特許第5979105号(P5979105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979105
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】物品保管装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20160817BHJP
   B65G 1/14 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   B65G1/137 E
   B65G1/14 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-184251(P2013-184251)
(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2015-51825(P2015-51825A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2015年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】509323680
【氏名又は名称】株式会社タクテック
(74)【代理人】
【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】山崎 整
(72)【発明者】
【氏名】前田 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】侘美 好則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一嘉
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−505518(JP,A)
【文献】 実開平04−046001(JP,U)
【文献】 特開2007−126270(JP,A)
【文献】 特表2012−514520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/20
A47B 67/04
A47B 81/00
A47B 88/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品収納区画を備えた物品収納容器の複数を載置した物品保管棚と、前記物品収納容器を物品保管位置物品保管棚の前面から突出した物品投入または物品ピッキング位置の間を移動する付勢手段とを有し、物品投入識別情報または物品ピッキング識別情報によって指定したいずれか1個の指定物品収納区画が位置する物品収納容器を前記物品保管棚の前面から突出させ、突出した物品収納区画が複数である場合に、前記の指定物品収納区画を除く物品収納区画の開口部を閉鎖する蓋体を備え、前記指定物品収納区画が前記物品収納容器の先頭の物品収納区画である場合に、前記蓋体の移動を阻止する蓋体固定手段を有したことを特徴とする物品保管装置。
【請求項2】
前記物品収納容器は蓋体を載置して移動し、前記蓋体は前記先頭の物品収納区画を閉鎖し、先頭に隣接する物品収納区画に開口部を有していることを特徴とする請求項1記載の物品保管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を仕分けて収納すると共に、収納した物品を誤りなくピッキングすることが可能な物品保管装置に関する。
様々な物品を種別毎に分類して保管すると共に、保管した物品の必要個数を正確に速やかにピッキングすることが、医療機関での医薬品をはじめとする様々な医療用材料の管理、機器の組み立て工程での部品の管理等の様々な分野で行われている。
これらの分野では、物品の保管、あるいはピッキングの間違いによって重大な問題が発生する可能性がある。
このため、誤りがない正確な物品の保管とピッキングが求められている。
本発明の物品保管装置は、機械部品の保管、薬剤等の医療用材料の保管等の様々な分野に適用することが可能であるが、以下の説明においては医療用材料の保管とピッキングを例に挙げて説明する。
【背景技術】
【0002】
病院における入院患者へ投与する薬剤等の医療用材料は、医師の指示に基づいて薬剤師、看護師が、スタッフステーション等に設置した保管棚からピッキングした後に処置に用いたり、各患者への投与を行っている。
医療従事者の業務は多岐に亘っており、医療用材料の管理業務に係る負担を軽減し、円滑に業務が遂行できるようにするための様々な提案が行われている。
【0003】
