特許第5979599号(P5979599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5979599ガラス管の清浄切断装置及び清浄切断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979599
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ガラス管の清浄切断装置及び清浄切断方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/095 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   C03B33/095
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-552971(P2012-552971)
(86)(22)【出願日】2012年11月20日
(86)【国際出願番号】JP2012080101
(87)【国際公開番号】WO2013111433
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】特願2012-10888(P2012-10888)
(32)【優先日】2012年1月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-144552(P2012-144552)
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(72)【発明者】
【氏名】干場 健一
(72)【発明者】
【氏名】市川 正広
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−522685(JP,A)
【文献】 特開平09−132421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B33/00−33/14
C03B17/04,35/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローエアが吹き込まれながら管引き成形されて連続走行する連続ガラス管の外周面に切断刃を間欠的に接触させることにより、該連続ガラス管の外周面に擦り傷を形成するとともに熱衝撃を与えて該連続ガラス管を所定長ずつ切断し、複数の切断ガラス管を得るガラス管の切断装置であって、
前記切断刃よりも前記連続ガラス管の走行下流側に、前記連続ガラス管の先端開口部へ前記走行下流側から前記ブローエアに対抗するカウンターエアを吹き込む噴気手段を設けたことを特徴とするガラス管の清浄切断装置。
【請求項2】
前記噴気手段が、前記連続ガラス管を含む仮想鉛直面上を避けた位置に設けられた複数の噴気ノズルを備え、
前記各噴気ノズルから噴射された噴気を前記仮想鉛直面上で合流させ、その合流噴気を前記カウンターエアとして前記連続ガラス管の先端開口部へ吹き込むことを特徴とする請求項1に記載のガラス管の清浄切断装置。
【請求項3】
前記各噴気ノズルのノズル口が、前記仮想鉛直面に平行な長軸をもつ偏平形状に形成されている請求項2に記載のガラス管の清浄切断装置。
【請求項4】
前記噴気手段が、前記連続ガラス管を含む仮想水平面を挟んで対向する位置に設けられた複数の噴気ノズルを備え、
前記各噴気ノズルから同圧で噴射された噴気を前記仮想水平面上で合流させ、その合流噴気を前記カウンターエアとして前記連続ガラス管の先端開口部へ吹き込むことを特徴とする請求項1に記載のガラス管の清浄切断装置。
【請求項5】
前記各噴気ノズルのノズル口が、前記連続ガラス管の管軸に対し直方向に長軸をもつ偏平形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のガラス管の清浄切断装置。
【請求項6】
前記噴気手段よりも前記走行下流側に設けられ、前記連続ガラス管から得られた前記切断ガラス管の前記走行下流側への移動を停止させる停止手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のガラス管の清浄切断装置。
【請求項7】
前記噴気手段が、前記停止手段における前記切断ガラス管の先端との接触面に近接する位置に配設されていることを特徴とする請求項6に記載のガラス管の清浄切断装置。
【請求項8】
