特許第5979113号(P5979113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979113
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20160817BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20160817BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   H01B7/00 301
   C09J7/00
   C09J7/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-207915(P2013-207915)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-72798(P2015-72798A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 幸裕
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−130233(JP,A)
【文献】 特開2002−343156(JP,A)
【文献】 特開2006−314170(JP,A)
【文献】 特開2004−355839(JP,A)
【文献】 特開2006−327656(JP,A)
【文献】 特開2013−169116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
C09J 7/00
C09J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線に巻かれた保護シートと、
前記保護シートの表面に形成された粘着層と、
前記電線及び前記保護シートに巻き付けられて前記保護シートを前記電線に留める粘着テープと、を備えるワイヤハーネスであって、
前記保護シートには、前記電線の束の外周面に沿う筒状に巻かれた筒状部を含む第一領域と前記第一領域に連なった残りの領域であり前記筒状部の外周面側に重なった第二領域との境界位置における少なくとも前記電線の長手方向の一端から切れ込みが形成されており、
前記粘着テープは、前記保護シートの前記切れ込み内を通り、前記保護シートにおける前記第二領域の内側において前記第一領域及び前記電線の束に巻き付けられており、
前記粘着層は、少なくとも前記保護シートの前記第二領域における前記電線の長手方向に沿う縁部と該縁部の内側に重なった部分とを接着している、ワイヤハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスであって、
前記電線は、
前記保護シートにおける前記筒状部内を貫通する第一電線と、
前記保護シートにおける前記筒状部と前記第二領域との間を貫通する第二電線と、を含む、ワイヤハーネス。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネスであって、
前記保護シートは、
それぞれ前記電線の長手方向に沿う第一縁部及びその反対側の第二縁部の間の一部を成す中間領域であり前記電線の束の外周面に沿う筒状に巻かれた前記筒状部と、
前記中間領域に連なる残りの部分であり、前記中間領域よりも前記第一縁部側の第一片側領域全体と前記中間領域よりも前記第二縁部側の第二片側領域における少なくとも一部の領域とが重なった部分である二重部を含み、少なくとも前記電線の長手方向の一端から前記切れ込みが形成され、前記筒状部の外周面側に重なった外側重ね部と、を有し、
前記粘着テープは、前記保護シートの前記切れ込み内を通り、前記保護シートにおける前記筒状部から前記外側重ね部の一部に亘る部分及び前記電線の束に巻き付けられている、ワイヤハーネス。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤハーネスであって、
前記粘着層は、
前記保護シートの前記二重部における前記第一縁部と前記第一縁部に重なった部分とを接着している第一粘着層と、
前記保護シートにおける前記第二縁部と前記第二縁部の内側に重なった部分とを接着している第二粘着層と、を含む、ワイヤハーネス。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のワイヤハーネスであって、
前記保護シートの前記二重部は、前記第一片側領域全体と前記第二片側領域における前記中間領域側の一部の領域とが重なった部分であり、
前記保護シートの前記切れ込みは、前記二重部よりも前記第二縁部側の領域に前記二重部に沿って形成されている、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と電線に巻かれた保護シートとを備えるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイヤハーネスは、電線束に巻かれた保護シートを備える場合がある。なお、保護シートは外装シートと称される場合もある。
【0003】
