(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2極板要素が、活物質非保持部と当該活物質非保持部を挟んで両側に形成された略平板状の活物質保持部を有し、前記両側の活物質保持部が互いに対向するように、前記活物質非保持部が折り曲げられたものであり、
前記第2極板要素の活物質保持部が、前記第1極板要素の活物質保持部に接触して重ね合わされており、
前記第2極板要素の活物質非保持部が、前記第1極板要素の活物質非保持部に溶接されている請求項1記載の電極板。
2つの活物質保持体と当該2つの活物質保持体を連結する導電性部材とを有し、前記活物質保持体が互いに対向するように、前記導電性部材が折り曲げられた第1極板要素と、
活物質非保持部と活物質保持部とを有する第2極板要素とを備え、
前記第1極板要素の活物質保持体に前記第2極板要素の活物質保持部が接触して重ね合わされ、前記第1極板要素の導電性部材と前記第2極板要素の活物質非保持部とが溶接されている電極板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本願発明者は、巻きずれ及び巻きずれに伴う種々の問題点を解決すべく、積層型の電極群を円筒形電池に収容することを考えている。
【0006】
しかしながら、積層型の電極群を複数の電極板から構成した場合、各正極板から導出した複数の集電端子を、共通の集電板に重なり合うように接続することになり、各正極板ごとに集電効率にばらつきが生じる虞がある。また、各正極板の集電端子を集電板に溶接する作業が煩雑になる。
【0007】
これらの不都合を解決するために、1枚の厚形の電極板を用いて、電極群を構成することが考えられる。しかしながら、厚形の電極板は、従来程度のプレス圧では、圧縮し難くなり、活物質の充填密度が低下してしまう。また、充填密度を高めるべく、プレス厚を上昇させて場合には、集電体が破断したり、電極板内部の集電体の密度が低下したりして、内部抵抗が増大してしまうという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、積層型の電極群において、集電端子の数を減らすことを可能としながら、電極全体としての活物質の充填率を向上させつつ、電極板の内部抵抗を小さくすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る電極板は、集電体に活物質を保持させて構成される電極板であって、活物質非保持部と当該活物質非保持部を挟んで両側に形成された略平板状の活物質保持部とを有し、前記両側の活物質保持部が互いに対向するように、前記活物質非保持部が折り曲げられた第1極板要素と、活物質非保持部と活物質保持部とを有する第2極板要素とを備え、前記第1極板要素の活物質保持部に前記第2極板要素の活物質保持部が接触して重ね合わされ、前記第1極板要素の活物質非保持部と前記第2極板要素の活物質非保持部とが溶接されていることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、電極板が第1極板要素及び第2極板要素からなり、第1極板要素を2つの活物質保持部及び活物質非保持部から構成しているので、活物質非保持部に集電端子を設けることで、2つの活物質保持部に対して共通の集電端子とすることができ、集電端子の数を減らすことができ、溶接作業を簡略化することができる。ここで、第2極板要素の活物質保持部が、第1極板要素の活物質保持部に接触しているので、第2極板要素の集電を第1極板要素の集電端子により行うことができる。また、電極板を第1極板要素及び第2極板要素に分割することで、各極板要素における集電体の厚みを薄くすることができ、各集電体への活物質の充填率を向上させることができる。さらに、活物質充填後のプレスにおいて集電体の破断を防止するとともに、電極板内部の集電体の密度の低下を防止して、電極板の内部抵抗を小さくすることができる。その上、第2極板要素を第1極板要素の活物質非保持部に溶接しているので、電極板の内部抵抗をより一層小さくすることができる。
【0011】
前記第2極板要素が、活物質非保持部と当該活物質非保持部を挟んで両側に形成された略平板状の活物質保持部を有し、前記両側の活物質保持部が互いに対向するように、前記活物質非保持部が折り曲げられたものであり、前記第2極板要素の活物質保持部が、前記第1極板要素の活物質保持部に接触して重ね合わされており、前記第2極板要素の活物質非保持部が、前記第1極板要素の活物質非保持部に溶接されていることが望ましい。これならば、集電端子を除いた第1極板要素及び第2極板要素を略同一形状とすることで、それらを重ね合わせた後に、一緒に折り曲げることができ、作業性を向上させることができる。ここで、第1極板要素及び第2極板要素を折り曲げる前に、第1極板要素の活物質非保持部及び第2極板要素の活物質非保持部を溶接することで、より一層電極板を折り曲げ易くすることができる。また、第2極板要素が1枚の極板要素から構成されるので、部品点数を削減することができる。さらに集電端子が溶接される前の第1極板要素と第2極板要素とを略同一形状とすれば、部品点数を一層削減することができる。
