記載の保管設備。
【請求項9】
前記保管装置が、前記気体排出部を介さない前記保管空間の外部への気体の排出を、前記収納部の配置領域よりも下側において規制する規制部を備えている請求項1から8のいずれか一項に記載の保管設備。
【請求項10】
前記外部連通部は、前記保管空間を区画形成する壁体に形成された開口部により構成され、
前記外部連通部の前記開口部の開口方向が、前記絞り開口部の開口方向に平行な方向である請求項2から5のいずれか一項に記載の保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と区画形成された保管空間の内部に複数の収納部を備えた保管装置と、収納部に収納されている容器の内部に不活性気体を供給する不活性気体供給部と、を備えた保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような保管設備として、特開平11−168135号公報(特許文献1)に記載された設備が知られている。特許文献1の段落0101〜0118には、保管装置の収納部に収納されている容器の内部に不活性気体を供給して、当該容器の内部の気体を不活性気体に置換することで、当該容器の内部における酸素や水蒸気の濃度を低く抑える技術が記載されている。また、特許文献1の段落0103には、容器の内部の気体を不活性気体に置換する際に、容器の蓋部に接続された配管を、容器内の気体を排出する排気口として用いることが記載されている。
【0003】
ところで、上記のように容器の内部の気体を不活性気体に置換する際には、不活性気体供給部が供給した不活性気体を含む容器の内部の気体が、容器の外部に排出される。すなわち、容器から排出される気体には、空気に比べて高い濃度の不活性気体が含まれ、容器から排出される気体の酸素濃度は、不活性気体の濃度が高くなるのに応じて低くなる。そのため、容器から排出される気体をそのまま保管空間の外部に排出することは好ましくない。なぜなら、不活性気体の濃度が高い気体が保管空間の外部に排出される場合には、保管装置の周辺における作業者の移動範囲を制限したり、容器の内部への不活性気体の供給を作業者の作業時に停止させたりする必要が生じる場合があるからである。しかしながら、特許文献1では、この点について特段の認識がなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−168135号公報(段落0101〜0118)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、保管空間の外部に排出される気体における不活性気体の濃度を、簡素な構成で抑制することが可能な保管設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、外部と区画形成された保管空間の内部に複数の収納部を備えた保管装置と、前記収納部に収納されている容器の内部に不活性気体を供給する不活性気体供給部と、を備えた保管設備の特徴構成は、前記保管装置は、前記容器から排出される不活性気体が混合された前記保管空間の内部の気体を、前記保管空間の外部における作業者が作業を行う作業空間に連通する空間に排出する気体排出部を備え、前記気体排出部は、気体の流量を制限する絞り部として機能する絞り開口部を備え、前記絞り開口部が、前記収納部の配置領域よりも下側に形成されている点にある。
【0007】
上記の特徴構成によれば、気体排出部が、容器から排出される気体を含む保管空間の内部の気体を、保管空間の外部に排出するように構成されているため、容器から排出される気体を、保管空間の内部の気体と混合させてから保管空間の外部に排出することができる。この際、気体排出部は、絞り部として機能する絞り開口部を備えるため、絞り開口部が備えられない場合に比べて、保管空間の内部における気体の混合を促進することができる。すなわち、絞り開口部を設けるという簡素な構成で、容器から排出される気体と保管空間の内部の気体とを保管空間を利用して適切に混合させることができ、結果、保管空間の外部に排出される気体における不活性気体の濃度を抑制することができる。
また、上記の特徴構成によれば、絞り開口部が収納部の配置領域よりも下側に形成されるため、気体排出部による気体の排出箇所を、床部に近い位置に形成することができる。よって、例えば保管設備がダウンフロー式のクリーンルーム内に設置される場合に、気体排出部が保管空間の外部に排出した気体を、ダウンフローを利用して床部からの浮上を抑制しつつ、クリーンルームにおける空気の循環経路に流動させることができる。この結果、床部より上側に形成される作業空間における不活性気体の濃度を抑制することが容易となる。
更に、最下部に配置される収納部の高さは、例えば保管空間の内部で容器を搬送する内部搬送装置の構造上の制約等によって、一般に、床部よりも高い位置に設定される。上記の特徴構成によれば、絞り開口部が収納部の配置領域よりも下側に形成されるため、最下部の収納部と床部との間に空間が形成される場合に、当該空間を有効に利用して気体排出部を設けることができる。
【0008】
ここで、前記保管装置は、前記保管空間の内部であって前記収納部の配置領域よりも下側に、前記絞り開口部を介して前記配置領域に連通する連通空間を備え、前記気体排出部が、前記連通空間と前記保管空間の外部とを連通する外部連通部を備えている構成とすると好適である。
【0009】
この構成によれば、連通空間においても気体を混合させることができるため、保管空間の外部に排出される気体における不活性気体の濃度を更に抑制することができる。
上記のように前記保管装置が前記外部連通部を備える構成において、前記保管装置は、前記保管空間を区画形成する壁体を備え、前記外部連通部は、前記壁体における上下方向に沿って延びる周壁部に形成されていると好適である。
【0010】
上記のように前記保管装置が前記連通空間を備える構成において、前記連通空間に、前記保管装置の作動を制御する制御装置が配置されている構成とすると好適である。
【0011】
この構成によれば、制御装置が配置される空間を利用して連通空間を形成することができるため、設備の設置スペースの大型化を抑制しつつ気体排出部を適切に配設することができる。
【0012】
上記のように前記気体排出部が前記外部連通部を備える構成において、前記絞り開口部と前記外部連通部とが、上下方向及び前記絞り開口部の開口方向のそれぞれに直交する方向において、互いに異なる位置に配置されている構成とすると好適である。
【0013】
この構成によれば、絞り開口部と外部連通部とが、上下方向及び絞り開口部の開口方向のそれぞれに直交する方向において互いに同じ位置に配置される場合に比べて、連通空間における絞り開口部から外部連通部までの気体の流動経路を複雑化することができる。よって、連通空間における気体の混合を促進することができる。
【0014】
上記の各構成の保管設備において、前記保管装置が、前記気体排出部による気体の排出を促進する排出促進部を備えている構成とすると好適である。
【0015】
この構成によれば、気体排出部による気体の排出が促進されるため、保管空間の内部と外部とが気体排出部を介さずに連通する部分が形成されている場合であっても、保管空間の内部の気体が当該部分を介して保管空間の外部へ流出することを抑制することができる。よって、不活性気体の濃度が高い気体が保管空間の外部に排出されることを抑制することができる。
【0016】
上記のように前記保管装置が前記排出促進部を備える構成において、前記気体排出部が、前記保管空間の外部に向けて送風するファンを備え、前記排出促進部が、前記ファンにより構成されている構成とすると好適である。
【0017】
