(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3をそれぞれ有する少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメインを含むVEGF結合分子であって、
前記CDR1がアミノ酸配列SYSMGを有し、
前記CDR2がアミノ酸配列AISKGGYKYDAVSLEGを有し、
前記CDR3がアミノ酸配列SRAYGSSRLRLADTYEYを有し、
DLL4結合ドメインを含まず、
ヒト組換えVEGF165とヒト組換えVEGFR-2との相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができる、前記VEGF結合分子。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
特段の指示又は規定がなければ、用いられる全ての用語は当業界でのそれらの通常の意味を有する(前記は当業者には明白であろう)。例えば、標準的な手引書、例えば以下(Sambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual" (2nd Ed.), VoIs. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989);Lewin, "Genes IV", Oxford University Press, New York, (1990);及びRoitt et al., "Immunology" (2nd Ed.) (1989), Gower Medical Publishing, London, New York)の他に、本明細書に引用した一般的な背景技術を参照できる。さらにまた特段の指示がなければ、特別に詳細に記載されていない全ての方法、技術及び操作は、当業者には明白であるのでそれ自体公知の態様で実施することが可能であり、さらにこれまで実施が可能であった。繰り返せば、例えば標準的な手引書、上記で参照した一般的な背景技術、及び本明細書で引用するさらに別の参考文献を参照できる。
【0009】
特段の指示がなければ、“免疫グロブリン”及び“免疫グロブリン配列”という用語(本明細書で重鎖抗体又は通常の4鎖抗体のどちらを指すために用いられていようとも)は一般的な用語として用いられ、完全なサイズの抗体、その個々の鎖の他に前記の全ての部分、ドメイン又はフラグメント(抗原結合ドメイン又はフラグメント、例えばそれぞれVHHドメイン又はVH/VLドメインを含むが、ただしこれらに限定されない)を含む。さらに、本明細書で用いられる“配列”(例えば“免疫グロブリン配列”、“抗体配列”、“(単一)可変ドメイン配列”、“VHH配列”又は“タンパク質配列”のような用語として用いられる)という用語は、文脈がより限定的な解釈を要求していない場合は、一般的には、対応するアミノ酸配列及び前記をコードする核酸配列又はヌクレオチド配列の両方を含むと理解されるべきである。
本明細書で用いられる(ポリペプチド又はタンパク質の)“ドメイン”という用語は、その三次元構造をタンパク質の他の部分とは別個に維持する能力を有する折り畳まれたタンパク質構造を指す。一般的には、ドメインはタンパク質のそれぞれ別個の機能的特性をもたらし、多くの場合当該タンパク質及び/又は当該ドメインの残りの部分の機能を損なうことなく、付加し、除去しまたは他のタンパク質に移転させることができる。
【0010】
本明細書で用いられる“免疫グロブリンドメイン”という用語は、抗体鎖(例えば通常の4鎖抗体又は重鎖抗体の鎖)の球形領域、又は本質的にそのような球形領域から成るポリペプチドを指す。免疫グロブリンドメインは、抗体分子に特徴的な免疫グロブリンのひだを保持するという特徴を有する。前記ひだは、2つのベータシート内に編成された(場合によって保存ジスルフィド結合によって安定化されている)約7つのアンチパラレルベータ鎖をもつ2層のサンドイッチから成る。
本明細書で用いられる“免疫グロブリン可変ドメイン”という用語は、本質的に4つの“フレームワーク領域”から成る免疫グロブリンドメインを意味する。前記フレームワーク領域は、当分野及び下記で“フレームワーク領域1”若しくは“FR1”、“フレームワーク領域2”若しくは“FR2”、“フレームワーク領域3”若しくは“FR3”、“フレームワーク領域4”若しくは“FR4”とそれぞれ称され、前記フレームワーク領域は、3つの“相補性決定領域”又は“CDR”によって中断され、それらは、当分野及び下記ではそれぞれ“相補性決定領域1”若しくは“CDR1”、“相補性決定領域2”若しくは“CDR2”、“相補性決定領域3”若しくは“CDR3”と称される。したがって、免疫グロブリン可変ドメインの一般的構造又は配列は以下のように示すことができる:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。抗原結合部位を保持することによって抗原に対する特異性を抗体に付与するのはこの免疫グロブリン可変ドメインである。
【0011】
本明細書で用いられる“免疫グロブリン単一可変ドメイン”は、さらに別の可変免疫グロブリンドメインと対を形成することなくある抗原のエピトープと特異的に結合することができる免疫グロブリン可変ドメインを意味する。本発明のこの意味での免疫グロブリン単一可変ドメインの一例は、“ドメイン抗体”、例えば免疫グロブリン単一可変ドメインVH及びVL(VHドメイン及びVLドメイン)である。免疫グロブリン単一可変ドメインの別の例は、本明細書に定義するラクダ科動物由来の“VHHドメイン”(又は単に“VHH”)である。
上記定義の観点から、通常の4鎖抗体(例えば当業界で公知のIgG、IgM、IgA、IgD又はIgE分子)の抗原結合ドメイン、又はFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント(例えばジスルフィド結合連結Fv又はscFvフラグメント)若しくは前記通常的4鎖抗体から誘導されるジアボディ(いずれも当業界では公知である)の抗原結合ドメインは、通常では免疫グロブリン単一可変ドメインとみなされないであろう。なぜならば、これらの事例では、抗原の対応するエピトープとの結合は通常一免疫グロブリンドメインによって生じるのではなく、一対の(結合)免疫グロブリンドメイン(例えば軽鎖および重鎖可変ドメイン)によって、すなわち免疫グロブリンドメインのVH-VL対(前記は一緒になって対応する抗原のエピトープと結合する)によって生じるからである。
【0012】
“VHHドメイン”(VHH、V
HHドメイン、VHH抗体フラグメント及びVHH抗体としても知られている)は、最初は“重鎖抗体”(すなわち“軽鎖を欠く抗体”)の抗原結合免疫グロブリン(可変)ドメインとして記載された(Hamers-Casterman C, Atarhouch T, Muyldermans S, Robinson G, Hamers C, Songa EB, Bendahman N, Hamers R.: "Naturally occurring antibodies devoid of light chains"; Nature 1993, 363:446-448)。“VHHドメイン”という用語は、通常の4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(前記は本明細書では“V
Hドメイン”又は“VHドメイン”と称する)及び通常の4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(前記は本明細書では“V
Lドメイン”又は“VLドメイン”と称する)に由来するこれら可変ドメインと区別するために選択された。通常の4鎖抗体のVH又はVLドメインとは対照的に(前記事例ではエピトープはVHドメインと一緒になったVLドメインによって認識される)、VHHドメインは、さらに別の抗原結合ドメインの非存在下でエピトープと特異的に結合することができる。VHHドメインは、ただ1つの免疫グロブリンドメインによって形成される小さく強力で効率的な抗原認識ユニットである。
本発明の関係では、VHHドメイン、VHH、V
HHドメイン、VHH抗体フラグメント、VHH抗体、の他に“ナノボディ(Nanobody(商標))”及び“ナノボディ(商標)ドメイン”(“ナノボディ(Nanobody)”とはAblynx N.V.社(Ghent; Belgium)の商標である)は相互に用いられ、免疫グロブリン単一可変ドメインの代表例(構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を有し、第二の免疫グロブリン可変ドメインの存在を必要としないでエピトープと特異的に結合する)であり、いわゆる“認証残基”(例えばWO 2009/109635、
図1で定義される)によりVHドメインとは区別される。
【0013】
免疫グロブリン一可変重鎖ドメイン、例えばVHHのアミノ酸残基は、Kabatら("Sequence of proteins of immunological interest", US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)によって提供されたV
Hドメインのための一般的番号付与にしたがって番号が付与され、Riechmann and Muyldermansの論文(J. Immunol. Methods 231:25-38, 1999)の例えば
図2に示されているラクダ科動物由来のVHHドメインに適用されているとおりである。この番号付与にしたがえば、
−FR1は1−30位のアミノ酸残基を含み、
−CDR1は31−35位のアミノ酸残基を含み、
−FR2は36−49位のアミノ酸残基を含み、
−CDR2は50−65位のアミノ酸残基を含み、
−FR3は66−94位のアミノ酸残基を含み、
−CDR3は95−102位のアミノ酸残基を含み、
−FR4は103−113位のアミノ酸残基を含む。
【0014】
しかしながら、V
Hドメイン及びVHHドメインについて当業界で周知のように、CDRの各々のアミノ酸残基の総数は変動することがあり、Kabatの番号付与によって示されるアミノ酸残基の総数とは一致しないことがあることは特筆されるべきである(すなわち、Kabatの番号付与による1つ以上の位置が実際の配列で占められていないか、又は実際の配列がKabatの番号付与によって許容される数よりも多いアミノ酸残基を含むことがある)。これは、一般的にKabatの番号付与が、実際の配列中のアミノ酸残基の実際の番号付与と一致することも一致しないこともあることを意味する。
V
Hドメインのアミノ酸残基に番号を付与するまた別の方法が当業界で知られている(前記方法はまた類似の態様でVHHドメインに適用できる)。しかしながら、本明細書、特許請求の範囲及び図面では、特段の指示がなければ上記のようにKabatにしたがいVHHドメインに適用された番号付与が示されるであろう。
VHHドメインのアミノ酸残基の総数は、通常は110から120の範囲、しばしば112から115の間に存在するであろう。しかしながら、より小さな及びより大きな配列もまた本明細書に記載の目的に適切であり得ることは特筆されるべきである。
【0015】
特異的な抗原又はエピトープと結合するVHHを入手する方法は、例えばWO2006/040153及びWO2006/122786に以前に記載されている。その中でまた詳細に記載されているように、ラクダ科動物由来のVHHドメインは“ヒト化”(本明細書では “配列最適化”とも称される)することができる。“配列最適化”は、ヒト化に加えて1つ以上の変異によるさらに別の配列の改変を包含することができる。前記変異は、本来のVHH配列のアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、ヒトの通常の4鎖抗体由来VHドメインの対応する位置に存在するアミノ酸残基の1つ以上と置き換えることによって、改善された特性(例えば潜在的な翻訳後改変部位の除去)をVHHに付与する。ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができ、より具体的な実施態様では、DP-29、DP-47、DP-51由来のヒトフレームワーク領域、又はその部分(場合によってJH配列(例えばJH5)と結合される)を含むことができる。
【0016】
ドメイン抗体(“Dab”及び“dAb”としても知られている)(“ドメイン抗体”及び“dAb”という用語はグラクソスミスクライン(GlaxoSmithKline)グループ会社が商標として使用している)は、例えば以下の文献に記載されている:Ward, E.S., et al.: "Binding activities of a repertoire of single immunoglobulin variable domains secreted from Escherichia coli"; Nature 341: 544-546 (1989);Holt, L.J. et al.: "Domain antibodies: proteins for therapy"; TRENDS in Biotechnology 21(11): 484-490 (2003);及びWO2003/002609。
ドメイン抗体は、本質的に非ラクダ科哺乳動物の抗体(特にヒト4鎖抗体)のVH又はVLドメインと対応する。単一の抗原結合ドメインとして(すなわちそれぞれVL又はVHドメインと対合せずに)エピトープと結合するために、そのような抗原結合特性のために例えばヒト単一VH又はVLドメイン配列ライブラリーを用いることによる特別な選別が要求される。ドメイン抗体は、VHHのように約13から約16kDaの分子量を有し、さらに完全にヒトの配列から誘導される場合は、例えばヒトでの治療的使用にヒト化を必要としない。VHHドメインの場合のように、それらはまた原核細胞発現系で良好に発現されて全体的な製造コストの顕著な削減を提供する。
さらにまた、他の“足場”(非ヒト足場又は非免疫グロブリン足場が含まれるが、ただしこれらに限定されない)に上記で述べたCDRの1つ以上を“移植”することができることも当業者には明白であろう。そのようなCDR移植のための適切な足場及び技術は当業界で公知である。
【0017】
“エピトープ”及び“抗原決定基”という用語(前記は相互に用いることができる)は、抗原結合分子(例えば通常の抗体又は本発明のポリペプチド)、より具体的には前記分子の抗原結合部位によって認識される、巨大分子(例えばポリペプチド)の部分を指す。エピトープは免疫グロブリンのための最小の結合部位を規定し、したがって免疫グロブリンの特異性の標的である。
一定のエピトープ、抗原又はタンパク質(又はその少なくとも1つの部分、フラグメント又はエピトープ)と“結合”又は“特異的に結合する”ことができるか、前記に対して“親和性を有する”及び/又は前記に対して“特異性を有する”ポリペプチド(例えば免疫グロブリン、抗体、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン若しくは一般的に抗原結合分子又は前記のフラグメント)は、前記エピトープ、抗原若しくはタンパク質に“対抗性である”、又は前記に“対抗する”と称されるか、又はそのようなエピトープ、抗原若しくはタンパク質に対する“結合分子”である。この関係では。VEGF結合分子はまた“VEGF中和分子”と称することができる。
【0018】
一般的には、“特異性”という用語は、特定の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(例えば本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン)分子が結合することができる種々のタイプの抗原又はエピトープの数を指す。抗原結合分子の特異性はその親和性及び/又はアビジチーを基準に決定できる。親和性(抗原結合タンパク質に関する抗原の解離の平衡定数(KD)によって表される)は、エピトープと抗原結合タンパク質上の抗原結合部位との間の結合強度の測定値であり、KD値が小さければ小さいほど、エピトープと抗原結合分子間の結合強度は強い(或いは、親和性はまた親和性定数(KA)として表すことができる:KAは1/KDである)。当業者には明白なように(例えば本明細書の更なる開示に基づいて)、親和性は対象の特定の抗原に応じてそれ自体公知の態様で決定することができる。アビジチーは、抗原結合分子(例えば免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記を含むポリペプチド)と関係抗原間の結合強度の測定値である。アビジチーは、エピトープと抗原結合分子上のその抗原結合部位との間の親和性及び当該抗原結合分子上に存在する関係結合部位の数の両方に関係する。
エピトープを認識する抗原結合分子の部分はパラトープと呼ばれる。
【0019】
特段の指示がなければ、“VEGF結合分子”という用語は、抗VEGF抗体、抗VEGF抗体フラグメント、“抗VEGF抗体様分子”及び前記のいずれかとの複合物を含む。抗体にはモノクローナル抗体及びキメラ化モノクローナル抗体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。“抗体”という用語は、完全な免疫グロブリン(宿主細胞で組換え発現によって生産されたモノクローナル抗体の如きもの)の他に、VEGF結合抗体フラグメント又は“抗体様分子”を包含し、後者には単鎖抗体及び線状抗体(いわゆる“SMIP”(“小モジュール免疫薬(Small Modular Immunopharmaceutical)”で、例えばWO02/056910に記載されている)が含まれる。抗VEGF抗体様分子には免疫グロブリン単一可変ドメイン(本明細書で規定される)が含まれる。抗体様分子の他の例は免疫グロブリンスーパーファミリー抗体(IgSF)、又はCDR移植分子である。
“VEGF結合分子”は、一価のVEGF結合分子(すなわちVEGFの1つのエピトープと結合する分子)及び二価又は多価結合分子(すなわち2つ以上のエピトープと結合する分子、例えば以下で規定する“二パラトープ性”分子)の両方を指す。2つ以上のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインを含むVEGF結合分子はまた“フォーマット化された”VEGF結合分子と称され、それらは、VEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインに加えて、リンカー及び/又はエフェクター機能を有する成分(例えばアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメインのような半減期延長成分)、及び/又は血清アルブミンのような融合パートナー及び/又はPEGのような付加ポリマーを含むことができる。
【0020】
