(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来緊急時に於ける陸閘又は水門の開閉は人が直接出向いて操作する他、無線を含む遠隔操作があったが電源を含むエネルギーの供給が絶たれ作動しない場合があった。
特許文献1には地震・津波など緊急時にゲートをある程度下げて停止し安全確認後閉鎖するシステムが記載されている。しかし停電時などには扉が自重降下式のもの以外の水門では自動作動は期待出来ない。
【0007】
特許文献2にはゲートの自重で降下する速度を、油圧流量を制御することによる調整装置が記載されているが能動的に(加速や逆動作)操作できない。
【0008】
災害時等は停電をはじめインフラが崩壊し外部と通信したりエネルギーを得る事が難しく、遠隔からの敏速な操作が困難で、担当者が現場に赴く等、危険にさらされ犠牲になることも多かった。
【0009】
そこで、本件発明では、災害時などの非常事態において、陸閘又は水門を作動させる電気が供給されない場合においても、外部からの電気エネルギーを使用することなく、陸閘又は水門を駆動させることができる陸閘又は水門の開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)すなわち、本発明は、圧縮気体タンクと、前記圧縮気体タンクに蓄えられた圧縮気体を動力源とするモーターと、前記モーターにより陸閘又は水門を駆動する駆動機構と
、前記モーターに設けられたモーターギアと噛合可能な駆動ギアと、前記駆動機構に含まれ、前記駆動ギアの回転により動力が伝えられる車輪とを具備し、
前記モーターが、前記圧縮気体で伸縮され得るアクチュエータにより揺動可能であり、前記圧縮気体を開放し、陸閘又は水門を駆動することを特徴とする陸閘又は水門の開閉装置である。
【0012】
(
2)そして、前記モーターギアと噛合可能な作動ギアを具備し、前記車輪が、前記作動ギアの回転により、陸閘又は水門の内部へ収納可能に設けられ、及び、陸閘又は水門の外部へ進出可能に設けられていることを特徴とする前記(
1)に記載の陸閘又は水門の開閉装置である。
【0013】
(
3)そして、前記作動ギアと連動し、堤防と係止し得る係止部材を具備し、前記係止部材が、前記作動ギアの回転により、前記車輪が進出するときには堤防との係止が解錠するよう設けられ、前記車輪が収納されるときには堤防と係止するよう設けられていることを特徴とする前記(
2)に記載の陸閘又は水門の開閉装置である。
【0014】
(
4)そして、人が通行可能に設けられた退避扉が設けられていることを特徴とする前記(
1)から前記(
3)のいずれかに記載の陸閘又は水門の開閉装置である。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)に記載の陸閘又は水門の開閉装置によれば、災害時などの非常事態において、陸閘又は水門を作動させる電気が供給されない場合においても、外部からの電気エネルギーを使用することなく、陸閘又は水門を駆動させることができる。
さらに、外部の信号により圧縮気体を開放しうる装置を陸閘又は水門に設けられていれば、前記陸閘又は水門を操作するため危険な場所に操作員が近づく事無く有線・無線による遠隔操作ができる。
また、前記陸閘又は水門を非常事態用センサー(地震センサー・水位センサー等)により自動化する事により安全性省力・省人化が飛躍的に向上させることができる。
さらに、通常時は別途設けられた電気モーターにより駆動し、緊急時においては圧縮気体を動力源として切り替えて使用することができる。
上記(
2)に記載の陸閘又は水門の開閉装置によれば、陸閘又は水門を閉めた状態において、陸閘と陸との間などに生じた隙間を小さくすることができ、陸地側への水の浸入を抑制することができる。
上記(
3)に記載の陸閘又は水門の開閉装置によれば、車輪の収納又は進出の動きと、係止部材における堤防との係止又は解錠の動きとを連動させることにより、構成部材を減らせ開閉装置全体の重量を軽量化することができ、所定の動きを完了させるための時間を短縮することができる。
上記(
4)に記載の陸閘又は水門の開閉装置によれば、陸閘又は水門が閉まった後に、水側に取り残された人、家畜等がいても、陸閘又は水門を動作させることなく、取り残された人、家畜等は陸地側に容易に退避することができ、また、陸地側から人が取り残された人、家畜等を救助しに行くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の陸閘又は水門の開閉装置における全体構造の一例を示す斜視図。
【
図2】本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、通常時である電動モーターEM1作動時における部分破断正面図。
【
図3】本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、通常時である電動モーターEM1作動時における部分破断平面図。
