特許第5979297号(P5979297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5979297制御装置、制御方法とそのプログラム、および、情報機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5979297
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法とそのプログラム、および、情報機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20160817BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   G06F1/26 335C
   G06F1/26 334P
   H02J13/00 311A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-188037(P2015-188037)
(22)【出願日】2015年9月25日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】川北 史朗
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−111755(JP,A)
【文献】 特開2015−50913(JP,A)
【文献】 特開2011−15540(JP,A)
【文献】 特開2012−230511(JP,A)
【文献】 特開2015−23456(JP,A)
【文献】 特開2013−125493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御装置であって、
前記待機電源の供給ラインに設置され、前記待機電源をオン/オフするスイッチと、
予め設定された前記待機電源をオフする期間に基づいて、前記スイッチを制御する制御回路と、
前記待機電源のオフ時に、前記制御回路に電力を供給する電力供給源と、を備え、
前記制御回路は、前記タイマーの期間経過に前記待機電源がオンになるよう前記スイッチを制御する、制御装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記待機電源をオフする期間が設定され、前記待機電力のオフ時にカウント動作するタイマーと、
前記タイマーの期間経過に前記待機電源がオンになるようにスイッチを制御するスイッチ制御回路と、
を備える請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御回路は、プログラマブルロジックデバイスであり、
前記プログラマブルロジックデバイスは、タイマーレジスタと、FET OFFレジスタとを備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記電力供給源は、電池、又は、スーパーキャパシタである、請求項1から3のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記待機電源の前記供給ライン上に、前記電力供給源から前記管理手段への電力供給を止めるための整流素子を備える、請求項1から4のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の制御装置を含む、情報機器。
【請求項7】
前記情報機器は、押しボタン式スイッチを備え、
前記制御回路は、前記押しボタン式スイッチの押下に基づいて、前記スイッチのオフを解除するスイッチ制御信号を出力する請求項6に記載の情報機器。
【請求項8】
前記情報機器は、サーバ、ネットワーク機器、又はストレージ機器である、
請求項7に記載の情報機器。
【請求項9】
待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御方法であって、
前記待機電源をオフする任意の期間を設定し、
前記待機電源をオフにし、
前記待機電源以外の電力供給源からの電力供給時に、前記設定された期間経過後に前記待機電源のオンを指示する、制御方法。
【請求項10】
待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記待機電源をオフする任意の期間を設定し、
前記待機電源をオフにし、
前記待機電源以外の電力供給源からの電力供給時に、前記設定された期間経過後に前記待機電源のオンを指示する、ことを実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源を制御する制御装置等に関し、特に、待機電源の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続されたサーバは、管理PC(Personal Computer)の命令によって、停止中のサーバの電源をONにしてシステムを起動させるWake On LAN(Local Area Network)に対応する。このため、停止中のサーバの一部の制御回路には、待機電力が供給される。
【0003】
一般に、サーバの待機電力は、数ワット程度であるが、サーバのAC(Alternating Current)電源は、数百ワット程度の消費電力で動作する際に電力効率がよくなるように設定されており、待機時における電源の電力効率は低い。特に、ラックサーバのように多くのサーバで構成されたシステム環境では、停止状態のサーバの数が増えるにつれて、無駄な待機電力が増大することになる。
【0004】
