特許第5979584号(P5979584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979584
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】把持装置および把持方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   B25J15/08 S
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-92183(P2012-92183)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-220492(P2013-220492A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢輔
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−528408(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0038180(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0054903(US,A1)
【文献】 特開平09−123082(JP,A)
【文献】 特開2002−370188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を把持する把持装置であって、
変形自在な袋体と、
粉体、粒体、または、粉体と粒体の混合物である粉粒体を、袋体の内部に導入する粉粒体導入装置と、
袋体の内部から気体を排出する吸引装置と、
袋体が取り付けられ、袋体を対象物に押しつけるように動作可能なロボットアームと、を備える把持装置。
【請求項2】
粉粒体導入装置と吸引装置とロボットアームを制御する制御装置を備え、
制御装置は、袋体を対象物に押し付けるようにロボットアームの動作を制御し、袋体が対象物に押し付けられた状態で、袋体の内部に粉粒体を導入して袋体を膨張させるように粉粒体導入装置を制御し、次いで、袋体の内部から気体を排出することにより袋体の内部の粉粒体同士の摩擦力が増えて袋体の形状が保たれるように吸引装置を制御する請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
粉粒体導入装置は、袋体の内部に連通し粉粒体が充填されたシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ内を往復動可能なピストンとを有し、
ピストンは、前進することにより、シリンダ室側の粉粒体を袋体の内部へ押し出し、後退することにより、袋体の内部の粉粒体をシリンダ室側へ排出させる請求項1または2に記載の把持装置。
【請求項4】
開いた状態で、袋体の内部を大気と連通させ、閉じた状態で、袋体の内部を大気から密閉する開放弁を備え、
制御装置は、袋体の内部の気体を吸引装置に吸引させる時、および、前記ピストンを後退させる時に、前記開放弁を閉じる請求項3に記載の把持装置。
【請求項5】
開いた状態で袋体の内部を大気と連通させ、閉じた状態で袋体の内部を大気から密閉する開放弁と、
開放弁を開いた状態にして、袋体の内部に粉粒体を導入するように粉粒体導入装置を制御する制御装置と、を備える、請求項1に記載の把持装置。
【請求項6】
対象物を把持する把持方法であって、
(A)変形自在な袋体を、対象物に押しつけ、
(B)この状態で、袋体の内部に粉粒体を導入することにより、袋体を膨張させて、袋体と対象物との隙間を減らし、
(C)袋体の内部における粉粒体と気体のうち、気体のみを、吸引して袋体の外部へ排出することにより、袋体の内部の粉粒体同士の摩擦力を増やし袋体の形状が保たれるようにする把持方法。
【請求項7】
開いた状態で袋体の内部を大気と連通させ、閉じた状態で袋体の内部を大気から密閉する開放弁が設けられており、
前記開放弁を開いた状態で、前記(B)を行う、請求項6に記載の把持方法。
【請求項8】
対象物を袋体で把持する把持方法であって、
袋体の内部に連通し粉粒体が充填されたシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ内を往復動可能なピストンとを有する粉粒体導入装置を設け、ピストンは、前進することにより、シリンダ室側の粉粒体を袋体の内部へ押し出し、後退することにより、袋体の内部の粉粒体をシリンダ室側へ排出させるものであり、
開いた状態で袋体の内部を大気と連通させ、閉じた状態で袋体の内部を大気から密閉する開放弁を設け、
