【実施例】
【0121】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されるカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。
【0123】
NMRの箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒を示している。
[1] LC−MS/ELSD:
{カラム:Waters ACQUITY C
18(粒子径:1.7 x 10
-6 m;カラム長:30 x 2.1 mm I.D.);流速:1.0mL/min;カラム温度:40℃;移動相(A):0.1%ギ酸水溶液;移動相(B):0.1%ギ酸−アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]95:5;[0.1分]95:5;[1.2分]5:95;[1.4分]5:95;[1.41分]95:5;[1.5分]95:5;検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}
で行った。
[2] 粉末X線回析スペクトル:
〈測定条件〉
装置 :BRUKER axs製BRUKER D8 DISCOVER with GADDS、
ターゲット:Cu、
電圧 :40kV、
電流 :40mA、
露光時間 :3min。
[化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III)の酸付加塩の一般合成方法]
化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III)と種々の酸を用いて、以下の方法で酸付加塩を製造した。各種の溶媒に溶解させた化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III)の溶液中に、化合物(I)および化合物(III)の場合は等モル当量の酸、または化合物(II)の場合は2モル当量の酸を加え混合した。析出した結晶をろ取して、乾燥させた。結晶が析出しなかった場合は、溶媒を減圧留去して、乾燥させた。このようにして得られた結晶または非晶質について、粉末X線回析スペクトル、TLC、LC-MS、およびNMRなどの物性データを測定した。なお、物性データについては、下記の実施例にて詳細に記す。
【0124】
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、ACD/Name(登録商標)を用いるか、Chemdraw Ultra(バージョン12.0、Cambridge Soft社製)を用いるか、またはIUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0125】
参考例1:2,2,2−トリクロロエチル(2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)カルバメート【0126】
【化9】
【0127】
2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(574mg)の酢酸エチル(5.7mL)溶液に、炭酸水素ナトリウム(404mg)およびクロロぎ酸2,2,2−トリクロロエチル(398μL)を加え、30分間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(959mg)を得た。
性状:白色固体;
TLC:Rf 0.62(ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 4.82 (s, 2 H), 7.44-7.52 (m, 1 H), 7.64 (d, 1 H), 7.73 (d, 1 H), 7.75-7.88 (m, 2 H), 8.55-8.65 (m, 2 H), 9.83 (br s, 1 H)。
【0128】
参考例2:5−ニトロ−2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)ピリミジン【0129】
【化10】
【0130】
4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(900mg)のテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)(8.2mL)溶液に、トリエチルアミン(0.63mL)および2−クロロ−5−ニトロピリミジン(684mg)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、および飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧下濃縮し、以下の物性値を有する標題化合物(1.53g)を得た。
性状:黄色固体;
TLC:Rf 0.45(ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
1H−NMR(CDCl
3):δ 1.35 (s, 12H), 7.20 (d, 2H), 7.93 (d, 2H), 9.31 (s, 2H)。
【0131】
参考例3:2−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−アミン【0132】
【化11】
【0133】
参考例2で製造した化合物(1.52g)のエタノール(16.7mL)および酢酸エチル(8.4mL)混合溶液に、水酸化パラジウム(20%wet、139mg)を加えた。反応混合物を、水素雰囲気下、35℃で4時間撹拌した。反応混合物にメタノール(8mL)および活性炭(29mg)を加えて室温で5分間撹拌した。反応混合物をセライト(商品名)でろ過後、ろ液を濃縮した。得られた残渣に、tert−ブチルメチルエーテル/ヘキサン(1:1)混合溶媒を加えて析出した固体をろ取することにより、以下の物性値を有する標題化合物(1.14g)を得た。
性状:白色固体;
TLC:Rf 0.29(ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H−NMR(CDCl
3):δ 1.33 (s, 12H), 3.51 (br s, 2H), 7.14 (d, 2H), 7.85 (d, 2H), 8.06 (s, 2H)。
【0134】
参考例4:2−(4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−アミン【0135】
【化12】
【0136】
アルゴン雰囲気下、参考例3で製造した化合物(1.1g)および2−アミノ−3−ブロモ−5−フルオロピリジン(738mg)の1,4−ジオキサン(20mL)溶媒に、りん酸カリウム水溶液(2mol/L、24mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(203mg)を加えた。反応混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をイソプロピルアルコールで洗浄し、ろ取することにより,以下の物性値を有する標題化合物(737mg)を得た。
性状:黄褐色固体;
TLC:Rf 0.41(酢酸エチル);
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 5.28 (s, 2 H), 5.53 (s, 2 H), 7.15 (d, 2 H), 7.35 (dd, 1 H), 7.48 (d, 2 H), 7.93 (d, 1H), 7.99 (s, 2 H)。
【0137】
実施例1:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二(p−トルエンスルホン酸)塩【0138】
【化13】
【0139】
参考例4で製造した化合物(500mg)および参考例1で製造した化合物(765mg)のN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAと略記)(5mL)溶液に、トリエチルアミン(0.067mL)を加えた。アルゴン雰囲気下、反応混合物を70℃で1.5時間撹拌した。反応混合物に水を加え、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=19:1)で精製することにより、1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(444mg;化合物(II))を得た。この化合物(II)(100mg)にアセトン5mLおよび水0.5mLを加え、50℃で撹拌した。この溶液にp−トルエンスルホン酸モノハイドレート(68mg;p−TsOH・H