例えば、サーバ停止時の待機電力を削減するために自動電源制御装置(AOC:Automatic Operation Controller)を用いて、リモート制御によりサーバのAC電源のOFF/ONを制御する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1の技術では、サーバ停止時にAC電源をOFFにすることで、サーバの待機電力を削減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−166839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8は、AOC又はUPS(Uninterruptible Power Supply)を用いて、サーバシステムの構成を示す概念図である。AOC又はUPSを用いて、サーバのAC電源のOFF/ONを制御する方法は、データセンターのように多数のサーバが設置されている場合、AOC等の電源ポートとサーバとケーブル接続、又は、AOC等の設定が必要となり、サーバのシステム運用が複雑になる。
【0007】
このように、AOC又はUPSを用いることなく、リモート制御によって情報機器の待機電源のOFF/ONを制御する技術が求められている。
【0008】
本発明の目的は、AOC又はUPSを用いることなく、リモート制御によって情報機器の待機電源のOFF/ONを実行できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の制御装置は、待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御装置であって、前記待機電源の供給ラインに設置され、前記待機電源をオン/オフするスイッチと、予め設定された前記待機電源をオフする期間に基づいて、前記スイッチを制御する制御回路と、前記待機電源のオフ時に、前記制御回路に電力を供給する電力供給源と、を備え、前記制御回路は、前記タイマーの期間経過に前記待機電源がオンになるよう前記スイッチを制御する。
【0010】
本発明の制御方法は、待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御方法であって、前記待機電源をオフする任意の期間を設定し、前記待機電源をオフにし、前記待機電源以外の電力供給源からの電力供給時に、前記設定された期間経過後に前記待機電源のオンを指示する。
【0011】
本発明の制御プログラムは、待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御プログラムであって、前記待機電源をオフする任意の期間を設定し、前記待機電源をオフにし、前記待機電源以外の電力供給源からの電力供給時に、前記設定された期間経過後に前記待機電源のオンを指示する、ことをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、AOC又はUPSを用いることなく、リモート制御によって情報機器の待機電源のOFF/ONを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る制御装置を含むサーバの構成を示すブロック図である。
図2】制御装置内の制御回路の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態を用いたサーバシステムの構成を示す概念図である。
図5】第2の実施形態に係る制御装置を含むサーバの構成を示すブロック図である。
図6】第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャート図である。
図7】第1、2の実施形態におけるサーバをコンピュータ装置で実現したハードウエア構成を示す図である。
図8】関連技術によるサーバシステムの構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る制御装置を含むサーバについて、図面を用いて説明する。図1は、制御装置を含むサーバの構成を示すブロック図である。図1に示すように、サーバ20は、管理PC30とLANで接続されている。サーバ20は、PSU21、制御装置22、負荷回路23、BMC(Baseboard Management Controller:ベースボードマネージメントコントローラ)270を備える。
【0015】
サーバ20のPSU21は、電源を分配するためのPDU(PowerDistributionUnit)10と電源ケーブルで接続される。PDU10は、例えば、データセンターで供給される商業電源をサーバラック内のサーバ又はルータに配電するための電源コンセント(電源タップ)である。
【0016】
PSU21は、サーバ20内の負荷回路23にメイン電源(DC電源)を供給し、制御装置22、BMC27に待機電源(例えば、AC電源)を供給する機能を有する。
【0017】
サーバ20の負荷回路23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置のようにサーバを構成する回路又は装置である。
【0018】
サーバ20のBMC27は、例えば、サーバ20内の状態制御を行うファームウェア(BMC−FW)が格納されているLSIチップである。BMC27は、待機電源で動作し、かつ、管理PC30からのリモート制御によって待機電源の供給のオン/オフする機能を有する。
【0019】
サーバ20の制御装置22は、スイッチ25、電力供給源24、制御回路28を備える。
【0020】
制御装置22のスイッチ25は、PSU21からBMC27、制御回路28への待機電源の供給ライン上に設置されている。スイッチ25の一方は、PSU21の待機電源に接続され、スイッチ25の他方は、BMC27及び制御回路28に接続されている。スイッチ25は、PSU21からBMC27、制御回路28に供給される待機電源のオン/オフを切り替える機能を有する。
