特許第5979231号(P5979231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5979231継手用成形型及びそれを用いた継手の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979231
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】継手用成形型及びそれを用いた継手の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20160817BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20160817BHJP
   F16L 21/02 20060101ALN20160817BHJP
【FI】
   B29C33/38
   B29C45/26
   !F16L21/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-519785(P2014-519785)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(86)【国際出願番号】JP2012064835
(87)【国際公開番号】WO2013183169
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】寺町 大樹
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−153260(JP,A)
【文献】 特開2007−162786(JP,A)
【文献】 特開2005−163974(JP,A)
【文献】 特開2006−175598(JP,A)
【文献】 特表2001−515804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/38
B29C 45/00−45/84
F16L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成されるキャビティに溶融樹脂を射出して継手を成形するための継手用成形型であって、前記継手は合成樹脂製の継手本体を備え、前記継手本体にはパイプが差し込まれる差込空間を形成する内筒部及び外筒部が一体形成され、前記内筒部の外周面にはシール部材が嵌着される嵌着溝が設けられ、前記嵌着溝に嵌着されたシール部材により前記差込空間に差し込まれたパイプと前記内筒部との間がシールされ、前記外筒部には前記嵌着溝及び前記嵌着溝に嵌着されたシール部材を外部から視認するための一対の視認窓が設けられ、前記視認窓は前記外筒部の対向する位置にそれぞれ一つずつ設けられ、前記継手は、前記視認窓を介して前記シール部材の非装着時に前記嵌着溝の全周及び全幅を視認可能に構成されている継手用成形型であって、
前記継手用成形型は、前記キャビティを形成する固定側分割型及び可動側分割型と、前記固定側分割型及び前記可動側分割型に組付けられる中子とを有し、
前記固定側分割型及び前記可動側分割型は、前記継手本体の外周面を成形し、
前記中子は、前記外筒部、前記内筒部、前記嵌着溝及び前記視認窓を成形し、
前記中子には、突出型を挿通するための挿通孔が形成され、
前記突出型は、前記嵌着溝及び前記視認窓を成形することを特徴とする、
継手用成形型。
【請求項2】
前記突出型は、前記中子に組付けられるか、又は前記固定側分割型及び可動側分割型に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の継手用成形型。
【請求項3】
前記突出型の端部には、嵌着溝を成形するための突条が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の継手用成形型。
【請求項4】
前記突条は、半円状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の継手用成形型。
【請求項5】
前記視認窓は、正面四角形状に形成され、
前記視認窓を形成する突出型の長さ及び幅は、前記嵌着溝を形成する突条の長さ及び幅より大きく設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の継手用成形型。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の継手用成形型を用いて継手を製造する方法であって、
前記中子の挿通孔に突出型を挿通する工程と、
前記中子を前記固定側分割型に組付ける工程と、
前記可動側分割型を固定側分割型に型閉めし、前記継手用成形型内のキャビティに溶融樹脂を射出して、前記継手を成形する工程と
