(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像形成を行う画像形成手段は、前記複数色の画像データに基づいてそれぞれ異なる感光体上を光走査して露光させて現像し、当該現像された画像を重ねて記録媒体に転写する構成であり、
前記出力手段は、前記複数色の画像データを前記光走査のタイミングのずれに合わせて各々出力させる
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
前記連続した記録媒体に反復して画像形成を行う場合の前記処理済画像データの出力タイミングと、個々に分割された記録媒体に各々画像形成を行う場合の前記処理済画像データの出力タイミングとを切り替える出力タイミング切替手段を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、工業用の画像形成では、形成対象の画像が連続した記録媒体(連続帳票)に対して複数回繰り返し行われ、必要な部分が切り出される場合がある。このような場合、通常、記録媒体の無駄を省くために、複数の画像が狭い間隔で行われる。その結果、画像データをプリンターエンジンに出力する間隔が狭くなり、従来の構成では、補正用のデータが取得されても、この狭い間隔で当該補正されたデータを画像形成に係る画像処理のパラメーターとして反映して出力する時間が足りずに画像の高速な形成に支障が生じるという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、容易且つ構成を大型化せずに画質の補正を行いながら高速に形成画像を出力することが出来る画像処理装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
画像データに対して画像形成に係る所定の画像処理を施す出力画像処理手段と、
前記画像処理がなされた処理済画像データを画像形成手段による画像形成に係る動作タイミングに合わせて出力させる出力手段と、
前記画像データに対する前記画像処理の設定を補正する補正手段と、
前記出力画像処理手段の動作を制御し、前記処理済画像データを外部記憶手段に記憶させると共に、所定の補正条件に応じて前記補正手段に補正処理を行わせる画像処理制御手段と、
前記外部記憶手段から前記処理済画像データを読み出して前記出力手段に入力させる出力制御手段と、
を備え、
前記出力制御手段は、前記画像形成手段による連続した記録媒体への同一の画像形成の反復動作中には、前記外部記憶手段から前記出力手段に前記処理済画像データを反復入力させ、当該反復動作中に前記画像処理制御手段により前記補正後の前記処理済画像データが前記外部記憶手段に記憶された場合には、前記出力手段に入力させる前記処理済画像データを
前記外部記憶手段に記憶された前記補正後の前記処理済画像データに切り替える
ことを特徴とする画像処理装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、
前記所定の画像処理には、濃度補正及び色調補正が含まれることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の画像処理装置において、
前記処理済画像データは、前記画像データと同一の前記外部記憶手段に記憶されることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記画像データは、カラー画像に係る複数色のデータからなることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、
前記画像形成を行う画像形成手段は、前記複数色の画像データに基づいてそれぞれ異なる感光体上を光走査して露光させて現像し、当該現像された画像を重ねて記録媒体に転写する構成であり、
前記出力手段は、前記複数色の画像データを前記光走査のタイミングのずれに合わせて各々出力させる
ことを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記連続した記録媒体に反復して画像形成を行う場合の前記処理済画像データの出力タイミングと、個々に分割された記録媒体に各々画像形成を行う場合の前記処理済画像データの出力タイミングとを切り替える出力タイミング切替手段を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記出力画像処理手段へのクロック信号の入力有無を切り替えるクロック入力切替手段を備え、
前記クロック入力切替手段は、前記処理済画像データを出力した後前記補正を行う前までの間、前記出力画像処理手段への前記クロック信号の入力をオフする
ことを特徴としている。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の画像処理装置において、
