(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る非接触給電システムのブロック図である。本例の非接触給電システムは、地上側に設けられた給電装置の送電コイルから、少なくとも磁気的な結合により、電力を非接触で、車両側の受電コイルに供給する。そして、受電コイルで受電した電力により、車両のバッテリを充電するシステムである。また、非接触給電システムは、非接触給電による系統と、接触給電による系統との2系統の方式で給電可能なシステムである。接触給電による系統方式では、充電用のケーブルが、給電装置と車両の充電ポートとの間に接続される。
【0012】
非接触給電システムは、例えば家庭用の駐車場、又は高速道のパーキングなどの共用施設等の駐車施設に設けられている。非接触給電システムは、車両2と給電装置1を備えている。給電装置1は、車両2を駐車する駐車スペースに設けられており、車両2が所定の駐車位置に駐車されるとコイル間の非接触給電により電力を供給する地上側のユニットである。車両2は、電気自動車やプラグインハイブリッド車両等、外部から電源により、車両内に設けられたバッテリを充電することができる車両2である。
【0013】
以下、非接触給電システムを構成する給電装置1及び車両2の構成を説明する。なお、本例では、車両2を電気自動車として説明する。
図1において、点線の矢印は、コントローラ10、20と、給電装置1内の構成及び車両2内の構成との間のそれぞれの信号線を示し、太線は、交流電源3の電力でバッテリ24を充電する際の電力線を示しており、接触給電による系統方式の電力線及び非接触給電による系統方式の電力線を示している。
【0014】
給電装置1は、コントローラ10と、送電コイル11と、センサ12と、パワーユニット13と、自己診断回路14と、メモリ15と、無線通信部16と、表示部17と、リレースイッチ18とを備えている。
【0015】
コントローラ10は、給電装置1の全体を制御するためのメインコントローラである。コントローラ10の構成は後述する。
【0016】
送電コイル11は、車両2側に設けられている受電コイル21に対して非接触で電力を供給するための平行な円形形状のコイルであり、本例の非接触給電装置を設けた駐車スペースに設けられている。センサ12は、送電コイル11に対する受電コイル21の相対的な位置を検出するためのセンサであって、例えばカメラ等の画像センサ又は赤外線センサなどで構成されている。センサ12の検出値は、コントローラ10に出力される。
【0017】
パワーユニット13は、交流電源3から送電される交流電力を、高周波の交流電力に変換し、送電コイル11に送電するための回路であり、整流部、力率改善回路(PFC(Power Factor Correction)回路)、インバータ、及び送電コイル11への出力値を検出するためのセンサを有している。パワーユニット13は、コントローラ10により、当該インバータに設けられたスイッチング素子をPWM制御されることで、送電コイル11に対して所望の電力を出力する。
【0018】
自己診断回路14は、パワーユニット13、交流電源3から送電コイル11までの配線等を含んだ非接給電用の系統の地絡、配線の断線、センサ12の検出不良、接触給電の系統の地絡等の異常を診断するための回路である。自己診断回路14による診断結果は、コントローラ10に出力される。
【0019】
メモリ15は、給電装置1毎に予め与えられている識別情報(ID)及び、車両2側から送信された情報を記録する記録媒体である。無線通信部16は、車両2側に設けられた無線通信部26と、双方向に通信を行う送受信器である。無線通信部16と無線通信部26との間の通信周波数には、インテリジェンスキーなどの車両周辺機器で使用される周波数と異なる周波数が設定されており、無線通信部16と無線通信部26との間で通信を行っても、車両周辺機器は、当該通信による干渉を受けにくい。無線通信部16及び無線通信部26との間の通信には、例えば各種の無線LAN方式が用いられている。
【0020】
表示部17は、給電装置1の状態を外部に向けて報知するための表示装置であって、ランプ又はディスプレイ等で構成される。リレースイッチ18は、接触給電の系統を構成する配線に設けられており、コントローラ10の制御に基づいて、オン、オフを切り替えるスイッチである。接触給電によりバッテリを充電する場合には、リレースイッチ18がオンとなる。
【0021】
次に、車両2の構成について説明する。車両2は、コントローラ20と、受電コイル21と、センサ22と、受電回路部23と、バッテリ24と、ディスプレイ25と、無線通信部26と、カメラ27と、GPS28と、メモリ29と、駐車確認ボタン31と、充電ポート32と、充電器33と、パークロック機構34とを備えている。
【0022】
コントローラ20は、バッテリ24を充電する際の充電制御に限らず、車両のEVシステムにおける様々な制御を行う。
【0023】
受電コイル21は、車両2の底面(シャシ)等で、後方の車輪の間に設けられている。そして当該車両2が、所定の駐車位置に駐車されると、受電コイル21は、送電コイル11の上部で、送電コイル11と距離を保って位置づけられる。受電コイル21は、駐車スペースの表面と平行な円形形状のコイルである。
【0024】
センサ22は、受電コイル21からバッテリ24に出力される電流、電圧を検出するセンサである。センサ22の検出値はコントローラ20に出力される。受電回路部は、受電コイル21とバッテリ24との間に接続され、受電コイルで受電した交流電力を直流電力に変換する回路及びリレースイッチを有する。リレースイッチは、コントローラ20の制御に基づきオン、オフを切り替える。非接触給電によりバッテリ24を充電する場合には、リレースイッチはオンになる。
【0025】
バッテリ24は、図示しないインバータを介して、車両2の動力源であるモータ(図示しない)に電力を出力する二次電池である。バッテリ24は、リチウムイオン電池等の複数の二次電池を直列又は並列に接続することで構成されている。バッテリ24は、受電回路部23のリレースイッチを介して受電コイル21に電気的に接続されている。また、バッテリ24は、充電器33に接続されている。
【0026】
ディスプレイ25は、例えば、車両2のインストルメント・パネルに設けられており、ナビゲーションシステムにおける地図と、駐車支援システムのおけるカメラ27の撮像画像等を表示する。またディスプレイ25は、給電装置1の状態や、地図上において、給電装置1の位置も表示する。さらに、ディスプレイ25は、給電装置1によりバッテリ24を充電する際には、充電の案内画面も表示する。
【0027】
無線通信部26は、給電装置1側の無線通信部16と、無線通信を行うための通送受信器である。カメラ27は、車両の周囲を撮像するための撮像装置である。カメラ27は、車両2の周囲を撮像できる位置で、車両2に設けられている。カメラ27は複数であってもよい。
【0028】
GPS28(グローバルポジショニングシステム)は、衛星からの信号を受信する受信器を用いて、車両2の現在位置を計測するためのシステムである。メモリ29は、車両毎に予め与えられている識別情報(ID)及び給電装置1側から送信された情報を記録する記録媒体である。駐車確認ボタン31は、ユーザに駐車の意志があることを確認するためのボタンであって、ユーザの操作により駐車支援システムを始動させるためのスイッチである。駐車確認ボタン31は、インストルメント・パネルに設けられている。
【0029】
充電ポート32は、充電ケーブルのプラグと接続するための端子である。バッテリ24を接触給電により充電する場合には、給電装置1に接続された充電ケーブルを、充電ポート32に接続する。
【0030】
充電器33は、充電ポート32及び充電ケーブルを介して給電装置1から出力される電力を、直流電力に変換するための変換回路であり、インバータ、整流器、平滑回路等を備えている。コントローラ20は、バッテリ24の充電状態(SOC:State of Charge)に基づいて、インバータに含まれるスイッチング素子を制御することで、給電装置1から出力される交流電力を、バッテリ24の充電に適した電力に変換して、バッテリ24に供給する。なお、バッテリ24の充電状態は、バッテリ24に接続され、バッテリ24の電圧又は電流を検出センサ(図示しない)の値に基づいて算出される。
【0031】
パークロック機構34は、サイドブレーキやパーキングロッド等、車輪の回転を固定するための機械的な機構である。
【0032】
次に、
図1及び
図2を用いて、給電装置1側のコントローラ10の構成、及び、車両2側のコントローラ20の構成について説明する。
【0033】
コントローラ10は、駐車車両判定部101、状態検出部102、コイル位置検出部103、及び非接触給電制御部104を有している。
【0034】
駐車車両判定部101は、センサ12の検出値に基づき、給電装置1の駐車場に、車両が停車しているか否かを判定するための制御部である。コントローラ10は、後述するように、駐車場に車両が停車している場合の制御と、駐車場に車両が停車していない場合の制御とを異なる制御にしている。そのため、給電装置1が、どちらの制御フローで給電装置1を制御するのかを決定するために、駐車車両判定部101は、駐車場に車両が駐車しているか判定している。
【0035】
状態検出部102は、センサ12の検出値及び自己診断回路14の診断結果に基づいて、給電装置1の状態を検出している。給電装置1の状態には、正常に非接触給電を行うことができる非接触給電可能状態、何らかの異常があったとしても、車両2のユーザにより当該異常又は当該問題を取り除くことが可能な復帰可能状態、接触給電による充電のみを可能とする接触給電可能状態、及び、非接触給電と接触給電との両給電による充電ができない状態を示す給電不可状態が含まれる。
【0036】
状態検出部102は、自己診断回路14により給電装置1内の回路等に異常がなく、センサ12の検出値により送電コイル11上に異物がない場合には、送電コイル11から受電コイル21へ非接触で電力を供給可能な状態である、すなわち非接触給電可能状態であると検出する。
【0037】
状態検出部102は、センサ12から取得した送電コイル11上の撮像画像を解析することで、送電コイル11上に異物があるか否かを判定している。送電コイル11上に、例えば空き缶等の金属製の異物がある場合には、非接触給電時に、送電コイル11から出力される磁束が異物による影響を受けて、コイル間の結合が悪くなる場合がある。その一方で、送電コイル11上の異物は、車両のユーザにより、容易に取り除くことができる。そのため、状態検出部102は、自己診断回路14により給電装置1が正常であることが検出され、センサ12により送電コイル11上に異物が検出された場合には、非接触で電力を供給できない状態から非接触給電可能状態へ、ユーザにより復帰させることができる状態、すなわち復帰可能状態であると検出する。
【0038】