を備えることを特徴とする継手の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水系や給湯系の配管システムに用いられる継手を成形するための継手用成形型及びそれを用いた継手の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の継手において、継手本体と、継手本体内に差し込まれるパイプとの間には、水密性を保持するため、シール部材が装着されている。このように水密性を保持する方法として、パイプの外周側をシールする外径シール方式と、パイプの内周側をシールする内径シール方式とがある。通常、パイプは、その外周面を露出させて保管される。このため、パイプの外周面には、異物や傷が存在している。このため、外径シール方式の場合、パイプを継手に接続したとき、パイプに付着した異物や傷が原因で水が漏れることがある。一方、内径シール方式の場合、パイプの内周面でシールするため、そのような水漏れは生じない。内径シール方式の継手は、外筒部と内筒部との間に、パイプの差込空間を有している。また、内筒部の外周面には嵌着溝が設けられると共に、嵌着溝にはシール部材が嵌着されている。
【0003】
この種の内径シール方式の管継手が、特許文献1に開示されている。管継手は、流路全体を構成する継手本体と、継手本体を覆う外皮とからなる。継手本体は、射出成形により形成される。外皮は、継手本体をモールド内に挿入して外皮樹脂を注入することにより、継手本体に形成される。この構成によれば、管継手を構成する継手本体と外皮とは、別部材である。また、継手本体を成形した後にインサート成形し、継手本体の外側に外皮を成形する必要もある。このため、管継手の構成が複雑になり、管継手の製造方法も煩雑になる。従って、内筒部及び外筒部が継手本体に一体化され、かつ製造が容易な継手が求められている。
【0004】
そのような継手として、特許文献2に記載のパイプ継手が知られている。この文献に開示のパイプ継手は、パイプの内周面に沿って差し込まれる内筒部を有する継手基体を備えている。継手基体には、外筒部が、内筒部を覆うように一体形成されている。内筒部の外周面に形成された溝には、シール部材としての止水用Oリングと、酸素不透過性Oリングとが並んで嵌め込まれている。継手基体には、パイプ抜け防止部材の抜けを防止するキャップが装着されている。
【0005】
特許文献3は、差し込み式管継手を開示している。この文献に開示の管継手には、継手に挿入されるパイプの先端位置を確認するための確認用孔が設けられている。管継手は、内筒体と外筒体とからなる二重筒体を有している。内筒体と外筒体との間には、接続管が挿入される間隙が形成されている。内筒体の外周面に形成される溝には、シールリングが嵌め込まれている。外筒体においてシールリングを外部から目視できる位置には、確認用孔が設けられている。確認用孔は、管継手の軸方向に延びる長孔である。
【0006】
ところで、特許文献2に記載の継手によれば、内筒部に止水用Oリングと酸素不透過性Oリングとを装着した後は、外筒部の存在により、外部から止水用Oリングと酸素不透過性Oリングとを視認することは困難である。このため、内筒部にシール部材を装着し忘れる虞がある。この場合、継手にパイプを接続して通水したとき、継手から水が漏れる。さらに、内筒部の外周面に溝を設けたことから、内筒部と外筒部とを同時に一体成形することは困難である。このため、外筒部を、その本体部分と内筒部の周溝に対向する部分とに分割して構成し、2段階に成形していた。しかしながら、この製造方法では、成形型が複雑になり、製造工程が増えてしまう。
【0007】
特許文献3に記載の管継手によれば、確認用孔から、シールリングの幅全体を視認することはできる。しかしながら、確認用孔の幅がシールリングの長さに比べて短いため、確認用孔から、シールリングを全周に亘り視認することはできない。つまり、シールリングの一部に傷があるか否か、シールリングに埃や塵等が付着しているか否かについて、シールリングを全周に亘り確認することはできない。また、シールリングの非装着時には、シールリング用の溝の全周を視認することもできない。このため、成形時にシールリング用の溝に形成されたばりの有無を、溝の全周に亘り確認することもできない。
【0008】
この管継手を製造する場合、まず、シールリング用溝を有する内筒体を継手本体と一体に成形する。その後、継手本体とは別に成形した外筒体を、継手本体に螺合して、両部材を一体化する。そのため、継手本体用の成形型と外筒体用の成形型とを別々に準備する必要があり、継手本体と外筒部とを別個に成形してそれらを組付ける必要もある。よって、管継手の製造が面倒である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−233363号公報
【特許文献2】特開2008−95899号公報