2O)を加えた。反応混合物を50℃で10分間撹拌した。その後、反応混合物の加温を止めて、反応混合物を一晩撹拌した。その際、40℃で結晶が析出し始めた。室温で結晶をろ取し、乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物(100mg)を得た。
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.27 (s, 6H), 3.50-5.50 (br, 4H), 7.10 (dd, 4H), 7.29-7.36 (m, 2H), 7.41-7.49 (m, 4H), 7.50-7.57 (m, 2H), 7.58 (s, 2H), 7.88-8.00 (m, 2H), 8.16 (t, 1H), 8.30-8.39 (m, 2H), 8.47 (s, 1H), 8.65 (s, 2H), 8.84 (dd, 1H), 8.93 (d, 1H), 9.20 (s, 1H)。
【0140】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図5に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表1で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0141】
【表1】
【0142】
実施例2:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二ベンゼンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、ベンゼンスルホン酸を用いて、実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(II)(100mg)にアセトン2mLを加えて溶解させた。この溶液にアセトン0.5mL中のベンゼンスルホン酸56mgを加えた。反応混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣に酢酸イソプロピルを加えて85℃撹拌した。得られた固体をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0143】
【化14】
【0144】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.50-6.00 (br, 4H), 7.27-7.41 (m, 8H), 7.51-7.68 (m, 8H), 7.95-8.05 (m, 2H), 8.20 (t, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.40-8.47 (m, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.66 (s, 2H), 8.88 (dd, 1H), 8.99 (d, 1H), 9.21 (s, 1H)。
【0145】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図6に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表2で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0146】
【表2】
【0147】
実施例3:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二メタンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、メタンスルホン酸を用いて、実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(II)(100mg)にエタノール10mLを加えて、50〜70℃で溶解させた。この溶液にメタンスルホン酸0.024mLを加えて撹拌した。反応混合物を1時間撹拌した後、得られた結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0148】
【化15】
【0149】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.34 (s, 6H), 3.50-5.50 (br, 4H), 7.33 (d, 2H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.88-7.97 (m, 2H), 8.14-8.19 (m, 1H), 8.29-8.37 (m, 2H), 8.50 (s, 1H), 8.67 (s, 2H), 8.85 (dd, 1H), 8.92 (d, 1H), 9.26 (s, 1H)。
【0150】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図7に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表3で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0151】
【表3】
【0152】
実施例4:1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 二塩酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、塩酸を用いて、実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(II)のDMSO溶液を1N塩酸に加えて撹拌した。析出した結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0153】
【化16】
【0154】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:562(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 4.00-5.50 (br, 4H), 7.34 (d, 2H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.90-8.01 (m, 2 H), 8.21 (t, 1H), 8.32-8.39 (m, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.67 (s, 2H), 8.76 (s, 1H), 8.87 (dd, 1H), 8.93-9.00 (m, 1H), 9.84 (s, 1H)。
【0155】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図8に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表4で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0156】
【表4】
【0157】
実施例5:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア p−トルエンスルホン酸塩
2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミンの代わりに、対応する2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)アニリン(CAS番号:883881−78−5)を用いて、2−アミノ−3−ブロモ−5−フルオロピリジンの代わりに、2−アミノ−3−ブロモ−5−クロロピリジンを用いて、参考例1→参考例2→参考例3→参考例4→実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、得られた本発明化合物の性状は非晶質であった。