【0012】
前記集電体が、発泡ニッケル多孔体等の三次元金属多孔体であることが望ましい。三次元金属多孔体を用いることで、製造工程をその他の集電体基材よりも簡単にすることができ、また、導電性の低い活物質を用いる場合にも良好な集電特性が得られ、電極の高容量化も可能である点で優れている。
【0013】
また本発明に係る電極板は、2つの活物質保持体と当該2つの活物質保持体を連結する導電性部材とを有し、前記活物質保持体が互いに対向するように、前記導電性部材が折り曲げられた第1極板要素と、活物質非保持部と活物質保持部とを有する第2極板要素とを備え、前記第1極板要素の活物質保持体に前記第2極板要素の活物質保持部が接触して重ね合わされ、前記第1極板要素の導電性部材と前記第2極板要素の活物質非保持部とが溶接されていることを特徴とする。
【0014】
このような電極板であれば、電極板が第1極板要素及び第2極板要素からなり、第1極板要素を2つの活物質保持体及び導電性部材から構成しているので、導電性部材を集電端子要素とすることで、2つの活物質保持体に対して共通の集電端子とすることができ、集電端子の数を減らすことができ、溶接作業を簡略化することができる。ここで、第2極板要素の活物質保持部が、第1極板要素の活物質保持体に接触しているので、第2極板要素の集電を第1極板要素の集電端子により行うことができる。また、電極板を第1極板要素及び第2極板要素に分割することで、各極板要素における集電体の厚みを薄くすることができ、各集電体への活物質の充填率を向上させることができる。さらに、活物質充填後のプレスにおいて集電体の破断を防止するとともに、電極板内部の集電体の密度の低下を防止して、電極板の内部抵抗を小さくすることができる。その上、第2極板要素を第1極板要素の導電性部材に溶接しているので、電極板の内部抵抗をより一層小さくすることができる。
【0015】
本発明の電極板を好適に用いることができる電極群の構成としては、前記両側の活物質保持部の間にセパレータを介して極性の異なる電極板が挟まれることにより形成される積層構造の電極群である。本発明の電極板は、直線状の活物質非保持部又は集電端子を挟んで両側に活物質保持体が形成され、活物質非保持部又は集電端子で折り曲げる構成であり、折り曲げられて対向する活物質保持部は同一極性となる。このような構成であるので、対向する活物質保持部の間に極性の異なる電極板を挟みこむだけで積層型の電極群を構成することができる。なお、極性の異なる電極板としてはポケット式電極、発泡式ニッケルなどの三次元基材に活物質を充填した電極および穿孔鋼板などの二次元基材に活物質を塗布した電極を用いることが考えられる。このとき、1つの負極板及び1つの正極板により積層型の電極群が構成される。
【0016】
具体的な積層型電極群の構成としては、本発明の電極板からなる第1の電極板と、前記第1の電極板を展開した状態で前記第1の電極板の両面を挟むように2つ折りにされたセパレータと、前記セパレータに包まれた第1の電極板を折り曲げてなる電極構造体を挟むように設けられており、前記第1の電極板と極性が異なる第2の電極板とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の電極板を用いて構成した積層構造の電極群を、円筒状をなす電池ケースに収容してなる円筒形電池として構成することが望ましい。従来の渦巻き状に巻回された電極群では、その巻回工程において、正極板及び負極板の巻きずれが生じてしまい、円筒形電池において所望の電池容量を得ることができない、また、内部短絡を引き起こしてしまう等の問題が生じる。ところが、本発明のように積層構造の電極群を円筒状の電池ケースに収容することにより、電極群の巻きずれ及び巻きずれに付随する種々の問題を解決することができる。また、円筒状の電池ケースであることから、内部圧力の上昇に対して強度的に強くすることができる。また、円筒形の電池ケースに対して略直方体形状の電極群を配置することから、基材やセパレータの使用量が減るために、電池ケース内の空間を大きくすることができ、電池内圧の上昇を防ぐことができるだけでなく、円筒形電池内の電解液量を多くすることもできる。
【発明の効果】
【0018】
このように構成した本発明によれば、集電端子を2つの活物質保持部で共通化することによって集電端子の数を減らすことができる。また、電極板を第1極板要素及び第2極板要素に分割しているので、電極全体としての活物質の充填性を向上させつつ、電極板の内部抵抗を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明に係る円筒形電池の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態に係る円筒形電池100は、例えばニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル・水素蓄電池等のアルカリ蓄電池である。具体的には、
図1及び
図2に示すように、有底円筒状をなす金属製の電池ケース2と、この電池ケース2内に配置され、正極板31、負極板32及びセパレータ33からなる略直方体形状の電極群3とを有するものである。
