特許第5979335号(P5979335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979335
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】Trk阻害化合物の酸付加塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20160817BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20160817BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   C07D401/14
   A61K31/506
   A61K45/00
   A61P1/04
   A61P11/02
   A61P13/02
   A61P17/04
   A61P17/06
   A61P25/02
   A61P25/04
   A61P29/00
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P37/08
   A61P43/00 111
【請求項の数】5
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2016-506930(P2016-506930)
(86)(22)【出願日】2015年8月17日
(86)【国際出願番号】JP2015072990
(87)【国際公開番号】WO2016027754
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】特願2014-165622(P2014-165622)
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳
(72)【発明者】
【氏名】板谷 敏
(72)【発明者】
【氏名】井倉 誠泰
(72)【発明者】
【氏名】東野 勝人
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 秀臣
(72)【発明者】
【氏名】小野 静香
(72)【発明者】
【氏名】康廣 徹也
(72)【発明者】
【氏名】長浦 健
【審査官】 松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/129431(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/161919(WO,A1)
【文献】 特表2005−522448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二(p−トルエンスルホン酸)塩。
【請求項2】
塩が結晶である請求項1記載の塩。
【請求項3】
粉末X線回析スペクトルにおいて、6.11、6.29、7.76、9.65、10.18、12.30、12.57、13.23、13.59、14.05、14.85、15.47、16.94、17.98、18.52、18.79、19.32、20.58、21.25、21.55、22.11、22.73、23.20、および24.36度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する請求項2記載の塩。
【請求項4】
粉末X線回析スペクトルにおいて、6.11、6.29、7.76、9.65、10.18、12.30、12.57、13.23、13.59、14.05、14.85、15.47、16.94、17.98、18.52、18.79、19.32、20.58、21.25、21.55、22.11、22.73、23.20、および24.36度から選択される2θで少なくとも3つ以上のピークを有する請求項2記載の塩。
【請求項5】
下記の図に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Trk阻害活性を有し、疼痛や癌などの予防および/または治療剤として有用な、1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、または1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレアの酸付加塩(以下、本発明化合物と略記することがある。)およびその結晶、ならびにそれらの医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Tropomyosin receptor kinase(以下、Trkと略す。)ファミリーは、受容体型チロシンキナーゼに属し、神経成長因子(以下、NGFと略す。)の高親和性受容体であるTrkA、脳由来栄養因子(BDNF)およびニューロトロフィン(以下、NTと略す。)−4/5の高親和性受容体であるTrkB、ならびにNT−3の高親和性受容体であるTrkCに分類される。いずれのTrk受容体も、神経組織に高発現し、神経細胞の分化や機能維持に関与している(非特許文献1参照)。一方、NGFにより末梢神経のTrkAが活性化されると、痛覚過敏が惹起されることが知られており(非特許文献2参照)、抗NGF抗体を用いた臨床および非臨床試験結果、または低分子Trk阻害剤を用いた非臨床試験の結果より、変形性関節症、慢性腰痛症、関節リウマチ、骨折、間質性膀胱炎、および慢性膵炎などに伴う侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、ならびにその両方の痛みを併せ持つ癌性疼痛などの痛みにTrkAの関与が報告されている(非特許文献3〜10参照)。さらに、Trk受容体は神経芽腫、甲状腺癌、肺癌、乳癌、膵癌,大腸癌および前立腺癌などの癌細胞にも発現しており、癌細胞の増殖、遊走、および転移に関与する可能性も報告されている。とりわけ、甲状腺癌、肺癌、乳癌、および大腸癌などの一部癌患者から、TrkAまたはTrkCと、MPRIP、CD74、TPM3、TPR、TFG、またはETV6遺伝子が融合した融合遺伝子が発見されている。これらの融合遺伝子を有する癌ではTrkキナーゼが常時活性化されており、Trk阻害活性を有する化合物が癌細胞の増殖を抑制することが報告されている。また、Trk受容体は肥満細胞や好酸球などの炎症細胞、T細胞やB細胞などの免疫担当細胞、およびケラチノサイトなどにも発現しており、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性疾患、喘息、鼻炎、およびアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、ならびに乾癬などの疾患に関与する可能性も報告されている(非特許文献11〜16参照)。そのため、Trk阻害活性を有する化合物は、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、およびその両方の痛みを併せ持つ疼痛、癌、炎症性疾患、アレルギー性疾患、ならびに乾癬などの治療に応用できる可能性がある。
【0003】
これらのことから、Trkを阻害する薬剤が創製できれば、Trk阻害剤は、これまでに無い新しいタイプの疼痛などの予防および/または治療剤になる可能性があると期待されている。
【0004】
一方、特許文献1には、チロシンキナーゼによって調節されるヒトまたは他の哺乳類の病気を処置または予防するための方法であって、それを必要とするヒトまたは他の哺乳類へ、下記式(Ia)の化合物、その塩、その異性体、またはそのプロドラッグを投与することを含む方法が記載されている。
【0005】
一般式(Ia)は、
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、Aaは、次の(i)ないし(iii)などの群から選ばれ;
(i)任意にRa、ORa、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニル;
(ii)任意にRa、ORa、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたナフチル;
(iii)任意にRa、ORa、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O、NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている5および6員単環ヘテロアリール基;
Baは、次の(i)ないし(iii)などの群から選ばれ;
(i)任意に−La−Ma、C−C直鎖もしくは分岐アルキル、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニル;
(ii)任意に−La−Ma、C−C直鎖もしくは分岐アルキル、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたナフチル;
(iii)任意に−La−Ma、C−C直鎖もしくは分岐アルキル、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O、NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている5および6員単環ヘテロアリール基;
Laは、−(CHma−O−(CHla−、−(CHma−C(O)−(CHla−などの群から選ばれ、ここで変数maおよびlaは独立に0〜4から選ばれた整数であり;
Maは、次の(i)ないし(iii)などの群から選ばれ;
(i)任意にRa、ORa、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたフェニル;
(ii)任意にRa、ORa、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されたナフチル;
(iii)任意にRa、ORa、ハロゲンなどの群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換された、O、NおよびSよりなる群から独立に選ばれた1〜3のヘテロ原子を持っている5および6員単環ヘテロアリール基;
ここでRaは、(a)水素、(b)C−Cアルキル、(c)フェニル、(d)O、NおよびSよりなる群から選ばれた1〜4のヘテロ原子を有する5〜6員の単環ヘテロアリールまたは8〜10員の二環ヘテロアリール、(e)C−Cアルキル−フェニル、および(f)O、NおよびSよりなる群から選ばれた1〜4のヘテロ原子を有するアルキル−ヘテロアリール、よりなる群から独立に選ばれ;Raは、水素でない時、任意にC−C直鎖、分岐もしくは環状アルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から独立に選ばれた1〜3の置換基で置換されている;基の定義を一部抜粋した。)である。
【0008】
この特許文献1の化合物がKDRを阻害することでVEGF誘発信号形質導入経路によって仲介されるヒトまたは他の哺乳類の疾病、特に網膜症または未熟児網膜症を処置する方法に使用されることが記載されているが、該特許に記載されている化合物がTrk阻害活性を有することは記載も示唆もされていないし、本発明化合物についても該特許に具体的に記載されていない。
【0009】
また、特許文献2には、下記式(Ib)で示されるTrk阻害化合物またはその塩、およびそれらを有効成分として含有する医薬について記載されている。
【0010】
一般式(Ib)は、
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、環Cybは、C3−10単環式炭素環もしくは二環式炭素環、または4−10員単環式複素環もしくは二環式複素環を表し、Rbは、ハロゲンまたはハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基などを表し、Rbは、(1)(i)ハロゲンおよび(ii)水酸基などからなる群から選択される置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基など、(2)水素原子、(3)水酸基、(4)カルボキシル基、(5)アミノ基、または(6)
【0013】
【化3】
【0014】
などを表し、矢印abは、環Cybと結合することを表し、Xbは、結合手、酸素原子、C=O、またはNHを表し、環Cybは、C3−10単環式炭素環もしくは二環式炭素環、または4−10員単環式複素環もしくは二環式複素環を表し、Rbは、(1)(i)ハロゲンおよび(ii)水酸基などからなる群から選択される置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基など、(2)ハロゲン、または(3)C1−4アルコキシ基などを表し、AbおよびAbは、それぞれ独立して、=CRb−、=CH−、または=N−を表し、Ab、Ab、Ab、およびAbは、それぞれ独立して、=CRb−または=N−を表し、Rbはハロゲンなどを表し、Rbはハロゲンなどを表し、Ybは、酸素原子、酸化されていてもよい硫黄原子、メチレン基、またはC=Oを表し、Zbは、
【0015】
【化4】
【0016】
などを表し、Rbは、ハロゲン、水酸基、または水酸基で置換されていてもよいC1−4アルキル基を表し、Rbは、それぞれ独立して、ハロゲンおよび水酸基などからなる群から選択される置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基または水素原子などを表し、矢印bbおよびcbなどはチアゾール環と結合することを表し、pbは0−5の整数を表し、qbは0−7の整数を表し、rbは0−2の整数を表し、wbは1−5の整数を表し、ubは0−2の整数を表す;
ただし、pb、qb、rb、およびubがそれぞれ2以上の整数を表す場合、Rb、Rb、Rb、およびRbはそれぞれ独立して同一でも異なっていてもよい;基の定義を一部抜粋した。)である。
【0017】
この特許文献2の化合物がTrkを阻害することで疼痛などの予防および/または治療剤になりうることが記載されている。
【0018】
本発明は、1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア、または1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレアの酸付加塩に関し、当該酸付加塩がTrk選択的な阻害作用を有し、NGF血管透過性亢進を持続的に抑制し、薬物相互作用を有さないことに加え、さらにこれらの遊離塩基に対して溶解性、吸収性に優れることについて、いずれの先行技術文献にも記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2003/068228号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2013/161919号パンフレット
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー(Annual Review of Biochemistry)、第72巻、609−642頁、2003年
【非特許文献2】トレンド・イン・ファーマコロジカル・サイエンス(Trends in Pharmacological Sciences)、第27巻、85−91頁、2006年
【非特許文献3】ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)、第363巻、1521−1531頁、2010年
【非特許文献4】ペイン(Pain)、第152巻、2248−2258頁、2011年
【非特許文献5】ジャーナル・オブ・ウロロジー(Journal of Urology)、第185巻、1716−1721頁、2011年
【非特許文献6】ペイン(Pain)、第116巻、8−16頁、2005年
【非特許文献7】ボーン(Bone)、第48巻、389−398頁、2011年
【非特許文献8】モレキューラー・ペイン(Molecular Pain)、第6巻、87、2010年
【非特許文献9】ジャーナル・オブ・ファーマコロジカル・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティックス(Journal of Pharmacological and Experimental Therapeutics)、第322巻、282−287頁、2007年
【非特許文献10】ガストロエンテロロジー(Gastroenterology)、第141巻、370−377頁、2011年
【非特許文献11】エキスパート・オピニオン・セラピューティック・パテント(Expert Opinion Therapeutic Patents)、第19巻、305−319頁、2009年
【非特許文献12】ガット(Gut)、第46巻、670−679頁、2000年
【非特許文献13】カレント・オピニオン・イン・アラジー・アンド・クリニカル・イミュノロジー(Current Opinion in Allergy and Clinical Immunology)、第10巻、8−13頁、2010年
【非特許文献14】インフラメーション・アンド・アラジー・ドラッグ・ターゲット(Inflammation and Allergy Drug Targets)、第9巻、173−180頁、2010年
【非特許文献15】ジャーナル・オブ・インべスティゲイティブ・ダーマトロジー(Journal of Investigative Dermatology)、第126巻、1719−1727頁、2006年
【非特許文献16】ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)、第19巻、1469−1472頁、2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の課題は、Trk関連疾患の予防および/または治療剤を提供するため、Trk選択的な阻害活性を有し、NGF血管透過性亢進を持続的に抑制し、薬物相互作用を有さないことに加え、さらに遊離塩基に対して溶解性、吸収性に優れた化合物を開発することにある。このような特性を有する化合物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明化合物が、Trk選択的な阻害活性を有し、NGF血管透過性亢進を持続的に抑制し、薬物相互作用を有さず、遊離塩基に対して溶解性、吸収性に優れる化合物であることを見出し、本発明を完成した。
【0023】
すなわち、本発明は、
〔1〕 式(A):
【0024】
【化5】
【0025】
(式中、Xは、メタンスルホニル基、3−ピリジル基または1−ピラゾリル基であり、Xがメタンスルホニル基または1−ピラゾリル基の場合、Yは塩素原子であり、Xが3−ピリジル基の場合、Yはフッ素原子である。)
で示される化合物の酸付加塩、
〔2〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレアの酸付加塩である前記〔1〕記載の塩、
〔3〕 酸付加塩が、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、塩酸塩、または臭化水素酸塩である前記〔2〕記載の塩、
〔4〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩、
〔5〕 塩が結晶である前記〔4〕記載の塩、
〔6〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.35、7.74、9.98、11.08、11.42、12.68、13.22、14.83、15.42、15.98、16.89、17.33、17.86、18.29、19.00、19.46、20.56、20.92、21.47、22.04、23.82、および24.49度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔5〕記載の塩、
〔7〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.35、7.74、9.98、11.08、11.42、12.68、13.22、14.83、15.42、15.98、16.89、17.33、17.86、18.29、19.00、19.46、20.56、20.92、21.47、22.04、23.82、および24.49度から選択される2θにピークを有する前記〔5〕または〔6〕記載の塩、