【特許文献3】特開2005−48916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、構成が簡易で、かつ継手を容易に成形することのできる継手用成形型及びそれを用いた継手の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の第一の態様によれば、内部に形成されるキャビティに溶融樹脂を射出して継手を成形するための継手用成形型が提供される。継手は合成樹脂製の継手本体を備え、継手本体にはパイプが差し込まれる差込空間を形成する内筒部及び外筒部が一体形成され、内筒部の外周面にはシール部材が嵌着される嵌着溝が設けられ、嵌着溝に嵌着されたシール部材により差込空間に差し込まれたパイプと内筒部との間がシールされ、外筒部には嵌着溝及び嵌着溝に嵌着されたシール部材を外部から視認するための一対の視認窓が設けられ、視認窓は外筒部の対向する位置にそれぞれ一つずつ設けられている。継手は、視認窓を介してシール部材の非装着時に嵌着溝の全周及び全幅を視認可能に構成されている。継手用成形型は、キャビティを形成する固定側分割型及び可動側分割型と、固定側分割型及び可動側分割型に組付けられる中子とを有し、固定側分割型及び可動側分割型は継手本体の外周面を成形し、中子は外筒部、内筒部、嵌着溝及び視認窓を成形し、中子には突出型を挿通するための挿通孔が形成され、突出型は嵌着溝及び視認窓を成形する。
【0012】
この構成によれば、継手用成形型は、固定側分割型、可動側分割型、中子、及び中子の挿通孔に挿入される突出型を有している。また、挿通孔に突出型が挿入された中子を固定側分割型内に配置し、固定側分割型に可動側分割型を型閉めし、両分割型内のキャビティに溶融樹脂を射出する。このようにすれば、簡単な操作により、短い工程でかつ短時間で、継手本体の成形が完了する。よって、構成が簡易で、継手を容易かつ速やかに成形することができる。
【0013】
上記の継手用成形型において、突出型は、中子に組付けられるか、又は固定側分割型及び可動側分割型に設けられていることが好ましい。
【0014】
上記の継手用成形型において、突出型の端部には、嵌着溝を成形するための突条が設けられていることが好ましい。
【0015】
上記の継手用成形型において、突条は、半円状に形成されていることが好ましい。
【0016】
上記の継手用成形型において、視認窓は、正面四角形状に形成され、視認窓を形成する突出型の長さ及び幅は、嵌着溝を形成する突条の長さ及び幅より大きく設定されていることが好ましい。
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の第二の態様によれば、継手用成形型を用いて継手を製造する方法が提供される。この製造方法は、中子の挿通孔に突出型を挿通する工程と、中子を固定側分割型に組付ける工程と、可動側分割型及び固前記定側分割型を型締めし、継手用成形型内のキャビティに溶融樹脂を射出して、継手を成形する工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係る継手用成形型の中子に突出型を組付け、固定側分割型の上方に配置した状態を示す斜視図。
図2】中子と突出型とを分解して示す斜視図。
図3】中子を固定側分割型に組付け、固定側分割型の上方に可動側分割型を配置した状態を示す斜視図。
図4】固定側分割型に可動側分割型を型閉じめした状態を示す断面図。
図5】キャビティ内に溶融樹脂を射出した状態を示す断面図。
図6】成形後、固定側分割型から可動側分割型を離型した状態を示す斜視図。
図7】分割型から中子と共に取り出された成形体を示す斜視図。
図8図7の成形体から突出型及び中子を外して得られた継手本体を示す斜視図。
図9】(a)は継手本体の平面図、(b)は継手本体の正面図、(c)は継手本体の右側面図。
図10】継手本体に部品及びパイプが組付けられる状態を示す斜視図。
図11】継手にパイプを接続した状態を示す断面図。
図12】本発明の第2実施形態に係る継手用成形型であって固定側分割型に突出型を設け、固定側分割型の上方に中子を配置した状態を示す斜視図。
図13】中子を固定側分割型内に組付け、固定側分割型の上方に可動側分割型を配置した状態を示す斜視図。
図14】成形後、固定側分割型から可動側分割型を離型した状態を示す斜視図。
図15】分割型から中子と共に取り出された成形体を示す斜視図。
図16図15の成形体から中子を外した状態を示す斜視図。
図17】本発明の第3実施形態に係る継手用成形型を構成する中子と突出型とを示す斜視図。
図18】突出型を組付けた中子を固定側分割型の上方に配置した状態を示す斜視図。