ブローエアが吹き込まれながら管引き成形されて連続走行する連続ガラス管の外周面に切断刃を間欠的に接触させることにより、該連続ガラス管の外周面に擦り傷を形成するとともに熱衝撃を与えて該連続ガラス管を所定長ずつ切断し、複数の切断ガラス管を得るガラス管の切断方法であって、
前記切断刃よりも前記連続ガラス管の走行下流側に設けられた噴気手段により前記連続ガラス管の先端開口部へ前記走行下流側から前記ブローエアに対抗するカウンターエアを吹き込み、前記連続ガラス管の切断時に前記切断ガラス管の後端開口部から該カウンターエアを噴出させる噴気工程を含むことを特徴とするガラス管の清浄切断方法。
【請求項9】
前記連続ガラス管の切断後、前記切断ガラス管の先端開口部へ前記走行下流側から前記カウンターエアを吹き込み、該切断ガラス管の後端開口部から該カウンターエアを噴出させることを特徴とする請求項8に記載のガラス管の清浄切断方法。
【請求項10】
前記噴気手段よりも前記走行下流側に設けられた停止手段に前記連続ガラス管から得られた前記切断ガラス管の先端を衝突させることにより、該切断ガラス管の前記走行下流側への移動を停止させる停止工程を含むことを特徴とする請求項8に記載のガラス管の清浄切断方法。
【請求項11】
前記噴気工程において、
前記連続ガラス管を含む仮想水平面を挟んで対向する位置に設けられた複数の噴気ノズルから同圧で噴射された噴気を、前記停止手段における前記切断ガラス管の先端との接触面近傍の前記仮想水平面上で合流させることを特徴とする請求項10に記載のガラス管の清浄切断方法。
【請求項12】
前記カウンターエアを間欠的に吹き込むことを特徴とする請求項8に記載のガラス管の清浄切断方法。
【請求項13】
前記切断ガラス管の後端開口部から噴出させる前記カウンターエアの風圧を、前記連続ガラス管の先端開口部から噴出する前記ブローエアの風圧よりも大きくすることを特徴とする請求項8に記載のガラス管の清浄切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばダンナー法により管引き成形されて連続走行する連続ガラス管を所定長ずつ切断するガラス管の切断装置及び切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば蛍光灯、アンプルやバイアル等の医薬容器、液晶パネル用バックライト等に用いられるガラス管は、主としてダンナー法により生産されるのが一般的である(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
図8に示すように、マッフル炉100内において、流下する溶融ガラスMを連続回転するスリーブ110の外周面に巻き付けて筒状に成形し、筒状成形された溶融ガラスを、その筒内へブローエアA1を吹き込みながら、マッフル炉100の外に設けた管引機200により連続的に引き出すことにより、連続ガラス管G1を管引き成形する。次いで、連続ガラス管G1を連続走行させたまま、その外周面にガラス管切断装置300の切断刃310を間欠的に接触させることにより、連続ガラス管G1を所定長ずつ切断して複数の切断ガラス管G2を得る。そして、得られた切断ガラス管G2をコンベア400で搬送しながら、切断ガラス管G2の両端を再切断し口焼処理することにより、製品のガラス管を生産している。
【0004】
従来、連続走行する連続ガラス管を切断するガラス管切断装置として、下記の特許文献2〜4に記載のものが知られている。これらのガラス管切断装置は、連続ガラス管の外周面に切断刃を接触させて擦り傷を形成すると同時に熱衝撃を与えることにより、連続ガラス管を切断するものである。
【0005】
ところが、従来のガラス管切断装置は、連続ガラス管に対し単に切断刃を接触させるだけであったため、図9に示すように、切断時に発生するガラス微粉Pが、連続ガラス管G1の先端開口部F1から噴出するブローエアA1によって、切断ガラス管G2の後端開口部B2から管内へ吹き込まれ、管内面に付着して切断ガラス管G2の清浄性を損なう問題があった。かかるガラス微粉Pの内面付着の問題は、とりわけ管内の清浄性が重視されるアンプルやバイアル等の医薬容器用ガラス管にとって重要であり、切断処理後、ガラス管内面の洗浄作業を特に念入りに行わねばならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−172852号公報
【特許文献2】特開2007−331994号公報
【特許文献3】特開平9−67136号公報