〔8〕 図1に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔5〕乃至〔7〕のいずれか一項に記載の塩、
〔9〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩、
〔10〕 塩が結晶である前記〔9〕記載の塩、
〔11〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.77、7.78、10.26、11.20、11.50、13.54、15.65、16.02、17.13、18.01、18.41、18.70、19.52、20.25、20.64、21.65、21.95、22.66、23.49、および24.57度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔10〕記載の塩、
〔12〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.77、7.78、10.26、11.20、11.50、13.54、15.65、16.02、17.13、18.01、18.41、18.70、19.52、20.25、20.64、21.65、21.95、22.66、23.49、および24.57度から選択される2θにピークを有する前記〔10〕または〔11〕記載の塩、
〔13〕 図2に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔10〕乃至〔12〕のいずれか一項に記載の塩、
〔14〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア メタンスルホン酸塩、
〔15〕 塩が結晶である前記〔14〕記載の塩、
〔16〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約4.63、7.04、9.33、14.11、18.74、20.43、21.35、23.31、および24.80度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔15〕記載の塩、
〔17〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約4.63、7.04、9.33、14.11、18.74、20.43、21.35、23.31、および24.80度から選択される2θにピークを有する前記〔15〕または〔16〕記載の塩、
〔18〕 図3に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔15〕乃至〔17〕のいずれか一項に記載の塩、
〔19〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩、
〔20〕 塩が結晶である前記〔19〕記載の塩、
〔21〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約4.60、5.95、7.06、7.75、9.38、10.19、11.82、12.21、13.01、15.27、17.81、18.49、18.79、19.89、20.52、21.12、21.96、22.51、23.67、および24.54度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔20〕記載の塩、
〔22〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約4.60、5.95、7.06、7.75、9.38、10.19、11.82、12.21、13.01、15.27、17.81、18.49、18.79、19.89、20.52、21.12、21.96、22.51、23.67、および24.54度から選択される2θにピークを有する前記〔20〕または〔21〕記載の塩、
〔23〕 図4に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔20〕乃至〔22〕のいずれか一項に記載の塩、
〔24〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレアの酸付加塩である前記〔1〕記載の塩、
〔25〕 酸付加塩が、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、塩酸塩、または臭化水素酸塩である前記〔24〕記載の塩、
〔26〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二(p−トルエンスルホン酸)塩、
〔27〕 塩が結晶である前記〔26〕記載の塩、
〔28〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.11、6.29、7.76、9.65、10.18、12.30、12.57、13.23、13.59、14.05、14.85、15.47、16.94、17.98、18.52、18.79、19.32、20.58、21.25、21.55、22.11、22.73、23.20、および24.36度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔27〕記載の塩、
〔29〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.11、6.29、7.76、9.65、10.18、12.30、12.57、13.23、13.59、14.05、14.85、15.47、16.94、17.98、18.52、18.79、19.32、20.58、21.25、21.55、22.11、22.73、23.20、および24.36度から選択される2θにピークを有する前記〔27〕または〔28〕記載の塩、
〔30〕 図5に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔27〕乃至〔29〕のいずれか一項に記載の塩、
〔31〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二ベンゼンスルホン酸塩、
〔32〕 塩が結晶である前記〔31〕記載の塩、
〔33〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.99、6.71、7.78、10.08、10.42、11.93、12.53、12.96、13.41、14.15、15.16、15.55、16.03、16.93、17.52、17.95、18.63、18.91、19.50、20.18、20.73、21.43、22.43、22.84、23.60、および23.97度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔32〕記載の塩、
〔34〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.99、6.71、7.78、10.08、10.42、11.93、12.53、12.96、13.41、14.15、15.16、15.55、16.03、16.93、17.52、17.95、18.63、18.91、19.50、20.18、20.73、21.43、22.43、22.84、23.60、および23.97度から選択される2θにピークを有する前記〔32〕または〔33〕記載の塩、
〔35〕 図6に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔32〕乃至〔34〕のいずれか一項に記載の塩、
〔36〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二メタンスルホン酸塩、
〔37〕 塩が結晶である前記〔36〕記載の塩、
〔38〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.30、5.93、8.91、9.34、9.64、10.55、11.77、12.52、12.92、13.72、14.25、15.47、15.91、16.87、17.87、18.77、19.30、19.62、20.77、21.23、21.61、22.47、23.36、23.78、および24.51度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔37〕記載の塩、
〔39〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.30、5.93、8.91、9.34、9.64、10.55、11.77、12.52、12.92、13.72、14.25、15.47、15.91、16.87、17.87、18.77、19.30、19.62、20.77、21.23、21.61、22.47、23.36、23.78、および24.51度から選択される2θにピークを有する前記〔37〕または〔38〕記載の塩、
〔40〕 図7に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔37〕乃至〔39〕のいずれか一項に記載の塩、
〔41〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二塩酸塩、
〔42〕 塩が結晶である前記〔41〕記載の塩、
〔43〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.03、6.84、8.30、9.87、12.52、13.70、13.93、14.90、15.88、18.31、19.81、20.94、22.47、22.89、および24.08度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔42〕記載の塩、
〔44〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.03、6.84、8.30、9.87、12.52、13.70、13.93、14.90、15.88、18.31、19.81、20.94、22.47、22.89、および24.08度から選択される2θにピークを有する前記〔42〕または〔43〕記載の塩、
〔45〕 図8に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔42〕乃至〔44〕のいずれか一項に記載の塩、
〔46〕 1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレアの酸付加塩である前記〔1〕記載の塩、
〔47〕 酸付加塩が、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、塩酸塩、または臭化水素酸塩である前記〔46〕記載の塩、
〔48〕 1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア p−トルエンスルホン酸塩、
〔49〕 図9に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔48〕記載の塩、
〔50〕 1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア ベンゼンスルホン酸塩、
〔51〕 図10に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔50〕記載の塩、
〔52〕 1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア メタンスルホン酸塩、
〔53〕 塩が結晶である前記〔52〕記載の塩、
〔54〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.42、8.64、8.97、9.64、10.39、11.85、13.13、16.02、16.27、16.89、17.39、18.19、19.53、20.49、20.83、21.89、22.59、および23.90度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔53〕記載の塩、
〔55〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.42、8.64、8.97、9.64、10.39、11.85、13.13、16.02、16.27、16.89、17.39、18.19、19.53、20.49、20.83、21.89、22.59、および23.90度から選択される2θにピークを有する前記〔53〕または〔54〕記載の塩、
〔56〕 図11に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔53〕乃至〔55〕のいずれか一項に記載の塩、
〔57〕 1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア 塩酸塩、
〔58〕 塩が結晶である前記〔57〕記載の塩、
〔59〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.63、10.37、10.73、11.29、12.30、12.73、13.68、14.03、14.53、16.07、16.64、17.93、18.66、18.91、19.89、20.76、21.35、22.52、22.84、24.33、および24.74度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔58〕記載の塩、
〔60〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.63、10.37、10.73、11.29、12.30、12.73、13.68、14.03、14.53、16.07、16.64、17.93、18.66、18.91、19.89、20.76、21.35、22.52、22.84、24.33、および24.74度から選択される2θにピークを有する前記〔58〕または〔59〕記載の塩、
〔61〕 図12に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔58〕乃至〔60〕のいずれか一項に記載の塩、
〔62〕 前記〔1〕記載の塩を含有してなる医薬組成物、
〔63〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレアの酸付加塩を含有してなる医薬組成物、
〔64〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレアの酸付加塩を含有してなる医薬組成物、
〔65〕 1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレアの酸付加塩を含有してなる医薬組成物、
〔66〕 Trk阻害剤である前記〔62〕乃至〔65〕のいずれか一項に記載の組成物、
〔67〕 Trk関連疾患の予防および/または治療剤である前記〔62〕乃至〔65〕のいずれか一項に記載の組成物、
〔68〕 Trk関連疾患が、疼痛、掻痒症、下部尿路障害、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患、シャーガス病、または癌である前記〔67〕記載の組成物、
〔69〕 疼痛が、変形性関節症に伴う疼痛、癌性疼痛、慢性腰痛症、骨粗鬆症に伴う腰痛、骨折痛、関節リウマチに伴う疼痛、神経障害性疼痛、帯状疱疹後疼痛、糖尿病性神経障害に伴う疼痛、線維筋痛症、膵炎に伴う疼痛、間質性膀胱炎に伴う疼痛、子宮内膜症に伴う疼痛、過敏性腸症候群に伴う疼痛、片頭痛、術後痛、または歯髄炎に伴う疼痛である前記〔68〕記載の組成物、
〔70〕 癌が、乳癌、大腸癌、肺癌、甲状腺癌、皮膚癌、白血病、唾液腺腫瘍、神経内分泌腫瘍、リンパ腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、卵巣癌、膵臓癌、中皮腫、食道癌、肺肉腫、髄芽腫、グリア芽腫、結腸癌、肝癌、眼網膜芽細胞腫、腎臓癌、膀胱癌、骨肉腫、胃癌、子宮癌、外陰癌、小腸癌、前立腺癌、胆管癌、尿管癌、副腎皮質癌、または頭頸部癌である前記〔68〕記載の組成物、
〔71〕 前記〔1〕、〔2〕、〔24〕、または〔46〕記載の化合物と、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、N−メチル−D−アスパラギン酸拮抗薬、筋弛緩薬、抗不整脈薬、ステロイド薬、およびビスホスホネート薬から選ばれる少なくとも1種以上と組み合わせてなる医薬、
〔72〕 前記〔1〕、〔2〕、〔24〕、または〔46〕記載の化合物と、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、抗癌性植物性製剤、ホルモン剤、白金化合物、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、抗CD20抗体、抗HER2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGF抗体、抗PD−1抗体、および抗PD−L1抗体から選ばれる少なくとも1種以上と組み合わせてなる医薬、
〔73〕 前記〔1〕、〔2〕、〔24〕、または〔46〕記載の化合物の有効量を患者に投与することを特徴とするTrk関連疾患の予防および/または治療方法、
〔74〕 Trk関連疾患の予防および/または治療のための、前記〔1〕、〔2〕、〔24〕、または〔46〕記載の化合物、
〔75〕 Trk関連疾患の予防および/または治療剤を製造するための前記〔1〕、〔2〕、〔24〕、または〔46〕記載の化合物の使用、
〔76〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.16、5.57、7.01、9.62、9.97、10.83、11.15、12.20、13.47、14.63、15.81、16.30、17.63、18.26、19.28、19.93、20.72、21.25、21.73、22.88、23.51、24.30、および24.74度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔5〕記載の塩、
〔77〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約5.16、5.57、7.01、9.62、9.97、10.83、11.15、12.20、13.47、14.63、15.81、16.30、17.63、18.26、19.28、19.93、20.72、21.25、21.73、22.88、23.51、24.30、および24.74度から選択される2θにピークを有する前記〔5〕または〔76〕記載の塩、
〔78〕 図13に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔5〕、〔76〕または〔77〕記載の塩、
〔79〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.30、7.72、9.63、10.27、11.44、12.39、13.11、13.36、14.10、15.40、16.14、16.94、17.69、17.90、18.65、19.33、19.73、20.23、20.68、21.09、22.44、23.02、および24.51度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔5〕記載の塩、
〔80〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.30、7.72、9.63、10.27、11.44、12.39、13.11、13.36、14.10、15.40、16.14、16.94、17.69、17.90、18.65、19.33、19.73、20.23、20.68、21.09、22.44、23.02、および24.51度から選択される2θにピークを有する前記〔5〕または〔79〕記載の塩、