図19】(a)は継手本体の平面図、(b)は継手本体の正面図、(c)は継手本体の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について図1図11に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図9(a)〜(c)に示すように、継手本体11は、樹脂パイプ12が接続される円筒状の一対のパイプ接続部13を備えている。各パイプ接続部13は、反対方向を向くように設けられている。継手本体11は、ゴム入りの合成樹脂、具体的には、ゴムが混入されたポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)により形成されている。樹脂パイプ12は、ポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブテン等)等の合成樹脂により形成されている。一対のパイプ接続部13はいずれも同じ構成を有するため、一方のパイプ接続部13についてのみ説明する。
【0021】
図10及び図11に示すように、継手本体11には、内筒部15及び外筒部16が一体形成されている。内筒部15及び外筒部16は、樹脂パイプ12が差し込まれる差込空間14を形成する。内筒部15の外周面には、一対の嵌着溝17が並んで設けられている。一対の嵌着溝17のそれぞれには、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)製のシール部材18が嵌着されている。シール部材18により、差込空間14に差し込まれた樹脂パイプ12の内周面と内筒部15の外周面との間がシールされる。一対の嵌着溝17は、継手本体11の長さを抑えるため、外筒部16の外端よりも内側に配置されている。内筒部15内の空間は、水等の流体が流通する流路19である。
【0022】
差込空間14内には、円筒状のスペーサ20が挿入されている。差込空間14に樹脂パイプ12を差し込むと、スペーサ20は、樹脂パイプ12の外周面に密接する。スペーサ20は、ポリアミド樹脂等の透明樹脂により形成されている。この構成によれば、スペーサ20の内側が透視できると共に、差込空間14へのゴミの侵入が遮られる。
【0023】
スペーサ20の外端付近には、差込空間14に差し込まれた樹脂パイプ12を抜けないよう保持するための抜け止め機構21が設けられている。抜け止め機構21は、ステンレス鋼等からなる抜け止めリング22を備えている。抜け止めリング22の内周部には、斜めに突出する複数の抜け止め片22aが形成されている。抜け止め片22aは、差込空間14に差し込まれた樹脂パイプ12の外周部に食い込み、樹脂パイプ12を抜けないように保持する。
【0024】
抜け止めリング22は、外筒部16に被せられるPPS製のキャップ23と、ポリアセタール樹脂(POM)製の押さえリング24とに挟着されている。キャップ23の内周面には、係止凹部23aが設けられている。係止凹部23aには、外筒部16の係止凸条16aが係止される。これにより、キャップ23が外筒部16に取着される。キャップ23を透明樹脂で形成することにより、キャップ23、後述する視認窓25、スペーサ20を介して、シール部材18を視認することができる。
【0025】
抜け止めリング22とキャップ23との間には、PPS製の割りリング26が介在されている。割りリング26により、抜け止め片22aの傾斜角度が保持されている。抜け止めリング22、押さえリング24、キャップ23、割りリング26等によって、樹脂パイプ12の抜け止め機構21が構成されている。
【0026】
差込空間14には、ポリプロピレン樹脂(PP)製の差込ガイド27が配置されている。差込ガイド27は、樹脂パイプ12の先端面に押圧されて樹脂パイプ12の差し込みを案内する。差込ガイド27は、Cリング状に形成されている。差込ガイド27は、拡縮可能である。キャップ23の外周面には、ステンレス鋼製のキャップカバー28が装着されている。キャップカバー28は、外筒部16に対してキャップ23を抜けないように保持する。
【0027】
外筒部16には、一対の視認窓25が設けられている。視認窓25は、内筒部15の嵌着溝17又は嵌着溝17に嵌着されるシール部材18を外部から覗くために用いられる。視認窓25は、外筒部16の周面において対向する位置にそれぞれ一つずつ設けられている。視認窓25は、外筒部16をその外端から軸線方向に沿って内方へ切欠いて形成されている。視認窓25は、正面四角形状に形成されている。視認窓25により、内筒部15の嵌着溝17の状態や、嵌着溝17にシール部材18が装着されているか否かを、外部から確認することができる。また、シール部材18が正規の位置に嵌着されているか否か、シール部材18の表面における傷、塵、埃等の有無を確認することもできる。
【0028】