【特許文献4】実開平2−87034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のガラス管切断装置に上記のような問題があったことに鑑みて為されたもので、ガラス微粉の内面付着による切断ガラス管の清浄性の低下を確実に防ぐことができる構成簡素なガラス管の清浄切断装置及び清浄切断方法を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ブローエアが吹き込まれながら管引き成形されて連続走行する連続ガラス管の外周面に切断刃を間欠的に接触させることにより、該連続ガラス管の外周面に擦り傷を形成するとともに熱衝撃を与えて該連続ガラス管を所定長ずつ切断し、複数の切断ガラス管を得るガラス管の切断装置であって、
前記切断刃よりも前記連続ガラス管の走行下流側に、前記連続ガラス管の先端開口部へ前記走行下流側から前記ブローエアに対抗するカウンターエアを吹き込む噴気手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記噴気手段が、前記連続ガラス管を含む仮想鉛直面上を避けた位置に設けられた複数の噴気ノズルを備え、前記各噴気ノズルから噴射された噴気を前記仮想鉛直面上で合流させ、その合流噴気を前記カウンターエアとして前記連続ガラス管の先端開口部へ吹き込むことを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記各噴気ノズルのノズル口が、前記仮想鉛直面に平行な長軸をもつ偏平形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記噴気手段が、前記連続ガラス管を含む仮想水平面を挟んで対向する位置に設けられた複数の噴気ノズルを備え、前記各噴気ノズルから同圧で噴射された噴気を前記仮想水平面上で合流させ、その合流噴気を前記カウンターエアとして前記連続ガラス管の先端開口部へ吹き込むことを特徴とする。
【0012】
本発明は、前記各噴気ノズルのノズル口が、前記連続ガラス管の管軸に対し直方向に長軸をもつ偏平形状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、前記噴気手段よりも前記走行下流側に設けられ、前記連続ガラス管から得られた前記切断ガラス管の前記走行下流側への移動を停止させる停止手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明は、前記噴気手段が、前記停止手段における前記切断ガラス管の先端との接触面に近接する位置に配設されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、ブローエアが吹き込まれながら管引き成形されて連続走行する連続ガラス管の外周面に切断刃を間欠的に接触させることにより、該連続ガラス管の外周面に擦り傷を形成するとともに熱衝撃を与えて該連続ガラス管を所定長ずつ切断し、複数の切断ガラス管を得るガラス管の切断方法であって、
前記切断刃よりも前記連続ガラス管の走行下流側に設けられた噴気手段により前記連続ガラス管の先端開口部へ前記走行下流側から前記ブローエアに対抗するカウンターエアを吹き込み、前記連続ガラス管の切断時に前記切断ガラス管の後端開口部から該カウンターエアを噴出させる噴気工程を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明は、前記連続ガラス管の切断後、前記切断ガラス管の先端開口部へ前記走行下流側から前記カウンターエアを吹き込み、該切断ガラス管の後端開口部から該カウンターエアを噴出させることを特徴とする。
【0017】
本発明は、前記噴気手段よりも前記走行下流側に設けられた停止手段に前記連続ガラス管から得られた前記切断ガラス管の先端を衝突させることにより、該切断ガラス管の前記走行下流側への移動を停止させる停止工程を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明は、前記噴気工程において、前記連続ガラス管を含む仮想水平面を挟んで対向する位置に設けられた複数の噴気ノズルから同圧で噴射された噴気を、前記停止手段における前記切断ガラス管の先端との接触面近傍の前記仮想水平面上で合流させることを特徴とする。
【0019】
本発明は、前記カウンターエアを間欠的に吹き込むことを特徴とする。
【0020】
