特許第5979596号(P5979596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979596
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】トイレ用手摺装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/02 20060101AFI20160817BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A47K17/02 A
   E04F11/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-238917(P2012-238917)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-87462(P2014-87462A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩本 晶吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 肇一
(72)【発明者】
【氏名】安立 義明
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−116747(JP,A)
【文献】 特開2007−151908(JP,A)
【文献】 特開2003−52579(JP,A)
【文献】 特開2006−109893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00−17/02
E04F 11/18
E04B 1/00
A47B 91/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式便器の左右の床面に固定され前記洋式便器の前後方向と同じ方向に伸びる一対の安定脚と、前記一対の安定脚から上方に立設される一対の支持脚と、前記一対の支持脚を前記洋式便器の上方で架設する架設部材と、を有する本体フレームと、前記本体フレームに取り付けられる手摺部と、を備えるトイレ用手摺装置において、
前記安定脚は、前記床面に固定される第1安定脚部と、前記支持脚が立設され前記第1安定脚部に取り付けられる第2安定脚部と、から構成されており、
前記第2安定脚部は、前記支持脚が立設している位置よりも後方側に設けられた係止部が前記第1安定脚部に設けられた被係止部に係止して前記第2安定脚部の上方向への移動が規制されるとともに、前記支持脚が立設している位置よりも前方側で前記第2安定脚部の上方向及び前後方向の移動が規制されるように前記第1安定脚部に締結されていることを特徴とするトイレ用手摺装置。
【請求項2】
前記安定脚の前後方向の長さにおいて、前記支持脚に対する前記安定脚の前方側又は後方側の一方の長さが他方の長さと異なることを特徴とする請求項1に記載のトイレ用手摺装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記第2安定脚部の前端及び後端に形成されており、
前記第1安定脚部の前記被係止部に、前記第2安定脚部の前端又は後端の前記係止部の一方を係止させることを特徴とする請求項2に記載のトイレ用手摺装置。
【請求項4】
前記安定脚の前端は、前記架設部材に配設される背もたれの前面より後方側に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のトイレ用手摺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、洋式便器に設けられるトイレ用手摺装置に関し、特に、高齢者や障害者等の用便時の動作や姿勢保持を介助するためのトイレ用手摺装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者や障害者等の用便時の動作や姿勢保持を介助する目的として、従来から様々なトイレ用手摺装置が提案されている。例えば、特許文献1のトイレ用手摺装置には、洋式便器の左右の床面に洋式便器の前後方向に伸びる一対の接地脚と、一対の接地脚から上方に立設される一対の支柱とを備え、洋式便器の前後方向に伸びる一対の接地脚を床面に床固定板を介して固定することが開示されている。
【0003】
トイレ用手摺装置が設置されるトイレ空間は、高齢者や障害者等の用便時に床面が汚れてしまいやすい。そこで、汚れやすい洋式便器の左右の床面を管理者が清掃をしやすいように、洋式便器の前後方向に伸びる接地脚を、支柱の前方側を短くし支柱の後方側にも伸ばすことにより、洋式便器の左右の床面を清掃する際に接地脚が邪魔になりにくいようにさせることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−282175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単に洋式便器の前後方向に伸びる接地脚を、支持脚に対して前後方向に伸ばして床面に固定しようにすると、接地脚の床固定板が後方側にも配置されることになる。