図9(b)に示すように、外筒部16の径方向における視認窓25の長さ(正面から見た長さ)Yは、内筒部15の径方向における嵌着溝17の長さy以上に設定されている。また、外筒部16の軸線方向における視認窓25の幅Dは、内筒部15の軸線方向における嵌着溝17の幅d以上に設定されている。視認窓25の長さY及び幅Dを上記のように設定することにより、視認窓25から、嵌着溝17の周方向全体及び幅方向全体を視認できると共に、嵌着溝17に装着されるシール部材18の周方向全体及び幅方向全体を視認することもできる。
【0029】
嵌着溝17にばりが存在すると、内筒部15とシール部材18との間の水密性が損なわれる。このため、視認窓25から嵌着溝17の全体を目視してばりの有無を確認する必要がある。また、ばりが存在する場合、視認窓25から工具を差し込んでばりを除去することもできる。視認窓25の両側部のそれぞれには、係合凹部29が一つずつ形成されている。
【0030】
図10に示すように、スペーサ20の外端において対向する各位置には、突起部30がそれぞれ一つずつ設けられている。各突起部30の両側面のそれぞれには、係合凸部31が一つずつ形成されている。スペーサ20が差込空間14に差し込まれると、突起部30が視認窓25に係入されると共に、係合凸部31が係合凹部29に係合される。こうして、継手本体11からスペーサ20が抜け止ないように保持される。
【0031】
また、外筒部16には、差込空間14に差し込まれる樹脂パイプ12を確認するための確認孔32が形成されている。確認孔32は、外筒部16の周方向において視認窓25と同一位置に設けられている。継手本体11にシール部材18、スペーサ20、抜け止め機構21、キャップ23等を組付けることにより、継手10が構成されている。
【0032】
樹脂パイプ12を差込空間14に差し込むと、樹脂パイプ12の内端が差込ガイド27に案内されて、抜け止め機構21により抜けないように保持される。こうして、継手本体11の両パイプ接続部13のそれぞれに樹脂パイプ12が接続される。
【0033】
次に、上記の継手10を製造するための継手用成形型について説明する。
【0034】
図1図3に示すように、継手用成形型40は、固定側分割型41と、固定側分割型41に対向して配置される可動側分割型43とにより構成されている。図4に示すように、各分割型41,43には、反対方向を向く一対の外筒部16の外周面を形成するためのキャビティ44が設けられている。両分割型41,43を型閉めしてキャビティ44に溶融樹脂を射出することにより、継手本体11の外周面が成形される。
【0035】
固定側分割型41に可動側分割型43を型締めすると、それらの内側には中子収容凹部46が形成される。中子収容凹部46内には、一対の中子45が、内筒部15及び外筒部16を成形すべく対向して配置される。中子45の外端には、フランジ47が設けられている。中子45の内端には、中子45の軸線方向に延びる環状凹部48が形成されている。環状凹部48は、内筒部15を形成するためのものである。中子45の中間部には、中子45の軸線と直交する方向に貫通する挿通孔49が設けられている。
【0036】
突出型50は、中子45の挿通孔49に挿入される。突出型50の内周端には、半円弧面51が形成されている。半円弧面51には、内筒部15の外周面に嵌着溝17を形成するための一対の突条52が設けられている。一対の突出型50が中子45の挿通孔49に挿入されて突き合わされる。これにより、2つの突出型50の半円弧面51により円周面が形成されると共に、突条52により嵌着溝17が成形される。可動側分割型43の内面は、固定側分割型41の内面と同形状である。
【0037】
突出型50の外端には、外筒部16の視認窓25を切欠き状に形成するための膨出部53が設けられている。突出型50の両側部には、外筒部16の係合凹部29を形成するための突部56が設けられている。一方、固定側分割型41の内面には、突出型収容凹部54が形成されている。突出型50が組付けられた中子45が固定側分割型41内に収容されると、突出型収容凹部54に突出型50が嵌り込む。そして、挿通孔49に中子45が挿入された突出型50を突出型収容凹部54内に収容してから、可動側分割型43及び固定側分割型41を閉じて、成形が行われる。これにより、継手本体11の外筒部16に、切欠き状の視認窓25が形成される。
【0038】
このように、視認窓25は、突出型50により形成され、嵌着溝17は、突出型50の半円弧面51に設けられた突条52により形成される。このことから、視認窓25の長さYは嵌着溝17の長さyより大きく、視認窓25の幅Dは嵌着溝17の幅dより大きくなる。
【0039】
また、固定側分割型41の内面には、周方向に延びる確認孔成形用凸部55が設けられている。確認孔成形用凸部55は、突出型収容凹部54よりも軸線方向に沿って内側に配置されている。確認孔成形用凸部55は、継手本体11に確認孔32を形成するためのものである。
【0040】