【
図4】本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、緊急時であるエアーモーター8作動時における係止爪CRの係止の解錠及び車輪9の進出動作中を示す部分破断正面図。
【
図5】本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、緊急時であるエアーモーター8作動時における係止爪CRの係止の解錠及び車輪9の進出動作中を示す部分破断拡大正面図。
【
図6】本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、緊急時であるエアーモーター8作動時における係止爪CRの係止の解錠及び車輪9の進出動作中を示す部分破断側面図。
【
図7】本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、緊急時であるエアーモーター8作動時における車輪9による陸閘2の駆動後を示す部分破断正面図。
【
図8】本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、緊急時であるエアーモーター8作動時における車輪9による陸閘2の駆動後を示す部分破断拡大正面図。
【
図9】(a)本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、緊急時であるエアーモーター8作動時における係止爪CRの係止状態を示す部分破断拡大平面図。(b)本発明の陸閘又は水門の開閉装置の他の例において、緊急時であるエアーモーター8作動時における係止爪CRの係止の解錠状態を示す部分破断拡大平面図。
【
図10】圧縮気体タンク12の圧縮気体の流路及び制御に関する概念図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る陸閘又は水門の開閉装置に関する実施の形態について、添付の図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)
堤防1の開口部に駆動可能な陸閘2がある。
図1においては陸閘2は横引き戸式で表示してあるが、機械アクチュエーターの変更により上下ゲート式、片開き・両開きドアー式等に適応できる。
【0019】
図1に示す陸閘2は、開門時は右側の堤防1に位置し、閉門時には左方向に進み、堤防1の開口部を閉鎖する。そして、陸閘2は、圧縮気体タンク12と、圧縮気体タンク12に蓄えられた圧縮気体を動力源とするモーターであるエアーモーター8と、非常事態用センサーである水位センサー14、地震センサー19とを具備する。そして、水位センサー14または地震センサー19が非常事態を検知すると、電源供給・通信ケーブル17を介して制御盤13に信号が送られ、圧縮気体の流れる方向を切り替える方向制御弁10をエアーモーター8に圧縮気体が流れるよう開放し、エアーモーター8の回転に連動する駆動機構が作動して車輪9が回転し、陸閘2を駆動させることができる。
【0020】
また、陸閘2には、さらに、陸閘全開点検出センサー3、陸閘開減速点検出センサー4、陸閘閉減速点検出センサー6、陸閘全閉点検出センサー7など、陸閘2の駆動を検知するための各種センサーを設けてもよい。
【0021】
陸閘2の一端側に載置された陸閘全開点検出センサー3は、陸閘2が閉門しているかを検知する手段であり、閉門時に左側の堤防1を検出したとき、制御盤13に信号が送られ、圧縮気体の供給を停止するよう方向制御弁10を調節しエアーモーター8の回転を止めて、駆動機構の駆動を停止し、陸閘2の駆動を停止する。そして、陸閘2の他端側に載置された陸閘閉減速点検出センサー6は、陸閘2が完全に閉門する直前であることを検知する手段であり、閉門時に右側の堤防1を検出しなくなったとき、制御盤13に信号が送られ、圧縮気体の供給量を減少するよう方向制御弁10を調節し、エアーモーター8の回転に連動する陸閘2の速度を減速する。この陸閘閉減速点検出センサー6を設けることにより、閉門時に陸閘2へ大きな衝撃が加わり、内部の種々の構成が破損することを防止し、そして、避難する人、家畜等の陸閘2と堤防1との間で挟みこむことを防止することができる。
【0022】
一方、陸閘2の一端側に載置された陸閘開減速点検出センサー4は、陸閘2が全開間近であることを検出する手段であり、開門時に左側の堤防1を検出しなくなったとき、制御盤13に信号が送られ、圧縮気体の供給量を減少するよう方向制御弁10を調節し、エアーモーター8の回転に連動する陸閘2の速度を減速する。この陸閘開減速点検出センサー6を設けることにより、開門時に陸閘2へ大きな衝撃が加わり、内部の種々の構成が破損することを防止する。また、陸閘開閉指令5(手動・無線遠隔等)で操作指令する。そして、陸閘2の他端側に載置された陸閘閉点検出センサー7は、陸閘2が開門しているかを検知する手段であり、開門時に右側の堤防1を検出したとき、制御盤13に信号が送られ、圧縮気体の供給を停止するよう方向制御弁10を調節しエアーモーター8の回転を止めて、駆動機構の駆動を停止し、陸閘の駆動を停止する。
