(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979493
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】エンジンの排気マフラ
(51)【国際特許分類】
F01N 1/08 20060101AFI20160817BHJP
F01N 13/18 20100101ALI20160817BHJP
【FI】
F01N1/08 G
F01N1/08 L
F01N13/18
F01N1/08 K
F01N1/08 H
F01N1/08 J
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-273209(P2012-273209)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2014-118851(P2014-118851A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】立石 博康
(72)【発明者】
【氏名】倉田 佳明
【審査官】
山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−031888(JP,A)
【文献】
特開2006−207416(JP,A)
【文献】
特開平07−309296(JP,A)
【文献】
特開2008−038852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−1/24
F01N 5/00−5/04
F01N 13/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴体(2),及びこの胴体(2)の軸方向両端面を閉塞する第1及び第2端壁(3,4)よりなるマフラ本体(1)と,このマフラ本体(1)の内部を複数の消音室(15,16)に仕切る隔壁(18)と,この隔壁(18)に,それを貫通して支持される消音管(23)と,前記胴体(2)の側壁に,それを貫通して支持されて前記消音管(23)に連通する入口管(8)を備える,エンジンの排気マフラにおいて,
前記胴体(2)を,その軸方向に分割された第1及び第2胴部(2a,2b)の対向端部を相互に嵌合し溶接して構成し,その第2胴部(2b)に前記隔壁(18)を設ける一方,第1胴部(2a)は前記第1端壁(3)と一体の有底円筒状であり,その側壁に前記入口管(8)を設け,前記入口管(8)と前記消音管(23)とをL字管(27)を介して相互に連通し,前記L字管(27)の一端部は,前記入口管(8)または前記消音管(23)の一方と溶接され,その他端部は,前記入口管(8)または前記消音管(23)の他方と嵌合され,前記隔壁(18)及び前記第1端壁(3)により出口管(24)の両端部を支持し,前記入口管(8)と前記出口管(24)とは略直角に位置するようにしたことを特徴とする,エンジンの排気マフラ。
【請求項2】
請求項1記載のエンジンの排気マフラにおいて,
前記第1胴部(2a)を,その長さ(L1)が前記第2胴部(2b)の長さ(L2)より短くなるように形成し,この第1胴部(2a)と,それに対応する前記第1端壁(3)とを,絞り成形した単一のカップ体(5)で構成したことを特徴とする,エンジンの排気マフラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエンジンの排気マフラにおいて,
前記第1胴部(2a)に,前記入口管(8)又は出口管(24)を支持する,バーリング加工された支持ボス(6)を形成したことを特徴とする,エンジンの排気マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,筒状の胴体,及びこの胴体の軸方向両端面を閉塞する第1及び第2端壁よりなるマフラ本体と,このマフラ本体の内部を複数の消音室に仕切る隔壁と,この隔壁に,それを貫通して支持される消音管と,前記胴体の側壁に,それを貫通して支持されて前記消音管の一端部に連通する入口管又は出口管とを備える,エンジンの排気マフラの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝるエンジンの排気マフラは,特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−31888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるようなエンジンの排気マフラでは,マフラ本体を,鋼板を丸めて一体に形成した単一の胴体と,この胴体の両端部に溶接される端壁とで構成し,胴体に固定される隔壁に支持される消音管に,その軸線と直交する方向に屈曲するL字管を接続し,このL字管と,胴体の側壁にそれを貫通するように支持される入口管とを嵌合して溶接している。