この構成によれば、気体排出部側から保管空間の内部の気体を吸引することができるため、保管空間の内部の気体を気体排出部に誘導するように保管空間側から積極的に気流を形成する場合に比べて、排出促進部による気体の排出促進効果を容易に得ることができる。
【0018】
上記の各構成の保管設備において、前記不活性気体供給部は、複数の前記収納部に含まれる対象収納部に収納されている前記容器の内部に、不活性気体を供給するように構成され、前記対象収納部は、水平面に沿った配列方向に沿って複数配置されており、前記絞り開口部の少なくとも一部が、前記配列方向において、前記対象収納部とは異なる位置に配置されている構成とすると好適である。
【0019】
この構成によれば、絞り開口部が、配列方向において対象収納部とは異なる位置に配置される部分を有さない場合に比べて、対象収納部と絞り開口部との間の距離を長くすることができるため、その分だけ、保管空間の内部における気体の混合を促進することができる。
【0020】
また、前記保管装置が、前記気体排出部を介さない前記保管空間の外部への気体の排出を、前記収納部の配置領域よりも下側において規制する規制部を備えている構成とすると好適である。
【0021】
収納部の配置領域よりも下側には絞り開口部が形成されるため、収納部の配置領域よりも下側の領域では、絞り開口部によって気体の流量が制限されることで、隙間等を介した保管空間の外部への気体の流出が生じやすくなる。上記の構成によれば、この点に鑑みて、収納部の配置領域よりも下側の領域において、気体排出部を介さない保管空間の外部への気体の流出を規制部によって規制することができる。よって、不活性気体の濃度が高い気体が保管空間の外部に排出されることを抑制することができる。
また、前記外部連通部は、前記保管空間を区画形成する壁体に形成された開口部により構成され、前記外部連通部の前記開口部の開口方向が、前記絞り開口部の開口方向に平行な方向であると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る保管設備の断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る保管装置の一部の断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る保管装置の断面図である。
図4図3におけるIV−IV断面図である。
図5図3におけるV−V断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る保管設備の実施形態について、図面を参照して説明する。ここでは、図1に示すように、本発明に係る保管設備を、クリーンルーム内に設置される保管設備1に適用した場合を例として説明する。
【0024】
1.保管設備の全体構成
保管設備1は、図1に示すように、保管装置10と不活性気体供給部50とを備えている。保管装置10は、容器4を保管する装置であり、容器4を収納する収納部11を複数備えている。そして、収納部11に収納されている容器4の内部に、不活性気体供給部50により不活性気体が供給される。保管装置10及び不活性気体供給部50についての詳細は後述する。
【0025】
本実施形態では、容器4は、内部空間を気密状態に密閉可能な容器である。容器4の内部には、例えば、半導体基板やレチクル基板等が収容される。本実施形態では、容器4は、本体部と、当該本体部に対して着脱自在な蓋部とを備え、本体部に対して蓋部が取り付けられた状態において、容器4の内部空間が気密状態に密閉されるように構成されている。本実施形態では、容器4として、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠した合成樹脂製の気密容器を用いており、具体的には、FOUP(Front Opening Unified Pod)を用いている。
【0026】
本実施形態では、図1に示すように、保管設備1は、更に外部搬送装置2を備えている。本実施形態では、外部搬送装置2は、天井部87に配設されたレールに沿って走行するホイスト式の搬送車である。外部搬送装置2は、容器4の上面に形成されたフランジ部を把持した状態で、当該容器4を搬送する。図1に示すように、保管設備1は、保管装置10の内部と外部との間で容器4を移動させる移動装置84を備えている。なお、保管装置10の内部とは、後述する保管空間90の内部を意味し、保管装置10の外部とは、後述する保管空間90の外部を意味する。本実施形態では、移動装置84はコンベヤにより構成されている。
【0027】
移動装置84は、保管装置10の壁体14を貫通するように配設されている。すなわち、壁体14における移動装置84の配設箇所には、開口部70が形成されている。移動装置84は、保管装置10の外部に位置する外部移載箇所と、保管装置10の内部に位置する内部移載箇所との間で容器4を移動させる。そして、上記外部移載箇所において外部搬送装置2と移動装置84との間での容器4の移載が行われ、上記内部移載箇所において後述する内部搬送装置3と移動装置84との間での容器4の移載が行われる。すなわち、外部搬送装置2は、保管装置10に入庫する容器4を上記外部移載箇所において移動装置84に渡すと共に、保管装置10から出庫する容器4を上記外部移載箇所において移動装置84から受け取るように構成されている。外部搬送装置2から移動装置84に渡された容器4は、移動装置84によって保管装置10の内部に搬送された後、内部搬送装置3によって収納部11に搬送される。また、内部搬送装置3が収納部11から移動装置84に搬送した容器4は、移動装置84によって保管装置10の外部に搬送された後、外部搬送装置2によって受け取られる。
【0028】
本実施形態では、保管設備1は、清浄空気が天井側から床側に向けて下向きに通流するダウンフロー式のクリーンルーム内に設置されている。クリーンルームの床部88は、下部床82と、下部床82よりも上側に配設された上部床81とにより構成されており、上部床81と天井部87との間に作業空間92が形成され、上部床81と下部床82との間に床下空間93が形成されている。上部床81は、グレーティング床であり、上下方向V(厚さ方向)に貫通する通気孔が複数形成されている。下部床82は、通気孔を有さない床であり、本実施形態では、無孔状のコンクリートによって構成されている。
【0029】
天井部87から床部88に流動した空気は、上部床81を介して床下空間93に流動した後、作業空間92の外部に設けられた接続流路(図示せず)を介して天井部87に供給される。天井部87に供給された空気は、天井部87に設けられた吐出口(図示せず)から下側に向けて吹き出される。このようにして、クリーンルーム内の空気が循環される。詳細は省略するが、床下空間93から接続流路に流動した空気は、天井部87の吐出口までの経路上に配設されたエアフィルタ等によって清浄化される。
【0030】
クリーンルーム内の作業者は、作業空間92の内部において、例えば上部床81に立った状態で作業(例えばメンテナンス作業等)を行う。本実施形態では、作業者が作業空間92の内部において行う作業には、保管装置10に対する容器4の入出庫作業が含まれる。保管装置10には、図4に示すように、作業者が保管装置10に対する容器4の入出庫作業を行う際に利用される載置装置86が備えられている。図示は省略するが、壁体14における載置装置86の配設箇所には、作業者が容器4を通すための作業者用開口部と、この作業者用開口部を開閉する開閉部材(例えばシャッター等)とが設けられている。この開閉部材は、基本的に閉じ状態に切り替えられ、閉じ状態においては、作業者用開口部を気密に閉じるように構成されている。作業者は、容器4を保管装置10に入庫する際、すなわち、容器4を載置装置86に渡す際には、開閉部材を開き操作した後、作業者用開口部を介して容器4を保管装置10の外部から内部に移動させる。また、作業者は、容器4を保管装置10から出庫する際、すなわち、容器4を載置装置86から受け取る際には、開閉部材を開き操作した後、作業者用開口部を介して容器4を保管装置10の内部から外部に移動させる。
