【文献】
辻本浩章、津嵜陽亮,”磁気抵抗効果型磁性薄膜電力センサ”,電気学会研究資料,日本,社団法人電気学会,2011年11月24日,MAG−11,p.27−32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調整部による位相調整量がゼロであるときの前記電圧検出部からの出力電圧に基づいて、有効電力を算出する制御装置を備える、請求項1または2に記載の電力測定装置。
【背景技術】
【0002】
交流では電圧と電流に位相差があるため、これに起因する無効電力が発生する。誘導電動機の消費電力である有効電力の計測や省エネ取組みだけでなく、エネルギー有効活用徹底の視点から、無効電力や皮相電力や力率等の計測による、電力の可視化が重要になってきている。
【0003】
誘導電動機における消費電力は、入力電圧、入力電流、周波数により、また負荷の大きさにより、大きく変動する。従来は電流、電圧、電流−電圧の位相差(θ)を個別に計測した後、電圧×電流×力率(cosθ)を演算によって算出していた。
【0004】
消費電力を計測するために、電流を計測する手段としてCT(Current Transformer)やシャント抵抗による方式が多く使われていた。しかし、CT(Current Transformer)は設置スペースに制約があり、かつ高価である。したがって、様々な箇所で消費電力を計測したい場合の使用は容易でない。また、シャント抵抗方式は設置スペースに制約があり、かつ無駄なエネルギーを消費し、付随的に発熱問題が残る。
【0005】
一方、従来から、より小型の電力測定器として、ホール素子を利用したものが提案されている。特許文献1では、2つのホール効果素子を用いて有効電力、無効電力および位相や力率を計測する。また、特許文献2では、ホール効果素子による計測時に、発生する制御電流に起因する自己磁界誤差項の影響を考慮し、負荷の電力を正確に計測するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
省エネという観点や、電力が自動車などの移動体の駆動へ利用されると、さまざまな箇所での電力計測が必要になる。そのような需要に応えるためには、小型のセンサと簡便な計測部を有する電力計測装置が必要となる。消費電力を計測するための電流を計測する手段としてCTやシャント抵抗による方式は、上記のように大きさの関係で、このような要求には応えられない。
【0008】
特許文献1および2で開示された装置は、ホール素子を用いるため、CTやシャント抵抗による方法と比較すると小型にはできる。しかし、1箇所の消費電力を計測するために複数の素子を使用するのは、小型化できない根本原因となる。また、特許文献2の回路をせまい箇所の測定のために用意するのは、やはり容易とはいえない。
【0009】
さらに、ホール素子は、平面状の素子に対して垂直方向からの磁界が当たるように設置しなければならない。これは導線からの磁界を拾う際に、素子が形成された平面を導線に貼り付けられないという課題が生じる。素子が形成された平面を導線に貼り付けると、導線からの磁界は、素子面内にしか印加されず、ホール効果を得にくくなるからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記のような課題に鑑み想到されたものであり、磁性膜の有する磁気抵抗効果を利用した電力計測装置である。より具体的に本発明の電力計測装置は、
電源に接続線を介して接続された負荷において消費される電力を測定する電力計測装置であって、
前記電源に対して前記負荷と並列に連結するための一対の連結端と、
磁性膜を含む磁性膜部と、
前記磁性膜部の両端に設けられた一対のセンサ端子を有し、
前記センサ端子の一端は前記連結端の一方に接続され、
前記磁性膜部に対して動作点を付与するバイアス手段を有し、
前記磁性膜部の長手方向が前記接続線の電流が流れる方向と略平行になるように前記接続線に絶縁層を介して隣接配置されるセンサ素子と、
前記センサ素子のセンサ端子の他端に並列に接続されたn個のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタの各々に直列に接続された位相調整器と、