【0022】
電池ケース2は、ニッケルめっきを施した有底円筒状をなすものであり、
図1に示すように、上部開口は絶縁体4を介して封口体5により封止されている。また、封口体5の裏面には、正極板31の上端部に突出して設けられた集電端子311が例えば溶接により直接又は集電板(不図示)を介して接続されて、封口体5が正極端子となる。なお本実施形態では、後述するように、電池ケース2の底面2Bに電極群3の最外側に位置する負極板32の集電端子321が溶接される。
【0023】
電極群3は、正極板31及び負極板32を例えばポリオレフィン製の不織布からなるセパレータ33を介して積層した略直方体形状をなすものである(
図2参照)。なおセパレータ33には例えば水酸化カリウム等の電解液が含侵される。
【0024】
正極板31は、発泡式ニッケルからなる正極集電体と、この正極集電体の中空内に水酸化ニッケル活物質及び導電材のコバルト化合物の混合物(以下、単に正極活物質という。)を充填したものである。なお、水酸化ニッケル活物質は、ニッケル・カドミウム蓄電池の場合には例えば水酸化ニッケルであり、ニッケル・水素蓄電池の場合には例えば水酸化カルシウムを添加した水酸化ニッケルである。
【0025】
具体的に正極板31は、
図3及び
図4に示すように、集電端子311を有する1つの第1極板要素31Pと、集電端子311を有さない1つの第2極板要素31Qとからなる。
【0026】
第1極板要素31Pは、
図3及び
図4に示すように、正極活物質を保持しない直線状の活物質非保持部31Aと、この活物質非保持部31Aを挟んで両側に形成され、正極活物質を保持する活物質保持部31Bとを有する。活物質非保持部31Aは、正極集電体の中心線H1を含むように左右対称に形成されており、活物質保持部31Bは、活物質非保持部31Aに対して左右対称である(
図4参照)。
【0027】
そして、第1極板要素31Pは、
図3に示すように、両側の活物質保持部31Bが向き合うように活物質非保持部31Aにおいて正極集電体が略U字状に折り曲げられる。具体的には、活物質非保持部31A及び活物質保持部31Bの境界又は境界よりも若干内側を折り曲げ線として活物質非保持部31A及び活物質保持部31Bが互いに直角となるように折り曲げられている。
【0028】
さらに、第1極板要素31Pは、2つの活物質保持部31Bの間に形成された折れ曲がり部である活物質非保持部31Aに例えばニッケル鋼板等からなる集電端子311が設けられている。この集電端子311は、2つの活物質保持部31Bの対向方向に直交する幅方向の一方に外側に向かって延びている。
図3においては、集電端子311は、活物質非保持部31Aの直線方向と同一方向に沿って一方の外側(
図3において手前側)に延出している。なお、集電端子311は、前記直線方向から傾斜していても良い。この集電端子311は、正極集電体からの集電効率を向上させるために、活物質非保持部31Aの略全体に亘って設けられている。このように、集電端子311が2つの活物質保持部31Bの対向方向に直交する幅方向の一方に外側に向かって延びるように設けられていることから、展開状態の正極板31を2つ折りのセパレータ33により挟むように収容する際に、セパレータ33の折り曲げ部を集電端子311が外側に延びている辺31mと対向する辺31nに位置させることで、集電端子311がセパレータ33による収容の邪魔にならない。
【0029】
また、第2極板要素31Qは、
図3及び
図4に示すように、正極活物質を保持しない直線状の活物質非保持部31Cと、この活物質非保持部31Cを挟んで両側に形成され、正極活物質を保持する活物質保持部31Dとを有する。活物質非保持部31Cは、正極集電体の中心線H3を含むように左右対称に形成されており、活物質保持部31Dは、活物質非保持部31Cに対して左右対称である(
図4参照)。また、本実施形態の第2極板要素31Qの展開形状は、集電端子311が溶接される前の第1極板要素31Pと略同一形状である。
【0030】
そして、第2極板要素31Qは、
図3に示すように、両側の活物質保持部31Dが向き合うように活物質非保持部31Cにおいて正極集電体が略U字状に折り曲げられる。具体的には、活物質非保持部31C及び活物質保持部31Dの境界又は境界よりも若干内側を折り曲げ線として活物質非保持部31C及び活物質保持部31Dが互いに直角となるように折り曲げられている。
【0031】
上記構成の第1極板要素31P及び第2極板要素31Qは、それら要素31P、31Qの活物質非保持部31A、31Cが同じ側に位置して重なり、それら要素31P、31Qの両側の活物質保持部31B、31D同士が互いに接触して重ね合わされた状態で正極板31を形成する(
図3参照)。また、このように重ね合わされた状態の第1極板要素31P及び第2極板要素31Qにおいて、それら要素31P、31Qの活物質非保持部31A、31Cは互いに溶接されている。つまり、本実施形態の正極板31は、第1極板要素31P及び第2極板要素31Qの接触だけでなく、活物質非保持部31A、31C同士の溶接によって、第1極板要素31Pの集電端子311が、第2極板要素31Qの集電を行うように構成している。
