(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
1.遊技領域を有する遊技盤と、その遊技盤の前面側に設けられ且つ前記遊技領域を外部から視認させる窓が形成された窓枠とを備えた遊技機であって、
前記窓の上部にて前方へ張り出し且つ前記遊技領域の外縁部の少なくとも一部と正面視で重なるように形成された張出し部を備え、
その張出し部と前記遊技領域外縁部との重なり幅は、前記遊技領域外縁部の最上部近傍では相対的に狭く設定され、それ以外では相対的に広く設定されたことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、張出し部と遊技領域外縁部との重なり幅は、遊技領域外縁部の最上部近傍では相対的に狭く設定されているので、遊技領域の中心より上方である遊技者の視点位置から最も垂直に近い角度で視線が注がれる遊技領域外縁部の最上部近傍を確実に視認することができる。一方、遊技領域外縁部の最上部近傍以外では、張出し部と遊技領域外縁部との重なり幅が相対的に広く設定されているので、張出し部の面積が大きくなり、装飾部材、スピーカ、表示装置等の配設スペースが確保される。また、遊技領域外縁部の最上部近傍以外では遊技者の視点位置から、より傾斜した角度で視線が注がれるので、張出し部と遊技領域外縁部との重なり幅が相対的に広く設定されていても、張出し部によって遮られることなく遊技領域外縁部を確実に視認することができる。
【0012】
2.前記遊技領域は、略円形状であることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、遊技領域が中心から外縁部までの距離が一定である略円形状であるため、遊技領域の中心より上方である遊技者の視点位置から遊技領域外縁部の最上部近傍に対して最も垂直に近い角度で視線が注がれ、遊技領域外縁部の最上部近傍以外ではより傾斜した角度で視線が注がれる。よって、張出し部と遊技領域外縁部との重なり幅が遊技領域外縁部の最上部近傍では相対的に狭く設定されることにより、遊技領域外縁部の最上部近傍を確実に視認することができると共に、遊技領域外縁部の最上部近傍以外では張出し部と遊技領域外縁部との重なり幅が相対的に広く設定されることにより、張出し部の面積が大きくなり、装飾部材等の配設スペースが確保され、且つ遊技領域外縁部との重なり幅が相対的に広く設定されていても、張出し部によって遮られることなく遊技領域外縁部を確実に視認することができる。
【0013】
3.前記張出し部は、前記遊技領域外縁部の最上部から左右両側へ下方に向かう少なくとも一部の領域で重なり幅が徐々に増大するように形成されたことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
手段3によれば、遊技者の視点位置から遊技領域外縁部に対する視線の傾斜は、遊技領域外縁部の最上部から左右両側へ下方に向かうに従って大きくなるので、張出し部と遊技領域外縁部との重なり幅が徐々に増大するように形成されることにより、遊技領域外縁部の視認性を確保しつつ、張出し部の面積をより大きくすることができる。
【0014】
4.前記遊技領域の中心点を含み且つ前記遊技領域の表面に対して垂直な任意の平面による断面において、前記遊技領域外縁部の端点から前記張出し部の端縁近傍への接線と前記遊技領域の表面とのなす角度は、前記遊技領域外縁部の最上部近傍では相対的に大きく設定され、それ以外では相対的に小さく設定されたことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段4によれば、遊技領域の中心点を含み且つ遊技領域の表面に対して垂直な任意の平面による断面において、遊技領域外縁部の端点から張出し部の端縁近傍への接線と遊技領域の表面とのなす角度は、遊技領域外縁部の最上部近傍では相対的に大きく設定されているので、遊技領域の中心より上方である遊技者の視点位置から最も垂直に近い角度で視線が注がれる遊技領域外縁部の最上部近傍を確実に視認することができる。一方、遊技領域の最上部近傍以外では、接線と遊技領域の表面とのなす角度は、相対的に小さく設定されているので、張出し部の面積が大きくなり、装飾部材、スピーカ、表示装置等の配設スペースが確保される。また、遊技領域外縁部の最上部近傍以外では遊技者の視点位置から、より傾斜した角度で視線が注がれるので、張出し部と遊技領域外縁部との重なり幅が相対的に広く設定されていても、張出し部によって遮られることなく遊技領域外縁部を確実に視認することができる。