〔81〕 図14に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔5〕、〔79〕または〔80〕記載の塩、
〔82〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.96、7.87、8.69、9.44、10.02、10.55、12.51、13.59、15.02、15.65、16.42、16.69、17.00、17.98、18.91、20.44、20.74、21.04、21.44、22.79、24.22、および24.37度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔10〕記載の塩、
〔83〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.96、7.87、8.69、9.44、10.02、10.55、12.51、13.59、15.02、15.65、16.42、16.69、17.00、17.98、18.91、20.44、20.74、21.04、21.44、22.79、24.22、および24.37度から選択される2θにピークを有する前記〔10〕または〔82〕記載の塩、
〔84〕 図15に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔10〕、〔82〕または〔83〕記載の塩、
〔85〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.70、6.97、7.37、8.36、8.88、11.04、13.40、13.88、14.84、15.48、16.59、17.40、18.24、19.12、19.73、20.38、20.83、21.32、22.30、22.85、および24.33度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔10〕記載の塩、
〔86〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.70、6.97、7.37、8.36、8.88、11.04、13.40、13.88、14.84、15.48、16.59、17.40、18.24、19.12、19.73、20.38、20.83、21.32、22.30、22.85、および24.33度から選択される2θにピークを有する前記〔10〕または〔85〕記載の塩、
〔87〕 図16に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔10〕、〔85〕または〔86〕記載の塩、
〔88〕 1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 臭化水素酸塩、
〔89〕 塩が結晶である前記〔88〕記載の塩、
〔90〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.28、12.53、14.15、15.51、17.35、18.80、19.40、21.48、22.67、23.44、および24.15度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔89〕記載の塩、
〔91〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.28、12.53、14.15、15.51、17.35、18.80、19.40、21.48、22.67、23.44、および24.15度から選択される2θにピークを有する前記〔89〕または〔90〕記載の塩、
〔92〕 図17に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔89〕乃至〔91〕のいずれか一項に記載の塩、
〔93〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.30、12.44、13.00、14.68、15.61、17.79、18.62、21.54、および23.82度から選択される2θで少なくとも2つ以上のピークを有する前記〔5〕記載の塩、
〔94〕 粉末X線回析スペクトルにおいて、約6.30、12.44、13.00、14.68、15.61、17.79、18.62、21.54、および23.82度から選択される2θにピークを有する前記〔5〕または〔93〕記載の塩、または
〔95〕 図18に示される粉末X線回析スペクトルチャートを特徴とする前記〔5〕、〔93〕または〔94〕記載の塩などに関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明化合物は、Trk選択的な阻害活性を有することから、Trk関連疾患、例えば、疼痛、掻痒症、下部尿路障害、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患、シャーガス病、または癌などの疾患の予防および/または治療薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩の結晶(A晶)の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図1中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図2】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩の結晶(A晶)の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図2中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図3】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア メタンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図3中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図4】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図4中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)を表す。
図5】1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二(p−トルエンスルホン酸)塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図5中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図6】1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二ベンゼンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図6中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図7】1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二メタンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図7中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図8】1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二塩酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図8中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図9】1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア p−トルエンスルホン酸塩の非晶質の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図9中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図10】1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア ベンゼンスルホン酸塩の非晶質の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図10中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図11】1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア メタンスルホン酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図11中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図12】1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア 塩酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図12中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図13】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩の結晶(B晶)の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図13中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図14】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩の結晶(I晶)の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図14中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図15】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩の結晶(B晶)の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図15中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図16】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩の結晶(F晶)の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図16中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図17】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 臭化水素酸塩の結晶の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図17中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
図18】1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩の結晶(F晶)の粉末X線回析スペクトルチャートを表す。(図18中、縦軸は強度(counts)を表し、横軸は2θ(度)を表す。)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明において、1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(以下、化合物(I)と略記することがある。)とは、下記の構造式:
【0030】
【化6】
【0031】
で示される化合物である。
【0032】
本発明において、1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(以下、化合物(II)と略記することがある。)とは、下記の構造式:
【0033】
【化7】
【0034】
で示される化合物である。
【0035】
本発明において、1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア(以下、化合物(III)と略記することがある。)とは、下記の構造式:
【0036】
【化8】
【0037】
で示される化合物である。
【0038】
本発明において、酸付加塩とは、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩のような無機酸塩、または酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、アルカノールスルホン酸塩、またはカンファースルホン酸塩のような有機酸塩が挙げられる。脂肪族スルホン酸塩とは、例えば、メタンスルホン酸塩(MsOH塩)、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ブタンスルホン酸塩、ペンタンスルホン酸塩、ヘキサンスルホン酸塩、デカンスルホン酸塩、ドデカンスルホン酸塩、1,2−エタンジスルホン酸塩などである。芳香族スルホン酸塩とは、例えば、ベンゼンスルホン酸塩(BsOH塩)、o−トルエンスルホン酸塩(o−TsOH塩)、m−トルエンスルホン酸塩(m−TsOH塩)、p−トルエンスルホン酸塩(p−TsOH塩)、1−ナフタレンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、o−フェノールスルホン酸塩、m−フェノールスルホン酸塩、p−フェノールスルホン酸塩、ナフトールスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、ニトロベンゼンスルホン酸塩、スルホ安息香酸塩、スルホサリチル酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩などである。アルカノールスルホン酸塩とは、例えば、イセチオン酸塩(2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸塩)、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸塩、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸塩、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸塩、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸塩、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸塩、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸塩、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸塩、2―ヒドロキシデカン―1―スルホン酸塩、2―ヒドロキシドデカン―1―スルホン酸塩などである。好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、1,2−エタンジスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、および2−ナフタレンスルホン酸塩である。より好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびp−トルエンスルホン酸塩である。
【0039】
本発明において、本発明化合物は溶媒和物に変換することもできる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば、水またはアルコール系の溶媒(例えば、エタノールなど)のような溶媒和物が挙げられる。
【0040】
また、本発明化合物を構成する各原子は、所望によって、その同位元素(例えば、H、H、13C、14C、15N、16N、17O、18O、18Fなど)などで置換されていてもよい。
【0041】
本発明において、本発明化合物は、その結晶形の種類によって限定されるものではなく、結晶であっても、また非晶質であってもよい。あるいは、結晶と非晶質の任意の割合の混合物であってもよい。より好ましくは結晶である。本発明化合物が如何なる結晶形であるかは、例えば、粉末X線回析スペクトル法、示差走査熱量測定法、赤外線吸収スペクトル法,融点測定法などの結晶学的解析に用いられる公知の分析方法を単独で、あるいは組合わせて測定することで判断することができる。
【0042】
本発明において、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、回転異性体およびその任意の割合の混合物は、すべて本発明に含まれる。また、本発明においては、互変異性による異性体をもすべて包含する。
【0043】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二(p−トルエンスルホン酸)塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約6.11、6.29、7.76、9.65、10.18、12.30、12.57、13.23、13.59、14.05、14.85、15.47、16.94、17.98、18.52、18.79、19.32、20.58、21.25、21.55、22.11、22.73、23.20、および24.36度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約9.65、22.11、および23.20度2θにピークを有することにより、より好ましくは約6.11、6.29、7.76、9.65、10.18、12.30、12.57、13.23、13.59、14.05、14.85、15.47、16.94、17.98、18.52、18.79、19.32、20.58、21.25、21.55、22.11、22.73、23.20、および24.36度2θのピークを有することにより、さらに好ましくは後述の実施例1の表1に記載のデータを示すことにより、とりわけ好ましくは図5に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0044】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二ベンゼンスルホン酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約5.99、6.71、7.78、10.08、10.42、11.93、12.53、12.96、13.41、14.15、15.16、15.55、16.03、16.93、17.52、17.95、18.63、18.91、19.50、20.18、20.73、21.43、22.43、22.84、23.60、および23.97度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約20.18および23.97度2θにピークを有することにより、より好ましくは約5.99、6.71、7.78、10.08、10.42、11.93、12.53、12.96、13.41、14.15、15.16、15.55、16.03、16.93、17.52、17.95、18.63、18.91、19.50、20.18、20.73、21.43、22.43、22.84、23.60、および23.97度2θのピークを有することにより、さらに好ましくは後述の実施例2の表2に記載のデータを示すことにより、とりわけ好ましくは図6に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0045】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二メタンスルホン酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約5.30、5.93、8.91、9.34、9.64、10.55、11.77、12.52、12.92、13.72、14.25、15.47、15.91、16.87、17.87、18.77、19.30、19.62、20.77、21.23、21.61、22.47、23.36、23.78、および24.51度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約10.55、11.77、および15.91度2θにピークを有することにより、より好ましくは約5.30、5.93、8.91、9.34、9.64、10.55、11.77、12.52、12.92、13.72、14.25、15.47、15.91、16.87、17.87、18.77、19.30、19.62、20.77、21.23、21.61、22.47、23.36、23.78、および24.51度2θのピークを有することにより、さらに好ましくは後述の実施例3の表3に記載のデータを示すことにより、とりわけ好ましくは図7に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0046】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二塩酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約6.03、6.84、8.30、9.87、12.52、13.70、13.93、14.90、15.88、18.31、19.81、20.94、22.47、22.89、および24.08度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約8.30、15.88、および19.81度2θにピークを有することにより、より好ましくは約6.03、6.84、8.30、9.87、12.52、13.70、13.93、14.90、15.88、18.31、19.81、20.94、22.47、22.89、および24.08度2θのピークを有することにより、さらに好ましくは後述の実施例4の表4に記載のデータを示すことにより、とりわけ好ましくは図8に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0047】