例えば、医薬品を収容する複数のカセットを載置可能なトレーを収納するための収納棚と、前記トレー上のカセットに収容されている医薬品または医薬品群の少なくとも一方を示す識別情報を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識された前記識別情報に基づいて、前記収納棚におけるトレー収納位置を特定する特定手段とを有し、前記特定手段によって特定されたトレー収納位置を指示する収納位置指示手段を設けて、正確なピッキングを可能とした医薬品収納装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−258966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の医薬品収納装置は、各医薬品を識別情報に基づいて収納位置を特定するものであるので正確な医薬品のピッキングが期待できる。しかし、患者に投与する医薬品や処置に使用する医療材料は多種多様であって、病棟の各診療科において様々な医薬品、医療材料を常備することが求められている。このため、設置面積が限られたスタッフステーションに設置が可能で、効率的な医薬品保管装置への要求が高まっている。
本発明は、設置面積が小さく、大量の物品を効率的で正確な保管とピッキングが可能な物品保管装置を提供することを課題とするするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の物品収納区画を備えた物品収納容器の複数を載置した物品保管棚と、前記物品収納容器を物品保管位置物品保管棚の前面から突出した物品投入または物品ピッキング位置の間を移動する付勢手段とを有し、物品投入識別情報または物品ピッキング識別情報によって指定したいずれか1個の指定物品収納区画が位置する物品収納容器を前記物品保管棚の前面から突出させ、突出した物品収納区画が複数である場合に、前記の指定物品収納区画を除く物品収納区画の開口部を閉鎖する蓋体を備え、前記指定物品収納区画が前記物品収納容器の先頭の物品収納区画である場合に、前記蓋体の移動を阻止する蓋体固定手段を有した物品保管装置である。
また、前記物品収納容器は蓋体を載置して移動し、前記蓋体は前記先頭の物品収納区画を閉鎖し、先頭に隣接する物品収納区画に開口部を有した前記の物品保管装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の物品保管装置は、装着した複数の物品収納容器を複数の物品収納区画に分離すると共に、物品の投入およびピッキング時には、1個の物品収納容器の特定の物品収納区画の開口部の1個のみを開放可能としたので、物品収納容器の数の少なくとも2倍の物品収納区画を設けることができる。したがって、多種類の物品の物品投入および物品ピッキングが可能であるとともに、1個の物品収納区画の開口部のみを開放することで、物品投入および物品ピッキング時の誤りを防止することが可能である信頼性が大きくて効率的な物品の保管が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の物品保管装置の一例を説明する図であり、正面図である。
図2図2は、図1を紙面の右方向から見た側面図である
図3図3は、本発明の物品保管装置の主要構成部分である物品保管棚の構造を説明する図であり、図3Aは、図1においてA−A線で切断した断面図である。また、図3Bは、図3AのB−B線で切断した断面図である。
図4図4は、本発明の物品収納容器、および蓋体を説明する図であり、図4Aは、物品収納容器の上面から見た平面図である。図4Bは、物品収納容器上に載置する蓋体を説明する図である。図4Cは、蓋体をC−C線で切断した断面を説明する図である。図4Dは、物品収納容器に蓋体を装着した状態での図4BのE−E線での断面を説明する図である。
図5図5は、本発明の物品保管装置の動作を順に説明する図であり、図4Bで示すD−D線での断面を説明する図である。図5Aは、物品の投入、ピッキングの開始時を説明する図である。
図6図6は、図5で示したものと同様に物品保管装置の動作の他の例を順に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の物品保管装置の一例を説明する図であり、正面図である。また、図2は、図1をA−A線で切断した断面図である
本発明の物品保管装置100は、複数個の物品収納容器120を装着した物品保管棚103を有している。この例で示す物品保管棚103には、24個の物品収納容器120を備えている。各物品収納容器には、それぞれを独立して物品保管棚103から突出および収納する付勢手段(図示せず)を装着している。
付勢手段には、空気圧式、電動式、ボールねじによるもの等の各種の直線状付勢手段を用いることができる。具体的には、物品収納容器の底部外面を空気圧で動作するロッドレスシリンダのスライダー、あるいは電磁力を利用したリニアモーター等に装着することで構造が簡単で確実な動作が期待できる。
【0010】
また、各物品収納容器120の前面には、透明なガラス、プラスチック等の窓120aを設けることで、内部の状態の確認を容易に行うことができる。
物品保管装置100上部には、操作表示装置105、入出力装置107を備えている。
操作表示装置105は、物品投入作業および物品ピッキング作業情報を表示するとともに、物品投入作業、物品のピッキング作業の開始、終了をはじめとする各種指示の入力手段、音声、信号音による指示、警告等を行う指示警告手段を備えている。
【0011】