【0015】
5.前記張出し部は、前記遊技領域外縁部の最上部から左右両側へ下方に向かう少なくとも一部の領域で前記遊技領域外縁部の端点から前記張出し部の端縁近傍への接線と前記遊技領域の表面とのなす角度が徐々に縮小することを特徴とする手段4に記載の遊技機。
手段5によれば、遊技者の視点位置から遊技領域外縁部に対する視線の傾斜は、遊技領域外縁部の最上部から左右両側へ下方に向かうに従って大きくなるので、遊技領域外縁部の端点から張出し部の端縁近傍への接線と遊技領域の表面とのなす角度が徐々に縮小するように形成されることにより、遊技領域外縁部の視認性を確保しつつ、張出し部の面積をより大きくすることができる。
【0016】
6.前記張出し部と前記窓との間には、上下に開放された空間部が形成されたことを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
手段6によれば、張出し部と窓との間に形成された上下に開放された空間部を通して遊技領域に光が取り込まれるので、遊技領域における明るさが確保されて遊技者は快適に遊技に興ずることができる。
【0017】
7.前記窓枠前面の少なくとも一部を覆う装飾枠を備え、
その装飾枠に前記張出し部が形成されたことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
手段7によれば、窓枠前面の少なくとも一部を覆う装飾枠に張出し部が形成されているので、遊技領域外縁部の視認性を確保しつつ、装飾枠の表面積を大きくすることができ、装飾部材等の配設スペースが確保される。
【0018】
8.前記張出し部は前記窓枠と一体的に形成されたことを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
手段8によれば、張出し部が窓枠と一体的に形成されているので、遊技領域外縁部の視認性を確保しつつ、窓枠の面積を大きくすることができ、装飾部材等の配設スペースが確保される。
【0019】
9.前記張出し部に装飾部材が配設されたことを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載の遊技機。
手段9によれば、遊技領域の視認を妨げることなく、張出し部に大型の装飾部材を配設することができ、装飾による視覚的効果によって遊技の興趣をより一層高めることができる。
【0020】
10.前記装飾部材は、発光手段を備えた電飾部材であることを特徴とする手段9に記載の遊技機。
手段10によれば、光の点灯や点滅等による視覚的効果を通じて遊技の興趣をより一層高めることができる。
【0021】
11.前記張出し部にスピーカが配設されたことを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の遊技機。
手段11によれば、遊技領域の視認を妨げることなく、張出し部にスピーカを配設することができ、音響効果によって遊技の興趣をより一層高めることができる。
【0022】
12.前記張出し部に画面表示可能な表示装置が配設されたことを特徴とする手段1乃至11のいずれかに記載の遊技機。
手段12によれば、遊技領域の視認を妨げることなく、張出し部に表示装置を配設することができ、画面表示によって遊技の興趣をより一層高めることができる。例えば、表示装置として、ELディスプレイ(好ましくは、有機ELディスプレイ。尚、ELは、エレクトロルミネッセントの略。)を配設する構成としてもよい。尚、ELディスプレイは可撓性に優れているので、張出し部の形状に沿って湾曲させて配設することができる。
【0023】
13.前記遊技盤が取り付けられる本体枠を備えると共に、
前記窓枠は、前記遊技盤の前面側において前記本体枠に対し開閉可能に軸支されたことを特徴とする手段1乃至12のいずれかに記載の遊技機。
手段13によれば、遊技盤が取り付けられる本体枠を備えると共に、窓枠が遊技盤の前面側において本体枠に対し開閉可能に軸支された遊技機において、遊技領域外縁部の視認性を確保しつつ、張出し部の面積を大きくすることができ、装飾部材等の配設スペースが確保される。
【0024】
14.前記遊技機は、パチンコ遊技機であることを特徴とする手段1乃至13のいずれかに記載の遊技機。
手段14によれば、パチンコ遊技機において、遊技領域の外縁部を含む全体の視認性確
【0025】