【0021】
制御装置22の電力供給源24は、スイッチ25の切り替えによりPSU21からの待機電源がオフになった際に、制御回路28を動作させるための電力を供給する機能を有する。電力供給源24は、例えば、電池又はキャパシタである。電池は、充放電が可能な2次電池が好ましい。
【0022】
制御装置22の制御回路28は、スイッチ制御信号をスイッチ25に送信し、スイッチ25のオン・オフを制御する機能を有する。制御装置22の制御回路28の構成について、図面を用いて説明する。
【0023】
図2は、制御装置22の制御回路28の構成を示すブロック図である。制御回路28は、タイマー31、スイッチ制御回路32を備える。制御回路28には、スイッチ25がオンの場合、PSU21から待機電源が供給され、スイッチ25がオフの場合、電力供給源24から動作のための電力が供給される。
【0024】
制御回路28のタイマー31は、タイマー機能を有し、BMC27から待機電源をOFFする期間(時間)の設定を受付ける。タイマー31は、スイッチ制御回路32からの指示でタイマー動作を開始し、タイマー動作の完了後に設定された期間の経過をスイッチ制御回路32に通知する。
【0025】
制御回路28のスイッチ制御回路32は、BMC27からの待機電源をオフにする指示を受付け、スイッチ25に対してスイッチをオフにするスイッチ制御信号を送信し、同時にタイマー31に対して設定された期間までのタイマー動作を指示する。
【0026】
また、スイッチ制御回路32は、スイッチ25によって待機電源からの電力供給がオフとなる前、又は、オフとなると同時に、電力の供給元をPSU21から電力供給源24に切り替える。
【0027】
次に、スイッチ制御回路32は、タイマー31からタイマー動作完了の通知を受付けた後、スイッチ25に対してスイッチをオンにするスイッチ制御信号を送信する。そしてスイッチ制御回路32は、スイッチ25のオンによるPSU21からの待機電源の供給を確認し、電力の供給元を電力供給源24からPSU21に切り替える。
【0028】
管理PC30は、サーバ20を管理するPCであり、サーバ20のBMC27を介して外部から遠隔操作によりサーバ20の電源のオン/オフを制御する機能を有する。
【0029】
次に、本発明の第1の実施形態に係る制御装置の動作について、図面を用いて説明する。図3は、第1の実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、制御回路28は、サーバ20のBMC27を経由して管理PC30からタイマー設定を取得する。具体的には、制御回路28は、タイマー31に対し待機電源をオフにする任意の期間xを設定する(ステップS1)。
【0030】
次に、制御回路28は、BMC27を経由して管理PC30から待機電源のOFFの指示を取得する。制御回路28のスイッチ制御回路32は、スイッチ25のスイッチがオフになり待機電源の供給が無くなる前に電池240から電力が供給に切り替える(スイッチS2)。
【0031】
制御回路28のスイッチ制御回路32は、スイッチ25にスイッチオフのFET制御信号を送信するとともに、タイマー31にカウントを開始させる(ステップS3)。
【0032】
そして、タイマー31からタイマー動作完了の通知を受付けた後、制御回路28のスイッチ制御回路32は、スイッチ25に対してスイッチオンのスイッチ制御信号を送信する(ステップ4)。
【0033】
(変形例)
第1の実施形態は、BMC27のようにサーバの状態を制御可能な回路が搭載されたサーバ全般に適用することができる。また、サーバに限定されるものではなく、例えば、情報機器の状態を制御可能な管理回路を備え、待機電源を用いるネットワーク機器又はストレージ機器にも適用可能である。
【0034】
第1の実施形態では、待機電源としてAC電源の例を説明したが、これに限られるものではなく、待機電源にDC電源を用いる情報機器にも適用することができる。
【0035】
第1の実施形態に対して、スイッチ制御回路32に管理PC30との通信機能(例えば、LAN機能)を設けることで、スイッチ制御回路32に対してスイッチオフを解除する指示を与えることが可能となる。
【0036】
第1の実施形態では、管理PC30とBMC27との通信としてLANを用いる接続について説明したがこれに限られるものではない。例えば、ネットワーク経由で電源制御を実行できる他のプロトコルを用いてもよい。
【0037】
第1の実施形態では、電力供給源24の一例として電池を示したが、例えば、スーパーキャパシタ又は外部機器(PCIカードやUSBデバイス等)を用いてもよい。
【0038】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態による制御装置によれば、AOC又はUPSを用いることなく、リモート制御によって情報機器の待機電源のOFF/ONを実行することができる。その理由は、待機電源をオフによってBMC27に供給される待機電源が断たれても、電力供給源24の電力供給で動作する制御回路28によって待機電源のオフを解除できるからである。これにより、再びBMC27に待機電源が供給され、管理PC30がBMC27を制御できるようになる。
【0039】
図4は、第1の実施形態に係る制御装置22を含むサーバ20を用いたサーバシステムの構成を示す概念図である。図4に示すように、サーバシステムは、第1の実施形態の制御装置22を含むサーバ20に対して、管理PC30がハブ50を介してリモート制御する構成である。
【0040】