本発明は、前記切断ガラス管の後端開口部から噴出させる前記カウンターエアの風圧を、前記連続ガラス管の先端開口部から噴出する前記ブローエアの風圧よりも大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るガラス管の清浄切断装置及び清浄切断方法によれば、噴気手段により連続ガラス管の先端開口部へ走行下流側からカウンターエアを吹き込んで、連続ガラス管の切断時に切断ガラス管の後端開口部からカウンターエアを噴出させることができるので、切断時に発生するガラス微粉を切断ガラス管の外側へ吹き飛ばすことができる。これにより、切断ガラス管の管内面へのガラス微粉の付着を確実に防ぎ、切断ガラス管の清浄性の低下を防ぐことができる。噴気手段よりも走行下流側に、連続ガラス管から得られた切断ガラス管の走行下流側への移動を停止させる停止手段を備える形態のガラス管の清浄切断装置であっても同様の効果を得ることができる。
【0022】
噴気手段が、連続ガラス管を含む仮想鉛直面上を避けた位置に設けられた複数の噴気ノズルを備えたガラス管の清浄切断装置によれば、たとえ切断機構部の切断ミス等により連続ガラス管が切断されずに走行し続けても、噴気手段との接触事故を回避することができ、後工程の混乱を招くことがない。
【0023】
仮想鉛直面上を避けた各噴気ノズルから噴射した噴気を仮想鉛直面上で合流させ、その合流噴気をカウンターエアとして連続ガラス管の先端開口部へ吹き込むガラス管の清浄切断装置によれば、たとえ連続ガラス管の先端開口部の走行方向における位置が変わっても、確実にカウンターエアを吹き込むことができる。また、連続ガラス管の実際の切断位置がばらついても、カウンターエアを確実に切断ガラス管の先端開口部へ吹き込むことができる。
【0024】
噴気ノズルのノズル口が、連続ガラス管を含む仮想鉛直面に平行な長軸をもつ偏平形状に形成されたガラス管の清浄切断装置によれば、縦長帯状のカウンターエアを噴射することができ、たとえ連続ガラス管の先端開口部の高さ位置が変わっても、確実にカウンターエアを吹き込むことができる。また、切断後、自重落下する切断ガラス管の先端開口部へ確実にカウンターエアを吹き込むことができる。
【0025】
噴気手段が、連続ガラス管を含む仮想水平面を挟んで対向する位置に設けられた複数の噴気ノズルを備えたガラス管の清浄切断装置においても、各噴気ノズルから同圧で噴射した噴気を仮想水平面上で合流させ、その合流噴気をカウンターエアとして連続ガラス管の先端開口部又は切断ガラス管の先端開口部へ吹き込むことができるので、たとえ切断機構部の切断ミス等により連続ガラス管が切断されずに走行し続けても、噴気手段との接触事故を回避することができ、後工程の混乱を招くことがない。また、噴気手段よりも走行下流側に停止手段が設けられている場合であっても、連続ガラス管の先端開口部又は切断ガラス管の先端開口部へのカウンターエアの吹込みが阻害されることもない。
【0026】
各噴気ノズルのノズル口が、連続ガラス管の管軸に対し直交方向に長軸をもつ偏平形状に形成されたガラス管の清浄切断装置によれば、所望の風圧が十分に確保されたカウンターエアを横長帯状に噴射することができる。これにより、たとえ連続ガラス管の先端開口部の走行方向における位置が変わっても、確実にカウンターエアを吹き込むことができる。加えて、切断ガラス管の先端開口部の位置がその切断後に連続ガラス管の走行方向に対して左右に多少ずれてしまった場合であっても、確実にカウンターエアを吹き込むことができる。
【0027】
噴気手段が、停止手段における切断ガラス管の先端との接触面に近接する位置に配設されたガラス管の清浄切断装置によれば、切断ガラス管の先端が停止手段における接触面に衝突するまでの間に、切断ガラス管の先端開口部へカウンターエアを吹き込むことが不可能となるデッドスペースがほとんど存在しない。したがって、切断ガラス管が停止手段により走行下流側への移動を停止させられる直前までカウンターエアを吹き込み続けることが可能となり、より確実にガラス微粉を切断ガラス管の外側へ吹き飛ばすことができる。
【0028】
連続ガラス管の切断後、切断ガラス管の先端開口部へカウンターエアを吹き込むガラス管の清浄切断方法によれば、より確実にガラス微粉を切断ガラス管の外側へ吹き飛ばすことができる。
【0029】
