(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、ダム等の水中の対象物において、水中側からの工事を行う場合、対象物に仮締切り構造体を設置し、対象物と仮締切り構造体とに囲まれた部分を排水して作業空間を形成することがある。台座コンクリート式工法では、仮締切り据付位置において、仮締切り構造体の扉体を一段ずつ吊り込んで連結することにより、所定の位置に仮締切り構造体を設置する。
【0003】
図8は、浮体式工法による仮締切り構造体101の設置方法を示す図である。
図8(a)は、仮締切り構造体101を曳航する工程を示す図、
図8(b)は、仮締切り構造体101を略垂直の状態にする工程を示す図、
図8(c)は、仮締切り構造体101を堤体103に設置する工程を示す図である。浮体式工法では、仮締切り構造体101を陸上で事前に組み立てた後、
図8(a)に示すように、寝かせた状態で水面に浮かせて曳航する。そして、仮締切り構造体101内に注水し、
図8(b)に示すように、略垂直な状態で水面に浮かせる。その後、
図8(c)に示すように、堤体103に仮締切り構造体101を設置する(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、浮体式工法において、仮締切り構造体を陸上で事前に組み立てるための作業空間が確保できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、水上の限られた空間で、大水深条件での潜水作業を行うことなく仮締切り構造体を組み立てられる浮体式仮締切り工の施工方法を提供することである。
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、底部および複数のブロックからなる側壁部により構成され一部の側面が開放された仮締切り構造体を用いた浮体式仮締切り工の施工方法であって、底部を水面上に浮遊させた状態で、前記底部の上方に最下段のブロックを連結し、所定の深度まで沈下させる工程(a)と、下段のブロックの上方に上段のブロックを連結して所定の深度まで沈下させる作業を複数回繰り返して仮締切り構造体を形成する工程(b)と、前記仮締切り構造体を、起立した状態で浮遊させて曳航し、堤体の壁面に設置する工程(c)と、前記仮締切り構造体と前記堤体の壁面とに囲まれた内部を排水する工程(d)と、
前記工程(b)と前記工程(c)との間に、前記仮締切り構造体の、前記堤体の壁面と対向する部分に、U字状のゴムガスケットを設置する工程(e)と、を具備することを特徴とする浮体式仮締切り工の施工方法。
【0008】
本発明では、下段のブロックの上方に上段のブロックを連結して所定の深度まで沈下させる作業を複数回繰り返して仮締切り構造体を形成する。そのため、水上の限られた空間で、大水深条件での潜水作業を行うことなく仮締切り構造体を組み立てることができる。
また、仮締切り構造体の戸当たり面に、止水部材を連続して設置することができるため、仮締切り構造体と堤体との間の止水性が確実に確保される。
【0009】
前記下段のブロックと前記上段のブロックとの突合せ部分には、前記ブロック同士を、水平方向の所定量の移動を許容するように連結する連結構造が設けられることが望ましい。前記連結構造は、例えば、前記下段のブロックに設けられた第1の連結金物と前記上段のブロックに設けられた第2の連結金物とをボルトにより連結して形成され、前記第1の連結金物と前記第2の連結金物が所定の間隔をおいて配置され、前記ボルトが、前記第1の連結金物と前記第2の連結金物との間で変形可能である。
【0010】
下段のブロックと上段のブロックとを、水平方向の所定量の移動を許容するように連結することにより、堤体の壁面に不陸がある場合に、仮締切り構造体と堤体との間の止水性を損なわないよう、仮締切り構造体を構成する各ブロックを壁面の不陸に追随させて設置することができる。
【0011】
前記下段のブロックと前記上段のブロックとの突合せ部分には、一方のブロックの縁に沿って設けられた水密ゴムと他方のブロックの縁に沿って設けられたゴム当たり部とを、前記水密ゴムを変形させつつ接触させて形成される止水構造が設けられることが望ましい。
これにより、下段のブロックと上段のブロックとの突合せ部分の止水性が確実に確保される。
【0012】