特許文献1が示すように、保護シート(外装シート)は、その表面に形成された粘着層によって電線に巻き付いた状態に保持される場合がある。さらに、保護シートは、保護シート及び電線に巻き付けられた粘着テープによって電線における予め定められた位置に固定されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両用のワイヤハーネスは、ある車種全般に共通の電線と選択的に追加され得る電線とを含む場合がある。以下、前者を標準電線と称し、後者を追加電線と称する。例えば、標準電線は、ある車種全般に共通の標準部品用の電線であり、追加電線は、顧客の指定によって追加される可能性があるオプション部品用の電線などである。
【0006】
車両用のワイヤハーネスにおける追加電線の要否は、車両の製造販売の流れにおける比較的下流側の段階で決定される。
【0007】
従って、保護シートの巻き付けの対象となる電線が追加電線を含む可能性がある場合、保護シートを電線に取り付ける工程を、保護シートを標準電線に取り付ける前工程と、必要に応じて追加電線を保護シート内に追加する後工程とに分けることが、リードタイム短縮のために有効である。
【0008】
また、上記の前工程と後工程とが、作業単価の低い地域と車両の組み立て地域もしくは販売地域に近い地域との各々で行われれば、ワイヤハーネスのコスト低減にもつながる。
【0009】
しかしながら、特許文献1には、1枚の保護シートを電線に取り付ける工程を、標準電線に保護シートを取り付ける前工程と、必要に応じて追加電線を保護シート内に追加する後工程とに分けることに適したワイヤハーネスについて示されていない。
【0010】
本発明は、1枚の保護シートを電線に取り付ける工程を、標準電線に保護シートを取り付ける前工程と、必要に応じて追加電線を保護シート内に追加する後工程とに分けることに適したワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様に係るワイヤハーネスは、電線と、その電線に巻かれた保護シートと、その保護シート上に形成された粘着層と、上記電線及び上記保護シートに巻き付けられて上記保護シートを上記電線に留める粘着テープとを備えている。さらに、第1態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記保護シート、上記粘着テープ及び上記粘着層は、それぞれ以下に示される構成を有している。即ち、上記保護シートには、第一領域と第二領域との境界位置における少なくとも上記電線の長手方向の一端から切れ込みが形成されている。上記第一領域は、上記電線の束の外周面に沿う筒状に巻かれた筒状部を含む領域である。上記第二領域は、上記第一領域に連なった残りの領域であり、上記筒状部の外周面側に重なっている。上記粘着テープは、上記保護シートの上記切れ込み内を通り、上記保護シートにおける上記第二領域の内側において上記第一領域及び上記電線の束に巻き付けられている。上記粘着層は、少なくとも上記保護シートの上記第二領域における上記電線の長手方向に沿う縁部と該縁部の内側に重なった部分とを接着している。
【0012】
第2態様に係るワイヤハーネスは、第1態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第2態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記電線は、第一電線と第二電線とを含む。上記第一電線は、上記保護シートにおける上記筒状部内を貫通する電線である。上記第二電線は、上記保護シートにおける上記筒状部と上記第二領域との間を貫通する電線である。
【0013】
第3態様に係るワイヤハーネスは、第1態様又は第2態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第3態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記保護シートは、上記筒状部と外側重ね部とを有する。第3態様において、上記筒状部は、それぞれ上記電線の長手方向に沿う第一縁部及びその反対側の第二縁部の間の一部を成す中間領域であり、上記電線の束の外周面に沿う筒状に巻かれている。上記外側重ね部は、上記中間領域に連なる残りの部分であり、上記筒状部の外周面側に重なっている。上記外側重ね部は、上記中間領域よりも上記第一縁部側の第一片側領域全体と上記中間領域よりも上記第二縁部側の第二片側領域における少なくとも一部の領域とが重なった部分である二重部を含む。さらに、上記外側重ね部には、少なくとも上記電線の長手方向の一端から上記切れ込みが形成されている。上記粘着テープは、上記保護シートの上記切れ込み内を通り、上記保護シートにおける上記筒状部から上記外側重ね部の一部に亘る部分及び上記電線の束に巻き付けられている。
【0014】
第4態様に係るワイヤハーネスは、第3態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第4態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記粘着層は、第一粘着層と第二粘着層とを含む。上記第一粘着層は、上記保護シートの上記二重部における上記第一縁部と上記第一縁部に重なった部分とを接着している。上記第二粘着層は、上記保護シートにおける上記第二縁部と上記第二縁部の内側に重なった部分とを接着している。