前記位相調整器を選択的に接続する選択スイッチと、
一端が選択スイッチに接続され、他端が前記連結端の他方に接続される計測抵抗と、
前記センサ端子のそれぞれを計測端子とし、前記計測端子間の電圧を計測する電圧検出部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願による電力計測装置は、非接触(原理)、設置が容易(超小型、薄型)、省エネ(計測時のエネルギー消費小)、といった磁性薄膜電力センサのメリットを生かし、誘導電動機の細部において、有効電力だけでなく無効電力や力率についても1個のセンサで計測できる。したがって、電力消費状況の可視化が可能になり、誘導電動機に応用することにより、運転状況や負荷状況に応じた省エネ駆動制御が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明にかかわる電力計測装置について図を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一実施形態を例示するのであり、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下の実施形態は変更することができる。
【0014】
図1は本発明の電力計測装置の構成を示したものである。本発明の電力計測装置1は、連結端12と、センサ素子10と、電圧検出部14と、選択スイッチ16と、計測抵抗18と、n個のバンドパスフィルタBnと、n個の位相調整器Pnを含む。また、制御装置20を有していても良い。また、本発明の電力計測装置1は、電源7に接続された負荷9(抵抗値はR1)で消費される電力を計測する。なお、電源7と負荷9の間は接続線8(抵抗値はRcu)で接続される。
【0015】
連結端12は、計測対象となる回路の電源7に対して負荷9と並列に、電力計測装置1を接続するための端子である。したがって、この連結端12は1対あり、それぞれ区別する場合は、連結端12a、12bとよぶ。
【0016】
センサ素子10は、磁性膜の磁気抵抗効果を利用した素子である。構成としては、薄膜状の磁性膜部11の両端に一対のセンサ端子10tが形成されている。磁性膜部11の抵抗値はRmrである。センサ端子10tのそれぞれを区別する場合は、センサ端子10taまたは10tbとよぶ。また、センサ端子10tは、計測端子13でもある。したがって、計測端子13も一対あり、それぞれ計測端子13aまたは13bと呼ぶ。
【0017】
センサ素子10には、バイアス手段11bが設けられる。バイアス手段11bは、例えば磁性膜部11に動作点を付与するためにバイアス磁界を与える永久磁石である。電磁石であってもよい。また、磁性膜部11の構造によって、磁石からのバイアス磁界を与えなくても、初めから動作点を有している場合もバイアス手段11bを有しているといってよい。
【0018】
また、センサ素子10は、負荷9に流れる接続線8に絶縁層21を介して配置される。具体的な設置位置は、負荷9の近傍であっても電源7の近傍であっても、また、接続線8の途中であってもよい。センサ素子10は接続線8中の電流による磁界を検知して動作するからである。したがって、絶縁層21は薄い方が望ましい。
【0019】
また、絶縁層21は、磁性膜部11が接続線8と直接接触しないための意味である。したがって、絶縁層21は、接続線8の被覆であっても良い。
【0020】
電圧検出部14は、計測端子13aと13bの間の電圧を計測する電圧計である。電圧検出部14は、計測端子13間の電圧を表示するようにしてもよいし、計測した電圧値を信号Svで出力するようにしてもよい。
【0021】
センサ素子10の一方のセンサ端子10taは、一方の連結端12aと接続される。そして、センサ素子10の他方のセンサ端子10tbは、n個のバンドパスフィルタBnが接続される。ここでnは1以上の整数である。バンドパスフィルタBnはそれぞれ符号B1、B2、・・・、Bnで区別されるが、バンドパスフィルタ全体を示すときは符号Bnで表す。バンドパスフィルタBnは、それぞれ所定の帯域の電流を流すように予め設定されている。もちろん、外部から所定帯域を変更できるようにしても良い。バンドパスフィルタBnは並列に配置され、他方のセンサ端子10tbに接続される。