【0023】
図1において駆動機構の全体を示していないが、エアーモーター8の回転によりエアーモーター8に取り付けられたモーターギアと、前記モーターギアに係止するリング状に形成されたチェーンと、前記チェーンに係止する車輪9で構成されるなど、エアーモーター8の回転の動きを車輪9に伝え車輪9が回転できればよい。
【0024】
レギュレータ11は、圧縮気体タンク12に取り付けられ、圧縮気体の圧力が高いとき、エアーモーター8側の圧力を所定の一定の圧力にたもつ。圧縮気体タンク12は、圧縮空気、圧縮窒素、圧縮アルゴンなど不活性である圧力気体を蓄え、その圧縮気体を陸閘2の動力源とする。陸閘2の内部に設けられた制御盤13は、陸閘2の駆動をシーケンス制御する装置であり、陸閘全開点検出センサー3、陸閘開減速点検出センサー4、陸閘閉減速点検出センサー6、陸閘全閉点検出センサー7、方向制御弁10などと接続される。
【0025】
水位センサー14は、増水した河川や海の水等を検出する検出手段である。電源装置15は、全てを気体により制御する場合において制御盤13及び方向制御弁10に電気を供給するものであり、リチウム電池をはじめ一次電池・太陽電池・二次電池の組み合わせ・商用AC100V電源等によるバックアップ等の組み合わせ等を使用することができる。設置場所は陸閘2が駆動するまえに浸水などダメージを受けない場所・水密防水構造等などの構造を講じることが好ましい。
【0026】
電源供・通信ケーブルリール16は、陸閘2の駆動に伴ってケーブルを適切延伸・巻き込みを行う。電源供給及び通信ケーブル17は陸閘2の操作に必要な電源と信号を送る。
【0027】
太陽電池パネル18は電源装置15に給電し二次電池を充電する。地震センサー19は、例えば震度4などの基準以上の地震を検出する検出手段である。
【0028】
保安灯20はセンサーにより夜間点燈し安全を図るとともに電源装置15の健全性をモニターする。サイレン・赤色回転灯21は陸閘2の駆動時サイレン及び赤色回転灯により周囲に警告する。
【0029】
なお、
図1には示さないが、陸閘2の内部に車輪9に動力を伝える電動モーターが設けられ、通常時には電動モーターにより陸閘2を駆動させ、緊急時にはエアーモーター8により駆動させる。
【0030】
(実施例2)
図2〜8に示すように、陸閘2は、圧縮気体タンク12と、圧縮気体タンク12に蓄えられた圧縮気体を動力源とするモーターであるエアーモーター8と、非常事態用センサーである地震センサー19とを具備する。そして、地震センサー19が非常事態を検知すると、制御盤13に信号が送られ、圧縮気体の流れる方向を切り替える方向制御弁10をエアーモーター8に圧縮気体が流れるよう開放し、エアーモーター8の回転に連動する駆動機構が作動して車輪9が回転し、陸閘2を駆動させることができる。なお、本実施例において非常事態用センサーは、地震センサー19を用いているがこれに限られるものではない。
【0031】
さらに、緊急時において、固定板81に固定されたエアーモーター8は、圧縮気体タンク12から開放された圧縮気体が、シリンダー用方向制御弁10Aを介して一端が固定板81に固定されたアクチュエータAを伸縮させることにより、固定板81の上部を中心に左右に揺動することができる。エアーモーター8が一方側に揺動すると、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGは作動ギアWGと噛合し、また、エアーモーター8が他方側に揺動すると、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGは駆動ギアDGと噛合する。また、エアーモーター8の内部における圧縮気体が流れる方向を制御することによって、モーターギアMGを正回転だけでなく、逆回転もさせることができる。
【0032】
作動ギアWGは、通常時において、外部の電力によって作動する電動モーターEM2の回転と連動する傘歯車BG1、及び、電動モーターEM3の回転と連動する傘歯車BG2とは連動しておらず、電動モーターEM2、EM3の動力が伝わらない。しかし、緊急時において、作動ギアWGは、圧縮気体タンク12から開放された圧縮気体がシリンダー用方向制御弁10Aを介してアクチュエータAを作動させ固定板81を作動ギアWG側に揺動し、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGと連動することができる。そして、同時に、