前記出力画像処理手段への電力供給の有無を切り替える電源切替手段を備え、
前記電源切替手段は、前記処理済画像データを出力した後前記補正を行う前までの間、前記出力画像処理手段への電力供給をオフする
ことを特徴としている。
【0015】
請求項9記載の発明は、
請求項1〜8の何れか一項に記載の画像処理装置と、
前記外部記憶手段と、
前記画像形成手段と、
前記処理済画像データを用いて前記画像形成手段により形成される画像の画質を監視し、所定の画質条件に基づいて前記補正手段に前記出力画像処理手段の処理設定の補正を行わせるか否かを判別する画質監視手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の画像形成装置において、
画像を形成するための記録媒体として、前記連続した記録媒体又
は個々に分割された記録媒体のうち何れか選択的に切り替える給紙切替手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明に従うと、画像処理装置及び画像形成装置において、容易且つ構成を大型化せずに画質の補正を行いながら高速に形成画像を出力することが出来るという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置Gの外観図である。
【0020】
この画像形成装置Gは、連続帳票(連帳紙、連続した記録媒体)への画像形成を行うことが可能な電子写真式の画像形成装置(レーザープリンター)である。連帳紙Pは、給紙ローラー6により供給されて画像形成装置本体1内で画像の形成がなされ、排紙ローラー7により巻き取られて画像形成装置本体1から排出される。また、画像形成装置本体1内に別途設けられた給紙トレイからカット紙(個々に分割された記録媒体)を供給して画像を形成させるように切り替える給紙切替部(給紙切替手段)を備えることも出来る。
【0021】
図2は、画像形成装置Gの内部構成を示すブロック図である。
画像形成装置Gは、制御部10(補正手段、画像処理制御手段、出力制御手段、出力タイミング切替手段)と、データ記憶部20(外部記憶手段)と、フロー制御部30と、画像処理部40と、通信部51と、操作表示部52と、搬送駆動部53と、画像形成部54(画像形成手段)と、撮像部55と、クロック切替部56(クロック入力切替手段)と、バス57などを備える。
【0022】
制御部10は、画像形成装置Gの全体動作を統括制御する。制御部10は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM12(Random Access Memory)と、メモリー管理部13などを備える。
CPU11は、各種演算処理を行い、また、データ記憶部20のHDD21などに記憶された制御プログラムをRAM12にロードして実行することで、制御動作を行う。制御プログラムの中には、撮像部55から取得された撮像データを解析して画質を監視するプログラムが含まれている。CPU11は、撮像部55から取得された撮像データを解析して形成画像の濃度変化といった画質情報を取得し、画質が所定の範囲から外れた場合、例えば、初期設定から所定レベル以上ずれた場合などに、画像処理部40に補正要求を補正情報と共に出力する。また、CPU11は、CMYKの各色の画像の連帳紙への出力位置のずれ量を検出し、当該ずれ量の補正(レジスト補正)の要求を画像処理部40に出力可能となっている。この画像監視動作は、制御部10によるソフトウェア的な動作に加えて又は代えて画像解析に係る専用の構成を用いて行われても良い。
【0023】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリー空間を提供し、実行中のプログラムや一時データを記憶する。このRAM12としては、通常の揮発メモリー、例えば、DRAMを用いることが出来る。或いは、RAM12の一部には、SRAMなどの他の揮発性メモリーや、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーが含まれても良い。
【0024】
メモリー管理部13は、RAM12やデータ記憶部20におけるメモリーアドレス(ページアドレス)の設定、読み出し及び書込みアドレスの設定を行う。このメモリー管理部13は、メモリーアドレスを動的に割り当てが可能であり、HDD21上のスワップ領域をあわせて管理する。また、メモリー管理部13は、画像処理部40の出力画像処理部41で画像処理がなされた画像データの記憶位置を設定可能である。このメモリー管理動作は、CPU11がソフトウェア的に実行するように構成することも出来る。
【0025】
データ記憶部20は、各種プログラム、設定データや画像形成対象のビットマップデータやピクスマップデータ(画像データ)などを記憶する。データ記憶部20は、HDD21(Hard Disk Drive)とDRAM22などを備える。HDD21には、制御部10のCPU11により実行される制御プログラムや、利用される設定データなどが記憶される。