(A)変形自在な袋体を、対象物に押しつけ、
(B)この状態で、袋体の内部に粉粒体を導入することにより、袋体を膨張させて、袋体と対象物との隙間を減らし、
(C)前記開放弁を閉じた状態で、袋体の内部における粉粒体と気体のうち、気体のみを、吸引して袋体の外部へ排出することにより、袋体の内部の粉粒体同士の摩擦力を増やし袋体の形状が保たれるようにして、袋体で対象物を把持し、
(D)前記対象物を袋体から解放した後、前記開放弁を閉じた状態で、前記ピストンを後退させる、把持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の粉粒体が内部に導入された袋体で対象物を把持する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋体を用いて対象物を把持する技術は、例えば下記の特許文献1に記載されている。特許文献1では、次のように袋体で対象物を把持している。内部に粒体が充填され、変形自在な袋体を用意する。図1(A)のように、袋体31を、対象物33の形状に合わせて変形させる。次に、排気管35を通して、袋体31の内部から気体を吸引して排気する。これにより、袋体31内の粒体37が固まって、袋体31で対象物33を把持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭49−64154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図1(B)に示すように、支持面39に置かれた対象物33の把持が、次のように困難となる場合がある。上述した袋体31をロボットアーム41の先端に取り付け、ロボットアーム41の動作により、袋体31を対象物33に向けて移動させる。これにより、袋体31を対象物33に押しつける。この時、図1(B)に示すように、袋体31と対象物33との間に隙間Cができてしまう。そのため、対象物33を安定して袋体31で把持できない場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、支持面に置かれた対象物に袋体を押しつけて把持する場合に、対象物を安定して把持できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明によると、対象物を把持する把持装置であって、
変形自在な袋体と、
粉体、粒体、または、粉体と粒体の混合物である粉粒体を、袋体の内部に導入する粉粒体導入装置と、
袋体の内部から気体を排出する吸引装置と、
袋体が取り付けられ、袋体を対象物に押しつけるように動作可能なロボットアームと、を備える、ことを特徴とする把持装置が提供される。
【0007】
本発明の好ましい実施形態によると、粉粒体導入装置と吸引装置とロボットアームを制御する制御装置を備え、
制御装置は、袋体を対象物に押し付けるようにロボットアームの動作を制御し、袋体が対象物に押し付けられた状態で、袋体の内部に粉粒体を導入して袋体を膨張させるように粉粒体導入装置を制御し、次いで、袋体の内部から気体を排出することにより袋体の内部の粉粒体同士の摩擦力が増えて袋体の形状が保たれるように吸引装置を制御する。
【0008】
また、本発明の好ましい実施形態によると、粉粒体導入装置は、袋体の内部に連通し粉粒体が充填されたシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ内を往復動可能なピストンとを有し、
ピストンは、前進することにより、シリンダ室側の粉粒体を袋体の内部へ押し出し、後退することにより、袋体の内部の粉粒体をシリンダ室側へ排出させる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によると、開いた状態で、袋体の内部を大気と連通させ、閉じた状態で、袋体の内部を大気から密閉する開放弁を備え、
制御装置は、袋体の内部の気体を吸引装置に吸引させる時、および、前記ピストンを後退させる時に、前記開放弁を閉じる。
【0010】
また、上述の目的を達成するため、本発明によると、対象物を把持する把持方法であって、
(A)変形自在な袋体を、対象物に押しつけ、
(B)この状態で、袋体の内部に粉粒体を導入することにより、袋体を膨張させて、袋体と対象物との隙間を減らし、