【0032】
次にこのように構成した正極板31(第1極板要素31P及び第2極板要素31Q)の製造方法について簡単に説明する。
【0033】
まず、
図5に示すように長尺形状をなす発泡ニッケルからなる母材(集電体基材)Xに対して、その長手方向に沿って中心部に直線状の活物質非保持部となる部分(非保持領域X1)をプレスする(プレス工程)。次に、非保持領域X1以外を活物質保持領域となる部分(保持領域X2)とすべく正極活物質を充填する(活物質充填工程)。この活物質充填工程の後に、集電体基材全体をプレスする(極板プレス工程)。そして、第1極板要素31P(端子311を除く。)及び第2極板要素31Qの展開状態と同一形状となるように非保持領域X1に直交する方向に切断する(切断工程)。これにより、集電端子311が溶接される前の第1極板要素31Pと、展開状態の第2極板要素31Qとが形成される。また、第1極板要素31Pとなる正極集電体の活物質非保持部31Aに集電端子311を溶接する(端子溶接工程)。これにより展開状態の第1極板要素31Pが形成される。このように構成された前記第1極板要素31P及び第2極板要素31Qは、その外周部分が略一致するように重ね合わされて、第1極板要素31Pの活物質非保持部31A及び第2極板要素31Qの活物質非保持部31Cが溶接されることにより、展開状態の正極板31が形成される(
図10参照)。
【0034】
上記方法では、母材Xの正極活物質を充填することなく活物質非保持部31A、31Cを形成し、この活物質非保持部31A、31Cを挟んで両側に活物質保持部31B、31Dを形成していることから、活物質保持部31B、31Dと活物質非保持部31A、31Cとの伸び率が異なりその境界部分で破断してしまう可能性がある。このため、以下の方法を用いることも考えられる。つまり、発泡ニッケルからなる母材X(集電体基材)全体に正極活物質を充填させる(活物質充填工程)。この活物質充填工程の後に、集電体基材X全体をプレスする(極板プレス工程)。次に、正極活物質が充填された母材Xの中央部に直線状の活物質非保持部31Aとなる非保持領域X1を形成すべく、超音波除去等で正極活物質を除去する(活物質除去工程)。そして、非保持領域X1が形成された母材Xにおける非保持領域X1をプレスする(プレス工程)。その後、非保持領域X1がプレスされた母材Xを非保持領域X1に直交する方向に切断する(切断工程)。これにより、展開状態の第2極板要素31Qが形成される。また、第1極板要素31Pとなる正極集電体の活物質非保持部31Aに集電端子311を溶接する(端子溶接工程)。これにより展開状態の第1極板要素31Pが形成される。
【0035】
また、切断工程を極板プレス工程及び活物質除去工程の間に実施しても良い。つまり、発泡ニッケルからなる母材X(集電体基材)全体に正極活物質を充填させる(活物質充填工程)。この活物質充填工程の後に、集電体基材X全体をプレスする(極板プレス工程)。次に、プレスされた母材Xを第1極板要素31P(端子311を除く。)、第2極板要素31Qの展開形状に切断する(切断工程)。そして、切断された母材Xの中央部に直線状の活物質非保持部31Aとなる非保持領域X1を形成すべく、超音波除去等で正極活物質を除去する(活物質除去工程)。そして、非保持領域X1が形成された母材Xにおける非保持領域X1をプレスする(プレス工程)。これにより、展開状態の第2極板要素31Qが形成される。また、第1極板要素31Pとなる正極集電体の活物質非保持部31Aに集電端子311を溶接する(端子溶接工程)。
【0036】
負極板32は、例えばニッケルめっきを施した平板状の穿孔鋼板からなる負極集電体と、この負極集電体上に塗布された負極活物質からなる。なお負極活物質としては、ニッケル・カドミウム蓄電池の場合には、例えば酸化カドミウム粉末と金属カドミウム粉末との混合物であり、ニッケル・水素蓄電池の場合には、例えば主にAB
5型(希土類系)又はAB
2型(Laves相)の水素吸蔵合金の粉末である。
【0037】
具体的に負極板32は、
図6及び
図7に示すように、負極活物質を保持しない直線状の活物質非保持部(未塗工部)32Aと、この活物質非保持部32Aを挟んで両側に形成され、負極活物質を保持する活物質保持部(塗工部)32Bとを有する。活物質非保持部32Aは、負極集電体の中心線H3を含むように左右対称に形成されており、活物質保持部32Bは、活物質非保持部32Aに対して左右対称である(
図7参照)。
【0038】
そして、負極板32は、
図6に示すように、両側の活物質保持部32Bが向き合うように活物質非保持部32Aにおいて負極集電体が略Uの字状に折り曲げられている。具体的には、活物質非保持部32A及び活物質保持部32Bの境界又は境界よりも若干内側を折り曲げ線として活物質非保持部32A及び活物質保持部32Bが互いに直角となるように折り曲げられている。
【0039】