DRAM22は、ここでは、通信部51を介して外部から取得された画像形成対象の画像データや当該画像データの画像形成に係る印刷ジョブデータなどを記憶させるために専用に設けられ、これらの画像データや印刷ジョブデータは、画像形成が終了すると消去される。このDRAM22に記憶される画像データは、ここでは、カラー画像の形成に対応してC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)などの各色に係るデータを含む。
【0026】
フロー制御部30は、制御部10の制御に基づいて、通信部51から入力された又はDRAM22から読み出された画像データを適切なタイミングで出力して出力画像処理部41に送る。
【0027】
画像処理部40は、画像形成対象の画像データを画像形成部54による画像形成用のフォーマットデータ(ラスターデータ)に変換し、また、当該画像形成部54の特性に合わせた補正を行って、適切なタイミングで画像形成部54に出力する。画像処理部40は、出力画像処理部41(出力画像処理手段)と、遅延調整部42(出力手段)と、などを備える。画像処理部40は、一枚のASIC(Application Specific Integrated Circuit)として形成される。
【0028】
出力画像処理部41は、画像形成対象の画像データに対して種々の画像処理を施して画像形成用のラスターデータを生成する。画像処理としては、輪郭強調処理、色調補正処理、濃度補正処理及びハーフトーニングなどが挙げられる。これらの補正に係るパラメーターは、制御部10からの制御信号により調整可能となっている。
【0029】
遅延調整部42は、出力画像処理部41で処理済の画像データ(ラスターデータ)を画像形成部54及び搬送駆動部53の動作に対応した適切なタイミングで画像形成部54に出力する。本実施形態の画像形成部54では、後述するように、CMYK各色の画像形成が順番に行われるので、各色の画像形成タイミングのずれに合わせて各色データの出力タイミングも調整される。この出力タイミングは、撮像部55による撮像データを制御部10が監視することで随時調整可能となっている。
【0030】
通信部51は、外部機器と画像形成装置Gとの通信に係るインターフェイスであり、例えば、ネットワークカード及びそのドライバーなどである。通信部51は、外部機器から送られる画像形成対象の画像データ及び印刷ジョブデータを受信して制御部10やデータ記憶部20に送る。また、通信部51は、制御部10から出力された画像形成に係るステータス信号を外部機器に送信する。
【0031】
操作表示部52は、押しボタンスイッチや各種操作キーといった操作部へのユーザーの入力操作を受け付ける。また、操作表示部52は、液晶ディスプレイなどの表示画面を備え、CPU11からの制御信号に基づいて各種メニューやステータスを表示させる。また、表示画面にタッチセンサーを設けて、タッチパネルとして操作を受け付ける構成としても良い。また、操作表示部52への入力操作により、画像の形成対象の切替を行うことが出来る。即ち、出力先を連帳紙と通常のカット紙との間で切り替えることが出来る。
【0032】
搬送駆動部53は、例えば、回転モーターを備え、給紙ローラー6及び排紙ローラー7を動作させて連帳紙を所定の速度で搬送させる。
【0033】
画像形成部54は、搬送駆動部53により搬送されて画像形成装置本体1に送られた連帳紙の表面に、画像処理部40から送られた画像形成対象のラスターデータに基づく画像を形成する。画像形成部54は、CMYK各色の画像形成ユニットをそれぞれ別個に備えたタンデム構成が用いられている。画像形成ユニットは、露光部54c、54m、54y、54k(
図3参照)、現像部及び感光体を備える。露光部は、帯電し、回転する感光体上を光走査して、CMYKの各色(複数色)に係る各ラスターデータに基づく光量で感光体の各画素に対応する部分を露光させ、静電潜像を形成する。現像部は、感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する。並列に配置された4つの画像形成ユニットにおいて各感光体上にそれぞれ形成された画像は、中間転写ベルトなどを介して連帳紙上に重ねて転写され、連帳紙に転写されたトナーは、定着部により定着処理がなされる。
【0034】
撮像部55は、例えば、CCDセンサーやCMOSセンサーなどを備え、形成された画像を撮影して、撮像データを制御部10へ送る。撮像部55のセンサーは、連帳紙の搬送方向に垂直な幅方向に当該連帳紙の全幅に亘って撮像可能なラインセンサーであり、二次元面の撮像が必要な場合には、連帳紙の搬送に合わせて続けて撮像を行う。
撮像部55と制御部10とにより画質監視手段が構成される。