1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア p−トルエンスルホン酸塩は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、図9に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0048】
1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア ベンゼンスルホン酸塩は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、図10に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0049】
1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア メタンスルホン酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約5.42、8.64、8.97、9.64、10.39、11.85、13.13、16.02、16.27、16.89、17.39、18.19、19.53、20.49、20.83、21.89、22.59、および23.90度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約5.42、8.64、8.97、9.64、10.39、11.85、13.13、16.02、16.27、16.89、17.39、18.19、19.53、20.49、20.83、21.89、22.59、および23.90度2θのピークを有することにより、より好ましくは後述の実施例7の表5に記載のデータを示すことにより、さらに好ましくは図11に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0050】
1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア 塩酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約5.63、10.37、10.73、11.29、12.30、12.73、13.68、14.03、14.53、16.07、16.64、17.93、18.66、18.91、19.89、20.76、21.35、22.52、22.84、24.33、および24.74度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約5.63、10.37、10.73、11.29、12.30、12.73、13.68、14.03、14.53、16.07、16.64、17.93、18.66、18.91、19.89、20.76、21.35、22.52、22.84、24.33、および24.74度2θのピークを有することにより、より好ましくは後述の実施例8の表6に記載のデータを示すことにより、さらに好ましくは図12に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0051】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約6.35、7.74、9.98、11.08、11.42、12.68、13.22、14.83、15.42、15.98、16.89、17.33、17.86、18.29、19.00、19.46、20.56、20.92、21.47、22.04、23.82、および24.49度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約6.35、7.74、9.98、11.08、11.42、12.68、13.22、14.83、15.42、15.98、16.89、17.33、17.86、18.29、19.00、19.46、20.56、20.92、21.47、22.04、23.82、および24.49度2θのピークを有することにより、より好ましくは後述の実施例9の表7に記載のデータを示すことにより、さらに好ましくは図1に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0052】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約6.77、7.78、10.26、11.20、11.50、13.54、15.65、16.02、17.13、18.01、18.41、18.70、19.52、20.25、20.64、21.65、21.95、22.66、23.49、および24.57度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約6.77、7.78、10.26、11.20、11.50、13.54、15.65、16.02、17.13、18.01、18.41、18.70、19.52、20.25、20.64、21.65、21.95、22.66、23.49、および24.57度2θのピークを有することにより、より好ましくは後述の実施例10の表8に記載のデータを示すことにより、さらに好ましくは図2に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0053】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア メタンスルホン酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約4.63、7.04、9.33、14.11、18.74、20.43、21.35、23.31、および24.80度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約4.63、7.04、9.33、14.11、18.74、20.43、21.35、23.31、および24.80度2θのピークを有することにより、より好ましくは後述の実施例11の表9に記載のデータを示すことにより、さらに好ましくは図3に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0054】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩の結晶は、例えば、粉末X線回析スペクトル法による分析において、少なくとも約4.60、5.95、7.06、7.75、9.38、10.19、11.82、12.21、13.01、15.27、17.81、18.49、18.79、19.89、20.52、21.12、21.96、22.51、23.67、および24.54度から選択される2θで少なくとも2つ以上(さらに3つ以上、よりさらに4つ以上、特に5つ以上)のピークを有することにより、好ましくは約4.60、5.95、7.06、7.75、9.38、10.19、11.82、12.21、13.01、15.27、17.81、18.49、18.79、19.89、20.52、21.12、21.96、22.51、23.67、および24.54度2θのピークを有することにより、より好ましくは後述の実施例12の表10に記載のデータを示すことにより、さらに好ましくは図4に示される粉末X線回析スペクトルチャートと実質的に同一のデータを示すことにより特徴づけられる。
【0055】
本発明化合物の結晶形は、本明細書中に開示する物理化学的性質によって特定されるものであるが、各々のデータはその性質上多少変わりうるものであるから、厳密に解されるべきではない。
【0056】
例えば、粉末X線回折スペクトル法により得られたデータ、例えば、相対強度は、その性質上、結晶成長の方向、粒子の大きさ、測定条件などによって変わりうるものであるから、結晶形の同一性の認定においては、回折角(2θ)や全体的な回折パターンが重要である。また、結晶形の同一性の認定においては、必要に応じて、粉末X線回折スペクトルチャートから半値幅を読み取り、回折角(2θ)や全体的な回折パターン、相対強度と組合わせて用いてもよい。
【0057】
一般に、粉末X線回折スペクトルにおける回折角(2θ)の測定誤差は、例えば、測定機器の種類および測定する化合物のサンプリング状態などによって生じる。
【0058】
したがって、粉末X線回折スペクトル法により得られるデータの全体的な回折パターンが、本明細書で開示する本発明化合物の結晶形のそれに類似するものは、全て本発明に含まれる。
【0059】
なお、当業者には容易に理解できることであるが、本明細書中、後述の図面に記載する粉末X線回折スペクトルチャートは回折角(2θ)(度)を横軸(2−Theta−Scale)に、回折強度を縦軸(Lin(Counts))に示したものである。
【0060】
本明細書中、粉末X線回折スペクトルは、Cu−Kα線を用いて測定したものである。
[毒性]
本発明化合物の毒性は低いものであるため、医薬品として安全(例えば、薬物相互作用を有さないことなど)に使用することができる。
[医薬品への適用]
本発明化合物は、Trk阻害活性を示すため、Trk関連疾患、例えば、疼痛、掻痒症、下部尿路障害、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患、シャーガス病、または癌などの予防および/または治療剤として有用である。
【0061】
より具体的には、疼痛として、例えば、変形性関節症に伴う疼痛、癌性疼痛、慢性腰痛症、骨粗鬆症に伴う腰痛、骨折痛、関節リウマチに伴う疼痛、神経障害性疼痛、帯状疱疹後疼痛、糖尿病性神経障害に伴う疼痛、線維筋痛症、膵炎に伴う疼痛、間質性膀胱炎に伴う疼痛、子宮内膜症に伴う疼痛、過敏性腸症候群に伴う疼痛、片頭痛、術後痛、歯髄炎に伴う疼痛などが挙げられる。掻痒症として、全身性皮膚掻痒症、限局性皮膚掻痒症、老人性皮膚掻痒症、妊娠掻痒症、肛門掻痒症、外陰掻痒症などが挙げられる。下部尿路障害としては、例えば、間質性膀胱炎、排尿困難症、膀胱頸部硬化症、膀胱頸部閉塞症、尿道症候群、排尿筋括約筋協調不全、不安定膀胱、慢性前立腺炎、慢性膀胱炎、心因性排尿障害、薬剤性排尿障害、Hinman症候群、ファウラー症候群などが挙げられる。炎症性腸疾患として、例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病などが挙げられる。癌として、例えば、乳癌、卵巣癌、大腸癌(例えば、結腸癌など)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌など)、前立腺癌、頭頸部癌(例えば、口腔扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌、咽頭癌、喉頭癌、舌癌、甲状腺癌、聴神経鞘腫など)、皮膚癌(例えば、メラノーマ(悪性黒色腫)など)、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫など)、脳腫瘍、神経膠腫、下垂体腺腫、ぶどう膜悪性黒色腫、髄膜腫、胸腺腫、中皮腫、食道癌、胃癌、肝癌(例えば、肝細胞癌など)、胆管癌、胆のう癌、膵臓癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌、腎盂・尿管癌など)、膀胱癌、陰茎癌、精巣癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、悪性骨腫瘍、軟部肉腫、軟骨肉腫、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、唾液腺腫瘍、神経内分泌腫瘍、神経芽細胞腫、肺肉腫、髄芽腫、グリア芽腫、眼網膜芽細胞腫、骨肉腫、小腸癌、および副腎皮質癌などが挙げられる。
【0062】
本発明化合物は、特に、疼痛や癌の予防および/または治療剤として有用である。
【0063】
本発明化合物は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または
3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
【0064】
本発明化合物と他の薬剤の併用剤は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0065】
上記併用剤により、予防および/または治療効果を奏する薬剤は特に限定されず、本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する薬剤であればよい。
【0066】
本発明化合物の疼痛に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、N−メチル−D−アスパラギン酸拮抗薬、筋弛緩薬、抗不整脈薬、ステロイド薬、およびビスホスホネート薬などが挙げられる。
【0067】
非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合などのアスピリン製剤、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナブメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、シメトリド配合剤、および非ピリン系感冒薬などが挙げられる。
【0068】
オピオイド薬としては、例えば、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、ヒドロコドン、トラマドール、ブプレノルフィン、タペンタドール、ペンタゾシン、ブトルファノールなどが挙げられる。
【0069】
抗うつ薬としては、例えば三環系抗うつ薬(例えば、塩酸アミトリプチリン、塩酸イミプラミン、塩酸クロミプラミン、塩酸ドスレピン、塩酸ノルトリプチリン、塩酸ロフェプラミン、マレイン酸トリミプラミン、アモキサピン)、四環系抗うつ薬(例えば、塩酸マプロチリン、塩酸ミアンセリン、マレイン酸セチプチリン)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害薬(塩酸サフラジン)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)(例えば、塩酸ミルナシプラン、塩酸ベンラファキシン)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)(例えば、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、塩酸フルオキセチン、塩酸シタロプラム)、およびセロトニン再取り込み阻害薬(例えば、塩酸トラゾドン)などが挙げられる。
【0070】
抗てんかん薬としては、例えば、フェノバールビタール、プリドミン、フェニトイン、エトサクシミド、ゾニサミド、ニトラゼパム、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウム、アセタゾラミド、およびスルチアムなどが挙げられる。
【0071】
N−メチル−D−アスパラギン酸拮抗薬としては、例えば、塩酸ケタミン、塩酸アマンタジン、塩酸メマンチン、デキストロメトルファン、およびメサドンなどが挙げられる。
【0072】
筋弛緩薬としては、例えば、スクシニルコリン、スキサメトニウム、臭化ベクロニウム、臭化パンクロニウム、およびダントロレンナトリウムなどが挙げられる。
【0073】
抗不整脈薬としては、例えば、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール、リドカイン、メキシレチン、アプリンジン、ピルジカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、プロプラノロール、アテノロール、ビソプロロール、アミオダロン、ソタロール、ベラパミル、ジルチアゼム、およびベプリジルなどが挙げられる。
【0074】
ステロイド薬としては、例えば、外用薬として、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、ブデソニド、吉草酸ジフルコルトロン、アムシノニド、ハルシノニド、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸デプロドン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン、プロピオン酸べクロメタゾン、およびフルドロキシコルチドなどが挙げられる。
【0075】
内服薬または注射薬としては、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、ブチル酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメサゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、酢酸パラメサゾン、およびベタメタゾンなどが挙げられる。
【0076】
吸入薬としては、プロピオン酸ベクロメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、およびメチルプレドニゾロンナトリウムスクシネートなどが挙げられる。
【0077】
ビスホスホネート薬としては、例えば、エチドロネート、パミドロネート、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート、およびミノドロネートなどが挙げられる。
【0078】