また、状態検出部102は、自己診断回路14により、給電装置1のケーブルが交流電源3から外れていることを検出した場合も、上記の復帰可能状態であると判定する。ユーザにより給電装置1のケーブルを交流電源3に接続できるように給電装置1が構成されている場合には、当該ケーブル外れも、ユーザにより取り除くことができる不具合である。そして、ケーブル外れは、自己診断回路14により、ケーブルの接続の有無による電位差、あるいはインピーダンス変化を検出することで、検出することができる。そのため、状態検出部102は、自己診断回路14の診断結果に基づいて、復帰可能状態を検出している。
【0039】
なお、復帰可能状態は、上記の送電コイル11上の異物による、又は、交流電源3へのケーブルの未接続による不具合に限らず、ユーザにより解決可能な他の不具合又は問題をもつ状態であってもよい。例えば、非接触給電システムのメンテナンス上、一時的にシステムを停止しており、ユーザが駐車場に駐車したとしても、直ぐに非接触給電による充電を行うことができないが、メンテナンスの終了後に、充電をできる場合である。このような場合には、ユーザは、メンテナンスの終了時間に合わせて、タイマ設定をすることで、非接触充電できない問題を解決することができる。そのため、このような場合にも、状態検出部102は、復帰可能状態と判断してもよい。
【0040】
また、状態検出部102は、自己診断回路14により、接触給電に係る充電回路内の異常も診断している。そのため、状態検出部102は、非接触給電をおこなうことができず、かつ、接触給電による充電のみできる状態においては、接触給電可能状態であると検出する。さらに、状態検出部102は、非接触給電及び接触給電を行うことができず、また復帰可能状態でもない場合には、給電不可状態であると検出する。
【0041】
コイル位置検出部103は、センサ12を用いて、送電コイル11に対する受電コイル21の相対的な位置を検出する。
【0042】
非接触給電制御部104は、無線通信部16で受信する信号に基づき、パワーユニット13を制御することで、交流電源3の電力を送電コイル11に出力して、バッテリ24への充電を制御している。本例は、給電装置1の起動信号を、車両2から送信することも可能であるため、非接触給電制御部104は、無線通信部16で受信した起動信号に基づいて、非接触給電を開始させることができる。また、非接触給電制御部104は、無線通信部16、26の無線通信を通じて、車両2側からの要求出力を取得し、当該要求出力を送電コイル11から出力されるように、パワーユニット13を制御している。なお、要求電力は、バッテリ24の充電状態に応じて、車両2側で設定される。
【0043】
車両2側のコントローラ20は、駐車位置案内部201、起動信号制御部202、給電装置案内部203、及びカップリング制御部210を有している。
【0044】
駐車位置案内部201は、駐車支援システムを制御するための制御部である。ユーザにより駐車確認ボタン31が押されると、駐車位置案内部201は、駐車位置支援システムを起動させて、カメラ27の撮像画像に基づいて、車両2の周知の画像をディスプレイ25に表示させつつ、車両2の位置を所定の駐車位置に誘導させるようにディスプレイ25の表示画面上で案内する。特に、非接触充電システムでは、コイル間の位置ずれが大きい場合には、コイル間の結合が弱くなる。そのため、本例は、駐車位置案内部201により、送電コイル11と受電コイル21との位置合わせが容易になるように、構成している。
【0045】
また駐車位置案内部201は、給電装置1を備えた駐車場の周囲に限らず、例えば、車両の現在地から30m先に、非接触給電システムを備えた給電装置1があることをディスプレイ25上で通知する。
【0046】
起動信号制御部202は、駐車確認ボタン31の操作、又は、GPS28システムで測定される車両2の現在地に基づいて、走行中の車両から給電装置1を起動させるための起動信号を無線通信部26により送信する。また、起動信号制御部202は、タイマ設定、又は、パワースイッチの状態に基づいて、停車中の車両から給電装置1を起動させるための起動信号を無線通信部26により送信する。また、起動信号制御部202は、走行時の車両2から送信される起動信号と、停車時の車両2から送信される起動信号を、それぞれ別の起動信号としている。そのため、起動信号を受信したコントローラ10は、当該起動信号が走行中の車両2から送信された信号か、停車中の車両2から送信された信号かを識別することができる。
【0047】
給電装置案内部203は、無線通信部26により受信した状態検出部102の検出結果を、ディスプレイ25に表示させることで、給電装置1の状態を案内する。
【0048】
カップリング制御部210は、カップリングを成立させるために、信号を送受信、あるいは、受電コイル21による電力を検出する制御部であって、許可信号生成部211及びカップリング判定部212を有している。許可信号生成部211は、給電装置1から送信される給電装置1の識別情報(ID)に基づいて、複数の給電装置1の中から一つの給電装置1を特定する。そして、許可信号生成部211は、特定した給電装置1からの非接触による電力の送電を許可する許可信号を生成する。また、カップリング制御部210は、無線通信部26を制御して、当該許可信号を送信する。そして、カップリング判定部212は、許可信号を受信した給電装置1からの電力を検出することで、車両2と給電装置1との間で一対の通信が確立したか否かを判定している。
【0049】
無線LAN方式等を用いた無線通信部16及び無線通信部26の通信と特徴として、例えば、車両2側の無線通信部26により信号を送信した場合には、当該無線通信部26の通信圏内に位置する複数の無線通信部16が当該信号を受信する。また、車両2の無線通信部26は、給電装置1の無線通信部16から信号を受信することもでき、この給電装置1以外の他の給電装置1の無線通信部16からも信号を受信することができる。そのため、車両2が、給電装置1を設けた駐車場に駐車したとしても、無線通信のみでは、給電装置1は、どの車両が駐車したかを把握することができず、車両2は、どの給電装置1の駐車場に停車したかを把握することができない。そのため、駐車した駐車場の給電装置1と、車両2の間で、通信を確立することができない。
【0050】
その一方で、給電装置1と車両2との間で、一対一の専用の通信を行うために、無線通信部16、26とは異なる近距離用の通信器を別途、設けることは、コストの面からも好ましくない。そのため、本例では、送電コイル11と受電コイル21との間による非接触給電を利用して、給電装置1と車両2との間の通信を確立している。そして、カップリング制御部210は、このような車両2と給電装置1との間の一対の通信を確立するための制御部分である。
【0051】
以下、給電装置1と車両2との間で、一対一の通信が確立したこと、言い換えると、車両2側で、駐車した給電装置1の識別情報を把握し、かつ、給電装置1側でも駐車した車両2の識別情報を把握した状態を、カップリングが成立した状態と称す。そして、このカップリングを成立させるための制御が、カップリング制御に相当する。
【0052】
次に、
図1及び
図2を用いて、コントローラ10、20の制御について説明する。車両2から給電装置1に起動信号を送信して、給電装置1で非接触給電による充電制御までの、基本的な制御について説明する。
【0053】
まず車両2のコントローラ20は、例えば車両2のモータ(図示しない)回転数に基づいて、車両2が走行中であるか、停車中であるかを判定する。そして、起動信号制御部202は、車両2の状態が走行中である場合には起動信号(走行中)を生成し、車両2の状態が停車中である場合には起動信号(停車中)を生成する。また、起動信号(走行中)と起動信号(停車中)は、送信信号に、走行中又は停車中のどちらの車両2の状態であるかを示す識別子を含んでいる。そして、起動信号制御部202は、起動信号(走行中又は停車中)を無線通信部26により、給電装置1に送信する。
【0054】
給電装置1は、車両2から送信された起動信号を受信すると、駐車車両判定部101により、駐車場に車両が駐車しているか否かを判定する。
【0055】
駐車車両判定部101により車両2が駐車場に駐車していないと判定し、起動信号(走行中)を受信した場合には、コントローラ10は、状態検出部102による給電装置1の状態を診断する制御を行う。すなわち、車両2が駐車場に駐車していない状態で、給電装置1が走行中の車両2から起動信号を受信した場合には、起動信号を送信した車両が、この給電装置1に駐車する可能性がある。この時に、例えば、給電装置1が、非接触給電による充電を行うことができず、接触給電可能状態である場合には、車両2が駐車場に駐車する前に、給電装置1の状態を報知した方がよい。そのため、状態検出部102は、給電装置1の状態を診断する制御を行う。
【0056】
また、駐車車両判定部101により車両2が駐車場に駐車していないと判定し、起動信号(走行中)を受信した場合には、コントローラ10は、車両2との間でカップリングを成立するために、非接触給電制御部104により、弱い電力を出力させる。カップリング制御は、コイル間の非接触給電を利用しており、送電コイル11に対する受電コイル21位置ずれが大きい場合には、カップリングのために、送電コイル11から電力を出力したとしても、受電コイル21で、検出できるだけの十分な電力を受電できない可能性がある。
【0057】
そのため、コントローラ10は、コイル位置検出部103により、カップリング制御の前であって、車両2の駐車中又は車両2の駐車後に、送電コイル11に対する受電コイル21の位置を検出している。そして、コイル位置検出部103は、コイル間の位置ずれが許容範囲外である場合には、無線通信部16により、再駐車を指示する信号を送信しつつ、表示部17に再駐車を指示する旨を表示させる。なお、許容範囲は、カップリング制御を行うことができる、コイルの位置ずれの上限を表している。
【0058】
コントローラ10は、コイル位置検出部103により、コイルの位置ずれか許容範囲内である場合には、無線通信部16により、カップリングの開始を示す予告信号を送信する。予告信号は、カップリングを成立させるために、非接触で送電コイル11から受電コイル21へ電力を供給することを予告した信号である。
【0059】
また、車両2側のコントローラ20は、給電装置1側よりカップリングの予告信号を受信すると、カップリング制御部210により、カップリングの制御を開始する。カップリング制御の詳細については、後述する。
【0060】
そして、カップリングの成立後に、コントローラ10、20は、非接触給電によるバッテリ24の充電制御を行う。タイマ設定がされている場合には、設定された時間に達した時に、バッテリ24の充電が開始される。また、タイマ設定されておらず、また充電をキャンセルすることもなければ、車両2のパワースイッチ(図示しない)がオン状態からオフ状態に切り替わった時に、又は、Ready状態からオフ状態に切り替わった時に、バッテリ24の充電が開始される。
【0061】