(C)袋体の内部における粉粒体と気体のうち、気体のみを、吸引して袋体の外部へ排出することにより、袋体の内部の粉粒体同士の摩擦力を増やし袋体の形状が保たれるようにする、ことを特徴とする把持方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明によると、ロボットアームの動作により、袋体を対象物に押し付けた状態で、粉粒体導入装置が、袋体の内部に多数の粉粒体を導入することにより、袋体と対象物との隙間を減らすように袋体を膨張させることができる。この状態で、吸引装置が、袋体の内部から気体を排出することにより、袋体の内部の粉粒体同士の摩擦力を増やし袋体の形状が保たれるようにする。よって、袋体と対象物との隙間を減らした状態で、対象物を袋体で安定して把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(A)は、特許文献1の袋体を示し、(B)は、本発明の課題を説明する図である。
図2】本発明の実施形態による把持装置を示す。
図3】本発明の実施形態による把持方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態による把持方法を説明する図である。
図5】本発明の実施形態による把持方法を説明する別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態による把持装置10を示す。図2に示すように、把持装置10は、対象物1を把持するために、袋体3と、粉粒体導入装置5と、吸引装置7と、ロボットアーム9と、制御装置11と、開放弁13とを備える。
【0015】
袋体3は、変形自在である。本実施形態では、袋体3は、気体を通さない材料(好ましくは弾性材料)で形成されている。図2では、袋体3とシリンダ15(後述する)の内部を透視して図示している(後述の図4、5も同様である)。
【0016】
粉粒体導入装置5は、袋体3の内部に多数の粉粒体2を導入する。粉粒体2とは、粉体または粒体、もしくは、粉体と粒体との混合物を意味する。粉粒体2は、例えば、コーヒー豆、そば殻、または金属粒体である。
【0017】
好ましくは、粉粒体2は、コーヒー豆のように、表面に凹凸を有する形状を有し、硬い材質で形成されているものがよい。粉粒体2表面の凹凸により、後述のステップS3において、吸引力が比較的小さくても、粉粒体2同士の摩擦力を大きくすることができる。また、粉粒体2が硬い材質で形成されていることにより、後述のステップS3、S4において、袋体3で把持した対象物1が重くても、各粉粒体2を変形させずに、袋体3の形状が保たれるようにすることができる。
【0018】
粉粒体2の大きさは、次の条件を満たす程度に小さければよい。
条件:後述のステップS3において、対象物1を把持できる程度に、袋体3と対象物1との隙間C(後述の図4(A)を参照)を減らすことができる。
【0019】
粉粒体導入装置5は、本実施形態では、袋体3の内部に連通し粉粒体2が充填されたシリンダ室15aを有するシリンダ15と、シリンダ15内を往復動可能なピストン17とを有する。ピストン17は、前進することにより、シリンダ室15a側の粉粒体2を袋体3の内部へ押し出し、後退することにより、袋体3の内部の粉粒体2をシリンダ室15a側へ排出させる。
【0020】
シリンダ室15aと袋体3の内部とを接続する管16には、粉粒体弁19が設けられている。粉粒体弁19は、閉じられることにより、シリンダ室15aと袋体3の内部との間で粉粒体2が移動できないようにし、開かれることにより、シリンダ室15aと袋体3の内部との間で粉粒体2が移動できるようにする。
【0021】
吸引装置7は、袋体3の内部における気体を吸引する。本実施形態では、吸引装置7は、真空ポンプであるが、他の適切な手段であってもよい。吸引装置7と袋体3とを接続する管18には、開閉弁21が設けられている。図2の例では、管18は、管16の途中において管16に接続されている。開閉弁21は、閉じた状態で、吸引装置7と袋体3の内部とを気密に遮断し、開いた状態で、吸引装置7と袋体3の内部とを連通させる。
【0022】
吸引装置7は、フィルタ23を介して、袋体3の内部における気体を吸引する。フィルタ23は、粉粒体2と気体のうち気体のみを通過させる。図2では、管18は、管18よりも断面積が大きい吸引室22を介して管16の途中箇所に接続されている。フィルタ23は、吸引室22と管16との境界、または吸引室22に設けられている。
【0023】
ロボットアーム9には、袋体3が取り付けられ、対象物1に袋体3を押しつけるように動作可能である。ロボットアーム9は、例えば、多関節ロボットにおける最先端のアームであってよい。多関節ロボットは、複数のアームが互いに回転可能に直列に連結されて構成されている。好ましくは、ロボットアーム9の先端部に袋体3が取り付けられている。なお、ロボットアーム9には、粉粒体導入装置5と吸引装置7が取り付けられていてよく、または、ロボットアーム9に回転可能に連結されている多関節ロボットの他のアームに粉粒体導入装置5と吸引装置7が取り付けられていてもよい。後者の場合、管16、18を変形可能に形成し、かつ、管16、18の長さを、多関節ロボットの動作に追従可能に設定する。