カウンターエアを間欠的に吹き込むガラス管の清浄切断方法によれば、噴気手段によるカウンターエアの吹込みを停止させて、専ら連続ガラス管の先端開口部からブローエアを噴出させるだけの時間を確保することができる。したがって、仮に切断ガラス管の後端開口部からのカウンターエアの噴出によってガラス微粉が連続ガラス管の管内へ吹き込まれていたとしても、そのガラス微粉をブローエアの噴出により連続ガラス管の外側へ吹き飛ばすことができる。このことで、連続ガラス管の先端開口部の清浄性を確実に保つことができ、ひいては、切断ガラス管の先端開口部の清浄性も保つことができる。
【0030】
切断ガラス管の後端開口部から噴出させるカウンターエアの風圧を、連続ガラス管の先端開口部から噴出するブローエアの風圧よりも大きくしたガラス管の清浄切断方法によれば、たとえ連続ガラス管から噴出するブローエアの風圧が多少ばらついても、確実にカウンターエアを切断ガラス管の後端開口部から噴出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施形態のガラス管の清浄切断装置の概略平面図である。
図2】本実施形態のガラス管の清浄切断装置における切断機構部の平面図である。
図3】本実施形態のガラス管の清浄切断装置における噴気手段の斜視図である。
図4】本実施形態のガラス管の清浄切断装置による清浄切断工程を説明する概略要部側面図である。
図5】他の実施形態のガラス管の清浄切断装置の概略平面図である。
図6】他の実施形態のガラス管の清浄切断装置における噴気手段及び停止手段の斜視図である。
図7】他の実施形態のガラス管の清浄切断装置における噴気手段及び停止手段の側面図である。
図8】従来の切断ガラス管の生産工程を示す概略側面図である。
図9】従来の連続ガラス管の切断工程においてガラス微粉が切断ガラス管の内面に付着する様子を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に示すように、本実施形態のガラス管の清浄切断装置10は、ブローエアA1が吹き込まれながら管引き成形されて連続走行する連続ガラス管G1を、所定長ずつ切断する切断機構部1と、連続ガラス管G1又は切断後の切断ガラス管G2の管内へブローエアA1に対向するカウンターエアA2を吹き込む噴気手段2と、から構成されている。このガラス管の清浄切断装置10は、連続ガラス管G1を牽引する公知の管引機200よりも連続ガラス管G1の走行下流側(以下、単に「走行下流側」という。)に配設されており、連続走行する連続ガラス管G1を所定長ずつ清浄に切断する。そして、切断して得られた複数の切断ガラス管G2はそれぞれ、公知のコンベヤ400により次工程へ搬送される。
【0033】
なお、本実施形態のガラス管の清浄切断装置10は、ダンナー法によりブローエアが吹き込まれながら管引き成形される連続ガラス管の切断処理に適用できる他、例えばダウンドロー法、アップドロー法等によりブローエアが吹き込まれながら管引き成形される連続ガラス管の切断処理に適用することもできる。
【0034】
ガラス管の清浄切断装置10の切断機構部1は、図2に示すように、モータ11により不図示のべベルギヤを介して駆動される鉛直の回転軸12と、この回転軸12に設けられて略水平面内で連続回転しながらカム13に応じて軸14で上下動するアーム15と、このアーム15の先端下部に固定され、不図示の供給路を通じて適量の水分が供給される切断刃16と、から構成されている。
【0035】
この切断機構部1のアーム15を、水平方向に連続走行する連続ガラス管G1の走行と同期させて連続回転させ、切断刃16を連続ガラス管G1の外周面の上部に間欠的に接触させることによって、連続ガラス管G1の外周面上部に擦り傷を形成すると同時に熱衝撃を与え、この熱衝撃により連続ガラス管G1の外周面に、擦り傷をオリジンとする亀裂を発生させるとともに連続ガラス管G1の自重による曲げモーメントを作用させることによって、連続ガラス管G1を所定長ずつ切断する。
【0036】
噴気手段2は、図1に示すように、上記切断機構部1の切断刃16よりも走行下流側に配設されている。本実施形態の噴気手段2は、図3に示すように、一対の支柱21にそれぞれ固定された複数の噴気ノズル22を備え、不図示の供給源から供給された清浄な空気を各噴気ノズル22から噴射する。
【0037】
本実施形態では、二対計四つの噴気ノズル22が連続ガラス管G1の軸心Cを含む仮想鉛直面VP1上を避けた位置に設けられており、各噴気ノズル22から噴射された噴気A3を一旦、仮想鉛直面VP1上で合流させ、その合流噴気をカウンターエアA2として連続ガラス管G1の先端開口部F1へ吹き込むように構成されている。図1に示すように、本実施形態では、仮想鉛直面VP1を挟んで対を成す左右両側の噴気ノズル22を、仮想鉛直面VP1についての面対称位置に配設し、かつ、各噴気ノズル22の仮想鉛直面VP1に対する噴気角度αを同一にしているが、各噴気ノズル22の配設位置及び噴気角度は、必要に応じて適宜調節することができる。