図6に示すように圧縮気体がシリンダー用方向制御弁10Bを介してシリンダーCY1を作動させ、傘歯車BG1と傘歯車BG2との間に位置するバネの付勢力に抗うことにより、作動ギアWGは、傘歯車BG1と傘歯車BG2とに連動することができる。そして、モーターギアMGと噛合した作動ギアWGが傘歯車BG1を回転させることにより、連動するシャフトS1と螺合する略L字状の車輪支持材91に取り付けられた車輪9が、陸閘2の内部へ収納され、又は、陸閘2の外部へ進出し得る。また、モーターギアMGと噛合した作動ギアWGが傘歯車BG2を回転させることにより、連動するシャフトS2と螺合する部材により係止部材である係止爪CRが、堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zと係止し、又は係止を解錠することができる。
【0033】
この緊急時において、作動ギアWGの回転により、係止爪CRは、車輪9が進出するときには堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zと係止を解錠するよう設けられ、そして、係止爪CRは、車輪9が収納されるときには堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zと係止するよう設けられている。また、シャフトS1、S2における傘歯車BG1、BG2側には、ジョイントが設けられているので、シャフトS1、S2の傾斜角度が変わっても作動ギアWGの回転による動力を伝えることができる。なお、作動ギアWGは、その中心から延設されたハンドルH1を設けており、電動モーターEM2、EM3だけでなく、何らかの理由でエアーモーター8も作動しなくなった場合には、手動で作動ギアWGを回転させることができる。
【0034】
駆動ギアDGは、通常時において、電動モーターEM1に取り付けられたギアと噛合し、外部の電力によって作動する電動モーターEM1の回転による動力が伝えられる。そして、緊急時において、駆動ギアDGは、圧縮気体タンク12から開放された圧縮気体がアクチュエータAを介して固定板81を駆動ギアDG側に揺動し、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGと噛合することができる。駆動ギアDGには、チェーンCHが取り付けられており、電動モーターEM1またはエアーモーター8の回転による動力を、チェーンCHを介して車輪9に伝え、車輪9を回転させることができる。なお、駆動ギアDGは、その中心から延設されたハンドルH2を設けており、電動モーターEM1だけでなく、何らかの理由でエアーモーター8も作動しなくなった場合には、手動で駆動ギアDGを回転させることができる。
【0035】
また、陸閘2の一端側には、人が通行可能に設けられた退避扉EDが設けられており、緊急時において、圧縮気体タンク12から開放された圧縮気体が、シリンダー用方向制御弁10Cを介して一端が退避扉EDの錠に固定されたシリンダーCY2を縮めることにより、錠を解除し退避扉EDの開閉を手動で行うことができる。なお、シリンダーCY2の伸縮動作については、スイッチ群SWに設けられた所定のボタンにより操作することができる。
【0036】
そして、
図9(a)に、通常時又は緊急時において、係止部材である係止爪CRが、堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zと係止している状態を示している。そして、
図9(b)に、通常時又は緊急時において、係止部材である係止爪CRが、堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zとの係止が解錠した状態を示している。
図9(b)に示すように、シャフトS2が回転すると、シャフトS2と螺合する部材がシャフトS2上を移動することにより、その部材と連動する係止爪CRが、係止爪CRの根元側にある軸を中心に回動し、堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zとの係止を解錠することができる。
【0037】
そして、
図10に、
図2、
図4、
図7で示すバルブボックスVBの内容物について、それらに接続されている部材も含め、緊急時における圧縮気体の流路及び制御に関する概念図を示す。圧縮気体タンク12から流れ出た圧縮気体は、レギュレータ11を介してソレノイドバルブSVに至る。ソレノイドバルブSVは、
図2などに示す地震センサー19で検知された情報を基に制御盤13から圧縮気体を下流側に開放するよう制御される。そして、方向制御弁10は、制御盤13から、エアーモーター8を所定の方向に回転させるように圧縮気体を流すよう制御される。そして、シリンダー用方向制御弁10Aは、制御盤13から、モーターギアMGが作動ギアWGに噛合する方向へアクチュエータAを作動させるように圧縮気体を流すよう制御される。そして、シリンダー用方向制御弁10Bは、傘歯車BG1と傘歯車BG2との間に位置するバネの付勢力に抗うように、すなわち、傘歯車BG1と傘歯車BG2とが作動ギアWGに連動する方向へシリンダーCY1を作動させるように圧縮気体を流すよう制御される。その後、シリンダー用方向制御弁10Aは、制御盤13から、モーターギアMGが駆動ギアDGに噛合する方向へアクチュエータAを作動させるように圧縮気体を流すよう制御される。このようにして、緊急時において、圧縮気体を用いて、車輪9が陸閘2の外部へ進出し、その後に車輪9を回転させ陸閘2により閉じることができる。その後の動作に関して、方向制御弁10、シリンダー用方向制御弁10A、10B、10Cは、適宜制御盤13から制御される。また、方向制御弁10に繋がる流路には図示する絞り弁を付設することもできる。なお、