【0158】
【化17】
【0159】
性状:非晶質性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.29 (s, 3H), 3.35-4.20 (br, 3H), 6.67-6.71 (m, 1H), 7.11 (d, 2H), 7.32 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.51-7.57 (m, 3H), 7.69-7.73 (m, 1H), 7.74-7.80 (m, 1H), 7.97 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.57-8.61 (m, 1H), 8.72 (s, 2H), 9.74 (s, 1H), 10.00 (s, 1H)。
【0160】
本発明化合物(非晶質性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図9に示す。
【0161】
実施例6:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア ベンゼンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、ベンゼンスルホン酸を用いて、実施例5と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、得られた本発明化合物の性状は非晶質であった。
【0162】
【化18】
【0163】
性状:非晶質性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.20-3.90 (br, 3H), 6.65-6.74 (m, 1H), 7.26-7.39 (m, 5H), 7.50-7.64 (m, 5H), 7.72-7.83 (m, 2H), 7.95-8.01 (m, 1H), 8.10 (d, 1H), 8.40-8.47 (m, 1H), 8.57-8.64 (m, 1H), 8.72 (s, 2H), 9.74 (s, 1H), 10.00 (s, 1H)。
【0164】
本発明化合物(非晶質性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図10に示す。
【0165】
実施例7:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア メタンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、メタンスルホン酸を用いて、実施例5と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(III)(100mg)に酢酸エチル1.0mLを加えて、50〜70℃で溶解させた。この溶液にメタンスルホン酸(0.011mL)含有酢酸エチル溶液を加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌し、次いで氷浴で15分間撹拌した。得られた結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0166】
【化19】
【0167】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.31 (s, 3H), 3.35-3.85 (br, 3H), 6.69 (dd, 1 H), 7.32 (d, 2H), 7.50-7.58 (m, 3H), 7.72 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.97 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 8.43 (dd, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.72 (s, 2H), 9.74 (s, 1H), 10.00 (s, 1H)。
【0168】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図11に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表5で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0169】
【表5】
【0170】
実施例8:1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア 塩酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、塩酸を用いて、実施例5と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(III)(90mg)に酢酸エチル1.8mLおよびエタノール1.8mLを加えて溶解させた。この溶液に4N塩酸−酢酸エチル溶液を0.079mL加えた。反応混合物を室温で撹拌し、減圧下濃縮した。得られた残渣に酢酸エチルを加えて撹拌し、得られた結晶をろ取して、乾燥することにより本発明化合物(97mg)を得た。
【0171】
【化20】
【0172】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:567(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.70-5.20 (br, 3H), 6.69 (t, 1H), 7.30-7.35 (m, 2H), 7.52-7.57 (m, 3H), 7.75-7.80 (m, 2H), 7.97 (d, 1H), 8.16 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.59 (d, 1H), 8.73 (d, 2H), 9.75 (s, 1H), 10.06 (s, 1H)。
【0173】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図12に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表6で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0174】
【表6】
【0175】
実施例9:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(A晶)【0176】
【化21】
【0177】
2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)ベンゼンアミンの代わりに、対応する2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)アニリン(CAS番号:402−19−7)を用いて、2−アミノ−3−ブロモ−5−フルオロピリジンの代わりに、2−アミノ−3−ブロモ−5−クロロピリジンを用いて、参考例1→参考例2→参考例3→参考例4→実施例1と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、実施例1の再結晶溶媒としてアセトンの代わりにエタノールを用いた。
性状:結晶性の白色固体(A晶);
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0178】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図1に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表7で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0179】
【表7】
【0180】
実施例10:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩(A晶)