入出力装置107は、物品保管装置の各物品収納容器の物品収納区画への物品の指定をはじめとする物品保管の管理に関する情報を記録媒体、通信回線によって制御装置(図示しない)への登録する手段、作業日時、物品保管装置の各物品収納容器に収納した物品の個数、投入、ピッキングした物品の個数をはじめとした物品保管に関する様々な情報の印刷機能等をはじめとした入出力機能を備えている。
【0012】
また、物品容器109等を載置する作業台111上には、物品投入あるいは物品ピッキング情報をはじめとする作業情報、各物品の識別情報等を読取る光学式、無線式等の情報入力手段113を備えている。
物品保管棚103の下段115には、制御装置、バックアップ用電源(いずれも図示しない)等の機器類を備えている。また、付勢手段として空気圧等の流体圧による機器を用いた場合には圧縮空気等を供給するする圧縮機、圧縮空気タンク(いずれも図示しない)を備えている。
【0013】
物品の収納時には、物品の搬送台車112から作業者が物品を取り出して物品識別情報を情報入力手段113によって読み取って作業を開始する。前記物品識別情報で特定する物品保管装置である場合には、制御装置(図示せず)は、物品識別情報に基づいて特定した物品収納容器に結合した付勢手段(図示せず)を付勢する。その結果、1個の物品収納容器のみを開口部を有する蓋体と共に物品保管棚103の前面から突出する。
同時に、前記制御装置は、操作表示装置105に、物品の名称、外観の写真,投入する個数等を表示するとともに、音声によっても、投入する個数を「2個、2個・・・」と言うように報知する。これによって、作業者が個数を誤って投入することを確実に防ぐことができる。
【0014】
一方、物品のピッキングの場合には、物品ピッキングリスト等に記載の物品識別情報を情報入力手段113によって読み取ることで、物品の投入時とは逆に、開口した物品収納区画から操作表示装置105の物品の名称、個数等の表示、および音声による報知を確認しながら作業を行うことで誤りがないピッキングを行うことができる。
【0015】
また、本発明の物品保管装置では、物品の投入、あるいは物品のピッキングを行う物品収納区画が、物品保管棚から最初に突出する収納区画である場合には、物品保管棚103から先端の物品収納区画のみを開口した状態で突出することで、先端の物品収納区画のみへの物品の投入、または物品のピッキングを実現することができる。
作業者は開口した物品収納区画に対して所定の個数の物品を投入、あるいは物品のピッキングの完了後に、床面等に配置した完了信号入力スイッチ117から完了信号を入力する。
【0016】
また、上記のように、所定の個数の投入またはピッキングの後に、完了信号入力スイッチで完了信号を入力する方法に限らず、物品を1個投入、または1個ピッキングする毎に完了信号入力スイッチで完了信号を入力することで、収納作業入力表示装置105には投入、あるいはピッキングした個数を減算して、残個数を表示、あるいは残個数を音声で知らせるようにすることで、より誤りが生じる可能性が小さい物品の投入、あるいはピッキング作業を選択することもできる。
【0017】
収納物品を各収納区画からピッキングする場合にも、物品の投入時と同様に、物品ピッキング情報をRFIDタグ、光学式等の物品ピッキング情報タグを識別情報読み取り手段113によって読み取り、制御手段(図示せず)に送信する。
制御手段は、読み取った前記物品識別情報に対応する物品を収納した物品収納区画のみを物品保管棚から突出する様に動作信号を送ることで誤りがないピッキングが実現できる。
【0018】
図3は、本発明の物品保管装置の主要構成部分である物品保管棚の構造を説明する図であり、図3Aは、図1においてA−A線で切断した断面図である。また、図3Bは、1個の物品収容容器の図3AのB−B線で切断した断面図である。
物品保管棚103には、複数個の物品収納容器120を装着している。各物品収納容器120には、それぞれを独立して物品保管棚103から突出および収納する付勢手段130を装着している。
図3では、付勢手段130として、空気圧で動作するロッドレスシリンダを用いた例を示している。付勢手段130は、物品保管棚103の構成部材に固定している。付勢手段130のスライダー132と物品収納容器120との底面とを結合することで付勢手段130によって物品収納容器120を直線的な往復運動を行うことができる。
また、図3で示した例では、物品収納容器120には、物品保管棚103の正面側から二つの物品収納区画122a、122bを備えており、それぞれの区画に対して個別に物品の収納、および物品のピッキングを独立して行うことを可能としている。
【0019】
物品収納容器120の上部には、蓋体140を配置している。蓋体140には、物品収納容器120の上面に載置すると共に、物品収納容器の長手方向の側壁の外面と接触する側壁部142を設けている。側壁部142は、物品収納容器120と相対的に移動する際には、物品収納容器120の側壁の外面がガイドとなって、蓋体140の脱落等を防止すると共に蓋体の円滑な移動を実現できる。
また、物品保管棚103の最奥部(紙面の右)には、蓋体の移動を阻止する蓋体固定手段134を設けている。
【0020】