【0031】
載置装置86が、作業者用開口部を貫通するように配設されるコンベヤを備え、作業者と載置装置86との間での容器4の移載が、当該コンベヤにおける保管装置10の外部に位置する部分で行われる構成とすることもできる。この場合、作業者用開口部を開閉する開閉部材が設けられず、作業者用開口部が常時開放される構成とすることもできる。
【0032】
本実施形態では、図4に示すように、保管装置10は、複数の移動装置84と複数の載置装置86とを備えている。具体的には、保管装置10は、2つの移動装置84と2つの載置装置86とを備えている。このように複数の移動装置84が設けられる場合には、一部の移動装置84を入庫用の移動装置とし、別の一部の移動装置84を出庫用の移動装置としても良い。同様に、複数の載置装置86が設けられる場合には、一部の載置装置86を入庫用の載置装置とし、別の一部の載置装置86を出庫用の載置装置としても良い。
【0033】
2.保管装置の構成
保管装置10は、図1に示すように、複数の収納部11が規則的に配列された収納棚6を備えている。本実施形態では、保管装置10は、更に、保管装置10の内部で容器4を搬送する内部搬送装置3を備えている。収納棚6に備えられる複数の収納部11は、図2に示すように、配列方向Aに沿って配列されている。ここで、配列方向Aは、水平面に沿った方向である。水平面に沿った方向であって配列方向Aに直交する方向を配列直交方向Bとすると、本実施形態では、後述する開口方向Oが、図2及び図3に示すように、配列直交方向Bに平行な方向に設定されている。本実施形態では、図1に示すように、収納棚6に備えられる複数の収納部11は、配列方向Aに加えて上下方向V(鉛直方向)にも沿って配列されている。
【0034】
内部搬送装置3の走行経路は、図2に示すように、配列方向Aに沿って延びるように形成されている。収納棚6について、収納部11に対して容器4を出し入れする側を棚前面側とすると、収納棚6は、棚前面側が内部搬送装置3の走行経路側(言い換えれば、内部搬送装置3の移動空間側)と一致するように、床部88に固定されている。本実施形態では、図1に示すように、収納棚6の底部7が支柱9を介して下部床82によって支持された状態で、収納棚6が下部床82に対して固定されている。すなわち、本実施形態では、収納棚6の底部7は、下部床82から上方に離間した位置に配置されており、底部7と下部床82との間には水平面に沿って延びる隙間が形成されている。
【0035】
本実施形態では、内部搬送装置3は、スタッカークレーンであり、床部88に配設されたレール83に沿って走行移動する走行体3aと、走行体3aに立設されたマスト3bと、マスト3bに案内される状態で昇降移動する昇降体3cとを備えている。本実施形態では、レール83は下部床82に配設されている。昇降体3cには、昇降体3cと収納部11との間で容器4を移載するための移載装置3dが備えられている。本実施形態では、移載装置3dは、昇降体3cと移動装置84との間や、昇降体3cと載置装置86との間でも、容器4を移載可能に構成されている。詳細な説明は省略するが、本実施形態に係る移載装置3dは、容器4を載置支持する載置支持体を、収納部11側に突出する突出位置と、昇降体3c側に引退する引退位置との間で出退移動可能に備えている。そして、スタッカークレーンは、突出位置に位置する載置支持体を上昇移動させることで、収納部11から容器4を掬い上げて載置支持体に載置する掬い処理を行うと共に、突出位置に位置する載置支持体を下降移動させることで、載置支持体に載置された容器4を収納部11に降ろす降ろし処理を行う。
【0036】
図2に示すように、収納部11は、容器4を載置支持する載置支持部15を備えている。載置支持部15は、移載装置3dの上記載置支持体が上下方向Vに通過する空間を形成すべく、上下方向視での形状がU字状となるように形成されている。載置支持部15は、複数(本例では3つ)の位置決め用の突出部15pを備え、突出部15pは、載置支持部15の上面から上方に突出するように形成されている。図示は省略するが、容器4の底面には、突出部15pが係合する係合部(例えば係合溝)が形成されており、突出部15pと容器4の係合部とが係合する状態で、容器4が載置支持部15に対して位置決めされる。
【0037】
本実施形態では、保管装置10は複数の収納棚6を備えている。具体的には、図1及び図2に示すように、保管装置10は、内部搬送装置3の走行経路を挟んで配列直交方向Bに対向するように配置される第一収納棚6aと第二収納棚6bとを備えている。すなわち、第一収納棚6aと第二収納棚6bとの間に、内部搬送装置3の移動空間が形成されている。本実施形態では、第一収納棚6aと第二収納棚6bとは、配列方向Aの幅が互いに等しく設定されていると共に、配列直交方向Bの幅が互いに等しく設定されている。そして、配列直交方向Bに対向する第一収納棚6aと第二収納棚6bとは、配列方向Aの互いに同じ位置に配置されている。本実施形態では、図1に示すように、第一収納棚6aは、クリーンルームの内壁に沿うように配置され、第二収納棚6bは、第一収納棚6aに対して当該内壁とは反対側に配置されている。そして、上述した外部搬送装置2用の移動装置84や作業者用の載置装置86は、図4に示すように、第二収納棚6bにおいて収納部11に代えて設けられている。
【0038】
本実施形態では、図3図5に示すように、2つの第一収納棚6aが配列方向Aに並べて設けられていると共に、2つの第二収納棚6bが配列方向Aに並べて設けられている。本実施形態では、2つの第一収納棚6aは、配列方向Aに互いに離間して配置されていると共に、2つの第二収納棚6bは、配列方向Aに互いに離間して配置されている。配列直交方向Bに対向するように配置される第一収納棚6aと第二収納棚6bとを備える構成単位を保管部とすると、本実施形態では、保管装置10は、図2図5に示すように、配列方向Aに並べて設けられた第一保管部10aと第二保管部10bとを備えている。第一保管部10a及び第二保管部10bは基本的に同様に構成されているが、図4に示すように、本実施形態では、第二収納棚6bにおける移動装置84の配設位置(配列方向Aの配設位置)が異なる点と、第一保管部10aの第二収納棚6bのみに載置装置86が設けられている点で、第一保管部10aと第二保管部10bとは異なる構成を有する。
【0039】
保管装置10の複数の収納部11は、外部と区画形成された保管空間90の内部に配置されている。本実施形態では、保管空間90の上下方向Vに直交する断面形状は、上下方向Vに沿って一様に形成されている。そして、本実施形態では、図3に示すように、当該断面形状は、配列方向Aに平行な二辺と配列直交方向Bに平行な二辺とを有する矩形状に形成されている。すなわち、本実施形態では、保管空間90は、直方体状の空間として形成されている。本実施形態では、複数の収納部11が収納棚6に備えられると共に、保管装置10が複数の収納棚6(具体的には、2つの第一収納棚6a及び2つの第二収納棚6b)を備えており、当該複数の収納棚6は、図3に示すように、同一の保管空間90の内部に配置されている。
【0040】