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、ベンゼンスルホン酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。なお、実施例9で採用する実施例1の再結晶溶媒としてアセトンの代わりにアセトニトリルを用いた。
【0181】
【化22】
【0182】
性状:結晶性の白色固体(A晶);
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.39 (s, 3H), 3.45-4.10 (br, 3H), 7.27-7.37 (m, 5H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.63-7.69 (m, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0183】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図2に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表8で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0184】
【表8】
【0185】
実施例11:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア メタンスルホン酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、メタンスルホン酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。すなわち、化合物(I)120mgにアセトニトリル8.4mLを加えて、50〜70℃で溶解させた。この溶液に1mol/Lメタンスルホン酸−アセトニトリル溶液0.22mLを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、氷浴下で1時間撹拌した。得られた結晶をろ取して乾燥することにより本発明化合物を得た。
【0186】
【化23】
【0187】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.32 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.45-3.95 (br, 3H), 7.33 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.66 (d, 1 H), 7.72-7.77 (m, 1H), 8.06-8.12 (m, 2H), 8.62-8.67 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0188】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図3に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表9で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0189】
【表9】
【0190】
実施例12:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、塩酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
【0191】
【化24】
【0192】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.40 (s, 3H), 3.45-3.95 (br, 3H), 7.30-7.35 (m, 2H), 7.52-7.57 (m, 2H), 7.66 (dd, 1H), 7.70 (d, 1H), 8.07-8.11 (m, 2H), 8.62-8.65 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.36 (s, 1H)。
【0193】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図4に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表10で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0194】
【表10】
【0195】
実施例13:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(B晶)
実施例9で製造した化合物(10mg)にアセトニトリル0.7mLを加えて、60〜80℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(B晶);
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0196】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図13に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表11で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0197】
【表11】
【0198】
実施例14:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(I晶)
実施例9で製造した化合物(10mg)に30%含水エタノール110μLを加えて、50〜75℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(I晶);
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0199】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図14に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表12で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0200】
【表12】
【0201】
実施例15:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩(B晶)
実施例10で製造した化合物(10mg)に30%含水エタノール40μLを加えて、50〜75℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(B晶);
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.39 (s, 3H), 3.45-4.10 (br, 3H), 7.27-7.37 (m, 5H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.63-7.69 (m, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0202】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図15に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表13で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0203】
【表13】
【0204】
実施例16:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア ベンゼンスルホン酸塩(F晶)
実施例10で製造した化合物(10mg)にアセトン200μLおよび酢酸50μLを加えて、40〜60℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた結晶を乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(F晶);
