(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979356
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/28 20060101AFI20160817BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20160817BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20160817BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
H01Q21/28
H01Q1/38
H01Q9/16
H01Q9/30
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-135037(P2012-135037)
(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-258649(P2013-258649A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107559
【弁理士】
【氏名又は名称】星宮 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100166257
【弁理士】
【氏名又は名称】城澤 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(72)【発明者】
【氏名】原 康之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 謙二
(72)【発明者】
【氏名】柴田 哲也
【審査官】
緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−102862(JP,A)
【文献】
特開2009−135822(JP,A)
【文献】
特開2011−055258(JP,A)
【文献】
特開2005−045407(JP,A)
【文献】
特開2001−251117(JP,A)
【文献】
特開2006−121189(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/149471(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0207092(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0287731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00 − 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド領域を有する基板と、第1、第2および第3の導体とを有し、
前記第2の導体は、一端が第1の給電点を介して前記グランド領域へと接続され、他端が前記第1の導体へと接続され、
前記第3の導体は、任意の位置に第2の給電点を直列に含み、少なくとも一部が前記第1の導体と対向し、両端が前記グランド領域へ接続され、
前記第1の給電点は、前記第1および第2の導体を放射導体とするモノポールアンテナに対する給電点として動作し、
前記第2の給電点は、前記第1の導体を放射導体とするダイポールアンテナに対する給電点として動作し、前記第1の導体に対し離間した状態で給電することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の導体及び前記グランド領域は、前記基板の主面に垂直に定めた仮想平面に対しそれぞれ面対称となる形状を有し、前記第1の導体と前記第2の導体との接続点は、前記仮想平面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第3の導体の両端部は、前記仮想平面を挟むように位置していることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第3の導体は前記仮想平面に対し略面対称な形状を有していることを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第2の給電点は前記仮想平面上に位置していることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記グランド領域は、前記仮想平面との交線を跨ぐように切欠き部を有し、前記第3の導体は前記切欠き部を跨ぐように位置していることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1乃至第3の導体の少なくとも何れかの一部は、誘電体または/及び磁性体からなる基体の表面または/及び内部に形成されていることを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やPDA(Personal Data Assistance)等の無線通信装置に搭載されるアンテナ装置は、搭載される通信システムの増加に伴いその数が増加している。