【0035】
クロック切替部56は、図示略の発振回路や分周回路から画像形成装置Gの各部に供給されるクロック信号のうち、フロー制御部30及び出力画像処理部41へ出力するもののオンオフを切り替える。クロック切替部56は、制御部10の制御信号に基づいて、フロー制御部30及び出力画像処理部41が動作しない期間において、これらフロー制御部30及び出力画像処理部41へのクロック信号の出力を遮断する。
本実施形態の画像処理装置は、制御部10と画像処理部40とにより構成され、また、このクロック切替部56を含むことが出来る。
【0036】
バス57は、種々のデータやコマンドなどを各構成の間で送受信する経路である。このバス57には、例えば、シリアルATAなどの接続インターフェイス規格やPCIエクスプレスなどの入出力インターフェイス規格などが用いられて、高速なデータ伝送を行わせることが出来る。
【0037】
次に、本実施形態の画像処理手順について説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置Gにおける画像形成対象の画像データの流れを説明する図である。
【0038】
画像形成対象の画像データは、通信部51から入力されるとDRAM22に記憶されると共に、画像形成開始前にフロー制御部30に入力される。フロー制御部30から所定のタイミングでこの画像データが出力されて画像処理部40に入力され、出力画像処理部41で各種画像処理が行われて画像形成用のラスターデータが生成される。
【0039】
画像処理が行われたラスターデータは、画像処理部40から一度外部に出力されてDRAM22に記憶される。その後、画像形成部54による画像形成に合わせて当該ラスターデータをDRAM22から読み出して遅延調整部42に入力させる。遅延調整部42は、CMYK各色のラスターデータを各感光体での光走査のタイミングにそれぞれ合わせて出力させる。遅延調整部42から出力されたラスターデータは、変調部(PWM)43c、43m、43y、43kでそれぞれ光走査に係るパルス幅変調(Pulse Width Modulation)がなされてパルス信号として画像形成部54の露光部54c、54m、54y、54kに出力される。なお、パルス幅変調は、画像形成部54の内部で行われても良い。
【0040】
図4は、本実施形態の画像形成装置Gで形成される画像パターンの例を示す図である。
【0041】
シールのような小サイズの図形は、画像形成の幅方向(
図4の横方向)に亘り、複数個繰り返しパターン配置させることが出来る。また、同様に搬送方向(
図4の縦方向)にも同一又は異なる画像をパターン配置させて、当該パターンずつ反復して画像形成させる(反復動作)ことが出来る。これにより、画像形成装置Gでは、大量の同一画像(複数の画像の組み合わせを含む)が無駄なく形成される。この場合、DRAM22から当該画像パターンに係るラスターデータを毎回読み出して遅延調整部42に入力(反復入力)させることで、同一の画像パターンデータに対して何度も出力画像処理部41で画像処理を行わせる必要が無くなる。
【0042】
一方、出力画像処理部41での画像処理の内容(パラメーターなど)が変化した場合には、DRAM22から画像処理がなされていない最初の画像データを読み出して再度フロー制御部30に入力させ、変化した画像処理内容で出力画像処理部41における画像処理を行わせることで、当該変更された画像処理に基づくラスターデータが生成され、当該ラスターデータに基づいて繰り返し画像形成がなされる。この変更されたラスターデータは、DRAM22に記憶される。
【0043】
このとき、上述のように、連帳紙に対して画像が密に配置されて形成されると、繰り返される画像の間隔が狭くなり、従って、遅延調整部42からラスターデータを出力していない時間が非常に短くなる。その結果、ラスター画像の出力間隔の間に処理内容が変更されたラスターデータを置き換えるのが困難になる。
【0044】
図5は、画像処理部40の画像データ入出力タイミングを示すタイムチャートである。
フロー制御部30から画像処理部40にラスターデータが入力されると(t1)、出力画像処理部41で画像処理が行われた後、遅延調整部42からの当該処理済ラスターデータの出力がYMCK各色で異なる時間ずつ遅延されて開始される(t2)。
【0045】
その後、同一の画像が出力されている間は、フロー制御部30から画像処理部40へのラスターデータの入力は行われず、DRAM22に記憶された画像処理済のラスターデータが繰り返し入力される。上述のように、形成画像の反復間隔が短い場合には、ラスターデータの出力間隔tiも狭くなり、この時間は、補正された画像処理用のパラメーターを出力画像処理部41に設定するのに要する時間twより短くなる。
【0046】