【0022】
バンドパスフィルタBnの後段にはそれぞれのバンドパスフィルタBnと直列に位相調整器Pnが接続される。位相調整器PnもバンドパスフィルタBn同様にn個用意されており、それぞれ区別する場合は、位相調整器P1、P2等と呼ぶが、全体をまとめて呼ぶ場合は位相調整器Pnと呼ぶ。
【0023】
位相調整器Pnは、リアクタンス効果を用いて、バンドパスフィルタBnから流れる電流の位相を変化させるものである。変化させる度合いは、外部からの信号Cpnによって制御される。信号Cpnは、n番目の位相調整器Pnに対する制御信号を表す。したがって、例えば、2番目の位相調整器P2に対して送られる制御信号の場合は信号Cp2と呼ぶ。なお、位相調整器Pnはデジタルフィルタで構成されていてもよい。また、位相調整器Pnは手動で調整されるようにしてもよい。
【0024】
n個の位相調整器Pnは1つの選択スイッチ16に接続されている。選択スイッチ16は、n個の接続端子と、1つの出力端子を有するスイッチである。接続されたn個の位相調整器Pnの内の1つを出力端子と導通させる。すなわち、選択スイッチ16で選択された1つのバンドパスフィルタBnと位相調整器Pnのパスだけに電流が流れることになる。
【0025】
選択スイッチ16の出力端子には、計測抵抗18が直列に接続される。計測抵抗18の抵抗値はR2である。計測抵抗18の抵抗値R2は、磁性膜部11の抵抗値であるRmrに対して十分に大きな抵抗である必要がある。後述するように、このR2がRmrより十分大きい場合に、磁性膜部11に流れる電流I2は、電源7の電圧(V)と、計測抵抗18の抵抗値R2だけで決まるとみなせるからである。計測抵抗18の他端は、他方の連結端12bと接続される。
【0026】
制御装置20は、メモリとMPU(Micro Processor Unit)によって構成されるコンピュータでよい。制御装置20は少なくとも、電圧検出部14と、n個の位相調整器Pnと選択スイッチ16に連結され、これらを制御する。
【0027】
次に簡単に本発明の電力計測装置1の測定原理について
図2を用いて説明する。
図2(a)は、測定原理説明のために
図1をより簡潔にしたものである。バンドパスフィルタBnおよび位相調整器Pnは省略している。
図1と同じ構成要素については同じ符号を付与する。なお、電源7の電圧はVinとした。負荷9(抵抗値R1)に接続線8(抵抗値Rcu)を介して電流I1を流すと、接続線8の周囲には磁界Hが発生する。
【0028】
また、負荷9と並列に電源7に接続された電力計測装置1側には、電源7と計測抵抗18できまる電流I2が流れる。接続線8の周囲で生じた磁界H中に、電流I2が流れる磁性膜部11を、その電流I2の向きが、接続線8の電流I1と略平行になるように配置する。磁性膜部11には、電流I2と直角方向に接続線8からの磁界Hが作用する。すると、磁性膜部11の磁化Mは磁界Hによって回転させられる。それとともに、磁性膜部11の抵抗値Rmrは磁気抵抗効果によって抵抗値が変化する。
【0029】
図2(b)には、磁性膜部11に印加される磁界Hと磁性膜部11の抵抗値Rmrの関係を示す。横軸は印加磁界Hの強度で、縦軸は磁性膜部11の抵抗値Rmrである。磁界Hが作用していない場合は、抵抗値Rmrであるが、磁界Hが作用し、磁化Mが電流の方向と大きさにより変わると、その抵抗値Rmrは変化する。なお、変化には、減少する場合と増加する場合があり、どちらも磁気抵抗効果と呼ばれる。
【0030】
ここで、磁性膜部11にバイアス手段11bによってバイアス磁界Hbiasを印加しておくことで、接続線8に流れる電流I1に比例した抵抗値Rmrを得ることができる。このバイアス磁界Hbiasが印加された点が動作点Rm0である。
【0031】
ここで、動作点における抵抗値をRm0とし、比例定数をαおよびβとする。磁性膜部11での抵抗の変化分をΔRmr、磁性膜部11の抵抗をRmrとすると、磁性膜部11の電圧Vmrは以下の(1)式のように表される。
【0033】