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.39 (s, 3H), 3.45-4.10 (br, 3H), 7.27-7.37 (m, 5H), 7.52-7.62 (m, 4H), 7.63-7.69 (m, 1H), 7.73 (d, 1H), 8.06-8.13 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.33 (s, 1H)。
【0205】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図16に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表14で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0206】
【表14】
【0207】
実施例17:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 臭化水素酸塩
p−トルエンスルホン酸モノハイドレートの代わりに、臭化水素酸を用いて、実施例9と同様の操作を行って、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
【0208】
【化25】
【0209】
性状:結晶性の白色固体;
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 3.40 (s, 3H), 4.41-5.34 (br, 3H), 7.33 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.66 (dd, 1H), 7.74 (d, 1H), 8.05-8.14 (m, 2H), 8.61-8.66 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0210】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図17に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表15示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0211】
【表15】
【0212】
実施例18:1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア p−トルエンスルホン酸塩(F晶)
実施例9で製造した化合物(10mg)に50%含水ジオキサン60μLを加えて、60〜80℃で溶解させた。この溶液を室温で一晩撹拌して得られた固体をろ取して、乾燥することにより、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
性状:結晶性の白色固体(F晶);
LC−MS:579(M+H)
+;
1H−NMR(DMSO−d
6):δ 2.29 (s, 3H), 3.39 (s, 3H), 3.70-4.60 (br, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.34 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.55 (d, 2H), 7.62-7.72 (m, 1H), 7.79 (d, 1H), 8.08 (d, 1H), 8.13 (d, 1H), 8.61-8.68 (m, 1H), 8.77 (s, 2H), 8.99 (s, 1H), 10.32 (s, 1H)。
【0213】
本発明化合物(結晶性の白色固体)の粉末X線回析スペクトルを
図18に示す。
(1)粉末X線回折スペクトル
該結晶は、Cu−Kα線を使用して得られる粉末X線回折スペクトルにおいて、以下の表16で示される回折角(2θ)および相対強度のデータによって特徴づけられる。
【0214】
【表16】
【0215】
化合物特性実験例:
化合物特性実験1:溶解性に関する試験
本発明化合物を試験管に約5mg秤量し、撹拌子と37℃に加温した人工腸液(FaSSIF;参照文献1:ファーマシューティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)、第20巻、1674−1680頁、2003年,参照文献2:バイオロジカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Biological & Pharmaceutical Bulletin)、第34巻、401−407頁、2011年)5mLを試験管に加えて、試験管を密栓した。試験管を溶解度試験装置(Gilson,Quad−Z 215)に設置して、37℃、700rpmで撹拌した。0.25、0.5、1、3、6、および24時間後に一部試験管中の液を採取した。採取液をフィルターでろ過し、ろ液をアセトニトリルにて2倍希釈した。その希釈液を3000rpm、5分間、遠心分離した。遠心分離後の上清を試料溶液として高速液体クロマトグラフィー法により溶解度を算出した。
【0216】
<高速液体クロマトグラフィー測定条件>
1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(化合物(I))およびその酸付加塩の場合
(1)
装置:Agilent HPLC 1100series
カラム:Waters Xbridge C18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:55/45,8分:20/80)
UV:308nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:20℃
サンプル注入量:40μL
測定時間:8分
保持時間:3.3分
【0217】
(2)
装置:HITACHI HPLC LaChrom ELITE
カラム:Waters Xbridge C18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:55/45,8分:20/80)
UV:308nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:20℃
サンプル注入量:10μL
測定時間:8分
保持時間:4.3分
【0218】
その結果、例えば、0.25時間後の当該化合物(I)の溶解度およびその酸付加塩の溶解度を以下に示す。例えば、p−トルエンスルホン酸塩としての溶解度は96μg/mL(遊離塩基である化合物(I)当たり74μg/mLの溶解度に相当する)であり、メタンスルホン酸塩としての溶解度は55μg/mL(遊離塩基である化合物(I)当たり47μg/mLの溶解度に相当する)であった。一方で、当該化合物(I)の溶解度は7μg/mLであった。
【0219】
1−{2−[4−(2−アミノ−5−フルオロピリジン−3−イル)フェノキシ]ピリミジン−5−イル}−3−[2−(ピリジン−3−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア(化合物(II))およびその酸付加塩の場合
(1)
装置:HITACHI HPLC La Chrom ELITE
カラム:Waters Xbridge Shield RP−18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:75/25,10分:20/80,10.1分:75/25,15分:75/25)
UV:312nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:25℃
サンプル注入量:5μL
測定時間:10分
保持時間:5.9分
【0220】
(2)
装置:Agilent HPLC 1100series
カラム:Waters Xbridge Shield RP−18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:40℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:75/25,10分:20/80,10.1分:75/25,15分:75/25)