ここで、オン状態は、パワースイッチのオン操作によるで、遷移した状態を示す。パワースイッチのオン状態では、コントローラ20は起動しているが、受電回路部23のリレースイッチはオフになっており、モータとバッテリ24と間、及び、充電器33とバッテリとの間も、リレーオフ(受電回路部23のリレースイッチとは異なるスイッチ)により遮断されているため、車両2を走行させることはできず、外部電源によりバッテリ24を充電できる状態ではない。
【0062】
また、Ready状態は、ブレーキペダルを踏んだ状態で、パワースイッチのオン操作により、遷移した状態を示す。Ready状態では、コントローラ20は起動し、モータとバッテリ24との間は電気的に導通状態となり、受電回路部23のリレースイッチはオフになり、充電器33とバッテリ24との間は遮断されている。そのため、車両2を走行させることはできるが、外部電源によりバッテリ24を充電できる状態ではない。
【0063】
一方、タイマ充電の設定時刻に達した時、あるいは、ユーザにより充電を開始する指令がコントローラ20に入力されて、パワースイッチがオン状態からオフ状態に、又は、Ready状態からオフ状態に切り替わった時には、コントローラ20は起動ており、受電回路部23のリレースイッチはオンになり、充電器33とバッテリ24との間は電気的に導通状態になる。これにより、車両2は、電気的にも充電可能な状態となる。
【0064】
バッテリ24の充電制御の際には、コントローラ20は、バッテリ24の充電状態を管理しており、バッテリ24のSOCに応じて、バッテリ24の充電電力を調整するように、要求電力を給電装置1側に送信する。給電装置1のコントローラ10は、車両2側からの要求電力に応じて、非接触給電制御部104により、パワーユニット13を制御する。そして、バッテリ24のSOCが目標SOCに達すると、コントローラ20は、充電を停止する停止信号を給電装置1に送信する。非接触給電制御部104は、当該停止信号に基づいて、電力の出力を停止させる。
【0065】
以上の制御が、給電装置1のコントローラ10及び車両2のコントローラ20の制御の概要であるが、給電装置1側のコントローラ10は、駐車場に車両が止まっているか否か、及び、車両2から送信される起動信号が走行中ものであるか、停車中のものであるかによって、上記の制御の一部を除いている。
【0066】
そこで、以下、車両の状態、及び、駐車場に車両が停車しているか否かに応じた、コントローラ10、20の具体的な制御を、
図1〜
図3を用いて、説明する。
図3は、給電装置1をそれぞれ備えた複数の駐車場と、複数の車両2の位置関係を説明するための平面図である。
図3について、車両(CAR_A)は、複数の給電装置1(GC_A、GC_B、GC_C)のうち、最も近い給電装置(GC_A)に駐車しようとしている。また、車両(CAR_C)は、給電装置(GC_C)の駐車場に既に停車しているが、接触給電及び非接触給電によるバッテリ24の充電は行っていない。車両(CAR_B)は、最も近い給電装置(GC_C)に車両(CAR_C)が停車しているため、次に近い位置の給電装置(GC_B)に駐車しようとしている。また、図中のCAR_A、B、Cは車両2の各識別情報(ID)を示し、GC_A、B、Cは、給電装置1の各識別情報を示している。
【0067】
まず、走行中の車両(CAR_A、CAR_B)から起動信号が送信される場合の制御について説明する。
【0068】
車両2による起動信号の生成について説明する。コントローラ20は、車両2の走行中に、駐車確認ボタン31が押されたか否かを判定する。そして、駐車確認ボタン31が押された場合には、起動信号制御部202は、起動信号(走行中)を識別情報と共に送信する。また、駐車確認ボタン31が押されていない場合でも、コントローラ20は、車両の現在地と、登録されている給電装置1の位置との距離が、所定の判定閾値以下である否かを判定する。そして、車両の現在地と給電装置1の位置との距離が所定の判定閾値以下である場合には、起動信号制御部202は、無線通信部26をオンにして、起動信号(走行中)を識別情報と共に送信する。登録されている給電装置1は、例えば自宅の駐車場、あるいは、目的地までの走行ルート付近の給電装置1であって、メモリ29に記録されている。給電装置1は、ユーザにより登録されてもよく、あるいは、例えばバッテリ24が所定値より低くなった場合に、車両の現在地の付近、あるいは、車両2の到達可能地点の付近の給電装置1を、コントローラ20により特定して、メモリ29に登録してもよい。
【0069】
一方、車両走行中で、駐車確認ボタン31が押されておらず、車両2の現在地と登録されている給電装置1の位置との距離が、所定の判定閾値より長い場合には、起動信号制御部202は、無線通信部26をオフにして、起動信号(走行中)を送信しない。また、無線通信部26がオンの状態で、車両2の現在地と登録されている給電装置1の位置との距離が、所定の判定閾値より長くなった場合には、起動信号制御部202は、無線通信部26をオンからオフに切り替える。
【0070】
図3の例では、車両(CAR_A、CAR_B)の位置と、登録されている給電装置(GC_A、B、C)の位置との間の距離が所定の判定閾値以下であり起動信号制御部202は、車両の識別信号(CAR_A、又は、CAR_B)起動信号(走行中)を、給電装置(GC_A、B、C)に送信する。起動信号(走行中)を送信した後、車両(CAR_A、CAR_B)のコントローラ20は、給電装置1からの信号を待ち受ける状態となる。
【0071】
次に、起動信号(送信中)を受信した給電装置1側のコントローラ10の制御について説明する。起動信号(送信中)を受信すると、コントローラ10は、無線通信の受信システム以外の他のシステムを起動させる。駐車車両判定部101は、駐車場に車両2が止まっているか否かを判定する。給電装置(GC_A、B)は、駐車場に車両が止まっていないため、駐車車両無し、と判定する。一方、給電装置(GC_C)は、駐車場に車両(CAR_C)が止まっているため、駐車車両有り、と判定する。
【0072】
駐車車両判定部101により、駐車車両無し、と判定された場合には、コントローラ20は、受信した起動信号に含まれる車両の識別情報と、メモリ15に登録されている車両用の識別情報とを照合する。
【0073】
メモリ15に記録されている識別情報について、例えば給電装置1が家庭用の駐車場に設定されている場合には、給電装置1の所有者の車両の識別情報が、メモリ15に記録されている。あるいは、本例の非接触給電システムが、会員専用のシステムである場合には、会員登録されている車両の識別情報、又は、会員であることを示す識別情報がメモリ15に記録されている。なお、会員共通の識別情報を用いる場合には、識別情報は、車両2側のメモリ29にも記録されており、起動信号と共に車両2から給電装置1に送信される。
【0074】
起動信号(走行中)と共に受信した識別情報とメモリ15の識別情報とが一致する場合には、コントローラ10は、識別情報が許可されたものであると判定する。一方、受信した識別情報とメモリ15の識別情報とが一致しない場合には、コントローラ10は、識別情報が許可されたものでないと判定する。そして、識別情報が許可されたものでない場合には、コントローラ10は、状態検出部102による自己診断制御及びカップリング制御を行わずに、スリープ状態になる。
【0075】
識別情報が許可されたものでない場合には、許可されない識別情報をもつ車両が駐車場に駐車されたとしても、非接触充電は行われないため、自己診断制御等を行う必要がない。また、許可されていない識別情報の車両に対して、給電装置1の自己診断の結果を報知した場合には、非接触充電が許可されていないにもかからず、車両のユーザが、報知結果をみて、車両2を駐車場に誤って駐車する可能性もある。そのため、識別情報が許可されたものでない場合には、コントローラ10は、自己診断制御等を省いて、スリープ状態になる。これにより、本例は、給電装置1の消費電力を抑制することができる。
【0076】
次に、識別情報が許可されたものである場合には、コントローラ10は、状態検出部102により、給電装置1の状態を検出する。
図3の例では、給電装置(GC_A、B)が、車両(CAR_A)の起動信号を受信することで、自己診断制御を行う。
【0077】
そして、コントローラ10は、状態検出部102により、給電装置1の非接触給電可能状態を検出した場合には、表示部17のランプ表示を「青色」にして点灯させる。また、コントローラ10は、状態検出部102により、給電装置1の復帰可能状態を検出した場合には、表示部17のランプ表示を「青色」にして点滅させる。また、コントローラ10は、状態検出部102により、給電装置1の接触給電可能状態を検出した場合には、表示部17のランプ表示を「赤色」にして点滅させる。さらに、コントローラ10は、状態検出部102により、給電装置1の給電不可状態を検出した場合には、表示部17のランプ表示を「赤色」にして点灯させる。すなわち、本例は、状態検出部102による検出結果に対して、表示部17の表示状態を、それぞれ異なるようにしている。
【0078】
コントローラ10は、車両2との間で無線通信を継続している場合には、上記のような表示部17によるランプ表示を継続して行う。一方、車両2との無線通信が途切れてから、所定の時間が経過した場合には、コントローラ10は、表示部17を制御して、ランプ表示を消灯させる。無線通信が途切れた場合とは、
図3の例では、例えば車両(CAR_A)が給電装置(GC_A)に近づいたが、給電装置(GC_A)の駐車場には止まることなく、通過した場合である。このような場合には、車両2が給電装置1の付近に存在しないにも関わらず、給電装置1の状態を表示部17に表示させる必要ない。そのため、コントローラ10はランプ表示を消灯させる。
【0079】
さらに、本例では、識別信号が許可されていない車両2に対しては、給電装置1の表示部17のランプ表示により、給電装置1の状態を報知していない。
図3を参照し、例えば給電装置(GC_B)が、車両(CAR_D)のユーザの所有のものであって、給電装置(GC_B)のメモリ15には、車両の識別情報としてCAR_Dのみが登録されていたとする。この場合に、識別認証を行うことなく、ランプ表示により給電装置1の状態を報知した場合には、車両(CAR_D)以外の車両(CAR_A、B)が給電装置(GC_B)の付近を走行した場合にも、表示部17が光ってしまうことになる。そのため、本例において、コントローラ10は、識別信号が許可されていない車両2に対しては、表示部17により給電装置1の状態を表示しないよう、制御している。
【0080】
また、コントローラ10は、状態検出部102の検出結果が非接触給電可能状態である場合、検出結果が復帰可能状態である場合、及び、接触給電可能状態である場合には、検出結果を無線通信により、車両2に送信する。また検出結果の送信後、コントローラ10は、車両2からの信号の待ち受け状態となる。
【0081】
一方、コントローラ10は、状態検出部102の検出結果が給電不可状態である場合には、検出結果を無線通信により送信しない。給電装置1により充電することができず、さらに、充電不可とする問題等が車両2のユーザでは解決できない場合には、検出結果を車両2側に通知したとしても、検出結果は、車両2のユーザにとっては有意義な情報にはならない。そのため、本例は、検出結果が給電不可状態である場合には、検出結果を無線通信により送信していない。