また、負荷9への電源7の電圧をVinとし、その振幅をV1とする。すると、磁性膜部11の電圧Vmrは、以下の(2)式のようにV1(電源の振幅)とR1(負荷の抵抗値)とcosθ(力率)の積に比例するように求められる。
【0035】
なお、ここで、Rmr<<R2、さらにRcu<<R1の関係を使った。
【0036】
上記計算式の最終式は、AC成分とDC成分の和となっている。つまり、磁性膜部11の長手方向の出力電圧Vmrには、交流電圧と直流電圧とが重畳されて現れる。しかも、DC成分は負荷9での有効電力(I1*V1=V1
2/R1)cosθに比例している。したがって、磁性膜部11の長手方向の直流電圧成分のみを計測すれば、交流入力に対する負荷9の消費電力(有効電力)を測定することができる。
【0037】
また、電源Vinがn次高調波を有している場合は、磁性膜部11の両端電圧は、同様に以下の(3)式のように表される。電源7の電圧をVinとし、負荷9に流れる電流をI1、磁性膜部11に流れる電流をI2としているのは上記同様である。
【0039】
(3)式の最終式は、各周波数成分のAC成分とDC成分の和となっている。したがって、本発明に係る電力計測装置1では、測定原理的に、電圧および電流に高周波を含んでいる場合においても、磁性膜部11の長手方向の出力電圧Vmrには、交流電圧と直流電圧とが重畳されて現れる。この時磁性膜部11の両端電圧である出力電圧Vmrの直流電圧成分は、基本波による消費電力に比例した直流電圧と、高調波による消費電力に比例した直流電圧とが合計された直流電圧である。
【0040】
したがって、本発明に係る電力計測装置1では、電源が高調波成分を含んでいる場合でも、磁性膜部11の長手方向の直流電圧のみを計測すれば負荷9(抵抗値R1)での消費電力(力率を含む有効電力である)を測定することが可能である。
【0041】
図3には、電源7が高調波を有する場合の電力計測装置の構成を示す。ここでは、バンドパスフィルタBnが選択スイッチ16と共に配置されている。バンドパスフィルタBnは、上記の各周波数成分を通過させるように設定されている。
【0042】
すると、選択スイッチ16で選択された周波数の信号のみが磁性膜部11を通過し、出力電圧Vmrとして観測することができる。ここでも、磁性膜部11の出力電圧Vmrは、負荷9における選択された周波数の有効電力に比例している。すなわち、選択された周波数での消費電力を求めることができる。
【0043】
以上のように磁性膜部11の電圧を測定することによって、負荷9での消費電力を計測することができる。
【0044】
再び
図1に戻って、本発明の電力計測装置1の動作について説明する。本発明の電力計測装置1では、位相調整器Pnの位相調整量をゼロとすると、
図3で示した電源に高調波が重畳している場合と同じである。
【0045】
例えば、バンドパスフィルタB1を選択スイッチ16で選択する。バンドパスフィルタB1は基本波の周波数を通過させるフィルタであったとし、また位相調整器P1での位相調整量をゼロとすると、電源7の基本波が負荷9で消費される電力に比例した電圧が電圧検出部14から得られる。すなわち、基本波での有効電力を得ることができる。その他の高調波の場合も同様に有効電力を得ることができる。
【0046】
ここで、位相調整量を変化させながら、磁性膜部11の出力電圧Vmrを計測する。具体的な例示として、選択スイッチ16でバンドパスフィルタB1を選択したとする。そして、位相調整器P1の位相調整量を最大−π/2からπ/2まで変化させる。この時、最大の出力電圧が得られる位相調整量がφmであったとする。するとcosφmが力率に等しく、この時得られる出力電圧は、皮相電力(VI)に比例する。
【0047】
この理由は以下の通りである。位相調整量がゼロの場合は、
図3の測定原理で説明したように、負荷9での消費電力に力率を乗じた値(有効電力)に比例する値を得ることができる。これは式で記載すると(V1
2/R1)cosθである。再び基本波の場合で説明すると、位相調整器P1で位相量φを変化させ、位相φmの時に磁性膜部11での出力電圧が最も大きくなるということは、cos(θ−φm)=1となったということであり、この時θ―φm=0である。
【0048】