次に、上記の継手10の製造方法を作用と共に説明する。
【0041】
図2に示すように、まず、一対の突出型50を、中子45の挿通孔49に対し上下方向からそれぞれ挿入して組付ける。このとき、一対の突出型50は、挿通孔49の中央付近にまで挿入される。これにより、両突出型50が中子45に対し簡単に組付けられる。次に、図1に示すように、突出型50が組付けられた一対の中子45を、固定側分割型41の中子収容凹部46内に収容する。尚、固定側分割型41の内面には、突出型収容凹部54が形成されている。このため、突出型50を突出型収容凹部54に嵌め込むことで、突出型50が組付けられた中子45を、固定側分割型41内に円滑に収容することができる。
【0042】
その後、図3及び図4に示すように、固定側分割型41に対して可動側分割型43を閉じる。これにより、両分割型41,43内にキャビティ44が形成される。そして、図5及び図6に示すように、キャビティ44にゲート57から溶融樹脂(PPS樹脂)を射出して、継手本体11を成形する。キャビティ44によって、継手本体11の外筒部16、内筒部15、視認窓25、嵌着溝17及び確認孔32が同時に成形される。
【0043】
図6に示すように、冷却後可動側分割型43を固定側分割型41から離型する。続いて、図7に示すように、成形された継手本体11を中子45及び突出型50と共に、固定側分割型41から取り出す。このとき、継手本体11は中子45と一緒に、無理なく取り出すことができる。そして、図8に示すように、一対の突出型50を中子45の挿通孔49から上下方向に抜き出した後、中子45を、フランジ47を利用して引き抜く。この場合、継手本体11には中子45と突出型50に対してアンダーカット部分が存在しないため、突出型50から中子45を円滑に離型することができる。こうして、図9(a)〜図9(c)に示す継手本体11が成形される。そして、継手本体11にシール部材18、スペーサ20、抜け止め機構21、キャップ23等を組付けることにより、継手10が完成する。
【0044】
以上、第1実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0045】
(1)継手用成形型40は、固定側分割型41及び可動側分割型43と、両分割型41,43に組付けられる中子45とを有している。両分割型41,43は、継手本体11の外周面を成形し、中子45は、継手本体11の外筒部16、内筒部15、嵌着溝17及び視認窓25を成形する。中子45には、挿通孔49が形成されている。挿通孔49には、嵌着溝17及び視認窓25を成形する突出型50が挿通される。この構成によれば、突出型50が挿通孔49に挿入された中子45を固定側分割型41内に配置し、両分割型41,43を型締めして溶融樹脂を射出することにより、継手本体11が成形される。従って、スライドコアを用いずに簡単な操作により、短い工程で、かつ短時間で、継手本体11の成形を完了する。
【0046】
(2)突出型50は、中子45の挿通孔49に組付けられる。このため、突出型50を中子45の挿通孔49に挿脱するだけで、中子45に対し突出型50を組付けたり、突出型50を離型したりすることが容易に行える。
【0047】
(3)突出型50の内周端には、嵌着溝17を成形するための突条52が設けられている。従って、中子45に組付けられた突出型50の突条52により、内筒部15の外周面に嵌着溝17を形成することができる。
【0048】
(4)突出型50の突条52は、半円状に形成されている。そのため、一対の突条52により、円環状の嵌着溝17を形成することができる。
【0049】
(5)視認窓25は、正面四角形状に形成されている。視認窓25を形成する突出型50の長さ及び幅は、嵌着溝17を形成する突条52の長さ及び幅より大きく設定されている。このため、視認窓25を嵌着溝17よりも大きく形成することができる。よって、視認窓25から嵌着溝17の全体を視認することができる。
【0050】
(6)継手用成形型40を用いて継手本体11を製造する場合、まず、中子45の挿通孔49に突出型50を挿入する。この状態で、中子45を固定側分割型41に組付けた後、可動側分割型43を固定側分割型41に型閉めし、キャビティ44に溶融樹脂を射出する。このように、簡単な成形操作を行うだけで、継手本体11を速やかに製造することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について、図12図16に基づいて説明する。第2実施形態では、主に前記第1実施形態と相違する部分について説明し、同一部分の説明を省略する。
【0051】
図12に示すように、突出型50が、固定側分割型41及び可動側分割型43の各突出型収容凹部54に設けられている。この場合、中子45を固定側分割型41内に収容したとき、固定側分割型41の突出型50が中子45の挿通孔49に挿入される。また、両分割型41,43を型締めすると、可動側分割型43の突出型50が中子45の挿通孔49に挿入される。