前記仮締切り構造体の天端には、フラップ式の可動蓋を設けてもよい。
可動蓋を設けることにより、異常出水によるダム水位上昇に備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水上の限られた空間で、大水深条件での潜水作業を行うことなく仮締切り構造体を組み立てられる浮体式仮締切り工の施工方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、仮締切り構造体1の概要を示す図である。
図1(a)は、仮締切り構造体1の正面図である。
図1(b)は、仮締切り構造体1の側面図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す矢印Aの方向から見た図である。
図1(c)は、仮締切り構造体1の背面図である。
図1(c)は、
図1(b)に示す矢印Cの方向から見た図である。
図1(d)は、仮締切り構造体1を構成するブロック3の水平断面図である。
図1(d)は、
図1(a)に示す矢印B−Bによる断面図である。
【0017】
図1(a)、
図1(b)に示すように、仮締切り構造体1は、底部5、側壁部7、可動蓋6等で構成される。側壁部7は、上下に積み重ねられた複数のブロック3からなる。下段のブロック3と上段のブロック3との突合せ部分には、止水構造13が形成される。止水構造13の詳細については後述する。また、下段のブロック3と上段のブロック3とは、水平方向の所定量の移動を許容するように連結する連結構造11によって連結される。連結構造11の詳細については後述する。
【0018】
図1(d)に示すように、仮締切り構造体1は、一部の側面が開放された形状である。仮締切り構造体1を構成するブロック3は、内部に複数の仕切り25が設けられる。ブロック3の内部は、仕切り25によって、複数の空間23に分割される。
【0019】
図1(a)、
図1(b)に示すように、仮締切り構造体1を構成するブロック3のうち、下段の所定の段数のブロック3には、注排水バルブ9が設けられる。注排水バルブ9は、ブロック3の空間23毎に配置される。
【0020】
図1(a)、
図1(b)に示すように、可動蓋6は、仮締切り構造体1の天端18に設けられる。可動蓋6は、天端18の端部17付近に回転支持部が配置される。可動蓋6はフラップ式の蓋であり、矢印Eに示すように開閉する。
【0021】
図1(c)、
図1(d)に示すように、仮締切り構造体1の、堤体の壁面と対向する部分である端部17には、木材19とU字状のゴムガスケット21とからなる止水構造15が形成される。止水構造15の詳細については後述する。
【0022】
図2は、仮締切り構造体1の組み立て方法を示す図である。
図1に示す仮締切り構造体1は、
図2に示すように、例えば、水面37に浮かんだ台船27、台船29の間にて組み立てられる。台船27上には、チェーンブロック33を有する構造体支持架台31が設置される。台船29上には、クローラクレーン35が設置される。
【0023】
仮締切り構造体1を組み立てるには、まず、底部5を水面37上に浮遊させた状態で、底部5の上方に最下段のブロック3−1を連結し、所定の深度まで沈下させる。その後、下段のブロック3の上方に上段のブロック3を連結して所定の深度まで沈下させる作業を、n段のブロック3の連結終了まで複数回繰り返す。
【0024】
図2(a)から
図2(c)は、ブロック3−3にブロック3−4を連結する工程を示す。以下に、
図2(a)から
図2(c)を用い、ブロック3−3とブロック3−4とを例として、ブロック3同士の連結方法について説明する。
図2(a)に示す工程では、チェーンブロック33で吊り下げた下段のブロック3−3の上方に、クローラクレーン35を用いて上段のブロック3−4を吊り下げる。そして、下段のブロック3−3と上段のブロック3−4とを、連結構造11(
図1)により連結する。下段のブロック3−3と上段のブロック3−4との間は、止水構造13(
図1)により止水される。
【0025】
図2(a)に示す工程で下段のブロック3−3と上段のブロック3−4とを連結した後、
図2(b)に示す工程では、チェーンブロック33とクローラクレーン35とを同時に巻き下げる。そして、組立中の仮締切り構造体1を所定の深度(バラスト水重量を含む自重と浮力とが吊り合う位置)まで沈下させる。