本明細書で用いられる“二パラトープ性VEGF結合分子”又は“二パラトープ性免疫グロブリン単一可変ドメイン”という用語は、本明細書で規定される第一の免疫グロブリン単一可変ドメイン及び第二の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むVEGF結合分子を意味し、ここで前記2つの分子は、VEGF抗原の2つの異なる(すなわちオーバーラップしない)エピトープと結合する。本発明の二パラトープ性ポリペプチドは、当該エピトープに関して異なる特異性を有する免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。エピトープを認識する、抗原結合分子(例えば抗体又は本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン)の部分はパラトープと呼ばれる。
フォーマット化されたVEGF結合分子はまた、好ましさは劣るが2つの同一のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメイン又は2つの異なる免疫グロブリン単一可変ドメイン(同じ又はオーバーラップするエピトープを認識する)を含むことができる。この事例では、2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、VEGFダイマーを形成する2つのモノマーの各々において同じ又はオーバーラップするエピトープと結合することができる。
典型的には、本発明のVEGF結合分子は、10E-5から10E-14モル/リットル(M)以下、好ましくは10E-7から10E-14モル/リットル(M)以下、より好ましくは10E-8から10E-14モル/リットル以下、さらに好ましくは10E-11から10E-13の解離定数(K
D)で(Biacore又はKinExAアッセイで測定したとき)、及び/又は少なくとも10E7 ME-1、好ましくは少なくとも10E8 ME-1、より好ましくは少なくとも10E9 ME-1、例えば少なくとも10E11 ME-1の結合定数(K
A)で結合する。10E-4Mを超えるいずれのK
D値も一般的には非特異的結合を示すと考えられる。好ましくは、本発明のポリペプチドは、所望の抗原(すなわちVEGF)と500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば500pM未満のK
Dで結合するであろう。抗原結合タンパク質と抗原又はエピトープとの特異的な結合は、それ自体公知の任意の適切な態様で決定することができる。前記には例えば、本明細書に記載のアッセイ、スキャチャード解析及び/又は競合結合アッセイ、例えば放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)及びサンドイッチ競合アッセイ、並びに当業界でそれ自他公知である前記の種々の変型が含まれる。
【0021】
アミノ酸残基は、標準的な3文字又は1文字アミノ酸コード(一般的に公知であり当業界で合意されている)にしたがって示されるであろう。2つのアミノ酸配列を比較するとき、“アミノ酸の相違”という用語は、第二の配列と比較して参照配列のある位置における表示された数のアミノ酸残基の挿入、欠失または置換を指す。置換の場合にはそのような置換は、好ましくは保存的アミノ酸置換であろう。保存的アミノ酸置換は、あるアミノ酸残基が類似する化学的構造の別のアミノ酸残基により置換されることを意味し、前記は、当該ポリペプチドの機能、活性又は他の生物学的特性に対してほとんど又は本質的に影響を与えない。そのような保存的アミノ酸置換は、例えばWO98/49185から当業界で周知であり、この場合、保存的アミノ酸置換は、好ましくは以下のグループ(i)−(v)内のあるアミノ酸が同じグループの別のアミノ酸残基によって代用される置換である:(i)小さな脂肪族、非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro及びGly;(ii)極性で負に荷電した残基及びそれらの(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu及びGln;(iii)極性で陽性に荷電した残基:His、Arg及びLys;(iv)大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val及びCys;並びに(v)芳香族残基:Phe、Tyr及びTrp。特に好ましい保存的アミノ酸置換は以下のとおりである:AlaからGlyに又はSerに;ArgからLysに;AsnからGlnに又はHisに;AspからGluに;CysからSerに;GlnからAsnに;GluからAspに;GlyからAlaに又はProに;HisからAsnに又はGlnに;IleからLeuに又はValに;LeuからIleに又はValに;LysからArgに、Glnに又はGluに;MetからLeuに、Tyrに又はIleに;PheからMetに、Leuに又はTyrに;SerからThrに;ThrからSerに;TrpからTyrに;TyrからTroに又はPheに;ValからIleに又はLeuに。
【0022】
ポリペプチド又は核酸分子は、例えばその天然の生物学的供給源及び/又はそれが入手された反応媒体または培養媒体と比較したときに、それが前記供給源又は媒体中で通常付随している少なくとも1つの他の成分、例えば別のタンパク質/ポリペプチド、別の核酸、別の生物学的成分若しくは巨大分子、又は少なくとも1つの夾雑物質、不純物若しくは微量成分から分離されているときには、“本質的に単離された(形態)”とみなされる。特にポリペプチド又は核酸分子は、それが少なくとも2倍、特に少なくとも10倍、さらに特に少なくとも100倍さらに1000倍以上に精製されているとき、“本質的に単離されている”とみなされる。“本質的に単離された形態”のポリペプチド又は核酸分子は、適切な技術(例えば適切なクロマトグラフィー技術、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動)を用いて決定したとき好ましくは本質的に均質である。
2つのVEGF結合分子配列間の“配列同一性”は、前記配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを示す。前記は、WO 08/020079の49ページ及び50ページのパラグラフf)に記載されているように計算又は決定できる“配列類似性”は、同一であるか又は保存的アミノ酸置換であるアミノ酸のパーセンテージを示す。
V
Hドメインのアミノ酸残基に番号を付与するまた別の方法は当業界で知られている(前記方法はまた類似の態様でVHHドメインに適用できる)。しかしながら、本明細書、特許請求の範囲及び図面では、特段の指示がなければ上記のようにKabatにしたがってVHHドメインに適用された番号付与が示されるであろう。
【0023】
“親和性増進(affinity matured)”VEGF結合分子(特にVHH又はドメイン抗体)は1つ以上のCDRに1つ以上の変異を有し、この変異は、対応する親VEGF結合分子と比較してVEGFに対する親和性の改善をもたらす。本発明の親和性増進VEGF結合分子は、例えば以下に記載されている当業界で公知の方法によって調製することができる:Marks et al., 1992, Biotechnology 10:779-783;又はBarbas, et al., 1994, Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91: 3809-3813;Shier et al., 1995, Gene 169:147-155;Yelton et al., 1995, Immunol. 155: 1994-2004;Jackson et al., 1995, J. Immunol. 154(7):3310-9;及びHawkins et al., 1992, J. MoI. Biol. 226(3): 889 896;KS Johnson and RE Hawkins, "Affinity maturation of antibodies using phage display", Oxford University Press 1996。
本発明のためには、“配列番号:xのアミノ酸配列”
とは、対応する配列番号:xに示される配列と100%同一であるアミノ酸配列
をいう。
【0024】
“癌”又は“癌様”という用語は、典型的には規律的でない細胞増殖/分裂を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を指すか又は表す。本発明のVEGF結合分子により治療されるべき癌の例には癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病が含まれる(ただしこれらに限定されない)。VEGFアンタゴニストによる治療にUS2008/0014196で提唱された そのような癌のより具体的な例には以下が含まれる:扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸の癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮の癌、唾液腺癌、腎癌、肝癌、前立腺癌、陰門癌、甲状腺癌、肝臓癌、胃癌、メラノーマ、種々のタイプの頭部及び頸部の癌。血管形成の調節障害は、本発明の組成物及び方法によって治療できる多くの異常をもたらし得る。これらの異常には非新形成性及び新形成性症状の両方が含まれる。新形成には上記に記載したものが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
VEGFアンタゴニストによる治療のためにUS2008/0014196で提唱されたように、非新形成性異常には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):望ましくない又は異常な肥大、関節炎、慢性関節リウマチ(RA)、乾癬、乾癬斑、サルコイドーシス、アテローム性硬化症、アテローム硬化症斑、糖尿病性及び他の増殖性網膜症(未熟児網膜症を含む)、水晶体後線維増殖症、新生血管形成性緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病性黄斑水腫、角膜の新生血管形成、角膜移植新生血管形成、角膜移植拒絶、網膜/脈絡膜新生血管形成、眼角の新生血管形成(ルベオーシス)、眼の新生血管形成性疾患、血管再狭窄、動静脈奇形(AVM)、髄膜腫、血管腫、血管線維腫、甲状腺過形成(グレーヴズ病を含む)、角膜及び他の組織の移植、慢性炎症、肺の炎症、急性肺損傷/ARDS、敗血症、原発性肺高血圧、悪性肺滲出、大脳浮腫(例えば急性卒中/閉鎖性頭部損傷/外傷に付随するもの)、滑膜炎症、RAにおけるパンヌス形成、骨化性筋炎、肥大性骨形成、変形性関節症(OA)、難治性腹水、多発性嚢胞性卵巣疾患、子宮内膜症、第三間隙形成液疾患(3
rd spacing of fluid diseases)(膵炎、仕切り症候群、火傷、腸疾患)、子宮線維症、早産、慢性炎症、例えばIBD(クローン病及び潰瘍性大腸炎)、同種異系腎移植拒絶、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群、望ましくない又は異常な組織塊増殖(非癌性)、血友病性関節、過形成瘢痕、毛の成長阻害、オシエル-ウェーバー(Osier-Weber)症候群、化膿性肉芽腫性水晶体後線維増殖症、強皮症、トラコーマ、血管癒着、滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水、心膜滲出(例えば心膜炎に付随するもの)及び肺滲出。
【0025】
発明の詳細な説明
第一の特徴では、本発明は、4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3をそれぞれ有する少なくとも1つの可変ドメインを含むVEGF結合分子に関し、前記CDR3は、配列番号:1に示すアミノ酸配列Ser Arg Ala Tyr Xaa Ser Xaa Arg Leu Arg Leu Xaa Xaa Thr Tyr Xaa Tyrを有し、ここで
5位のXaaはGly又はAlaであり、
7位のXaaはSer又はGlyであり、
12位のXaaはGly、Ala又はProであり、
13位のXaaはAsp又はGlyであり、
16位のXaaはAsp又はGluであり、さらにここで
前記VEGF結合分子は、ヒト組換えVEGF165とヒト組換えVEGFR-2との相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができる。
好ましい実施態様にしたがえば、5位のXaaはGlyであり、7位のXaaはSerであり、12位のXaaはAlaであり、13位のXaaはAspである。
【0026】
特に前記CDR3は以下から選択される配列を有する:
配列番号:2 SRAYGSSRLRLGDTYDY;
配列番号:3 SRAYGSSRLRLADTYDY;
配列番号:4 SRAYGSSRLRLADTYEY;
配列番号:5 SRAYGSGRLRLADTYDY;
配列番号:6 SRAYASSRLRLADTYDY;
配列番号:7 SRAYGSSRLRLPDTYDY;
配列番号:8 SRAYGSSRLRLPGTYDY。
ある種の実施態様にしたがえば、VEGF結合分子は、各々が以下のa)、b)を含有する、1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む:
a.配列番号:2から8に示す第一のグループの配列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3:
b.表3に表示するように、配列番号:9から46に示す第二のグループの配列から選択される配列に含有されるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2、ここで前記第二の配列は、a.にしたがって選択された対応するCDR3を含有する。
好ましい実施態様にしたがえば、前記免疫グロブリン単一可変ドメインはVHHである。
具体的な実施態様にしたがえば、VHHは配列番号:9−46に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する。
別の具体的な実施態様にしたがえば、VHHは配列番号:15、配列番号:18及び配列番号:25から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0027】
本発明はまた、上記に規定したVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVEGF結合分子、例えば配列番号:18に示すアミノ酸配列を有するVHHの配列最適化によって入手されたVHHに関する。前記の例は、配列番号:47−57に示す配列から選択されるアミノ酸配列を有するVHHである。
ある種の実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子は本明細書に規定するようにフォーマット化することができる。前記は例えば、二パラトープ性であるか又は2つの同一の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むことができる。そのようなVEGF結合分子は以下のa)又はb)である、2つ以上のVHHを含むことができる:
a)組換えヒトVEGFと組換えヒトVEGFR-2との間の相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができる同一のVHH、又は
b)VEGFのオーバーラップしないエピトープと結合する異なるVHHであって、少なくとも1つのVHHが組換えヒトVEGFと組換えヒトVEGFR-2との間の相互作用を60%以上の阻害率で遮断することができ、さらに少なくとも1つのVHHが前記相互作用を60%以下の阻害率で遮断することができる、前記異なるVHH。
前記相互作用をそれぞれ60%以上又は60%以下で阻害するパーセンテージは、増幅発光近接性均質アッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogenous Assay)(AlphaScreen(商標))、競合ELISA、実施例で用いられるプラスモン共鳴(SPR)系アッセイ(Biacore(商標))によって決定される阻害率を指す。
【0028】
以下では、a)のVHHの能力はまた“レセプター遮断性”と称され、一方、b)のVHHの能力はまた“非レセプター遮断性”と称される。
好ましくは、レセプター遮断性VHHは、80%以上、より好ましくは90%以上の阻害率を有し、もっとも好ましいVHHは完全なレセプター遮断物質で、すなわち100%の阻害率を有する。
VEGF結合は、配列番号:9−46に示すアミノ酸配列を有するVHH、又はそのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHHから選択されるa)の2つ以上の同一VHHを含有することができる。前記VHHは配列番号:18又は配列番号:47−57に示すアミノ酸を有するVHHから選択できる。
好ましい実施態様にしたがえば、フォーマット化VEGF結合分子は2つのVHHを含み、前記は各々配列番号:57に示すアミノ酸配列を有する。
2つの異なるVHHを含むフォーマット化VEGF結合分子では、
a)60%以上の阻害率を有する前記1つ以上のVHHは、
(i)配列番号:9−46に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するVHH、又は、
(ii)そのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHHから選択され、さらに
b)60%以下の阻害率を有する前記1つ以上のVHHは、
(i)配列番号:58−124、又は、
(ii)そのようなVHHの親和性増進及び/又は配列最適化によって入手されたVHHから選択される。
【0029】
好ましい実施態様では、2つのVHHは、配列番号:128−168に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドに含有され、前記は表15に示すリンカー配列によって分離されてある。
好ましいVEGF結合分子では、a)(i)のVHHは配列番号:18に示すアミノ酸配列を有し、さらにb)(i)のVHHは配列番号:64に示すアミノ酸配列を有する。
他の好ましいVEGF結合分子では、a)(ii)のVHHは配列番号:47−57に示すアミノ酸配列を有するVHHから選択され、さらにb)(ii)のVHHは配列番号:125−127に示すアミノ酸配列を有するVHHから選択される。
特に好ましいものは、2つのVHHを含む二パラトープ性VEGF結合分子で、VHHのうちの1つは配列番号:57に示すアミノ酸を有し、さらにVHHのうちの1つは配列番号:127に示すアミノ酸を有する。
【0030】
治療的応用の観点から改善された特性(例えば親和性の強化又は免疫原性の低下)を有するVEGF結合分子は、当業界で公知の技術、例えば親和性増進(例えば合成、任意抽出又は天然に存在する免疫グロブリン配列から出発する)、CDR移植、ヒト化、種々の免疫グロブリン配列から誘導したフラグメントの結合、オーバーラッププライマーを用いるPCRアッセンブリー、及び当業者に周知の免疫グロブリン配列を操作するための類似の技術、又は本明細書に記載する、前述のいずれかの適切な任意の組み合わせのような技術(“配列最適化”とも称される)によって、本発明の個々のVEGF結合分子から入手できる。例えば標準的な手引書の他、更なる記述及び実施例を参照することができる。