以下、本発明の遊技機を具体化した一実施形態のパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」と称する)1について図面を参照しつつ説明する。パチンコ機1は、内部の遊技球払い出し機構を利用して遊技球の貸し出しを行うCR機と称されるタイプのパチンコ機であり、遊技ホールでは図示しないカードユニットが隣接配置され且つ電気的に接続される。
図1は、本実施形態のパチンコ機1を示す斜視図であり、
図2は、パチンコ機1を示す側面図である。
【0026】
パチンコ機1は、
図1及び
図2に示すように、外枠2と、その外枠2の前部に設けられ外枠2の一側部にて開閉可能に支持され且つ遊技領域14を有する本体枠3とを備えている。外枠2は、パチンコ機1のベースとなる枠であり、板材により全体として矩形状に構成され、本体枠3を矩形開口内にて開閉可能に支持している。また、外枠2前面下部には、合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂からなり、前方へ突出形成された左右一対の脚状部2a,2aが取り付けられている。尚、本実施の形態では、外枠2の上下方向の長さは808mm、左右方向の長さは520mmとなっている。
【0027】
本体枠3は、合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されている。本体枠3の開閉軸線はパチンコ機1の正面から見て左側に上下に延びるように設定されている。尚、外枠2は樹脂により構成されていてもよく、あたかも外枠2及び本体枠3が一体物に見えるように構成されていてもよい。
【0028】
本体枠3には、後述する下皿ユニット51を除く本体枠3の前面側を覆うように、ガラス扉枠4が本体枠3左端の垂直軸心回りに開閉自在に設けられている。さらに、本体枠3前面に装飾枠60が取り付けられている。尚、ガラス扉枠4が、本発明の窓枠を構成するものである。
【0029】
本体枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、
図3に示すように、遊技盤5が着脱可能に装着されている。尚、
図3は、ガラス扉枠4を開放した状態における本体枠3、遊技盤5等を示す正面図である。遊技盤5は、その周縁部が本体枠3の裏側に当接した状態で取り付けられており、
図3では、遊技盤5の前面部の略中央部分だけが本体枠3の前面側に露出した状態となっている。この遊技盤5の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは451mmとなっている。また、遊技盤5には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には、普通入賞チャッカー6、可変入賞装置7、作動チャッカー8、スルーチャッカー10、図柄変動表示装置57等が配設されている。
【0030】
図柄変動表示装置57は、長方形状を呈する液晶ディスプレイを備え、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の3つの表示列が画面表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が各図柄列毎にスクロールされるように表示画面に可変表示されるようになっている。
【0031】
尚、図柄変動表示装置57の制御を行う表示制御基板や、後述するスピーカ59a等における音声出力の制御を行う音声制御基板を含む各種の制御基板は、
図2に示すように、遊技盤5の背面側に設けた透明樹脂製の裏パック5aによって覆われている。また、パチンコ機1の主制御を行うメイン基板はメイン基板ボックス5bに、入賞による遊技球の払い出しやカードユニット20からの貸し出し要求に基づいて遊技球の払い出しを行う払出ユニット5d及び遊技球の発射を行う発射装置31の制御を行う払出発射制御基板は払出発射制御基板ボックス5cにそれぞれ収納されている。
【0032】
また、可変入賞装置7は、通常、遊技球Bが入賞できない状態又は入賞し難い状態になっている。より詳しくは、作動チャッカー8に対し遊技球Bが入賞することに基づいて、図柄変動表示装置57の液晶表示部の図柄が可変表示される。そして、確定された図柄の組合わせが予め設定した特定の図柄の組合わせとなったこと、ここでは停止した図柄が特定の組み合わせであることを必要条件に特別遊技状態が発生し、可変入賞装置7の大入賞口が所定の開放状態となり(具体的には所定時間、所定回数だけ開く)、遊技球Bが入賞しやすい状態(大当り遊技状態)になるよう構成されている。尚、図柄変動表示装置57において変動表示される複数の図柄列のうち、1つを除く他の図柄列の停止時の組合せが大当り図柄の組合せであるリーチ遊技状態となったときに、図柄変動表示装置57においてリーチ演出画面が表示されると共に、リーチ遊技状態の発生がスピーカ59a等から出力される効果音によって報知される。
