【実施例】
【0020】
以下、本発明の電子機器としてのイヤホンの一実施例を
図1〜
図10に基づいて説明する。
図1に示すように、イヤホン1は、人の耳に挿入されるイヤホン本体2と、耳の付け根に装着され、イヤホン本体2を耳に配置する装着部材としての耳掛け部3と、イヤホン本体2と耳掛け部3とを連結する連結部材4と、を備えている。上述したイヤホン本体2は、
図3(A)及び(B)に示すように、耳掛け部3に対して連結部材4を支点として任意の方向に回動すると共に、
図3(C)に示すように、イヤホン本体2の中心軸Z周りに回転可能に設けられている。
【0021】
まず、耳掛け部3の構成について説明する。耳掛け部3は、
図1などに示すように、耳の付け根に引っ掛けられるような略円弧状に設けられ、その一端部からコード5が引き出されている。耳掛け部3は、
図6などに示すように、耳掛け本体31と、耳掛け本体31を覆うケース本体32と、ケース本体32の開口を覆うカバー33と、を備えている。耳掛け本体31は、例えば略円弧状の平板で構成されていて、その他端部に後述する連結部材4が設けられている。ケース本体32も略円弧状に構成され、耳掛け本体31を覆っている。このケース本体32の他端部のイヤホン本体2側には、開口が設けられ、その開口から連結部材4が露出している。また、ケース本体32の他端部のイヤホン本体2から離れた側にも開口が設けられ、その開口はカバー33により覆われている。
【0022】
上記連結部材4は、
図6に示すように、球状の回転部材としてのジョイントボール41と、ジョイントボール41を任意方向に回動可能に収容する収容部材42と、ジョイントボール41に取り付けられた突出部としてのネジ43と、を備えている。上記ジョイントボール41には、ネジ43がその中心を通るように貫通されていて、ネジ43の先端部がジョイントボール41から突出している。上記収容部材42は、上述した耳掛け本体31に一体成型されて連結され、耳掛け本体31をイヤホン本体2に向けて凹ませたような形状に設けられている。この収容部材42は、その外面がイヤホン本体2に向かう球状の凸面に設けられ、内面がイヤホン本体2に向かう球状の凹面に設けられている。
【0023】
この収容部材42には、
図7及び
図8などに示すように、開口部42Aが設けられ、ジョイントボール41に取り付けられたネジ43の先端部が開口部42Aを通って収容部材42外部に突出している。上記開口部42Aは、上述したように略長方形状の長尺状に設けられていて、その短辺は外側に膨らんで設けられ、その長辺中央も外側に膨らんでもうけられている。ジョイントボール41のネジ43が突出している周辺には、後述するイヤホン本体2に設けた取付部24Dの先端部が嵌め込まれる凹部41Aが形成されている。また、ジョイントボール41は、ケース本体32に設けた開口から収容部材42内に収容され、その後、その開口を覆うようにカバー33が取り付けられる。
【0024】
上記イヤホン本体2は、
図4及び
図5に示すように、音を生じるスピーカユニット21(
図6)と、スピーカユニット21を収容するハウジング22(筐体)と、耳挿入部23と、を備えている。スピーカユニット21は、振動板と磁気回路などから成る周知のスピーカである。上記ハウジング22は、連結部材4に連結される下ハウジング24(第2のハウジング)と、スピーカユニット21を収容する上ハウジング25(第1のハウジング)と、から構成されている。
【0025】
下ハウジング24は、底部24Aと、底部24Aの外周部から立設された筒状部24Bと、から構成された受皿状に形成されている。底部24Aは、上記収容部材42の凸面に対向する面に半球状の凹面24Cが設けられている。そして、
図6に示すように、収容部材42は、下ハウジング24の底部24Aに設けた凹面24Cに嵌め込まれる。また、この底部24Aには、耳掛け部3に向かって突出する取付部24Dが設けられている。
【0026】
この取付部24Dは、底部24Aの凹面24Cから連結部材4に向かって突出している。取付部24Dは、
図9に示すように、ジョイントボール41から突出したネジ43の先端が挿入される挿入軸24Eと、この挿入軸24E側面から外側へ突出する一対の当接部24Fと、から構成されている。挿入軸24Eは、柱状(円柱状を含む)に設けられ、その軸に沿って貫通し、下ハウジング24内に連通する開口部が設けられている。
【0027】
また、一対の当接部24Fは、挿入軸24Eの側面から互いに離間する方向に突出した板状に設けられ、その厚さは挿入軸24Eの直径よりも小さく設けられている。上記挿入軸24Eの開口部にネジ43の先端部を圧入するとともに、取付部24Dの先端をジョイントボール41に設けた凹部41Aに嵌め込むことにより、下ハウジング24と連結部材4とが連結される。また、一対の当接部24Fを設けることにより取付部24Dも全体として長尺状に設けられ、その長手方向の幅W1が、同様に長尺状の開口部42Aの短手方向の幅W2(
図8)よりも長く設けられている。
【0028】
上記筒状部24Bには、
図4及び
図5に示すように、イヤーホルダ24Gが突設されている。このイヤーホルダ24Gは、