【0082】
これにより、車両(CAR_A、B)のユーザは、給電装置(GC_A、B)に駐車する前に、表示部17の表示の違いから、給電装置(GC_A、B)の状態を確認することができる。例えば、給電装置(GC_A)が給電不可状態であり、給電装置(GC_B)が復帰可能状態である場合には、走行中の車両(CAR_A、B)のユーザは、給電装置(GC_A)の「赤色」の点灯状態を確認することで、給電装置(GC_A)では充電できないことを認識することができる。また、走行中の車両(CAR_A、B)のユーザは、給電装置(GC_B)の「青色」の点灯状態を確認することで、何らかの異常を、自身で解決した後に、非接触給電可能なことを認識することができる。
【0083】
一方、駐車車両判定部101により、駐車車両有りと判定した場合には、コントローラ10は、上記の識別情報の認証制御及び給電装置1の自己診断制御を行うことなく、スリープ状態にする。この制御は、
図3の例では、給電装置(GC_C)の制御に該当する。
【0084】
給電装置(GC_C)は、車両(CAR_A、B)から起動信号(走行中)を受信したとしても、既に、車両(CAR_C)が停車している。そのため、給電装置(GC_C)では、車両(CAR_A、B)は充電することができず、給電装置(GC_C)は、車両(CAR_A、B)との間で識別情報の認証を必要とせず、さらに、給電装置(GC_C)の状態を、車両(CAR_A、B)に報知させる必要もない。そのため、給電装置(GC_C)は、車両(CAR_A、B)から起動信号(走行中)を受信した場合には、すぐに、スリープ状態となる。これにより、本例は、給電装置1の消費電力を抑制することができる。
【0085】
次に、状態検出部102の検出結果の情報を受信した車両側の制御を説明する。上記の通り、車両(GC_A、B)は、起動信号(走行中)を送信した後に、給電装置1からの信号の待ち受け状態となっているが、給電装置1から、自己診断の結果を含む信号を受信することで、給電装置1の状態を案内する。
【0086】
非接触給電可能状態の検出結果を含む信号を受信した場合には、給電装置案内部203は、検出結果と、検出結果に対応する正常な給電装置1の位置を、ディスプレイ25の地図上に表示する。給電装置案内部203は、例えば、色の識別により、給電装置1が正常に非接触給電可能であることを示してもよく、あるいは、ポップアップ機能により、ディスプレイ25上に、正常な給電装置1である旨を表示させてもよい。
【0087】
また、復帰可能状態の検出結果を含む信号を受信した場合には、給電装置案内部203は、検出結果と、検出結果に対応する給電装置1の位置を、ディスプレイ25の地図上に表示する。給電装置案内部203は、ユーザにより解決可能な異常を含む給電装置を、ディスプレイ25上で表示する。復帰可能状態の給電装置1をディスプレイ25に表示させる際には、例えば、正常な給電装置1の表示色とは異なる色で表示してもよく、あるいは、ポップアップ機能により表示してもよい。このとき、復帰可能状態の原因となっている異常を、表示してもよい。
【0088】
また、接触充電可能状態の検出結果を含む信号を受信した場合には、給電装置案内部203は、接触給電のみ可能な給電装置を、ディスプレイ25上で表示する。接触給電可能状態の給電装置1をディスプレイ25に表示させる際には、例えば、正常な給電装置1の表示色及び復帰可能状態の給電装置1の表示色とは異なる色で表示してもよく、あるいは、ポップアップ機能により表示してもよい。
【0089】
また、複数の給電装置1が、ディスプレイ25で表示される地図に含まれる場合には、各給電装置1の位置と、各給電装置1に対応するそれぞれの状態が、ディスプレイ上に、それぞれ表示される。
【0090】
状態検出部102の検出結果が給電不可状態である場合には、検出結果は無線通信により送信されないため、給電装置案内部203は、給電不可状態の給電装置1の情報をディスプレイ25には表示しない。すなわち、給電装置案内部203は、非接触充電又は接触充電のいずれか一方の充電を行うことができる給電装置1と車両2のユーザによって充電可能な状態へ復帰できる状態の給電装置1を、ディスプレイ25上に表示させている。そのため、車両2のユーザは、ディスプレイ25の表示によって、給電装置1の状態が充電可能な状態であることを、容易に確認できる。
【0091】
そして、車両(CAR_A、B)のユーザは、給電装置1の表示部17の表示、又は、車両2のディスプレイ25の表示を確認しつつ、給電装置(GC_A、B)の駐車場に、車両を駐車させる。
【0092】
また、車両が、給電装置1の状態の検出結果を示す信号を送信した給電装置1の駐車場(給電装置(GC_A、B)の駐車場)に、近づいた場合には、コントローラ20は、給電装置1に対して、駐車の意志を示す駐車信号を送信する。車両2が給電装置1に近づいたか否かの判定は、例えば、給電装置1の位置と車両の現在地と比較することで判定してもよく、あるいは、給電装置1から送信される無線信号の受信強度を測定することで判定してもよい。
【0093】
次に、駐車場で走行中の車両、又は、駐車後の停止車両に対する給電装置(GC_A、B)と、車両(CAR_A、B)のカップリング制御について説明する。まず、コントローラ10は、上記の駐車信号を受信する。
【0094】
このとき、給電装置1の状態が非接触給電可能状態である場合には、コイル位置検出部103によりコイル間の位置ずれを検出する。一方、給電装置1の状態が復帰可能状態である場合には、コントローラ10は、復帰可能状態の原因となっている異常が取り除かれたことを確認した上で、コイル位置検出部103によりコイル間の位置ずれを検出する。また、給電装置1の状態が接触給電可能状態である場合には、コントローラ10は、コイル位置検出部103によるコイル位置の検出制御及びカップリング制御を行うことなく、接触充電による充電制御を行う。
【0095】
そして、コイル位置検出部103により、センサ12の検出値に基づいて車両2の受電コイル21の位置が検出され、送電コイル11と受電コイル21との間の位置ずれが許容範囲内である場合には、コントローラ10は、車両2に対して、カップリングの受け入れが整ったことを示す励磁予告信号を送信する。
【0096】
ここで、
図3の例において、車両(CAR_A)は、車両(CAR_B)よりも早く、駐車信号を送信したとする。また、給電装置(GC_A、B、C)は、車両(CAR_B)からの駐車信号よりも、車両(CAR_A)の駐車信号を早く受信したとする。
【0097】
この場合に、給電装置(GC_A)のコントローラ10は、車両(CAR_A)からの駐車信号を受信することで、励磁予告信号を車両(CAR_A、B)に送信する。また、給電装置(GC_B)のコントローラ10は、車両(CAR_A)からの駐車信号を受信することで、励磁予告信号を車両(CAR_A、B)に送信する。この時、先に駐車信号を送信する車両(CAR_A)に対して、給電装置(GC_A)は、給電装置(GC_B)よりも近い位置にある。そのため、給電装置(GC_A)の励磁予告信号は、給電装置(GC_B)の励磁予告信号よりも早く信号を送信される。給電装置(GC_A)の励磁予告信号は識別情報(GC_A)を含み、給電装置(GC_B)の励磁予告信号は識別情報(GC_B)を含んできる。
【0098】
そして、車両(CAR_A)は、給電装置(GC_A)の励磁予告信号の受信後に、給電装置(GC_B)の励磁予告信号を受信する。同様に、車両(CAR_B)は、給電装置(GC_A)の励磁予告信号の受信後に、給電装置(GC_B)の励磁予告信号を受信する。すなわち、車両(CAR_A)で受信する励磁予告信号の受信順は、車両(CAR_B)で受信する励磁予告信号の受信順と同じになる。
【0099】
なお、コントローラ10は、通信圏内に存在する複数の車両間で、励磁予告信号の受信順を同じにするために、互いの給電装置間で送信タイミングを調整してもよい。例えば、同じ車両の識別信号を含む駐車信号を、複数の給電装置で受信した場合には、無線信号の受信強度は、車両に対して近い給電装置ほど、高くなる。そのため、コントローラ10は、受信強度が低いほど、送信タイミングが遅れるように調整してもよい。また、例えば、駐車信号に、送信時刻の情報を含む場合には、コントローラ10は、送信時刻と受信時刻と間の時間から、対象となる車両と給電装置との間の距離を把握することができる。そして、この距離が短い給電装置1ほど、送信タイミングを早め、距離が長い給電装置ほど送信タイミングを遅くしてもよい。
【0100】
カップリング制御部210は、許可信号生成部211により、複数の給電装置1から励磁予告信号を受信した場合に、予め設定された規則に従って、複数の給電装置1のうち、一の給電装置1に対して、カップリングのための励磁を許可する。予め設定された規則は、例えば、励磁予告信号の受信の順番、あるいは、給電装置1に登録番号が付与されている場合には、番号の順番などである。一例として、励磁予告信号の受信順位が最上位であることを、予め設定された規則として、以下、説明する。
【0101】
図3の例では、車両側における励磁予告信号の受信順位は、給電装置(GC_A)の励磁予告信号が1番であり、給電装置(GC_B)の励磁予告信号が2番である。そのため、給電装置(GC_A)の許可信号生成部211は、1番に受信した励磁予告信号に含まれる識別情報(GC_A)と抽出し、抽出した識別信号をもつ給電装置(GC_A)を、カップリングのために送電コイル11から受電コイル21への送電を許可する(カップリングの励磁を許可する)給電装置1として、特定する。そして、許可信号生成部211は、カップリングの励磁を許可したことを示す信号を、許可した給電装置1の識別信号(GC_A)を含めつつ、許可信号として生成する。
【0102】
車両(CAR_B)においても、励磁予告信号の受信順位は、車両(CAR_A)の受信順位と同じである。そのため、給電装置(GC_A)のカップリング制御部210も同様に、給電装置(GC_A)を、カップリングのための励磁を許可する給電装置1として、特定する。また車両(CAR_B)のカップリング制御部210も、識別情報(GC_A)を含む許可信号を生成する。
【0103】
次に、車両(CAR_A、B)のカップリング制御部210は、生成した許可信号を、給電装置1に送信する。
【0104】
給電装置1側のコントローラ10は、許可信号に含まれる給電装置1の識別情報と、メモリ15に記録されている自身の識別情報とを比較する。そして、許可信号の識別情報と自身の識別情報とが一致した場合には、コントローラ10は、カップリングのための励磁が許可されていると判断し、非接触給電制御部104により、パワーユニット13を制御して、送電コイル11から電力を出力する。このとき、出力電力は、車両2側のセンサ22で、電力を検出できる程度の大きさであればよい。
【0105】