保管装置10は、保管空間90を区画形成するための壁体14を備えている。本実施形態では、壁体14は、図3に示すように、上下方向Vに見て複数の収納棚6の周囲を囲む周壁部14aを備えている。周壁部14aは、上下方向Vに沿って延びる筒状に形成され、周壁部14aの上下方向Vに直交する断面の形状は、配列方向Aに平行な二辺と配列直交方向Bに平行な二辺とを有する矩形状に形成されている。図3に示すように、周壁部14aの配列方向Aの幅は、配列方向Aに並ぶ2つの収納棚6が占める配列方向Aの領域よりも大きく設定されている。そして、収納棚6のそれぞれは、周壁部14aとの間に配列方向Aの隙間が形成されるように、周壁部14aから配列方向Aに離間した位置に配置されている。また、周壁部14aの配列直交方向Bの幅は、内部搬送装置3の移動空間を挟んで対向する第一収納棚6a及び第二収納棚6bが占める配列直交方向Bの範囲に合わせて設定されている。よって、収納棚6のそれぞれは、棚後面側(棚前面側とは反対側)が周壁部14aの内面に沿うように配置されている。なお、周壁部14aの配列直交方向Bの幅が、内部搬送装置3の移動空間を挟んで対向する第一収納棚6a及び第二収納棚6bが占める配列直交方向Bの領域よりも大きく設定され、収納棚6が、周壁部14aとの間に配列直交方向Bの隙間が形成されるように、周壁部14aから配列直交方向Bに離間した位置に配置される構成とすることもできる。
【0041】
周壁部14aには、図1に示すように、移動装置84を配設するための開口部70が形成されていると共に、載置装置86(図4参照)の配設箇所に上述した作業者用開口部が形成されている。また、周壁部14aには、詳細は後述するが、外部連通部42(図1図3参照)が形成されている。周壁部14aは、これらの開口部70、作業者用開口部、及び外部連通部42の形成箇所を除いて、気体が水平方向に流動不能に保管空間90の内部と外部とを区画するように構成されている。なお、本実施形態では、上述したように、作業者用開口部は、基本的に、気密に閉じられる。一方、本実施形態では、開口部70は、常時開放されている。開口部70を開閉する開閉部材が設けられ、移動装置84の使用時にのみ開口部70が開放される構成とすることも可能である。
【0042】
本実施形態では、図1に示すように、保管装置10は、保管空間90の上部から下側に向けて送風する送風装置85を備えている。送風装置85は、保管空間90の外部の空気を吸引して保管空間90の内部に供給する。送風装置85は、周壁部14aの上端部に形成される矩形状の開口部を塞ぐように設けられている。送風装置85の通風作用により、保管空間90の内部には下向きの気体の流れが形成される。本実施形態では、送風装置85はファンフィルタユニットにより構成されており、本例では、複数のファンフィルタユニットが、周壁部14aの上側の開口部を塞ぐように並べられている。なお、ファンフィルタユニットは、送風ファンと除塵フィルタとを一体的に組み付けた送風ユニットである。送風装置85によって保管空間90の内部に供給される空気は、クリーンルーム内の空気をファンフィルタユニット(除塵フィルタ)によって清浄化した空気である。
【0043】
図1に示すように、収納棚6の底部7は、周壁部14aの下端部と上下方向Vの同じ位置に配置されている。そして、底部7は、図4及び図5に示すように、通気不能な無孔板45により構成されている。具体的には、底部7は、板面が水平面に沿う向きの2つの無孔板45を配列方向Aに並べて構成されている。よって、周壁部14aの下端部に形成される開口部においては、底部7を介した上下方向Vの気体の流動が規制される。
【0044】
また、図2図5に示すように、周壁部14aの下側の開口部における収納棚6と周壁部14aとの間の配列方向Aの隙間領域には、当該隙間領域における上下方向Vの気体の流動を規制する板状部材63が配設されている。板状部材63は、板面が水平面に沿う向きで配置された通気不能な無孔板であり、底部7と上下方向Vの同じ位置に配置されている。そして、板状部材63の上下方向視での形状は、上記隙間領域に合わせた矩形状に形成されている。すなわち、板状部材63は、上記隙間領域と配列方向Aの幅が等しく設定されていると共に、底部7と配列直交方向Bの幅が等しく設定されている。
【0045】
更に、図3図5に示すように、配列方向Aに隣接する収納棚6同士の間の棚間領域には、上下方向Vに延びる筒状部材61が配設されている。筒状部材61は、通気不能な筒状の壁部を備え、筒状部材61の上下方向Vに直交する断面の形状は、図3に示すように、上記棚間領域に合わせた矩形状に形成されている。すなわち、筒状部材61は、上記棚間領域と配列方向Aの幅が等しく設定されていると共に、底部7と配列直交方向Bの幅が等しく設定されている。また、筒状部材61の上端部は、周壁部14aの上端部と上下方向Vの同じ位置に配置される。筒状部材61の下端部は、周壁部14aの下端部と上下方向Vの同じ位置、又は周壁部14aの下端部よりも下側に配置される。本実施形態では、図4及び図5に示すように、筒状部材61の下端部は、周壁部14aの下端部よりも下側に配置され、具体的には、下部床82上に配置されている。
【0046】
以上のように構成されているため、周壁部14aの下側の開口部においては、配列直交方向Bにおける中央部に形成された矩形状領域、具体的には、配列直交方向Bにおける第一収納棚6aの底部7と第二収納棚6bの底部7との間に形成された矩形状領域においてのみ、上下方向Vの気体の流動が許容される。すなわち、本実施形態では、周壁部14aの下側の開口部は閉塞されておらず、上記矩形状領域によって、気体が上下方向Vに流動可能な流動開口部71が形成されている(図1図3参照)。そして、流動開口部71を通って下方に流動した気体が保管装置10の外部へ流出することを規制するために、保管装置10には規制部16が設けられている。
【0047】
規制部16は、図1図4図5に示すように、流動開口部71と床面との間の隙間(本例では底部7と下部床82との間の隙間)と同じ高さを有する。また、規制部16は、上下方向視で、流動開口部71の縁部に沿って配設されている。具体的には、本実施形態では、流動開口部71は矩形状の開口部であり、規制部16は、配列方向Aに平行に延びる2つの第一延在部16aと、配列直交方向Bに延びる2つの第二延在部16bとを有する。配列方向Aの両側のそれぞれにおいて、2つの第一延在部16aの端部同士が1つの第二延在部16bによって接続されている。
【0048】
具体的には、図4及び図5に示すように、第一延在部16aの配列方向Aの長さは、周壁部14aの配列方向Aの幅と等しく設定されている。そして、図1に示すように、一方の第一延在部16aは、第一収納棚6aの底部7の棚前面側の端部と配列直交方向Bの同じ位置に配置され、他方の第一延在部16aは、第二収納棚6bの底部7の棚前面側の端部と配列直交方向Bの同じ位置に配置されている。図4及び図5に示すように、一方の第二延在部16bは、周壁部14aの配列方向Aにおける一方側の端部と配列方向Aの同じ位置に配置され、他方の第二延在部16bは、周壁部14aの配列方向Aにおける他方側の端部と配列方向Aの同じ位置に配置されている。
【0049】
3.不活性気体供給部の構成
不活性気体供給部50は、収納部11に収納されている容器4の内部に不活性気体を供給する。ここで、不活性気体とは、容器4に収容されている収容物に対する反応性が低い(問題となる化学反応を実質的に生じさせない)気体であり、本実施形態では、不活性気体として窒素ガスを用いている。なお、不活性気体として、アルゴンガスやクリプトンガス等の希ガスを用いても良い。
【0050】
本実施形態では、不活性気体供給部50は、複数の収納部11に含まれる対象収納部12に収納されている容器4の内部に、不活性気体を供給するように構成されている。すなわち、本実施形態では、保管装置10が備える複数の収納部11は、対象収納部12と、対象収納部12以外の非対象収納部13とに分類される。本実施形態では、図1に示すように、第一収納棚6aが備える複数の収納部11を対象収納部12とし、第二収納棚6bが備える複数の収納部11を非対象収納部13としている。