【0026】
図2(c)に示す工程では、下方のブロック3−1、3−2…内の所定の空間23(
図1(d))に、注排水バルブ9を介してバラスト水を注入し、チェーンブロック33とクローラクレーン35とを同時に巻き下げる。そして、組立中の仮締切り構造体1を所定の深度(バラスト水重量を含む自重と浮力とが吊り合う位置)まで沈下させ、チェーンブロック33をブロック3−3からブロック3−4に付け替える。
【0027】
図3は、連結構造11および止水構造13の詳細を示す図である。以下に、
図3を用いて、下段のブロック3と上段のブロック3を連結する連結構造11、下段のブロック3と上段のブロック3との間の止水構造13について説明する。
【0028】
図3(a)は、上段のブロック3と下段のブロック3との突合せ部分の連結前の状態を示す図である。
図3(a)に示すように、ブロック3は、仮締切り構造体1の外側の側面43aおよび内側の側面43bの、下面45aから所定の距離39aをおいた上方に、連結金物41aが固定される。また、ブロック3は、上面45bから所定の距離39bをおいた下方に、連結金物41bが固定される。連結金物41a、41bは、水平方向の連結板42aと垂直方向のリブ41bとからなる。
【0029】
図3(a)に示すように、ブロック3は、下面45a、上面45bに、それぞれ支圧板47が設けられる。ブロック3は、仮締切り構造体1の外側の側面43aの下縁部の全長に、断面がP型の水密ゴム49が設けられる。水密ゴム49は、ブロック3の下面45aからP型の円形部分が少量だけ突出するように配置される。ブロック3は、側面43aの上縁部の全長に、ゴム当たり部51が設けられる。
【0030】
図3(b)は、上段のブロック3と下段のブロック3との突合せ部分の連結後の状態を示す図である。
図3(b)に示すように、連結構造11は、下段のブロック3に設けられた第1の連結金物41bと上段のブロック3に設けられた第2の連結金物41aとにボルト53を挿通し、ボルト53を連結板41aの位置で固定して形成される。連結構造11では、第1の連結金物41bと第2の連結金物41aとが所定の間隔をおいて配置され、ボルト53が、第1の連結金物41bと第2の連結金物41aとの間で変形可能である。これにより、下段のブロック3と上段のブロック3とは、互いに水平方向の所定量の移動が許容される。
【0031】
図3(b)に示すように、止水構造13は、P型の水密ゴム49の円形部分をゴム当たり部51に変形させつつ接触させて形成される。上段のブロック3の下面45aの支圧板47と、下段のブロック3の上面45bの支圧板47とは、接触する。
【0032】
図2(d)は、ブロック3の連結作業を終えた仮締切り構造体1に、ゴムガスケット21を取り付ける工程を示す図である。
図4は、ゴムガスケット21の概要を示す図、
図5は、ゴムガスケット21の取付け方法を示す図である。以下に、
図2(d)、
図4、
図5を用いて、ゴムガスケット21の概要および仮締切り構造体1への取付け方法について説明する。
【0033】
図4(a)は、ゴムガスケット21の断面図、
図4(b)は、ゴムガスケット21の立面図である。
図4(a)は、
図4(b)に示す矢印F−Fによる断面図である。
図4(b)に示すように、ゴムガスケット21は、U字型である。
図4(a)に示すように、ゴムガスケット21は、本体21a、固定部21bからなる。本体21aは、上面の中央に1条のノーズ21cを有する。本体21aの圧縮量57は、ノーズ21cのノーズ高55+αであり、50〜60mm程度が望ましい。固定部21bは、本体21aの下面から両側部方向に突出して設けられる。固定部21bは、孔59を有する。
【0034】
図5(a)および
図5(b)は、ゴムガスケット21の位置合わせをする工程を示す。
図5(b)は、
図5(a)に示す矢印H−Hによる断面図である。
図5(c)から
図5(e)は、ゴムガスケット21を取り付けた状態を示す図である。
図5(d)は、
図5(c)に示す矢印I−Iによる断面図である。
図5(e)は、
図1(d)に示す範囲Gの拡大図である。
【0035】
仮締切り構造体1を組み立てる際には、
図2(a)から
図2(c)を例として説明した方法で全てのブロック3を連結して側壁部7を形成した後、