蓋体固定手段134としては、物品収納容器120の上部に載置した蓋体140に設けた係合穴に、空気圧で動作する付勢手段135のピストンに連結した固定ピン136、あるいは電磁ソレノイドに連結した固定ピンを突出することによって固定するものを挙げることができる。
また、固定ピン136の先端に取り付けた磁石138の磁力を利用して蓋体140を固定するもの、固定ピンに代えて電磁石を配置(図示せず)して、電磁石の磁力によって蓋体を固定するもの等を挙げることができる。
また、磁力を用いて蓋体を固定する場合には、蓋体として保磁力が小さな軟磁性材料を用いる場合に限らず、合成樹脂材料等の非磁性体材料の蓋体に磁力の作用する位置のみに軟磁性材料を取り付けてもよい。
【0021】
蓋体固定手段134が動作すると、付勢手段130が物品収納容器120を正面側へ移動する様に付勢した場合にも、蓋体140は、物品収納容器120と共に移動することはなく、物品収納容器120のみが移動する。
物品保管棚103から、物品収納容器120の先端の物品収納区画122aのみが突出する場合に蓋体固定手段134を動作させて蓋体140の移動を防止すると、物品保管棚103から突出した先頭の物品収納部の物品収納区画122aのみへの物品の投入、あるいは物品のピッキングが可能となる。
【0022】
図3Bは、図3AのB−B線の位置での一つの物品収納容器とその保持構造の一実施例を説明する図である。
物品収納容器120は、底面の中心を付勢手段130のスライダー132と結合しており、スライダーの中心線に対称に2本のスライドレール124を設けている。スライドレール124のアウターメンバー126を物品保管棚の構成部材側に取り付けるとともに、インナーメンバー128を物品収納容器120の底面に取り付けることで、物品収納容器120が位置ずれを起こすことなく円滑な動作を実現することができる。
【0023】
図4は、本発明の物品収納容器、および蓋体を説明する図であり、図4Aは、物品収納容器の上面から見た平面図である。
図4Bは、物品収納容器上に載置する蓋体を説明する図である。
図4Cは、蓋体をC−C線で切断した断面を説明する図である。
図4Dは、物品収納容器に蓋体を装着した状態での図4BのE−E線での断面を説明する図である。
図4Aに、物品収納容器の平面図を示すように、物品収納容器120は、物品保管装置の正面側から複数の物品収納区画122a、122bを有し、その間に区画壁124を有している。また、図4Bには、物品収納容器120上に載置する蓋体140の平面図を示しており、図4Cは、図4BのC−C線の断面図を示し、図4Dは、図4BのD−D線の断面図を示している。
蓋体140には、物品の収納、ピッキング時に利用する開口部142を有しており、図3と共に説明した蓋体固定手段(図3の134)の固定ピン(図3の136)と係合する係合穴145を有している。
【0024】
また、物品収納容器120と蓋体140との関係の一例を、図4BにおけるE−E線の断面図を図4Dに示すように、蓋体140は、物品収納容器120の長手方向の壁面の外面の表面に沿って直角に折れ曲がった側壁部140aを有している。
したがって、蓋体固定手段(図示しない)で蓋体140を固定せずに、物品収納容器120と蓋体140とを一体にして、物品収納容器120と共に蓋体に設けた開口部142を物品保管棚から前面に突出させる場合には、物品収納容器120の側壁と蓋体140の側壁部140aがガイドとなる。したがって、物品容器120の上面を円滑に移動して蓋体140が物品収納容器120からのずれ等が生じることはなく安定な動作が実現できる。
また、蓋体固定手段(図示しない)で蓋体140を固定ピンで蓋体を固定して、物品収納容器120のみを物品保管棚から前面に突出させる場合にも動作が安定する。
【0025】
図5は、本発明の物品保管装置の動作を順に説明する図であり、図4Bで示すD−D線での断面を説明する図である。
図5Aは、物品の投入、ピッキングの開始時を説明する図である。
仮想線で示す物品保管棚103に、物品収納容器120を完全に収納している状態を説明する図である。物品収納容器120には、2個の物品収納区画122a、122bを有している。それぞれの間には区画壁124が存在し、両者を区分している例を示している。付勢手段130は作動しておらず、また、蓋体固定手段134の固定ピン(図示せず)は蓋体140を固定していない状態である。
【0026】
図5Bは、先頭の物品収納区画のみが物品収納棚から突出する状態を説明する図である。図5Cは、先頭の物品収納区画への物品の投入、物品のピッキングを完了した後の状態を説明する図である。
図5Bに示すように、物品収納、または物品ピッキングの開始によって、蓋体固定手段134の固定ピン136で蓋体140を固定した状態で付勢手段130によって物品保管棚から先頭の物品収納区画122aが突出した状態を示している。蓋体140を固定しているので、物品収納容器140が移動しても動くことはない。
したがって、物品保管棚から突出した唯一の物品収納区画122aへと誤認することなく物品の収納、あるいは物品のピッキングを行うことができる。
【0027】
次いで、先頭の物品収納区画122aへの物品の投入、あるいは物品のピッキングを完了して作業者が完了信号を入力すると、図5Cに示す様に、物品収納容器120は、物品保管棚103へ収納状態に戻り、指定物品収納区画への物品の投入、あるいは物品のピッキングが完了する。