【0015】
第5態様に係るワイヤハーネスは、第3態様又は第4態様に係るワイヤハーネスの一態様である。第5態様に係るワイヤハーネスにおいて、上記保護シートの上記二重部は、上記第一片側領域全体と上記第二片側領域における上記中間領域側の一部の領域とが重なった部分である。さらに、上記保護シートの上記切れ込みは、上記二重部よりも上記第二縁部側の領域に上記二重部に沿って形成されている。
【発明の効果】
【0016】
上記の各態様によれば、保護シートは、まず、切れ込みで区分される一部の領域(第一領域)が電線の束の外周面に沿う筒状に巻かれ、さらに、粘着テープが切れ込み内を通って巻き付けられることによって電線の束に留められる。電線の束の外周面に沿う筒状の部分が筒状部である。
【0017】
その後、保護シートにおける切れ込みで区分された残りの領域(第二領域)が、筒状部の外周面側に重ねられる。
【0018】
従って、保護シートが筒状部を貫通する電線(第一電線)に留められた後に、他の電線(第二電線)を、筒状部と第二領域との間に挟み込むことができる。さらに、粘着層が、保護シートを、筒状部と第二領域との間に電線(第二電線)を挟み込む状態に維持することができる。この場合、筒状部内を貫通する第一電線と筒状部及び第二領域の間を貫通する第二電線とが、1枚の保護シートによって保護される。
【0019】
なお、第二電線が追加された場合、保護シートの第二領域が、再度の粘着テープの巻き付けによって追加された電線を挟み込む状態に保持されればよい。一方、第二電線の追加が必要ない場合、保護シートの第二領域が、筒状部の外周面に沿って重ねられた状態で、粘着層によって筒状部に接着されればよい。
【0020】
従って、上記の各態様によれば、1枚の保護シートを電線に取り付ける工程を、筒状部を貫通する第一電線に保護シートの一部を粘着テープで電線束に留める前工程と、必要に応じて第二電線を保護シートの筒状部(第一領域)と第二領域との間に追加する後工程とに分けることができる。
【0021】
第2態様は、第二電線が筒状部(第一領域)と第二領域との間に追加された場合の例である。
【0022】
第3態様によれば、保護シートの筒状部は、保護シートの中間領域が電線を取り囲む状態に折り返されことによって形成される。この場合、保護シートがその縁部から順に電線の束に巻き付けられる場合よりも、容易に筒状部を形成することが可能である。
【0023】
第4態様において、第一粘着層は、保護シートにおける筒状部を含む一部を、第一電線の束を取り囲む状態に維持し、これにより、保護シートが電線に仮留めされる。そのため、粘着テープを保護シートの筒状部及び第一電線の束に巻き付ける作業が容易となる。
【0024】
一方、第二粘着層は、前述したように、保護シートの第二領域を、筒状部(第一領域)との間に第二電線を挟み込んだ状態に維持することができる。そのため、保護シートの第二領域を、再度の粘着テープの巻き付け作業が容易となる。また、第二電線の追加が不要である場合、第二粘着層が保護シートの第二領域を筒状部の外周面に沿う状態に維持する。この場合、再度の粘着テープの巻き付けが行われる場合よりも、保護シートの第二領域の固定が容易となる。
【0025】
ところで、保護シートの切れ込みが二重部に形成される場合、第一片側領域及び第二片側領域の各々に形成された2つの切れ込みが重なる状態で、保護シートの第一領域を電線の束に巻くことが必要である。しかしながら、2箇所の切れ込みの位置を合わせながら保護シートを電線の束に巻く作業は手間である。
【0026】
一方、第5態様の保護シートにおいて、切れ込みは、二重部よりも第二縁部側の一重の部分に形成されている。この場合、複数の切れ込みの位置合わせが不要であるため、保護シートを電線の束に巻く作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係るワイヤハーネス1の斜視図である。
図2】ワイヤハーネス1の断面図である。
図3】ワイヤハーネスが備える保護シートの平面図である。
図4】保護シート取り付け工程の一次工程におけるシート仮留め工程を示す図である。
図5】保護シート取り付け工程の一次工程におけるシート巻き付け工程を示す図である。
図6】保護シート取り付け工程の一次工程により得られたワイヤハーネスを示す図である。
図7】保護シート取り付け工程の二次工程を示す図である。
図8】第2実施形態に係るワイヤハーネス1Xの断面図である。
図9】第1応用例に係る保護シートの平面図である。
図10】第1応用例に係る保護シートを電線に取り付ける工程を示す図である。
図11】第2応用例に係る保護シートの平面図である。
図12】第2応用例に係る保護シートを電線に取り付ける工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0029】
<第1実施形態>
まず、図1〜3を参照しつつ、第1実施形態に係るワイヤハーネス1の構成について説明する。なお、図2は、図1に示されるII−II平面における断面図である。
【0030】
