【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、抜き取りサンプル検査の結果汚染なしと判断された瓦礫であっても、現状ではその受け入れに慎重となる地域も多く、全量検査でないことに危惧を抱く意見もあり、広域処理の拡大を困難としている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、瓦礫の放射能汚染の有無に基づく選別を効率的に行ない、瓦礫の選別の信頼性をより高めることにある。そして、広域処理に供される瓦礫の量を増大させることで、被災地復興に貢献する技術を提供することにある。
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)瓦礫を連続的に運搬する運搬手段と、瓦礫を破砕して生じる破砕片から選別された所定サイズ以下の破砕片を、前記運搬手段に対し連続供給する供給手段と、前記運搬手段上を流れる破砕片の層厚を調整する層厚調整手段と、前記運搬手段上を一方向に流れる破砕片の放射能を連続的に測定する放射能測定手段と、前記運搬手段の端部に配置され、前記放射能測定手段によって所定値以上の放射能が検出された破砕片を分別する分別手段とを含む瓦礫選別システム(請求項1)。
【0007】
瓦礫には、コンクリート、倒壊家屋、家具、畳、じゅうたん、布団、マットレス、衣類、家電製品、書籍などの一般ゴミ、草木類、津波堆積物といった、様々な大きさ、材質の物が混在している。そこで、瓦礫を以後の処理工程に適した大きさへと破砕し、破砕片のサイズや、必要に応じて材質毎に、破砕片の選別を行なったものを、放射能測定対象とするものである。又、以後の処理工程に適さない所望の大きさを超える瓦礫については、再度、破砕手段に投入する。必要に応じ、以後の処理工程に適さない材質の瓦礫については、以後の工程に回すことなく保管する。なお、ここで用いられる破砕手段としては、例えば、ジョー・クラッシャ、或いは、インパクト・クラッシャ(衝撃式破砕装置と称することもある)等が用いられる。
そして、本項に記載の瓦礫選別システムでは、上述のごとく選別された破砕片を供給手段によって運搬手段に連続供給し、運搬手段によって、間欠的にではなく連続的に破砕片を運搬する。そして、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を層厚調整手段によって連続的に調整した後、放射能測定手段によって、運搬手段上を一方向に流れる破砕片の放射能を連続的に測定することで、放射能の測定精度を高精度かつ安定化させ、瓦礫の全量検査を可能とするものである。その後、運搬手段の端部に配置された分別手段により、放射能測定手段で所定値以上の放射能が検出された破砕片以外の破砕片を、広域処理用の瓦礫として分別するものである。
【0008】
(2)上記(1)項において、瓦礫を破砕する破砕手段と、該破砕手段にて破砕された瓦礫を、少なくとも破砕片のサイズに応じて選別する瓦礫選別手段とを含む瓦礫選別システム。
前述のごとく、瓦礫には、様々な大きさ、材質の物が混在している。そこで、本項に記載の瓦礫選別システムは、瓦礫を採取して破砕手段に投入することで、これらを以後の処理工程に適した大きさへと破砕する。そして、瓦礫選別手段において、破砕片のサイズや、必要に応じて材質毎に選別を行ない、供給手段へと投入するものである。
【0009】
(3)上記(1)(2)項において、前記運搬手段としてベルトコンベヤを備え、前記層厚調整手段は、前記運搬手段上に配置された押さえローラと、前記運搬手段の前記押さえローラよりも下流側に位置する破砕片の層厚センサと、前記押さえローラの昇降手段とを含むことを特徴とする瓦礫選別システム(請求項2)。
本項に記載の瓦礫選別システムは、層厚調整手段において、運搬手段であるベルトコンベヤ上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するために、運搬手段上に配置された押さえローラを昇降手段によって昇降させて、破砕片の層厚を調整するものである。押さえローラは運搬手段の幅と同等又はそれよりも長い円筒状をなし、その回転軸が昇降手段に軸支されて、運搬手段に対して任意の高さに調整される。そして、運搬手段上を流れる破砕片の流れを受け、適宜回転しながら押さえローラよりも上方の部分を堰き止めつつ運搬手段に押し付けることで、破砕片を均すものである。なお、ここで調整される破砕片の層厚は、放射能測定手段にて放射能測定を行なうに適したものである。又、破砕片の層厚を、運搬手段の押さえローラよりも下流側に位置する破砕片の層厚センサによって適宜検知し、常に最適の層厚が得られるように、昇降手段によって押さえローラの高さ調整にフィードバックすることで、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するものである。