そのため、一つのアンテナ素子で複数の通信システムに対応したりする等の進化を遂げている。また、近年の無線装置はGPS(Global Positioning System)、Bluetooth(登録商標)又はLTE(Long Term Evolution)等の複数の通信システムに同時に対応することも必要とされる。こういった要求を満たすアンテナ装置として例えば、特許文献1のアンテナ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際出願公開WO2007/055232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように無線通信装置が複数の通信システムを有する場合、各通信システムに対応するアンテナ装置間は電気信号の相互干渉が無いことが必要である。
【0005】
特に、周波数帯が同一又は周波数帯が近接した通信システムに対応した複数のアンテナ装置を同一の無線通信装置に搭載すると、一方の通信システムのアンテナ装置から放射された電波は他方の通信システムのアンテナ装置により受信されることがある。その結果、空間への電波の放射が減少することに加え、他方の通信システムを妨害するおそれもあった。そこで、各アンテナ装置の電気信号が互いに干渉しないように、それぞれのアンテナ装置、より具体的にはそれぞれ複数の給電点の間でアイソレーションが得られ、相関値が低いことが必要である。
【0006】
特許文献1では、単一の放射導体に対して複数の給電点を設け、複数の給電点の間でアイソレーションを向上させたアンテナ装置が開示されている。しかしながら、複数の給電点は互いに導体で直結され、少なからず給電点の間で信号の漏れがあり十分なアイソレーションが得られないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、給電点間のアイソレーションが確保されたアンテナ装置の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し目的を達成するために本発明のアンテナ装置は、グランド領域を有する基板と、第1、第2および第3の導体とを有し、前記第2の導体は、一端が第1の給電点を介して前記グランド領域へと接続され、他端が前記第1の導体へと接続され、前記第3の導体は任意の位置に第2の給電点を直列に含み、少なくとも一部が前記第1の導体と対向し、両端が前記グランド領域へ接続されていることを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、前記第1の給電点と前記第1の導体とは前記第2の導体により接続され、前記第2の給電点と前記第1の導体とは導体により接続されることなく、第1の導体と第3の導体とが対向する箇所にて磁界結合により非接触の状態で給電が行われる。そのため第1給電点と第2の給電点の間には導体を経由した信号の伝達経路が存在しないため、導体を経由した電気信号の相互干渉が小さくなる。
【0010】
さらに第1の給電点は第1の導体、第2の導体を放射導体とするモノポールアンテナに対する給電点として動作し、第2の給電点は第1の導体を放射導体とするダイポールアンテナに対する給電点として動作するため、共振の向きが異なることから、グランド領域を経由した電気信号の相互干渉も抑えられ、2つの給電点の間でアイソレーションが向上する。
【0011】
なお上記の、「第3の導体は任意の位置に第2の給電点を直列に含み」とは第3の導体が端部を含む任意の点で分断され第2の給電点により接続された状態を示しており、第2の給電点は第3の導体の中央部に存在しても良いし、第3の導体の一方の端部とグランド領域との間に存在しても良い。
【0012】
更に本発明は、前記第1の導体及び前記グランド領域が、前記基板の主面に垂直に定めた仮想平面に対しそれぞれ面対称となる形状を有し、前記第1の導体と前記第2の導体との接続点は、前記仮想平面上に位置している。
【0013】
こうすることで前記第1の導体と前記グランド領域は前記仮想平面に対し面対称な形状となり、第2の給電点より励振され第1の導体に発生する定在波は仮想平面を中心に対称に分布し、第1の導体と仮想平面との交点の近傍は電位変化の生じない仮想接地に近い状態となる。そのため前記第1の導体と前記第2の導体との接続点を前記仮想平面上に設けることで、第2の給電点より磁界結合を経由して第1の給電点に流れ込む信号成分を減少させる。そのため給電点間のアイソレーションがより向上する。
【0014】
このとき、前記第1の給電点を前記仮想平面と前記グランド領域との交線上に配置し、前記第2の導体を仮想平面上に構成することで、電気的な対称性がさらに向上し、より給電点間のアイソレーションが向上する。
【0015】
なお、第1の導体と第2の導体との接続点に電界定在波分布の節が形成されることが重要であり、たとえ第1の導体及び/又はグランド領域の形状が前記仮想平面に対して正確に対称でなくても前記接続点に電界定在波分布の節が形成されるように、電気的な対称性が保たれていれば、同等の効果を得られる。
【0016】
更に本発明は、前記第3の導体の両端部が前記仮想平面を挟むように位置している。
【0017】