図3の例では、給電装置(GC_A)のコントローラ10は、許可信号に含まれる識別情報(GC_A)と自身の識別情報(GC_A)とが一致するため、励磁が許可されたと判断し、送電コイル11から電力を出力する。一方、給電装置(GC_B)のコントローラ10は、許可信号に含まれる識別情報(GC_A)と自身の識別情報(GC_B)とが一致しないため、励磁が許可されていないと判断し、送電コイル11から電力を出力しない。すなわち、車両(CAR_A)は、許可信号を送信することで、許可信号で許可されていない給電装置1に対して、カップリングのための励磁を禁止させている。
【0106】
車両側のコントローラ20は、許可信号を送信した後、センサ22を用いて、受電コイル21で電力を受電したか否かを検出する。そして、カップリング制御部210のカップリング判定部212は、受電コイル21で受電する電力を検出した場合には、許可した給電装置1との間で、カップリングが成立したと判定する。
【0107】
図3の例では、給電装置(GC_A)の駐車場に停車した車両(CAR_A)には、給電装置(GC_A)の送電コイル11から、電力が供給される。そのため、給電装置(GC_A)のカップリング制御部210は、受電コイル21で電力が受電されたことを検出することで、給電装置(GC_A)との間にカップリングが成立したと判断する。
【0108】
一方、給電装置(GC_B)の駐車場に停車した車両(CAR_B)には、給電装置(GC_B)の送電コイルから、電力が供給されない。そのため、給電装置(GC_B)のカップリング制御部210は、センサ22で電力を検出できないため、給電装置(GC_B)との間にカップリングが成立してないと、判断する。
【0109】
カップリング制御部210は、カップリングが成立しなかった場合には、再度カップリングを行う旨の信号(再カップリング信号)を、給電装置1に送信する。給電装置1側のコントローラ10は、再カップリング信号を受信した場合には、駐車信号を受信した場合と同様に、励磁予告信号を再度、送信する。そして、再度、車両2と給電装置1との間で、上記のカップリング制御が行われる。
【0110】
図3の例では、給電装置(GC_A)と車両(CAR_A)との間でカップリングが成立し、給電装置(GC_B)と車両(CAR_B)との間でカップリングが成立しなかった後に、車両(CAR_B)のカップリング制御部210は、再カップリング信号を給電装置1に送信する。
【0111】
給電装置(GC_B)は、励磁予告信号を車両2に送信する。給電装置(GC_A)は、既にカップリングが成立しているため、励磁予告信号を送信しない。
【0112】
車両(CAR_B)のカップリング制御部210は、給電装置(GC_B)からの励磁予告信号を受信した後に、給電装置(GC_B)に対してカップリングの励磁を許可する許可信号を、識別情報(GC_B)を含みつつ、給電装置1に送信する。
【0113】
そして、給電装置(GC_B)のコントローラ10は、自身の識別情報(GC_B)と、許可信号の識別情報とに基づいて、送電コイル11から電力を出力する。車両(CAR_B)のカップリング制御部210は、センサ22を用いて、受電コイル21で電力が受電されたことを検出することで、給電装置(GC_A)との間にカップリングが成立したと判断する。これにより、車両(CAR_A)と給電装置(GC_A)との間、及び、車両(CAR_B)と給電装置(GC_B)との間で、カップリングを成立させることができる。
【0114】
カップリングが成立すると、カップリング制御部210は、相手側である給電装置1の識別情報を、カップリングした識別情報としてメモリ29に登録する。カップリング相手の給電装置の識別信号と自身の識別情報と対応させて、カップリング成立を示す信号により、カップリング情報(カップリングが成立した識別情報)を無線送信する。同様に、給電装置1のコントローラ10も、相手側である車両2の識別情報を、カップリングした識別情報としてメモリ15に登録する。そして、コントローラ10は、他の車両に対して、カップリング完了の信号を送信する。カップリング完了の信号には、カップリングが成立した対象の識別情報を含んでいる。
【0115】
カップリングが成立した後、他の給電装置1及び他の車両2は、カップリングが成立した車両2及び給電装置1の情報を必要としない。そのため、他の給電装置1及び他の車両2は、カップリング完了の信号を受信し、信号に含まれる識別情報に基づいて、カップリングの対象から除外することで、カップリングの精度を高めることができる。
【0116】
そして、カップリングが成立した後は、コントローラ10、20は送信の相手先が分かるため、コントローラ10、20は、自身の識別情報と、相手の識別情報と含めた上で、無線通信部16、26により信号の送受信をすることで、無線通信で一対一の通信を確立させることができる。
【0117】
また、上記のように、本例では無線通信で送信した信号に基づき、コイル位置を検出しつつ、カップリング制御を行う。そのため、車両が駐車場に停車していない場合にも、これらの信号を受信した給電装置1は、コイル位置を検出する待ち受け状態となる。さらに、コントローラ10側の制御から、コイル位置検出部による制御を省いた場合には、コントローラ10は、送電コイル11から電力を出力するように、パワーユニット13を制御してしまう。
【0118】
本例では、無線通信を行うことで生じる、上記の不要な制御時間をできるだけ短くするように、駐車場に車両が停止していない給電装置1のコントローラ10は、無線通信で受信した信号に含まれ、予め登録(許可)されている識別情報と、自身の給電装置の識別情報とが一致していない場合には、コイル位置を検出する待ち受け状態、又は、電力制御を終了させて、スリープ状態に遷移する。これにより、給電装置1の電力消費を抑制することができる。
【0119】
カップリングの成立後、車両側のコントローラ20は、非接触給電による充電が可能な旨をディスプレイ25に表示する。そして、ユーザにより、充電開始をキャンセルするような操作がなく、パワースイッチがオフになると、コントローラ20は、パークロック機構34を作動させて、車輪が回転しないように、車輪を固定する。
【0120】
非接触給電は、コイル間の距離が変わることで、結合係数が変わる。そして、バッテリ24の充電中、車輪が回転し、コイル間の距離が変わると、結合係数が変わってしまう。この時、結合係数がよくなる方に変化した場合には、バッテリ24の充電電流が設定電流よりも高くなり、バッテリ24への負荷が大きくなってしまう。そのため、本例は、充電制御前に、パークロック機構34を作動させる。
【0121】
車両側のコントローラ20は、充電開始のバッテリ24の充電状態をセンサで検出し、バッテリ24のSOCと目標SOCから、バッテリ24への要求電力を算出する。そして、コントローラ20は、算出した要求電力と共に、充電開始の要求信号を、給電装置側のコントローラ10に送信する。
【0122】
コントローラ10の非接触給電制御部104は、車両から充電開始の要求信号を受信すると、車両2からの要求電力に応じた、電力を送電コイル11から出力するよう、パワーユニット13を制御する。
【0123】
車両側のコントローラ20は、バッテリの状態を管理しつつ、受電コイル21の電力でバッテリ24を充電する。そして、バッテリ24のSOCが目標SOCに達すると、車両側のコントローラ20は、充電を終了する旨の信号をコントローラ10に送信し、充電制御を終了する。また、給電装置側のコントローラ10は、充電終了の信号を受信することで、充電制御を終了する。
【0124】
また、接触給電による充電が可能な旨をディスプレイ25に表示した後に、充電のタイマ設定がされた場合には、車両2側のコントローラ20は、タイマ設定した旨の信号を、コントローラ10に送信する。
【0125】
コントローラ10は、タイマ設定した旨の信号を受信した場合には、短時間、送電コイル11から受電コイル21に電力を送電するよう、パワーユニット13を制御することで、バッテリ24の試し充電を開始する。
【0126】
車両側のコントローラ20は、センサ22を用いて、受電コイル21の電力を検出する。コントローラ20は、検出した電力と電力閾値とを比較する。電力閾値は、バッテリ24の充電に必要な電力の下限値である。そして、検出電力が電力閾値より大きい場合には、コントローラ20は、タイマモードに設定して、待機状態になる。なお、タイマモードは、設定された時刻になると、充電を開始する充電モードである。
【0127】
一方、検出電力が電力閾値以下である場合には、コントローラ10はディスプレイ25に電力不足である旨を表示する。電力不足の場合には、車両の駐車位置を変更し、コイル間の位置ずれを小さくすればよい。
【0128】
タイマ設定した場合には、通常、充電を開始する時、車両のユーザは、車両の付近にいない。そのため、コイルの位置ずれが大きく、電力不足になったとしても、車両を再駐車させたり、コイル位置の調整機構を用いたりして、コイルの位置を調整することができない。そのため、本例は、タイマ設定がされた場合には、試し充電を行っている。
【0129】
なお、試し充電は、必ずしもバッテリ24を実際に充電する必要はなく、バッテリ24を充電するために必要な電力を、受電コイル21で受電したことを確認できればよい。
【0130】
以上が、走行中の車両(CAR_A、CAR_B)から起動信号が送信される場合の制御である。次に、停車中の車両(CAR_C)から起動信号が送信される場合の制御について説明する。
【0131】
車両2による起動信号の生成について説明する。充電のタイマモードに設定されている場合には、起動信号制御部202は、設定された時間になると、起動信号(停車中)を送信する。
【0132】
また、車両(CAR_C)を給電装置(GC_C)の駐車場に駐車したが、上記の制御シーケンスをキャンセルした場合には、コントローラ20は、キャンセルした履歴をメモリ29に残している。そして、充電のタイマモードが設定されていない状態で、ユーザがパワースイッチを操作して、パワースイッチをオン状態に、又は、Ready状態にした場合には、コントローラ20は、非接触給電による充電を開始するための設定画面を、ディスプレイ25に表示する。そして、ユーザが、充電開始の操作を行った後、パワースイッチがオフになると、起動信号制御部202は、起動信号(停車中)を送信する。
【0133】
給電装置側のコントローラ10は、起動信号(停車中)を受信すると、無線通信の受信システム以外の他のシステムを起動させる。駐車車両判定部101は、駐車車両の有無を判定する。駐車車両がある場合には、コントローラ10は、車両2との間で識別情報の照合を行う。
【0134】
識別情報が許可されたものである場合には、コントローラ10は、状態検出部102により、給電装置(GC_C)の状態を検出する。状態検出部102の制御は上記と同様である。
【0135】
コントローラ10は、状態検出部102により、給電装置1の非接触給電可能状態を検出した場合には、非接触給電による充電の受け入れが可能である旨の信号(以下、受け入れ可能信号と称す。)を、車両側に送信する。