さらに、負極板32は、活物質非保持部32Aの一部が外側に折り曲げられることにより、電池ケース2の底面2Bに溶接接続される集電端子321が形成される。具体的には、活物質非保持部32Aの一部に、所望の集電端子形状となるように切れ込み32Cを入れて、その切れ込み32C内部を外側に折り曲げることにより集電端子321が形成される。
【0040】
次にこのように構成した負極板32の製造方法について簡単に説明する。
【0041】
まず、
図8に示すように、穿孔鋼板からなる長尺形状をなす母材(集電体基材)Yに対して、その長手方向に沿って中心部に直線状の未塗工領域Y1を残して、その両側に負極活物質を塗工して塗工領域Y2、Y3を形成する(塗工工程)。そして、未塗工領域Y1に略Uの字状の切れ込み32Cを打ち抜き型を用いて打ち抜いて形成する(打ち抜き工程)。その後、負極板32の展開状態と同一形状となるように切断していく(切断工程)。これにより展開状態の負極板32が形成される。なお、切れ込み32Cは負極板32を切断した後に形成しても良い。
【0042】
そして本実施形態の積層型電極群3は、2つの活物質保持部31B(31D)が互いに対向配置された略Uの字状をなす正極板31と、2つの活物質保持部32Bが互いに対向配置された略Uの字状をなす負極板32とが噛み合うように積層されて構成されている。具体的には、
図9に示すように、正極板31の1つの活物質保持部31B(31D)が負極板32の2つの活物質保持部32Bの間に挟まれるとともに、負極板32の1つの活物質保持部32Bが正極板31の2つの活物質保持部31B(31D)の間に挟まれるように積層されている。本実施形態では、正極板31の折れ曲がり部(活物質非保持部31A(31C))と、負極板32の折れ曲がり部(活物質非保持部32A)とが互いに対向するように積層されている。したがって、本実施形態の電極群3では、負極板32の外側面32a、32bが最外面となる。なお、
図1、
図2、
図9等においては、理解を容易にするため、各極板31、32及びセパレータ33の間に間隔を挙げて図示しているが、それらは接触して積層される。
【0043】
より詳細には、本実施形態の積層型電極群3は、2つの負極板32及び1つの正極板31から構成されたものであり、隣接する2つの負極板32においてそれぞれの1つの活物質保持部32B(2つの負極板32において互いに隣り合う活物質保持部32B)が1つの正極板31の2つの活物質保持部31B(31D)の間に挟まれるように積層されている。
【0044】
次にこのように構成した積層型電極群3の製造方法について説明する。
【0045】
まず、
図10及び
図11に示すように、展開状態の正極板31、展開状態の負極板32及び展開状態のセパレータ33を準備する。そして、
図10に示すように、セパレータ33の折り曲げ線33aに対して一方の半面に、展開状態の正極板31を載置する。なお、展開状態の正極板は、この状態において、第1極板要素31Pの活物質非保持部31A及び第2極板要素31Qの活物質非保持部31Cが溶接されている。
このとき、集電端子311が外側に延出している辺(上辺31m)に対向する辺(下辺31n)をセパレータ33の折り曲げ線33aに沿うように載置する。そして、セパレータ33を折り曲げ線33aで2つ折りに折り曲げる(セパレータ収容工程)。これにより、セパレータ33の折り曲げ部が正極板31の下辺31nに位置することになり、展開状態の正極板31は、集電端子311の外側に延出した部分を除いてセパレータ33に収容された状態となる。そして、正極板31を収容したセパレータ33の正極端子部分を除く上辺及び左右側辺の3辺を超音波溶着等により溶着固定する。なお、セパレータ33における正極板31の集電端子部分には切り込み33bが入れてある。これにより、集電端子311を折り曲げた際に、当該集電端子311の変形に伴ってセパレータ33がめくれてしまうことを防止している。なお、セパレータ33の3辺があらかじめ閉じられた封筒状のセパレータ33を用いて、正極板32を包装することもできる。
【0046】
次に、
図11に示すように、セパレータ33に収容された状態の展開状態の正極板31の左右に設けられた2つの活物質保持部31B(31D)と、展開状態の負極板32の一方の活物質保持部32Bとを重ね合わせる。そして、展開状態の負極板32を略Uの字状に折り曲げることにより、正極板31の2つの活物質保持部31B(31D)それぞれを負極板32で挟む(負極板折り曲げ工程)。このとき、負極板32の活物質非保持部32Aから集電端子321を外側に折り曲げる。その後、左右が負極板32で挟まれた状態の正極板31を略Uの字状に折り曲げる(正極板折り曲げ工程)。これにより積層型電極群3が形成される。このように形成された積層型電極群3は、ばらけないようにするための結束テープ(不図示)が巻かれる。
【0047】
そして本実施形態の円筒形電池100は、
図1及び
図2に示すように、電極群3を固定するためのスペーサ6を有する。このスペーサ6は、電池ケース2の内側周面2Aと電極群3の外側面との間に介在して設けられ、電極群3を電池ケース2に固定する一対のスペーサ61、62である。この一対のスペーサ61、62は、電池ケース2の内側周面2Aと電極群3の外側面との間の空間に配置されて、電極群3をその積層方向Lから挟むように設けられている。なお、積層方向Lは、各極板31、32の活物質保持部31B、32Bの対向方向に一致する。