【0051】
図2に示すように、対象収納部12が備える載置支持部15は、容器4の内部に不活性気体を供給するための給気部53と、容器4の内部から気体を排出するための排気部54とを備えている。本実施形態では、載置支持部15は、3つの給気部53と1つの排気部54とを備えている。給気部53は吐出ノズルを備えて構成されている。また、排気部54は、端部が保管空間90の内部に開放された排気管を備え、容器4の内部の気体を保管空間90の内部に排出するように構成されている。図示は省略するが、容器4の底部には、給気口及び排気口が設けられており、容器4が載置支持部15に載置支持された状態で、給気部53が容器4の給気口に連通すると共に、排気部54が容器4の排気口に連通する。この状態で、不活性気体供給部50は、排気部54を介して容器4の内部の気体を容器4の外部に排出させながら、給気部53を介して不活性気体を容器4の内部に供給する。これにより、容器4の内部の気体が不活性気体に置換される。なお、容器4の給気口及び排気口のそれぞれには、閉弁側に付勢されていると共に不活性気体供給部50による不活性気体の供給時に気体の圧力によって開弁する開閉弁が設けられている。
【0052】
不活性気体供給部50は、不活性気体の供給源(例えばガスボンベ等)に接続された第一配管51aと、第一配管51aと給気部53とを接続する第二配管51bとを備えている。図1図2図5に示すように、第一配管51aは、上下方向Vに延びるように配設されており、第二配管51bは、第一配管51aから分岐して水平方向に延びるように配設されている。第二配管51bは、対象収納部12の上下方向Vにおける配列数と同数設けられており、複数の第二配管51bは、上下方向Vにおける複数の対象収納部12のそれぞれに対応する位置に分かれて配置されている。
【0053】
図2及び図5に示すように、第一配管51aは、第一収納棚6aに形成された配管スペース17の内部を上下方向Vに延びるように配設されている。本実施形態では、第一収納棚6aにおける配列方向Aの一部の領域(本例では端部領域)を、上下方向Vの全ての位置において対象収納部12として利用しないことにより、配管スペース17を形成している。すなわち、本実施形態では、配管スペース17は、第一収納棚6aにおける配列方向Aの端部の領域(対象収納部12と配列方向Aの幅が等しい領域)に、上下方向Vに連続する空間として形成されている。よって、図2に示すように、第一収納棚6aにおける収納部11の配列方向Aの配列数(本例では3つ)は、第二収納棚6bよりも1つ少なくなっている。すなわち、第一収納棚6aにおいて、対象収納部12は配列方向Aに沿って複数配置されており、本実施形態では、3つの対象収納部12が配列方向Aに沿って配置されている。
【0054】
図2及び図5に示すように、第二配管51bは、供給対象の対象収納部12(本例では3つの対象収納部12)の給気部53に対して、流量調節装置52を介して接続されている。流量調節装置52は、給気部53側への不活性気体の供給流量を調節する装置であり、複数の対象収納部12のそれぞれに対して個別に設けられている。流量調節装置52は、流量制御装置から指令される目標流量に供給流量を調整する。流量制御装置は、目標流量と供給時間とを規定した供給パターンに従って、流量調節装置52に対して目標流量を指令する。
【0055】
対象収納部12に収納されている容器4の内部に不活性気体を供給する際には、供給パターンとして保管用供給パターンが用いられる。保管用供給パターンは、例えば、容器4の対象収納部12への収納が完了した時点から設定時間の間、目標流量を第一流量に設定し、設定時間の経過後、目標流量を第一流量よりも少ない第二流量に設定するパターンとされる。なお、設定時間の経過後は、不活性気体が間欠的に供給されるパターンとすることもできる。このように保管用供給パターンに従って容器4の内部に不活性気体が供給される際には、不活性気体供給部50が供給した不活性気体を含む容器4の内部の気体が、載置支持部15の排気部54を介して保管空間90の内部に排出される。また、本実施形態では、容器4は内部空間を気密状態に密閉可能な容器であるものの、不活性気体の供給時には、容器4の内部圧力が高くなることによって、不活性気体供給部50が供給した不活性気体を含む容器4の内部の気体が、本体部と蓋部との間の隙間を介して保管空間90の内部に排出される。
【0056】
本実施形態では、供給パターンとして、上記の保管用供給パターン以外に、ノズル浄化用供給パターンとライン浄化用供給パターンとが用意されている。ノズル浄化用供給パターンは、容器4が所定時間内に収納される対象収納部12について、給気部53の吐出ノズルを清浄化する際に用いられる。ライン浄化用供給パターンは、保管装置10の設置時等において、給気部53の吐出ノズルに加えて流量調節装置52と給気部53との間の配管も清浄化する際に用いられる。これらのノズル浄化用供給パターンやライン浄化用供給パターンが使用される際には、容器4が載置支持部15に支持されていないため、不活性気体供給部50が載置支持部15の給気部53に供給した不活性気体が、そのまま保管空間90の内部に排出される。
【0057】
4.気体排出部の構成
上記のように、不活性気体供給部50が対象収納部12に収納されている容器4の内部に不活性気体を供給する際には、不活性気体供給部50が供給した不活性気体を含む容器4の内部の気体が保管空間90の内部に排出される。そして、このように容器4から排出される気体を含む保管空間90の内部の気体は、保管装置10が備える気体排出部40によって、保管空間90の外部に排出される。
【0058】
気体排出部40は、図1及び図4に示すように、収納部11の配置領域よりも下側に形成された絞り開口部41を備えている。絞り開口部41は、気体の流量を制限する絞り部として機能する。本実施形態では、図1に示すように、上下方向Vに複数配列された収納部11の内の最も下側に配置された収納部11と、底部7との間に、区画部8が設けられており、絞り開口部41は、上下方向Vにおける区画部8と底部7の間に形成されている。保管空間90における区画部8より上側に、収納部11の配置領域が形成され、保管空間90における区画部8より下側に、収納部11が配置されない下部空間が形成されている。
【0059】
図1図4図5に示すように、本実施形態では、区画部8は、底部7と配列方向Aの幅が等しく設定されていると共に、底部7と配列直交方向Bの幅が等しく設定されている。そして、図3図5に示すように、同じ収納棚6に備えられた底部7と区画部8と間に形成される空間の配列方向Aにおける一方側は、筒状部材61によって配列方向Aの気体の流動が不能に区画され、当該空間の配列方向Aにおける他方側は、無孔板45によって配列方向Aの気体の流動が不能に区画されている。この無孔板45は、底部7と区画部8とのそれぞれの配列方向Aの同じ側の端部同士を接続するように配設されている。また、この無孔板45は、板面が配列方向Aに直交する面に沿う向きで配置され、底部7及び区画部8のそれぞれと配列直交方向Bの幅が等しく設定されている。
【0060】
図3及び図5に示すように、本実施形態では、第一収納棚6aの区画部8は、多孔板44によって構成されている。ここで、多孔板44とは、厚さ方向に貫通する通気孔が複数形成されている板状体であり、例えば、メッシュ板(網板)やパンチング板等が用いられる。具体的には、第一収納棚6aの区画部8は、板面が水平面に沿う向きの2つの多孔板44を配列方向Aに並べて構成されている。これにより、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の上側は、上下方向Vの気体の流動が可能に区画されている。また、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の下側は、底部7によって、上下方向Vの気体の流動が不能に区画されている。