【0136】
一方、コントローラ10は、状態検出部102により、復帰可能状態、接触給電可能状態、又は給電不可状態を検出した場合には、受け入れ可能信号を送信せずに、スリープ状態にする。なお、コントローラ10は、受け入れ可能信号を送信しない代わりに、検出結果を示す信号を無線送信してもよい。
【0137】
そして、車両側のコントローラ20は、受け入れ可能信号を受信した後、上記と同様に、カップリング制御を行い、充電を開始する。給電装置側のコントローラ10も、受け入れ可能信号を送信した後、上記と同様にカップリング制御を行い、充電を開始する。なお、車両の停車時に、既にカップリング制御を行っている場合には、コントローラ10、20は、受け入れ可能信号の送受信に基づく、カップリング制御を省いてもよい。
【0138】
給電装置側のコントローラ10は、起動信号(停車中)の受信後に、駐車車両判定部101により、駐車車両が無いと判定された場合には、コントローラ10は、上記の識別情報の照合、自己診断制御、カップリング制御等を行わずに、スリープ状態にする。
【0139】
これにより、本例は、車両2からの起動信号を車両の走行中と、車両の停車中とで分けることで、走行中の車両に限らず、停車中の車両からも給電装置1を起動させることができる。また、起動信号が区別されているため、給電装置1は、走行中の車両に対する制御と、停車中の車両に対する制御とを分けることができる。すなわち、駐車場に車両が停車していない状態で、起動信号(停車中)を受信した場合には、走行中の車両が駐車場に停車する可能性は低い。そのため、識別情報の照合、自己診断制御、カップリング制御等を給電装置1の制御シーケンスから省くことで、制御フローの短縮化を図りつつ、消費電力を抑制することができる。
【0140】
さらに、本例は、充電のタイマモードを設定した場合も、起動信号を車両側から送信するため、自動的に充電を開始させることができる。
【0141】
また、例えば、第1のシーンとして、給電装置1の駐車場に停車した後、非接触充電による充電をキャンセルした場合に、再度、充電を開始させる際には、パワースイッチのオフ状態からオン状態にした後に、再びオフ状態にする、あるいは、パワースイッチのオフ状態からReady状態にした後に、再びオフ状態にすることで、充電を開始させることができる。また、第2のシーンとして、給電装置1の駐車場に停車した後に、非接触充電による充電をキャンセルせず、かつ、充電のタイマモードを設定していない場合には、パワースイッチのオン状態からオフ状態に切り替わったとき、又は、Ready状態からオフ状態に切り替わったときに、充電を開始させることができる。
【0142】
これにより、いずれのシーンでも、充電のトリガーとしての、パワースイッチの動作が同じになるため、ユーザにとって分かりやすい、非接触給電システムを実現することができる。
【0143】
次に、
図4〜
図12を用いて、給電装置側のコントローラ10及び車両側のコントローラ20の制御について説明する。
図4は、コントローラ10、20の制御フローの概要を示す。
図5は、
図4のステップS100の具体的な制御フローを示す。
図6は、
図4のステップS200及びステップS300の具体的な制御フローを示す。
図7は、
図4のステップS400の具体的な制御フローを示す。
図8は、
図4のステップS500の具体的な制御フローと、ステップS600の制御のうち給電装置側の制御フローを示す。
図9は、
図4のステップS600の制御のうち車両側の制御フローを示す。
図10は、
図4のステップS700の具体的な制御と、ステップS800の制御のうち車両側の制御フローを示す。
図11は、
図4のステップS800の制御のうち給電装置側の制御フローを示す。
図12は、停車中の車両におけるコントローラ20の制御手順であって、
図4のステップS100の具体的な制御フローを示す。
図13は、
図5のステップS110の具体的な制御フローを示す。
【0144】
図4に示すように、ステップS100にて、車両側のコントローラ20は、起動信号を生成するための制御を行い、起動信号を給電装置1に送信する。ステップS200にて、給電装置側のコントローラ10は、駐車場に車両が停車しているか否かを判定する。ステップS300にて、コントローラ10は、装置内の自己診断制御を行い、給電装置1の状態等に応じて、診断結果を車両2に送信する。
【0145】
ステップS400にて、コントローラ20は、給電装置1側の信号に基づき、給電装置の状態を案内する。
【0146】
ステップS300の制御の後、ステップS500にて、コントローラ10はコイル位置を検出する。ステップS400の後及びステップS500の後に、コントロら10、20はカップリング制御を行う。ステップS600の後、ステップS700にてコントローラ20は充電のための準備の制御を行う。
【0147】
そして、給電装置側のステップS600の後、及び、車両側のステップS700の後に、コントローラ10、20は充電制御を行い、制御を終了する。
【0148】
図5に示すように、
図4のステップS100の制御では、まずステップS101にて、車両側のコントローラ20は、車両が走行中か否かを判定する。車両走行中である場合には、ステップS102にて、コントローラ20は、駐車確認ボタン31がオフからオンになったか否かを判定する。駐車確認ボタン31がオンになっていない場合には、コントローラ20は、GPS28により車両の現在地を取得する(ステップS103)。
【0149】
ステップS104にて、コントローラ20は、車両の現在地と登録されている給電装置1の位置との距離を測定し、測定距離が判定閾値以下であるか否かを判定する。そして、測定距離が判定閾値以下である場合には、コントローラ20は、起動信号制御部202により、起動信号(走行中)を送信する(ステップS105)。
【0150】
また、ステップS102に戻り、駐車確認ボタン31がオンになった場合にも、コントローラ20は、起動信号(走行中)を送信する(ステップS105)。ステップS101に戻り、車両停車中である場合には、ステップS110にて、コントローラ20は、車両停車時の制御を行う。車両停車時の制御は、
図12を参照しつつ、後述する。
【0151】
そして、ステップS105又はステップS110の後に、ステップS120にて、コントローラ20は、給電装置1からの無線信号を待ち受ける状態となり、ステップS100の制御を終了する。
【0152】
ステップ104に戻り、測定距離が判定閾値より長い場合には、コントローラ20は、無線通信部26をオンかオフに切り替え(ステップS106)、本例の制御を終了する。
【0153】
図6に示すように、
図4のステップS200の制御では、まずステップS201にて、給電装置側の無線通信部16は、起動信号(走行中)を受信する。ステップS202にて、コントローラ10は、スリープ状態から、無線通信部16の受信に関するシステム以外の他のシステムを起動させる。ステップS203にて、コントローラ10は、駐車車両判定部101にて、駐車場に車両2が停車しているか否かを判定する。駐車車両無しの場合にはステップS309に進み、コントローラ10はスリープ状態に遷移する。なお、スリープ状態になった場合には、コントローラ10、20の制御フローは、
図4の制御フローから抜ける。ここまでが、ステップS200の制御であり、以下、ステップS300の制御である。
【0154】
駐車車両有りの場合には、ステップS301にて、コントローラ10は、起動信号(走行中)に含まれる車両の識別情報と、メモリ15に登録されている許可された車両の識別情報とを照合する。送信された車両の識別情報が許可されたものである場合には、コントローラ10は、状態検出部102の制御により、給電装置1の状態を検出する(ステップS302)。ステップS303にて、コントローラ10は、状態検出部102の検出結果が非接触給電可能状態であるか否かを判定する。検出結果が非接触給電可能状態である場合には、ステップS304にて、コントローラ10は、検出結果を無線送信する。ステップS305にて、コントローラ10は、表示部17の表示状態を青点灯の状態にする。
【0155】
ステップS306にて、コントローラ10は、車両2から無線信号を継続して受信しているか否かを判定する。無線通信が継続している場合には、コントローラ10は、カップリングに備えて、車両を受け入れる状態となり(ステップS307)、ステップ300の制御を終了する。
【0156】
ステップS306に戻り、車両2からの無線信号が無くなり、通信が途絶えたときには、ステップS308にて、コントローラ10は、表示部17の表示状態を消灯の状態とする。ステップS309にて、コントローラ10はスリープ状態になる。すなわち、車両が駐車場に停車することなく通過したときが、ステップS308、S309の制御に相当する。
【0157】
ステップS303に戻り、状態検出部102の検出結果が非接触給電可能状態ではない場合には、コントローラ10は、状態検出部102の検出結果が復帰可能状態であるか否かを判定する(ステップS310)。検出結果が復帰可能状態である場合には、ステップS311にて、コントローラ10は、検出結果を無線送信する。ステップS312にて、コントローラ10は、表示部17の表示状態を青点滅の状態にする。
【0158】
ステップS313にて、コントローラ10は、車両2から無線信号を継続して受信しているか否かを判定する。無線通信が継続している場合には、ステップS302に戻る。そして、ステップS302〜ステップS313の制御フローをループしている間に、復帰可能状態が非接触給電可能状態になると、ステップS303からステップS304に進むことになる。
【0159】
一方、車両2からの無線信号が無くなった場合には、ステップS308に進む。
【0160】
ステップS310に戻り、状態検出部102の検出結果が復帰可能状態ではない場合には、コントローラ10は、状態検出部102の検出結果が接触給電可能状態であるか否かを判定する(ステップS314)。検出結果が接触給電可能状態である場合には、ステップS315にて、コントローラ10は、検出結果を無線送信する。ステップS316にて、コントローラ10は、表示部17の表示状態を赤点滅の状態にする。
【0161】
ステップS317にて、コントローラ10は、接触給電用の充電ケーブルが充電ポートに接続されたか否かを判定する。充電ケーブルが接続された場合には、S318にて、コントローラ10は、接触給電による充電制御を開始する。なお、接触給電の充電制御を行う場合には、コントローラ10、20の制御フローは、
図6の制御フローから抜けて、フローは終了する。
【0162】
ステップS317に戻り、充電ケーブルが接続されていない場合には、ステップS319にて、コントローラ10は、車両2から無線信号を継続して受信しているか否かを判定する。無線通信が継続している場合には、ステップS316に戻る。車両2からの無線信号が無くなった場合には、ステップS308に進む。
【0163】