第1の実施形態によれば、制御装置22を含むサーバ20を用いたサーバシステムは、AOCを用いる必要がなく、リモート制御で待機電源のON/OFFを制御することができる。このため、AOC等へのケーブル接続およびAOC等に対する設定が不要となり、省電力化とシステム運用の簡易化を両立させることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る制御装置を含むサーバについて、図面を用いて説明する。図5は、第2の実施形態に係る制御装置を含むサーバの構成を示すブロック図である。図5に示すように、サーバ200は、PSU210、制御デバイス220、CPU230、電池240、FET250、ダイオード260、PLD280を備える。
【0042】
サーバ200のPSU210は、PDU100に接続され、制御デバイス220及びCPU230に主電源を供給し、さらに、制御デバイス220、BMC270、PLD280にAC電源(待機電源)を供給する機能を有する。PDU100は、電源分配装置であり、例えば、データセンターで供給される電源をサーバラック内のサーバ又はルータに配電するための電源コンセント(電源タップ)である。
【0043】
サーバ200の制御デバイス220、CPU230は、それぞれPSU210からメイン電源(DC電源)が供給される。制御デバイス220は、BMC270がサーバ200内を制御するために用いるデバイスである。また、CPU230は、サーバ200が各種プログラムを実行するための演算装置である。
【0044】
サーバ200の電池240は、AC電源OFF時にPLD280にAC電源を供給する機能を有する。電池240は、FET250の出力側からPLD280までのAC電源の供給ラインに接続され、PSU210がPLD280にAC電源を供給している間に充電し、PSU210のAC電源がOFFとなった時に放電する。このため、AC電源がOFFとなった時に、PLD280にはPSU210のAC電源が供給されることになる。
【0045】
サーバ200のFET250は、PSU210の待機電源の供給ライン上に配置され、AC電源をON/OFFするためのスイッチである。FET250は、後述するPLD280からのFET制御信号によりON/OFFが制御される。
【0046】
サーバ200のダイオード260は、少なくともBMC270とPLD240の間のAC電源の供給ライン上に設置され、PSU210のAC電源がOFFとなった時に、電池240が供給する電源がBMC270側に流れないようにする整流素子である。
【0047】
サーバ200のBMC270は、サーバ200内の状態制御を行うファームウェア(BMC−FW)が格納されているLSIチップである。
【0048】
サーバ200のPLD(Programmable logic device)280は、内部論理回路を定義・変更できる集積回路で構成されている。PLD280は、BMC270が、サーバ200を制御するための制御デバイス220とのインターフェース機能を提供する。
【0049】
さらに、PLD280は、FET250に対してON/OFF信号を出力するためのFET OFFレジスタ282、及び、FET OFFレジスタ282のOFFを解除するためのタイマーレジスタ281を備える。
【0050】
PLD280のタイマーレジスタ281には、AC電源をOFFにする任意の期間を設定することができる。
【0051】
BMC270を介して、FET OFFレジスタ282に”0”(FET OFF)が書き込まれると、PLD280は、FET250にそのまま”0”(FET OFF)信号を出力するのと同時に、タイマーレジスタ281のカウントを開始する。
【0052】
タイマーレジスタ281はカウントがxに到達した時にFET OFFレジスタ282に”1”(FET OFF解除信号)を出力する。
【0053】
PLD280からFET250に”1”(FET ON信号)が出力され、AC電源はON状態になる。
【0054】
第2の実施形態では、PLD280のタイマーレジスタ281によって、BMC270がFET OFFを指示してBMC270へのAC電源の供給が断たれても、電池240とダイオード260により、PLD280に電力が供給されて動作可能となる。これにより、PLD280内のタイマーレジスタ281のカウンターがx(xはユーザーが任意に設定した時間)に到達した時、PLD280は、FET250をONすることで、BMC270にAC電源が供給される。
【0055】
なお、サーバ200の押しボタン式スイッチ290は、AC電源をOFFする任意の期間xに到達する前にAC電源をONしたい場合に用いられる。具体的には、押しボタン式スイッチ290は、押下された時にFET OFFレジスタ282のOFFを解除する。押しボタン式スイッチ290を押すと、FET OFFレジスタに”0”(FET OFF解除信号)が出力され、FET250に”1”(FET ON信号)が出力されてAC電源はON状態になる。
【0056】
また、押しボタン式スイッチ290は、管理PC300からリモート制御することはできない。この場合、直接、サーバ200の設置場所で物理的に押しボタン式スイッチ290を押下する必要がある。
【0057】
管理PC300は、サーバ200をリモート制御する装置である。LAN経由でサーバ200内のBMC270にアクセスすることができる。管理PC300は、BMC270を使ってPLD280内のタイマーレジスタ281、あるいは、FET OFFレジスタ282の設定をI2C経由で行う。
【0058】
次に、第2の実施形態に係る制御装置の動作について図面を用いて説明する。図6は、第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャート図である。
【0059】