【0024】
制御装置11は、粉粒体導入装置5と吸引装置7とロボットアーム9を制御する。制御装置11は、袋体3を対象物1に押しつけるようにロボットアーム9の動作を制御し、袋体3が対象物1に押しつけられた状態で、袋体3の内部に多数の粉粒体2を導入して袋体3を膨張させるように粉粒体導入装置5を制御し、次いで、袋体3の内部から気体を排出して袋体3の内部の粉粒体2同士の摩擦力を増やし袋体3の形状が保たれるように吸引装置7を制御する。なお、制御装置11は、粉粒体導入装置5の駆動装置6を制御することにより粉粒体導入装置5を制御し、ロボットアーム9の駆動装置12を制御することによりロボットアーム9を制御する。
【0025】
開放弁13は、開かれた状態で、袋体3の内部を大気(すなわち袋体3の外部)と連通させ、閉じられた状態で、袋体3の内部を大気から密閉する。開放弁13は、図2の例では、大気連通管25に設けられる。大気連通管25は、一端部において袋体3の内部への開口部を有し、他端部において袋体3の外部(大気)への開口部を有し、一端部の開口部から他端部の開口部まで延びる。
【0026】
大気連通管25には、フィルタ27を介して袋体3の内部を大気(袋体3の外部)に連通させる。フィルタ27は、粉粒体2と気体のうち気体のみを通過させる。開放弁13が開いている時に、フィルタ27は、袋体3の内部における粉粒体2が大気連通管25を通して袋体3の外部(かつ大気連通管25の外部)へ移動できないようにする位置に配置されている。なお、図2の例では、フィルタ27は、大気連通管25に設けられているが、代わりに、袋体3の内部に位置して、袋体3の内部への大気連通管25の開口部を覆うように設けられてもよい。
【0027】
図3は、本発明の実施形態による把持方法を示すフローチャートである。図4、5は、この把持方法の説明図である。図3〜5に基づいて、本実施形態による把持方法を説明する。この方法は、上述の把持装置10を用いて行われる。
【0028】
ステップS1において、制御装置11が、ロボットアーム9の動作を制御することにより、袋体3を対象物1に押しつける。例えば、図4(A)において、袋体3と支持面4で対象物1を挟み込むように、支持面4に置かれている対象物1に上方から袋体3を押しつける。図4(A)において、支持面4は、平らであり、上方を向いている。ステップS1において、制御装置11は、開放弁13を開いた状態にし、粉粒体弁19を閉じた状態にしておく。なお、ステップS1において、袋体3の内部に粉粒体2が存在していてもよい。ステップS1の終了時点では、図4(A)に示すように、袋体3と対象物1との間には隙間Cが生じている。
【0029】
ステップS2において、ステップS1により袋体3が対象物1に押しつけられた状態で、かつ、開放弁13を開いた状態で、制御装置11は、粉粒体弁19を開け、次いで、袋体3の内部に多数の粉粒体2を導入するように粉粒体導入装置5を制御する。これにより、図4(B)のように、袋体3を膨張させて、袋体3と対象物1との隙間Cを減らし、または、隙間Cをなくす。すなわち、袋体3の内部に粉粒体2を充填することにより、粉粒体2同士の間で及ぼし合う力(互いに向けて押され合う力)を高める。その結果、袋体3の内面が、粉粒体2に押されて袋体3が膨張する。本実施形態では、ステップS2において、制御装置11は、ピストン17を前進させることにより、粉粒体2がピストン17に押されて袋体3の内部に充填され、その結果、上述のように袋体3が膨張する。
【0030】
ステップS3において、ステップS2により袋体3が膨張した状態で、制御装置11は、開放弁13を閉じて袋体3の内部を大気と非連通にし、この状態で、袋体3の内部における気体を吸引して袋体3の外部へ排出するように吸引装置7を制御する。これにより、袋体3の内面が、袋体3をしぼませる方向に袋体3の内部の粉粒体2を押す。このように袋体3の内面が粉粒体2を押す力と、この力で増えた粉粒体2同士の摩擦力とにより、袋体3の形状が一定に保たれるようにする。その結果、袋体3で対象物1を把持した状態にする。なお、ステップS3において、フィルタ23により、吸引装置7は、袋体3の内部における粉粒体2と気体のうち気体のみを吸引して袋体3の外部へ出す。また、ステップS3では、吸引装置7による袋体3の内部の吸引時に、開閉弁21は開いている。
【0031】
ステップS3における吸引装置7による吸引力は、次の条件を満たすように、制御装置11に制御され、または予め設定されている。
条件:次のステップS4で、袋体3を支持面4から上昇させても、対象物1を把持した袋体3の形状が保たれる。