すなわち、θ=φmとなって、φmは力率を示す角度すなわち、力率角である。また、cos(θ−φm)=1であるときは、磁性膜部11の電圧は(V1
2/R1)に比例した電圧であり、これは皮相電力を表していることになる。
【0049】
また、位相調整器P1で位相量を調整し、磁性膜部11で得られた最大出力電圧(皮相電力に比例)を求め、この最大出力電圧で、位相量をゼロとした時の出力電圧(有効電力)を割ることによって、力率(cosθ)を求めることができる。なお、皮相電力と力率角若しくは力率を求めることができるので、無効電力は皮相電力×sinθ(若しくはsinφm)を求めることですぐに求めることができる。
【0050】
なお、制御装置20は、これらの値を所定期間ごとに計測し、積算してもよい。このように積算することで本発明の電力計測装置1は電力量計ともなる。また、これらの情報を、信号Srsによって出力することができる。
図1では、ディスプレイ25にこれらの情報を出力する例を示すが、出力先はディスプレイでなくてもよく、他の制御装置であってもよい。
【0051】
図4には、センサ素子10のバリエーションについて説明する。上記の説明のように、本発明の電力計測装置1は、磁性膜部11の磁気抵抗効果によって負荷9での消費電力に比例した電圧Vmrを観測する。磁性膜部11は、
図2(b)でも示したように、外部から作用される磁界に対しては偶関数であり、そのままでは印加磁界に比例した抵抗値を得ることはできない。そこで、
図1では、永久磁石のような磁界発生源をバイアス手段11bとして磁性膜部11の近傍に配置することによって、バイアス磁界を生成し、動作点を得た。しかし、磁石のような磁界発生源を用いなくても、動作点を得る方法がある。
【0052】
図4には、センサ素子10の他の形態を示す。磁性膜部11の上に、縞模様の導体30が形成されている。また、磁性膜部11は、長手方向に磁化容易軸EAが誘導されているとする。導体30は、磁性膜部11の抵抗と比べて十分に低い材料のものを使用するのが好ましい。
【0053】
このようなセンサ素子10の動作について説明する。センサ端子10taおよび10tb間には、電流I2が流される。センサ端子10taから入力された電流I2は、縞模様の導体30から導体30へ流れる際には、磁性膜部11上を流れなければならない。
【0054】
磁性膜部11は、導体30より抵抗が高いため、電流は導体30間の最短距離を流れる。これは磁性膜部11の長手方向から見ると、傾斜した方向に電流が流れることとなる。ここで、磁性膜部11の磁化容易軸EAはセンサ素子10の長手方向に誘導されているので、磁化Mと電流I2の向きに傾斜ができる。
【0055】
ここで、磁性膜部11に対して紙面上から下方向に磁界H(点線矢印)が印加されると、磁化M(点線矢印)はそれにつれて回転する。すると、回転した磁化Mと電流I2のなす角度が小さくなるので、磁性膜部11の抵抗は高くなる。逆に、紙面下から上方向に磁界Hが印加される(実線矢印)と、磁化M(実線矢印)は、電流I2から離れる方向に回転する。
【0056】
従って、磁性膜部11の抵抗は下がる。つまり、このように、予め外部から印加磁界がない状態で、電流の流れる方向と、磁化の方向に角度をつけておくと、見かけ上バイアス磁界をかけたのと同じ状態になる。
図4では、電流の流れる方向が磁化容易軸EAの方向と変わるような構成としたが、例えば予め磁化容易軸EAを磁性膜部11の長手方向に対して角度をつけて誘導しておいてもよい。
【0057】
また、これらの構造を組み合わせた構造若しくは、これ以外の構造であってもよい。これらのように構成されたセンサ素子10もバイアス手段11bを有したセンサ素子10としてよく、
図1で示した電力計測装置1には、このようなセンサ素子10が搭載されていても良い。
【0058】
以上のように本発明の電力計測装置1は、バンドパスフィルタBnで選択された周波数における、皮相電力、有効電力、力率さらには無効電力を求めることができる。これは、誘導モータといった、運転状態で力率が変化する負荷の電力計測に大変有効である。例えば、モータ等では、場合によって力率が最大になるように、運転を制御するといった制御方法も考えられるからである。