UV:312nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:20℃
サンプル注入量:5μL
測定時間:10分
保持時間:5.6分
【0221】
その結果、例えば、0.25時間後の当該化合物(II)の溶解度およびその酸付加塩の溶解度を以下に示す。例えば、二(p−トルエンスルホン酸)塩としての溶解度は99μg/mL(遊離塩基である化合物(II)当たり61μg/mLの溶解度に相当する)であり、二ベンゼンスルホン酸塩としての溶解度は81μg/mL(遊離塩基である化合物(II)当たり52μg/mLの溶解度に相当する)であった。一方で、当該化合物(II)の溶解度は4μg/mLであった。
【0222】
1−(2−(1H−ピラゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−(2−(4−(2−アミノ−5−クロロピリジン−3−イル)フェノキシ)ピリミジン−5−イル)ウレア(化合物(III))およびその酸付加塩の場合
装置:Agilent HPLC 1100series
カラム:Waters Xbridge Shield RP−18(4.6mm内径×50mm、3.5μm)
カラム温度:25℃
移動相成分:20mMリン酸二水素カリウム(pH3.0)/アセトニトリル(0分:52/48,10分:20/80,10.1分:52/48,15分:52/48)
UV:304nm
流速:1.0mL/min
サンプルラック温度:25℃
サンプル注入量:20μL
測定時間:10分
保持時間:4.5分
【0223】
その結果、例えば、0.25時間後の当該化合物(III)の溶解度およびその酸付加塩の溶解度を以下に示す。例えば、p−トルエンスルホン酸塩としての溶解度は55μg/mL(遊離塩基である化合物(III)当たり42μg/mLの溶解度に相当する)であり、メタンスルホン酸塩としての溶解度は53μg/mL(遊離塩基である化合物(III)当たり45μg/mLの溶解度に相当する)であった。一方で、当該化合物(III)の溶解度は26μg/mLであった。
【0224】
化合物特性実験2:薬物動態に関する実験
本発明化合物およびそれらの遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))の懸濁液を調製した。懸濁液は0.5%メチルセルロース水溶液で0.2mg/mLに調製した。なお、本発明化合物は対応する遊離塩基換算で0.2mg/mLになるよう調製した。各懸濁液を、予め前日から絶食しておいたサル(カニクイザル/雄)に、ゾンデを用いて強制的に胃内へ投与した。懸濁液(薬液)投与後、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および24時間後に橈側皮静脈(とうそくひじょうみゃく)よりヘパリン加シリンジを用いて、血液1mLを採取した。採取した血液を12000rpmで3分間遠心分離して血漿を分取した。
[分析試料の調製・分析]
血漿10μLに内標準物質(本発明化合物に相当する遊離塩基の重水素化体)含有アセトニトリル/エタノール(7/3,v/v)200μLを添加して撹拌した。室温で15000rpmで2分間遠心分離した。上清を超純水で2倍希釈し、LC/MS/MSにて分析した。
【0225】
LC/MS/MSによる分析は、以下の条件で行った。
[LC/MS/MS条件]
測定装置:API−4000(Applied Biosystems社製)
分析カラム:CAPCELL PAK CR18(2.0mm I.D.×50mm、5μm)
流速:0.4mL/分
移動相成分:10mM酢酸アンモニウム/アセトニトリル(0分:55/45,0.50分:55/45,1.01分:10/90,2.00分:10/90,2.01分:55/45,3.99分:55/45)
スキャンタイプ:MRM(多重反応モニタリング;Multiple Reaction Monitoring)
Polarity:Positive
その結果、本発明化合物は対応する遊離塩基に対して薬物動態が優れていた。
【0226】
化合物特性実験3:薬物相互作用に関する実験
超純水319.92μL、4/3mol/Lのリン酸緩衝液(pH7.4)30μL、500mmol/LのEDTA・2Na(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム)0.08μL、および20mg/mLのヒト肝ミクロソーム2μLを混合して、反応混合液を調製した。反応混合液を37℃の水浴で5分間プレインキュベーションした後、1mmol/Lの被験物質調製液を4μL添加して撹拌した。さらに反応混合液を37℃で5分間プレインキュベーションした後、20mmol/LのNADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を40μL添加して撹拌した。反応混合液を37℃で30分間インキュベーション後、15mmol/Lのテストステロン(testosterone)調製液を4μL添加して撹拌した。反応混合液を37℃で5分間インキュベーション後、反応混合液100μLを採取して、内標準物質(d
7−6β−Hydroxytestosterone)含有アセトニトリルに添加して撹拌し、反応を停止した。この方法にて得られた試料が被験物質添加試料である。一方で、上記の方法にて、被験物質の代わりに被験物質の調製媒体であるアセトニトリル/ジメチルスルホキシド(9/1,v/v)のみを添加した条件で得られた試料が対照試料である。それぞれの試料全量を別々にフィルタープレート(MultiScreen(登録商標) Solvinert Filter Plates、0.45μm Low−Binding Hydrophilic PTFE)を用いて、1500rpm、5分間で遠心した。遠心した試料をそれぞれフィルターでろ過し、ろ液を超純水で2倍希釈して分析に供した。LC/MS/MSによる分析は、以下の条件で行った。
[LC/MS/MS条件]
測定装置:API−4000(Applied Biosystems社製);
分析カラム:Shim−pack XR−ODSII、2.2μm、150mm×2mmI.D.
カラム温度:40℃
移動相:0.1%ギ酸/アセトニトリル(50/50)
流速:0.3mL/min
スキャンタイプ:MRM(多重反応モニタリング;Multiple Reaction Monitoring)
Polarity:Positive
[データ解析方法]
被験物質添加試料中のテストステロン代謝物(6β−Hydroxytestosterone)ピーク面積比(テストステロン代謝物のピーク面積/内標準物質のピーク面積)および対照試料中のテストステロン代謝物(6β−Hydroxytestosterone)ピーク面積比(テストステロン代謝物のピーク面積/内標準物質のピーク面積)を用いて、下記の数式1により阻害率(%)を算出した。
【0227】
【数1】
【0228】
その結果、本発明化合物の濃度が10μMであっても、その阻害率はおよそ21〜34%であり、本発明化合物の薬物相互作用が極めて弱いものであることが分かった。それに対して、特許文献2に記載の実施例85−226の阻害率は58%(10μM)であり、その50%阻害濃度(IC
50)は10μM以下となり、薬物相互作用が高い化合物であった。
薬理実験例:
薬理実験例1:ヒトTrkA発現細胞を用いたTrkAキナーゼ阻害活性の測定
細胞系でのTrkAキナーゼに対する阻害活性は、ヒトTrkA、及びNFAT−blaを発現させたCHO−K1細胞(CellSenser
TM TrkA−NFAT−bla CHO−K1細胞、Invitrogen社)を用いて実施した。
アッセイの前日、CellSenser
TM TrkA−NFAT−bla CHO−K1細胞をアッセイ培地(0.5%透析処理済みウシ胎児血清(Invitrogen社)、0.1mM nonessential amino acids(Invitrogen社)、1mM sodium pyruvate(Invitrogen社)、及び抗生物質(100U/mL penicillin、及び100μg/mL streptomycin(Invitrogen社))を含むOpti−MEM1 Reduced Serum Medium(Invitrogen社))に懸濁し、2.4×10