同一画像の形成が複数回反復された後、画像処理用パラメーターの補正が必要になると(t3)、先ず、出力画像処理部41の画像処理に係るパラメーターの補正書き込みが行われる(tw)。そして、この書き込みが行われた後に、フロー制御部30にDRAM22から画像処理が行われていない画像データが一回入力されて、適切なタイミングで画像処理部40に出力され(t4)、また、DRAM22に処理済ラスターデータが記憶される。画像処理部40のASIC外部に設けられるDRAM22の容量は、通常、ラスターデータと比較して十分大きいので、新しいラスターデータは、元のラスターデータと一時的に並列に記憶させることが可能である。従って、新たなラスターデータが全てDRAM22に記憶されるまでは、元のラスターデータを用いて画像形成を続け、全ての新たなラスターデータが取得された後に、当該処理済ラスターデータに基づいて補正された画像処理が行われた画像の形成を開始させる(t5)。
【0047】
なお、出力される記録媒体が通常のカット紙に設定されている場合には、カット紙間で十分に補正パラメーターを設定することが出来るので、制御部10は、通常通り、出力画像処理部41から直接遅延調整部42に補正された画像処理後の処理済画像データを流して画像形成を行わせることが出来る。
【0048】
図6は、本実施形態の画像形成装置Gで実行される連帳画像出力処理の制御部10による制御手順を示すフローチャートである。
この連帳画像出力処理は、印刷ジョブが通信部51を介して取得された場合や、ユーザーからのプリント命令が操作表示部52に入力された場合などに開始される。
【0049】
連帳画像出力処理が開始されると、制御部10(CPU11)は、先ず、クロック切替部56に制御信号を出力し、画像処理部40及びフロー制御部30に所定の周波数のクロック信号を供給させる(ステップS101)。
【0050】
制御部10は、形成対象画像の画像データをDRAM22からフロー制御部30に入力させる(ステップS102)。また、フロー制御部30から出力されて画像処理部40において出力画像処理部41での画像処理により出力されたラスターデータをDRAM22に記憶させる(ステップS103)。制御部10は、クロック切替部56にフロー制御部30及び出力画像処理部41へのクロック信号の入力を中断させる(ステップS104)。
【0051】
制御部10は、画像形成部54による画像形成速度に応じた間隔で、DRAM22のラスターデータを画像処理部40の遅延調整部42に出力させる動作を開始し、遅延調整部42から適切な間隔で画像形成部54へラスターデータを出力させる(ステップS105)。このラスターデータの出力動作は、連帳画像出力処理の他の各処理と並列に継続実行される。ラスターデータの出力回数は、印刷ジョブや操作表示部52への入力操作で指定されている場合には、当該指定された回数とし、指定が無い場合には、中止命令が取得されるまで無期限で繰り返す。この中止命令には、ユーザー操作による外部から取得された中止命令と、紙切れなどのエラーによる内部的な中止命令とが含まれる。
なお、制御部10の処理が後述のステップS110の処理からステップS102の処理に戻った後、再度ステップS105の処理が実行される場合には、実行中の前回のステップS105の処理をそのまま維持して新たな処理を行わなくても良い。或いは、このステップS105の処理をリセット、再起動しても良いが、前回のステップS105の処理に係る最後の出力タイミングと再起動されたステップS105の処理に係る最初の出力タイミングとの時間間隔が、上述の画像形成速度に応じた間隔と等しいことが好ましい。
【0052】
制御部10は、画像出力の中止要求があったか(中止命令が取得されたか)否かを判別する(ステップS106)。中止要求があったと判別された場合には(ステップS106で“YES”)、上述のステップS105の処理による処理済ラスターデータの出力を中止し、画像形成部54における画像形成を中止させる(ステップS111)。そして、制御部10は、連帳画像出力処理を終了する。
【0053】
画像出力の中止要求はないと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、制御部10は、次に、撮像部55から撮像データを取得し、画質の解析を行う(ステップS107)。制御部10は、画質の解析結果や予め設定された所定回数の画像形成などの条件に基づいて、出力画像処理の補正が必要であるか否かを判別する(ステップS108)。
【0054】
補正が必要ではないと判別された場合には(ステップS108で“NO”)、制御部10の処理は、ステップS106に戻る。補正が必要であると判別された場合には(ステップS108で“YES”)、制御部10は、クロック切替部56に制御信号を出力し、フロー制御部30及び出力画像処理部41へのクロック信号の供給を再開させる(ステップS109)。制御部10は、出力画像処理部41の処理内容に係るパラメーターの補正データを書き込む(ステップS110)。それから、制御部10の処理は、ステップS102に戻る。