【0032】
ステップS3において、上述のように袋体3の形状を一定に保つようにしたら、この状態を維持するために開閉弁21を閉じる。これにより、以降のステップS4においても袋体3の形状が一定に保たれる。この場合、以降において、吸引装置7の作動を停止させておいてよい。
【0033】
ステップS4において、ロボットアーム9の動作により、図4(C)のように、対象物1を把持した袋体3を、上昇させて目的位置まで移動させる。
【0034】
ステップS5において、袋体3が目的位置に到達したら、開放弁13を開けることにより、袋体3の内面が粉粒体2を押す力を小さくし、袋体3の内部における粉粒体2同士の摩擦力を小さくする。その結果、一定に保たれていた袋体3の形状が変わる。これにより、図4(D)のように対象物1が袋体3から解放される。
【0035】
ステップS6において、袋体3の内部における粉粒体2を、次のように粉粒体導入装置5へ戻す。制御装置11は、開放弁13を閉じ開閉弁21を開け、この状態で、袋体3の内部における気体を袋体3の外部へ出すように吸引装置7を制御する。このように袋体3の内部が減圧された状態で、制御装置11は、開閉弁21を閉じる。次に、開放弁13と開閉弁21が閉じられた状態で、制御装置11は、ピストン17を後退させるように粉粒体導入装置5を制御する。これにより、図5のように、袋体3の内部体積が小さくなり、粉粒体2がシリンダ室15a内へ戻る。次いで、粉粒体弁19を閉じる。
【0036】
ステップS6の後、袋体3で別の対象物1を把持する場合には、開放弁13を開け、その後、別の対象物1を把持して移動させるために、上述のステップS1〜S6を繰り返す。
【0037】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記の変更例1〜4を任意に組み合わせて採用してもよいし、変更例1〜4のいずれかを採用してもよい。この場合、以下で説明しない点は上述と同じである。
【0038】
(変更例1)
ステップS1の開始時に、開放弁13と開閉弁21を閉じ、この状態でステップS1を行ってもよい。
【0039】
(変更例2)
ステップS3において、上述のように袋体3の形状を一定に保つようにしたら、開閉弁21を閉じる代わりに、ステップS4とステップS5において開閉弁21を開けたままにして、ステップS4において、吸引装置7により袋体3の内部を吸引し続ける。次いで、ステップS5において、袋体3が目的位置に到達したら、吸引装置7による袋体3内部の吸引を停止する。この停止により、袋体3内部の圧力が上昇して、一定に保たれていた袋体3の形状が、対象物1を袋体3から解放するように変わる。この場合には、ステップS5において、開放弁13を開けなくてもよい。
【0040】
(変更例3)
管18は、大気連通管25の途中箇所から吸引装置7まで延びていてもよい。吸引装置7は、上述のフィルタ23を介して、袋体3の内部における気体を吸引する。また、管18は、管18よりも断面積が大きい吸引室22を介して大気連通管25の途中箇所に接続されていてもよい。この場合、フィルタ23は、吸引室22と大気連通管25との境界、または吸引室22に設けられてよい。
ステップS1では、制御装置11により、開放弁13と開閉弁21の両方または一方を開けておいてもよいし、開放弁13と開閉弁21の両方を閉じておいてもよい。
ステップS2では、袋体3の内部に多数の粉粒体2を導入する時に、制御装置11により、開放弁13を開けておく。
ステップS3では、吸引装置7が、袋体3の内部における気体を吸引する時に、制御装置11により、開放弁13を閉じ開閉弁21を開けておく。吸引装置7による吸引により、袋体3の形状を一定に保つようにしたら、制御装置11により、開放弁13と開閉弁21を閉じる。
ステップS4では、制御装置11により、開放弁13と開閉弁21を閉じた状態にする。
ステップS5、S6は、上述と同様である。
【0041】
(変更例4)
大気連通管25の断面積が、粉粒体2の大きさより小さい場合には、フィルタ27を省略してよい。管18の断面積が、粉粒体2の大きさより小さい場合には、フィルタ23を省略してよい。
【符号の説明】
【0042】
1 対象物、2 粉粒体、3 袋体、4 支持面、5 粉粒体導入装置、6 駆動装置、7 吸引装置、9 ロボットアーム、10 把持装置、11 制御装置、12 駆動装置、13 開放弁、15 シリンダ、15a シリンダ室、16 管、17 ピストン、18 管、19 粉粒体弁、21 開閉弁、22 吸引室、23 フィルタ、25 大気連通管、27 フィルタ、31 袋体、33 対象物、35 排気管、37 粒体、39 支持面、41 ロボットアーム
図1
図2
図3
図4
図5