【0033】
また、周知のとおり、前記一般入賞口6、可変入賞装置7、作動チャッカー8に遊技球Bが入賞することに基づいて、後述する上皿54(場合によっては下皿53)に対し所定数の遊技球が景品球として払い出されるようになっている。また、遊技盤5には、遊技球Bの落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車9等の各種部材(役物)が配設されている。
【0034】
さて、本体枠3は、
図3に示すように、外形が前記外枠2とほぼ同一形状をなす樹脂ベース11と、この樹脂ベース11の最内周側に位置し略円弧状をなすよう一体形成された内レール12と、主として図の左側の内レール12に対し所定間隔を隔てて前記樹脂ベース11に一体形成された外レール13とを備えている。これら内レール12及び外レール13は遊技球発射ハンドル52の回動操作に基づき発射装置31から発射された遊技球Bを遊技盤5上部へ案内する発射路としての役割を主として果たすものである。従って、内レール12と外レール13とが並行する部分(向かって左側の部分)によって、誘導レールが構成されることとなる。
【0035】
前記内レール12の下端部付近において、遊技盤5には遊技球Bを導出するアウト口25が形成されている。そして、遊技盤5の下部に落下した遊技球の多くは、このアウト口25を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。このような構成の下、本体枠3の内周側の窓孔によって主として遊技領域14の外縁部14aが確定されており、本体枠3に対し遊技盤5が装着された状態にあっては、内レール12及び外レール13が遊技盤5に当接又は近接した状態となる。そして、発射装置31により発射された遊技球Bは、主として外レール13によって遊技盤5の上部へと案内される。また、遊技盤5には、遊技球の払い出しを行う払出口32が設けられ、この払出口32に連通するようにガラス扉枠4側に払出口45が設けられている。
【0036】
次に、遊技領域14について説明する。本実施の形態では、遊技領域14を、パチンコ機1の正面から見て、内レール12及び外レール13によって囲まれる領域のうち、内外レール12,13の並行部分である誘導レールの領域を除いた略円形状の領域としている。また、パチンコ機1において、外レール13の最上部地点から遊技盤5下部までの間の距離は462mm、外レール13の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は449mmとなっている。また、内レール12の極左位置から内レール12の極右位置までの間の距離は432mmとなっている。尚、遊技領域14の形状は、略円形状には限られず、略楕円形状や略矩形状としても構わない。
【0037】
併せて、
図1及び
図3に示すように、ガラス扉枠4の存在していない本体枠3下部は、例えばABS樹脂よりなる下皿ユニット51となっている。下皿ユニット51の右下部からは、遊技球発射用ハンドル52が手前側に延設されている。また、下皿ユニット51のほぼ中央部には球受け皿としての景品球払出用の下皿53が設けられている。
【0038】
次に、ガラス扉枠4について、
図4及び
図5を参照しつつ説明する。ガラス扉枠4には、遊技領域14の殆どを外部から視認することができるように略円形状の窓部41が形成されている。尚、窓部41が、本発明における遊技領域を外部から視認させる窓に相当するものである。具体的には、窓部41は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になるようにしてもよい。
【0039】
また、窓部41の左端と、ガラス扉枠4の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅)は、ガラス扉枠4自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。より詳しくは、ガラス扉枠4が閉じられた状態において、外レール13の左側部は勿論、内レール12の左側部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。すなわち、誘導レールの一部が覆い隠される。このように遊技球Bが一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球Bが遊技領域14に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域14において遊技球Bが視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、ガラス扉枠4の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。