適切な場合には、親和性が高められた本発明のVEGF結合分子は、別のVEGF結合分子の親和性増進によって入手できる。後者は、親和性増進分子に対して“親”VEGF結合分子である。
本発明の好ましい実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えばVH及びドメイン抗体)は、多数の固有の構造的特徴及び機能的特性を有し、前記特徴及び特性は、それら免疫グロブリン単一可変ドメインを機能的な抗原結合分子として治療に使用するためにそれらを極めて有利にする。特に(ただしそのことに限定されないが)、VHHドメイン(前記は本質的に軽鎖可変ドメインと対を形成することなく抗原と機能的に結合できるように“設計”されている)は、ただ一つの比較的小さな機能的抗原結合構造単位として機能することができる。
【0031】
それらの固有の特性により、本明細書に規定する免疫グロブリン単一可変ドメインは、VHH又はVH(又はVL)と同様に、単独で又はより大きなポリペプチド(例えば二パラトープ性分子)の部分として以下の多数の重要な利点を提供する:
−高い親和性及び高い選択性で抗原と結合するためにただ1つのドメインが要求され、したがって2つの別々のドメインを存在させることも、これら2つのドメインが正しい空間的配置及び構造で存在していることを確認する(すなわちscFVのリンカーの場合のように特別に設計したリンカーの使用によって確認する)必要もない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインはただ1つの核酸分子から発現させることができ、さらに一切の翻訳後修飾(例えばグリコシル化)を必要としない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは多価及びマルチ特異性形式へと容易に操作できる(本明細書でさらに考察する);
−免疫グロブリン単一可変ドメインはそれらの標的に対して高い特異性及び親和性を有し、固有の毒性が低く、輸液又は注射以外の代替経路により投与できる;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、熱、pH、プロテアーゼ及び他の変性剤又は変性条件に対して高度に安定であり、したがって冷蔵装置を用いることなく調製、保存又は輸送することができる;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、小規模及び工業規模の両方で調製が容易であり相対的に安価である。例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインは(例えば以下でさらに記述するように)微生物発酵を用いて生産でき、例えば通常の抗体の場合のように哺乳動物発現系の使用を必要としない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントと比較して相対的に小さく(約15kDa、すなわち通常のIgGの十分の一)、したがって組織(固形腫瘍及び他の高密度組織を含むがただしこれらに限定されない)への(より)高い浸透性を示し、該当する通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントより高い用量で投与できる;
−VHHは特殊ないわゆる“窩結合特性”を有し(4鎖抗体由来VHと比較してとりわけそれらの伸長CDR3ループによるものである)、したがってまた通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントが近づくことができない標的及びエピトープに近づくことができる;
−VHHは、高度に可溶性であり、非常に安定で凝集傾向をもたない(Wardら(Ward et al., Nature 341: 544-546, 1989)が記載したマウス由来抗原結合ドメインの場合)という特異な利点を有する。
【0032】
本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、それらが入手される特定の生物学的供給源又は特定の調製方法に限定されない。例えば、VHHの入手は以下の工程を含む:
(1)天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインを単離する工程、又は重鎖抗体若しくはVHHを含むライブラリーをスクリーニングしてそれらからVHHを単離する工程;
(2)天然に存在する配列を有するVHHをコードする核酸分子を発現させる工程;
(3)天然に存在する配列を有するVHHを、場合によって親和性増進の後で(本明細書に記載するように)“ヒト化する”工程、又はそのようなヒト化VHHをコードする核酸を発現させる工程;
(4)ある動物種、特に哺乳動物種(例えばヒト)由来の天然に存在する抗体から免疫グロブリン一可変重鎖ドメインを“ラクダ化する”工程、又はそのようなラクダ化ドメインをコードする核酸分子を発現させる工程;
(5)VHを“ラクダ化する”工程、又はそのようなラクダ化VHをコードする核酸分子を発現させる工程;
(6)タンパク質、ポリペプチド又は他のアミノ酸配列を合成又は半合成により調製する技術を用いる工程;
(7)核酸合成技術を用いてVHHドメインをコードする核酸分子を調製し、続いてそのようにして得られた核酸を発現させる工程;
(8)重鎖抗体又はVHHを親和性増進、変異導入(例えばランダム変異導入又は部位特異的変異導入)及び/又は任意の他の技術に付し、VHHの親和性及び/又は特異性を高める工程;及び/又は
(9)上述の工程の組合せまたは選択。
【0033】
上記工程を実施する適切な方法および技術は当業界で公知であり、当業者には明白であろう。例示として、特異的な抗原又はエピトープと結合するVHHドメインを入手する方法は、WO2006/040153及びWO2006/122786に記載されている。
具体的な実施態様にしたがえば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又は本発明のポリペプチドに存在する免疫グロブリン単一可変ドメインは、天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列と本質的に一致するが、(場合によって親和性増進後に) “ヒト化”又は“配列最適化”されてある、すなわち前記天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、ヒト由来の通常の4鎖抗体の可変重鎖ドメイン中の対応する位置に存在する1つ以上のアミノ酸残基で置き換えることによってヒト化又は配列最適化されてあるアミノ酸配列を有するVHHドメインである。前記工程は当業界で公知の方法を用いて実施され、当業者によって日常的に実施され得る。
ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができ、より具体的な実施態様では、ヒト生殖系列Vh3配列DP-29、DP-47、DP-51から誘導されたヒトフレームワーク領域又はその部分(又は前記と高度に相同であるもの)(場合によってJH配列(例えばJH5)と結合される)を含むことができる。したがって、ヒト化プロトコルは、VHHの残基のいずれかを生殖系列VH遺伝子、例えばDP-47、DP-29及びDP51の対応するフレームワーク1、2及び3(FR1、FR2及びFR3)の残基で単独にて又は組み合せて置換する工程を含むことができる。本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインの適切なフレームワーク領域(FR)は、例えばWO2006/004678に示されたものから選択でき、特にいわゆる“KERE”及び“GLEW”クラスが含まれる。例は、約44から47位にアミノ酸配列G-L-E-Wを有する免疫グロブリン単一可変ドメイン及び対応するそれらのヒト化対応物である。ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができる。
【0034】
EVQで始まる本発明のVHHでは、N-末端のEはDで置換されるか(前記はしばしば配列最適化の結果である)、又は欠失され得る(大腸菌(E. coli)でのVHHの発現の場合)。フォーマット化VEGF結合分子については、前記は通常N-末端に位置するVHHにのみ当てはまる。
103P、R、S-グループ及び/又はGLEW-グループ(下記で定義する)に属するVHHドメインのための好ましい(ただし前記に限定されない)ヒト化置換は、108Qから 108L への置換である。免疫グロブリン単一可変ドメインをヒト化する方法は当業界で公知である。
別の実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメインは本明細書に定義するドメイン抗体である。
さらに別の実施態様では、本発明のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインクラスの代表的なものは、“ラクダ化”されてある(すなわち通常の4鎖抗体の天然に存在する可変重鎖のアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメイン中の対応する位置に存在する1つ以上のアミノ酸残基で置換することによってラクダ化されてある)天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列と一致するアミノ酸配列を有する。前記はそれ自他公知の態様で実施することができ、当業者には明白でさらにまたWO 94/04678を参照できる。そのようなラクダ化は、VH-VL境界面及びいわゆるラクダ科認証残基に存在するアミノ酸の位置でもっぱら生じ得る(例えばWO 94/04678もまた参照されたい)。そのような“ヒト化”及び“ラクダ化”技術並びにそれらに適合する好ましいフレームワーク領域配列に関する詳細な記述は、さらにまたWO 2006/040153のpp.46及びpp.98並びにWO 2006/122786のp.p107から入手できる。
【0035】
本発明のVEGF結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン)は、それらがVEGF分子内の1つ以上のエピトープと特異的に結合する1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むという点でVEGFに対して特異性を有する。
VEGF結合分子とその抗原VEGFとの特異的結合は、それ自体公知の任意の適切な態様で決定できる。前記態様には、例えば本明細書に記載したアッセイ、スキャチャード解析及び/又は競合結合アッセイ、例えば放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA及びELISA)及びサンドイッチ競合アッセイ、並びに当業界でそれ自体公知である前記の種々の変型が含まれる。
抗原VEGFに関して、本発明のVEGF結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン)は種に関して制限されない。したがって、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、ヒトでの治療目標を考える場合には好ましくはヒトVEGFと結合する。しかしながら、別の動物種由来のVEGFと結合する免疫グロブリン単一可変ドメインもまた本発明の範囲内である。1つの種のVEGF型と結合する本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ヒトの配列と異なる配列を有する)は、1つ以上の他の種由来のVEGFと交差反応し得る。例えば、ヒトVEGFと結合する本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、1つ以上の他の霊長類種由来のVEGF、及び/又は疾患の動物モデル(例えばサル、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ)、及び特に脈管形成でVEGF媒介作用と密接に関係する疾患及び異常のための動物モデル(例えば本明細書に記述する種および動物モデル)で用いられる1つ以上の動物種に由来するVEGFとの交差反応性を示し得る。そのような交差反応性を示す本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは研究及び/又は薬剤開発において有益である。なぜならば、前記交差反応性は、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインを周知の疾患モデル、例えばサル(特にカニクイザル又はアカゲザル)又はマウス及びラットで試験することを可能にするからである。
【0036】
好ましくは、治療用VEGFアンタゴニストの開発時の動物モデルとしての使用が意図されるヒト以外の種に由来する1つ以上のVEGF分子との交差反応性を考慮すると、VEGF結合分子は、ヒトVEGFと高度な同一性を有する対象VEGFの領域内のエピトープを認識する。
本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、レセプター(特にVEGFR-2、前記はその活性化が腫瘍の新生血管形成の原因として必要とされるレセプターであることが示された)との結合に関係するVEGFの領域内に全体又は部分が位置するエピトープを認識する。好ましい特徴にしたがえば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、VEGFレセプター活性化、特にVEGFR-2活性化を少なくとも部分的に、好ましくは実質的に、もっとも好ましくは全体的に遮断する。
上記に記載したように、VEGFとそのレセプター(特にVEGFR-2)との相互作用を遮断するVEGF結合分子の能力は、増幅発光近接性均質アッセイ(AlphaScreen(商標))、競合ELISA、又は実施例に記載するプラスモン共鳴(SPR)系アッセイ(Biacore(商標))によって決定できる。
【0037】
好ましくは、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、VEGFと500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば500pM未満の親和性で結合するであろう(実施例5.7に記載するように表面プラスモン共鳴解析によって決定される)。
好ましくは、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、実施例5.1に記載する競合ELISAアッセイで測定したとき、10
-6から10
-10モル/リットル以下の範囲、より好ましくは10
-8から10
-10モル/リットル以下の範囲、さらに好ましくは10
-9から10
-10モル/リットル以下の範囲のIC
50値を有する。
本発明の好ましい(ただし前記に限定されない)実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインは、10
-5から10
-12モル/リットル(M)以下、好ましくは10
-7から10
-12モル/リットル(M)以下、より好ましくは10
-8から10
-12モル/リットル(M)の解離定数(K
D)で、及び/又は少なくとも10
7M
-1、好ましくは少なくとも10
8M
-1、より好ましくは少なくとも10
9M
-1、例えば少なくとも10
12M
-1の結合定数(K
A)で、特に500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば500pM未満のK
DでVEGFと結合する。VEGFに対する本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインのK
D及びK
A値は決定することができる。
【0038】
2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む二パラトープ性VEGF結合分子は、本質的に(i)VEGFの第一のエピトープと特異的に結合する第一の免疫グロブリン単一可変ドメイン及び(ii)VEGFの第一のエピトープと特異的に結合する第一の免疫グロブリン単一可変ドメインから成るか、又はこれらを含み、ここでVEGFの第一のエピトープ及びVEGFの第二のエピトープは同一のエピトープではない。換言すれば、本発明のそのようなポリペプチドは、VEGFに存在する少なくとも2つのオーバーラップしないエピトープに対抗する2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むか、又は本質的に前記から成り、ここで前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、それらドメインが同時にVEGFと結合できる態様で互いに連結される。この意味で、本発明のポリペプチドはまた、VEGFに対して少なくとも2つの結合部位を含むという点で“二価”又は“多価”免疫グロブリン構築物、特に“多価免疫グロブリン単一可変ドメイン構築物”とみなすことができる(そのような構築物はまた“フォーマット化”VEGF結合分子、例えば“フォーマット化”VHHと称される)。
本発明のそのようなVEGF結合分子は、(少なくとも)2つの抗VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインを含み、ここで(前記)2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは好ましくはVEGF内の非オーバーラップエピトープに対抗する。したがって、これら2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは異なる抗原特性、したがって異なるCDR配列を有するであろう。この理由から、本発明のそのようポリペプチドは、2つの免疫グロブリン単一可変ドメインが2つの異なるパラトープを含むので、本明細書ではまた“二パラトープ性ポリペプチド”若しくは“二パラトープ性ドメイン抗体構築物”(免疫グロブリン単一可変ドメインがドメイン抗体から成るか又は本質的に前記から成る場合)、又は“二パラトープ性VHH構築物”(免疫グロブリン単一可変ドメインがVHHから成るか又は本質的に前記から成る場合)とそれぞれ呼称されるであろう。
【0039】
本発明のポリペプチドが本明細書に規定する二パラトープ性分子である場合、免疫グロブリン単一可変ドメイン成分の少なくとも1つは、組換えヒトVEGFと組換えヒトVEGFR-2との相互作用が80%以上の阻害率で遮断されるようにエピトープと結合する。本発明の実験で示したように、ある種のフォーマット化分子は2つのVHHを含み、その両方が80%以上の阻害率でVEGFR2レセプターを遮断する。本発明のある種のVHHは100%の阻害率でVEGFR-2を遮断する(すなわちそれらVHHは完全な遮断物質である)。