このように、蓋体固定手段を動作させて、図5A図5B図5Cの順に作業を進めることで先頭の物品収納区画への作業を行うことができる。
【0028】
図6は、図5で示したものと同様に物品保管装置の動作の他の例を説明する図である。
図6Aは、仮想線で示す物品保管棚103に、物品収納容器120を完全に収納している状態を説明する図である。
物品収納容器120は、2個の物品収納区画122a、122bを有しており、それぞれの区画の間には区画壁124が存在し、2個の物品収納区画を区分している例を示している。
【0029】
物品収納容器120の上面に蓋体140を載置している。蓋体140には、物品収納区画122bに対応した開口部142を有し、他の部分には開口部を有していない。本図は、物品の投入、ピッキングの動作前であって、付勢手段130は作動していない。また、蓋体固定手段134は固定ピンを本体に取り込んだ状態であって、物品収納容器上に載置した蓋体140は蓋体140と一体に移動する状態である。
【0030】
図6Bに示すように、物品収納、または物品ピッキングの開始によって、付勢手段130が物品収納容器120を押し出すと、物品収納容器120は蓋体140を載置した状態で移動して先頭から2番目の物品収納区画122bが物品保管棚から突出した状態で停止する。
【0031】
蓋体140は物品収納容器120の長手方向の両外壁面に接した側壁部140aを有しているので、物品収納容器120が移動する際には、蓋体140は物品収納容器120上で位置ずれを生じたり落下することはなく、確実に先端の物品収納区画122aの開口部を閉鎖し、先頭から2番目の物品収納区画122bのみに開口部142を形成することとなる。
したがって、一つの物品収納区画のみへの物品の投入、あるいは物品のピッキングが可能となるので、作業者が誤りなく確実な作業を行うことができる。
【0032】
次いで、先頭から2番目の物品収納区画122bへの物品の投入、あるいは物品のピッキングを完了して作業者が完了信号を入力すると、図6Cに示す様に、物品収納容器120を、物品保管棚103に収納し、指定物品収納区画への物品の投入、あるいは物品のピッキングが完了する。
このように、蓋体固定手段を動作させて、図6A図6B図6Cの順に作業を進めることで先頭から2番目の物品収納区画への作業を行うことができる。
【0033】
以上の説明では、物品収納容器の一つの物品収納区画に対応した開口部を有する蓋体を設けることで、2個の物品収納区画のそれぞれへの物品の投入と、物品のピッキングのみを可能とする物品保管装置について説明を行った。
本発明の装置は1個の物品収納区画を有する装置と比べても設置面積等においては大差はなく、構造が簡単で、動作も単純であって、取り扱いが良好であるという特徴を有している。
【0034】
また、以上で説明した蓋体に代えて先頭の物品収納区画を除き他のすべての物品収納区画に対応する開口部を個別に開閉可能な蓋体を設けても良い。あるいは、物品収納容器の各物品収納区画上を、先頭の物品収納区画を除きすべての位置の物品収納区画を1個ずつ開放する開口部を形成した蓋体を移動させる等の手段を採用することでも実現することができる。
【0035】
本発明の物品保管装置の動作には、外部電源、付勢手段の駆動源が不可欠であるが、大災害が起こったような場合には、外部電源が途絶し、バックアップ電源も機能しなくなる事態が発生する可能性もある。本発明の物品保管装置では、このような事態が生じた場合にも対応できるように、付勢手段を解除することで、手動で任意の物品収納容器を引き出せるようにすることができるので、緊急時の物品のピッキングが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の物品保管装置は、それぞれの物品収納容器を複数の物品収納区画に分割すると共に、物品収納容器上に物品収納区画に対応した開口部を設けた蓋体を物品収納容器の上部に配置して、いずれか1個の物品収納区画のみへの物品の投入、およびピッキングを可能としたので、作業者が誤ることがない物品の投入および物品のピッキングが可能な物品保管装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
100・・・物品保管装置、103・・・物品保管棚、105・・・操作表示装置、107・・・入出力装置、109・・・物品容器、111・・・作業台、112・・・搬送台車、113・・・情報入力手段、115・・・下段、120・・・物品収納容器、120a・・・窓、122a,122b・・・物品収納区画、124・・・区画壁、126・・・スライドレール、126a・・・アウターメンバー、126b・・・インナーメンバー、130・・・付勢手段、132・・・スライダー、134・・・蓋体固定手段、135・・・空気圧付勢手段、136・・・固定ピン、138・・・磁石、140・・・蓋体、140a・・・側壁部、142・・・開口部、145・・・係合穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6