前記第1の給電点より入力された電流信号は前記第2の導体を経由し前記第1の導体へと伝達される。伝達された電流信号は第1の導体と前記第2の導体の接続点を基点として逆向きに流れるため、第1の導体の近傍には第2の導体との接続点を基点として逆向きの磁界が発生する。前記第3の導体の両端部を前記仮想平面を挟む位置に設けることで、逆向きに発生した磁界の両方と結合し、打ち消しあう。そのため、第1の給電点より磁界結合を経由して第2の給電点に流れ込む信号成分が減少し、給電点間のアイソレーションがより一層向上する。
【0018】
更に本発明は、前記第3の導体が前記仮想平面に対し略面対称な形状を有している。
【0019】
こうすることで前記第1の導体と前記第3の導体とが対向し、磁界結合が生じる領域が前記仮想平面に対して対称に形成されるため、逆向きに発生した双方の磁界とそれぞれ均等に結合し、大部分が打ち消しあう。そのため前記第1の給電点より磁界結合を経由して前記第2の給電点に流れ込む信号成分がさらに減少し、さらに給電点間のアイソレーションが向上する。
【0020】
このとき、第3の導体の電気長は給電点に入力する信号周波数の波長λよりも十分短いとなお望ましい。そうすることで第3の導体に発生する電流分布がほぼ一様となるため、前記仮想平面をはさむ両側における磁界結合の対称性が更に向上し、より確実にアイソレーションが向上する。そのため少なくとも、第3の導体の電気長は位相の反転しない1/4λ以下の長さとなるように構成することが望ましい。
【0021】
更に本発明は、前記第2の給電点が前記仮想平面上に位置している。
【0022】
このように構成することで、給電点を含むアンテナ構造全体が前記仮想平面に対し対称構造となり、前記と同様の理由により、第1の給電点より磁界結合を経由して第2の給電点に流れ込む信号成分がほぼ完全に打ち消しあい、給電点間のアイソレーションが更に向上する。
【0023】
更に本発明は、前記グランド領域が前記仮想平面との交線を跨ぐように切欠き部を有し、前記第3の導体が前記切欠き部を跨ぐように位置している。
【0024】
この様に構成することで、前記第3の導体の近傍に発生する磁束がグランド領域によって妨げられる影響が低減され、前記第1の導体と前記第3の導体との磁界結合が更に強くなる。また、切欠き部の深さを調整することで、結合の強さを調整でき、前記第2の給電点での周波数帯域幅の調整が可能となる。更に切欠き部を設けることで、グランド領域も放射導体と同様に強く励振され、第2の給電点から入力した際のアンテナ放射効率が改善する効果がある。
【0025】
なお、切欠き部は磁束を妨げないように形成されていればグランド領域の縁端部に形成されても良いし、グランド領域の内部に形成されても良い。
【0026】
更に本発明は、前記第1乃至第3の導体の少なくとも何れかの一部が、誘電体または/及び磁性体からなる基体の表面または/及び内部に形成されている。
【0027】
この様に構成することにより第1の導体の設置位置を基板から離間させて構成することが容易になるほか、両先端部を折り返して長い導体を設置することも容易になり、低い周波数への対応、アンテナ放射効率の改善、小型化への対応が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、給電点間のアイソレーションが向上したアンテナ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るアンテナ装置の給電部分詳細を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るアンテナ装置を示す上面図である。
【
図4】
図4は、実施形態2に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態3に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態3に係るアンテナ装置の底面側から見た給電部詳細を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態3に係るアンテナ装置を示す上面図である。
【
図8】
図8は、実施形態4に係るアンテナ装置の底面側から見た給電部分詳細を示す斜視図である。
【
図9】
図9は実施形態4に係るアンテナ装置のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0031】
また、以下の本発明の説明について、給電点は便宜上回路基板の辺上または基板から離間した位置に有るかの如く述べているが、実際には回路基板上の無線回路より給電され、前記辺上まで何らかの手段により伝送されていることは言うまでもない。
【0032】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るアンテナ装置を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係るアンテナ装置の給電部詳細を示す斜視図である。
図3は、実施形態1に係るアンテナ装置を示す上面図である。基板101の外形寸法は60mm×50mmであり、厚みは1mmである。