ワイヤハーネス1は、電線2と、その電線2に巻かれた保護シート3と、保護シート3を電線2に留める粘着テープ5とを備えている。保護シート3上には、2つの帯状の粘着層4が形成されている。粘着層4は、膜状に形成された粘着剤である。
【0031】
<電線>
電線2は、金属の芯線と芯線の周囲を覆う絶縁被覆とを有する絶縁電線である。ワイヤハーネス1は、複数の電線2を含む電線束を有している。本実施形態においては、電線束は、保護シート3によって2つのグループに仕切られている。以下の説明において、一方のグループの電線2のことを第一電線21と称し、他方のグループの電線2のことを第二電線22と称する。
【0032】
<保護シート>
保護シート3は、電線2に巻かれて電線2を保護するシート材である。図3(a)は保護シート3の第一具体例を示し、図3(b)は保護シート3の第二具体例を示す。例えば、図3(a)又は図3(b)のいずれかに示された保護シート3が、ワイヤハーネス1に適用可能である。
【0033】
図3(a)が示す第一具体例と図3(b)が示す第二具体例とは、第一電線21の束に巻かれる前の状態において、2つの粘着層4のうちの一方である第一粘着層41が形成されている位置のみが異なる。その相違点については後述する。
【0034】
以下の説明において、電線2に取り付けられた保護シート3における電線2の長手方向に沿う2箇所の縁部のことをそれぞれ第一縁部301及び第二縁部302と称する。
【0035】
図3が示すように、保護シート3は矩形状である。保護シート3が電線2に取り付けられた状態において、保護シート3における四方の縁部のうちの第一縁部301及び第二縁部302は、電線2の長手方向に沿う縁部であり、残りの2つの縁部は、電線2の長手方向における両端部を成し、電線2の外周方向に沿う縁部である。
【0036】
保護シート3は、電線2に取り付けられた状態において、筒状部31と外側重ね部32とを有する。なお、図3において、筒状部31及び外側重ね部32は、保護シート3が電線2に取り付けられたときに筒状部31及び外側重ね部32となる予定の部分を表す。その他の部分も同様である。
【0037】
図1,2が示すように、筒状部31は、第一縁部301及びその反対側の第二縁部302の間の一部を成す中間領域であり、第一電線21の束の外周面に沿う筒状に巻かれた部分である。従って、第一電線21の束は、筒状部31内を貫通している。
【0038】
外側重ね部32は、保護シート3における筒状部31を成す中間領域に連なる残りの部分である。ワイヤハーネス1において、外側重ね部32は、筒状部31の外周面側に重なっている。
【0039】
外側重ね部32は、筒状部31を成す中間領域よりも第一縁部301側の第一片側領域33全体と上記中間領域よりも第二縁部302側の第二片側領域34における少なくとも一部の領域とが重なった部分である二重部330を含む。
【0040】
本実施形態における外側重ね部32は、第一片側領域33全体と第二片側領域34の一部の領域35とが重なった部分である二重部330と、第二片側領域34の残りの領域である一重部36とを含む。
【0041】
また、保護シート3には切れ込み300が形成されている。図3が示す例では、切れ込み300は、保護シート3における電線2の長手方向の一端から形成されている。切れ込み300が、保護シート3における電線2の長手方向の両端各々から形成されていることも考えられる。
【0042】
切れ込み300は、保護シート3における第一領域3001と第一領域3001に連なった残りの第二領域3002との境界位置に形成されている。保護シート3において、第一領域3001は筒状部31を含む領域である。
【0043】
本実施形態の保護シート3において、第一領域3001は、筒状部31と外側重ね部32の一部である二重部330とを含む領域である。この場合、切れ込み300は、保護シート3における筒状部31から二重部330に至る部分と一重部36との境界位置に形成されている。
【0044】
第二電線22の一部は、保護シート3における筒状部31と外側重ね部32との間に挟み込まれている。即ち、第二電線22は、筒状部31と外側重ね部32との間を貫通している。
【0045】
また、保護シート3上に形成された2つの粘着層4のうちの一方は、保護シート3の二重部330における第一縁部301と第一縁部301に重なった部分とを接着している第一粘着層41である。2つの粘着層4のうちの他方は、保護シート3における第二縁部302の表面に形成された第二粘着層42である。
【0046】
以下の説明において、保護シート3における第一縁部301と重なる部分のことを対向帯状部303と称する。図3が示す例では、対向帯状部303は、第二片側領域34における第二縁部302から間隔を隔てた位置における第二縁部302に平行な帯状の領域である。
【0047】
保護シート3における第一縁部301と対向帯状部303との間の領域の幅は、第一電線21の束の周長よりも大きい。なお、第一縁部301及び対向帯状部303は二重部330の一部である。
【0048】
本実施形態における第二粘着層42は、保護シート3における第二縁部302と第二縁部302の内側に重なった部分とを接着している。
【0049】