【0038】
また、本実施形態では、図3に示すように、各噴気ノズル22のノズル口23を、仮想鉛直面VP1に平行な長軸をもつ偏平形状に形成している。このことで、各噴気ノズル22から縦長帯状の噴気A3を噴射し、そして、縦長帯状のカウンターエアA2を連続ガラス管G1の先端開口部F1へ噴射するようにしている。
【0039】
以下、図4を参照しながら、本実施形態のガラス管の清浄切断装置10による連続ガラス管G1の清浄切断方法について説明する。
【0040】
本実施形態のガラス管の清浄切断装置10は、連続ガラス管G1の連続走行中、その切断機構部1を作動させることにより、切断刃16を連続ガラス管G1の外周面に間欠的に接触させ、連続ガラス管G1を所定長ずつ切断する。即ち、切断機構部1は、図4(b)に示すように、連続ガラス管G1の先端開口部F1が切断機構部1を所定長Lだけ通過した時点で、切断刃16を連続ガラス管G1の外周面に接触させ、連続ガラス管G1の外周面上部に擦り傷を形成するとともに熱衝撃を与え、図4(c)〜(e)に示すように、連続ガラス管G1を所定長Lずつ切断する。
【0041】
また、本実施形態のガラス管の清浄切断装置10は、連続ガラス管G1の連続走行中、その噴気手段2を間欠作動させることにより、カウンターエアA2を所定のタイミングで間欠的に連続ガラス管G1の先端開口部F1又は切断ガラス管G2の先端開口部F2へ吹き込み、切断ガラス管G2の管内面へのガラス微粉Pの付着を防止する。
【0042】
即ち、図4(a)に示すように、噴気手段2は、連続ガラス管G1の先端開口部F1が切断機構部1を所定長Lだけ通過する時点よりも前の時点で、カウンターエアA2の吹込みを開始する。このことで、図4(b)に示すように、切断刃16を連続ガラス管G1に接触させる時点で、連続ガラス管G1の管内においてカウンターエアA2をブローエアA1に対抗させ、そして、図4(c)に示すように、連続ガラス管G1の切断時に、切断ガラス管G2の後端開口部B2からカウンターエアA2を噴出させる。こうして、切断時に発生するガラス微粉Pを切断ガラス管G2の外側へ吹き飛ばし、切断ガラス管G2の管内面へのガラス微粉Pの付着を防止する。
【0043】
なお、本実施形態では、連続ガラス管G1の先端開口部F1が切断機構部1を所定長Lだけ通過する時点よりも、連続ガラス管G1が所定長Lだけ走行するのに要する時間Tの20%の時間t1(=0.2T)だけ早いタイミングで、カウンターエアA2の吹込みを開始しているが、このカウンターエアA2の吹込み開始タイミングは、噴気ノズル22と連続ガラス管G1の先端開口部F1との距離、切断ガラス管G2の切断長さや内径、連続ガラス管G1から噴出するブローエアA1の風圧等を考慮して適宜、調節することができる。
【0044】
また、本実施形態では、連続ガラス管G1の切断時(図4(c)参照)に切断ガラス管G2の後端開口部B2から噴出させるカウンターエアA2の風圧を、連続ガラス管G1の先端開口部から噴出するブローエアA1の風圧よりも大きくしている。このことで、たとえ連続ガラス管G1から噴出するブローエアA1の風圧が多少ばらついても、確実にカウンターエアA2を切断ガラス管G2の後端開口部B2から噴出させることができる。なお、この切断時のカウンターエアA2の噴出風圧は、ブローエアA1の噴出風圧と同じであってもよく、連続ガラス管G1から噴出するブローエアA1の風圧等を考慮して適宜、調節することができる。ただし、切断ガラス管G2の後端開口部B2から噴出させるカウンターエアA2の風圧を、連続ガラス管G1の先端開口部から噴出するブローエアA1の風圧よりも、必要以上に大きくし過ぎると、ブローエアA1の吹込みが阻害される結果、連続ガラス管G1の管引き成形に悪影響を与えるため好ましくない。
【0045】
噴気手段2は、図4(c)(d)に示すように、連続ガラス管G1の切断後においても、カウンターエアA2の噴射を継続し、切断ガラス管G2の先端開口部F2へ走行下流側からカウンターエアA2を吹き込み、切断ガラス管G2の後端開口部B2からカウンターエアA2を噴出させる。このことで、より確実にガラス微粉Pを切断ガラス管G2の外側へ吹き飛ばすことができる。
【0046】