【0005】
こうした排気マフラの構造では,L字管は,胴体に固定される隔壁に消音管を介して支持されることになるから,胴体に直接支持される入口管との嵌合位置を整合させることに高い加工精度が要求され,これが製作コストをアップさせることになる。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,L字管を消音管に接続した場合には,L字管と,胴体に支持される入口管又は出口管との嵌合位置合わせが容易であり,あるいはL字管を胴体に支持される入口管又は出口管に接続した場合には,L字管と,隔壁に支持される消音管との嵌合位置合わせが容易であり,高精度を要することなく容易に組立て得るようにした,エンジンの排気マフラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,筒状の胴体,及びこの胴体の軸方向両端面を閉塞する第1及び第2端壁よりなるマフラ本体と,このマフラ本体の内部を複数の消音室に仕切る隔壁と,この隔壁に,それを貫通して支持される消音管と,前記胴体の側壁に,それを貫通して支持されて前記消音管に連通する入口管
を備える,エンジンの排気マフラにおいて,前記胴体を,その軸方向に分割された第1及び第2胴部の対向端部を相互に嵌合し溶接して構成し,その第2胴部に前記隔壁を設ける一方,第1胴部
は前記第1端壁と一体の有底円筒状であり,その側壁に前記入口管
を設け,
前記入口管
と前記消音管とをL字管を介して相互に連通し,前記L字管の一端部は,前記入口管
または前記消音管の一方と溶接され,その他端部は,前記入口管
または前記消音管の他方と嵌合され,
前記隔壁及び前記第1端壁により出口管の両端部を支持し,前記入口管と前記出口管とは略直角に位置するようにしたことを第1の特徴とする。尚,前記出口管は,後述する本発明の実施形態中の第2消音管24に対応し,また前記隔壁は,同実施形態中の第1隔壁18に対応する。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記第1胴部を,その長さが前記第2胴部の長さより短くなるように形成し,この第1胴部と,それに対応する前記第1端壁とを,絞り成形した単一のカップ体で構成したことを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記第2胴部に,前記入口管又は出口管を支持する,バーリング加工された支持ボスを形成したことを第3の特徴とする
。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば,胴体を,その軸方向に分割された第1及び第2胴部の対向端部を相互に嵌合し溶接して構成し,その第2胴部に隔壁を設ける一方,第1胴部に入口管又は出口管を設け,この入口管又は出口管と消音管とをL字管を介して相互に連通し,L字管の一端部は,入口管又は出口管と消音管との一方と溶接され,その他端部は,入口管又は出口管と消音管との他方と嵌合されるので,排気マフラの組立時,入口管とL字管,又はL字管と消音管の嵌合位置合わせを,第1及び第2胴部の嵌合部相互を僅かにずらす微調整により容易に達成することができ,したがって排気マフラを高精度を要することなく容易に組立てることが可能となり,製作コストの低減に寄与し得る。
【0011】
また,第1胴部にL字管を介して消音管に連通する入口管を設け,隔壁及び第1端壁により出口管の両端部を支持したので,入口管及び出口管が第1胴部及び第1端壁に集中することになり,第1胴部及び第1端壁の強度を高め得る他,排ガスがマフラ本体の全体を巡ることになり,消音効果を高めることができる。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば,第1胴部を,その長さが第2胴部の長さより短くなるように形成し,この第1胴部と,それに対応する第1端壁とを,一体に絞り成形したカップ体で構成したので,カップ体は比較的浅いものとなり,これを容易に絞り成形することができる。しかもカップ体は高剛性を有するので,その第1胴部に入口管を支持させる際,その両者間に補強部材を設ける必要がなくなり,部品点数の削減により,軽量化を図ると共にコストの一層の低減を図ることができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば,第1胴部に,入口管又は出口管を支持する,バーリング加工された支持ボスを形成したので,支持ボスを第1胴部に高精度に形成することが可能となり,この支持ボスに支持される入口管又は出口管とL字管との嵌合位置合わせを正確に行うことができる