図3が示すように、電線2に取り付けられる前の保護シート3において、2つの粘着層4は離型紙40で覆われている。保護シート3が電線2に取り付けられる際に、離型紙40が粘着層4から剥がされる。
【0050】
図3(a)が示す第一具体例において、電線2に取り付けられる前の保護シート3の第一粘着層41は、対向帯状部303の表面に形成されている。この場合、第一粘着層41は、第一縁部301の貼り合わせ先である対向帯状部303の目印となる。
【0051】
一方、図3(b)が示す第二具体例において、電線2に取り付けられる前の保護シート3の第一粘着層41は、第一縁部301の表面に形成されている。この場合、切れ込み300が、第一縁部301の貼り合わせ先である対向帯状部303の位置の目印となる。
【0052】
また、第一具体例及び第二具体例のいずれにおいても、第二粘着層42は保護シート3における第二縁部302の表面に形成されている。また、第一粘着層41及び第二粘着層42は、保護シート3の両主面のうちの一方に、即ち、同じ主面に形成されている。
【0053】
<粘着テープ>
粘着テープ5は、テープ状の基材と、その基材の表面に膜状に形成された粘着剤とを有する。
【0054】
粘着テープ5は、保護シート3の外側重ね部32及び電線2の束に巻き付けられている。より具体的には、粘着テープ5は、保護シート3と電線2の束における保護シート3の端からはみ出た部分とに亘る範囲において、少なくとも第二領域3002の内側で保護シート3の切れ込み300内を通る状態で保護シート3の第一領域3001及び第一電線21の束に対して螺旋状に巻き付けられている。
【0055】
なお、前述したように、本実施形態の保護シート3において、第一領域3001は筒状部31及び二重部330であり、第二領域3002は一重部36である。
【0056】
本実施形態では、粘着テープ5は、第二領域3002の内側に巻き付けられた第一粘着テープ51と第二領域3002の外側に巻き付けられた第二粘着テープ52とを含む。
【0057】
第一粘着テープ51は、保護シート3における第二領域3002の内側で切れ込み300内を通る状態で、保護シート3の第一領域3001及び第一電線21の束に対して螺旋状に巻き付けられている。一方、第二粘着テープ52は、保護シート3における第二領域3002(一重部36)の外側で、保護シート3の第二領域3002に対して巻き付けられている。
【0058】
即ち、第一粘着テープ51は、第一電線21の束に対して第二電線22が追加される前に巻き付けられた粘着テープであり、第二粘着テープ52は、第二電線22が追加された後に巻き付けられた粘着テープである。
【0059】
第一粘着テープ51は、保護シート3を電線2における予め定められた位置に留めている。また、第二粘着テープ52は、保護シート3の第二領域3002(一重部36)を第二電線22の外周を覆う状態からめくれ上がらないように保持している。
【0060】
なお、図1が示す例では、第二粘着テープ52は、保護シート3の第二領域3002及び第二電線22を含む電線2の束に対して巻き付けられている。しかしながら、第二粘着テープ52は、少なくとも保護シート3に対して第二領域3002(一重部36)の外側から巻き付けられていればよい。
【0061】
<保護シートの取り付け手順>
次に、図4〜7を参照しつつ、保護シート3を電線2の束に取り付ける手順について説明する。保護シート取り付け工程は、主として一次工程と二次工程とに区分される。
【0062】
図4は、一次工程の一部であるシート仮留め工程を表す図である。図5は、一次工程の一部であるシート巻き付け工程を表す図である。図6は、一次工程により得られたワイヤハーネスを示す図である。図7は、二次工程の一部である第二電線追加工程を表す図である。
【0063】
<一次工程>
一次工程のシート仮留め工程においては、保護シート3が第一電線21の束に仮留めされる。一次工程において、保護シート3は、まず、第一縁部301と第二縁部302との間の中間領域において第一電線21の束を取り囲む状態に折り返される。
【0064】
さらに、保護シート3の第一縁部301と第二片側領域34の一部である対向帯状部303とが第一粘着層41によって接着される。これにより、図5が示すように、保護シート3における第一縁部301から対向帯状部303までの領域は、第一電線21の束の周囲を取り囲む状態となる。また、第一粘着層41が、保護シート3における第一縁部301から対向帯状部303までの領域を、第一電線21の束を取り囲む状態に維持し、保護シート3が第一電線21の束に留まる。
【0065】
なお、第一縁部301が第一粘着層41によって対向帯状部303に接着される前に、第一粘着層41の離型紙40が剥がされることは言うまでもない。
【0066】
さに、一次工程のシート巻き付け工程において、保護シート3の第一領域3001における第一電線21の束を取り囲む部分の一部が、第一電線21の束の外周面に沿う筒状に絞られるとともに、保護シート3の第一領域3001における残りの部分が、筒状の部分の外周面側に重ねられる。第一電線21の束の外周面に沿う筒状に絞られた部分が筒状部31であり、その筒状部31の外側に重ねられた部分が外側重ね部32の一部を成す二重部330である。
【0067】