【0048】
一対のスペーサ61、62は、アクリル樹脂やポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂製又はステンレス鋼等の金属製で、互いに同一形状をなすものである。
【0049】
各スペーサ61、62は、電極群3における積層方向Lの最外面(具体的には負極板32の外側面32a、32b)の略全体を押圧するものである。また、各スペーサ61、62は、電池ケース2の内側周面に上下に亘って接触する。これにより、電極群3全体が一対のスペーサ61、62により均一に押圧されることになり充放電効率が向上する。各スペーサの具体的な形状としては、負極板32の外側面32a、32bの略全体に接触する接触面を一方面6aに有する矩形平板状の電極接触部6Aと、この電極接触部6Aの他方面6bから延出して電池ケース2の内側周面2Aに接触する2つのケース接触部6Bとを備える。
【0050】
2つのケース接触部6Bは、電極接触部6Aの他方面6bにおいて中心軸方向Cに沿って互いに並列に形成されている。具体的には、電池ケース2に収容された状態において電池ケース2の中心軸を挟むように対称に形成されている。さらに、ケース接触部6Bにおける電池ケース2の内側周面2Aとの接触部分(自由端辺部の先端面)は、電池ケース2の内側周面2Aの曲面と略同一の曲面を有する。これにより、ケース接触部6Bと電池ケース2とが面接触するように構成している(
図2参照)。また、電極接触部6Aとケース接触部6Bとの間に形成される凹部が溶接スペースとなり、当該溶接スペースにより負極板32の集電端子321を電池ケース2の底面2Bに溶接することができる。
【0051】
このようにスペーサ61、62により電極群3が押圧されることにより、正極板31の第1極板要素31Pの活物質保持部31B及び第2極板要素31Qの活物質保持部31Dが互いに押圧接触して、第1極板要素31P及び第2極板要素31Qの導電性が良好となる。そして、このように第1極板要素31P及び第2極板要素31Qが押圧接触することから、第1極板要素31Pの集電端子311により、第2極板要素31Qの集電を効率良く行うことが可能となる。
【0052】
次にこのように構成した円筒形電池100の製造方法について簡単に説明する。
【0053】
上述した積層型電極群3を積層方向Lから一対のスペーサ61、62で挟み込む。このように形成された構造体を電池ケース2内に配置する。なお、配置した状態で負極板32の集電端子321が、一対のスペーサ61、62の2つのケース接触部6Bの間に位置するとともに、スペーサ61、62のケース接触部6Bの下面が集電端子321の一部を電池ケース2の底面2Bに押さえた状態となる。なお、電極群3を電池ケース2内に収容した後に、一対のスペーサ61、62を電極群3を挟むように収容しても良い。そして、電極群3が電池ケース2に固定された状態で、スペーサ61、62のケース接触部6B及び電池ケース2の内側周面2Aの間に形成される空間に溶接棒を挿入して負極板32の集電端子321を電池ケース2の底面2Bに溶接して接続する。その後、電池ケース2内に電解液を注液する。そして注液後、正極板31の集電端子311を直接又は集電板(不図示)を介して封口体5の裏面に接続するとともに、当該封口体5を絶縁体4を介して電池ケース2の上部開口にかしめ等により固定する。
【0054】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る円筒形電池100によれば、正極板31(第1極板要素31P)が2つの活物質保持部31B及び活物質非保持部31Aからなる略U字状をなしており、活物質非保持部31Aに集電端子311を設けているので、共通の集電端子311により2つの活物質保持部31Bが集電されて集電効率のばらつきを抑えて集電効率を向上させることができる。ここで、第2極板要素31Qの活物質保持部31Dが、第1極板要素31Pの活物質保持部31Bに接触しているので、第2極板要素31Qの集電を第1極板要素31Pの集電端子311により行うことができる。また、2つの活物質保持部31Bに対して共通の集電端子311とすることができ、溶接する集電端子311の数を減らすことができ、溶接作業を簡略化することができる。さらに、正極板31を第1極板要素31P及び第2極板要素31Qに分割することで、各極板要素31P、31Qにおける正極集電体の厚みを薄くすることができ、各正極集電体への正極活物質の充填率を向上させることができる。その上、活物質充填後のプレスにおいて正極集電体の破断を防止するとともに、正極板31内部の正極集電体の密度の低下を防止して、正極板31の内部抵抗を小さくすることができる。加えて、第2極板要素31Qの活物質非保持部31Cを第1極板要素31Pの活物質非保持部31Aに溶接しているので、正極板31の内部抵抗をより一層小さくすることができる。
【0055】