【0061】
第一収納棚6aの区画部8と底部7とのそれぞれの棚前面側の端部同士を接続するように、板面が配列直交方向Bに直交する面に沿う向きの2つの多孔板44が、配列方向Aに並べて配設されている。これにより、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の棚前面側は、配列直交方向Bの気体の流動が可能に区画されている。また、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の棚後面側は、周壁部14aによって、配列直交方向Bの気体の流動が不能に区画されている。
【0062】
一方、図3及び図4に示すように、本実施形態では、第二収納棚6bの区画部8は、無孔板45によって構成されている。具体的には、第二収納棚6bの区画部8は、板面が水平面に沿う向きの2つの無孔板45を配列方向Aに並べて構成されている。これにより、第二収納棚6bにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の上側は、上下方向Vの気体の流動が不能に区画されている。また、第二収納棚6bにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の下側は、底部7によって、上下方向Vの気体の流動が不能に区画されている。
【0063】
第二収納棚6bの区画部8と底部7とのそれぞれの棚前面側の端部同士を接続するように、板面が配列直交方向Bに直交する面に沿う向きの無孔板45が配設されている。この無孔板45は、区画部8と底部7とのそれぞれの棚前面側の端部同士を、配列方向Aにおける一部の領域でのみ接続するように配設されており、無孔板45の配設されていない部分に、絞り開口部41として機能する開口部が形成されている。本実施形態では、絞り開口部41には、板面が配列直交方向Bに直交する面に沿う向きの多孔板44が配設されている。よって、第二収納棚6bにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の棚前面側は、無孔板45の配置領域では配列直交方向Bの気体の流動が不能に区画され、絞り開口部41の配置領域では配列直交方向Bの気体の流動が可能に区画されている。また、第二収納棚6bにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の棚後面側は、後述する外部連通部42の形成箇所を除いて、周壁部14aによって、配列直交方向Bの気体の流動が不能に区画されている。
【0064】
本実施形態では、絞り開口部41の開口方向Oは、配列直交方向Bに平行な方向に設定されている。本実施形態では、絞り開口部41の上下方向Vの幅は、底部7と区画部8との上下方向Vの間隔に等しく設定されている。また、本実施形態では、絞り開口部41の配列方向Aの幅は、区画部8と底部7とのそれぞれの棚前面側の端部同士を接続する無孔板45の配列方向Aの幅の分だけ、第二収納棚6bの配列方向Aの幅よりも狭く設定され、これにより、絞り開口部41が、気体の流量を制限する絞り部として機能する。本実施形態では、この無孔板45は、配列方向Aの一方側(図3における下側、図4における右側)の端部を含む配列方向Aの領域に配置されており、絞り開口部41は、配列方向Aの他方側(図3における上側、図4における左側)の端部を含む配列方向Aの領域に形成されている。また、本実施形態では、この無孔板45の配列方向Aの幅は、第二収納棚6bの配列方向Aの幅の半分に設定されており、絞り開口部41の配列方向Aの幅は、第二収納棚6bの配列方向Aの幅の半分となっている。
【0065】
本実施形態では、絞り開口部41の少なくとも一部が、配列方向Aにおいて、対象収納部12とは異なる位置に配置される。なお、本願明細書において、2つの部位について「ある方向の位置が異なる」とは、2つの部位のそれぞれの当該方向の配置領域が、互いに重複する部分を有さないことを意味する。本実施形態では、図2に示すように、絞り開口部41の配列方向Aにおける一方側(図2における上側)の部分が、対象収納部12とは配列方向Aの異なる位置に配置され、絞り開口部41の配列方向Aにおける他方側(図2における下側)の部分が、対象収納部12と配列方向Aの同じ位置に配置されている。すなわち、本実施形態では、絞り開口部41と対象収納部12とは、配列方向Aの配置領域が互いに重複するように配置されている。
【0066】
具体的には、図2に示すように、本実施形態では、配列方向Aの一方側の端部に配管スペース17を形成するように、3つの対象収納部12が配管スペース17よりも配列方向Aの他方側に配置されている。絞り開口部41は、配管スペース17及び配管スペース17に隣接する1つの対象収納部12が占める配列方向Aの範囲(本実施形態では、第二収納棚6bの配列方向Aの幅の半分の範囲)に形成されている。よって、絞り開口部41における配列方向Aの中央部よりも一方側の部分は、配管スペース17と配列方向Aの同じ位置に配置され、絞り開口部41における配列方向Aの他方側の部分は、対象収納部12と配列方向Aの同じ位置に配置されている。このように、本実施形態では、絞り開口部41の配列方向Aの配置領域と、配列方向Aに並ぶ複数(本例では3つ)の対象収納部12の配列方向Aの配置領域とは、それぞれの一部同士が互いに重複するように、配列方向Aに互いにずらして形成されている。
【0067】
本実施形態では、上述したように、周壁部14aの下側の開口部には流動開口部71が形成されているが、流動開口部71を通って下方に流動した気体の保管空間90の外部への気体の流出は、規制部16によって規制される。すなわち、この規制部16は、気体排出部40を介さない保管空間90の外部への気体の排出を、収納部11の配置領域よりも下側において規制する。よって、本実施形態では、保管空間90における区画部8より下側に形成される下部空間は、上側(すなわち、収納部11の配置領域側)から流入した気体を、気体排出部40を介してのみ保管空間90の外部に排出可能に形成されている。すなわち、上側から下部空間に流入した気体は、絞り開口部41を通らなければ保管空間90の外部に排出されないように構成されている。ここで、絞り開口部41は気体の流量を制限する絞り部として機能するため、保管空間90の内部では、絞り開口部41によって流量が制限される分だけ、保管空間90の内部における気体の混合が促進される。これにより、不活性気体供給部50が供給した不活性気体を、保管空間90の外部に排出されるまでの間に保管空間90の内部の気体と適切に混合させることができ、気体排出部40により排出される気体における不活性気体の濃度を抑制することが可能となっている。
【0068】
本実施形態では、気体排出部40により排出される気体に含まれる不活性気体の濃度を更に抑制すべく、気体排出部40が、絞り開口部41を通った気体を、連通空間91及び外部連通部42を介して保管空間90の外部に排出するように構成されている。ここで、連通空間91とは、保管空間90の内部における収納部11の配置領域よりも下側に形成される空間であり、絞り開口部41を介して収納部11の配置領域に連通する空間である。本実施形態では、第二収納棚6bにおける底部7と区画部8との間に形成される空間により、連通空間91が形成されている。本実施形態では、連通空間91は、絞り開口部41及び当該連通空間91の棚前面側の保管空間90の部分を介して、収納部11の配置領域に連通している。