【0052】
継手10を製造する場合、図12に示すように、まず、中子45を固定側分割型41内に収容する。このとき、固定側分割型41の突出型50が、中子45の挿通孔49に挿入される。その状態で、図13に示すように、可動側分割型43を固定側分割型41に型閉めする。このときも、可動側分割型43の突出型50が、中子45の挿通孔49に挿入される。次に、閉じられた両分割型41,43内のキャビティ44に溶融樹脂を射出する。
【0053】
その後、図14に示すように、固定側分割型41から可動側分割型43を離型する。また、図15に示すように、固定側分割型41から、継手本体11を中子45と共に取り出す。そして、図16に示すように、継手本体11から中子45を抜き出すことにより、継手本体11が成形される。
【0054】
従って、第2実施形態によれば、突出型50が分割型41,43に一体化されている。このため、継手用成形型40を構成する部材の数を少なくすることができる。また、予め突出型50を中子45に組付ける工程が省略されるため、継手本体11を速やかに成形することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、図17図19に基づいて説明する。第3実施形態においても、主に前記第1実施形態と相違する部分について説明し、同一部分の説明を省略する。
【0055】
図19(a)〜(c)に示すように、視認窓25は、切欠ではなく、正面四角形状に形成されている。外筒部16の軸線方向及び径方向における視認窓25の各長さは、外筒部16の軸線方向及び径方向における嵌着溝17の各長さよりも大きくなるように設定されている。
【0056】
図17に示すように、突出型50からは、膨出部53及び突部56が省略されている。突出型50は、中子45の挿通孔49に挿入される。
【0057】
継手本体11を製造する場合、図17に示すように、まず、一対の突出型50を中子45の挿通孔49に上下方向から挿入して組付ける。次に、図18に示すように、突出型50が組付けられた中子45を固定側分割型41内に収容する。その後、第1実施形態と同様の手順に従い、継手本体11を成形する。
【0058】
従って、第3実施形態によっても、簡易な構成の継手用成形型40を用いて、継手本体11の外筒部16に正面四角形状の視認窓25を容易かつ迅速に製造することができる。
【0059】
なお、各実施形態は、次のように変更してもよい。
【0060】
・外筒部16の周方向に沿って90度異なる位置に、視認窓25と確認孔32とをそれぞれ形成してもよい。この場合、中子45の挿通孔49を、第1実施形態とは周方向に沿って90度異なる位置に設けると共に、固定側分割型41及び可動側分割型43の突出型収容凹部54を、中子45の挿通孔49と対応するように形成してもよい。
【0061】
・第1実施形態及び第2実施形態において、視認窓25の軸線方向に延びる両側面は、外筒部16の外端に向かうほど両側面間の幅が狭くなるテーパ面であってもよい。この場合、突出型50の両側面を、テーパ状に形成する。
【0062】
・継手本体11のパイプ接続部13を、三方分岐、四方分岐としてもよい。この場合、3個又は4個の中子45を、両分割型41,43に収容する。
【0063】
・内筒部15の嵌着溝17及びシール部材18の数を1又は3以上に変更してもよい。この場合、嵌着溝17及びシール部材18の数に応じて、突出型50の突条52の数も1又は3以上に変更される。
【0064】
・視認窓25の正面形状を、長円形又は任意の多角形に変更してもよい。この場合、視認窓25の形状に応じて、突出型50の形状も長円形又は任意の多角形に変更される。
【0065】
・継手本体11を形成する材料は、ポリアセタール(POM)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等の合成樹脂(エンジニアリングプラスチック)であってもよい。
【0066】
・樹脂パイプ12以外に、銅パイプ等の軟質金属製のパイプを用いてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…継手、11…継手本体、12…樹脂パイプ、14…差込空間、15…内筒部、16…外筒部、17…嵌着溝、18…シール部材、25…視認窓、40…継手用成形型、41…固定側分割型、43…可動側分割型、44…キャビティ、45…中子、49…挿通孔、50…突出型、52…突条、Y…視認窓の径方向における長さ、y…嵌着溝の径方向における長さ、D…視認窓の軸線方向における幅、d…嵌着溝の軸線方向における幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19