本発明化合物の癌に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬剤としては、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、抗癌性植物性製剤、ホルモン剤、白金化合物、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、抗CD20抗体、抗HER2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGF抗体、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗CTLA−4抗体、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体など)、免疫調整薬、およびその他の抗癌剤などが挙げられる。
【0079】
アルキル化剤としては、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ダカルバジン、塩酸ニムスチン、ラニムスチン、ベンダムスチン、チオテパ、およびカルボコンなどが挙げられる。
【0080】
代謝拮抗剤としては、例えば、メトトレキサート、ペメトレキセド、フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル、テガフール・ギメスタット・オタスタットカリウム、ドキシフルリジン、カペシタビン、シタラビン、塩酸ゲムシタビン、フルダラビン、ネララビン、カルモフール、および塩酸プロカルバジンなどが挙げられる。
【0081】
抗癌性抗生物質としては、例えば、マイトマイシンC、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、エピルビシン、クロモマイシンA3、ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、およびテラルビシンなどが挙げられる。
【0082】
抗癌性植物性製剤としては、例えば、塩酸イリノテカン、エトポシド、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンデシン、酒石酸ビノレルビン、ドセタキセル水和物、エリブリンメシル酸塩、およびパクリタキセルなどが挙げられる。
【0083】
ホルモン剤としては、例えば、リン酸エストラムスチンナトリウム、フルタミド、ビカルタミド、酢酸ゴセレリン、酢酸リュープロレリン、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、メピチオスタン、酢酸メドロキシプロゲステロン、エピチオスタノール、ホスフェストロール、塩酸ファドロゾール水和物、アビラテロン、フルベストラント、およびアミノグルテチミドなどが挙げられる。
【0084】
白金化合物としては、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、およびオキサリプラチンなどが挙げられる。
【0085】
トポイソメラーゼ阻害剤の例としては、例えば、トポテカンおよびソブゾキサンなどが挙げられる。
【0086】
キナーゼ阻害剤としては、例えば、EGFR阻害剤であるエルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、HER2阻害剤であるラパチニブ、BCR−ABL阻害剤であるイマチニブ、ALK阻害剤であるクリゾチニブ、マルチキナーゼ阻害剤であるレゴラフェニブ、およびダサチニブなどが挙げられる。
【0087】
抗CD20抗体としては、例えば、リツキシマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブウキセタン、およびオクレリズマブなどが挙げられる。
【0088】
抗HER2抗体としては、例えば、トラスツズマブ、トラスツズマブ・エムタンシン、およびペルツズマブなどが挙げられる。
【0089】
抗EGFR抗体としては、例えば、セツキシマブおよびパニツムマブなどが挙げられる。
【0090】
抗VEGF抗体としては、例えば、ベバシズマブなどが挙げられる。
【0091】
プロテアソーム阻害剤としては、例えば、ボルテゾミブなどが挙げられる。
【0092】
HDAC阻害剤としては、例えば、ボリノスタットなどが挙げられる。
【0093】
抗CTLA−4抗体としては、例えば、イピリムマブなどが挙げられる。
【0094】
抗PD−1抗体としては、例えば、ニボルマブおよびペンブロリズマブなどが挙げられる。
【0095】
抗PD−L1抗体としては、例えば、アテゾリズマブおよびアベルマブなどが挙げられる。
【0096】
免疫調整薬としては、例えば、サリドマイド、レナリドミド、およびポマリドミドなどが挙げられる。
【0097】
本発明化合物と他の薬剤の質量比は特に限定されない。
【0098】
他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
【0099】
また、本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0100】
本発明化合物、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、薬学的に許容される担体とともに適当な医薬組成物として製剤化したうえで、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
【0101】
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間などにより異なるが、通常、成人一人あたり、1回につき、1mgから1000mgの範囲で、1日1回から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、1回につき、0.1mgから100mgの範囲で、1日1回から数回非経口投与されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
【0102】
もちろん前記したように、投与量は、種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて必要な場合もある。
【0103】
本発明化合物、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤、および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、吸入剤などとして用いられる。
【0104】
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などが含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。また錠剤には舌下錠、口腔内貼付錠、口腔内速崩壊錠などが含まれる。
【0105】
このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプンなど)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなど)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウムなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸など)などと混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなど)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0106】
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤などを含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液など)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤などを含有していてもよい。
【0107】
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤、点眼剤、および点鼻剤などが含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により調製される。
【0108】
噴霧剤、吸入剤およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号および同第3,095,355号に詳しく記載されている。
【0109】
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類などおよびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)など)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤などを含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0110】
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリーなどが含まれる。
【0111】
本発明において、「製品」は、(1)本発明化合物を含有してなる医薬組成物または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を含有してなる配合剤の形態の医薬組成物と、(2)前記の組成物を含む容器に加え、(3)前記の組成物が、必要に応じて適当な併用剤(好ましくは、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、N−メチル−D−アスパラギン酸拮抗薬、筋弛緩薬、抗不整脈薬、ステロイド薬、および/またはビスホスホネート薬、もしくはアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、抗癌性植物性製剤、ホルモン剤、白金化合物、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、抗CD20抗体、抗HER2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGF抗体、プロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、および/または免疫調整薬など)と組み合わせ、Trk関連疾患の予防および/または治療のために使用することができる旨を示す、指示書、説明書、添付文書、または製品ラベル(米国におけるラベルまたはラベリングに相当するものも含む)などの少なくともひとつを含む。
【0112】
ここで、添付文書とは、日本においては薬事法でいう「添付文書」(能書と呼ばれることもある)、欧州連合(EU)においては指令でいう「製品情報概要(Summary of Product Characteristics : SPC or SmPC)」、米国においては連邦規則でいう「米国添付文書(US Package Insert : USPI)」、あるいはその他の国においてはこれらの文書に相当する、医薬品の適正使用に必要な事項を記載して医薬品に添付する公的文書のことを意味するものである。
【0113】
これらの文書に記載する事項については、例えば、日本の添付文書であれば、薬事法第52条、第54条、および第68条の4など(必要に応じて、平成9年4月25日付薬発第606号、607号、および/または関連する通知などを参照のこと)に、欧州連合の製品情報概要であればDirective 2001/83/EC Article 11など(必要に応じて、A guideline on SmPC、および/または関連するガイドラインなどを参照のこと)に、米国の米国添付文書であれば21 CFR 201.100など(必要に応じて、21 CFR 201.57、および/または関連する連邦規則などを参照のこと)に詳しく規定されているが、通常、適応症、用法、用量、投与方法、警告、および/または禁忌などについての情報が含まれる。
【0114】
なお、米国においては、上記米国添付文書の他に、ラベル(Label)もしくはラベリング(Labeling or Labelling)として、米国添付文書に記載された内容の一部もしくは全部を記載することが21 CFR 201 Subpart Bに定められている。ここで、ラベルとは、容器に直接表示されているものを意味し、ラベリングとは、ラベルに加えて包装上の印刷や製品に付随する印刷物などをも包含する概念を意味する。
【0115】
本発明において、「容器」とは、本発明化合物を含有してなる医薬組成物または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を含有してなる配合剤の形態の医薬組成物を直接内包するものを意味し、「直接の容器(immediate container)」、「直接の被包(immediate wrapper)」、または「内袋(inner seals)」などと称されることもある。容器には、例えば、缶、びん、箱、アンプル、バイアル、チューブ、点眼剤用ユニットドース容器、紙、布、ビニール、ポリ袋、SPシート、PTPシート、プラスチックコンテナなどが含まれる。
【0116】
医薬組成物を内包する容器は、上記のとおり、指示書、説明書、添付文書、または製品ラベル(米国におけるラベルまたはラベリングに相当するものも含む)などの少なくともひとつを組み合わせた状態で、通常、外部の容器(outer container)または外部の被包(outer wrapper)により包装され、市場に流通しうる。
【0117】
また、本発明は、本発明化合物を含有してなる医薬組成物または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を含有してなる配合剤の形態の医薬組成物の広告方法であって、対象とする視聴者に、Trk関連疾患の予防および/または治療のための前記組成物の使用を促すことを含む方法をも開示する。
【0118】
前記方法においては、Trk関連疾患の予防および/または治療に際し、本発明化合物を含有してなる医薬組成物または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を含有してなる配合剤の形態の医薬組成物を用いることの有用性、特に健康面での利点を記述する情報が公衆に配給(public distribution)される。かかる情報の配給は、言語によるコミュニケーションの他、適当な広告媒体を介して行われる。ここで、広告媒体としては、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ビデオ、パンフレット、リーフレット、ポスター、ソーシャルネットワーキングシステム、電子メール、電子看板、デジタルサイネージ、インターネット広告(ホームページ/ウェブサイト、バナー広告など)、屋外広告(ポスターボード、ネオンサイン、大型ビジョンなど)、交通広告(電車・バス・タクシーなどの中吊り広告、窓上広告、額面広告、駅貼広告など)、映画・スライド広告(映画館のスクリーン広告など)、POP広告(店頭広告、店内広告など)、直接広告(ダイレクトメール、新聞折込広告、チラシ広告など)、特殊広告(カレンダーやボールペンなどのノベルティ広告など)、その他の広告(スカイライティング、ベンチ広告など)など、任意のものを用いてもよい。当業者であれば、これら広告媒体を製造することは容易である。
【0119】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的、科学的用語、および略語は、本発明の分野に属する当業者によって普通に理解されるものと同様の意味を有する。
【0120】
また、本明細書において、明示的に引用される全ての特許文献および非特許文献もしくは参考文献の内容は、全て本明細書の一部としてここに引用し得る。
【実施例】
【0121】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されるカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。
【0123】
NMRの箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒を示している。
[1] LC−MS/ELSD:
{カラム:Waters ACQUITY C18(粒子径:1.7 x 10-6 m;カラム長:30 x 2.1 mm I.D.);流速:1.0mL/min;カラム温度:40℃;移動相(A):0.1%ギ酸水溶液;移動相(B):0.1%ギ酸−アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]95:5;[0.1分]95:5;[1.2分]5:95;[1.4分]5:95;[1.41分]95:5;[1.5分]95:5;検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}
で行った。
[2] 粉末X線回析スペクトル:
〈測定条件〉
装置 :BRUKER axs製BRUKER D8 DISCOVER with GADDS、
ターゲット:Cu、
電圧 :40kV、
電流 :40mA、
露光時間 :3min。
[化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III)の酸付加塩の一般合成方法]
化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III)と種々の酸を用いて、以下の方法で酸付加塩を製造した。各種の溶媒に溶解させた化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III)の溶液中に、化合物(I)および化合物(III)の場合は等モル当量の酸、または化合物(II)の場合は2モル当量の酸を加え混合した。析出した結晶をろ取して、乾燥させた。結晶が析出しなかった場合は、溶媒を減圧留去して、乾燥させた。このようにして得られた結晶または非晶質について、粉末X線回析スペクトル、TLC、LC-MS、およびNMRなどの物性データを測定した。なお、物性データについては、下記の実施例にて詳細に記す。
【0124】
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、ACD/Name(登録商標)を用いるか、Chemdraw Ultra(バージョン12.0、Cambridge Soft社製)を用いるか、またはIUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0125】
参考例1:2,2,2−トリクロロエチル(2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)カルバメート
【0126】
【化9】
【0127】
2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(574mg)の酢酸エチル(5.7mL)溶液に、炭酸水素ナトリウム(404mg)およびクロロぎ酸2,2,2−トリクロロエチル(398μL)を加え、30分間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(959mg)を得た。
性状:白色固体;
TLC:Rf 0.62(ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
H−NMR(DMSO−d):δ 4.82 (s, 2 H), 7.44-7.52 (m, 1 H), 7.64 (d, 1 H), 7.73 (d, 1 H), 7.75-7.88 (m, 2 H), 8.55-8.65 (m, 2 H), 9.83 (br s, 1 H)。
【0128】
参考例2:5−ニトロ−2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)ピリミジン
【0129】
【化10】
【0130】