【0069】
気体排出部40は、図1図3図4に示すように、連通空間91と保管空間90の外部とを連通する外部連通部42を備えている。連通空間91は、絞り開口部41及び外部連通部42以外の部分が、気体の流動が不能に区画されており、気体排出部40は、絞り開口部41を介して連通空間91に導入した気体を、外部連通部42を介して保管空間90の外部に排出する。外部連通部42は、絞り開口部41と同様に、配列方向Aの幅が第二収納棚6bの配列方向Aの幅よりも狭く設定されており、気体の流量を制限する絞り部として機能する。本実施形態では、外部連通部42の配列方向Aの幅は、第二収納棚6bの配列方向Aの幅の半分よりも狭く設定されている。よって、連通空間91においても気体の混合を促進することができ、この結果、外部連通部42から排出される気体における不活性気体の濃度を抑制することができる。なお、図4では、発明の理解を容易にすべく、紙面手前側に配置される外部連通部42を一点鎖線で示している。
【0070】
図1及び図3に示すように、本実施形態では、外部連通部42は、壁体14の周壁部14aを配列直交方向Bに貫通するように形成された開口部により構成されている。よって、外部連通部42の開口方向は、絞り開口部41の開口方向Oと同様に、配列直交方向Bに平行な方向である。そして、図3及び図4に示すように、本実施形態では、絞り開口部41と外部連通部42とは、上下方向V及び開口方向Oのそれぞれに直交する方向(本実施形態では、配列方向Aと一致)において、互いに異なる位置に配置されている。すなわち、絞り開口部41と外部連通部42とは、配列方向Aの配置領域が互いに重複しないように配置されている。具体的には、絞り開口部41は、連通空間91の配列方向Aにおける中央部よりも配列方向Aの一方側の領域に配置され、外部連通部42は、当該中央部よりも配列方向Aの他方側の領域に配置されている。更に、本実施形態では、図1及び図4に示すように、外部連通部42は、絞り開口部41と上下方向Vにおける同じ位置に配置されている。
【0071】
図3及び図4に示すように、本実施形態では、外部連通部42は、配列方向Aに並んで配置された第一外部連通部42aと第二外部連通部42bとを備えている。第一外部連通部42aと第二外部連通部42bとは、配列方向Aに互いに離間して形成されている。第二外部連通部42bは、配列方向Aにおける第一外部連通部42aと絞り開口部41との間であって、配列方向Aの配置領域が絞り開口部41の配列方向Aの配置領域と重複しないように配置されている。このように、本実施形態では、外部連通部42は、配列方向Aに互いに離間して形成された複数の連通部の集合によって構成されている。
【0072】
ところで、保管空間90における区画部8より上側に形成される空間は、開口部70において保管空間90の外部と連通している。また、保管空間90における区画部8より上側に形成される空間は、載置装置86(図4参照)の配設箇所に形成された作業者用開口部が開放されている状態では、当該作業者用開口部を介して保管空間90の外部と連通する。本実施形態では、保管空間90の内部の気体が、これらの開口部70や作業者用開口部を介して保管空間90の外部に排出されることを抑制すべく、保管装置10には、気体排出部40による気体の排出を促進する排出促進部18が備えられている。
【0073】
本実施形態では、気体排出部40が保管空間90の外部に向けて送風するファン43を備え、排出促進部18がファン43により構成されている。ファン43は、図3に示すように、外部連通部42に取り付けられており、外部連通部42を介して吸引した連通空間91の気体を、保管空間90の外部に吹き出すように構成されている。上記のように、本実施形態では、外部連通部42は、第一外部連通部42aと第二外部連通部42bとを備えており、第一外部連通部42a及び第二外部連通部42bのそれぞれに、ファン43が取り付けられている。本実施形態では、ファン43は、周壁部14aから保管空間90の外部に水平方向に突出するように配設されている。本実施形態では、ファン43の風量は、上記の開口部70や作業者用開口部において保管空間90の内部へ向かう方向の気流が形成される大きさに設定される。
【0074】
ところで、本実施形態では、図1に示すように、連通空間91に、保管装置10の作動を制御する制御装置5が配置されている。本実施形態では、更に、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間にも、制御装置5が配置されている。本実施形態では、保管装置10には、上述した流量調節装置52を制御する流量制御装置に加えて、内部搬送装置3の作動を制御する搬送制御装置や、保管装置10における容器4の在庫状態等を管理する管理装置が備えられる。そして、これらの流量制御装置、搬送制御装置、及び管理装置のうちの少なくともいずかの装置の少なくとも一部が、連通空間91に制御装置5として配置されると共に、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間に制御装置5として配置されている。なお、連通空間91に制御装置5が配置されない構成とすることも可能である。
【0075】
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係るその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
【0076】
(1)上記の実施形態では、絞り開口部41と外部連通部42とが、配列方向Aにおける互いに異なる位置に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、外部連通部42の一部が、絞り開口部41と配列方向Aの異なる位置に配置され、外部連通部42の残りの一部が、絞り開口部41と配列方向Aの同じ位置に配置された構成とすることもできる。例えば、図3において第二外部連通部42bを図中上側にずらして配置し、第二外部連通部42bの配列方向Aにおける配置領域の一部又は全部が、絞り開口部41の配列方向Aにおける配置領域に含まれる構成とすることができる。また、外部連通部42が、第二外部連通部42bよりも配列方向Aにおける第一外部連通部42aとは反対側に、第三外部連通部を備え、当該第三外部連通部の配列方向Aにおける配置領域の一部又は全部が、絞り開口部41の配列方向Aにおける配置領域に含まれる構成とすることもできる。このように、上記の実施形態とは異なり、絞り開口部41と外部連通部42とが、配列方向Aの配置領域が互いに重複するように配置された構成とすることができる。なお、外部連通部42が、絞り開口部41と配列方向Aの異なる位置に配置される部分を有さず、外部連通部42の配列方向Aにおける配置領域が、絞り開口部41の配列方向Aにおける配置領域に含まれる構成とすることも可能である。
【0077】
(2)上記の実施形態では、絞り開口部41の一部が、配列方向Aにおいて対象収納部12とは異なる位置に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、絞り開口部41の全部が、対象収納部12と配列方向Aの異なる位置に配置された構成とすることも可能である。例えば、図2に示される構成において、配管スペース17に対して配列方向Aに隣接する対象収納部12が設けられない構成とし、或いは、絞り開口部41の配列方向Aにおける配置領域が、配管スペース17の配列方向Aにおける配置領域に含まれる構成とすることができる。また、絞り開口部41の全部が、対象収納部12と配列方向Aの同じ位置に配置される構成とすることもできる。すなわち、絞り開口部41の配列方向Aにおける配置領域が、1つの対象収納部12の配列方向Aにおける配置領域に含まれる構成や、配列方向Aに並ぶ複数の対象収納部12の配列方向Aにおける配置領域に含まれる構成とすることができる。例えば、図2に示される構成において、第二収納棚6bの区画部8と底部7とのそれぞれの棚前面側の端部同士を接続する無孔板45と多孔板44(絞り開口部41に配設される多孔板44)とを入れ替えた構成とすることができる。