【0040】
また、ガラス扉枠4には、裏側から一対のガラス板42が並行して取り付けられている。ガラス扉枠4の左右方向の長さは、本体枠3とほぼ同等であり、そのガラス扉枠4によって本体枠3下部に設けられた下皿ユニット51を除く殆どの部分が覆われるようになっている。
【0041】
また、ガラス扉枠4前面上部には、
図1,
図2及び
図4に示すように、遊技領域14上部を左右方向に跨ぎつつ前方へ張り出すブリッジ状の張出し部47が形成されている。このため、張出し部47とガラス扉枠4本体前面との間には、上下に開放された空間部47hが形成される。張出し部47の中央では、ガラス扉枠4の本体前面より前方へ数cm〜十数cm程度張り出している(
図2参照)。また、張出し部47の左右の付け根部分の下側に隣接して、それぞれスピーカ59a,59aが取り付けられている(
図4参照)。
【0042】
ガラス扉枠4における窓部41下方の下部フレームには、上皿54が一体的に設けられている。
図5(a)は、上皿付近の上面図であり、(b)は上皿における遊技球の流れを示す上面図である。上皿54は、合成樹脂を成形することによって製造され、
図5(a)に示すように、ガラス扉枠4の払出し口45より払い出された遊技球及び遊技者により投入された遊技球を貯留する貯留部54a、払出し口45より払い出された遊技球を貯留部54aへ流入させる流入口54l、及び貯留部54aに貯留された遊技球をガラス扉枠4の供給穴49を通して発射装置31側へ供給する供給口54rを有し、流入口54l及び供給口54rの後端面においてガラス扉枠4にビス等を用いて取り付け固定されている。
【0043】
上皿54の貯留部54aは、流入口54l及び供給口54rに連続する底面部54bと、底面部54bの周囲を取り囲むように立設された前壁部54cと、底面部54bを挟んで前壁部54cと対向するように流入口54lと供給口54rとの間に立設され且つ前壁部54c側へ凸状となるようにに湾曲形成された後壁部54dとを有している。底面部54bは、左右方向に細長く且つガラス扉枠4から前方へ張り出すように形成されている。また、底面部54b後部の流入口54lと供給口54rとの間には前方側へ凹状をなす凹状輪郭部54uが形成され、上述した後壁部54dは凹状輪郭部54uに沿って立設されている。後壁部54dは、左右方向中央部でガラス扉枠4より数十mm程度(例えば、30〜50mm)前方側へ離間しており、後壁部54d背面とガラス扉枠4前面との間に空間部54hが形成される構造となっている。
【0044】
貯留部54aの底面部54b上には、後壁部54dの右側に、遊技球を一列に整列させて供給口54rより供給穴49を通して発射装置31側へ流下させる整流部54eが設けられている。整流部54eには、遊技球を後述する直線部54fへ誘導するための傾斜壁54kが、直線部54fを挟んで前壁部54c側及び後壁部54d側に形成されており、遊技球の流路が徐々に狭まる構造となっている。また、整流部54eには、底面部54b上で前後方向に延設され且つ前方側から供給穴49の位置する後方側に向かって下り傾斜する直線部54fが設けられ、この直線部54fの底面に細長い長方形状の金属板54mが装着されている。金属板54mは、遊技球の流れをスムーズにする機能、底面を補強して摩擦による削れを防止する機能、ノイズを防止する機能等を有している。また、金属板54mの下流端側には球抜き穴54jが形成されている。この球抜き穴54jは、通常の状態において直線部54fの底面裏側をスライド自在に設けられる開閉弁54iによって閉塞されており、開閉弁54iが前壁部54cに設けられる球抜きボタン54gの押下操作により移動されたときに、球抜き穴54jが開放されて貯留部54a内に貯留されていた遊技球を図示しない球抜き通路を介して下皿53に移動せしめるものである。
【0045】
ここで、上皿54の貯留部54aにおける遊技球Bの流れについて、