トイレ用手摺装置の施工時には、洋式便器の左右の狭い空間でトイレ用手摺装置の取付作業をしなければならず、接地脚の床固定板に管理者の手が届きにくくトイレ用手摺装置の取付作業が困難であったという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、洋式便器の前後方向に伸びる安定脚を、支持脚に対して前後方向に伸ばして床面に固定される場合であっても、施工時におけるトイレ用手摺装置の取付作業を容易にできるトイレ用手摺装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るトイレ用手摺装置では、洋式便器の左右の床面に固定され前記洋式便器の前後方向と同じ方向に伸びる一対の安定脚と、前記一対の安定脚から上方に立設される一対の支持脚と、前記一対の支持脚を前記洋式便器の上方で架設する架設部材と、を有する本体フレームと、前記本体フレームに取り付けられる手摺部と、を備えるトイレ用手摺装置において、前記安定脚は、前記床面に固定される第1安定脚部と、前記支持脚が立設され前記第1安定脚部に取り付けられる第2安定脚部と、から構成されており、前記第2安定脚部は、前記支持脚が立設している位置よりも後方側に設けられた係止部が前記第1安定脚部に設けられた被係止部に係止して前記第2安定脚部の上方向への移動が規制されるとともに、前記支持脚が立設している位置よりも前方側で前記第2安定脚部の上方向及び前後方向の移動が規制されるように前記第1安定脚部に締結されていることを特徴とする。
【0008】
この好ましい態様によれば、洋式便器の前後方向に伸びる安定脚を、支持脚に対して前後方向に伸ばして床面に固定される場合であっても、第1安定脚部に第2安定脚部を締結する際、管理者の手が届きにくい支持脚の後方側の取付作業を係止させるだけでよく、施工時におけるトイレ用手摺装置の取付作業を容易にできる。
【0009】
また、本発明に係るトイレ用手摺装置では、前記安定脚の前後方向の長さにおいて、前記支持脚に対する前記安定脚の前方側又は後方側の一方の長さが他方の長さと異なることを特徴とする。
【0010】
この好ましい態様によれば、支持脚に対する安定脚の前方側と後方側の長さが異なるため、第1安定脚部に第2安定脚部を締結する際、第2安定脚部の取付方向を間違えにくくなり、施工時におけるトイレ用手摺装置の取付作業をより容易にできる。
【0011】
また、本発明に係るトイレ用手摺装置では、前記係止部は、前記第2安定脚部の前端及び後端に形成されており、前記第1安定脚部の前記被係止部に、前記第2安定脚部の前端又は後端の前記係止部の一方を係止させることを特徴とする。
【0012】
この好ましい態様によれば、第1安定脚部の被係止部に第2安定脚部の前端又は後端の係止部の一方を係止させることにより、支持脚に対する安定脚の前方側と後方側の長さを変更可能であるため、洋式便器の左右の奥側に止水栓等が配置されている場合に止水栓等と安定脚が干渉することを防止できる。
【0013】
また、本発明に係るトイレ用手摺装置では、前記安定脚の前端は、前記架設部材に配設される背もたれの前面より後方側に配設されることを特徴とする。
【0014】
この好ましい態様によれば、安定脚の前端が背もたれの前面より後方側に配設されるため、背もたれの前方側の汚れやすい床面に安定脚が配設されず、管理者が背もたれの前方側の床面を清掃しやすい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るトイレ用手摺装置は、洋式便器の前後方向に伸びる安定脚を、支持脚に対して前後方向に伸ばして床面に固定される場合であっても、施工時におけるトイレ用手摺装置の取付作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態のトイレ用手摺装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態のトイレ用手摺装置を示す側面図である。
図3】本発明におけるトイレ用手摺装置の安定脚の内部構造を示す断面図である。
図4】本発明におけるトイレ用手摺装置の安定脚の取付方法を示す模式図である。
図5】本発明におけるトイレ用手摺装置の安定脚の取付方法を示す模式図である。
図6】本発明におけるトイレ用手摺装置の安定脚の取付方法を示す模式図である。
図7】本発明におけるトイレ用手摺装置の安定脚の取付方法を示す模式図である。
図8】本発明におけるトイレ用手摺装置の他の安定脚の取付方法を示す模式図である。
図9】本発明におけるトイレ用手摺装置の他の安定脚の取付方法を示す模式図である。
図10】本発明におけるトイレ用手摺装置の他の安定脚の取付方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態のトイレ用手摺装置について説明する。尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を示す。
【0018】
図1は、本発明の実施形態のトイレ用手摺装置1を示す斜視図である。トイレ用手摺装置1は、洋式便器2の左右の床面に固定され洋式便器2の前後方向と同じ方向に伸びる一対の安定脚4と、一対の安定脚4から上方に立設される一対の支持脚6と、一対の支持脚6を洋式便器2の上方で架設する架設部材8と、を有する本体フレーム10とによって構成されている。
【0019】
架設部材8の両端には、回動可能にアームレストフレーム(手摺部)12が取り付けられているが、支持脚6の上部に取り付けられても良い。また、架設部材8の中央には、高齢者や障害者等がもたれかけられるクッション性を有する背もたれ24が取り付けられている。背もたれ24は、架設部材8から着脱可能であって必要がない場合は取り外すことができる。
【0020】
図3は、本発明におけるトイレ用手摺装置1の安定脚4の内部構造を示す断面図である。安定脚4は、床面に固定される第1安定脚部14と、第1安定脚部14が支持脚6に対して前後方向に配設するように第1安定脚部14と支持脚6の下部とを接続する第2安定脚部16とを備えている。尚、第1安定脚部14は、支持脚6の前後でネジにより床面に締結されている。