図1、2、3に示すようにグランド領域201を有する基板と、第1の導体1、第2の導体2、及び第3の導体3とを有し、前記第2の導体2は、一端が第1の給電点11を介して前記グランド領域201へと接続され、他端が前記第1の導体1へと接続され、前記第3の導体3は任意の位置に第2の給電点12を直列に含み、少なくとも一部が前記第1の導体1と対向し、両端が前記グランド領域201へ接続されている。
【0033】
このように構成することで、前記第1の給電点11と前記第1の導体1とは前記第2の導体2により接続され、前記第2の給電点12と前記第1の導体1とは導体により接続されることなく、第1の導体と第3の導体とが対向する箇所にて磁界結合により非接触の状態で給電が行われる。そのため第1の給電点11と第2の給電点12との間には導体を経由した信号の伝達経路は存在しないため信号の相互干渉が抑えられる。
【0034】
さらに第1の給電点11は第1の導体1、第2の導体2を放射導体とするモノポールアンテナに対する給電点として動作し、第2の給電点12は第1の導体1を放射導体とするダイポールアンテナに対する給電点として動作するため、それぞれの給電点より励振した際の共振の向きが異なるためグランド領域201を経由した信号の相互干渉も抑えられる。これらの効果により給電点間の相互干渉が抑制されアイソレーションが向上する。
【0035】
更に本実施形態では
図1、2、3に示すように前記第1の導体1及び前記グランド領域201は、前記基板101の主面に垂直に定めた仮想平面10に対しそれぞれ面対称となる形状を有し、前記第1の導体1と前記第2の導体2との接続点は、前記仮想平面10上に位置している。
【0036】
このように構成することで前記第1の導体1は前記仮想平面10に対し対称な形状となり、第2の給電点12より励振され第1の導体1に発生する定在波は仮想平面10を中心に対称に分布し、第1の導体1と仮想平面10との交点の近傍は電位変化の生じない仮想接地に近い状態となる。そのため、前記第1の導体1と前記第2の導体2との接続点を前記仮想平面10と前記第1の導体1との交点に設けることで、第2の給電点12より磁界結合を経由して第1の給電点11に流れ込む信号成分を減少させる。そのためアイソレーションが一層向上する。
【0037】
更に本実施形態では、前記第2の給電点12は前記グランド領域201と前記仮想平面10との交線上に位置し、前記第2の導体2は前記仮想平面10上に位置している。このように構成することで、第2の給電点12より励振され第1の導体1に発生する定在波の分布に対し前記第2の導体2が与える影響が低減され、より確実にアイソレーションを向上させることができる。
【0038】
更に本実施形態では
図1、2、3に示すように前記第3の導体の両端部は、前記仮想平面を挟むように位置し、前記仮想平面に対し略面対称な形状を有している。
【0039】
第1の給電点11より入力された電流信号は第2の導体2を経由し第1の導体1へと伝達される。伝達された電流信号は第1の導体1と第2の導体2の接続点を基点として第1の導体上を逆向きに流れるため、第1の導体の近傍には第2の導体との接続点を基点として逆向きの磁界が発生する。前記第3の導体3を前記仮想平面10を挟む両側でグランド領域201へ接続し、更に前記第3の導体を前記仮想平面に対し略面対称な形状で構成することで、磁界結合の生じる領域が仮想平面10を挟み対称となり、逆向きに発生した磁界の両方とそれぞれ均等に結合し、大部分が打ち消しあう。そのため第1の給電点11より磁界結合を経由して第2の給電点12に流れ込む信号成分が減少する。そのためアイソレーションがより一層向上する。
【0040】
また本実施形態では、前記第1の給電点11、前記第1の導体1、前記第2の導体2を前記基板101の一方の主面に構成し、前記第2の給電点12、前記第3の導体3を他方の主面に構成している。
【0041】
本実施形態のように基板の異なる2層のパターンを用いて第1、第2、第3の導体を構成すれば、前記導体を構成するための部品を別途用意する必要が無いため、装置の構成の簡素化を図ることも可能となる。
【0042】
このように、実施形態1のアンテナ装置であれば、第1の給電点11は第1の導体1及び第2の導体2を放射導体とするモノポールアンテナに対する給電点として動作するため、定在波の向きは給電点が配置されたグランド領域201の1辺に対して垂直である。また、第2の給電点12は第1の導体1を放射導体とするダイポールアンテナに対する給電点として動作するため、定在波の向きは前記1辺に対して平行である。したがって共振の向きは直交するため、相関値が低くなる。
【0043】
また共振の向きが異なることから2つの給電点間において、グランド領域201を経由した信号の干渉が抑えられる。更に第2の給電点12は、放射導体である第1の導体1に対し離間した状態で給電するため、第1の給電点11と第2の給電点12とは直接導体で接続される事はなく、導体を経由した信号の干渉が抑えられる。これらの理由によりアイソレーションが向上したアンテナ装置として使用することができる。
【0044】
なお、ここで言う「相関値が低い」状態とは、それぞれの給電点から励振した際にそれぞれが異なる偏波面を有している状態を示している。相関値を評価する際には相関係数が用いられ、偏波面が同一であると相関係数は1に近づき、直交していると0に近づく傾向を有する。