両方の事例で、追加の配列及び成分が、本発明のVEGF結合分子内に、例えばN-末端、C-末端に、又は2つの免疫グロブリン単一可変ドメインの間に存在することができ、前記配列及び成分は、本明細書でさらに詳しく記述するように、例えばリンカー配列及びエフェクター機能を提供する配列である。
別の(ただし好ましさは劣る)実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子は3つ以上の抗VEGF免疫グロブリン単一可変ドメイン、すなわち3つ、4つ又は5つ以上の抗VEGF VHHを含むことができる。この場合、抗VEGF免疫グロブリン単一可変ドメインの済むなくとも2つは、VEGF分子内の非オーバーラップエピトープに対抗し、さらに別の任意の免疫グロブリン単一可変ドメインは前記2つの非オーバーラップエピトープのいずれか及び/又はVEGF分子内に存在するさらに別のエピトープと結合することができる。
本発明にしたがえば、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、互いに独立してVHH又はドメイン抗体、及び/又は任意の他の種類の免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば本明細書に規定するVLドメインであり得るが、ただしこれら免疫グロブリン単一可変ドメインが抗原(すなわちVEGF)と結合することを条件とする。
【0040】
好ましい実施態様にしたがえば、第一及び第二の免疫グロブリン単一可変ドメインは、本質的にVHH配列又は本明細書に規定するドメイン抗体配列から成る。特に好ましい実施態様にしたがえば、第一及び第二の免疫グロブリン単一可変ドメインはVHH配列から成る。
本発明のある種の実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子に存在する少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、互いに直接に(すなわちリンカーを使用しないで)又はリンカーを介して連結することができる。リンカーは好ましくはリンカーペプチドであり、少なくとも2つの別個の免疫グロブリン単一可変ドメインとVEGFの少なくとも2つのそれらの非オーバーラップエピトープの各々との結合を可能にするように選択されるであろう(前記非オーバーラップエピトープは1つの同じVEGF分子内に存在するか、又は2つの別個の分子内に存在する)。
適切なリンカーはとりわけ、免疫グロブリン単一可変ドメインが結合するエピトープ、特にVEGF上のエピトープ間の距離に左右され、当業者には本明細書の開示にしたがって(場合によってある程度の限られた日常的実験の後で)明白であろう。
【0041】
さらにまた、VEGFと結合する2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインがVHH又はドメイン抗体であるとき、それらは互いにそれぞれ第三のVHH又は抗体を介して連結され得る(そのようなVEGF結合分子では、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは前記第三の免疫グロブリン単一可変ドメインと直接に又は適切なリンカーを介して連結され得る)。そのような第三のVHH又はドメイン抗体は、例えば延長された半減期を提供するVHH又はドメイン抗体であり得る。例えば、後者のVHH又はドメイン抗体は、(ヒト)血清抗体、例えば(ヒト)血清アルブミン又は(ヒト)トランスフェリンと結合できるドメイン抗体又はVHHであり得る。
或いは、VEGFと結合する2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、一続きに(直に又は適切なリンカーを介して)連結することができ、さらに第三のVHH又はドメイン抗体(延長半減期を提供できる)は、前述したこれらの2つ以上の免疫グロブリン配列の1つと直に又はリンカーを介して連結できる。
適切なリンカーは本発明の具体的なポリペプチドの関連で本明細書に記載され、例えばアミノ酸配列(ただし前記に限定されない)が含まれ得る。前記アミノ酸配列は、好ましくは9以上のアミノ酸、より好ましくは少なくとも17アミノ酸、例えば約20から40アミノ酸の長さを有する。しかしながら、上限は、重要ではないが、例えばそのようなポリペプチドの生物医薬としての製造に関する便宜的理由により選択される。
【0042】
リンカー配列は天然に存在する配列でも天然に存在しない配列でもよい。治療目的で用いられる場合、リンカーは、好ましくは本発明のVEGF結合分子が投与される対象者で非免疫原性である。
リンカー配列の有用な一グループは、WO96/34103及びWO94/04678に記載された重鎖抗体のヒンジ領域から誘導されるリンカーである。
他の例はポリアラニンリンカー配列、例えばAla-Ala-Alaである。
さらに好ましいリンカー配列の例は種々の長さのGly/Serリンカー、例えば(gly
xser
y)
zリンカーであり、前記には(gly
4ser)
3、(gly
4ser)
4、(gly
4ser)、(gly
3ser)、gly
3、及び(gly
3ser
2)
3が含まれる。
リンカーの限定されないいくつかの例は、表15に示す本発明のVEGF結合分子(配列番号:128−168)に含まれている。例えばリンカーは以下である:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(35GS;配列番号:169);
GGGGSGGGS(9GS;配列番号:170);
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(40GS;配列番号:171)。
【0043】
本発明のフォーマット化VEGF結合分子がポリマー(例えばポリエチレングリコール)、PEG(ポリエチレングリコール)成分の付加によって改変される場合は、リンカー配列は、好ましくはアミノ酸残基、例えばシステイン又はリジンを含み、リンカー領域におけるそのような改変(例えばPEG化)を可能にする。
PEG化のために有用なリンカーの例は以下である:
GGGGCGGGS(“GS9,C5”、配列番号:172);
GGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS25,C5”、配列番号:173);
GGGSGGGGSGGGGCGGGGSGGGGSGGG(“GS27,C14”、配列番号:174);
GGGGSGGGGSGGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS35,C15”、配列番号:175);;及び
GGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS35,C5”、配列番号:176)。
さらに、リンカーはまた例えばWO2004/081026に示すポリ(エチレングリコール)成分でもよい。
【0044】
別の実施態様では、少なくとも2つのVEGF結合免疫グロブリン単一可変ドメインは、互いに別の成分、例えば別のポリペプチドと(場合によって1つ又は2つのリンカーを介して)連結される。好ましい実施態様では(ただし前記態様に限定されない)、前記別の成分は上記に記載されたさらに別の免疫グロブリン単一可変ドメインであり得る。そのような成分は本質的に不活性であるか、又は生物学的作用(例えば前記ポリペプチドの所望される特性の改善)を有するか、又は前記ポリペプチドに1つ以上のまた別の所望される特性を付与することができる。例えば(当該例示に限定されないが)、前記成分は当該タンパク質又はポリペプチドの半減期を改善することができ、及び/又はその免疫原性を低下させることができ、又は任意の他の所望される特性を改善することができる。
好ましい実施態様にしたがえば、本発明のVEGF結合分子は、特に治療薬剤としての使用が意図されるか又は治療剤として使用されるときは、患者の血清又は他の体液において本発明のポリペプチドの半減期を延長させる成分を含む。“半減期”という用語は、(改変)ポリペプチドの血清中の濃度が、例えばポリペプチドの分解及び/又はクリアランス及び/又は天然のメカニズムによる除去のためにin vivoで50%減少するために要する時間と定義される。
【0045】
より具体的には、そのような半減期延長成分は、免疫グロブリン単一可変ドメインと共有結合させるか又は融合させることができ、前記成分はFc部分、アルブミン成分、アルブミン成分のフラグメント及びアルブミン結合成分(例えば抗アルブミン免疫グロブリン単一可変ドメイン)、トランスフェリン結合成分(例えば抗トランスフェリン免疫グロブリン単一可変ドメイン)、ポリオキシアルキレン分子(例えばポリエチレングリコール分子)、アルブミン結合ペプチド又はヒドロキシエチルデンプン(HES)誘導体であり得る(ただしこれらに限定されない)。
別の実施態様では、本発明のVEGF結合分子は、血中で見出される抗原(例えば血清アルブミン、血清免疫グロブリン、タイロキシン結合タンパク質、フィブリノゲン又はトランスフェリン)と結合して、それによって得られた本発明のポリペプチドにin vivoでの半減期の延長を付与する成分を含む。特に好ましい実施態様にしたがえば、そのような成分はアルブミン結合免疫グロブリン、特に好ましくはアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばアルブミン結合VHHドメインである。
ヒトでの使用が意図される場合、そのようなアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメインは好ましくはヒト血清アルブミンと結合し、好ましくは、前記はヒト化アルブミン結合VHHドメインである。
【0046】
ヒト血清アルブミンと結合する免疫グロブリン単一可変ドメインは当業界で公知であり、例えばWO2006/122786にさらに詳細に記載されている。具体的には、有用なアルブミン結合VHHはALB1及びそのヒト化対応物である。上記の特許刊行物に記載されている他のアルブミン結合VHHドメインも同様に用いることができる。
特に有用なアルブミン結合VHHドメインは、配列番号:177に示すアミノ酸配列から成るか、又は前記を含むALB8である。
本発明の更なる実施態様にしたがえば、2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(好ましくはVHHである)は血清アルブミン分子と融合され得る(例えばWO01/79271及びWO03/59934に記載)。例えばWO01/79271に記載されているように、前記融合タンパク質は通常の組み換え技術によって入手できる。すなわち、血清アルブミンをコードするDNA分子又はそのフラグメントをVEGF結合分子コードDNAと結合させ、得られた構築物を選択した宿主細胞(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)のような酵母細胞又は細菌細胞)での発現に適したプラスミドに挿入し、続いて前記宿主細胞に前記融合ヌクレオチド配列をトランスフェクトし、適切な条件下で増殖させる。有用なHSAの配列は配列番号:178に示されている。
【0047】
別の実施態様にしたがえば、本発明のポリペプチドの半減期延長改変(そのような改変はまたポリペプチドの免疫原性を低下させる)は、適切な薬理学的に許容できるポリマーの付加を含む。前記ポリマーは、例えば直鎖若しくは分枝鎖ポリ(エチレングリコール)(PEG)又はその誘導体(例えばメトキシポリ(エチレングリコール)又はmPEG)である。一般的には、PEG化の任意の適切な型、例えば抗体及び抗体フラグメント(ドメイン抗体及びscFvが含まれるが、ただし前記に限定されない)について当業界で用いられるPEG化を用いることができる。例えば以下を参照できる:Chapman, Nat. Biotechnol., 54, 531-545 (2002);Veronese and Harris, Adv. Drug Deliv. Rev. 54, 453-456 (2003);Harris and Chess, Nat. Rev. Drug. Discov. 2 (2003);及びWO2004/060965。
ポリペプチドのPEG化のための多様な試薬もまた市場で、例えばネクター・テラピューティクス(Nektar Therapeutics, USA)又はNOF社(NOF Corporation, Japan)から入手できる。前記試薬は例えば以下である:サンブライト(Sunbright(商標))EAシリーズ、SHシリーズ、MAシリーズ、CAシリーズ及びMEシリーズ、例えばサンブライト(商標)ME-100MA、サンブライト(商標)ME-200MA、及びサンブライト(商標)ME-400MA。
【0048】
好ましくは、部位特異的PEG化(特にシステイン残基を介する)が用いられる(例えば以下を参照されたい:Yang et al., Protein Engineering (2003)16:761-770)。例えば、この目的のために、PEGを本発明のポリペプチドに天然に存在するシステイン残基に付加することができる。本発明のポリペプチドは、PEG付加用の1つ以上のシステイン残基を適切に導入するために改変するか、又はPEG付加用の1つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸配列を本発明のポリペプチドのN-末端及び/又はC-末端に融合させることができる。いずれもそれ自体当業者に公知のタンパク質操作技術を利用する。
好ましくは、本発明のポリペプチドのために、5kDaより大きい、例えば10kDaより大きく200kDaより小さい、例えば100kDa未満、例えば20kDaから80kDaの範囲の分子量のPEGが用いられる。
PEG化に関しては、一般的に本発明はまた、好ましくは以下の(1)−(4)のような態様で1つ以上のアミノ酸の位置でPEG化された任意の二パラトープ性VEGF結合分子を包含することは特筆されるべきである:前記PEG化は、(1)半減期をin vivoで延長し;(2)免疫原性を低下させ;(3)PEG化についてそれ自体公知のさらに別の1つ以上の有益な特性を提供し;(4)VEGFに対するポリペプチドの親和性に本質的に影響を与えず(当業界で報告されている適切なアッセイで決定したとき、例えば前記親和性を50%を超えて、より好ましくは10%を超えて低下させない);及び/又は(4)本発明のVEGF結合分子の他の所望の特性のいずれにも影響を与えない。それらに付加する適切なPEG基及び方法(特異的であれ非特異的であれ)は当業者には明白であろう。ポリペプチドのPEG化のための多様な試薬もまた市場で、例えばネクター・テラピューティクス(Nektar Therapeutics, USA)又はNOF社(NOF Corporation, Japan)から入手できる。前記試薬は例えば以下である:サンブライト(Sunbright(商標))EAシリーズ、SHシリーズ、MAシリーズ、CAシリーズ及びMEシリーズ、例えばサンブライト(商標)ME-100MA、サンブライト(商標)ME-200MA、及びサンブライト(商標)ME-400MA。
【0049】
本発明の特に好ましい実施態様にしたがえば、本発明のPEG化されたポリペプチドは、40kDaから60kDaの分子量を有する線状PEGの1つのPEG成分を含み、ここで前記成分は、リンカー領域で、具体的には配列番号:172に示すGS9リンカーペプチドの5位、配列番号:174に示すGS27リンカーペプチドの14位、又は配列番号:175に示すGS35リンカーペプチドの15位、又は配列番号:176に示す35GSリンカーペプチドの5位のCys残基で前記ポリペプチドに付加される。
本発明のVEGF結合分子は、上記に記載のPEG試薬の1つ、例えば以下の化学式に示す“サンブライト(商標)ME-400MA”を用いてPEG化することができる:
【0051】
別の特徴では、本発明は、本発明のVEGF結合分子をコードする核酸分子に関する。そのような核酸分子はまた、本明細書では“本発明の核酸”と称され、さらにまた本明細書に規定する遺伝的構築物の形態を有することができる。本発明の核酸は、ゲノムDNA、cDNA又は合成DNA(例えば目的の宿主細胞又は宿主生物での発現に特異的に順応させたコドン使用頻度を有するDNA)であり得る。本発明の実施態様にしたがえば、本発明の核酸は、上記に規定したように本質的に単離された形態である。
本発明の核酸はまた、ベクター(例えばプラスミド、コスミド又はYAC)の形態を有するか、前記に存在するか及び/又はその部分であり得る。前記ベクターは特に発現ベクター、すなわちVEGF結合分子の発現をin vitro及び/又はin vivoで(すなわち適切な宿主細胞、宿主生物及び/又は発現系において)提供できるベクターであり得る。そのような発現ベクターは、一般的には本発明の少なくとも1つの核酸を含み、前記核酸は1つ以上の適切な調節エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど)と作動できるように連結されている。特定の宿主における特定の配列の発現を考慮したそのようなエレメント及びそれらの選択は当業者の通常的知識である。本発明のVEGF結合分子の発現に有用な又は必要な調節エレメント及び他のエレメントの具体例、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター、組込み因子、選別マーカー、リーダー配列、レポーター遺伝子などは、例えばWO2006/040153の131から133ページに開示されている。
本発明の核酸は、本明細書に提供した本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報を基にして、それ自体公知の態様で(例えば自動DNA合成及び/又は組換えDNA技術によって)調製又は入手でき、及び/又は適切な天然の供給源から単離することができる。
【0052】
別の特徴では、本発明は、本発明の1つ以上のVEGF結合分子を発現するか又は発現する能力を有する宿主細胞、及び/又は本発明の核酸を含む宿主細胞に関する。特に好ましい実施態様にしたがえば、前記宿主細胞は細菌細胞である。他の有用な細胞は酵母細胞、真菌細胞又は哺乳動物細胞である。
適切な細菌細胞には、グラム陰性細菌株(例えば大腸菌(Escherichia coli)、プロテウス(Proteus)及びシュードモナス(Pseudomonas)の株)、及びグラム陽性細菌株(例えばバシルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)及びラクトコッカス(Lactococcus)の株)に由来する細胞が含まれる。適切な真菌細胞には、トリコデルマ(Trichoderma)、ニューロスポラ(Neurospora)及びアスペルギルス(Aspergillus)の種に由来する細胞が含まれる。適切な酵母細胞には、サッカロミセス(Saccharomyces)(例えばサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae))、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)(例えばシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe))、ピキア(Pichia)(例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)及びピキア・メタノリカ(Pichia methanolica))及びハンセヌラ(Hansenula)の種に由来する細胞が含まれる。