【0021】
また、安定脚4は、支持脚6に対して後方側で第2安定脚部16の左右方向及び上下方向を規制して第1安定脚部14に係止するとともに、支持脚6の前方側で第2安定脚部16の前後方向を規制して第1安定脚部14に締結する締結手段18とを備えている。また、第1安定脚部14と第2安定脚部16は、意匠性のためカバー部材28で覆われている。
【0022】
図4図7は、本発明におけるトイレ用手摺装置1の安定脚4の取付方法を示す模式図である。洋式便器2の左右の空間において、第1安定脚部14をネジで床面に締結した後、第1安定脚部14の上方から第2安定脚部16を取り付ける。その際、安定脚4の後方側で第1安定脚部14の凹状の被係止部20に第2安定脚部16の凸状の係止部22を係止させる。
【0023】
次に、安定脚4の前方側で第1安定脚部14の雌ねじを有する突出部30を第2安定脚部16に形成される孔部32の所定位置に配置させ、突出部30のナット固定部26で第1安定脚部14に第2安定脚部16を嵌め合わせる。これにより、第2安定脚部16は、第1安定脚部14に対して左右方向、上下方向及び前後方向が規制され、第1安定脚部14に固定される。尚、締結手段18は、第1安定脚部14の被係止部20、第2安定脚部16の係止部22、突出部30のナット固定部26で構成されている。
【0024】
その結果、本発明に係るトイレ用手摺装置1によれば、洋式便器2の前後方向に伸びる安定脚4を、支持脚6に対して前後方向に伸ばして床面に固定される場合であっても、第1安定脚部14に第2安定脚部16を固定する際、管理者の手が届きにくい支持脚6の後方側の取付作業を係止させるだけでよく、施工時におけるトイレ用手摺装置1の取付作業を容易にできる。
【0025】
また、本発明に係るトイレ用手摺装置1は、支持脚6に対して第1安定脚部14の後方側に形成される凹状の被係止部20に、第2安定脚部16の後端に形成される凸状の係止部22を係止させる。より好ましくは、第1安定脚部14の上面中央に形成された被係止部20に、第2安定脚部16の下面中央に形成された係止部22を係止させる。
【0026】
その結果、本発明に係るトイレ用手摺装置1によれば、第2安定脚部14の係止部22が後端に形成されているため、第1安定脚部14の被係止部20に第2安定脚部16の係止部22を係止させる際、被係止部20に係止部22が係止されやすい。また、第1安定脚部14に対して第2安定脚部16を所定位置でスライドさせれば、被係止部20に係止部22が係止されやすい。
【0027】
図8図10は、本発明におけるトイレ用手摺装置1の他の安定脚4の取付方法を示す模式図である。洋式便器2の左右の空間において、第1安定脚部14をネジで床面に締結した後、第1安定脚部14の上方から第2安定脚部16を取り付ける。図8では、図4の第2安定脚部16の前後方向を反転させた状態で、安定脚4の後方側で第1安定脚部14の凹状の被係止部20に第2安定脚部16の凸状の係止部22を係止させる。
【0028】
次に、図9及び図10では、図5及び図6と同様に、安定脚4の前方側で第1安定脚部14の雌ねじを有する突出部30を第2安定脚部16に形成される孔部32の所定位置に配置させ、突出部30のナットで第1安定脚部14に第2安定脚部16を嵌め合わせる。これにより、第2安定脚部16は、第1安定脚部14に対して左右方向、上下方向及び前後方向が規制され、第1安定脚部14に固定される。尚、締結手段18は、第1安定脚部14の被係止部20、第2安定脚部16の係止部22、突出部30のナット固定部26で構成されている。
【0029】
また、本発明に係るトイレ用手摺装置1は、図3に示すように、第2安定脚部16の係止部22が第2安定脚部16の前端及び後端に形成されている。また、第1安定脚部14の被係止部20に第2安定脚部16の前端及び後端に形成される係止部22の一方を係止可能である。また、第2安定脚部16の孔部32も支持脚6に対して第2安定脚部16の前後に形成されている。
【0030】
その結果、本発明に係るトイレ用手摺装置1によれば、第1安定脚部14の被係止部20に第2安定脚部16の前端又は後端の係止部22の一方を係止させることにより、支持脚6に対する安定脚4の前方側と後方側の長さを変更可能であるため、洋式便器2の左右の奥側に止水栓等が配置されている場合に止水栓等と安定脚4が干渉することを防止できる。
【0031】
また、本発明に係るトイレ用手摺装置1では、安定脚4の前端が架設部材8に配設される背もたれ24の前面より後方側に配設されるため、背もたれ24の前方側の汚れやすい床面に安定脚4が配設されず、管理者が背もたれ24の前方側の床面を清掃しやすい。また、高齢者や障害者等が安定脚4を邪魔と感じることが少なくなる。
【0032】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0033】
例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0034】
1 トイレ用手摺装置
2 洋式便器
4 安定脚
6 支持脚
8 架設部材
10 本体フレーム
12 アームレストフレーム(手摺部)
14 第1安定脚部
16 第2安定脚部
18 締結手段
20 被係止部
22 係止部
24 背もたれ
26 ナット固定部
28 カバー部材
30 突出部
32 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10