4細胞/40μL/ウェルの密度で、96ウェルクリアボトムプレート(Corning、品番:3882)に播種した。また、一部のウェルにはアッセイ培地のみを40μL/ウェル添加した(セルフリー)。アッセイ当日、96ウェルプレート(Costar社、品番:3363)に10mMの本発明化合物(DMSO溶液)を分注後、DMSOで段階希釈し、3倍公比の希釈系列を調製した。その希釈系列をアッセイ培地で100倍希釈し、10倍濃度の本発明化合物溶液(DMSO濃度1%)を調製した。細胞を播種したプレートに本発明化合物を5μL/ウェル添加し、5%CO
2、95%Air、37℃のCO
2インキュベーター内で30分間インキュベーションした。対照及びブランクは、本発明化合物溶液の代わりに1%DMSOを含むアッセイ培地を5μL/ウェル添加した。その後、プレートにNGF(マウス2.5s、天然型、Invitrogen社)を含むアッセイ培地を5μL/ウェル添加(NGFの終濃度:50ng/ml)し、5%CO
2、95%Air、37℃のCO
2インキュベーター内で5時間インキュベーションした。ブランク群には、NGFの代わりにアッセイ培地を5μL/ウェル添加した。プレートにレポーターアッセイ検出用試薬を10μL/ウェル添加した後、遮光下、室温で120分間、インキュベーションした。なお、レポーターアッセイ検出用試薬はLiveBLAzer
TM−FRET B/G Loading Kit(Invitrogen社)で調製した。Analyst GT(モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を用いて、405nmの励起光を各ウェルに掃射し、460nmおよび530nmの蛍光強度を測定した。各ウェルの時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)比は下記の数式2を用いて算出した。
【0229】
【数2】
【0230】
A
460X:本発明化合物、対照あるいはブランクの460nmの蛍光強度
A
460F:セルフリーの460nmの蛍光強度
A
530X:本発明化合物、対照あるいはブランクの530nmの蛍光強度
A
530F:セルフリーの530nmの蛍光強度
本発明化合物のTR−FRET阻害率(%)は、下記の数式3を用いて算出した。
【0231】
【数3】
【0232】
A
X:本発明化合物添加時のTR−FRET比
A
B:ブランクのTR−FRET比
A
C:対照のTR−FRET比
本発明化合物のIC
50値は、本発明化合物の各濃度における阻害率に基づく阻害曲線から算出した。
【0233】
その結果、本発明化合物のTrkA阻害活性(IC
50値)は<1nMであり、非常に強くTrkAを阻害することが分かった。
【0234】
薬理実験例2:KDRに対する酵素阻害活性試験
本発明化合物をジメチルスルホキシドに溶解して、3μMの試験濃度の100倍濃度の溶液を調製した。その溶液をさらにアッセイバッファー(20mMHEPES, 0.01%TritonX−100, 2mMDTT, pH7.5)にて25倍希釈して本発明化合物の溶液とした。陽性対照物質もこれと同様にして陽性対照物質溶液を調製した。
【0235】
アッセイバッファーにて調製した5μLの4倍濃度本発明化合物の溶液、5μLの4倍濃度基質/ATP/金属溶液(Mg)および10μLの2倍濃度キナーゼ溶液をポリプロピレン製384ウェルプレートのウェル内で混合し、室温にて1時間反応させた。60μLのTermination Buffer(QuickScout Screening Assist MSA; Carna Biosciences)を添加して反応を停止させた。反応溶液中の基質ペプチドとリン酸化ペプチドを分離、定量した。キナーゼ反応は基質ペプチドピーク高さ(S)とリン酸化ペプチドピーク高さ(P)から計算される生成物比(P/(P+S))にて評価した。以下の表17にKDR酵素阻害活性試験に使用した基質、基質濃度、ATP濃度、および陽性対照物質を示した。
【0236】
【表17】
【0237】
全ての反応コンポーネントを含むコントロールウェルの平均シグナルを0%阻害、バックグランドウェル(酵素非添加)の平均シグナルを100%阻害とし、本発明化合物の試験ウェルの平均シグナルから阻害率を計算した。その結果、3μMの濃度における本発明化合物のKDRに対する阻害率は0〜18%であった。
【0238】
この結果から、本発明化合物は、KDRに対する阻害は非常に弱く、TrkA選択的に強く阻害することが分かった。
【0239】
薬理実験例3:ラットNGF惹起血管透過性亢進に対する抑制作用
本発明化合物のin vivoにおけるTrkAに対する阻害活性を評価した。背部を毛剃りした雄性CD(SD)IGSラット(7〜9週齢、日本チャールス・リバー社)に媒体に溶解させた本発明化合物を経口投与した(投与容量:5mL/kg)。対照群および正常群には媒体を経口投与した(投与容量:5mL/kg)。投与12時間または14時間後、ハロタン麻酔下において、0.1%BSA(シグマ−アルドリッチ社)含有生理食塩液を用いて調製した3μg/mLのNGF(マウス2.5s、天然型、Invitrogen社)溶液を、背部の3カ所に皮内投与(投与容量;50μL/site)した。正常群には0.1%BSA含有生理食塩液を、背部の3カ所に皮内投与(投与容量;50μL/site)した。皮内投与直後に生理食塩液で溶解させた1%エバンスブルー(東京化成株式会社)を尾静脈内投与した(投与容量:3mL/kg)。投与10分後、腹部大動脈を切断し、放血致死させた。背部皮膚の皮内投与部位(3カ所)を切り取り、その皮膚サンプルを48ウェルプレート(旭硝子社)の各ウェルに1サンプルずつ移した。プレートにホルムアミドを0.8mL/ウェルずつ加え、蓋をした後、60℃で一晩、インキュベーションした。200μLのホルムアミドの抽出液を96ウェルプレートに移し、ホルムアミド中に抽出されたエバンスブルーの吸光度(波長:620nm)を吸光マイクロプレートリーダー(SpectraMAX190、モレキュラーデバイスジャパン株式会社)を用いて測定した。同時に、ホルムアミドに溶解させたエバンスブルーの標品(0、0.78、1.56、3.13、6.25、12.5、25、および50μg/mL)の吸光度(波長:620nm)を測定し、検量線を作成した。その検量線と各サンプルの吸光度から、各サンプルのエバンスブルー濃度を算出した。同一個体から採取した3カ所の皮膚サンプルのエバンスブルー濃度の平均値を算出し、その個体の値とした。本発明化合物のラットNGF惹起血管透過性亢進抑制率は下記の数式4を用いて算出した。
【0240】
【数4】
【0241】
A
X:本発明化合物のエバンスブルー濃度(同一個体の3サンプルの平均値)
A
N:正常群のエバンスブルー濃度(同一個体の3サンプルの平均値)
A
C:対照群のエバンスブルー濃度(同一個体の3サンプルの平均値)
その結果、本発明化合物(対応する遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))換算で1mg/kgを投与)は、長時間経ても強くラットNGF惹起血管透過性の亢進を抑制することが分かった。例えば、化合物(I)の塩酸塩がおよそ100%抑制率(14時間前投与)、化合物(II)の二(p−トルエンスルホン酸)塩がおよそ78%抑制率(12時間前投与)、および化合物(III)のメタンスルホン酸塩がおよそ97%抑制率(14時間前投与)であった。それに対して、特許文献2に記載の実施例85−90および実施例85−146のラットNGF惹起血管透過性亢進抑制率は、それぞれ54%(1mg/kg;12時間前投与)および26%(1mg/kg;14時間前投与)であった。
【0242】
薬理実験例4:モノヨード酢酸ナトリウム惹起モデルラットに対する鎮痛作用
モノヨード酢酸ナトリウム(以下、MIAと略す。)(Sigma−Aldrich Japan)惹起モデルラットを用いて、本発明化合物の鎮痛作用を評価した。
【0243】
(1)MIA惹起モデルラットの作製
イソフルラン麻酔下にラット右後肢膝周辺を毛剃りし、29G注射針付きの注射筒(BDロードーズ、日本ベクトン・ディッキンソン社)を用いて右後肢関節腔内に120mg/mLのMIA溶液を25μL投与した。正常対照群には生理食塩液を25μL投与した。
【0244】
(2)群構成および群分け