適切な哺乳動物細胞には、例えばCHO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞などが含まれる。しかしながら、両性動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、及び異種タンパク質の発現に当業界で用いられる任意の他の細胞も同様に用いることができる。
【0053】
本発明はさらに本発明のVEGF結合分子を製造する方法を提供する。そのような方法は一般的に以下の工程を含む:
−VEGF結合分子をコードすることができる核酸を含む宿主細胞を、本発明のVEGF結合分子の発現を許容する条件下で培養する工程;及び
−宿主細胞によって発現されたポリペプチドを培養から回収又は単離する工程;及び
−本発明のVEGF結合分子を場合によってさらに精製し、及び/又は改変し、及び/又は処方する工程。
工業的規模での生産のためには、好ましい宿主細胞には、大規模の発現、生産及び発酵、特に大規模の医薬の発現、生産及び発酵に適切な大腸菌、ピキア・パストリス及びS.セレビシアエの株が含まれる。
特定の発現系の選択は、部分的にはある種の翻訳後改変(より具体的にはグリコシレーション)の必要性に左右される。グリコシレーションが所望または要求される本発明のVEGF結合分子の生産は、発現されたタンパク質のグリコシレーション能力を有する哺乳動物発現宿主の使用を必要とするであろう。これに関して、得られるグリコシレーションパターン(すなわち付加される残基の種類、数及び位置)は、発現に用いられる細胞又は細胞株に左右されることは当業者には明白であろう。
本発明のVEGF結合分子は、上記に示した細胞の細胞内で(例えばサイトゾル、ペリプラズム又は封入体で)生成され、続いて宿主細胞から単離され、場合によってさらに精製されるか、又はそれら分子は細胞外に向けて(例えば宿主細胞が培養される媒体中に)生産され、続いて培養液から単離され、場合によってさらに精製され得る。
【0054】
ポリペプチドの組換え生産に用いられる方法及び試薬、例えば適切な個々の発現ベクター、形質転換若しくはトランスフェクションの方法、選別マーカー、タンパク質発現の誘発方法、培養条件などは当業界で公知である。同様に、本発明のポリペプチドの製造方法で有用なタンパク質の単離及び精製技術は当業者には周知である。
さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:9から57又は配列番号:58から127にそれぞれ示す配列から選択されるアミノ酸配列を有する抗VEGF-VHHに含まれるCDR3アミノ酸配列を有するペプチド、及び前記をコードする核酸分子に関する。
これらのペプチドは本発明のVHHから誘導されるCDR3に一致する。それらペプチドは、特にそれらペプチドをコードする核酸分子は、免疫グロブリン鎖中のCDR3置換のためのCDR移植のために、又は非免疫グロブリン性足場(例えばプロテアーゼ阻害物質、DNA結合タンパク質、チトクロームb562、ヘリックス-バンドルタンパク質、ジスルフィド架橋ペプチド、リポカリン又はアンチカリン)への挿入のために(したがってそのような足場に標的結合特性を付与するために)に有用である。CDR移植の方法は当業界では周知であり、例えばヒト化抗体(通常げっ歯類抗体由来のCDRのヒト抗体Fvフレームワークへの移植を含む)のために広く用いられている。
【0055】
本発明のCDR3を含有する免疫グロブリン性足場又は非免疫グロブリン性足場を得るために、そのような分子をコードするDNAは、分子生物学の標準的な方法にしたがって、例えば遺伝子合成によって、オリゴヌクレオチドアニーリングによって、又はオーバーラップPCRフラグメントの手段によって入手できる。前記手段は例えば以下に記載されている:Daugherty et al., 1991, Nucleic Acids Research, Vol. 19, 9, 2471-2476。VHH CDR3を非免疫グロブリン性足場に挿入する方法は以下に記載されている:Nicaise et al., 2004, Protein Science, 13, 1882-1891。
本発明はさらに製品又は組成物に関し、前記は、本発明の少なくとも1つのVEGF結合分子及び場合によってそのような組成物のそれ自体公知の(すなわち前記組成物の目的の使用に応じて)さらに別の1つ以上の成分を含有するか又は含む。
【0056】
医薬としての使用のためには、本発明のVEGF結合分子は、少なくとも1つの本発明のVEGF結合分子及び少なくとも1つの医薬的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤及び/又はアジュバント、並びに場合によって1つ以上のさらに別の医薬的に活性を有するポリペプチド及び/又は化合物を含む医薬調製物又は組成物として処方できる。例を挙げれば(ただしこの例に限定されない)、そのような処方物は、経口投与用、非経口投与用(例えば静脈内、筋肉内若しくは皮下注射又は静脈内輸液による)、局所投与用、吸入、皮膚パッチ、移植、座薬などよる投与に適した形態を有することができる。そのような適切な投与形態(投与態様の他にその調製物で使用される方法及び担体に応じて固体、半固体又は液体であり得る)は当業者には明白で、本明細書でさらに記述する。
したがって、さらに別の特徴では、本発明は、少なくとも1つの本発明のVEGF結合分子、特に本発明の1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン及び少なくとも1つの適切な担体、希釈剤又は賦形剤(すなわち医薬としての使用に適切なもの)、及び場合によって1つ以上のさらに別の活性を有する物質を含む医薬組成物に関する。
【0057】
本発明のVEGF結合分子は、それ自体公知の適切な任意の態様で処方及び投与することができる。特に免疫グロブリン単一可変ドメインについては、例えばWO04/041862、WO04/041863、WO04/041865、WO04/041867及びWO08/020079の他に標準的な手引書、例えば以下を参照できる:Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Company, USA (1990), Remington, the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition, Lippincott Williams and Wilkins (2005);又はthe Handbook of Therapeutic Antibodies (S. Dubel, Ed.), Wiley, Weinheim, 2007(例えば252-255を参照されたい)。
例えば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、通常の抗体及び抗体フラグメント(ScFv及びジアボディを含む)並びに他の医薬的に活性なタンパク質のためのそれ自体公知の任意の態様で処方及び投与することができる。そのような処方物及び前記を調製する方法は当業者には明白であり、例えば非経口投与(例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、管内、動脈内又はクモ膜下投与)用又は局所(すなわち経皮又は皮内)投与用に適した調製物が含まれる。
【0058】
非経口投与用調製物は、例えば輸液又は注射に適した無菌溶液、懸濁液、分散液又は乳液であり得る。そのような調製物の適切な担体又は希釈剤には、例えば滅菌水並びに医薬的に許容できる水性緩衝液及び溶液、例えば生理学的リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及びハンクス溶液;水油;グリセロール;エタノール;グリコール(例えばポリエチレングリコール)の他に鉱物油、動物油及び植物油、例えば落花生油、大豆油の他に前記の適切な混合物が含まれるが、ただしこれらに限定されない。通常は水溶液又は水性懸濁液が好ましいであろう。
したがって、本発明のVEGF結合分子は、医薬的に許容できるベヒクル(例えば不活性希釈剤又は吸収性食用担体)と一緒に全身的に(例えば経口的に)投与できる。経口治療薬の投与のためには、本発明のVEGF結合分子は1つ以上の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、頬側錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁物、シロップ、ウェファースなどの形態で用いられ得る。そのような組成物及び調製物は、少なくとも0.1%の本発明のVEGF結合分子を含有するべきである。組成物及び調製物中のそれらのパーセンテージはもちろん変動可能で、便宜的にはあるユニット投薬形の約2重量%から約60重量%であり得る。そのような治療的に有用な組成物中の本発明のVEGF結合分子の量は有効な投薬レベルが得られる量である。
【0059】
錠剤、ピル、カプセルなどはまた結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び甘味剤又は香料、例えばWO08/020079の143−144ページに記載されたものを含むことができる。ユニット投薬形がカプセルであるときは、前記は上記タイプの物質に加えて、液状担体、例えば植物油又はポリエチレングリコールを含有することができる。他の多様な物質が、コーティングとして或いは固体のユニット投薬形の形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、ピル又はカプセルは、ゼラチン、ロウ、シェラック又は糖で被覆できる。シロップまたはエリキシルは、本発明のVEGF結合分子、甘味剤としてシュクロース又はフラクトース、保存料としてメチル及びプロピルパラベン、染料並びに香料(例えばサクランボ又はオレンジ香料)を含有することができる。もちろん、任意のユニット投薬形の調製で用いられる任意の物質は、医薬的に許容でき、用いられる量で実質的に無毒であるべきである。さらにまた、本発明のVEGF結合分子は徐放性調製物及び装置に取り込むことができる。
経口投与用調製物及び処方物にはまた、本発明の構築物に胃の環境に耐えて腸へ移動させる腸溶皮を提供できる。より一般的には、経口投与用調製物及び処方物は、胃腸管の任意の部分へのデリバリーのために適切に処方することができる。さらにまた、胃腸管へのデリバリーのために座薬を用いることができる。
【0060】
本発明のVEGF結合分子はまた、WO08/020079の144及び145ページでさらに記述されているように、輸液又は注射によって静脈内又は腹腔内に投与され得る。
本発明のVEGF結合分子の局所投与のためには、一般的には、皮膚学的に許容できる担体と組み合わせた組成物又は処方物としてそれらを皮膚に投与することが所望されるであろう。前記は、WO08/020079の145ページでさらに記述されているように固体又は液体であり得る。
一般的には、液体組成物(例えばローション)中の本発明のVEGF結合分子の濃度は、約0.1−25wt%、好ましくは約0.5−10wt%であろう。半固体又は固体組成物(例えばゲル又はパウダー)中の濃度は、約0.1−5wt%、好ましくは約0.5−2.5wt%であろう。
治療に使用するために必要とされる本発明のVEGF結合分子の量は、選択される個々のVEGF結合分子によって変動するだけでなく、投与経路、治療される症状の性質及び患者の状態によってもまた変動し、最終的には主治医又は臨床医の自由裁量に任されるであろう。さらにまた、本発明のVEGF結合分子の投与量は、標的細胞、腫瘍、組織、移植片又は器官にしたがって変動する。
【0061】
所望用量は、便利には1回用量として、又は適切な間隔で投与される分割用量として(例えば1日に2回、3回、4回又は5回以上の部分用量として)提供できる。前記部分用量自体はさらに、例えば数回の別個の大雑把に間隔をあけた投薬に分割できる。前記は例えば散布器からの何回かの吸入、又は複数回の点眼の適用による。
投与計画は長期間の毎日の治療を含むことができる。“長期間”とは少なくとも2週間、好ましくは数週間、数カ月又は数年の期間を意味する。この投薬期間における必要な改変は、本明細書の教示が提供されるならばほんの日常的な実験を用いるだけで当業者が決定できる。例えば以下を参照されたい:Remington’s Pharmaceutical Sciences(Martin, E.W., ed. 4, Mack Publishing Co., Easton, PA)。投薬はまた、いずれかの合併症の発生で個々の臨床医によって調節され得る。
さらに別の実施態様にしたがえば、本発明は、VEGF結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン)の例えば以下の治療目的のための使用に関する:
−脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接に関係するか、又はVEGF結合分子による切痕シグナリング経路の調節によって予防、治療又は緩和できる、(特にヒトの)異常、疾患又は症状を予防、治療及び/又は緩和するため;
−そのような治療法を必要とする患者を治療する方法において、(前記の方法は、その必要がある対象者に本発明の少なくとも1つのVEGF結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン)又は前記を含む医薬組成物の医薬的に活性な量を投与する工程を含む);
−脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接に関係する異常、疾患又は症状の予防、治療又は緩和のための医薬の調製のため;
−上記の目的のために使用される医薬組成物又は医薬中の活性成分として。
【0062】
具体的な特徴にしたがえば、前記異常、疾患又は症状は本明細書で規定する癌又は癌様疾患である。
別の特徴にしたがえば、前記疾患は、脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接に関係するか、または切痕シグナリング経路をVEGF結合分子により調節することによって治療又は緩和できる眼の疾患である。
治療される癌様疾患に応じて、本発明のVEGF結合分子はそれ自体で又は1つ以上の追加の治療薬剤と一緒に用いることができる。前記追加の薬剤は、特にDNA損傷薬剤のような化学療法剤、又は脈管形成、シグナルトランスダクション経路若しくは癌細胞の有糸分裂のチェックポイントを阻害する治療的に活性な化合物から選択される。
前記追加の治療薬剤は、同時に(場合によって同じ医薬調製物の成分として)、又はVEGF結合分子の投与の前若しくは後で投与できる。
ある種の実施態様では、前記追加の治療薬剤は、EGFR、VEGFR、HER2-neu、Her3、AuroraA、AuroraB、PLK及びPI3キナーゼ、FGFR、PDGFR、Raf、KSP、PDK1、PTK2、IGF-R又はIRの阻害剤グループから選択される1つ以上の阻害剤であり得るが、ただしこれらに限定されない(さらにレセプターの事例では、対応するリガンドが含まれる)。
追加の治療薬剤のさらに別の例は、CDK、Akt、src/bcr abl、cKit、cMet/HGF、c-Myc、FIt3、HSP90の阻害剤、ヘッジホッグアンタゴニスト、JAK/STAT、Mek、mTor、NFkappaB、、プロテアソーム、Rhoの阻害剤、wntシグナリングの阻害剤、又はユビキチン化経路の阻害剤又は切痕シグナリング経路の別の阻害剤である。
Aurora阻害剤の例は、PHA-739358、AZD-1152、AT 9283、CYC-116、R-763、VX-680、VX-667、MLN-8045、PF-3814735であるが、ただしこれらに限定されない。
PLK阻害剤の例はGSK-461364である。
raf阻害剤の例は、BAY-73-4506(VEGFR阻害剤でもある)、PLX 4032、RAF-265(さらにまたVEGFR阻害剤でもある)、ソラフェニブ(sorafenib)(さらにまたVEGFR阻害剤である)及びXL 281である。
KSP阻害剤の例は、イシネシブ(ispinesib)、ARRY-520、AZD-4877、CK-1122697、GSK 246053A、GSK-923295、MK-0731及びSB-743921である。
Src及び/又はbcr-abI阻害剤の例は、ダサチニブ(dasatinib)、AZD-0530、ボスチニブ(bosutinib)、XL 228(IGF-1R阻害剤でもある)、ニロチニブ(nilotinib)(PDGFR及びcKit阻害剤でもある)、イマチニブ(imatinib)(cKit阻害剤でもある)及びNS-187である。
【0063】
PDK1阻害剤の例はBX-517である。
Rho阻害剤の例はBA-210である。
PI3キナーゼ阻害剤の例は、PX-866、BEZ-235(mTor阻害剤でもある)、XL 418(Akt阻害剤でもある)、XL-147及びXL 765(mTor阻害剤でもある)である。
cMet又はHGFの阻害剤の例は、XL-184(VEGFR、cKit、FIt3の阻害剤でもある)、PF-2341066、MK-2461、XL-880(VEGFRの阻害剤でもある)、MGCD-265(VEGFR、Ron、Tie2の阻害剤でもある)、SU-11274、PHA-665752、AMG-102及びAV-299である。
c-Myc阻害剤の例はCX-3543である。
FIt3阻害剤の例は、AC-220(cKit及びPDGFRの阻害剤でもある)、KW 2449、レスタウアーチニブ(lestaurtinib)(VEGFR、PDGFR、PKCの阻害剤でもある)、TG-101348(JAK2の阻害剤でもある)、XL-999(cKit、FGFR、PDGFR及びVEGFRの阻害剤でもある)、スニチニブ(sunitinib)(PDGFR、VEGFR及びcKitの阻害剤でもある)、タンズチニブ(tandutinib)(PDGFR及びcKitの阻害剤でもある)である。
HSP90阻害剤の例は、タネスピマイシン(tanespimycin)、アルベスピマイシン(alvespimycin)、IPI-504及びCNF 2024である。
JAK/STAT阻害剤の例は、CYT-997(チューブリンとも相互作用する)、TG 101348(FIt3の阻害剤でもある)及びXL-019である。
Mek阻害剤の例は、ARRY-142886、PD-325901、AZD-8330及びXL 518である。
mTor阻害剤の例は、テムシロリムス(temsirolimus)、AP-23573(VEGF阻害剤としても作用する)、エヴェロリムス(everolimus)(さらにまたVEGF阻害剤である)、XL-765(PI3キナーゼ阻害剤でもある)、及びBEZ-235(PI3キナーゼ阻害剤でもある)である。