【0010】
(4)上記(1)(2)項において、前記運搬手段としてベルトコンベヤを備え、前記層厚調整手段は、前記運搬手段上に配置されたスクレーパと、該スクレーパの下流に位置する破砕片の層厚センサと、前記スクレーパの昇降手段とを含むことを特徴とする瓦礫選別システム。
本項に記載の瓦礫選別システムは、層厚調整手段において、運搬手段であるベルトコンベヤ上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するために、運搬手段上に配置されたスクレーパを昇降手段によって昇降させて、破砕片の層厚を調整するものである。スクレーパは運搬手段の幅と同等又はそれよりも幅広の板状をなし、昇降手段によって昇降自在に支持されて、運搬手段に対して任意の高さに調整される。そして、運搬手段上を流れる破砕片のうち、スクレーパの下端辺よりも上方の部分を堰き止めて、上流方向へと削り落とすことで、スクレーパを通過する破砕片を均すものである。なお、ここで調整される破砕片の層厚は、放射能測定手段にて放射能測定を行なうに適したものである。又、破砕片の層厚を、運搬手段のスクレーパよりも下流側に位置する破砕片の層厚センサによって適宜検知し、常に最適の層厚が得られるように、昇降手段によってスクレーパの高さ調整にフィードバックすることで、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するものである。
【0011】
(5)上記(1)から(4)項において、前記分別手段は、破砕片を搬出手段へと積み込む積み込み手段を備え、該積み込み手段に、前記放射能測定手段により所定値以上の放射能が検出された破砕片を分別するダンパーを備える瓦礫選別システム(請求項3)。
本項に記載の瓦礫選別システムは、運搬手段の端部に配置された分別手段に、破砕片をトラック等の搬出手段へと積み込む、積み込み手段を備えることで、広域処理対象となる瓦礫の搬送作業を、分別後直ちに行なうことを可能とするものである。しかも、この積み込み手段に設けられたダンパーで、放射能測定手段により所定値以上の放射能が検出された破砕片を分別するものである。そして、放射能測定手段で所定値以上の放射能が検出された破砕片以外の破砕片を、広域処理用の瓦礫として分別して、搬出手段へと積み込むものである。
なお、搬出手段がトラックである場合には、積載量の上限に達した時点でトラックの交換が必要となることから、積み込み手段から搬出手段への破砕片の積み込み作業が間欠的となる。このため、運搬手段および運搬手段に選別された破砕片を連続供給する供給手段の動作も、搬出手段による破砕片の積み込み作業と同期するように、間欠動作させるものとする。
【0012】
(6)上記(1)から(5)項において、前記各手段が移動可能に構成され
ている瓦礫選別システム(請求項4)。
本項に記載の瓦礫選別システムは、上記(1)から(5)項記載の各手段が移動可能に構成されることで、瓦礫発生地にて各手段を稼動させて、所定値以上の放射能が検出された破砕片と、それ以外の破砕片とを分別するものである。又、上記(1)から(5)項記載の各手段が移動可能となるように、例えば、各手段をトレーラの荷台に搭載し、あるいは、各手段を搭載する特殊車両を構成するものである。これらのトレーラや特殊車両には、各手段の大きさに応じて、各々別々に載置され、又は、一台の車両に複数種類(或いは全て)が載置され、瓦礫の発生地にて、上記所定の作業工程が円滑に実施されるように配置されるものである。しかも、本システムを瓦礫発生地にて展開する際に、外部電源を確保することなく、各手段の運転を可能とするものである。
【0013】