図10に示すように、耳6のくぼみに引っ掛けて、イヤホン本体2を耳6にフィットさせ、外れないようにするために設けられたものである。筒状部24B外面の底部24Aから離れた側の端部には、
図4及び
図5に示すように、後述する上ハウジング25を取り付けるためのねじ切り24Hが設けられている。
【0029】
上ハウジング25は、
図5及び
図6に示すように、略筒状に設けられ、径(太さ)が大きい大径部25Aと、径(太さ)が小さい小径部25Bと、が連なって設けられている。
図6に示すように、この大径部25Aにスピーカユニット21が収容されている。また、
図5及び
図6に示すように、この大径部25Aの耳掛け部3側の端部には、下ハウジング24を取り付けるためのねじ切り25Cが設けられている。この下ハウジング24に設けたネジ切り24Hと上ハウジング25に設けたねじ切り25Cとを螺合させることにより、下ハウジング24と上ハウジング25とを組み付けることができる。
【0030】
上記耳挿入部23は、
図5などに示すように、シリコーンなどで構成されていて、上ハウジング25の小径部25Bに取り付けられる取付部23Aと、取付部23Aを囲み外耳道に挿入される挿入部23Bと、から構成される周知の耳挿入部である。
【0031】
また、上述した耳掛け部3の一端部に取り付けられたコード5内の導線は、耳掛け部3、
図6に示す連結部材4とカバー33との隙間、連結部材4を通ってハウジング22に引き出され、スピーカユニット21に接続される。
【0032】
次に、上述した構成のイヤホン1の動きについて、説明する。上述したように耳掛け部3の耳掛け本体31には、ジョイントボール41を収容する収容部材42が一体に設けられ、ジョイントボール41から収容部材42外部に突出したネジ43の先端部にイヤホン本体2の取付部24Dが取り付けられている。ジョイントボール41は、上述したように収容部材42内に任意方向に回転可能に収容されているため、イヤホン本体2は、
図3(A)及び(B)に示すように、ジョイントボール41を支点として任意の方向に回動する。ただし、イヤホン本体2から突出した取付部24Dが、収容部材42の開口部42A内に挿入されているため、取付部24Dと収容部材42とが当接する位置を越えて回動できない。即ち、イヤホン本体2の回動範囲は、収容部材42の開口部42Aの大きさ、形状によって定められている。
【0033】
また、ジョイントボール41は、上述したように収容部材42内に任意方向に回転可能に収容されているため、イヤホン本体2は、
図3(C)に示すように、イヤホン本体2の中心軸Z周りに回転する。ただし、イヤホン本体2から突出した取付部24Dが、収容部材42の開口部42A内に挿入され、開口部42Aが長尺状に形成されているため、
図8に示すように、回転範囲θの一端までイヤホン本体2を図中反時計回りに回転させると、当接部24Fが収容部材42の開口部42Aの右上、左下の内壁と当接して、それ以上回転しない。一方、回転範囲θの他端までイヤホン本体2を図中時計回りに回転させると、当接部24Fが収容部材42の開口部42Aの右下、左上の内壁と当接して、それ以上回転しない。即ち、イヤホン本体2の回転範囲θは、収容部材42の開口部42Aの大きさ、形状によって定められている。
【0034】
上述した実施例によれば、連結部材4が、イヤホン本体2を耳掛け部3に対して当該イヤホン本体2の中心軸Z周りに回転可能に連結すると共に、イヤホン本体2の回転範囲を規制する。このように、連結部材4によりイヤホン本体2の回転範囲を規制することにより、コード5のよじれ、断線等を防止できる。
【0035】
また、上述した実施例によれば、連結部材4は、イヤホン本体2の回転範囲を規制する回転止め部としての収容部材42の開口部42Aの内壁を備えている。これにより、連結部材4に設けた収容部材42の開口部42A内壁により、イヤホン本体2の回転範囲を規制することができる。
【0036】
また、上述した実施例によれば、連結部材4は、ジョイントボール41と、ジョイントボール41を任意方向に回転可能に収容する収容部材42と、当該ジョイントボール41から収容部材42の開口部42Aを通って収容部材42外部に突出するネジ43と、を備え、収容部材42外部に突出したネジ43が、イヤホン本体2に連結し、収容部材42が、耳掛け部3に連結し、収容部材42の開口部42A内に配置されたイヤホン本体2の取付部24Dが、回転止め部である収容部材42の開口部42A内壁に当接して回転範囲が規制されている。これにより、イヤホン本体2を中心軸Z周りに回転して回転範囲を超えようとすると、イヤホン本体2の当接部24Fが、収容部材42の開口部42A内壁に当接してそれ以上回転できないようになる。また、イヤホン本体2の取付部24Dが収容部材42の開口部42Aに収容されているため、イヤホン本体2の取付部24Dが収容部材42の開口部42A内壁に当接して、連結部材4を支点としたイヤホン本体2の回動範囲も規制できる。
【0037】
また、上述した実施例によれば、収容部材42の開口部42Aは、長尺状に形成されている。これにより、確実にイヤホン本体2に設けた当接部24Fが、収容部材42の開口部42A内壁に当接する。