Akt阻害剤の例は、ペリフォシン(perifosine)、GSK-690693、RX-0201及びトリシリビン(triciribine)である。
【0064】
cKit阻害剤の例は、AB-1010、OSI-930(VEGFR阻害剤としても作用する)、AC-220(FIt3及びPDGFR阻害剤でもある)、タンズチニブ(FIt3及びPDGFRの阻害剤でもある)、アクシチニブ(axitinib)(VEGFR及びPDGFRの阻害剤でもある)、XL-999(FIt3、PDGFR、VEGFR、FGFRの阻害剤でもある)、スニチニブ(FIt3、PDGFR、VEGFRの阻害剤でもある)、及びXL-820(VEGFRおよびPDGFR阻害剤としても作用する)、イマチニブ(bcr-abl 阻害剤としても作用する)、ニロチニブ(bcr-abl及びPDGFRの阻害剤でもある)である。
ヘッジホッグアンタゴニストの例はIPI-609及びCUR-61414である。
CDK阻害剤の例は、セリシクリブ(seliciclib)、AT-7519、P-276、ZK-CDK(VEGFR2及びPDGFRも阻害する)、PD-332991、R-547、SNS-032、PHA-690509及びAG 024322である。
プロテアソームの阻害剤の例は、ボルテゾミブ(bortezomib)、カルフィロゾニブ(carfilzomib)及びNPI-0052(NFkappaBの阻害剤でもある)である。
NFkappaB経路の阻害剤の例はNPI-0052である。
ユビキチン化経路の阻害剤の例はHBX-41108である。
好ましい実施態様では、追加の治療薬剤は抗脈管形成剤である。
抗脈管形成剤の例は、FGFR、PDGFR及びVEGFRの阻害剤又は対応するリガンド(例えばペガプタニブ(pegaptanib)のようなVEGF阻害剤又は抗VEGF抗体ベバシズマブ)、EGFL7阻害剤(例えば抗EGFL7 MAb)、アンギオポイエチン1/2阻害剤(例えばAMG386)、及びサリドマイド(例えば以下から選択される薬剤(ただしこれらに限定されない):ベバシズマブ、モテサニブ(motesanib)、CDP-791、SU-14813、テラチニブ(telatinib)、KRN-951、ZK-CDK(CDK阻害剤でもある)、ABT-869、BMS-690514、RAF-265、IMC-KDR、IMC-18F1、IMiD(免疫調節薬)、サリドマイド誘導体CC-4047、レナリドミド(lenalidomide)、ENMD 0995、IMC-D11、Ki 23057、ブリヴァニブ(brivanib)、セジラニブ(cediranib)、XL-999(cKit及びFIt3の阻害剤でもある)、1B3、CP 868596、IMC 3G3、R-1530(FIt3の阻害剤でもある)、スニチニブ(cKit及びFIt3の阻害剤でもある)、アクシチニブ(cKitの阻害剤でもある)、レスタウアーチニブ(FIt3及びPKCの阻害剤でもある)、ヴァタラニブ(vatalanib)、タンズチニブ(FIt3及びcKitの阻害剤でもある)、パゾパニブ(pazopanib)、GW 786034、PF-337210、IMC-1121B、AVE-0005、AG-13736、E-7080、CHIR 258、ソラフェニブトシレート(sorafenib tosylate)(Raf阻害剤でもある)、RAF-265(Raf阻害剤でもある)、ヴァンデタニブ(vandetanib)、CP-547632、OSI-930、AEE-788(EGFRおよびHer2の阻害剤でもある)、BAY-57-9352(Rafの阻害剤でもある)、BAY-73-4506(Rafの阻害剤でもある)、XL 880(cMetの阻害剤でもある)、XL-647(EGFR及びEphB4の阻害剤でもある)、XL 820(cKitの阻害剤でもある)、及びニロチニブ(nilotinib)(cKit及びbrc-ablの阻害剤でもある))である。
【0065】
追加の治療薬剤はまたEGFR阻害剤から選択できる。前記は小分子EGFR阻害剤であるかまたは抗EGFR抗体である。抗EGFR抗体の例は、セツキシマブ(cetuximab)、パニツムマブ(panitumumab)、マツズマブ(matuzuma)であるが、ただしこれらに限定されない。小分子EGFR阻害剤の例はゲフィチニブ(gefitinib)である。EGFR調節物質の別の例はEGF融合毒素である。
本発明のVEGF結合分子との組合せに有用なEGFR及びHer2阻害剤はとりわけ、ラパチニブ(lapatinib)、ゲフィチニブ、エルロチニブ(erlotinib)、セツキシマブ、トラスツズマブ(trastuzumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、ヴァンデタニブ(vandetanib)(VEGFRの阻害剤でもある)、ペルツズマブ(pertuzumab)、XL-647、HKI-272、BMS-599626 ARRY-334543、AV 412、mAB-806、BMS-690514、JNJ-26483327、AEE-788(VEGFRの阻害剤でもある)、ARRY-333786、IMC-11F8、Zemabである。
本発明のVEGF結合分子と治療法で有利に組み合わせることができる他の薬剤は、トリツムマブ(tositumumab)及びイブリツモマブ チウキセタン(ibritumomab tiuxetan)(2つの放射能標識抗CD20抗体)、アレムツズマブ(alemtuzumab)(抗-CD52抗体)、デノスマブ(denosumab)(破骨細胞分化因子リガンド阻害剤)、ガリクシマブ(galiximab)(CD80アンタゴニスト)、オファツムマブ(ofatumumab)(CD20阻害剤)、ザノリムマブ(zanolimumab)(CD4アンタゴニスト)、SGN40(CD40リガンドレセプター調節物質)、リツキシマブ(rituximab)(CD20阻害物質)、マパツムマブ(mapatumumab)(TRAIL-1レセプターアゴニスト)、REGN421(SAR153192)又はOMP-21M18(DII4阻害剤)である。
【0066】
本発明のVEGF結合分子と一緒に用いることができる他の化学療法剤は以下から選択される(ただしこれらに限定されない):ホルモン、ホルモンアナローグ及び抗ホルモナール(例えば、タモキシフェン(tamoxifen)、トレミフェン(toremifene)、ラロキシフェン(raloxifene)、フルヴェストラント(fulvestrant)、メゲストロールアセテート(megestrol acetate)、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、クリプロテロンアセテート(cyproterone acetate)、フィナステリド(finasteride)、ブセレリンアセテート(buserelin acetate)、フルドロコーチゾン(fludrocortisone)、フルオキシメステロン(fluoxymesterone)、メドロキシプロジェステロン(medroxyprogesterone)オクトレオチド(octreotide)、アルゾキシフェロン(arzoxifene)、パシレオチド(pasireotide)、ヴァプレオチド(vapreotide))、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール(anastrozole)、レトロゾール(letrozole)、リアロゾール(liarozole)、エキセメスタン(exemestane)、アタメスタン(atamestane)、フォルメスタン(formestane))、LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば、ゴセレリンアセテート(goserelin acetate)、ロイプロリド(leuprolide)、アバレリクス(abarelix)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslorelin)、ヒストレリン(histrelin)、トリプトロレリン(triptorelin))、抗代謝薬(例えば、アンチフォレート、例えばメトトレキセート、ペメトレキシド(pemetrexed)、ピリミジンアナローグ、例えば5フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、デシタビン(decitabine)、ネララビン(nelarabine)及びゲムシタビン、プリン及びアデノシンアナローグ、例えばメルカプトプリンチオグアニン、クラブリジン(cladribine)及びペントシタチン(pentostatin)、シタラビン(cytarabine)、フルダラビン(fludarabine));抗腫瘍性抗生物質(例えば、アントラサイクリン、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、ピキサントロン、ストレプトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキザリプラチン、カルボプラチン、ロバプラチン、サトラプラチン);アルキル化剤(例えばエストラムスチン(estramustine)、メクロレタミン(meclorethamine)、メルファラン(melphalan)、クロラムブシル(chlorambucil)、ブスプラン(busulphan)、ダカルバジン、シクロホスファミド、イフォスファミド(ifosfamide)、ヒドロキシウレア、テモゾロミド(temozolomide)、ニトロソウレア、例えばカルムスチン及びロムスチン、チオテペア(thiotepa);抗有糸分裂剤(例えば、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンフラニン及びビンクリスチン;並びにタキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル及びそれらの処方物、ラロタキセル;シモタキセル、及びエポシロン、例えばイクサベピロン(ixabepilone)、パツピロン(patupilone)、 ZK-EPO);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxin)、例えばエトポシド(etoposide)及びエトポフォス(etopophos)、テニポシド(teniposide)、アムサクリン(amsacrine)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン)、及び雑多な化学療法剤(例えば、アミフォスチン(amifostine)、アナグレリド(anagrelide)、インターフェロンアルファ、プロカルバジン、ミトタン(mitotane)、及びポルフィマー(porfimer)、ベキサロテン(bexarotene)、セロコキシブ(celecoxib)。
【0067】
本発明のVEGF結合分子又はポリペプチド及び前記を含む組成物の有効性は、任意の適切なin vitroアッセイ、細胞系アッセイ、in vivoアッセイ及び/又はそれ自体公知の動物モデル又は前記の任意の組合せを対象となる具体的な疾患又は異常に応じて用い試験することができる。適切なアッセイ及び動物モデルは当業者には明白で、例えば本明細書に記述しさらに下記実施例で用いるアッセイ、例えば増殖アッセイを含む。
本発明の実験で得られたデータによって、本発明のVEGF結合分子は従来技術のVEGF結合分子の特性よりも優れた特性を有することが確認された。そのような特性はとりわけ、VEGF165−VEGFR2相互作用の完全な阻害及び低いIC
50(例えば
図1のELISAデータ及び表5から得ることができる)の他に、
図3、17、18及び表7で示されるアルファスクリーンアッセイでのVHHのIC
50値(nM);及び表9、10並びに
図5-1及び5-2における組換えヒトVEGF及びマウスVEGFでの精製VHHの親和性K
D(nM)である。
図13に示すように、本発明のVEGF結合物質は高い能力、すなわちサブナノモルの範囲の能力をHUVEC増殖アッセイで有する。このことは、本発明のVEGF結合分子は、脈管形成に対するVEGF媒介作用と密接な関係を有する疾患及び異常で治療有効性を有する有望な候補物であることを示す。
本発明の別の実施態様にしたがえば、以下の工程によって疾患を診断する方法が提供される:
a)上記で規定した本発明のVEGF結合分子とサンプルを接触させる工程;及び
b)前記VEGF結合分子と前記サンプルとの結合を検出する工程;及び
c)工程b)で検出された結合を標準物と比較し、前記サンプルに対する結合の相違によって、脈管形成におけるVEGF媒介作用と密接な関係を有する疾患又は異常が診断される。
【0068】
前記使用及び他の使用のために、例えば特異的結合対(例えばビオチン-(ストレプト)アビジン結合対)の一部分である機能群を導入することによって本発明のVEGF結合分子をさらに改変することは有用であり得る。そのような機能群を用いて、本発明のVEGF結合分子を別のタンパク質、ポリペプチド又は化合物(前記は結合対の他方の半分とすなわち結合対の形成を介して結合する)に連結させることができる。例えば、本発明のVEGF結合分子をビオチンと複合物を形成させ、さらにアビジン又はストレプトアビジンと複合物を形成した別のタンパク質、ポリペプチド、化合物又は担体と結合させることができる。例えば、そのような複合物を形成した本発明のVEGF結合分子をレポーターとして例えば診断系で用いることができる(そのような診断系では、検出可能なシグナル生成薬剤はアビジン又はストレプトアビジンと複合体を形成している)。
【0069】
材料と方法
a)VEGF109の製造と機能性試験
ヒト血管内皮増殖因子アイソフォームVEGF165(GenBank:AAM03108.1;アミノ酸残基27−135)のレセプター結合ドメインをコードするcDNAをpET28aベクター(Novagen, Madison, WI)でクローニングし、大腸菌(BL21 Star DE3)でHis-タグ付加不溶性タンパク質として過剰発現させる。発現は1mMのIPTGの添加によって誘発し、37℃で4時間持続させる。遠心分離によって細胞を採集し、細胞ペレットの超音波処理によって溶解させる。遠心分離によって封入体を単離する。1%トリトンX100(Sigma-Aldrich)による洗浄工程の後、タンパク質を7.5Mの塩酸グアニジンを用いて可溶化し、さらに6Mから0Mまで尿素濃度を降下させた緩衝液を用いる一晩透析の連続繰り返しによって再び折り畳む。再折畳みタンパク質を、MonoQ5/50GLカラム(Amersham BioScience)によるイオン交換クロマトグラフィーと前記に続くSuperdex75 10/300GLカラム(Amersham BioScience)によるゲルろ過によって精製する。タンパク質の純度及び均質性はSDS-PAGE及びウェスタンブロットによって確認する。さらにまた、VEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブとの結合活性はELISAによってモニターする。この目的のために、1μg/mLの組換えヒトVEGF109を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。VEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブの連続希釈をVEGF109被覆プレートに添加し、アルカリフォスファターゼ(AP)結合ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)(Jackson Immuno Research Laboratories Inc., West Grove, PA, USA)及びその後の基質PNPP(p-ニトロフェニルホスフェート)(Sigma-Aldrich)の存在下での酵素反応を用いて結合を検出する。VEGF109はVEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブと結合でき、製造されたVEGF109は活性を有することを示した。
【0070】
b)VEGF165のKLH結合及びKLH結合VEGF165の機能性試験
海水養殖カサガイヘモシアニン(mcKLH)(Pierce, Rockford, IL, USA)とともにImject Immunogen EDCキットを製造業者の指示にしたがって用い、組換えヒトVEGF165(R&D System, Minneapolis, MN, USA)をmcKLHと結合させる。ポリペプチドとmcKLHとの効率的な結合はSDS-PAGEによって確認する。前記結合タンパク質の機能性はELISAによってチェックする。2μg/mLのKLH結合VEGF165を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。VEGFR1又はVEGFR2の連続希釈を添加し、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)(Jackson Immuno Research Laboratories Inc., West Grove, PA, USA)及びその後の基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下での酵素反応を用いて結合を検出する。KLH結合タンパク質はなおVEGFR1、VEGFR2及びベバシズマブと結合でき、VEGF165の対応するエピトープはなお接近可能であることが確認された。
【実施例1】
【0071】
種々のVEGFフォーマットによる免疫はラマで液性免疫応答を誘発する
1.1 免疫
獣医学部(University Ghent, Belgium)の倫理委員会の承認後、4頭のラマ(No. 264, 265, 266, 267と称する)を標準的プロトコルにしたがって組換えヒトVEGF109の6回筋肉内注射(1週間間隔で100又は50μg/用量)により免疫する。0日目の第1回の注射はフロイントの完全アジュバント(Difco, Detroit, MI, USA)で処方するが、その後の注射はフロイントの不完全アジュバント(Difco, Detroit, MI, USA)で処方する。さらにまた、4頭のラマ(No. 234, 235, 236, 237と称する)を以下のプロトコルにしたがって免疫する:KLH結合ヒトVEGF165(2週間間隔で100又は50μg/用量)の5回筋肉内注射、続いてヒトVEGF109の4回筋肉内注射(第一回の用量100μg、2週間後に1週間間隔で3回の50μg/用量)。
1.2 ラマのVEGF誘発免疫応答の評価