【0078】
(3)上記の実施形態では、絞り開口部41が、1つの開口部により構成された場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、絞り開口部41が、配列方向Aに互いに離間して形成された複数(例えば、2つ又は3つ)の開口部の集合によって構成されても良い。
【0079】
(4)上記の実施形態では、収納部11の配置領域よりも下側の構成(区画部8と底部7との間に形成される空間の構成)が、第一保管部10aと第二保管部10bとで共通な構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第一保管部10aと第二保管部10bとで、絞り開口部41の配列方向Aの幅が互いに異なる大きさに設定された構成とすることができる。また、第一保管部10aと第二保管部10bとで、第二収納棚6bの区画部8と底部7とのそれぞれの棚前面側の端部同士を接続する無孔板45と多孔板44(絞り開口部41に配設される多孔板44)との配列方向Aの並び順が逆となる構成とすることも可能である。例えば、図2に示される構成において、第二保管部10bについてのみ、第二収納棚6bの区画部8と底部7とのそれぞれの棚前面側の端部同士を接続する無孔板45と多孔板44とを入れ替えた構成とすることができる。なお、保管装置10が、1つの保管部のみを備える構成や、配列方向Aに並ぶ3つ以上の保管部を備える構成とすることもできる。
【0080】
(5)上記の実施形態では、排出促進部18が、外部連通部42に取り付けられたファン43により構成される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、気体排出部40が、絞り開口部41に取り付けられて連通空間91の内部に向けて送風するファンを備え、当該ファンを用いて排出促進部18が構成されても良い。また、保管空間90の上部に設けられた送風装置85を用いて排出促進部18が構成されても良い。この場合、送風装置85の風量が、気体排出部40による気体の排出を促進できる大きさに設定される。このように、外部連通部42に取り付けられるファン43以外の部材を用いて排出促進部18が構成される場合には、気体排出部40が当該ファン43を備えない構成しても良い。
【0081】
(6)上記の実施形態では第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間の棚後面側が、周壁部14aによって配列直交方向Bの気体の流動が不能に区画された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、周壁部14aに開口部を形成し、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間が、棚後方側において、当該開口部を介して保管空間90の外部と連通する構成とすることも可能である。また、この開口部が第二収納棚6bの外部連通部42のように機能する構成、すなわち、第一収納棚6aにおける底部7と区画部8との間に形成される空間が、第二収納棚6bの連通空間91のように形成された構成とすることも可能である。この場合、この開口部に、ファン43に相当するファンが配置される構成とすることも配置されない構成とすることもできる。
【0082】
(7)上記の実施形態では、第一収納棚6aが備える収納部11が対象収納部12であり、第二収納棚6bが備える収納部11が非対象収納部13である構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、第一収納棚6aが備える収納部11が非対象収納部13であると共に第二収納棚6bが備える収納部11が対象収納部12である構成とし、或いは、第一収納棚6aが備える収納部11及び第二収納棚6bが備える収納部11の双方が対象収納部12である構成とすることもできる。なお、第二収納棚6bが備える収納部11を対象収納部12とする場合には、保管装置10が、収納棚6として第二収納棚6bのみを備える構成としても良い。
【0083】
(8)上記の実施形態では、保管装置10が規制部16を備えた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、底部7と下部床82との間に隙間が形成されない場合や、底部7と下部床82との間に隙間が形成される場合であっても当該隙間を介した気体の流動が実質的に無視できる場合等においては、保管装置10が規制部16を備えない構成とすることもできる。
【0084】
(9)上記の実施形態では、周壁部14aの下側の開口部に流動開口部71が形成された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、周壁部14aの下側の開口部を閉塞する板状部材が設けられ、レール83が当該板状部材の上面に配設された構成とすることもできる。
【0085】
(10)上記の実施形態では、送風装置85がファンフィルタユニットにより構成された場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、送風装置85が、クリーンドライエア(CDA)を保管空間90の内部に供給する装置である構成とすることもできる。また、保管装置10が送風装置85を備えず、壁体14に形成された開口部や隙間等から、クリーンルーム内の空気が保管空間90の内部に流入する構成とすることもできる。
【0086】
(11)上記の実施形態では、気体排出部40が、絞り開口部41とは別に外部連通部42を備えた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、気体排出部40が外部連通部42を備えず、絞り開口部41を通った気体がそのまま保管空間90の外部に排出される構成とすることも可能である。例えば、周壁部14aの下側の開口部に形成された流動開口部71が、絞り開口部41として機能する構成とすることができる。この際、絞り開口部41の大きさは、例えば、底部7の配列直交方向Bの幅により調節することができる。また、底部7と下部床82との間に形成される隙間を利用して、絞り開口部41として機能する開口部が形成された構成とすることもできる。
【0087】
(12)上記の実施形態では、内部搬送装置3がスタッカークレーンである構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、内部搬送装置3が、昇降移動する昇降体と、当該昇降体に対して配列方向Aに移動可能に支持された移載装置とを備えた構成とすることもできる。
【0088】
(13)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関して、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1:保管設備
4:容器
5:制御装置
10:保管装置
11:収納部
12:対象収納部
16:規制部
18:排出促進部
40:気体排出部
41:絞り開口部
42:外部連通部
43:ファン
50:不活性気体供給部
90:保管空間
91:連通空間
A:配列方向
O:開口方向
V:上下方向
図1
図2
図3
図4
図5