4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(900mg)のテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)(8.2mL)溶液に、トリエチルアミン(0.63mL)および2−クロロ−5−ニトロピリミジン(684mg)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮し、以下の物性値を有する標題化合物(1.53g)を得た。
性状:黄色固体;
TLC:Rf 0.45(ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
H−NMR(CDCl):δ 1.35 (s, 12H), 7.20 (d, 2H), 7.93 (d, 2H), 9.31 (s, 2H)。
【0131】
参考例3:2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−アミン
【0132】
【化11】
【0133】
参考例2で製造した化合物(1.52g)のエタノール(16.7mL)および酢酸エチル(8.4mL)混合溶液に、水酸化パラジウム(20%wet、139mg)を加えた。反応混合物を、水素雰囲気下、35℃で4時間撹拌した。反応混合物にメタノール(8mL)および活性炭(29mg)を加えて室温で5分間撹拌した。反応混合物をセライト(商品名)でろ過後、ろ液を濃縮した。得られた残渣に、tert−ブチルメチルエーテル/ヘキサン(1:1)混合溶媒を加えて析出した固体をろ取することにより、以下の物性値を有する標題化合物(1.14g)を得た。
性状:白色固体;
TLC:Rf 0.29(ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
H−NMR(CDCl):δ 1.33 (s, 12H), 3.51 (br s, 2H), 7.14 (d, 2H), 7.85 (d, 2H), 8.06 (s, 2H)。
【0134】
参考例4:2−(4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−アミン
【0135】
【化12】
【0136】
アルゴン雰囲気下、参考例3で製造した化合物(1.1g)および2−アミノ−3−ブロモ−5−フルオロピリジン(738mg)の1,4−ジオキサン(20mL)溶媒に、りん酸カリウム水溶液(2mol/L、24mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(203mg)を加えた。反応混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をイソプロピルアルコールで洗浄し、ろ取することにより,以下の物性値を有する標題化合物(737mg)を得た。
性状:黄褐色固体;
TLC:Rf 0.41(酢酸エチル);
H−NMR(DMSO−d):δ 5.28 (s, 2 H), 5.53 (s, 2 H), 7.15 (d, 2 H), 7.35 (dd, 1 H), 7.48 (d, 2 H), 7.93 (d, 1H), 7.99 (s, 2 H)。
【0137】
実施例1:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二(p−トルエンスルホン酸)塩
【0138】
【化13】
【0139】
参考例4で製造した化合物(500mg)および参考例1で製造した化合物(765mg)のN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAと略記)(5mL)溶液に、トリエチルアミン(0.067mL)を加えた。アルゴン雰囲気下、反応混合物を70℃で1.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=19:1)で精製することにより、1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(444mg;化合物(II))を得た。この化合物(II)(100mg)にアセトン5mLおよび水0.5mLを加え、50℃で撹拌した。この溶液にp−トルエンスルホン酸モノハイドレート(68mg;p−TsOH・HO)を加えた。反応混合物を50℃で10分間撹拌した。その後、反応混合物の加温を止めて、反応混合物を一晩撹拌した。その際、40℃で結晶が析出し始めた。室温で結晶をろ取し、乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物(100mg)を得た。
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.27 (s, 6H), 3.50-5.50 (br, 4H), 7.10 (dd, 4H), 7.29-7.36 (m, 2H), 7.41-7.49 (m, 4H), 7.50-7.57 (m, 2H), 7.58 (s, 2H), 7.88-8.00 (m, 2H), 8.16 (t, 1H), 8.30-8.39 (m, 2H), 8.47 (s, 1H), 8.65 (s, 2H), 8.84 (dd, 1H), 8.93 (d, 1H), 9.20 (s, 1H)。
【0140】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図5に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表1で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0141】
【表1】
【0142】
実施例2:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二ベンゼンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、ベンゼンスルホン酸を用いて、実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(II)(100mg)にアセトン2mLを加えて溶解させた。この溶液にアセトン0.5mL中のベンゼンスルホン酸56mgを加えた。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣に酢酸イソプロピルを加えて85℃撹拌した。得られた固体をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0143】
【化14】
【0144】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.50-6.00 (br, 4H), 7.27-7.41 (m, 8H), 7.51-7.68 (m, 8H), 7.95-8.05 (m, 2H), 8.20 (t, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.40-8.47 (m, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.66 (s, 2H), 8.88 (dd, 1H), 8.99 (d, 1H), 9.21 (s, 1H)。
【0145】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図6に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表2で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0146】
【表2】
【0147】
実施例3:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二メタンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、メタンスルホン酸を用いて、実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(II)(100mg)にエタノール10mLを加えて、50〜70℃で溶解させた。この溶液にメタンスルホン酸0.024mLを加えて撹拌した。反応混合物を1時間撹拌した後、得られた結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0148】
【化15】
【0149】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.34 (s, 6H), 3.50-5.50 (br, 4H), 7.33 (d, 2H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.88-7.97 (m, 2H), 8.14-8.19 (m, 1H), 8.29-8.37 (m, 2H), 8.50 (s, 1H), 8.67 (s, 2H), 8.85 (dd, 1H), 8.92 (d, 1H), 9.26 (s, 1H)。
【0150】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図7に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表3で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0151】
【表3】
【0152】
実施例4:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二塩酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、塩酸を用いて、実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(II)のDMSO溶液を1N塩酸に加えて撹拌した。析出した結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0153】
【化16】
【0154】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 4.00-5.50 (br, 4H), 7.34 (d, 2H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.90-8.01 (m, 2 H), 8.21 (t, 1H), 8.32-8.39 (m, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.67 (s, 2H), 8.76 (s, 1H), 8.87 (dd, 1H), 8.93-9.00 (m, 1H), 9.84 (s, 1H)。
【0155】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図8に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表4で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0156】
【表4】
【0157】
実施例5:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア p−トルエンスルホン酸塩
2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミンの代わりに、対応する2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)アニリン(CAS番号:883881−78−5)を用いて、2−アミノ−3−ブロモ−5−フルオロピリジンの代わりに、2−アミノ−3−ブロモ−5−クロロピリジンを用いて、参考例1→参考例2→参考例3→参考例4→実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、得られた本発明化合物の性状は非晶質であった。
【0158】
【化17】
【0159】
性状:非晶質性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.29 (s, 3H), 3.35-4.20 (br, 3H), 6.67-6.71 (m, 1H), 7.11 (d, 2H), 7.32 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.51-7.57 (m, 3H), 7.69-7.73 (m, 1H), 7.74-7.80 (m, 1H), 7.97 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.57-8.61 (m, 1H), 8.72 (s, 2H), 9.74 (s, 1H), 10.00 (s, 1H)。
【0160】
本発明化合物(非晶質性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図9に示す。
【0161】
実施例6:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア ベンゼンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、ベンゼンスルホン酸を用いて、実施例5と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、得られた本発明化合物の性状は非晶質であった。
【0162】
【化18】
【0163】
性状:非晶質性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.20-3.90 (br, 3H), 6.65-6.74 (m, 1H), 7.26-7.39 (m, 5H), 7.50-7.64 (m, 5H), 7.72-7.83 (m, 2H), 7.95-8.01 (m, 1H), 8.10 (d, 1H), 8.40-8.47 (m, 1H), 8.57-8.64 (m, 1H), 8.72 (s, 2H), 9.74 (s, 1H), 10.00 (s, 1H)。
【0164】
本発明化合物(非晶質性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図10に示す。
【0165】
実施例7:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア メタンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、メタンスルホン酸を用いて、実施例5と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(III)(100mg)に酢酸エチル1.0mLを加えて、50〜70℃で溶解させた。この溶液にメタンスルホン酸(0.011mL)含有酢酸エチル溶液を加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌し、次いで氷浴で15分間撹拌した。得られた結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0166】
【化19】
【0167】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.31 (s, 3H), 3.35-3.85 (br, 3H), 6.69 (dd, 1 H), 7.32 (d, 2H), 7.50-7.58 (m, 3H), 7.72 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.97 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 8.43 (dd, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.72 (s, 2H), 9.74 (s, 1H), 10.00 (s, 1H)。
【0168】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図11に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表5で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0169】
【表5】
【0170】
実施例8:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア 塩酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、塩酸を用いて、実施例5と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(III)(90mg)に酢酸エチル1.8mLおよびエタノール1.8mLを加えて溶解させた。この溶液に4N塩酸−酢酸エチル溶液を0.079mL加えた。反応混合物を室温で撹拌し、減圧下濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて撹拌し、得られた結晶をろ取して、乾燥することにより本発明化合物(97mg)を得た。
【0171】
【化20】
【0172】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.70-5.20 (br, 3H), 6.69 (t, 1H), 7.30-7.35 (m, 2H), 7.52-7.57 (m, 3H), 7.75-7.80 (m, 2H), 7.97 (d, 1H), 8.16 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.73 (d, 2H), 9.75 (s, 1H), 10.06 (s, 1H)。
【0173】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図12に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表6で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0174】
【表6】
【0175】
実施例9:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(A晶)
【0176】
【化21】
【0177】
2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミンの代わりに、対応する2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)アニリン(CAS番号:402−19−7)を用いて、2−アミノ−3−ブロモ−5−フルオロピリジンの代わりに、2−アミノ−3−ブロモ−5−クロロピリジンを用いて、参考例1→参考例2→参考例3→参考例4→実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、実施例1の再結晶溶媒としてアセトンの代わりにエタノールを用いた。
性状:結晶性の白色固体(A晶);
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0178】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図1に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表7で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0179】
【表7】
【0180】
実施例10:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩(A晶)
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、ベンゼンスルホン酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、実施例9で採用する実施例1の再結晶溶媒としてアセトンの代わりにアセトニトリルを用いた。