。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るエンジンの排気マフラの縦断平面図(
図2の1−1線断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0016】
先ず,
図1及び
図2において,Mは自動車用エンジンの排気マフラであって筒状をなしており,その軸方向を車幅方向に合わせて車体の床下に配置される。この排気マフラMのマフラ本体1は,断面楕円形の筒状
の胴体2と,胴体2の軸方向両端面を閉塞する第1及び第2端壁3,4とで構成される。また胴体2は,その軸方向に分割された第1及び第2胴部2a,2bよりなっており,第1胴部2aは,その長さL1が第2胴部2bの長さL2よりも短くなるように形成され,この第1胴部2aと,それに対応する前記第1端壁3とは,鋼板を絞り成形した単一のカップ体5で構成される。第2胴部2bは,鋼板を丸めて対向した両端縁を相互に溶接した構成され,これに第2端壁4が嵌合して溶接される。そして上記第1及び第2胴部2a,2bの対向端部は,相互に嵌合して溶接される。
【0017】
第1胴部2aの側壁には,その外側方に突出する第1支持ボス6がバーリング加工により形成され,この第1支持ボス6に,それを貫通するように嵌合した入口管8が溶接される。この入口管8の外端には第1連結フランジ9が溶接されており,この第1連結フランジ9に,図示しないエンジンから延出した排気管11の下流端の第2連結フランジ10がボルト12で結合される。
【0018】
一方,第2胴部2bには,マフラ本体1内を,第1端壁3側から第1,第2,第3消音室15〜17に仕切る第1及び第2隔壁18,19が相互に間隔を置いて溶接され,第1隔壁18には,第1及び第2消音室15,16間を連通する多数の消音孔20,20…(
図3参照)が,また第2隔壁19には,第2及び第3消音室16,17間を連通する少数の通孔21,21…(
図4参照)がそれぞれ穿設されている。
【0019】
また第1及び第2隔壁18,19には,これらを貫通する第1消音管23が溶接され,この第1消音管23には,第2消音室16に開口する多数の消音孔25,25…が穿設されている。この第1消音管23の,第1消音室15側の一端部には,前記第1支持ボス6に向かって屈曲するL字管27の内端部が嵌合して溶接され,第1消音管23の他端部は第3消音室17に開口する。
【0020】
上記L字管27の外端部には,第1支持ボス6に支持される前記入口管8の内端部が嵌合される。L字管27は,鋼板にL字状に屈曲した半円筒部28と,その両側縁より張り出すフランジ29,29とを形成してなる一対のL字管半体27a,27aよりなるもので,これらL字管半体27a,27aは,両方の半円筒部28,28の開放面を対向させるように重ねられ,両方のフランジ29,29を相互に溶接して結合される。
【0021】
而して,このL字管27の内端部内周面に前記第1消音管23が嵌合して溶接され,その外端部内周面に前記入口管8が嵌合されるが,溶接は行われない。
【0022】
また第1隔壁18には,これを貫通する第2消音管24が溶接され,この第2消音管24の外端部は,前記第1端壁3にバーリング加工により形成されて外向きに突出する第2支持ボス7の内周面に嵌合して溶接される。この第2消音管24の外周には,吸音材34を充填した外筒33が嵌装されており,その吸音材34に向かって開口する多数の消音孔35,35…が第2消音管24に穿設されている。
【0023】
次に,この実施形態の作用について説明する。
【0024】
エンジンより排気管11を通して排出される排ガスは,入口管8及びL字管27を経て第1消音管23に導入され,その排ガスの音波は,第1消音管23の多数の消音孔25,25…から第2消音室16に分散することで減衰,消音される。また第1消音管23を通過した排ガスは,第3消音室17に排出されることで膨張し,こゝでも音波は減衰,消音される。
【0025】
第3消音室17に移った排ガスは,第2隔壁19の少数の通孔21,21…で絞られながら第2消音室16に移り,再び膨張し,ここでも音波の減衰,消音が行われる。また第2消音室16の音波は,第1隔壁18の多数の消音孔20,20…を通過して第1消音室15に分散するので,さらに消音される。
【0026】
第2消音室16に移った排ガスは,第2消音管24に入り,これを通過する間に,その音波が,多数の消音孔35,35…を経てその外周の吸音材34に吸収,消音される。こうして消音された排ガスは第2消音管24から大気に放出される。