また、本実施形態では、第1極板要素31Pの両側の活物質保持部31Bそれぞれに第2極板要素31Qの活物質保持部31Dを接触して重ね合わせる構成であり、第1極板要素31Pの集電端子311により第2極板要素31Qの集電効率を向上させることができる。ここで、集電端子311を除いた第1極板要素31Pと第2極板要素31Qとを同一形状であるため、それらを重ね合わせた後に、U字状に折り曲げればよく作業性を向上させることができる。さらに、第1極板要素31Pの活物質非保持部31A及び第2極板要素31Qの活物質非保持部31Cが溶接されているので、正極板31を折り曲げ易い。また、第2極板要素31Qが1枚の極板要素から構成されているだけでなく、集電端子311が溶接される前の第1極板要素31Pと第2極板要素31Qとを同一形状としているので、部品点数を一層削減することができる。
【0056】
次に、活物質非保持部同士を溶接した本発明の正極板(発明例)と、活物質非保持部同士を溶接しない正極板(比較例A、比較例B)と、従来の正極板(比較例C)とを用いた円筒形電池の作製方法とこれらの評価試験の結果について以下に示す。なお、評価試験とは、正極板の水酸化ニッケルの利用率(IEC)及び電池の内部抵抗の測定である。
【0057】
円筒形電池に用いた各種材料は下記のとおりである。
正極活物質には亜鉛3質量%、コバルト0.6質量%を固溶状態で含有する水酸化ニッケル表面に、7質量%のコバルト水酸化物を被覆したものを18M水酸化ナトリウム溶液を用いて110℃で1時間空気酸化処理を行ったものを用いた。この正極活物質に、増粘剤(カルボキシメチルセルロース)を溶解させた水溶液を加えて、ペーストを作製した。このペーストを、基材面密度が320g/m
2の発泡ニッケルに充填し、乾燥させた後、所定の厚さにプレスすることによって、発明例、比較例A及び比較例Bの正極板とした。比較例Cの正極板は、前記ペーストを、基材面密度が500g/m
2の発泡ニッケルに充填したこと以外は発明例と同様にして、作製した。
負極活物質には、平均粒径50μmに粉砕したMmNi
3.8Co
0.8Mn
0.3Al
0.3組成の水素吸蔵合金を用いた。前記合金粉末100質量部に増粘剤(メチルセルロース)を溶解した水溶液を加え、さらに、結着剤(スチレンブタジエンゴム)を1質量部加えてペースト状にしたものを厚さ45μmの穿孔鋼板の両面に塗布した。これを乾燥させた後、所定の厚さにプレスして、負極板とした。なお、平均粒径とは、体積標準の粒度分布における累積度50%の粒径である。
セパレータには、スルフォン化処理を施したポリオレフィン樹脂を用いた。電解液には、4M KOH+3M NaOH+0.8M LiOH組成の電解液を用いた。
【0058】
ここで発明例は、上記実施形態の正極板である。また、比較例Aは、前記実施形態の第1極板要素及び第2極板要素を溶接せずに構成した正極板である。比較例Bは、第1極板要素31Pにおける両側の活物質保持部31Bに、活物質保持部31Dのみからなる平板状の第2極板要素31Qを接触させた正極板、つまり、前記実施形態の第2極板要素31Qにおいて活物質非保持部31Cの無い正極板である。これら発明例、比較例A、Bは、各極板要素において活物質充填時の集電体厚さが1.6mmであり、プレス後の極板要素厚さが0.75mmである。一方、比較例Cは、一枚の正極板である。比較例Cは、活物質充填時の集電体厚さが3mmであり、プレス後の正極板厚さが1.5mmである。
【0059】
組み立て後の各電池を、次の条件で初期化成をおこない、完成させた。20℃で、100mAで12時間の条件で定電流充電し、次いで200mAで1Vとなるまで定電流放電を行った。これを2サイクル繰り返した。その後、40℃で48時間保存した。20℃で、100mAで12時間の条件で定電流充電し、次いで200mAで1Vとなるまで定電流放電を行った。これを2サイクル繰り返し、初期化成を完了した。
【0060】
正極板の水酸化ニッケルの利用率(IEC)の測定は、次のようにして行った。上記の電池を、20℃、0.1ItA、16時間の条件で定電流充電し、20℃、0.2ItAで1.0Vとなるまで定電流放電を行うサイクル充放電を3サイクル繰り返した。このときの各サイクルにおける電池の「放電容量」の測定を行った。本試験における「理論容量」とは正極板の理論容量であり、水酸化ニッケルの充填量と理論容量とを用いて計算した値である。利用率は次の式で計算した値である。
利用率(%)= 放電容量 / 理論容量 × 100
また、正極板の内部抵抗の測定は、Hioki3560ACmΩハイテスターを用いて、電池の端子と電槽缶底との抵抗を20℃で測定した値である。
【0062】
上の表1から分かるように、第1極板要素及び第2極板要素から構成した発明例、比較例A、Bは、1枚の集電体から構成した比較例Cに比べて、水酸化ニッケルの利用率が向上しており、放電容量を増大させることができる。また、発明例及び比較例A、Bは、比較例Cに比べて、内部抵抗を低下させることができる。さらに、第1極板要素及び第2極板要素を溶接して構成した発明例は、第1極板要素及び第2極板要素を溶接せずに構成した比較例A、Bに比べて、内部抵抗をさらに低下させることができる。
【0063】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0064】