図6に示すように、まず、管理PC300からBMC270経由で、PLD240のタイマーレジスタ281にPSU210からのAC電源をOFFにしたい任意の期間xを設定する(ステップS11)。なお、任意の期間xを変更する場合は、再度、管理PC300からBMC270経由でタイマーレジスタ281を設定する。
【0060】
次に、管理PC300からAC電源のOFFの指示を受けてBMC270は、PLD280のFET OFFレジスタ282に”0”(FET OFF)を書き込む。PLD280は、FET250に”0”(スイッチOFF)のFET制御信号を送信すると同時に、タイマーレジスタ281のカウントを始める(ステップS12)。
【0061】
FET250のスイッチが”0”(OFF)になった後、PSU210からのAC電源は、BMC270、制御デバイス220に供給されなくなる(AC OFF状態)。サーバ200のPLD280は、電池240から電力が供給される(ステップS13)。
【0062】
PLD280のタイマーレジスタ281のカウンターがxに到達すると、FET OFFレジスタ282に”1”(FET OFF解除)が書き込まれ、PLD280からFET250に”1”(ON)のFET制御信号が送信される(ステップS14)。FET250のスイッチが“1”(ON)になると、BMC270、及び、制御デバイス220にAC電源が供給される(ステップS15)。
【0063】
(変形例)
第2の実施形態では、電池240をPLD280のAC電源の供給源としたが、例えば、スーパーキャパシタ又は外部機器(PCIカードやUSBデバイス等)を供給源としてもよい。
【0064】
第2の実施形態は、BMC270のようにサーバの状態を制御が可能な回路が搭載されるサーバ全般に適用することができる。また、サーバに限定されるものではなく、例えば、情報機器の状態を制御が可能な回路を備え、待機電源を用いるネットワーク機器やストレージ機器にも適用可能である。
【0065】
また、サーバ200に押しボタン式スイッチ290を設ける代わりに、PLD280に管理PC300との通信機能(例えば、LAN機能)を設けることで、PLD280に対してFET OFFを解除する指示を与えることが可能となる。
【0066】
上記の例では、LANを用いる接続について説明したがこれに限られるものではない。例えば、電源制御をネットワーク経由で行うプロトコルを用いてもよい。
【0067】
(第2の実施形態の効果)
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に、AOC又はUPSを用いることなく、リモート制御によって情報機器の待機電源(AC電源)のOFF/ONを実行することができる。その理由は、待機電源をOFFによってBMC270に供給されるAC電源が断たれても、電池240の電力供給によって動作するPLD280によってAC電源のOFFを解除できるからである。これにより、再びBMC270に待機電源が供給され、管理PC300がBMC270を制御することができる。
【0068】
第2の実施形態のPLD280を含むサーバ200は、AOCを用いる必要がなく、リモート制御でAC電源のON/OFFを制御することができる。このため、AOC等へのケーブル接続およびAOC等に対する設定が不要となり、省電力化とシステム運用の簡易化を両立させることができる。
【0069】
(ハードウエア構成)
図8は、第1、2の実施形態におけるサーバ20、200をコンピュータ装置で実現したハードウエア構成を示す図である。
【0070】
第1、第2の実施形態において、各端末、及び、各装置の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。各端末、及び、各装置の各構成要素の一部又は全部は、例えば、図8に示すような情報処理装置600とプログラムとの任意の組み合わせにより実現される。情報処理装置600は、一例として、以下のような構成を含む。
CPU(Central Processing Unit)601、
ROM(Read Only Memory)602、
RAM(Ramdom Access Memory)603、
RAM603にロードされるプログラム604、
プログラム604を格納する記憶装置605、
記録媒体606の読み書きを行うドライブ装置607、
通信ネットワーク609と接続する通信インターフェース608、
データの入出力を行う入出力インターフェース610、
各構成要素を接続するバス611
サーバ20、200の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム604をCPU601が取得して実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム604は、例えば、予め記憶装置605又はRAM603に格納されており、必要に応じてCPU601が読み出す。なお、プログラム604は、通信ネットワーク609を介してCPU601に供給されてもよいし、予め記録媒体606に格納されており、ドライブ装置607が当該プログラムを読み出してCPU601に供給してもよい。
【0071】
サーバ20、200の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、サーバ20、200は、各構成要素にそれぞれ別個の情報処理装置600とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、サーバ20、200が備える複数の構成要素が、一つの情報処理装置600とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0072】