図2(d)に示すように、クローラクレーン35を用いてゴムガスケット21を水中に吊り下げる。ゴムガスケット21は、仮締切り構造体1の端部17側に吊り下げられる。ゴムガスケット21の下端には、ゴムガスケット21の形状および姿勢を維持するために、バランスウェイト91を取り付けることが望ましい。
【0036】
前述したように、仮締切り構造体1の端部17には、木材19が配置される。
図5(a)に示すように、木材19は、各ブロック3の端部17の両側部に配置される。木材19同士の間には、長ボルト61が配置される。また、
図5(b)に示すように、短ボルト63も配置される。長ボルト61および短ボルト63は、ブロック3に固定される。
【0037】
図2(d)に示すように水中に吊り下げたゴムガスケット21は、
図5(a)、
図5(b)に示すように、孔59が長ボルト61の先端に重なるように位置合わせする。そして、長ボルト61を孔59に挿入し、
図5(c)に示すように、ゴムガスケット21を各ブロック3の木材19同士の間に取り付ける。木材19は、ゴムガスケット21よりも厚さが薄いものとする。ゴムガスケット21の孔59にブロック3の長ボルト61を挿入すると、
図5(d)、
図5(e)に示すように、ゴムガスケット21の残りの孔とブロック3の短ボルト63との位置合わせおよび残りの孔への短ボルト63の挿入が同時に行われ、仮締切り構造体1にゴムガスケット21を容易に取り付けることができる。
【0038】
図6は、仮締切り構造2の概要を示す図である。
図6(a)は、仮締切り構造2の立面図、
図6(b)は、仮締切り構造2の側面図、
図6(c)は、仮締切り構造2の水平断面図である。
図6(c)は、
図6(b)に示す矢印L−Lによる断面図である。
【0039】
図7は、仮締切り構造2の詳細を示す図である。
図7(a)は、浮き上がり防止機構65の正面図である。
図7(a)は、
図6(a)に示す範囲Jの拡大図である。
図7(b)は、浮き上がり防止機構65の側面図である。
図7(b)は、
図6(b)に示す範囲Kの拡大図である。
図7(c)は、ストッパ85付近の水平断面図である。
図7(c)は、
図6(c)に示す範囲Mの拡大図である。
【0040】
仮締切り構造2は、堤体69に仮締切り構造体1を設置した後、仮締切り構造体1と堤体69の壁面68とに囲まれた内部89を排水して形成される。
図6に示すように、仮締切り構造2では、堤体69の壁面68に戸当たり67が額縁状に設置されている。戸当たり67は、
図7(c)に示すように、アンカ金物87a、アンカ金物87bを用いて堤体69の壁面68に固定される。なお、堤体69の壁面68への戸当たり67の設置は、仮締切り構造体1の組み立てと並行して行うのが望ましい。
【0041】
堤体69に仮締切り構造体1を設置するには、
図2に示す各工程により組み立てた仮締切り構造体1を、起立した状態で浮遊させて、堤体69の設置予定位置付近まで曳航する。そして、
図6(b)に示すように、仮締切り構造体1の端部17を、堤体69の壁面68の戸当たり67に合わせて配置する。
図6(a)、
図6(b)に示すように、仮締切り構造体1の天端18と堤体69の壁面68との間には、浮き上がり防止機構65を設置する。
図6(c)に示すように、仮締切り構造体1の側壁部7と堤体69の壁面68との間には、ストッパ85を設置する。
【0042】
図7(a)、
図7(b)に示すように、浮き上がり防止機構65は、浮上り防止アンカ73、沓部71、摺動板77、吊下げロッド75等で形成される。浮上り防止アンカ73は、格子状の補強材83を有する板状部材である。浮上り防止アンカ73は、アンカボルト79によって堤体69の壁面68に固定される。沓部71は、浮上り防止アンカ73の下端面81と仮締切り構造体1の天端18との間に配置される。沓部71は、堤体69の壁面68に沿って配置され、壁面68からの沓部71の形成長さ76は、壁面68から仮締切り構造体1の浮心78までの長さ80(
図6(b))よりも短いものとする。摺動板77は、沓部71と仮締切り構造体1の天端18との間に設けられる。沓部71は、摺動板77を介して仮締切り構造体1の天端18に接触していればよく、天端18に連結する必要はない。吊下げロッド75は、仮締切り構造体1の天端18と浮上り防止アンカ73とを連結する。吊下げロッド75の浮上り防止アンカ73側の端部は、例えば、補強材83に連結される。