例えば、前記実施形態の第2極板要素31Qは、第1極板要素31Pと同様に、活物質非保持部31C及びその両側に形成された活物質保持部31Dを有するものであったが、
図12に示すように、第1極板要素31Pの両側の活物質保持部31Bに接触して重ね合わされる略平板状の活物質保持部31Dと、前記第1極板要素31Pの活物質非保持部31Aに溶接される溶接部31Eとを有するものであっても良い。この溶接部31Eは、活物質を保持しない略直線状のものであり、前記活物質保持部31Dの一辺に形成される。また、この場合、第2極板要素31Qを、第1極板要素31Pの両側の活物質保持部31Bの何れか一方にのみ設けても良い。
【0065】
また、前記実施形態では、第2極板要素31Qを第1極板要素31Pの内側に重ね合わせて設けたものであったが、第1極板要素31Pの外側に重ね合わせて設けても良いし、2つの第2極板要素31Qを第1極板要素31Pの内側及び外側の両方に重ね合わせて設けても良い。
【0066】
さらに、前記実施形態では、展開状態の第1極板要素及び展開状態の第2極板要素を溶接した後に折り曲げているが、折り曲げた状態の第1極板要素及び折り曲げた状態の第2極板要素を溶接するようにしても良い。
【0067】
その上、前記実施形態の正極板31は、1つの第1極板要素31P及び1つの第2極板要素31Qから構成されるものであったが、複数の第1極板要素31Pを有するものであっても良いし、複数の第2極板要素31Qを有するものであっても良い。
【0068】
加えて、前記実施形態の第1極板要素31Pは、活物質非保持部31Aと活物質保持部31Bとが1つの正極集電体から構成されているが、これに限られない。具体的には第1極板要素31Pが、
図13に示すように、正極集電体に正極活物質を保持させた2つの活物質保持体31s、31tと、この2つの活物質保持体31s、31tを連結する導電性部材である集電端子31uとを備えるものであっても良い。活物質保持体31s、31tは、互いに同一形状をなすものであり、略矩形状をなす発泡ニッケルに正極活物質を充填させることにより構成される。そして、その一部に集電端子31uを溶接するための活物質除去部31xが形成されている。また、集電端子31uは、平面視略T字形状をなすものであり、そのT字水平部31u1の左右端部がそれぞれ活物質保持体31s、31tの活物質除去部31xに溶接される。この展開状態において、集電端子31uのT字垂直部31u2は、活物質保持体31s、31tよりも幅方向の外側に延出した延出部となる。そして、この正極板31は、2つの活物質保持体31s、31tが互いに対向するように集電端子31uのT字水平部31u1において略U字状に折り曲げられるとともに、U字垂直部31u2が、2つの活物質保持板31s、31tの対向方向に直交する幅方向の一方の外側に向かって延びる。
【0069】
次にこのように構成した第1極板要素31Pの製造方法について簡単に説明する。
図14に示すように、長尺形状をなす発泡ニッケルからなる母材Z(集電体基材)全体に活物質を充填させる(活物質充填工程)。この活物質充填工程の後に、集電体基材全体をプレスする(極板プレス工程)。次に、活物質が充填された母材Zを活物質保持体31s、31tの大きさに切断する(切断工程)。そして、切断した活物質保持体31s、31tの短辺側中央部に略矩形状の活物質除去部31xを形成すべく、超音波除去等で正極活物質を除去する(活物質除去工程)。その後、2つの活物質除去部31xにT字端子31uのT字水平部31u1の各端部を溶接する(端子溶接工程)。なお、T字端子は一体のものに限られず、短冊状をなす2つの集電端子をT字状に溶接しても良い。また、集電端子以外の連結部材で2つの活物質保持体31s、31tを連結して、当該連結部材に集電端子を溶接するように構成しても良い。さらに、第2極板要素を、集電端子以外の導電性部材である連結部材で2つの活物質保持体31s、31tを連結して構成しても良い。
【0070】
また、正極板及び負極板の形状としては、略U字状に折り曲げる一態様として略コの字状に折り曲げる構成について説明したが、その他、略V字状に折り曲げる構成としても良いし、文字通り略U字状に折り曲げるように構成しても良い。
【0071】
前記実施形態の積層型電極群3は、1枚の正極板31及び2枚の負極板32を積層して構成されるものであったが、複数の正極板31及び複数の負極板32を積層して構成するものであっても良い。
【0072】
その上、前記実施形態の正極板及び負極板を逆の構成としても良い。つまり、正極板の集電端子311を電池ケースの内面に溶接するように構成しても良い。また、負極板を第1極板要素及び第2極板要素からなるものとしても良い。
【0073】
本発明は、アルカリ蓄電池の他、リチウムイオン二次電池等の二次電池に適用することも可能であり、又は一次電池に適用しても良い。また、円筒形電池に限られず、角形電池のその他の形状をなす電池に適用しても良い。
【0074】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。