【0027】
このような排気マフラMの組立てに当たっては,
図5に示すように,先ず,第1及び第2隔壁18,19に第1消音管23を嵌挿して溶接し,また第1隔壁18に第2消音管24を嵌挿して溶接し,そして上記第1及び第2隔壁18,19を第2胴部2bの内周面の定位置まで嵌装して,レーザにより第2胴部2bに溶接する。次いで,第1消音管23の外端部にL字管27を嵌合して溶接するのであるが,その際,L字管27は,その外端部が,次工程で組み付けられる第1胴部2aの第1支持ボス6と同軸に並ぶように配置される。
【0028】
次いで,第1胴部2aを第2胴部2bに嵌合して,前記L字管27の外端部に第1支持ボス6の位置を合わせると共に,第2消音管24の外端部に第2支持ボス7を嵌合する。
【0029】
次いで,入口管8を第1支持ボス6に挿入して,その内端部を前記L字管27の外端部に嵌入する。その際,入口管8とL字管27との嵌合位置が多少ずれていても,第1及び第2胴部2a,2bの嵌合部を相互に僅かにずらす微調整によって,その嵌合位置を容易に合わせることができる。入口管8とL字管27との嵌合状態を得た後,第1及び第2胴部2a,2bの嵌合部を溶接し,また入口管8を第1支持ボス6に,第2消音管24を第2支持ボス7にそれぞれ溶接して,排気マフラMの組立ては完了する。かくして,排気マフラMを高精度を要することなく容易に組立てることが可能となり,製作コストの低減に寄与し得る。
【0030】
図6は排気マフラMの別の組立要領を示す。この場合は,先ず,第1胴部2aの第1支持ボス6に入口管8を嵌挿して溶接し,この入口管8の内端部にL字管27を嵌合して溶接する。その際,L字管27は,その内端部が第1消音管23の外端部と同軸に並ぶように配置される。一方,第2胴部2bには,第1及び第2消音管23,24を溶接した第1及び第2隔壁18,19を嵌装して溶接する。次いで第1及び第2胴部2a,2bを互いに嵌合して,第1消音管23の外端部にL字管27の内端部を嵌合すると共に,第2消音管24の外端部を第2支持ボス7に嵌合する。その際,第1消音管23とL字管27との嵌合位置が多少ずれていても,第1及び第2胴部2a,2bの嵌合部を相互に僅かにずらす微調整によって,その嵌合位置を容易に合わせることができる。その後,第1及び第2胴部2a,2bの嵌合部を溶接し,また第2消音管24を第2支持ボス7に溶接して,排気マフラMの組立ては完了する。この場合も,排気マフラMを高精度を要することなく容易に組立てることが可能となり,製作コストの低減に寄与し得る。
【0031】
このような排気マフラMにおいて,第1胴部2aを,その長さL1が第2胴部2bの長さL2より短くなるように形成し,この第1胴部2aと,それに対応する第1端壁3とを,一体に絞り成形したカップ体5で構成したので,カップ体5は比較的浅いものとなり,これを容易に絞り成形することができる。しかもカップ体5は高剛性を有するので,その第1胴部2aに入口管8を支持させる際,その両者間に補強部材を設ける必要がなくなり,部品点数の削減により,軽量化を図ると共にコストの一層の低減を図ることができる。
【0032】
また第1胴部2aには,入口管8を支持する,バーリング加工された第1支持ボス6を形成したので,第1支持ボス6を第1胴部2aに高精度に形成することが可能となり,この第1支持ボス6に支持される入口管8とL字管27との嵌合位置合わせを正確に行うことができる。
【0033】
さらに第1胴部2aには,L字管27を介して第1消音管23に連通する入口管8を設け,第1隔壁18及び第1端壁3により第2消音管24(出口管)の両端部を支持したので,入口管8及び第2消音管24が第1胴部2a及び第1端壁3に集中することになり,第1胴部2a及び第1端壁3の強度を高め得る他,排ガスがマフラ本体1の全体を巡ることになり,消音効果を高めることができる。
【0034】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,第2消音管24(出口管)を入口管に,入口管8を出口管に置き換えることもできる。
【符号の説明】
【0035】
M・・・・・・排気マフラ
1・・・・・・マフラ本体
2・・・・・・胴体
2a・・・・・第1胴部
2b・・・・・第2胴部
3・・・・・・第1端壁
4・・・・・・第2端壁
5・・・・・・カップ体
6・・・・・・支持ボス(第1支持ボス)
8・・・・・・入口管
15,16・・・消音室(第1,第2消音室)
18・・・・・隔壁(第1隔壁)
23・・・・・消音管(第1消音管)
24・・・・・出口管(第2消音管)
27・・・・・L字管