また、サーバ20、200の各構成要素の一部又は全部は、その他の汎用または専用の回路、プロセッサ等やこれらの組み合わせによって実現される。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。また、情報処理装置600の代わりにFPGA(Field−Programmable Gate Array)のようなプログラマブルロジックデバイスを用いてもよい。
【0073】
さらに、サーバ20、200の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0074】
また、サーバ20、200の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0075】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0076】
また、図面中の矢印の方向は、一例を示すものであり、ブロック間の信号の向きを限定するものではない。
【0077】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
【0078】
(付記1)
待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御装置であって、
前記待機電源の供給ラインに設置され、前記待機電源をオン/オフするスイッチと、
予め設定された前記待機電源をオフする期間に基づいて、前記スイッチを制御する制御回路と、
前記待機電源のオフ時に、前記制御回路に電力を供給する電力供給源と、を備え、
前記制御回路は、前記タイマーの期間経過に前記待機電源がオンになるよう前記スイッチを制御する、制御装置。
【0079】
(付記2)
前記制御回路は、
前記待機電源をオフする期間が設定され、前記待機電力のオフ時にカウント動作するタイマーと、
前記タイマーの期間経過に前記待機電源がオンになるようにスイッチを制御するスイッチ制御回路と、
を備える付記1に記載の制御装置。
【0080】
(付記3)
前記制御回路は、プログラマブルロジックデバイスであり、
前記プログラマブルロジックデバイスは、タイマーレジスタと、FET OFFレジスタとを備える、付記1に記載の制御装置。
【0081】
(付記4)
前記電力供給源は、電池、又は、スーパーキャパシタである、付記1から3のいずれか1つに記載の制御装置。
【0082】
(付記5)
前記待機電源の前記供給ライン上に、前記電力供給源から前記管理手段への電力供給を止めるための整流素子を備える、付記1から4のいずれか1つに記載の制御装置。
【0083】
(付記6)
付記1から5のいずれか1つに記載の制御装置含む、情報機器。
【0084】
(付記7)
前記情報機器は、押しボタン式スイッチを備え、
前記制御回路は、前記押しボタン式スイッチの押下に基づいて、前記スイッチのオフを解除するスイッチ制御信号を出力する付記6に記載の情報機器。
【0085】
(付記8)
前記情報機器は、サーバ、ネットワーク機器、又はストレージ機器である、
付記7に記載の情報機器。
【0086】
(付記9)
待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御方法であって、
前記待機電源をオフする任意の期間を設定し、
前記待機電源をオフにし、
前記待機電源以外の電力供給源からの電力供給時に、前記設定された期間経過後に前記待機電源のオンを指示する、制御方法。
【0087】
(付記10)
待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって前記待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御プログラムであって、
コンピュータに、
前記待機電源をオフする任意の期間を設定し、
前記待機電源をオフにし、
前記待機電源以外の電力供給源からの電力供給時に、前記設定された期間経過後に前記待機電源のオンを指示する、ことを実行させる制御プログラム。
【符号の説明】
【0088】
10 PDU
20 サーバ
21 PSU
22 制御装置
23 負荷回路
24 電力供給源
25 スイッチ
27 BMC
28 制御回路
30 管理PC
31 タイマー
32 スイッチ制御回路
50 ハブ
100 PDU
200 サーバ
210 PSU
220 制御デバイス
230 CPU
240 電池
250 FET
260 ダイオード
270 BMC
280 PLD
281 タイマーレジスタ
282 FET OFFレジスタ
290 押しボタン式スイッチ
300 管理PC
600 情報処理装置
601 CPU(Central Processing Unit)
602 ROM(Read Only Memory)
603 RAM(Ramdom Access Memory)
604 プログラム
605 記憶装置
607 ドライブ装置
608 通信インターフェース
610 入出力インターフェース
611 バス
【要約】
【課題】 AOC又はUPSを用いることなく、リモート制御によって情報機器のAC電源のOFF/ONを可能にする。
【解決手段】 制御装置は、待機電源で動作し、かつ、リモート制御によって待機電源からの電力供給のオン/オフを管理する管理手段を備える情報機器の制御装置であって、待機電源の供給ラインに設置され、待機電源をオン/オフするスイッチと、待機電源をオフする期間を設定するタイマーを有し、スイッチを制御する制御回路と、待機電源のオフ時に、制御回路に電力を供給する電力供給源と、を備え、制御回路は、タイマーの期間経過に待機電源がオンになるようスイッチを制御する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8