そして、噴気手段2は、切断前の連続ガラス管G1の先端開口部F1が切断機構部1を所定長Lだけ通過した時点(図4(b)参照)よりも、連続ガラス管G1が所定長Lだけ走行するのに要する時間Tの20%の時間t2(=0.2T)だけ遅いタイミングで、カウンターエアA2の吹込みを終了する。このカウンターエアA2の吹込み終了タイミングは、必要に応じて適宜調節することができる。
【0047】
図4(e)に示すように、噴気手段2によるカウンターエアA2の吹込みを停止している間は、切断ガラス管G2の後端開口部B2からのカウンターエアA2の噴出はなく、連続ガラス管G1の先端開口部F1からのブローエアA1の噴出だけがある。したがって、仮に、図4(c)(d)の時点で、切断ガラス管G2の後端開口部B2からのカウンターエアA2の噴出により、ガラス微粉Pが連続ガラス管G1の管内へ吹き込まれていたとしても、そのガラス微粉PをブローエアA1の噴出によって連続ガラス管G1の外側へ吹き飛ばすことができる。このことで、連続ガラス管G1の先端開口部F1の清浄性を確実に保つことができ、ひいては、切断ガラス管G2の先端開口部F2の清浄性も保つことができる。
【0048】
その後、噴気手段2は、図4(f)に示すように、再度、連続ガラス管G1の先端開口部F1が切断機構部1を所定長Lだけ通過する時点よりも上記時間t1(=0.2T)だけ早いタイミングで、カウンターエアA2の吹込みを開始する。こうして、連続走行する連続ガラス管G1に対する清浄切断処理が繰り返され、清浄な切断部を有する複数の切断ガラス管G2が得られる。
【0049】
このように本実施形態のガラス管の清浄切断装置10は、噴気手段2により連続ガラス管G1の先端開口部F1へ走行下流側からカウンターエアA2を吹き込んで、連続ガラス管G1の切断時に切断ガラス管G2の後端開口部B2からカウンターエアA2を噴出させることができるので、切断時に発生するガラス微粉Pを切断ガラス管G2の外側へ吹き飛ばすことができ、切断ガラス管G2の管内面へのガラス微粉Pの付着を確実に防ぎ、切断ガラス管G2の清浄性の低下を防ぐことができる。
【0050】
また、本実施形態のガラス管の清浄切断装置10は、噴気手段2が、連続ガラス管G1を含む仮想鉛直面VP1上を避けた位置に設けられた複数の噴気ノズル22を備えて構成されているので、たとえ切断機構部1の切断ミス等により連続ガラス管G1が切断されずに走行し続けても、噴気手段2との接触事故を回避することができ、後工程の混乱を招くことがない。
【0051】
しかも、本実施形態では、仮想鉛直面VP1上を避けた各噴気ノズル22から噴射した噴気A3を仮想鉛直面VP1上で合流させ、その合流噴気をカウンターエアA2として連続ガラス管G1の先端開口部F1へ吹き込むことができるので、たとえ連続ガラス管G1の先端開口部F1の走行方向における位置が変わっても、確実にカウンターエアA2を吹き込むことができる。また、連続ガラス管G1の実際の切断位置がばらついても、カウンターエアA2を確実に切断ガラス管G2の先端開口部F2へ吹き込むことができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、各噴気ノズル22のノズル口23が仮想鉛直面VP1に平行な長軸をもつ偏平形状に形成され、縦長帯状のカウンターエアA2を噴射することができるので、たとえ連続ガラス管G1の先端開口部F1の高さ位置が変わっても、確実にカウンターエアA2を吹き込むことができる。また、切断後、自重落下する切断ガラス管G2の先端開口部F2へ確実にカウンターエアA2を吹き込むことができる。
【0053】
以上、本実施形態のガラス管の清浄切断装置および清浄切断方法について説明したが、本発明は他の実施形態でも実施することができる。
【0054】
例えば、上記実施形態では、図3に示すように、噴気手段2において、仮想鉛直面VP1に平行な縦長のノズル口23を有する噴気ノズル22を縦方向に二つ並べているが、縦方向に三つ以上並べてもよく、また、一つの噴気ノズル22のみで縦長帯状の噴気を噴射させてもよい。また、丸孔形状のノズル口を有する噴気ノズルを縦方向に多数並べて縦長帯状の噴気を噴射させてもよい。
【0055】
また、噴気手段として、仮想鉛直面VP1に平行な縦長のノズル口を有する噴気ノズルを、仮想鉛直面VP1上における連続ガラス管G1の上方位置に配設し、カウンターエアを斜め上方から連続ガラス管G1の先端開口部F1へ吹き込むようにしてもよい。
【0056】