図5(b)を参照しつつ説明する。遊技球Bは、払出口45より払い出されると流入口54lより貯留部54a内に流入し、緩やかに右下がりに傾斜する底面部54bと、前壁部54c及び後壁部54dとに案内されて貯留部54a右側の供給口54rへ向かって転動して整流部54eに到達する。また、遊技者によって遊技球Bが貯留部54a内へ投入された場合も、同様に、底面部54b等に案内されて転動して整流部54eへ到達する。そして、遊技球Bは整流部54eの直線部54fを挟んで両側に設けられた傾斜壁54kによって誘導されて一列に整列されると共に、直線部54f上を下り傾斜する後方側(ガラス扉枠4側)へ転動して金属板54mの下流端より供給穴49へ流下する。供給穴49から球送り装置48へ供給された遊技球は、1個ずつ発射レール33に導かれ、発射装置31によって発射される。
【0046】
また、ガラス扉枠4下部の左右両側には、
図4に示すように、下方へ延設された一対の延設部44,44が設けられている。本体枠3を外枠2側へ閉じた際に、延設部44,44が、外枠2下部前面の左右に設けられた脚状部2a,2a上面にてそれぞれ当接支持される(
図1参照)。
【0047】
次に、装飾枠60について、
図6を参照しつつ説明する。装飾枠60は、ガラス扉枠4の窓部41を除き上部の張出し部47から下部の上皿54に至る前面部分を覆う部材であり、合成樹脂の成形加工によって形成される。
【0048】
装飾枠60上部には、ガラス扉枠4の張出し部47前面を覆うブリッジ状の張出し部67が形成され、スピーカ59a,59aを臨ませるスピーカ用開口部60c,60cが左右に形成されている。張出し部67は、正面視で遊技領域外縁部14aと所定の重なり幅で重なるように形成され、パチンコ遊技機1上部を装飾する装飾部材としての役割を果たしており、赤、青、黄等に着色してもよく、透明樹脂により構成してもよい。張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅は、張出し部67中央付近(遊技領域外縁部14a最上部近傍)では相対的に狭く設定され、最右部又は最左部へ向かうに従って徐々に広くなるように設定されている。
【0049】
装飾枠60下部右端には、遊技球の貸し出しに関する操作を行うための貸球操作部66が配設されている。貸球操作部66は、
図1及び
図6に示すように、遊技球の貸し出し可能状態をランプによって示す貸出ボタンランプ66a、遊技球の貸し出しを行うための貸出ボタン66b、プリペイドカードの返却を行うための返却ボタン66c、プリペイドカードの残り度数を表示する度数表示LED66dとを備えている。
【0050】
装飾枠60の略中央には、略円形状の窓用開口部60aが形成され、ガラス扉枠4の窓部41に装着されたガラス板42を介して遊技領域14を視認可能となっている。窓用開口部60a周縁には、正面視で遊技領域外縁部14aと所定の重なり幅で重なるように形成された窓周縁部60bが設けられている。窓周縁部60bは、窓部の周囲を装飾する装飾部材としての役割を果たしており、赤、青、黄等に着色してもよく、透明樹脂により構成してもよい。窓周縁部60bと遊技領域外縁部14aとの重なり幅は、窓周縁部60bの最上部近傍では相対的に狭く設定され、最右部又は最左部へ向かうに従って徐々に広くなるように設定されている。
【0051】
装飾枠60の窓用開口部60aの下方には、上皿54前面を覆うように前方へ膨出形成された膨出部63が設けられている。膨出部63は、
図1に示すように、装飾枠60をガラス扉枠4に取り付けた際に上皿54を収容可能な空間が内部に形成されつつ、所望形状で前側(遊技者側)に膨出形成されたものであり、上皿54上面を開口させる上皿用開口部63aが形成されている。この上皿用開口部63aにおいて上皿54が外部に露出しているため、上皿54に貯留された遊技球を取り出したり、或いは上皿54の貯留部54aに遊技球を補充したりすることができる。
【0052】
次に、遊技者の視界と張出し部67及び遊技領域14との関係について、
図7乃至11を参照しつつ説明する。まず、遊技者とパチンコ機1との位置関係について、
図7を参照しつつ説明する。
図7において、平均的な遊技者の視点位置を遊技領域14より前方へ500mm(長さa)且つパチンコ機1最上部より下方へ150mm(長さb)の位置とする。尚、床から遊技者の視点位置までの長さcを1300mmとする。
【0053】
また、
図8は、パチンコ機1を正面視した状態における遊技領域14と装飾枠60の窓周縁部60bとの重なりを示す図である。