正常対照群、発症対照群、本発明化合物投与群、およびトラマドール投与群またはモルヒネ投与群の群構成で行った。正常対照群以外は上記(1)の方法にて作製されたMIA惹起14日後のモデルラットの右後肢負荷重量比率(測定方法は後述)を測定して、右後肢負荷重量比率が各群で偏りがないように群分けした。
【0245】
(3)本発明化合物、トラマドール、またはモルヒネの投与
本発明化合物をWellsolve(セレステ社)で溶解して、0.1、0.3、または1mg/mL(それぞれ対応する遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))の換算濃度である)溶液に調製した。調製した0.1、0.3、または1mg/mL溶液を蒸留水で5倍希釈し、0.02、0.06、または0.2mg/mL溶液に調製した(Wellsolveの終濃度:20%)。陽性対照薬であるトラマドールを生理食塩液で溶解して、2mg/mL溶液に調製した。または陽性対照薬であるモルヒネを生理食塩液で溶解して、0.6mg/mL溶液に調製した。本発明化合物投与群にはMIA惹起14日〜23日後まで本発明化合物溶液(0.1、0.3、または1mg/kg(それぞれ対応する遊離塩基(化合物(I)、化合物(II)、および化合物(III))の換算濃度である))を1日2回、10日間反復経口投与した。さらに、MIA惹起24日後の右後肢負荷重量比率測定の3時間前に本発明化合物溶液を経口投与し、1時間前に生理食塩液を皮下投与した。トラマドール投与群またはモルヒネ投与群にはMIA惹起14日〜23日後まで20%Wellsolveを1日2回、10日間反復経口投与した。さらに、MIA惹起24日後の右後肢負荷重量比率測定の3時間前に20%Wellsolveを経口投与し、1時間前にトラマドール溶液(10mg/kg)またはモルヒネ溶液(3mg/kg)を皮下投与した。また、正常対照群および発症対照群にはMIA惹起14日〜23日後まで20%Wellsolveを1日2回、10日間反復経口投与した。さらに、MIA惹起24日後の右後肢負荷重量比率測定の3時間前に20%Wellsolveを経口投与し、1時間前に生理食塩液を皮下投与した。
【0246】
(4)右後肢負荷重量比率の測定
Linton Incapacitance Tester(MJS Technology INC.,UK)を用いて左右後肢の負荷重量を測定した。すなわち、ラットをLinton Incapacitance Tester上の専用ケージに移し、左右の後肢が2対の重量測定センサーに別々に乗るように姿勢を正した。ラットの姿勢が左右および前後で偏りがないのを確認後、左および右後肢それぞれの負荷重量を3秒間測定した。負荷重量の測定を1個体当たり3回繰り返した。安定した測定値を得るために、MIA惹起当日から惹起14日後までの間に5日間以上ラットを専用ケージ内に入れて20分以上馴化させた。さらに、負荷重量測定直前にも約10分間馴化させて、負荷重量を測定した。MIA惹起14日後における群分け前、ならびに24日後における正常対照群、発症対照群、本発明化合物投与群(投与3時間後)、トラマドール投与群(投与1時間後)、およびモルヒネ投与群(投与1時間後)における左右後肢負荷重量を測定した。左右後肢負荷重量の平均値を基に下記の数式5から両後肢の負荷重量における右後肢の負荷重量比率を算出した。測定を盲検下で実施した。MIA惹起24日後の各群の右後肢負荷重量比率を基に下記の数式6から本発明化合物の改善率を算出して、本発明化合物の鎮痛作用を評価した。
【0247】
【数5】
【0248】
A
R:右後肢の負荷重量(同一個体を3回測定した値の平均値)
A
L:左後肢の負荷重量(同一個体を3回測定した値の平均値)
【0249】
【数6】
【0250】
B
C:正常対照群の平均値
B
N:発症対照群の平均値
B
T:本発明化合物投与群の平均値
その結果、本発明化合物の改善率は、鎮痛薬として汎用されているトラマドール(改善率:43%)およびモルヒネ(改善率:54%)と同等以上の改善率であった。例えば、化合物(I)の塩酸塩がおよそ54%(陽性対照薬:モルヒネ)、化合物(II)の二(p−トルエンスルホン酸)塩がおよそ53%(陽性対照薬:モルヒネ)、および化合物(III)のメタンスルホン酸塩がおよそ61%(陽性対照薬:トラマドール)であった。したがって、本発明化合物の鎮痛作用はトラマドールおよびモルヒネと同等以上の鎮痛作用を有することが分かった。
【0251】
薬理実験例5:ヒト大腸癌細胞株KM12に対する抗腫瘍効果
ヒト大腸癌細胞株であるKM12(ATCC社、品番:RBC0805)を用いて、本発明化合物の抗腫瘍効果を評価した。KM12は、10vol%の非働化済ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum;FBS)および1vol%のPenicillin−Streptomycin liquid(Life technologies社)を含むDMEM(Life technologies社、品番:11965)に播種され、継代培養された。本発明化合物処置の前日に、0.25%Trypsin−EDTAを用いてKM12を浮遊させ、ディッシュより遠心チューブにKM12を回収した。室温にて180gで3分間KM12を遠心分離した後、その細胞沈渣を10mLのDMEM培地にて懸濁した。KM12懸濁液の一部を採取して、その細胞数を計測した後、5×10
4細胞/mLの細胞密度でKM12をDMEM培地にて懸濁し、その細胞懸濁液を調製した。96ウェル組織培養用プレート(旭ガラス)に、KM12懸濁液を100μL/wellで播種し、37℃、5%CO
2、および95%Air条件下で16時間静置した。本発明化合物処置の当日に、10mmol/Lの本発明化合物(DMSO溶液)をDMSOで段階希釈して、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、および100μmol/Lの本発明化合物溶液を調製した。さらに、これらのDMSO溶液を培地で100倍希釈することにより、0.3、1、3、10、30、100、300、および1000nmol/Lの本発明化合物含有培地を調製した。KM12を16時間静置培養した96ウェル組織培養用プレート内の培地をデカントにより除去した後に、各ウェルにDMEM培地および上記で調製した本発明化合物含有培地をそれぞれ、90および10μL/wellずつ添加した(本発明化合物終濃度はそれぞれ、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、および100nmol/Lとなった)。その後、37℃、5%CO
2、および95%Air条件下で72時間静置培養した。静置培養完了後、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assayキット(Promega社、G7571)を用いて、各ウェルの発光シグナル(相対発光単位、RLU)をマイクロプレートリーダーで測定した。媒体群(本発明化合物濃度がゼロ(0)のDMSO溶液を処置した群)の3ウェル分のRLUの平均値を算出し、下記の数式7で各ウェルにおけるKM12増殖率を算出した。
【0252】
【数7】
【0253】
次に、本発明化合物処置群について、各ウェルにおけるKM12増殖率から下記の数式8で各ウェルにおけるKM12増殖抑制率を算出した。
【0254】
【数8】
【0255】
その結果、本発明化合物は強くKM12の増殖を抑制することが分かった。
[製剤例]
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後、打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩 …… 100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) …… 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) …… 10g
・微結晶セルロース …… 870g
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・1−{2−[4−(2−アミノ−5−クロロ−3−ピリジニル)フェノキシ]−5−ピリミジニル}−3−[2−(メチルスルホニル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア 塩酸塩 …… 200g
・マンニトール …… 20g
・蒸留水 …… 50L