【0055】
以上のように、本発明の画像処理装置の実施形態は、画像データに対して画像形成に係る所定の画像処理を施す出力画像処理部41と、画像処理がなされたラスターデータを画像形成部54による画像形成に係る動作タイミングに合わせて出力させる遅延調整部42と、制御部10とを備える。制御部10は、画像データに対する画像処理に係る設定の補正を行い、出力画像処理部41の動作を制御してラスターデータを画像処理部40の外部にあるデータ記憶部20のDRAM22に記憶させると共に所定の補正条件に応じて補正処理を行い、DRAM22からラスターデータを読み出して遅延調整部42に入力させる。
そして、制御部10は、画像形成部54による連帳紙への同一の画像形成の反復動作中には、DRAM22から遅延調整部42にラスターデータを反復入力させ、当該反復動作に並行して画像処理に係るパラメーター補正され、当該補正後のパラメーターによる画像処理がなされたラスターデータがDRAM22に記憶された場合には、次の遅延調整部42へのラスターデータ入力タイミングで、当該遅延調整部42に入力させるラスターデータを補正後の画像処理がなされたものに切り替える。
従って、連帳紙への反復画像形成に係るラスターデータの反復入力の隙間では設定が困難な補正パラメーターの設定を当該反復入力とは別途並行に行うことが可能な構成となって、画像形成を中断させる必要が無くなり、当該画像形成を高速に行うことが出来る。
【0056】
また、このとき、補正パラメーターを補正前後で両方記憶させる必要が無いので、画像処理部40のメモリー容量を増加させる必要が無い。同様に、補正前の補正パラメーターに係るラスターデータと補正後の補正パラメーターに係るラスターデータを容量制限の問題が通常生じず、また、増設も容易な外部のDRAM22に記憶させる構成としたので、画像処理部40のメモリー容量を増設する必要が無い。従って、ASICなどで構成される従来の画像処理部40のメモリー増設などに係る設計変更の手間やコストが大きく低減され、また、メモリー容量の増加に係るコストの増加も、外部取り付けの場合と比較して抑えることが出来る。
【0057】
また、画像形成が終了するまで画像処理後のラスターデータと画像処理前の画像データとを何れも記憶させておくので、いつでも容易に補正パラメーターを変更して画像処理を行わせ、新たなラスターデータを得ることが出来る。
【0058】
また、同一の画像を反復して画像形成させる場合に、毎回画像処理を行わないので、処理負荷を低減し、電力消費を抑えることが出来る。
【0059】
また、出力画像処理部41で実行される画像処理には、濃度補正及び色調補正が含まれ、大量の画像形成により変化しやすい濃度や色調をこまめに補正して画像を均質に保ちつつ、画像形成速度を落とさず速やかに多くの画像を形成することが出来る。
【0060】
また、画像処理がなされたラスターデータは、画像データと同一のDRAM22に記憶される構成とすることが出来る。他にラスターデータを読み書きさせるのに適したメモリーが無い場合には、入力画像データと同様に記憶させることで、他にメモリーを増設したりする必要が無く、コストアップに繋がらない。
【0061】
また、画像形成対象の画像データは、カラー画像であっても良い。このように画像データのサイズが大きくなる場合であっても、ASICで形成される画像処理部40に記憶領域を増設する必要が無く、従って、従来の構成から設計変更を行うことによるコストアップ及びメモリーの増設自体によるコストアップを避けることが出来る。
【0062】
また、カラー画像をタンデム式の画像形成部54に出力する場合、CMYK各色のラスターデータの出力タイミングがずれるので、補正前後の画像処理がなされた画像の出力切替タイミングもずれる。これにより、補正前後のラスターデータを両方保持して出力タイミングに合わせて順番に切替を行う必要が生じるので、必要なメモリー容量が増大する。このようなメモリーを外部で確保することにより、画像処理部40を大型化したり設計変更したりする必要が無く、容易且つ低コストで画像処理の補正を行いつつ画像形成の高速化を図ることが出来る。
【0063】
また、連帳紙に反復して画像形成を行う場合のラスターデータの出力タイミングと、カット紙に各々画像形成を行う場合のラスターデータの出力タイミングとを切り替えることが可能であるので、カット紙に出力する場合には、従来通りに処理を単純化して制御負荷を低減することが出来る。
【0064】
また、クロック切替部56を備え、出力画像処理部41からラスターデータを一度出力した後、画像処理のパラメーター設定が補正されるまでの間、当該出力画像処理部41及びフロー制御部30にクロック信号を供給しない構成とすることが出来る。これにより、これらの構成が動作しない間に不要にクロック信号を供給しないことになり、電力消費の低減を図ることが出来る。