図8において、位置イは遊技領域外縁部14aの最上部、位置ロは位置イより時計回りに45度の位置を示している。位置イにおいて、張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅w1は20mmである。また、位置ロにおける重なり幅w2は40mmである。尚、張出し部67は左右対称の形状であって、中心線を挟んで位置ロの線対称位置における張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅もw2である。
【0054】
次に、遊技領域14の中心点を通り且つ遊技領域14表面に垂直な平面による
図8の位置イ、ロにおける断面図を
図9〜11に示す。
図9は、
図8のA−A線断面図である。
図9において、遊技領域外縁部14aの端点イから張出し部67の端部近傍への接線L1と遊技領域14表面とのなす角度がd1に設定されている。そして、遊技者視点位置と遊技領域外縁部14aの端部とを結ぶ直線は、接線L1よりも遊技領域14側に位置する。よって、位置イでは張出し部67が正面視で遊技領域外縁部14aとw1の重なり幅で重なるように設けられているにも拘らず、遊技者視点位置から遊技領域14を視た時には、張出し部67に遮られることなく遊技領域外縁部14aを視認することができる。
【0055】
図10は、
図8のB−B線断面図である。
図10において、遊技領域外縁部14aの端点ロから張出し部67の端部近傍への接線L2と遊技領域14表面とのなす角度は、d1よりも小さいd2に設定されている。そして、遊技者視点位置と遊技領域外縁部14aの端部とを結ぶ直線は、接線L2よりも遊技領域14側に位置する。よって、位置ロでは張出し部67が正面視で遊技領域外縁部14aとw1より長いw2の重なり幅で重なるように設けられているにも拘らず、遊技者視点位置から遊技領域14を視た時には、張出し部67に遮られることなく遊技領域外縁部14aを視認することができる。
【0056】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、略円形状の遊技領域14を有する遊技盤5が取り付けられる本体枠3と、遊技盤5の前面側において本体枠3に対し開閉可能に軸支され且つ遊技領域14を外部から視認させる略円形状の窓部41が形成されたガラス扉枠4と、ガラス扉枠4に取り付けられる装飾枠60とを備え、装飾枠60は、窓部41の上部にて前方へ張り出し且つ遊技領域外縁部14aの一部と正面視で重なるように形成された張出し部67を備え、張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅は、遊技領域外縁部14aの最上部近傍では相対的に狭く設定され、それ以外では相対的に広く設定されたことを特徴とする。すなわち、張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅が、遊技領域外縁部14aの最上部(
図8で位置イ)近傍では相対的に狭く設定されているので(重なり幅w1)、略円形状の遊技領域14の中心より上方である遊技者の視点位置から最も垂直に近い角度で視線が注がれる遊技領域外縁部14aの最上部近傍を確実に視認することができる。一方、遊技領域外縁部14aの最上部近傍以外(
図8で位置ロ)では、遊技領域外縁部14aとの重なり幅が相対的に広く設定されているので(重なり幅w2)、装飾部材としての張出し部67前面の面積が大きく確保される。また、遊技領域外縁部14aの最上部近傍以外では遊技者の視点位置から、より傾斜した角度で視線が注がれるので、張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅が相対的に広く設定されていても、張出し部67によって遮られることなく遊技領域外縁部14aを確実に視認することができる。
【0057】
また、遊技者の視点位置から遊技領域外縁部14aに対する視線の傾斜は、遊技領域外縁部14aの最上部から左右両側へ下方に向かうに従って大きくなるので、張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅が徐々に増大するように形成されることにより、遊技領域外縁部14aの視認性を確保しつつ、張出し部67の面積をより大きくすることができる。
【0058】