ステップS314に戻り、状態検出部102の検出結果が接触給電可能状態ではない場合には、ステップS320にて、表示部17の表示状態を赤点灯の状態とする。ステップS321にて、コントローラ10は、車両2から無線信号を継続して受信しているか否かを判定する。無線通信が継続している場合には、ステップS320に戻る。車両2からの無線信号が無くなった場合には、ステップS308に進む。
【0164】
ステップS301に戻り、送信された車両の識別情報が許可されたものである場合には、上記のような、状態検出部102による検出制御を行わずに、表示部17の表示を消した状態のままにして、給電装置1の状態を報知しないようにして、ステップS309に進む。以上が、ステップS300の制御フローである。
【0165】
図7に示すように、
図4のステップS400の制御では、まずステップS401にて、車両側のコントローラ20は、状態検出部102の検出結果を示す信号を受信したか否かを判定する。検出結果で示す信号を受信した場合には、ステップS402にて、コントローラ20は、検出結果で示される状態が非接触給電可能状態であるか否かを判定する。非接触給電可能状態である場合には、ステップS403にて、コントローラ20は、給電装置案内部203により、非接触給電可能状態である給電装置1の位置、及び、非接触給電可能状態であることを、正常な給電装置1として、ディスプレイ25に表示する。
【0166】
ステップS404にて、コントローラ20は、車両2がディスプレイ25に表示した給電装置1に近づいたか否かを判定する。給電装置に近づいた場合には、ステップS405にて、コントローラ20は、駐車の意志を示す駐車信号を給電装置1に送信し、ステップS400の制御を終了する。
【0167】
ステップS402に戻り、検出結果で示される状態が非接触給電可能状態でない場合には、コントローラ20は、検出結果で示される状態が復帰可能状態であるか否かを判定する(ステップS406)。復帰可能状態であるである場合には、ステップS407にて、コントローラ20は、給電装置案内部203により、復帰可能状態である給電装置1の位置、及び、復帰可能状態であることを、ユーザにより解決可能な異常を含んだ給電装置として、ディスプレイ25に表示する。そして、ステップS404に進む。
【0168】
ステップS406に戻り、検出結果で示される状態が復帰可能状態でない場合には、ステップS408にて、コントローラ20は、給電装置案内部203により、接触可能状態である給電装置1の位置、及び、接触可能状態であることを、接触給電による充電のみ可能な給電装置として、ディスプレイ25に表示する。そして、ステップS404に進む。
【0169】
そして、ステップS404にて、コントローラ20は、車両2がディスプレイ25に表示した給電装置に近づいていない場合には、ステップS409にて、コントローラ20は、
図5のステップS120による待ち受け状態になってから、所定の時間を経過したか否かを判定する。そして、所定の時間を経過した場合には、ステップS400の制御を終了する。一方、所定の時間を経過していない場合(タイムアウトではない)には、ステップS401に戻る。以上の制御フローが、ステップS400の制御フローである。
【0170】
図8に示すように、
図4のステップS500の制御では、まずステップS501にて、給電装置側のコントローラ10は、駐車信号(
図7のステップS405を参照)又は再カップリング信号(
図9のステップS620を参照)を受信する。ステップS501にて、コントローラ10は、コイル位置検出部103により、受電コイル21の位置を検出する。ステップS503にて、コントローラ10は、コイル間の位置ずれが許容範囲内であるか否かを判定する。コイル間の位置ずれが許容範囲外である場合には、ステップS504にて、コントローラ10は、再駐車を指示する信号を、車両2に送信する。ここまでが、ステップS500の制御であり、以下、ステップS600の制御である。
【0171】
ステップS503でコイル間の位置ずれが許容範囲内である場合には、ステップS601にて、コントローラ10は、励磁予告信号(カップリングの予告信号)を送信する。
【0172】
ステップS602にて、コントローラ10は、励磁予告信号に対する応答信号として、許可信号を受信する。ステップS603にて、コントローラ10は、許可信号に含まれる給電装置1の識別情報と、メモリ15に記録されている自身の識別情報とを比較することで、カップリングのための励磁が許可されているか否かを判定する。
【0173】
カップリングのための励磁が許可されている場合には、ステップS604にて、コントローラ10は、送電コイル11から電力を出力する。ステップS605にて、コントローラ10は、車両側からカップリング成立を示す信号を受信した否かを判定する。
【0174】
カップリング成立の信号を受信した場合には、コントローラ10は、カップリングの成立した車両の識別情報をメモリ15に記録する。ステップS607にて、コントローラ10は、他の車両2に対して、カップリング完了を示す信号を送信して、車両2側からの充電要求の待ち受け状態となり、ステップS600の制御を終了する。
【0175】
ステップS605に戻り、カップリング成立の信号を受信していない場合には、ステップS608にて、コントローラ10は、ステップS604で電力を出力してからの時間が、所定の時間を経過したか否かを判定する。所定時間を経過した場合には、カップリング不成立とみなして、コントローラ10はスリープ状態に遷移する(ステップS609)。一方、所定の時間を経過していない場合(タイムアウトではない)には、ステップS604に戻る。
【0176】
ステップS603に戻り、カップリングのための励磁が許可されていない場合には、ステップS601に戻り、コントローラ10は、再度、励磁予告信号を送信する。以上の制御フローが、給電装置側のステップS500、S600の制御フローである。
【0177】
図9に示すように、
図4のステップS600の車両側の制御では、まずステップS611にて、コントローラ20は、励磁予告信号を受信する。ステップS612にて、コントローラ20は、許可信号生成部211により、予め設定された規則に従って、カップリングを許可する給電装置1を特定する。ステップS613にて、カップリング制御部210は、特定した給電装置1の識別情報を含みつつ、カップリングのために、送電コイル11から受電コイル21への電力の供給を許可する許可信号を生成する。
【0178】
ステップS614にて、コントローラ10は、許可信号を無線通信で送信する。ステップS615にて、コントローラ10は、センサ22を用いて電力を検出する。ステップS616には、コントローラ10は、カップリング判定部212により、センサ22により電力を検出したか否かを判定することで、カップリングが成立したか否かを判定する。
【0179】
センサ22により電力を検出した場合には、カップリングが成立したとして、ステップS617にて、コントローラ20は、カップリング成立を示す信号を送信する。ステップ618にて、コントローラ20は、カップリングが成立した給電装置1の識別情報をメモリ29に記録する。また、コントローラ20は、他の給電装置1に対して、カップリング完了を示す信号を送信する。ステップS619にて、コントローラ20は、ディスプレイ25に、非接触給電による充電が可能な状態であることを表示する。そして、車両側のステップS600の制御を終える。
【0180】
ステップS616に戻り、センサ22により電力を検出しなかった場合には、カップリングが成立しないと判定して、ステップS620にて、コントローラ20は、再度、カップリング制御を行うための再カップリング信号を、給電装置1に送信する。以上の制御フローが、車両側のステップS600の制御フローである。
【0181】
図10に示すように、
図4のステップS700の制御では、まずステップS701にて、コントローラ20は、充電の開始を案内する画面の表示中(ステップS620に相当)に、ユーザの操作に基づき、バッテリ24の充電をキャンセルする指示が入力されたか否かを判定する。キャンセル指示がない場合には、ステップS702にて、コントローラ20は、パワースイッチがオフ状態になっているか否かを判定する。パワースイッチがオフ状態になっていない場合には、ステップS701に戻る。
【0182】
一方、パワースイッチがオフ状態になった場合には、ステップS703にて、コントローラ20は、パークロック機構34を作動させる。ステップS704にて、コントローラ20は、充電のタイマモードに設定されているか否かを判定する。タイマモードに設定されていない場合には、ステップS801に進み、タイマモードに設定されている場合には、ステップS806に進む。
【0183】
ステップS701に戻り、キャンセル指示がある場合には、ステップS705にて、コントローラ20は、充電キャンセルを示す信号を給電装置1に送信する。ステップS706にて、コントローラ20は、無線通信部26による無線通信をオフにする。ステップS707にて、コントローラ20は、パワースイッチがオフ状態になっているか否かを判定する。パワースイッチがオフ状態になった場合には、本例の制御を終了する。一方、パワースイッチがオフ状態になっていない場合には、コントローラ20は、パワースイッチがオフ状態になるまで待機する。以上の制御フローがステップS700の制御フローである。以下、車両側のステップS800の制御フローを説明する。
【0184】
ステップS704に戻り、タイマ設定がない場合には、ステップS801にて、コントローラ20は、充電開始の要求信号を給電装置1に送信する。ステップS802にて、コントローラ20は、バッテリ24のSOCを測定する。ステップS803にて、コントローラ20は、バッテリ24のSOCに応じて、バッテリ24の充電に適した充電電力でバッテリ24を充電するよう、要求電力を算出する。そして、コントローラ20は、算出した要求電力を給電装置1に送信する。
【0185】
ステップS804にて、コントローラ20は、バッテリ24のSOCが目標SOCに達したか否かを判定する。SOCが目標SOCに達した場合には、ステップS805にて、コントローラ20は、充電終了の信号を給電装置1に送信して、本例の制御を終了する。一方、SOCが目標SOCに達していない場合には、ステップS802に戻る。
【0186】
ステップS704に戻り、タイマ設定がある場合には、コントローラ20は、タイマモードで充電を行う要求信号を、給電装置1に送信する(ステップS806)。ステップS807にて、コントローラ20は、送電コイル11から出力される電力で、試し充電を開始する。ステップS808にて、コントローラ20は、試し充電中に、受電コイル21の電力を検出する。ステップS809にて、コントローラ20は、検出電力と予め設定された電力閾値とを比較する。そして、検出電力が電力閾値より大きい場合には、ステップS810にて、コントローラ20は、タイマモードで待機する。一方、検出電力が電力閾値以下である場合には、コントローラ20は、ユーザに対して再駐車を促すために、コイルの位置ずれにより電力不足であることを、ディスプレイ25に表示する(ステップS811)。以上の制御フローが、車両側のS800の制御フローである。