さらに図6が示すように、第一粘着テープ51が、保護シート3における第二領域3002の内側で切れ込み300内を通る状態で、保護シート3の第一領域3001及び第一電線21の束に対して螺旋状に巻き付けられる。その際、第一粘着テープ51は、保護シート3の第一領域3001と第一電線21の束における保護シート3の端からはみ出た部分とに亘る範囲において巻き付けられる。
【0068】
なお、前述したように、本実施形態の保護シート3において、第一領域3001は筒状部31及び二重部330であり、第二領域3002は一重部36である。
【0069】
一次工程が終了すると、図6が示すように、保護シート3は、その第一領域3001が第一電線21の束に巻かれた状態で、第一粘着テープ51によって第一電線21の束に固定された状態となる。これにより、保護シート3が取り付けられた第一電線21の束を次の場所へ移送することが可能となる。
【0070】
また、一次工程が終了した段階において、保護シート3の第二領域3002(一重部36)は、第一領域3001の筒状部31からめくり上げることが可能な状態である。
【0071】
<二次工程>
二次工程においては、保護シート3の第二領域3002(一重部36)が筒状の部分の外周面側に重ねられた状態で、保護シート3の第二縁部302が、その内側に重なる部分に対して第二粘着層42によって接着される。
【0072】
本実施形態においては、1本もしくは複数本の第二電線22が追加された上で、二次工程が行われる。より具体的には、保護シート3の第二領域3002は、筒状部31との間に第二電線22の中間部を挟み込む状態で筒状部31の外側に重ねられる。
【0073】
さらに、保護シート3の第二縁部302が、第二粘着層42によって筒状部31の外周面又は外側重ね部32の外側面に接着される。
【0074】
本実施形態では、第二粘着層42は、第一粘着テープ51が巻かれていない領域において、保護シート3の第二縁部302をその内側に重なる筒状部31の外周面に接着する。また、第二粘着層42は、第一粘着テープ51が巻かれている領域において、保護シート3の第二縁部302をその内側に重なる筒状部31の外周面に巻かれた第一粘着テープ51に接着する。
【0075】
第二粘着層42は、保護シート3を、第一領域3001の筒状部31と第二領域3002(一重部36)との間に第二電線22を挟み込む状態に維持する。これにより、筒状部31内を貫通する第一電線21の束と筒状部31及び第二領域3002の間を貫通する第二電線22とが、1枚の保護シート3によって保護される。
【0076】
なお、第二縁部302が第二粘着層42によって保護シート3の他の部分に接着される前に、第二粘着層42の離型紙40が剥がされることは言うまでもない。
【0077】
二次工程では、最後に、第二粘着テープ52が保護シート3に対して第二領域3002(一重部36)の外側から巻き付けられる。これにより、保護シート3の第二領域3002(一重部36)が第二電線22の外周を覆う状態に保持され、図1に示されるワイヤハーネス1が完成する。
【0078】
<第2実施形態>
次に、図8を参照しつつ第2実施形態に係るワイヤハーネス1Xについて説明する。図8はワイヤハーネス1Xの断面図である。図8において、図1〜7に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0079】
ワイヤハーネス1Xは、ワイヤハーネス1の構成から第二電線22及び第二粘着テープ52が除かれた構成を有している。以下、ワイヤハーネス1Xにおけるワイヤハーネス1と異なる点について説明する。
【0080】
図8が示すように、ワイヤハーネス1と同様に、ワイヤハーネス1Xも、第一電線21の束と保護シート3とを備えている。ワイヤハーネス1Xの粘着テープ5(第一粘着テープ51)は、ワイヤハーネス1の第一粘着テープ51と同様に、保護シート3の切れ込み300を通る状態で保護シート3の第一領域3001を第一電線21の束に固定している。
【0081】
さらに、保護シート3上には第一縁部301を対向帯状部303に接着する第一粘着層41と、第二縁部302上の第二粘着層42とが形成されている。
【0082】
前述したように、ワイヤハーネス1Xは第二電線22を備えていない。そのため、保護シート3の第二領域3002は、筒状部31の外周面に沿う状態で筒状部31に重ねられている。
【0083】
ワイヤハーネス1Xを製造するための保護シート取り付け工程において、一次工程は、ワイヤハーネス1の製造のための一次工程と同じである(図4〜6参照)。
【0084】
ワイヤハーネス1Xを製造するための保護シート取り付け工程において、二次工程は、第二電線22を追加することなく行われる。当該二次工程において、保護シート3の第二領域3002が第一電線21の束の外周面に沿う筒状部31の外周面に重ねられた状態で、保護シート3の第二縁部302が、第二粘着層42によって筒状部31の外周面又は外側重ね部32の外側面に接着される。
【0085】
第二電線22が追加されない場合、二次工程において、第二粘着テープ52の巻き付けが省略されてもよい。図8が示す例は、第二粘着テープ52の巻き付けが省略された場合の例である。なお、第二電線22が追加されない場合においても、第二粘着テープ52の巻き付けが行われてもよい。