(7)瓦礫の破砕工程と、該破砕工程にて破砕された瓦礫を、少なくとも破砕片のサイズに応じて選別する瓦礫選別工程と、該選別した破砕片を運搬手段に連続供給し、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を調整する層厚調整工程と、該層厚調整工程の後に、破砕片の放射能を連続的に測定する放射能測定工程と、所定値以上の放射能が測定された破砕片を分別する分別工程とを含む瓦礫選別方法(請求項5)。
本項に記載の瓦礫選別方法は、採取した瓦礫を、破砕工程にて以後の処理工程に適した大きさへと破砕する。そして、瓦礫選別工程において、破砕片のサイズや、必要に応じて材質毎に選別を行なう。ここで、以後の処理工程に適さない所望の大きさを超える瓦礫については、再度、破砕工程に投入する。又、必要に応じ、以後の処理工程に適さない材質の瓦礫については、以後の工程に回すことなく保管する。なお、ここで用いられる破砕手段としては、ジョー・クラッシャ等が用いられる。
【0014】
続いて、選別された破砕片を運搬手段に連続供給し、運搬手段によって連続的に運搬する。そして、層厚調整工程にて運搬手段上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整した後、放射能測定工程において、運搬手段上を一方向に流れる破砕片の放射能を連続的に測定することで、放射能の測定精度を高精度かつ安定化させ、瓦礫の全量検査を可能とするものである。
その後、分別工程において、放射能測定工程にて所定値以上の放射能が検出された破砕片以外の破砕片を、広域処理用の瓦礫として分別するものである。
【0015】
(8)上記(7)項において、前記層厚調整工程では、前記運搬手段としてのベルトコンベヤ上に配置された押さえローラにより、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を所定の厚みに押さえつけ、該押さえローラの下流位置にて破砕片の層厚を検知して、前記押さえローラの高さを調整する瓦礫選別方法(請求項6)。
本項に記載の瓦礫選別方法は、層厚調整工程において、運搬手段としてのベルトコンベヤ上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するために、運搬手段上に配置された押さえローラを昇降させて、破砕片の層厚を調整するものである。押さえローラは運搬手段の幅と同等又はそれよりも長い円筒状をなし、その回転軸が昇降手段に軸支されて、運搬手段に対して任意の高さに調整される。そして、運搬手段上を流れる破砕片の流れを受け、適宜回転しながら破砕片を均すものである。なお、ここで調整される破砕片の層厚は、放射能測定手段にて放射能測定を行なうに適したものである。又、破砕片の層厚を、押さえローラの下流位置にて適宜検知し、常に最適の層厚が得られるように、押さえローラの高さ調整にフィードバックすることで、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するものである。
【0016】
(9)上記(7)項において、前記層厚調整工程では、前記運搬手段としてのベルトコンベヤ上に配置されたスクレーパにより、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を所定の厚みに切り取り、該スクレーパの下流位置にて破砕片の層厚を検知して、前記スクレーパの高さを調整することを特徴とする瓦礫選別方法。
本項に記載の瓦礫選別方法は、層厚調整工程において、運搬手段としてのベルトコンベヤ上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するために、運搬手段上に配置されたスクレーパを昇降させて、破砕片の層厚を調整するものである。スクレーパは運搬手段の幅と同等又はそれよりも幅広の板状をなし、昇降手段によって昇降自在に支持されて、運搬手段に対して任意の高さに調整される。そして、運搬手段上を流れる破砕片のうち、スクレーパの下端辺よりも上方の部分を堰き止めて、上流方向へと削り落とすことで、スクレーパを通過する破砕片を均すものである。なお、ここで調整される破砕片の層厚は、放射能測定手段にて放射能測定を行なうに適したものである。又、破砕片の層厚を、スクレーパの下流に位置する層厚センサによって適宜検知し、常に最適の層厚が得られるように、昇降手段によってスクレーパの高さ調整にフィードバックすることで、運搬手段上を流れる破砕片の層厚を連続的に調整するものである。