【0045】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係わるアンテナ装置を示す斜視図である。実施形態2は実施形態1に対し、グランド領域202は、前記仮想平面10との交線を跨ぐように切欠き部5を有し、前記第3の導体3は前記切欠き部5を跨ぐように位置している点で異なる。
【0046】
この様に構成することで、第3の導体3の近傍に発生する磁束がグランド領域202によって妨げられる影響が低減し、第1の導体1と第3の導体3との磁界結合が更に強くなる。また、切欠き部5の深さを調整することで、結合の強さを調整でき、第2の給電点12の周波数帯域幅の調整が可能となる。更に切欠き部5を設けることで、グランド領域202も放射導体と同様に強く励振され、アンテナ放射効率が改善する効果がある。
【0047】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係わるアンテナ装置を示す斜視図である。
図6は、実施形態3に係るアンテナ装置の給電部詳細を示す斜視図である。
図7は、実施形態3に関わるアンテナ装置を示す上面図である。基板103の外形寸法は110mm×60mm、厚みは1mm、基板103上に配置された基体130の外形寸法は60mm×18.5mm×5mmである。
【0048】
実施形態3では、実施形態2に於いては第1の導体1、第2の導体2及び第3の導体3が全て基板101上に形成されていたのに対し、第1の導体1、第2の導体2及び第3の導体3のいずれかの一部、または全てが別途用意された誘電体の基体130の表面に形成されている点で異なる。
【0049】
本実施形態では第1の導体1の全てと第2の導体2の一部が基体130の表面に形成されている。基体130は略直方体で給電部の近くには更に小さな直方体が付加されているが、設計次第でこれはなくても良い。基体130は安価で比較的低誘電率のポリカーボネートにより形成され、内部がくり抜かれていることにより更に実質的な誘電率を低下させている。
【0050】
前記基体130の材質はセラミック、樹脂を問わないし、磁性体であってもよい。所望する特性に合わせて実効的な比誘電率或いは比透磁率を適宜設定する。異なる材料特性の部材が組み合わされていても良い。低い誘電率が必要であれば基体内部がくり抜かれていても良いし、また、導体を内部に含む積層体であれば層間に跨るコイル等の長くて複雑なパターンも作りやすい。
【0051】
この様に基体130を用いることにより、先ず第1の導体1をグランド領域203から離間して配置することが容易になる。更に第1の導体1を長く、複雑なパターンにすることが容易になる。このため回路基板上に占めるアンテナ装置の領域面積を小さくすることが可能となる。或いはアンテナの特性に於いて同形状で動作周波数を低く、周波数帯域幅を広く、放射効率を改善することが出来る。
【0052】
また、本実施形態においては第2の給電点12は一端が第3の導体3の端部に設けられ、他端がグランド領域203と直接接続されている。第2の給電点12をこのように設けることで第1の給電点11と同様に不平衡入出力として取り扱うことが可能となる。通常の無線回路は不平衡入出力を有するので、こうすることで無線装置の設計や製造が容易になる。
【0053】
(実施形態4)
図8は、実施形態4に係るアンテナ装置の給電部詳細を示す斜視図である。実施形態3に於いては第2の給電点12は第3の導体3の端部とグランド領域203との間に配置されていたのに対し、本実施形態では前記第2の給電点12は前記第3の導体3と前記仮想平面10との交点において第3の導体3に直列に含まれる点で異なる。
【0054】
このように構成することで、給電点を含むアンテナ構造全体が前記仮想平面10に対し対称構造となり、上記と同様の理由により、第1の給電点11より磁界結合を経由して第2の給電点12に流れ込む信号成分がキャンセルされ、アイソレーション特性の更なる改善がなされる。
【0055】
実施形態4の構成でシミュレーションを行った結果を
図9に示す。
図9の電気特性はそれぞれの給電点の直前で50オームに整合させた状態で得られたシミュレーション結果である。シミュレーションはAnsys社のHFSSバージョン14にて行った。図中の21は第1の給電点11から見たリターンロス特性、22は第2の給電点12から見たリターンロス特性、23は第1の給電点11及び第2の給電点12の間のアイソレーション特性である。また、シミュレーションによる放射パターンの相関係数の計算値は0.0012であった。本実施形態の構成とすることでアイソレーションの大幅な向上、十分に低い相関値が得られることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に関わるアンテナ装置は、複数のアンテナ装置を同一の無線通信装置に搭載する場合に好適である。
【符号の説明】
【0057】
1 第1の導体
2 第2の導体
3 第3の導体
5 切欠き部
10 仮想平面
11 第1の給電点
12 第2の給電点
21 第1の給電点から見たリターンロス特性
22 第2の給電点から見たリターンロス特性
23 第1の給電点と第2の給電点とのアイソレーション特性
101、102、103 基板
130 基体
201、202、203 グランド領域