【0038】
また、上述した実施例によれば、収容部材42は、外面が球状の凸面に設けられ、下ハウジング24は、収容部材42の凸の外面に対向する面が球状の凹面24Cに設けられている。これにより、収容部材42の外面を下ハウジング24に設けた凹面24Cに嵌め込むことができ、収容部材42とイヤホン本体2とを接近配置して、イヤホン本体2と耳掛け部3を接近配置することができる。このため、耳からイヤホン1が脱落することを抑止できる。
【0039】
なお、上述した実施例によれば、回転部材として球状のジョイントボール41を用いて、収容部材42内で任意方向に回転可能に設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。回転部材としては、断面円形であればよく、例えば円柱状に設けて収容部材42内で中心軸Z周りだけ回転可能に設けても良い。この場合、実施例のように連結部材4を支点としてイヤホン本体2を回動させることはできなくなるが、中心軸Z周りに回転させることはできる。
【0040】
また、上述した実施例によれば、イヤホン本体2の取付部24Dを収容部材42の開口部42Aに挿入し、取付部24Dと開口部42A内壁とが当接して、イヤホン本体2の回転範囲及び回動範囲を規制していたが、本発明はこれに限ったものではない。取付部24Dは、収容部材42の開口部42A内に挿入されていなくてもよい。この場合、ネジ43が開口部42A内壁と当接して、イヤホン本体2の回転範囲及び回動範囲が規制される。
【0041】
また、上述した実施例によれば、耳掛け部3に収容部材42が一体形成され、収容部材42外部に突出したネジ43が、イヤホン本体2に連結されていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、イヤホン本体2に収容部材42を一体形成し、収容部材42から突出したネジ43を耳掛け部3に連結させてもよい。この場合、耳掛け部3の一部を開口部42A内に挿入すれば、挿入された耳掛け部3の一部が開口部42A内壁に当接して、イヤホン本体2の回転・回動範囲を規制することができる。また、上述したように耳掛け部3の一部を開口部42A内に挿入しなかった場合は、ネジ43が開口部42Aに当接して、イヤホン本体2の回転・回動範囲を規制することができる。
【0042】
また、上述した実施例によれば、ジョイントボール41から突出させるネジ43を一つ設け、取付部24Dがネジ43を挿入する1つの挿入軸24Eと挿入軸24Eの側面から突出する2つの当接部24Fから構成されていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えばジョイントボール41から複数のネジ43を突出させ、取付部24Dに複数の挿入軸24Eを設けるようにしてもよい。この場合、複数の挿入軸24Eが開口部42A内壁と当接して、イヤホン本体2の回転・回動範囲が規制される。
【0043】
また、上述した実施例によれば、連結部材4はジョイントボール41から構成されていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、連結部材4としてゴムなどの弾性部材を用いることにより、イヤホン本体2を耳掛け部3に対して回動・回転可能に設けても良い。この場合、連結部材4に弾性があるためセルフセンタリング効果(フラフラ動かない)が期待できるとともに、構造が簡単になる。
【0044】
また、上述した実施例によれば、収容部材42の開口部42Aは、矩形の長尺状に設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。開口部42Aとしては、長尺状に設けられていればよく、矩形でなくてもよい。
【0045】
また、上述した実施例によれば、スピーカユニット21は、ハウジング22内に挿入されていたが、本発明はこれに限ったものではない。スピーカユニット21は、ハウジング22に取り付けられた音導管内に設けられていても良い。
【0046】
また、上述した実施例によれば、イヤーホルダ24Gが設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。イヤーホルダ24Gは設けなくても良い。
【0047】
また、上述した実施例によれば、突出部としてネジ43を用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。突出部としては、ジョイントボール41から突出していればよく、例えばジョイントボール41と一体に成型されていてもよい。
【0048】
また、上述した実施例としては、装着部材として、耳掛け部3を用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。装着部材としては、頭部、すなわち首より上の部分に装着するものであればよく、例えば、後頭部やあごなどに装着するバンドであってもよい。
【0049】
また、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。