【0181】
【化22】
【0182】
性状:結晶性の白色固体(A晶);
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.39 (s, 3H), 3.45-4.10 (br, 3H), 7.27-7.37 (m, 5H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.63-7.69 (m, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0183】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図2に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表8で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0184】
【表8】
【0185】
実施例11:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア メタンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、メタンスルホン酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(I)120mgにアセトニトリル8.4mLを加えて、50〜70℃で溶解させた。この溶液に1mol/Lメタンスルホン酸−アセトニトリル溶液0.22mLを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、氷浴下で1時間撹拌した。得られた結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0186】
【化23】
【0187】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.32 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.45-3.95 (br, 3H), 7.33 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.66 (d, 1 H), 7.72-7.77 (m, 1H), 8.06-8.12 (m, 2H), 8.62-8.67 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0188】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図3に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表9で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0189】
【表9】
【0190】
実施例12:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、塩酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
【0191】
【化24】
【0192】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.40 (s, 3H), 3.45-3.95 (br, 3H), 7.30-7.35 (m, 2H), 7.52-7.57 (m, 2H), 7.66 (dd, 1H), 7.70 (d, 1H), 8.07-8.11 (m, 2H), 8.62-8.65 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.36 (s, 1H)。
【0193】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図4に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表10で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0194】
【表10】
【0195】
実施例13:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(B晶)
実施例9で製造した化合物(10mg)にアセトニトリル0.7mLを加えて、60〜80℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(B晶);
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0196】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図13に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表11で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0197】
【表11】
【0198】
実施例14:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(I晶)
実施例9で製造した化合物(10mg)に30%含水エタノール110μLを加えて、50〜75℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(I晶);
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0199】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図14に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表12で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0200】
【表12】
【0201】
実施例15:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩(B晶)
実施例10で製造した化合物(10mg)に30%含水エタノール40μLを加えて、50〜75℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(B晶);
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.39 (s, 3H), 3.45-4.10 (br, 3H), 7.27-7.37 (m, 5H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.63-7.69 (m, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0202】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図15に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表13で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0203】
【表13】
【0204】
実施例16:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩(F晶)
実施例10で製造した化合物(10mg)にアセトン200μLおよび酢酸50μLを加えて、40〜60℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(F晶);
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.39 (s, 3H), 3.45-4.10 (br, 3H), 7.27-7.37 (m, 5H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.63-7.69 (m, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0205】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図16に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表14で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0206】
【表14】
【0207】
実施例17:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 臭化水素酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、臭化水素酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
【0208】
【化25】
【0209】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 3.40 (s, 3H), 4.41-5.34 (br, 3H), 7.33 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.66 (dd, 1H), 7.74 (d, 1H), 8.05-8.14 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0210】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図17に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表15示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0211】
【表15】
【0212】
実施例18:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(F晶)
実施例9で製造した化合物(10mg)に50%含水ジオキサン60μLを加えて、60〜80℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた固体をろ取して、乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(F晶);
LC−MS:579(M+H)
H−NMR(DMSO−d):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0213】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを図18に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表16で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0214】
【表16】
【0215】
化合物特性実験例:
化合物特性実験1:溶解性に関する試験
本発明化合物を試験管に約5mg秤量し、撹拌子と37℃に加温した人工腸液(FaSSIF;参照文献1:ファーマシューティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)、第20巻、1674−1680頁、2003年,参照文献2:バイオロジカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Biological & Pharmaceutical Bulletin)、第34巻、401−407頁、2011年)5mLを試験管に加えて、試験管を密栓した。試験管を溶解度試験装置(Gilson,Quad−Z 215)に設置して、37℃、700rpmで撹拌した。0.25、0.5、1、3、6、および24時間後に一部試験管中の液を採取した。採取液をフィルターでろ過し、ろ液をアセトニトリルにて2倍希釈した。その希釈液を3000rpm、5分間、遠心分離した。遠心分離後の上清を試料溶液として高速液体クロマトグラフィー法により溶解度を算出した。
【0216】
<高速液体クロマトグラフィー測定条件>
1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(化合物(I))およびその酸付加塩の場合
(1)
装置:Agilent HPLC 1100series
カラム:Waters Xbridge C18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:55/45,8分:20/80)
UV:308nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:20℃
サンプル注入量:40μL
測定時間:8分
保持時間:3.3分
【0217】
(2)
装置:HITACHI HPLC LaChrom ELITE
カラム:Waters Xbridge C18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:55/45,8分:20/80)
UV:308nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:20℃
サンプル注入量:10μL
測定時間:8分
保持時間:4.3分
【0218】
その結果、例えば、0.25時間後の当該化合物(I)の溶解度およびその酸付加塩の溶解度を以下に示す。例えば、p−トルエンスルホン酸塩としての溶解度は96μg/mL(遊離塩基である化合物(I)当たり74μg/mLの溶解度に相当する)であり、メタンスルホン酸塩としての溶解度は55μg/mL(遊離塩基である化合物(I)当たり47μg/mLの溶解度に相当する)であった。一方で、当該化合物(I)の溶解度は7μg/mLであった。
【0219】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(化合物(II))およびその酸付加塩の場合
(1)
装置:HITACHI HPLC La Chrom ELITE
カラム:Waters Xbridge Shield RP−18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:75/25,10分:20/80,10.1分:75/25,15分:75/25)
UV:312nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:25℃
サンプル注入量:5μL
測定時間:10分
保持時間:5.9分
【0220】
(2)
装置:Agilent HPLC 1100series
カラム:Waters Xbridge Shield RP−18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:75/25,10分:20/80,10.1分:75/25,15分:75/25)
UV:312nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:20℃
サンプル注入量:5μL
測定時間:10分
保持時間:5.6分
【0221】
その結果、例えば、0.25時間後の当該化合物(II)の溶解度およびその酸付加塩の溶解度を以下に示す。例えば、二(p−トルエンスルホン酸)塩としての溶解度は99μg/mL(遊離塩基である化合物(II)当たり61μg/mLの溶解度に相当する)であり、二ベンゼンスルホン酸塩としての溶解度は81μg/mL(遊離塩基である化合物(II)当たり52μg/mLの溶解度に相当する)であった。一方で、当該化合物(II)の溶解度は4μg/mLであった。
【0222】
1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア(化合物(III))およびその酸付加塩の場合
装置:Agilent HPLC 1100series
カラム:Waters Xbridge Shield RP−18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:25℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:52/48,10分:20/80,10.1分:52/48,15分:52/48)
UV:304nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:25℃
サンプル注入量:20μL
測定時間:10分
保持時間:4.5分
【0223】
その結果、例えば、0.25時間後の当該化合物(III)の溶解度およびその酸付加塩の溶解度を以下に示す。例えば、p−トルエンスルホン酸塩としての溶解度は55μg/mL(遊離塩基である化合物(III)当たり42μg/mLの溶解度に相当する)であり、メタンスルホン酸塩としての溶解度は53μg/mL(遊離塩基である化合物(III)当たり45μg/mLの溶解度に相当する)であった。一方で、当該化合物(III)の溶解度は26μg/mLであった。
【0224】
化合物特性実験2:薬物動態に関する実験
本発明化合物およびそれらの遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))の懸濁液を調製した。懸濁液は0.5%メチルセルロース水溶液で0.2mg/mLに調製した。なお、本発明化合物は対応する遊離塩基換算で0.2mg/mLになるよう調製した。各懸濁液を、予め前日から絶食しておいたサル(カニクイザル/雄)に、ゾンデを用いて強制的に胃内へ投与した。懸濁液(薬液)投与後、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および24時間後に橈側皮静脈(とうそくひじょうみゃく)よりヘパリン加シリンジを用いて、血液1mLを採取した。採取した血液を12000rpmで3分間遠心分離して血漿を分取した。
[分析試料の調製・分析]
血漿10μLに内標準物質(本発明化合物に相当する遊離塩基の重水素化体)含有アセトニトリル/エタノール(7/3,v/v)200μLを添加して撹拌した。室温で15000rpmで2分間遠心分離した。上清を超純水で2倍希釈し、LC/MS/MSにて分析した。
【0225】
LC/MS/MSによる分析は、以下の条件で行った。
[LC/MS/MS条件]
測定装置:API−4000(Applied Biosystems社製)
分析カラム:CAPCELL PAK CR18(2.0mm I.D.×50mm、5μm)
流速:0.4mL/分
移動相成分:10mM酢酸アンモニウム/アセトニトリル(0分:55/45,0.50分:55/45,1.01分:10/90,2.00分:10/90,2.01分:55/45,3.99分:55/45)
スキャンタイプ:MRM(多重反応モニタリング;Multiple Reaction Monitoring)
Polarity:Positive
その結果、本発明化合物は対応する遊離塩基に対して薬物動態が優れていた。
【0226】
化合物特性実験3:薬物相互作用に関する実験