【0187】
図11に示すように、
図4のステップS800の給電装置側の制御では、ステップS821にて、コントローラ10は、タイマモード充電の要求信号を受信した否かを判定する。タイマモード充電の要求信号を受信していない場合には、コントローラ10は、充電開始の要求信号を受信したか否かを判定する。充電開始の要求信号を受信していない場合には、ステップS821に戻る。
【0188】
充電開始の要求信号を受信した場合には、ステップS823にて、コントローラ10は、車両側から、バッテリ充電のための要求電力を受信する。ステップS824にて、コントローラ20は、非接触給電制御部104により、送電コイル11から要求電力を出力させるよう、パワーユニット13を制御する。
【0189】
ステップS825にて、コントローラ10は、充電終了を示す信号を受信したか否かを判定する。充電終了の信号を受信した場合には、本例の制御を終了する。一方、充電終了の信号を受信していない場合には、ステップS823に戻る。
【0190】
ステップS821に戻り、タイマモード充電の要求信号を受信した場合には、コントローラ20は、非接触給電制御部104により、所定の時間、送電コイル11から、試し充電用の電力を出力させるよう、パワーユニット13を制御する(ステップS826)。以上の制御フローが、給電装置側のS800の制御フローである。
【0191】
次に、
図12を用いて、
図5のステップS110の制御であって、停車中からの車両が起動信号(停車)を送信する際の制御(
図4のステップS100に相当)について説明する。ステップS110の制御では、まずステップS111にて、コントローラ20は、充電のタイマモードで設定された充電開始時間になったか否かを判定する。
【0192】
一方、充電開始時間でない場合には、ステップS112にて、コントローラ20は、パワースイッチの状態が、オン状態であるか、または、Ready状態であるか否かを判定する。パワースイッチの状態が、オン状態又はReady状態である場合には、ステップS113にて、コントローラ20は、ディスプレイ25に、非接触給電による充電が可能な状態であることを表示する。ステップS114にて、コントローラ20は、パワースイッチの状態がオフ状態であるか否かを判定する。パワースイッチがオフ状態である場合には、ステップS115にて、コントローラ20は、充電を開始する設定になっているか否かを判定する。充電開始は、充電開始の案内画面の表示中(ステップS113に相当)に、ユーザの操作により充電を開始する指令がコントローラ20に入力されることで、設定される。
【0193】
充電開始の設定がある場合には、ステップS116にて、コントローラ20は、起動信号制御部202により、起動信号(停車中)を給電装置1に送信する。そして、ステップS110の制御を終えて、ステップS120へ進む。
【0194】
ステップS115に戻り、充電開始の設定がない場合には、本例の制御を終了する。
【0195】
ステップS114に戻り、パワースイッチがオフ状態でない場合には、ステップS117にて、コントローラ20は、車両が走行を開始したか否かを判定する。そして、走行中であれば、非接触給電による充電は行われないため、本例の制御を終了する。一方、走行中でない場合には、ステップS113に戻る。
【0196】
ステップS112に戻り、パワースイッチが、オン状態、または、Ready状態でない場合には、本例の制御を終了する。
【0197】
ステップS11に戻り、タイマモードの充電開始時間になった場合には、ステップS116にて、コントローラ20は、起動信号制御部202により、起動信号(停車中)を給電装置1に送信する。以上の制御フローが、ステップS110の制御フローである。
【0198】
図13に示すように、
図4のステップS200の制御では、まずステップS211にて、給電装置側の無線通信部16は、起動信号(停車中)を受信する。ステップS212にて、コントローラ10は、スリープ状態から、無線通信部16の受信に関するシステム以外の他のシステムを起動させる。ステップS213にて、コントローラ10は、駐車車両判定部101にて、駐車場に車両が停車しているか否かを判定する。駐車車両無しの場合にはステップS336に進み、コントローラ10はスリープ状態に遷移する。ここまでが、ステップS200の制御であり、以下、ステップS300の制御である。
【0199】
駐車車両有りの場合には、ステップS331にて、コントローラ10は、起動信号(停車中)に含まれる車両の識別情報と、メモリ15に登録されている許可された車両の識別情報とを照合する。送信された車両の識別情報が許可されたものである場合には、コントローラ10は、状態検出部102の制御により、給電装置1の状態を検出する(ステップS332)。ステップS333にて、コントローラ10は、状態検出部102の検出結果が非接触給電可能状態であるか否かを判定する。
【0200】
非接触給電可能状態である場合には、ステップS334にて、コントローラ10は、非接触給電による充電の受け入れ可能信号を、車両側に送信する。そして、コントローラ10は、カップリングに備えて、車両を受け入れる状態となり(ステップS335)、ステップ300の制御を終了する。
【0201】
ステップS333に戻り、非接触給電可能状態ではない場合には、ステップS336にて、コントローラ10はスリープ状態になる。ステップS331に戻り、送信された車両の識別情報が許可されたものではない場合には、ステップS336にて、コントローラ10はスリープ状態になる。
【0202】
上記のように、本例は、複数の給電装置1のうち一の給電装置1に対して送電コイルから受電コイルへの送電を許可し、当該一の給電装置1の識別情報を含む許可信号を車両2から給電装置1に送信し、給電装置1側で、給電装置の識別情報と、許可信号に含まれる識別情報とが一致する場合には、送電コイル11から前記受電コイル21に電力を出力し、センサ22により電力を検出した場合には、一の給電装置1と車両2との間で、一対の通信を確立したと判定する。カップリングのために電力を出力する給電装置1を限定しつつ、他の給電装置1からは電力の出力を禁止することができるため、精度よくカップリングを成立させることができる。
【0203】
また本例は、給電装置1の無線通信部16から車両2の無線通信部26に送信される信号に基づいて、一の給電装置を特定して、特定した一の給電装置に対する許可信号を生成する。これにより、カップリングのために送電コイル11からの送電が許可される給電装置1と、送電が禁止される給電装置1を、車両2の無線通信圏内で設定することができる。
【0204】
また、本例は、給電装置1間では、車両を介して、許可信号を含む信号を送受信することができる。
【0205】
例えば、本例とは異なり、給電装置(GC_A、B)間の通信で、許可信号等の信号の送受信を直接、行うことで、カップリングのための送電を許可する給電装置1と、送電を禁止する給電装置1を設定した場合について、説明する。このような場合に、車両(CAR_A)が、給電装置(GC_A)とは無線通信可能であり、給電装置(GC_B)とは無線通信不可能となっていると、車両(CAR_A)は、給電装置(GC_B)からは、励磁予告信号の等の信号を受信することができないため、車両(CAR_A)は給電装置(GC_B)とカップリングを成立させることができない。
【0206】
一方、本例では、給電装置1間では、車両を介して、信号の送受信を行っているため、カップリングの対象となる給電装置1を、車両2の無線通信圏内に位置する車両に限定することができる。これにより、カップリングの精度を高めることができる。
【0207】
また本例は、受電コイル21が送電コイル11に対して送電可能な範囲内にあることを検出した場合に、非接触で電力を供給するための予告信号(励磁予告信号)を、給電装置1から車両2に送信し、車両側の無線通信部26による予告信号の受信順位が特定の順位である給電装置を、カップリングを許可する給電装置1として特定する。無線信号の受信順位の早い給電装置1は、車両2から最も距離の近い給電装置1である可能性が高く、また車両2は、最も距離の近い給電装置1に停車する可能性が高い。そのため、本例は、車両2から最も距離の近い給電装置1を、カップリングを許可する給電装置1に特定することができるため、カップリング成立までの時間を短くすることができる。
【0208】
また、本例は、車両側の無線通信部26により、第1給電装置から第1識別情報を含む信号受信した後に、第2給電装置から第2識別手段を受信した場合には第1給電装置をカップリングの励磁を許可する給電装置として特定し、第1識別情報を含む許可信号を生成し、センサ22により、第1給電装置の送電コイル11から送電された電力を検出することで、第1給電装置と車両2との間で、一対の通信を確立したと判定する。これにより、カップリング成立までの時間を短くしつつ、精度の高いカップリング制御を実現することができる。
【0209】
なお、本例では、駐車確認ボタン31を、ディスプレイ25上にパーキングボタンで表示させてもよく、また、必ずしも駐車支援システムを起動させるためのスイッチである必要でもない。少なくとも、ユーザが、走行中の車両を所定の位置に駐車させる際、あるいは、駐車する前に、車両を駐車させる意志のあるユーザにより操作されるものであればよい。
【0210】
また、本例は、非接触給電によるバッテリ24を充電する際に、要求電力を車両側のコントローラ20で算出したが、例えば、車両側のコントローラ20は、バッテリ24の情報を給電装置1に送信し、給電装置側のコントローラ10で、受信したバッテリ情報に基づき、バッテリ24の状態に適した電力を算出してもよい。
【0211】
また本例において、ステップS331〜S334の制御フローは省略してもよい。
【0212】
また、本例において、車両2をハイブリッド車両に適用する場合には、パワースイッチを、エンジンを始動させるためのイグニッションスイッチに置きかえればよい。またセンサ22は、バッテリ24と受電回路部23との間に接続してもよい。
【0213】
また、本例は、励磁予告信号を、給電装置1から車両2に送信し、車両2から許可信号を給電装置1に送信することで、車両を介して、他の給電装置1におけるカップリングのための励磁を禁止したが、例えば、高速道路のサービスエリア等の集合駐車場など、周囲の給電装置間の通信が担保された場所においては、給電装置1から他の給電装置1に対して、励磁予告信号を送信することで、当該他の給電装置1のカップリングのための励磁を禁止してもよい。
【0214】
上記の無線通信部26が本発明の「車両側通信手段」に相当し、センサ22が本発明の「電力検出手段」に相当し、許可信号生成部211が本発明の「許可信号生成手段」に相当し、カップリング判定部212が本発明の「判定手段」に相当し、無線通信部26が本発明の「給電装置側通信手段」に相当し、コントローラ10が本発明の「制御手段」に相当し、コイル位置検出部103及びセンサ12が本発明の「コイル位置検出手段」に相当する。