VEGF特異的血清力価をモニターするために、ELISAアッセイを設定する。前記アッセイでは、2μg/mLの組換えヒトVEGF165又はVEGF109を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。血清希釈物を添加した後、結合した全IgGをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ラマ免疫グロブリン(Benthyl Laboratories Inc., Montgomery, TX, USA)及びその後の基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下での酵素反応を用いて検出する。ラマ264、265、266、及び267については追加のELISAを実施する。前記ELISAでは、VEGF165及びVEGF109に対するアイソタイプ応答を評価する。アイソタイプ特異的応答は、通常のラマIgG1並びに重鎖単独ラマIgG2及びIgG3を特異的に認識するマウスmAb(Daley et al. (2005). Clin. Diagn. Lab. Imm. 12:380-386)続いてウサギ抗マウスHRP結合物(DAKO)を用いて検出する。ELISAは色原体基質としてTMBを用いて反応を進行させ、吸収は450nmで測定する。各ラマの血清力価を表1に記載する。
【0072】
表1:VEGF165及びVEGF109に対する抗体媒介特異的血清応答
ELISA(組換えタンパク質固相被覆)
【表1】
n/d:測定せず
【実施例2】
【0073】
重鎖単独抗体フラグメントレパートリーのクローニング及びファージの調製
最後の免疫原注射に続いて、重鎖抗体を産生するB細胞の供給源として免疫組織を免疫ラマから収集する。典型的には、2つの150mL血液サンプル(最後の抗原注射から4日後及び8日後に収集)、1つのリンパ節生検材料(最後の抗原注射から4日後に収集)を各動物につき収集する。前記血液サンプルから、Ficoll-Hypaque(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ, USA)を製造業者の指示にしたがって用いて末梢血単核球(PBMC)を調製する。PBMC及びリンパ節生検材料から全RNAを抽出し、前記をRT-PCRのための出発材料として用い、WO 05/044858に記載されているようにVHHコードDNAセグメントを増幅する。各免疫ラマについて、当該動物の全収集免疫組織から単離した全RNAをプールすることによってライブラリーを構築する。略記すれば、VHHライブラリーのファージディスプレーを促進するように設計したベクターで、特異的制限部位を介してPCR増幅VHHレパートリーをクローニングする。前記ベクターはpUC119から誘導され、LacZプロモーター、M13ファージgIIIタンパク質コード配列、アンピシリン又はカルベニシリン耐性遺伝子、マルチクローニング部位及びハイブリッドgIII-peIBリーダー配列を含んでいる(pAX050)。VHHコード配列に関してインフレームで、前記ベクターはC末端c-mycタグ及びHis6タグをコードする。標準的プロトコルにしたがってファージを調製し、ろ過滅菌後更なる使用のために4℃で保存する。
【実施例3】
【0074】
VEGF特異的VHHのファージディスプレーによる選別
多数の選別条件を適用しながらVHHライブラリーを種々の選別手段で用いる。可変事項には以下が含まれる:i)VEGFタンパク質フォーマット(rhVEGF165、rhVEGF109又はrmVEGF164)、ii)抗原提示方法(固相:直接被覆又はニュートラビジン被覆プレートへビオチンタグを介して;液相:溶液中でのインキュベーションとそれに続くニュートラビジン被覆プレートでの捕捉)、iii)抗原濃度、及びiv)溶出方法(トリプシン又は競合溶出(VEGFR2を使用))。全ての選別をMaxisorp 96-ウェルプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)で実施する。
選別は以下のように実施する:ファージライブラリーを溶液中の又は固相に固定した変動濃度のVEGF抗原とともに室温でインキュベートする。2時間のインキュベーション及び十分な洗浄後に、結合ファージを溶出させる。ファージ溶出にトリプシンを用いる場合、0.8mMのプロテアーゼ阻害剤AEBSFの添加によってプロテアーゼ活性を直ちに中和する。コントロールとして抗原使用/不使用選別を並行して実施する。バックグラウンドを超える高濃度を示すファージアウトプットを大腸菌感染に用いる。感染大腸菌細胞は、次の選別ラウンド(ファージレスキュー)用ファージの調製に用いるか、又は個々のVHHクローンの解析のために寒天プレート(LB+amp+グルコース2%)にプレートする。選別アウトプットを特異的結合物についてスクリーニングするために、単一コロニーを寒天プレートから採取し、1mLの96-深ウェルプレートで増殖させる。IPTG(最終濃度0.1-1mM)を添加することによって、LacZ制御VHH発現を誘導する。標準的プロトコルにしたがってペリプラズム抽出物(体積約80μL)を調製する。
【実施例4】
【0075】
VEGF結合及びVEGFレセプター遮断VHHの同定
ヒトVEGF165との結合について、ペリプラズム抽出物をELISAによって試験する。略記すれば、2μg/mLの組換えヒトVEGF165を96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に4℃で一晩固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)で遮断する。典型的には10倍希釈のペリプラズム抽出物を添加した後、マウス抗myc(Roche)及び抗マウスHRP結合物(DAKO)を用いてVHH結合を検出する。バックグラウンドの3倍を超えるELISAシグナルを示すクローンをVEGF結合VHHとみなす。
さらにまた、ペリプラズム抽出物をヒトVEGF165/ヒトVEGFR2アルファスクリーンアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)でスクリーニングして、VHHの遮断能力を判定する。ヒトVEGF165にはSulfo-NHS-LC-ビオチン(Pierce, Rockford, IL, USA)を用いてビオチンを付加する。ヒトVEGFR2/Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)は、製造業者(Perkin Elmer, Waltham, MA, US)の指示にしたがい抗ヒトFc VHH(アクセプタービーズと結合する)を用いて捕捉する。VHHの中和能力を評価するために、ペリプラズム抽出物を0.03%Tween20(Sigma-Aldrich)含有PBS緩衝液で1/25に希釈し、0.4nMのビオチン付加ヒトVEGF165と室温(RT)で15分間プレインキュベーションを実施する。この混合物に、アクセプタービーズ(10μg/mL)及び0.4nM VEGFR2-huFcを添加し、暗所にて室温でさらに1時間インキュベートする。続いてドナービーズ(10μg/mL)を添加し、その後暗所にて室温で1時間インキュベートする。蛍光は、680nmの励起波長及び520nmから620nmの発光波長を用い、エンビジョンマルチラベルプレート(Envision Multi label Plate)リーダー(Perkin Elmer, Waltham, MA, USA)でプレートを読み取ることによって測定する。無関係のVHHを含むペリプラズム抽出物を陰性コントロールとして用いる。陰性コントロールのシグナルと比較したとき60%を超えて蛍光シグナルを低下させることができる抗VEGF165 VHHを含むペリプラズム抽出物をヒットと同定する。アルファスクリーンで同定された全てのヒットを競合ELISAで確認する。この目的のために、1μg/mLのヒトVEGFR2キメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。0.1%カゼイン溶液及び0.05%Tween20(Sigma-Aldrich)を含むPBS緩衝液に固定濃度(4nM)のビオチン付加ヒトVEGF165の存在下で、5倍希釈のペリプラズム抽出物をインキュベートする。これらのVHH/bio-VEGF165複合体とプレートに被覆したヒトVEGFR2キメラとの結合は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合エキストラビジン(Sigma, St Louis, MO, USA)を用いて検出する。VEGF結合(非レセプター遮断)VHH並びに阻害性(レセプター遮断)VHHのVHH配列ID及び対応するアミノ酸配列は、それぞれ表2及び表3に列挙する。
【0076】
表2:一価の“非レセプター遮断”抗VEGF VHHの配列ID及びアミノ酸配列(FR、フレームワーク;CDR、相補性決定領域)
【0077】
【表2】
【0078】
表3:一価のレセプター遮断抗VEGF VHHの配列ID及びアミノ酸配列(FR、フレームワーク;CDR、相補性決定領域)配列番号:9−46
【0079】
【表3】
【0080】
阻害性VHHの解離速度をBiacore(Biacore T100 instrument, GE Healthcare)で解析する。HBS-EP+緩衝液を泳動緩衝液として用い、実験は25℃で実施する。アミンカップリングにより、CM5センサーチップ上に組換えヒトVEGF165を+/-1500RUの目標レベルまで不可逆的に捕捉する。固定後、1Mのエタノールアミン(pH8.5)の10分間注入により表面を脱活性化する。参照表面は、それぞれEDC/NHS及びエタノールアミンで活性化及び脱活性化する。VHHのペリプラズム抽出物を泳動緩衝液に10倍希釈で45μL/分で2分間注入し、10又は15分間解離させる。異なるサンプル毎に表面を再生緩衝液で再生する。データは、参照チャネルの曲線及び泳動緩衝液注入ブランクの曲線を差し引くことによって二重に保証する。前記処理曲線は、Biacore T100評価ソフトv2.0.1で二相崩壊モデルを適合させることによって評価する。K
d-急速、K
d-緩慢及び%急速の値を表4に列挙する。
【0081】
表4:Biacoreによるレセプター遮断VHHのオフ速度決定
【表4】
n/d:測定せず
【実施例5】
【0082】
精製VHHの性状決定
精製タンパク質としての更なる性状決定のために以下の3つの阻害性抗VEGF VHHを選択する:VEGFBII23B04、VEGFBII24C4及びVEGFBII23A6。これらのVHHをc-myc, His6-タグ付加タンパク質として大腸菌TG1で発現させる。発現は1mMのIPTGの添加によって誘発し37℃で4時間持続させる。細胞培養を遠心分離した後、ペレットの凍結融解によってペリプラズム抽出物を調製する。これらの抽出物をIMAC及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるVHH精製の出発材料として用いる。最終的VHH調製物はSDS-PAGEで判定したとき95%の純度を示す。
5.1 ヒトVEGF165/ヒトVEGFR2-Fc遮断ELISAにおけるヒトVEGF165/VEGFR2遮断VHHの評価
VHHの遮断能力はヒトVEGF165/ヒトVEGFR2-Fc遮断ELISAで評価する。簡単に記せば、1μg/mLのVEGFR2-Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈を4nMのビオチン付加VEGF165の存在下でインキュベートする。bio-VEGF165とVEGFR2との残留結合を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合エキストラビジン(Sigma, St Louis, MO, USA)及び基質としてTMBを用いて検出する。コントロールとしてベバシズマブ(アバスチン(Avastin(商標)))及びラニビズマブ(Ranibizumab)(ルセンチス(Lucentis(商標)))を一緒に用いる。用量阻害曲線は
図1に示す。対応するIC
50値及び%阻害は表5に要約する。
【0083】
表5:hVEGF165/hVEGFR2-Fc競合ELISAにおける一価VHHのIC
50(nM)値及び%阻害
【表5】
【0084】
5.2 ヒトVEGF165/ヒトVEGFR1-Fc遮断ELISAにおけるヒトVEGF165/VEGFR2遮断VHHの評価
VHHはまたヒトVEGF165/ヒトVEGFR1-Fc遮断ELISAで評価する。簡単に記せば、2μg/mLのVEGFR1-Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈を0.5nMのビオチン付加VEGF165の存在下でインキュベートする。bio-VEGF165とVEGFR1との残留結合を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合エキストラビジン(Sigma, St Louis, MO, USA)及び基質としてTMBを用いて検出する。コントロールとしてベバシズマブ、ラニビズマブ及び無関係のVHH(2E6)を一緒に用いる。用量阻害曲線は
図2に示す。対応するIC
50値及び%阻害は表6に要約する。
【0085】
表6:hVEGF165/hVEGFR1-Fc競合ELISAにおける一価VHHのIC
50(nM)値及び%阻害
【表6】
【0086】
5.3 ヒトVEGF165/ヒトVEGFR2-Fc遮断アルファスクリ-ンにおける抗VEGF165 VHHの評価
VHHの遮断能力はまたヒトVEGF165/ヒトVEGFR2-Fc遮断アルファスクリーンで評価する。簡単に記せば、0.03%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈(濃度範囲:200nM−0.7pM)を4pMのbio-VEGF165に添加し、15分間インキュベートする。続いて、VEGFR2-Fc(0.4nM)及び抗Fc VHH被覆アクセプタービーズ(20μg/mL)を添加し、この混合物を暗所で1時間インキュベートする。最後にストレプトアビジンドナービーズ(20μg/mL)を添加し、1時間暗所でインキュベートした後、蛍光をエンビジョンマイクロプレートリーダーで測定する。用量応答曲線は
図3に示す。ヒトVEGF165-ヒトVEGFR2-Fc相互作用を遮断するVHHのIC
50値は表7に要約する。
【0087】
表7:hVEGF165/hVEGFR2-Fc競合アルファスクリーンにおけるVHHのIC
50(pM)値及び%阻害
【表7】
【0088】
5.4 ヒトVEGF165/ヒトVEGFR1-Fc遮断アルファスクリ-ンにおける抗VEGF165 VHHの評価
VHHの遮断能力はまたヒトVEGF165/ヒトVEGFR1-Fc遮断アルファスクリーンで評価する。簡単に記せば、0.03%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈(濃度範囲:500nM−1.8pM)を0.4nMのbio-VEGF165に添加し、15分間インキュベートする。続いて、VEGFR1-Fc(1nM)及び抗Fc VHH被覆アクセプタービーズ(20μg/mL)を添加し、この混合物を暗所で1時間インキュベートする。最後にストレプトアビジンドナービーズ(20μg/mL)を添加し、1時間暗所でインキュベートした後、蛍光をエンビジョンマイクロプレートリーダーで測定する。用量応答曲線は
図4に示す。ヒトVEGF165-ヒトVEGFR1-Fc相互作用を遮断するVHHのIC
50値及び%阻害は表8に要約する。
【0089】
表8:hVEGF165/hVEGFR1-Fc競合アルファスクリーンにおけるVHHのIC
50(nM)値及び%阻害
【表8】
【0090】
5.5 ヒトVEGF165-VHH相互作用の親和性の測定
VHH VEGFBII23B04とhVEGF165との結合の動態をBiacoreT100装置でSPRによって解析する。組換えヒトVEGF165をアミンカップリング(EDC及びNHSを使用)によりCM5チップに直に固定する。VHHは10から360nMの種々の濃度で解析する。サンプルを2分間注入し、流速45μL/分で20分まで解離させる。サンプル注入毎に、チップ表面を100mMのHClで再生する。HBS-EP+(Hepes緩衝液(pH7.4)+EDTA)を泳動緩衝液として用いる。結合曲線は、Biacore T100評価ソフトv2.0.1によって二状態反応モデルを用い適合させる。抗VEGF VHHの算出親和性は表9に列挙する。
【0091】
表9:組換えヒトVEGF165に対する精製VHHの親和性K
D(nM)
【表9】
(a)1:1をもたらさない不均質結合曲線、曲線は、Biacore T100評価ソフトv2.0.1によって二状態反応モデルを用い適合させる。
【0092】
5.6 マウスVEGF164との結合
結合ELISAを用いてマウスVEGF164との交差反応性を決定する。簡単に記せば、組換えマウスVEGF164(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を1μg/mLで4℃にて一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBSに1%)で遮断する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の連続希釈(濃度範囲:500nM−32pM)としてVHHを適用し、結合はマウス抗myc(Roche)及び抗マウスHRP結合物(DAKO)並びに基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下でのその後の酵素反応を用いて検出する(
図5-1及び5-2)。マウスVEGF164反応性mAbを陽性コントロールとして含む。参照として、ヒトVEGF165との結合もまた測定する。EC
50値は表10に要約する。
【0093】
表10:組換えヒトVEGF165及びマウスVEGF164結合ELISAにおけるVHHのIC
50(pM)値
【表10】
NB:結合無し
【0094】
5.7 VEGF121との結合
固相結合ELISAにより組換えヒトVEGF121との結合を判定する。簡単に記せば、組換えヒトVEGF121(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を1μg/mLで4℃にて一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBSに1%)で遮断する。0.1%カゼイン及び0.05%Tween20(Sigma)を含むPBS緩衝液中の連続希釈(濃度範囲:500nM−32pM)としてVHHを適用し、結合はマウス抗myc(Roche)及び抗マウスHRP結合物(DAKO)並びに基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下でのその後の酵素反応を用いて検出する(
図6)。VEGFR2を陽性コントロールとして一緒に用いる。EC
50値は表11に要約する。
【0095】
表11:組換えヒトVEGF121結合ELISAにおける一価VHHのIC
50(pM)値
【表11.1】
【0096】
5.8 VEGFファミリーメンバー、VEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGFとの結合