超純水319.92μL、4/3mol/Lのリン酸緩衝液(pH7.4)30μL、500mmol/LのEDTA・2Na(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム)0.08μL、および20mg/mLのヒト肝ミクロソーム2μLを混合して、反応混合液を調製した。反応混合液を37℃の水浴で5分間プレインキュベーションした後、1mmol/Lの被験物質調製液を4μL添加して撹拌した。さらに反応混合液を37℃で5分間プレインキュベーションした後、20mmol/LのNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を40μL添加して撹拌した。反応混合液を37℃で30分間インキュベーション後、15mmol/Lのテストステロン(testosterone)調製液を4μL添加して撹拌した。反応混合液を37℃で5分間インキュベーション後、反応混合液100μLを採取して、内標準物質(d−6β−Hydroxytestosterone)含有アセトニトリルに添加して撹拌し、反応を停止した。この方法にて得られた試料が被験物質添加試料である。一方で、上記の方法にて、被験物質の代わりに被験物質の調製媒体であるアセトニトリル/ジメチルスルホキシド(9/1,v/v)のみを添加した条件で得られた試料が対照試料である。それぞれの試料全量を別々にフィルタープレート(MultiScreen(登録商標) Solvinert Filter Plates、0.45μm Low−Binding Hydrophilic PTFE)を用いて、1500rpm、5分間で遠心した。遠心した試料をそれぞれフィルターでろ過し、ろ液を超純水で2倍希釈して分析に供した。LC/MS/MSによる分析は、以下の条件で行った。
[LC/MS/MS条件]
測定装置:API−4000(Applied Biosystems社製);
分析カラム:Shim−pack XR−ODSII、2.2μm、150mm×2mmI.D.
カラム温度:40℃
移動相:0.1%ギ酸/アセトニトリル(50/50)
流速:0.3mL/min
スキャンタイプ:MRM(多重反応モニタリング;Multiple Reaction Monitoring)
Polarity:Positive
[データ解析方法]
被験物質添加試料中のテストステロン代謝物(6β−Hydroxytestosterone)ピーク面積比(テストステロン代謝物のピーク面積/内標準物質のピーク面積)および対照試料中のテストステロン代謝物(6β−Hydroxytestosterone)ピーク面積比(テストステロン代謝物のピーク面積/内標準物質のピーク面積)を用いて、下記の数式1により阻害率(%)を算出した。
【0227】
【数1】
【0228】
その結果、本発明化合物の濃度が10μMであっても、その阻害率はおよそ21〜34%であり、本発明化合物の薬物相互作用が極めて弱いものであることが分かった。それに対して、特許文献2に記載の実施例85−226の阻害率は58%(10μM)であり、その50%阻害濃度(IC50)は10μM以下となり、薬物相互作用が高い化合物であった。
薬理実験例:
薬理実験例1:ヒトTrkA発現細胞を用いたTrkAキナーゼ阻害活性の測定
細胞系でのTrkAキナーゼに対する阻害活性は、ヒトTrkA、及びNFAT−blaを発現させたCHO−K1細胞(CellSenserTM TrkA−NFAT−bla CHO−K1細胞、Invitrogen社)を用いて実施した。
アッセイの前日、CellSenserTM TrkA−NFAT−bla CHO−K1細胞をアッセイ培地(0.5%透析処理済みウシ胎児血清(Invitrogen社)、0.1mM nonessential amino acids(Invitrogen社)、1mM sodium pyruvate(Invitrogen社)、及び抗生物質(100U/mL penicillin、及び100μg/mL streptomycin(Invitrogen社))を含むOpti−MEM1 Reduced Serum Medium(Invitrogen社))に懸濁し、2.4×10細胞/40μL/ウェルの密度で、96ウェルクリアボトムプレート(Corning、品番:3882)に播種した。また、一部のウェルにはアッセイ培地のみを40μL/ウェル添加した(セルフリー)。アッセイ当日、96ウェルプレート(Costar社、品番:3363)に10mMの本発明化合物(DMSO溶液)を分注後、DMSOで段階希釈し、3倍公比の希釈系列を調製した。その希釈系列をアッセイ培地で100倍希釈し、10倍濃度の本発明化合物溶液(DMSO濃度1%)を調製した。細胞を播種したプレートに本発明化合物を5μL/ウェル添加し、5%CO、95%Air、37℃のCOインキュベーター内で30分間インキュベーションした。対照及びブランクは、本発明化合物溶液の代わりに1%DMSOを含むアッセイ培地を5μL/ウェル添加した。その後、プレートにNGF(マウス2.5s、天然型、Invitrogen社)を含むアッセイ培地を5μL/ウェル添加(NGFの終濃度:50ng/ml)し、5%CO、95%Air、37℃のCOインキュベーター内で5時間インキュベーションした。ブランク群には、NGFの代わりにアッセイ培地を5μL/ウェル添加した。プレートにレポーターアッセイ検出用試薬を10μL/ウェル添加した後、遮光下、室温で120分間、インキュベーションした。なお、レポーターアッセイ検出用試薬はLiveBLAzerTM−FRET B/G Loading Kit(Invitrogen社)で調製した。Analyst GT(モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を用いて、405nmの励起光を各ウェルに掃射し、460nmおよび530nmの蛍光強度を測定した。各ウェルの時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)比は下記の数式2を用いて算出した。
【0229】
【数2】
【0230】
460X:本発明化合物、対照あるいはブランクの460nmの蛍光強度
460F:セルフリーの460nmの蛍光強度
530X:本発明化合物、対照あるいはブランクの530nmの蛍光強度
530F:セルフリーの530nmの蛍光強度
本発明化合物のTR−FRET阻害率(%)は、下記の数式3を用いて算出した。
【0231】
【数3】
【0232】
:本発明化合物添加時のTR−FRET比
:ブランクのTR−FRET比
:対照のTR−FRET比
本発明化合物のIC50値は、本発明化合物の各濃度における阻害率に基づく阻害曲線から算出した。
【0233】
その結果、本発明化合物のTrkA阻害活性(IC50値)は<1nMであり、非常に強くTrkAを阻害することが分かった。
【0234】
薬理実験例2:KDRに対する酵素阻害活性試験
本発明化合物をジメチルスルホキシドに溶解して、3μMの試験濃度の100倍濃度の溶液を調製した。その溶液をさらにアッセイバッファー(20mMHEPES, 0.01%TritonX−100, 2mMDTT, pH7.5)にて25倍希釈して本発明化合物の溶液とした。陽性対照物質もこれと同様にして陽性対照物質溶液を調製した。
【0235】
アッセイバッファーにて調製した5μLの4倍濃度本発明化合物の溶液、5μLの4倍濃度基質/ATP/金属溶液(Mg)および10μLの2倍濃度キナーゼ溶液をポリプロピレン製384ウェルプレートのウェル内で混合し、室温にて1時間反応させた。60μLのTermination Buffer(QuickScout Screening Assist MSA; Carna Biosciences)を添加して反応を停止させた。反応溶液中の基質ペプチドとリン酸化ペプチドを分離、定量した。キナーゼ反応は基質ペプチドピーク高さ(S)とリン酸化ペプチドピーク高さ(P)から計算される生成物比(P/(P+S))にて評価した。以下の表17にKDR酵素阻害活性試験に使用した基質、基質濃度、ATP濃度、および陽性対照物質を示した。
【0236】
【表17】
【0237】
全ての反応コンポーネントを含むコントロールウェルの平均シグナルを0%阻害、バックグランドウェル(酵素非添加)の平均シグナルを100%阻害とし、本発明化合物の試験ウェルの平均シグナルから阻害率を計算した。その結果、3μMの濃度における本発明化合物のKDRに対する阻害率は0〜18%であった。
【0238】
この結果から、本発明化合物は、KDRに対する阻害は非常に弱く、TrkA選択的に強く阻害することが分かった。
【0239】
薬理実験例3:ラットNGF惹起血管透過性亢進に対する抑制作用
本発明化合物のin vivoにおけるTrkAに対する阻害活性を評価した。背部を毛剃りした雄性CD(SD)IGSラット(7〜9週齢、日本チャールス・リバー社)に媒体に溶解させた本発明化合物を経口投与した(投与容量:5mL/kg)。対照群および正常群には媒体を経口投与した(投与容量:5mL/kg)。投与12時間または14時間後、ハロタン麻酔下において、0.1%BSA(シグマ−アルドリッチ社)含有生理食塩液を用いて調製した3μg/mLのNGF(マウス2.5s、天然型、Invitrogen社)溶液を、背部の3カ所に皮内投与(投与容量;50μL/site)した。正常群には0.1%BSA含有生理食塩液を、背部の3カ所に皮内投与(投与容量;50μL/site)した。皮内投与直後に生理食塩液で溶解させた1%エバンスブルー(東京化成株式会社)を尾静脈内投与した(投与容量:3mL/kg)。投与10分後、腹部大動脈を切断し、放血致死させた。背部皮膚の皮内投与部位(3カ所)を切り取り、その皮膚サンプルを48ウェルプレート(旭硝子社)の各ウェルに1サンプルずつ移した。プレートにホルムアミドを0.8mL/ウェルずつ加え、蓋をした後、60℃で一晩、インキュベーションした。200μLのホルムアミドの抽出液を96ウェルプレートに移し、ホルムアミド中に抽出されたエバンスブルーの吸光度(波長:620nm)を吸光マイクロプレートリーダー(SpectraMAX190、モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を用いて測定した。同時に、ホルムアミドに溶解させたエバンスブルーの標品(0、0.78、1.56、3.13、6.25、12.5、25、および50μg/mL)の吸光度(波長:620nm)を測定し、検量線を作成した。その検量線と各サンプルの吸光度から、各サンプルのエバンスブルー濃度を算出した。同一個体から採取した3カ所の皮膚サンプルのエバンスブルー濃度の平均値を算出し、その個体の値とした。本発明化合物のラットNGF惹起血管透過性亢進抑制率は下記の数式4を用いて算出した。
【0240】
【数4】
【0241】
:本発明化合物のエバンスブルー濃度(同一個体の3サンプルの平均値)
:正常群のエバンスブルー濃度(同一個体の3サンプルの平均値)
:対照群のエバンスブルー濃度(同一個体の3サンプルの平均値)
その結果、本発明化合物(対応する遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))換算で1mg/kgを投与)は、長時間経ても強くラットNGF惹起血管透過性の亢進を抑制することが分かった。例えば、化合物(I)の塩酸塩がおよそ100%抑制率(14時間前投与)、化合物(II)の二(p−トルエンスルホン酸)塩がおよそ78%抑制率(12時間前投与)、および化合物(III)のメタンスルホン酸塩がおよそ97%抑制率(14時間前投与)であった。それに対して、特許文献2に記載の実施例85−90および実施例85−146のラットNGF惹起血管透過性亢進抑制率は、それぞれ54%(1mg/kg;12時間前投与)および26%(1mg/kg;14時間前投与)であった。
【0242】
薬理実験例4:モノヨード酢酸ナトリウム惹起モデルラットに対する鎮痛作用
モノヨード酢酸ナトリウム(以下、MIAと略す。)(Sigma−Aldrich Japan)惹起モデルラットを用いて、本発明化合物の鎮痛作用を評価した。
【0243】
(1)MIA惹起モデルラットの作製
イソフルラン麻酔下にラット右後肢膝周辺を毛剃りし、29G注射針付きの注射筒(BDロードーズ、日本ベクトン・ディッキンソン社)を用いて右後肢関節腔内に120mg/mLのMIA溶液を25μL投与した。正常対照群には生理食塩液を25μL投与した。
【0244】
(2)群構成および群分け
正常対照群、発症対照群、本発明化合物投与群、およびトラマドール投与群またはモルヒネ投与群の群構成で行った。正常対照群以外は上記(1)の方法にて作製されたMIA惹起14日後のモデルラットの右後肢負荷重量比率(測定方法は後述)を測定して、右後肢負荷重量比率が各群で偏りがないように群分けした。
【0245】
(3)本発明化合物、トラマドール、またはモルヒネの投与
本発明化合物をWellsolve(セレステ社)で溶解して、0.1、0.3、または1mg/mL(それぞれ対応する遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))の換算濃度である)溶液に調製した。調製した0.1、0.3、または1mg/mL溶液を蒸留水で5倍希釈し、0.02、0.06、または0.2mg/mL溶液に調製した(Wellsolveの終濃度:20%)。陽性対照薬であるトラマドールを生理食塩液で溶解して、2mg/mL溶液に調製した。または陽性対照薬であるモルヒネを生理食塩液で溶解して、0.6mg/mL溶液に調製した。本発明化合物投与群にはMIA惹起14日〜23日後まで本発明化合物溶液(0.1、0.3、または1mg/kg(それぞれ対応する遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))の換算濃度である))を1日2回、10日間反復経口投与した。さらに、MIA惹起24日後の右後肢負荷重量比率測定の3時間前に本発明化合物溶液を経口投与し、1時間前に生理食塩液を皮下投与した。トラマドール投与群またはモルヒネ投与群にはMIA惹起14日〜23日後まで20%Wellsolveを1日2回、10日間反復経口投与した。さらに、MIA惹起24日後の右後肢負荷重量比率測定の3時間前に20%Wellsolveを経口投与し、1時間前にトラマドール溶液(10mg/kg)またはモルヒネ溶液(3mg/kg)を皮下投与した。また、正常対照群および発症対照群にはMIA惹起14日〜23日後まで20%Wellsolveを1日2回、10日間反復経口投与した。さらに、MIA惹起24日後の右後肢負荷重量比率測定の3時間前に20%Wellsolveを経口投与し、1時間前に生理食塩液を皮下投与した。
【0246】
(4)右後肢負荷重量比率の測定
Linton Incapacitance Tester(MJS Technology INC.,UK)を用いて左右後肢の負荷重量を測定した。すなわち、ラットをLinton Incapacitance Tester上の専用ケージに移し、左右の後肢が2対の重量測定センサーに別々に乗るように姿勢を正した。ラットの姿勢が左右および前後で偏りがないのを確認後、左および右後肢それぞれの負荷重量を3秒間測定した。負荷重量の測定を1個体当たり3回繰り返した。安定した測定値を得るために、MIA惹起当日から惹起14日後までの間に5日間以上ラットを専用ケージ内に入れて20分以上馴化させた。さらに、負荷重量測定直前にも約10分間馴化させて、負荷重量を測定した。MIA惹起14日後における群分け前、ならびに24日後における正常対照群、発症対照群、本発明化合物投与群(投与3時間後)、トラマドール投与群(投与1時間後)、およびモルヒネ投与群(投与1時間後)における左右後肢負荷重量を測定した。左右後肢負荷重量の平均値を基に下記の数式5から両後肢の負荷重量における右後肢の負荷重量比率を算出した。測定を盲検下で実施した。MIA惹起24日後の各群の右後肢負荷重量比率を基に下記の数式6から本発明化合物の改善率を算出して、本発明化合物の鎮痛作用を評価した。
【0247】
【数5】
【0248】
:右後肢の負荷重量(同一個体を3回測定した値の平均値)
:左後肢の負荷重量(同一個体を3回測定した値の平均値)
【0249】
【数6】
【0250】
:正常対照群の平均値
:発症対照群の平均値
:本発明化合物投与群の平均値
その結果、本発明化合物の改善率は、鎮痛薬として汎用されているトラマドール(改善率:43%)およびモルヒネ(改善率:54%)と同等以上の改善率であった。例えば、化合物(I)の塩酸塩がおよそ54%(陽性対照薬:モルヒネ)、化合物(II)の二(p−トルエンスルホン酸)塩がおよそ53%(陽性対照薬:モルヒネ)、および化合物(III)のメタンスルホン酸塩がおよそ61%(陽性対照薬:トラマドール)であった。したがって、本発明化合物の鎮痛作用はトラマドールおよびモルヒネと同等以上の鎮痛作用を有することが分かった。
【0251】
薬理実験例5:ヒト大腸癌細胞株KM12に対する抗腫瘍効果
ヒト大腸癌細胞株であるKM12(ATCC社、品番:RBC0805)を用いて、本発明化合物の抗腫瘍効果を評価した。KM12は、10vol%の非働化済ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum;FBS)および1vol%のPenicillin−Streptomycin liquid(Life technologies社)を含むDMEM(Life technologies社、品番:11965)に播種され、継代培養された。本発明化合物処置の前日に、0.25%Trypsin−EDTAを用いてKM12を浮遊させ、ディッシュより遠心チューブにKM12を回収した。室温にて180gで3分間KM12を遠心分離した後、その細胞沈渣を10mLのDMEM培地にて懸濁した。KM12懸濁液の一部を採取して、その細胞数を計測した後、5×10細胞/mLの細胞密度でKM12をDMEM培地にて懸濁し、その細胞懸濁液を調製した。96ウェル組織培養用プレート(旭ガラス)に、KM12懸濁液を100μL/wellで播種し、37℃、5%CO、および95%Air条件下で16時間静置した。本発明化合物処置の当日に、10mmol/Lの本発明化合物(DMSO溶液)をDMSOで段階希釈して、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、および100μmol/Lの本発明化合物溶液を調製した。さらに、これらのDMSO溶液を培地で100倍希釈することにより、0.3、1、3、10、30、100、300、および1000nmol/Lの本発明化合物含有培地を調製した。KM12を16時間静置培養した96ウェル組織培養用プレート内の培地をデカントにより除去した後に、各ウェルにDMEM培地および上記で調製した本発明化合物含有培地をそれぞれ、90および10μL/wellずつ添加した(本発明化合物終濃度はそれぞれ、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、および100nmol/Lとなった)。その後、37℃、5%CO、および95%Air条件下で72時間静置培養した。静置培養完了後、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assayキット(Promega社、G7571)を用いて、各ウェルの発光シグナル(相対発光単位、RLU)をマイクロプレートリーダーで測定した。媒体群(本発明化合物濃度がゼロ(0)のDMSO溶液を処置した群)の3ウェル分のRLUの平均値を算出し、下記の数式7で各ウェルにおけるKM12増殖率を算出した。
【0252】
【数7】
【0253】
次に、本発明化合物処置群について、各ウェルにおけるKM12増殖率から下記の数式8で各ウェルにおけるKM12増殖抑制率を算出した。
【0254】
【数8】
【0255】
その結果、本発明化合物は強くKM12の増殖を抑制することが分かった。
[製剤例]
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後、打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩 …… 100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) …… 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) …… 10g
・微結晶セルロース …… 870g
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩 …… 200g
・マンニトール …… 20g
・蒸留水 …… 50L
【産業上の利用可能性】
【0256】
本発明化合物は、Trk阻害活性を有し、Trkが関与する疾患、例えば、疼痛、掻痒症、下部尿路障害、喘息、アレルギー性鼻炎、炎症性腸疾患、シャーガス病、または癌などの疾患の予防および/または治療に有効である。
図1
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