【0086】
<効果>
ワイヤハーネス1,1Xが採用されれば、保護シート3は、まず、切れ込み300で区分される一部の第一領域3001が第一電線21の束の外周面に沿う筒状に巻かれ、さらに、第一粘着テープ51が保護シート3の切れ込み300内を通って巻き付けられることによって第一電線21の束に留められる。第一電線21の束の外周面に沿う筒状の部分が筒状部31である。
【0087】
その後、保護シート3における切れ込み300で区分された残りの第二領域3002が、筒状部31の外周面側に重ねられる。
【0088】
従って、保護シート3が筒状部31を貫通する第一電線21の束に留められた後に、他の第二電線22を、筒状部31と第二領域3002との間に挟み込むことができる。さらに、第二粘着層42が、保護シート3を、筒状部31と第二領域3002との間に第二電線22を挟み込む状態に維持することができる。この場合、筒状部31内を貫通する第一電線21の束と筒状部31及び第二領域3002の間を貫通する第二電線22とが、1枚の保護シートによって保護される。
【0089】
第二電線22が追加された場合、保護シート3の第二領域3002が、第二粘着テープ52の巻き付けによって第二電線22を挟み込む状態に保持されればよい。一方、第二電線22の追加が必要ない場合、保護シート3の第二領域3002が、筒状部31の外周面に沿って重ねられた状態で、第二粘着層42によって筒状部31に接着されればよい。
【0090】
従って、ワイヤハーネス1,1Xが採用されれば、1枚の保護シート3を電線2に取り付ける工程を、筒状部31を貫通する第一電線21に保護シート3の一部を第一粘着テープ51で第一電線21の束に留める前工程(一次工程)と、必要に応じて第二電線22を保護シート3の筒状部31(第一領域3001)と第二領域3002との間に追加する後工程(二次工程)とに分けることができる。
【0091】
また、ワイヤハーネス1,1Xにおいて、保護シート3の筒状部31は、保護シート3の中間領域が第一電線21の束を取り囲む状態に折り返されことによって形成される。この場合、保護シート3が第一縁部301から順に第一電線21の束に巻き付けられる場合よりも、容易に筒状部31を形成することが可能である。
【0092】
また、ワイヤハーネス1,1Xにおいて、第一粘着層41は、保護シート3における筒状部31を含む一部を、第一電線21の束を取り囲む状態に維持し、これにより、保護シート3が電線に仮留めされる。そのため、第一粘着テープ51を保護シート3の筒状部31及び第一電線21の束に巻き付ける作業が容易となる。
【0093】
一方、第二粘着層42は、前述したように、保護シート3の第二領域3002を、筒状部31(第一領域3001)との間に第二電線22を挟み込んだ状態に維持することができる。そのため、保護シート3の第二領域3002を、第二粘着テープ52の巻き付け作業が容易となる。また、第二電線22の追加が不要である場合、第二粘着層42が保護シート3の第二領域3002を筒状部31の外周面に沿う状態に維持する。この場合、第二粘着テープ52の巻き付けが行われる場合よりも、保護シート3の第二領域3002の固定が容易となる。
【0094】
<第1応用例>
次に、図9,10を参照しつつ、ワイヤハーネス1,1Xに適用可能な第1応用例に係る保護シート3Aついて説明する。図9は保護シート3Aの平面図である。図9は保護シート3Aを電線2に取り付ける工程を示す図である。図9,10において、図1〜8に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。なお、図9(a)は保護シート3Aの第一具体例を示し、図9(b)は保護シート3Aの第二具体例を示す。
【0095】
保護シート3Aは、図1〜8に示される保護シート3と比較して、第一縁部301の接着先である対向帯状部303の位置と、切れ込み300の位置とが異なる。
【0096】
図3に示される保護シート3において、対向帯状部303は、第二片側領域34における第二縁部302から間隔を隔てた位置における第二縁部302に平行な帯状の領域である。
【0097】
一方、保護シート3Aにおいて、対向帯状部303は、第二縁部302に隣接する帯状の領域である。従って、保護シート3Aにおいて、一重部36全体が第二縁部302である。
【0098】
例えば、図9(a)又は図9(b)のいずれかに示された保護シート3Aが、ワイヤハーネス1,1Xに適用可能である。図9(a)が示す保護シート3Aにおいて、第一粘着層41は第一縁部301に形成されている。一方、図9(b)が示す保護シート3Aにおいて、第一粘着層41は第二縁部302に沿う対向帯状部303に形成されている。
【0099】
また、保護シート3Aにおいて、切れ込み300は、二重部330となる部分、即ち、保護シート3Aにおける第一片側領域33と第二片側領域34の一部の領域35との各々に形成されている。保護シート3Aにおいて、第一領域3001は2つの切れ込み300の間の領域であり、第二領域3002は残りの領域である。そして、保護シート3Aは、2つの切れ込み300が重なる状態で電線2の束に巻き付けられる。
【0100】