【0043】
浮き上がり防止機構65では、沓部71が、仮締切り構造体1の浮力を支持し、浮き上がりを防止する。上述したように、沓部71の形成長さ76は壁面68から仮締切り構造体1の浮心78までの長さ80よりも短いが、これにより仮締切り構造体1に生じる回転モーメントは水圧によって打ち消されるため、仮締切り構造体1が浮き上がる(壁体から離れる)ことはない。摺動板77は、仮締切り構造体1の最上段のブロック3の水平移動を可能とする。吊下げロッド75は、異常に水位が下がった場合に、仮締切り構造体1の沈下を防止する。
【0044】
図7(c)に示すように、ストッパ85は、一端が、仮締切り構造体1の側壁部7の内側の側面43bに連結される。ストッパ85は、他端が、戸当たり67のアンカ金物87aに連結される。ストッパ85は、地震動等によって仮締切り構造体1が堤体69から離れるのを防ぐ。
【0045】
仮締切り構造体1を堤体69の壁面68に設置すると、
図7(c)に示すように、木材19および木材19と同等程度の厚さに圧縮変形したゴムガスケット21が戸当たり67に接触して止水構造15が形成される。止水構造15では、木材19が、戸当たり67との間の摩擦によって、仮締切り構造体1の位置ずれを防止する。また、ゴムガスケット21が仮締切り構造体1の内部と外部との間の水の移動を防止する。
【0046】
仮締切り構造2では、
図6、
図7に示すように仮締切り構造体1を堤体69の壁面68に設置した後、可動蓋6を天端18に設置する。そして、仮締切り構造体1と堤体69の壁面68とに囲まれた内部89を排水して、仮締切りを完了する。
【0047】
このように、本実施の形態では、下段のブロック3の上方に上段のブロック3を連結して所定の深度まで沈下させる作業を複数回繰り返して形成した仮締切り構造体1を、起立した状態で浮遊させて曳航し、堤体69の壁面68に設置する。これにより、水上の限られた空間で、大水深条件での潜水作業を行うことなく仮締切り構造体1を組み立て、仮締切り構造2を形成することができる。
【0048】
仮締切り構造体1では、堤体69の壁面68と対向する端部17に、止水部材として、端部17に合わせたU字形状であり所定の圧縮代を有するゴムガスケット21が設置される。戸当たり67に不陸がある場合でも、ゴムガスケット21を不陸に追従させつつ圧縮変形させることにより、仮締切り構造体1の端部17と戸当たり67との間の止水構造15を確実なものとできる。
【0049】
仮締切り構造体1では、下段のブロック3と上段のブロック3との突合せ部分を、水平方向の所定量の移動が許容される連結構造11で連結する。そのため、戸当たり67に不陸がある場合でも、各ブロック3を独立して水平移動させて、木材19およびゴムガスケット21を戸当たり67に接触させることができる。
【0050】
仮締切り構造体1では、下段のブロック3と上段のブロック3との突合せ部分に、上段のブロック3の下縁に沿って設けられた水密ゴム49と下段のブロック3の上縁に沿って設けられたゴム当たり部51とを、水密ゴム49を変形させつつ接触させた止水構造13が設けられる。これにより、下段のブロック3と上段のブロック3との突合せ部分の止水性が確実に確保される。
【0051】
仮締切り構造体1では、天端18にフラップ式の可動蓋6を設ける。これにより、異常出水によるダム水位上昇に備えることができる。
【0052】
仮締切り構造2では、浮き上がり防止機構65を設置することにより、浮き上がり防止機構65の沓部71で、水位上昇時に仮締切り構造体1の浮き上がりを防止することができる。摺動板77は、仮締切り構造体1の最上段のブロック3の水平移動を可能とする。吊下げロッド75は、水位下降時に仮締切り構造体1の沈下を防止することができる。
【0053】
なお、仮締切り構造体1の水平断面形状は、
図1(d)に示したものに限らない。仮締切り構造体1は、底部および複数のブロックからなる側壁部により構成され、一部の側面が開放されたものであればよい。また、止水構造15のゴムガスケット21の両側部には、木材19でなく、鋼材を配置してもよい。吊下げ浮き上がり防止機構65では、吊下げ部材として、吊下げロッド75の代わりに吊下げロープを用いてもよい。
【0054】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。