【0065】
また、本実施形態の画像形成装置Gは、DRAM22を含むデータ記憶部20と、画像形成部54と、ラスターデータを用いて画像形成部54により形成される画像の画質を監視するための画像データを撮像する撮像部55とを備え、制御部10により所定の画質条件に基づいて出力画像処理部41の処理設定の補正を行わせるか否かを判別する。
従って、略リアルタイムで形成される画像を客観的且つ容易に解析して画像処理に係る補正の要否を自動判断するので、無理なく高速な画像形成を行いながら画質を略均一に保つことが出来る。
【0066】
また、画像を形成するための記録媒体として、連帳紙とカット紙とを切り替えることが出来るので、形成対象の画像に応じて柔軟に画像形成装置Gを利用することが出来る。
【0067】
[変形例]
図7は、画像形成装置の内部構成の変形例を示すブロック図である。
この変形例の画像形成装置Gaは、上記実施形態の画像形成装置Gに対して、クロック切替部56が電力供給切替部56aに置換された点を除き同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
電力供給切替部56a(電源切替手段)は、図示略の電源部から画像形成装置Gaの各部に供給される電力を、フロー制御部30及び出力画像処理部41に供給するか否かを切り替える。電力供給切替部56aは、制御部10の制御信号に基づいて、フロー制御部30及び出力画像処理部41が動作しない期間において、これらフロー制御部30及び出力画像処理部41への電力供給を中断する。
【0069】
このように、この変形例の画像形成装置Gaに含まれる画像処理装置を成す画像処理部では、フロー制御部30及び出力画像処理部41への電力供給の有無を切り替える電力供給切替部56aを備え、クロック信号だけではなく、フロー制御部30及び出力画像処理部41の動作が行われない期間には、クロック信号だけではなく電力供給自体を切断するので、本発明に係る画像処理装置Gaのように出力画像処理の実行頻度が画像出力の回数に比較して低い場合には、効果的に電力消費を低減することが出来る。
【0070】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、画像形成対象の画像データと、画像処理済のラスターデータとを同一のDRAM22に記憶させる構成としたが、データの入出力が必要な速度で実行可能である限りにおいて、別の記憶部であっても良い。
【0071】
また、上記実施の形態及びその変形例では、出力画像処理を行わない場合に出力画像処理部41及びフロー制御部30にクロック信号の供給又は電力供給を行わないこととしたが、このような構成を設けずにクロック信号や電力を供給し続けても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、通常の画像形成対象の画像のみを反復して画像形成させて当該形成画像を撮像部55により撮像させて画質の解析及び補正の要否の判別を行ったが、適宜な間隔で、即ち、一般的には、通常の画像の反復回数に比して十分に少ない頻度で検査用の専用画像を挟み込んで撮像及び補正の要否の判別を行っても良い。この場合でも、実際の補正、補正を反映した出力画像処理及び当該補正反映後の画像処理がなされたラスターデータによる画像形成は、通常の画像形成の反復動作が再開された後、上記実施形態と同様に行わせることが出来る。
【0073】
また、上記実施の形態では、タンデム形式の電子写真式画像形成装置によるカラー画像の形成時を例に挙げて説明したが、単色画像、特に、グレースケール画像であっても良い。
【0074】
また、連続帳票に狭い間隔で反復して画像が形成される場合であれば、出力対象はシールのような小型のものに限られない。また、記録媒体は、紙に限られず、フィルムや布帛などその他の各種シート状のものであっても良い。
【0075】
また、画像処理の設定に係る補正内容は、設定データ全てに対して行われる必要はなく、変更される部分だけ部分的に送信されても良い。また、補正の基準を厳しくして早めに補正を行わせる判断をする一方で、当該補正命令をパラメーターごとに分割して送信し、複数回に亘って徐々に補正を行わせても良い。また、このような複数回に分割しての補正は、画像形成開始時の最初の補正では行わせず、安定的に画像形成が反復して行われている中途でのみ有効としても良い。
【0076】
また、上記実施の形態では、制御部10により全ての制御動作を行わせることとしたが、画像形成及び補正に係る処理を別の制御部により行わせても良い。例えば、画像処理部40に専用の制御部が設けられていて、撮像部55のデータを直接取得して解析及び補正の判断を行っても良い。
その他、上記実施の形態で示した構成、配置、制御内容や制御手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。