図10が示すように、保護シート取り付け工程の一次工程において、保護シート3Aの第一縁部301は、第二縁部302に隣接する帯状の部分(対向帯状部303)に第二縁部302に沿って接着される。
【0101】
図3に示される保護シート3は、第一応用例に係る保護シート3Aに比べ、二重部330の幅を小さくできる分だけ小さな面積で形成されている。従って、保護シート3が採用されれば、シート材料費の低減効果が得られる。
【0102】
一方、保護シート3Aが採用されれば、一次工程において保護シート3Aの第一縁部301が対向帯状部303に重ねられる際に、第二縁部302の第二粘着層42及び離型紙40が、第一縁部301の位置合わせの目印となる。そのため、保護シート3Aの第一縁部301を対向帯状部303に重ねる作業が容易となる。
【0103】
<第2応用例>
次に、図11,12を参照しつつ、ワイヤハーネス1,1Xに適用可能な第2応用例に係る保護シート3Bついて説明する。図11は保護シート3Bの平面図である。図12は保護シート3Bを電線2に取り付ける工程を示す図である。
【0104】
保護シート3Bは、図3に示される保護シート3と比較して、第一縁部301の接着先である対向帯状部303の位置及び切れ込み300の位置が異なる。
【0105】
保護シート3Bの対向帯状部303は、第二片側領域34における第二縁部302と一致している。従って、保護シート3Bにおいて、第一片側領域33全体と第二片側領域34全体とが重なっており、それらが二重部330を成している。
【0106】
保護シート3Bにおいて、第一粘着層41は、第一主面における第一縁部301に形成されている。一方、第二粘着層42は、保護シート3Bの第二主面における第二縁部302に形成されている。なお、保護シート3Bにおいて、第一粘着層41が、第一主面における第二縁部302に形成されていてもよい。
【0107】
また、保護シート3Bにおいて、切れ込み300は二重部330となる部分の2箇所に形成されている。保護シート3Bにおいて、第一領域3001は2つの切れ込み300の間の領域であり、第二領域3002は残りの領域である。そして、保護シート3Bは、2つの切れ込み300が重なる状態で電線2の束に巻き付けられる。
【0108】
図12が示すように、保護シート3Bを取り付ける工程の一次工程において、保護シート3Bの第一縁部301は、第二縁部302おける第二粘着層42が形成された面の反対側の面に接着される。
【0109】
保護シート3Bが採用されれば、保護シート3Aが採用される場合と同様に、第一縁部301を目的の位置である対向帯状部303(第二縁部302)に重ねる作業が容易となる。
【0110】
ところで、第一応用例及び第二応用例に示されるように、保護シート3A,3Bの切れ込み300が二重部330に形成される場合、2つの切れ込み300が重なる状態で、保護シート3A,3Bの第一領域3001を第一電線21の束に巻くことが必要である。しかしながら、2箇所の切れ込み300の位置を合わせながら保護シート3A,3Bを第一電線21の束に巻く作業は手間である。
【0111】
一方、図1〜8に示されたワイヤハーネス1,1Xの保護シート3において、切れ込み300は、二重部330よりも第二縁部302側の一重部36に形成されている。この場合、複数の切れ込み300の位置合わせが不要であるため、保護シート3を第一電線21の束に巻く作業が容易となる。
【0112】
<その他の応用例>
保護シート3において、切れ込み300は、電線2の長手方向における一方の端部にのみ形成されている。そのため、ワイヤハーネス1,1Xにおいて、第一粘着テープ51は、電線2に巻かれた保護シート3における一方の端部及びその端部からはみ出た電線2の束に巻き付けられている。
【0113】
しかしながら、切れ込み300が、保護シート3,3A,3Bにおける電線2の長手方向の両端部に形成されていることも考えられる。この場合、第一粘着テープ51が、電線2に巻かれた保護シート3,3A,3Bにおける両端部各々において、保護シート3,3A,3Bの端部及びその端部からはみ出た電線2の束に巻き付けられる。
【0114】
なお、本発明に係るワイヤハーネスは、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは各実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0115】
1,1X ワイヤハーネス
2 電線
21 第一電線
22 第二電線
3,3A,3B 保護シート
300 切れ込み
3001 保護シートの第一領域
3002 保護シートの第二領域
301 保護シートの第一縁部
302 保護シートの第二縁部
303 保護シートの対向帯状部
31 保護シートの筒状部
32 保護シートの外側重ね部
33 保護シートの第一片側領域
330 保護シートの二重部
34 保護シートの第二片側領域
35 第二片側領域の一部の領域
36 保護シートの一重部
4 粘着層
40 離型紙
41 第一粘着層
42 第二粘着層
5 粘着テープ
51 第一粘着テープ
52 第二粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12