また、遊技領域14の中心点を含み且つ遊技領域14表面に対して垂直な任意の平面による断面において、遊技領域外縁部14aの端点から張出し部67の端縁近傍への接線と遊技領域14表面とのなす角度は、遊技領域外縁部14aの最上部近傍では相対的に大きく設定されているので、遊技領域14の中心より上方である遊技者の視点位置から最も垂直に近い角度で視線が注がれる遊技領域外縁部14aの最上部近傍を確実に視認することができる。一方、遊技領域外縁部14aの最上部近傍以外では、接線と遊技領域14表面とのなす角度は、相対的に小さく設定されているので、張出し部67の面積が大きくなり、装飾部材等の配設スペースが確保される。また、遊技領域外縁部14aの最上部近傍以外では遊技者の視点位置から、より傾斜した角度で視線が注がれるので、張出し部67と遊技領域外縁部14aとの重なり幅が相対的に広く設定されていても、張出し部67によって遮られることなく遊技領域外縁部14aを確実に視認することができる。
【0059】
また、遊技者の視点位置から遊技領域外縁部14aに対する視線の傾斜は、遊技領域外縁部14aの最上部から左右両側へ下方に向かうに従って大きくなるので、遊技領域外縁部14aの端点から張出し部67の端縁近傍への接線と遊技領域14の表面とのなす角度が徐々に縮小するように形成されることにより、遊技領域外縁部14aの視認性を確保しつつ、張出し部67の面積をより大きくすることができる。
【0060】
また、張出し部67と窓部41との間には、上下に開放された空間部47hが形成され、その空間部47hを通して遊技領域14に光が取り込まれるので、遊技領域14における明るさが確保されて遊技者は快適に遊技に興ずることができる。
【0061】
また、ガラス扉枠4前面の一部を覆う装飾枠60を備え、その装飾枠60に張出し部67が形成されているので、遊技領域外縁部14aの視認性を確保しつつ、装飾枠60の面積を大きくすることができ、装飾部材等の配設スペースが確保される。
【0062】
尚、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。例えば、前記実施形態において示した張出し部67と遊技領域外縁部14aとの正面視における重なり幅の寸法は、一例を示したものであり、適宜変更して実施してもよいことは勿論である。
【0063】
また、前記実施形態では、張出し部67を有する装飾枠60をガラス扉枠4とは別体で形成してガラス扉枠4に取り付ける構成としたが、装飾枠60とガラス扉枠4とを一体的な部材として形成し、装飾枠60側の張出し部67をガラス扉枠4側の張出し部47と一体化した構成としてもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、張出し部67を着色等することにより装飾部材として構成したが、
図11に示す第一の変形例のように、張出し部67前面に各種ランプ、LED等の発光手段を備えた複数の電飾部材67aを配設し、大当り時や所定のリーチ時等の遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光手段の発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすように構成してもよい。勿論、これら電飾部材を、ガラス扉枠4に設ける構成や遊技盤5に設ける構成(コーナー飾りと称される電飾部材を遊技盤5のコーナー部等に配設する)としてもよいし、場合によっては本体枠3に設ける構成としてもよい。更には、前後一対のガラス42間に配設する構成としてもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、ガラス扉枠4側にスピーカ59a,59aを設け、張出し部67に形成されたスピーカ用開口部60c,60cよりスピーカ59a,59aを臨ませる構成としたが、
図12に示す第二の変形例のように、張出し部67にスピーカ59b,59bを配設する構成としてもよい。本変形例によれば、遊技領域14の視認を妨げることなく張出し部67にスピーカ59b,59bを配設することができ、音響効果によって遊技の興趣をより一層高めることができる。
【0066】
また、
図13に示す第三の変形例のように、張出し部67に画面表示可能な表示装置57’,57’を配設する構成としてもよい。本変形例によれば、遊技領域の視認を妨げることなく、張出し部67に表示装置57’を配設することができ、画面表示によって遊技の興趣をより一層高めることができる。
図13では、張出し部67の左右に配設された表示装置57’,57’において、リーチ遊技状態の発生を知らせる画面表示が行われている例を示している。また、例えば、表示装置57’として、ELディスプレイ(好ましくは、有機ELディスプレイ。尚、ELは、エレクトロルミネッセントの略。)を配設する構成としてもよい。ELディスプレイは可撓性に優れているので、張出し部67の形状に沿って湾曲させて配設することができる。