図2、
図4、
図7において、ソレノイドバルブSV、方向制御弁10、シリンダー用方向制御弁10A、10B、10Cが箱状のバルブボックスVBに納めら得ているが、バルブボックスVBを有さなくてもよい。
【0038】
なお、本実施例において、陸閘2の上面にサイレン・赤色回転灯21が設けられている。また、図示しないが、実施例1で述べた陸閘全開点検出センサー3、陸閘開減速点検出センサー4、陸閘閉減速点検出センサー6、陸閘全閉点検出センサー7が、制御盤13と接続されていることが好ましい。
【0039】
次に、本実施例の使用方法について説明する。
まず、外部からの電気エネルギーを使用することができる通常時において、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGが、作動ギアWG及び駆動ギアDGに噛合することなく、電動モーターEM2により車輪9が陸閘2の外部へ進出し、その後に電動モーターEM1により車輪9を回転させ陸閘2により閉じる。さらに、その後、
図1及び
図2に示すように、電動モーターEM2により車輪9が陸閘2の内部へ収納され、電動モーターEM3により係止爪CRが堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zと係止する。なお、この通常時において、制御盤13は、スイッチ群SWのボタンが押されたこと、又は、パソコン、携帯電話等での有線又は無線の遠隔操作により、電動モーターEM1、EM2、EM3を適宜制御することができる。
【0040】
そして、外部からの電気エネルギーを使用することができない緊急時において、陸閘2が空いている状態において地震が起こると、
図2などに示す地震センサー19で検知された揺れの情報を基に制御盤13から圧縮気体を下流側に開放するようソレノイドバルブSVが制御される。そして、
図4、
図5に示すように、方向制御弁10を介してエアーモーター8が所定の方向に回転し、さらに、シリンダー用方向制御弁10Aを介してアクチュエータAを作動させて、固定板81を作動ギアWG側に揺動し、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGが作動ギアWGに噛合されられる。そして、
図6に示すように、シリンダー用方向制御弁10Bを介してシリンダーCY1を作動させて、傘歯車BG1と傘歯車BG2とが作動ギアWGに連動されられる。このようにして、エアーモーター8の回転による動力が、モーターギアMG、作動ギアWG、傘歯車BG1、傘歯車BG2、シャフトS1、シャフトS2に伝えられ、車輪9が陸閘2の外部へ進出し、係止爪CRが係止を解錠する方向に動く。なお、ソレノイドバルブSV、方向制御弁10、シリンダー用方向制御弁10A、10B、10Cを作動させるために、図示しない電源装置15が陸閘2の内部に収められている。
【0041】
そして、その後、
図7、
図8に示すように、シリンダー用方向制御弁10Aを介してアクチュエータAを作動させて、固定板81を駆動ギアDG側に揺動し、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGが駆動ギアDGに噛合されられる。このようにして、エアーモーター8の回転による動力が、モーターギアMG、駆動ギアDG、チェーンCHに伝えられ、車輪9を回転させ陸閘2により閉じることができる。
【0042】
そして、さらにその後、シリンダー用方向制御弁10Aを介してアクチュエータAを作動させて、固定板81を作動ギアWG側に揺動し、エアーモーター8に取り付けられたモーターギアMGが作動ギアWGに噛合されられる。そして、
図7、
図8に示す状態から、方向制御弁10を切り替えてエアーモーター8を逆回転させて、エアーモーター8の回転による動力が、モーターギアMG、作動ギアWG、傘歯車BG1、傘歯車BG2、シャフトS1、シャフトS2に伝えられ、車輪9が陸閘2の内部へ収納され、係止爪CRが堤防1の端部に設けられた係止受部材1Zと係止する方向に動く。こうして、外部からの電気エネルギーを使用することができなくなった場合においても、圧縮気体タンク12の圧縮気体を用いることにより、陸閘2により閉じることができる。また、逆に陸閘2により開けるときにはスイッチ群SWの所定のボタンを押すことにより、上記の陸閘2により閉じるときとは逆の動作を行い、開けるように駆動する。