固相結合ELISAによりVEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGFとの結合を判定する。簡単に記せば、VEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGF(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を1μg/mLで4℃にて一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBSに1%)で遮断する。VHHを連続希釈(濃度範囲:500nM−32pM)として適用し、結合はマウス抗myc(Roche)及び抗マウスAP結合物(Sigma, St Louis, MO, USA)を用いて検出する。陽性コントロールとして、適切なレセプターの連続希釈を一緒に用い、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的抗体)(Jackson Immuno Research Laboratories Inc., West Grove, PA, USA)及び基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下でのその後の酵素反応を用いて検出する。VHH及びコントロールの用量応答曲線は
図7-1から7-4に示す。これらの結果は、選択したVHHとVEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGFとの結合は検出されないことを示している。
【0097】
5.9 エピトープ結合
Biacoreによるエピトープ結合実験を実施して、どのVEGF結合物質が、VEGFBII23B04と類似又はオーバーラップするエピトープと結合するのかを解明する。この目的のために、VEGFBII23B04をCM5センサーチップに固定する。各サンプルについて、ヒトVEGF165をチップ表面に通し、VEGFBII23B04によって不可逆的に捕捉させる。続いて、精製VHH(100nM)又はペリプラズム抽出物(1/10希釈)を、表面接触時間240秒及び流速10μL/分で注入する。異なるサンプル毎に表面を再生緩衝液(100mMのHCl)で再生する。処理曲線は、Biacore T100評価ソフトで評価する。VHHは2つのグループに分割できた:VEGFBII23B04捕捉VEGF165とさらに別の結合をもたらしたグループ1及びVEGFBII23B04捕捉VEGF165と同時に結合できない第二のグループ。表12Aは試験したVHHの結合エピトープの要約である。
同じアッセイ設定を用いて、VEGFR1、VEGFR2、ラニビズマブ及びベバシズマブがVEGFBII23B04と同時にヒトVEGF165に結合できるか否かを判定する。表12Bは、VEGFBII23B04捕捉VEGF165との更なる結合応答を提示する。VEGFR2のみがVEGFBII23B04捕捉VEGF165と結合できず、VEGF-VEGFR2相互作用に対するVEGFBII23B04の遮断能力を強調している。さらにまた、これらのデータは、VEGFBII23B04のエピトープはベバシズマブ及びラニビズマブのエピトープとは異なることを示している。
【0098】
表12A:抗VEGF VHHのエピトープビンニング−VEGFBII23B04との同時結合
【0099】
【表12A】
表12A続き
*同じ又はオーバーラップするエピトープを示す。
【0100】
表12B:VEGFBII23B04のエピトープビンニング−VEGFBII23B04捕捉VEGF165でのベンチマーク阻害物質又は同族レセプターの結合
【表12B】
【0101】
5.10 HUVEC増殖アッセイにおける抗VEGF VHHの性状決定
選択したVHHの能力を増殖アッセイで評価する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞(Technoclone)を一晩サプリメント枯渇させ、続いて4000細胞/ウェルを96ウェルの組織培養プレートに4組ずつ播種する。細胞をVHHの存在下又は非存在下で33ng/μLのVEGFで刺激する。4日目に増殖速度を[
3H]チミジンの取り込みによって測定する。HUVEC増殖アッセイの結果は表に示す。
【0102】
表13:VEGF HUVEC増殖アッセイにおける一価VEGFBII23B04、VEGFBII23A06及びVEGFBII24C04のIC
50(nM)値及び%阻害
【表13】
【0103】
5.11 HUVEC Erk増殖アッセイにおける抗VEGF VHHの性状決定
選択したVHHの能力をHUVEC Erk増殖アッセイで判定する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞を一晩血清枯渇させ、続いてVHHの存在下又は非存在下で10ng/μLのVEGFで5分間刺激する。細胞をPBSに4%のホルムアルデヒドで固定し、ERKリン酸化レベルを、ホスホERK特異的抗体(抗ホスホMAPキナーゼpERK1&2、M8159、Sigma)及びポリクローナルウサギ抗マウス免疫グロブリン-HRP結合物(PO161、Dako)を用いてELISAによって測定する。表14に示すように、VEGFII23B04及びベバシズマブはVEGF誘発Erkリン酸化を少なくとも90%、1nMよりも低いIC
50で阻害する。
【0104】
表14:VEGF HUVEC Erkリン酸化アッセイにおける一価VEGFBII23B04のIC
50(nM)値及び%阻害
【表14】
【実施例6】
【0105】
多価抗VEGF遮断VHHの作製
VHH VEGFBII23B04を、VEGFBII23B04と又は異なるVEGF結合VHHと遺伝的に融合させる。前記はホモダイマーVHH(アミノ酸配列については表15を参照されたい)を生じ、後者はヘテロダイマーVHHを生じる。ヘテロダイマーVHHを作製するために、10の固有のVEGF結合VHHのパネルを、9又は40Gly-Ser可撓性リンカーを介してVEGFBII23B04に2つの異なる向きで連結する(アミノ酸配列については表15を参照されたい)。ホモダイマーVEGFBII23B04(VEGFBII010)及び40のヘテロダイマー二価VHHを、c-myc, His6-タグ付加タンパク質として大腸菌TG1で発現させる。発現は1mMのIPTGで誘発し、37℃で4時間持続させる。細胞培養を遠心分離し、ペレットの凍結融解によってペリプラズム抽出物を調製する。これらの抽出物を出発材料として用い、VHHをIMACにより精製し、脱塩してSDS-PAGEにより判定したとき90%の純度が得られる。
【0106】
表15:二価抗VEGF VHHの配列ID、VHH ID及びアミノ酸配列(使用したリンカーの各々はある対応する配列内で網がけ強調されている)
【0107】
【表15】
【0108】
40の二価VHHのパネルを実施例5.3及び5.4でそれぞれ述べたようにVEGFR2及びVEGFR1遮断アルファスクリーンアッセイで試験する。阻害能力及びその最大レベルを基準にして、5つの最良のVHH(VEGFBII021、VEGFBII022、VEGFBI023、VEGFBI024及びVEGFBII025)を更なる性状決定のために選択する。競合VEGFR2及びVEGFR1アルファスクリーンにおける5つの選択二価VHHのスクリーニングの結果の大要は表16に示す。
【0109】
表16:VEGF/VEGFR1及びVEGF/VEGFR2競合アルファスクリーンにおける5つの最良二価VHHの能力及び有効性
【表16】
【実施例7】
【0110】
フォーマット化VHHの性状決定
VHH(VEGFRBII010、VEGFBII021、VEGFBII022、VEGFBI023、VEGFBI024及びVEGFBII025)を並べてVEGFR2及びVEGFR1遮断ELISA(それぞれ
図8-1及び8-2及び9、表17及び18)及びアルファスクリーンアッセイ(
図10及び11、表19及び20)でそれぞれ実施例5.1,5.2,5.3及び5.4に記載したように比較する。
【0111】
表17:hVEGF165/hVEGFR2-Fc競合ELISAにおけるフォーマット化VHHのIC
50(pM)値及び%阻害
【表17】
【0112】
表18:hVEGF165/hVEGFR1-Fc競合ELISAにおけるフォーマット化VHHのIC
50(pM)値及び%阻害
【表18】
【0113】
表19:hVEGF165/hVEGFR2-Fc競合アルファスクリーンにおけるフォーマット化VHHのIC
50(pM)値及び%阻害
【表19】
【0114】
表20:VEGF165/hVEGFR1-Fc競合アルファスクリーンにおけるフォーマット化VHHのIC
50(pM)値及び%阻害
【表20】
【0115】
さらにまた、フォーマット化VHHをまたmVEGF164/mVEGFR2-huFc相互作用を遮断するそれらの能力について試験する。簡単に記せば、0.03%Tween20(Signa)を含むPBS緩衝液中の精製VHHの連続希釈(濃度範囲:4μM−14.5pM)を0.1nMのビオチン付加mVEGF164に添加し、15分間インキュベートする。続いて、マウスVEGFR2-huFc(0.1nM)及び抗huFc被覆アクセプタービーズ(20μg/mL)を添加し、この混合物を1時間インキュベートする。最後に、ストレプトアビジンドナービーズ(20μg/mL)を添加し、1時間インキュベートした後、蛍光をエンビジョンマイクロプレートリーダーで測定する。用量応答曲線は
図12に示す。マウスVEGF164/mVEGFR2-hFc相互作用を遮断するVHHのIC
50値は表21に要約する。
【0116】
表21:mVEGF164/mVEGFR2-hFc競合アルファスクリーンにおけるフォーマット化VHHのIC
50(pM)値及び%阻害
【表21】
【0117】
フォーマット化VHHはまた、mVEGF164及びヒトVEGF165(実施例5.6;
図13-1及び13-2);VEGF121(実施例5.7;
図15;表23)及びVEGFファミリーメンバーVEGFB、VEGFC、VEGFD及びPIGF(実施例5.8;
図14-1から14-8)と結合する能力についてELISAで試験する。ヒトVEGF165に対する結合動態は実施例5.5に記載したように解析する。K
D値は表24に列挙する。
【0118】
表22:組換えヒトVEGF165及びマウスVEGF164結合ELISAにおけるフォーマット化VHHのEC
50(pM)値
【表22】
【0119】
表23:組換えヒトVEGF121結合ELISAにおけるフォーマット化VHHのEC
50(pM)値
【表23】
【0120】
表24:組換えヒトVEGF165に対する精製フォーマット化VHHの親和性K
D(nM)
【表24】
(a) K
D=k
d1/k
a1*(kd2/(k
d2+k
a2))
(b) 曲線は、Biacore T100評価ソフトv2.0.1によって二状態反応モデルを用い適合させる。
【0121】
VHH(VEGFBII010、VEGFBII022、VEGFBII024及びVEGFBII025)はまた、VEGF媒介HUVEC増殖及びErkリン酸化アッセイで試験する。
選択したフォーマット化VHHの能力を増殖アッセイで評価する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞(Technoclone)を一晩サプリメント枯渇させ、続いて4000細胞/ウェルを96ウェルの組織培養プレートに4組ずつ播種する。細胞をVHHの存在下又は非存在下で33ng/μLのVEGFで刺激する。4日目に増殖速度を[
3H]チミジンの取り込みによって測定する。表25に提示した結果は、フォーマット化VHH及びベバシズマブはVEGF誘発HUVEC増殖を1nM未満のIC
50で90%を超えて阻害することを示す。
【0122】
表25:VEGF HUVEC増殖アッセイにおけるフォーマット化VHHのIC
50(nM)値及び%阻害
【表25】
【0123】
選択したフォーマット化VHHの能力をHUVEC Erkリン酸化アッセイで判定する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞を一晩血清枯渇させ、続いてVHHの存在下又は非存在下で10ng/mLのVEGFで5分間刺激する。細胞をPBSに4%のホルムアルデヒドで固定し、ERKリン酸化レベルを、ホスホERK特異的抗体(抗ホスホMAPキナーゼpERK1&2、M8159、Sigma)及びポリクローナルウサギ抗マウス免疫グロブリン-HRP結合物(PO161、Dako)を用いてELISAによって測定する。表26に示すように、フォーマット化VEGFII23B04及びベバシズマブはVEGF誘発Erkリン酸化を少なくとも90%、1nMよりも低いIC
50で阻害する。
【0124】
表26:VEGF HUVEC Erkリン酸化アッセイにおけるフォーマット化VHHのIC
50(nM)値及び%阻害
【表26】
【実施例8】
【0125】
配列最適化
8.1 VEGFBII23B04の配列最適化
VEGFBII23B04のアミノ酸配列をヒト生殖系列配列VH3-23/JH5に対してアラインメントを実施する(
図16(配列番号:179)を参照されたい)。
アラインメントは、VEGFBII23B04が参照の生殖系列配列と比較して19のフレームワーク変異を含むことを示している。14位、16位、23位、24位、41位、71位、82位、83位及び108位の非ヒト残基が、それらのヒト生殖系列の対応残基による置換のために選択される。これらの位置に種々のヒト残基の組合せを保持するVEGFBII23B04変種セットを作製する(アミノ酸配列は表27に示す)。D59S60位の潜在的異性化部位(CDR2領域、
図16を参照されたい(太字斜字体残基として表示))がS60A変異導入によって除去されたまた別の変種を構築する。
【0126】
表27:VHH VEGFBII23B04の最適化配列のアミノ酸配列(FR、フレームワーク;CDR、相補性決定領域)
【0127】
【表27】
【0128】
これらの変種は、精製タンパク質としてVEGF165/VEGFR2アルファスクリーンで性状決定される(実施例5.3、
図17)。各クローンの融解温度(Tm)は熱シフトアッセイで決定する(前記アッセイは、Sypro Orange(Invitrogen)の取り込み時における蛍光シグナルの増加を基準にする(Ericsson et al, Anal. Biochem. 357 (2006), pp289-298))。全ての変種が、VEGFBII23B04と比較して類似するIC
50及び親VEGFBII23B04と比較して類似又は高いT
mを示した。表28は、試験した9クローンのIC
50値及びpH7におけるT
m値の要約である。
【0129】
表28:VEGFBII23B04の配列最適化変種のIC
50(pM)値、%阻害及び溶解温度(pH7)
【表28】
【0130】
第二巡目では、ヒト化の試みから得られた許容される変異(VEGFBII111G06)及び選択部位における潜在的な翻訳後改変を回避するための変異(D16G、S60A置換及びE1D変異)を一緒にして、VEGFBII23B04由来の配列最適化クローン、VEGFBII0037が得られる。I82M変異を除いてVEGFBII0037と同じ置換を含む、特別なある配列最適化変種(VEGFBII038)が予想される(I82M変異は潜在能力の軽い低下と密接に関係し得る)。両配列最適化クローン由来の配列は表29に列挙する。VEGFBII0037及びVEGFBII0038については、VEGF165/VEGFR2遮断アルファスクリーン(実施例5.3、
図18)で性状を決定し、溶解温度は上記に記載したように熱シフトアッセイで決定し、VEGF165での結合親和性はBiacoreで決定する(実施例5.5)。2つの配列最適化VHHの性状の大要は表30に提示する。
【0131】
表29:VHH VEGFBII23B04の配列最適化変種のアミノ酸配列
【表29】
【0132】
表30:配列最適化クローンVEGFBII037及びVEGFBII038のIC
50(pM)値、%阻害、溶解温度(pH7)及び親和性(pM)
【表30】
【0133】
8.2 VEGFBII5B05の配列最適化
VEGFBII5B05のアミノ酸配列をヒト生殖系列配列VH3-23/JH5に対してアラインメントを実施する(
図19(配列番号:179)を参照されたい)。アラインメントは、VEGFBII5B05は参照の生殖系列配列と比較して15のフレームワーク変異を含むことを示している。23位、60位、83位、105位の非ヒト残基が、それらのヒト生殖系列の対応残基による置換のために選択され、一方、44位のヒスチジンはグルタミンによる置換のために選択される。記載した6つの変異を保持するヒト化変種を構築する(アミノ酸配列は表31に記載する)。
【0134】
表31:VHH VEGFBII5B05の配列最適化変種のアミノ酸配列(FR、フレームワーク;CDR、相補性決定領域)
【表31】
【0135】
また別の変種を構築する。前記では、M30位の潜在的酸化部位(CDR1領域、
図19を参照されたい(太字斜字体残基として表示))がM30I変異の導入によって除去される。両変種をhVEGF165と結合する能力についてProteOnを用いて試験する。簡単に記せば、GLC ProteOnセンサーチップをヒトVEGF165で被覆する。前記変種のペリプラズム抽出物を1/10に希釈し、ヒトVEGF165で被覆したチップに注入する。オフ速度を算出し、親VEGFBII5B05のオフ速度と比較する。2変種のオフ速度は親VEGFBII5B05のオフ速度と同じ範囲内にあり、全ての変異が許容されることを示している(表32)。
【0136】
表32: VEGFBII5B05の配列最適化変種オフ速度
【表32】
第二巡では、ヒト化の試みに由来する変異及びM30I置換を一緒にして、VEGFBII5B05の配列最適化クローンを作製し、VEGFBII032と称する。配列は表33に示す。VEGFBII032の親和性はBiacoreによって決定し(実施例5.5参照)、溶解温度は上記に記載の熱シフトアッセイで決定する。配列最適化VHH VEGFBII032の性状の大要は表34に提示する。
【0137】
表33:配列最適化クローンVEGFBII032のアミノ酸配列(FR、フレームワーク;CDR、相補性決定領域)
【表33】
【0138】
表34::配列最適化クローンVEGFBII032の溶解温度(pH7)及び親和性(nM)
【表34】
【0139】
配列最適化クローンVEGFBII037及びVEGFBII038の潜在能力を増殖アッセイで評価する。簡単に記せば、初代HUVEC細胞(Technoclone)を一晩サプリメント枯渇させ、続いて4000細胞/ウェルを96ウェルの組織培養プレートに4組ずつ播種する。細胞をVHHの存在下又は非存在下で33ng/mLのVEGFで刺激する。4日目に増殖速度を[
3H]チミジンの取り込みによって測定する。表35に示した結果は、親VHH VEGFBII23B04の活性(阻害の潜在能力及び程度)は、配列最適化クローンVEGFBII038で保存されることを示している。
【0140】
表35:VEGF HUVEC増殖アッセイにおける配列最適化クローンVEGFBII037及びVEGFBII038のIC
50(nM)値及び%阻害
【表35】