あるいは、図5に示すガラス管の清浄切断装置20のように、切断機構部1、噴気手段2に加えて、切断後の切断ガラス管G2が連続ガラス管G1の走行下流側へ移動するのを停止させる停止手段3をさらに備えた形態で実施することもできる。なお、切断機構部1については上述したガラス管の清浄切断装置10と同様の構成であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0057】
噴気手段2は、図5に示すように、上記切断機構部1の切断刃16よりも走行下流側に配設されている。本実施形態の噴気手段2は、図6に示すように、一対の給気パイプ24にそれぞれ固定された複数の噴気ノズル22を備え、これらの給気パイプ24を通じて不図示の供給源から供給された清浄な空気を各噴気ノズル22から噴射する。
【0058】
本実施形態では、一対の噴気ノズル22が連続ガラス管G1の軸心Cを含む仮想水平面VP2を挟んで対向する位置に設けられており、各噴気ノズル22から噴射された噴気A3を一旦、仮想水平面VP2上で合流させ、その合流噴気をカウンターエアA2として連続ガラス管G1の先端開口部F1へ吹き込むように構成されている。即ち、仮想水平面VP2についての面対称位置に互いのノズル口23を正対させて配設された各噴気ノズル22から同圧で噴射された噴気A3を仮想水平面VP2上で合流せることにより、その合流噴気が各噴気A3の噴射方向に対し直交方向へ曲げられる。本実施形態では、かかる合流噴気のうち連続ガラス管G1の走行上流側へ曲げられたものをカウンターエアA2として連続ガラス管G1の先端開口部F1へ吹き込むようにしている。
【0059】
また、本実施形態では、図6及び図7に示すように、各噴気ノズル22を後述する停止手段3における切断ガラスG2の先端との接触面CPに近接する位置に配置している。このことで、切断ガラス管G2の先端が停止手段3における接触面CPに衝突するまでの間の空間に、切断ガラス管G2の先端開口部F2へカウンターエアA2を吹き込むことが不可能となるデッドスペースが形成されるのを回避することができる。
【0060】
さらに、本実施形態では、図6示すように、各噴気ノズル22のノズル口23を、連続ガラス管G1の管軸(軸心C)に対し直交方向に長軸をもつ偏平形状に形成している。このことで、ガラス管G1の管軸(軸心C)に対し直交方向に曲がる合流噴気を最小限に抑制するとともに、各噴気ノズル22から噴射された横長帯状の噴気A3を、横長帯状のカウンターエアA2として連続ガラス管G1の先端開口部F1へ噴射するようにしている。
【0061】
停止手段3は、切断後に走行下流側へ惰性で移動する切断ガラス管G2を停止させるストッパーであり、図5に示すように、噴気手段2よりも走行下流側に配設されている。本実施形態の停止手段3は、図6に示すように、仮想水平面VP2を挟んで対向する位置に配置された一対のローラ31に巻き掛けられた無端状の耐熱ベルト32を備え、この耐熱ベルト32の各噴気ノズル22と対向する側の一面が切断ガラスG2の先端との接触面CPを成す。本実施形態では、耐熱ベルト32として、例えば、ケブラー(登録商標)などの耐熱材からなり、噴気ノズル22のノズル口23の長軸と略同幅に形成されたフェルト部材を用いている。
【0062】
本実施形態において、停止手段3の耐熱ベルト32は、一定のテンションを保ちつつ周回自在に一対のローラ31に巻き掛けられている。このことで、図7に示すように、切断ガラス管G2の先端が接触面CPの中央部に衝突したときの衝撃を緩衝しながら連続ガラス管G1の走行上流側へ切断ガラス管G2をわずかに押し戻してコンベヤ400上に落下させるとともに、高温の切断ガラス管G2との度重なる衝突により集中的にダメージを受けた部位の位置を適宜変更できるようにしている。
【0063】
次いで、本実施形態のガラス管の清浄切断装置20による連続ガラス管G1の清浄切断方法について説明する。本実施形態のガラス管の清浄切断装置20による連続ガラス管G1の清浄切断方法は、以下の点を除き、上述したガラス管の清浄切断装置10による連続ガラス管G1の清浄切断方法(図4(a)〜(f)参照)と共通している。したがって、以下の説明では、主として上述したガラス管の清浄切断装置10による連続ガラス管G1の清浄切断方法と相違する事項に関する説明を行うものとする。
【0064】
本実施形態のガラス管の清浄切断装置20は、上述と同様に、連続ガラス管G1の連続走行中、その噴気手段2を間欠作動させることにより、カウンターエアA2を所定のタイミングで間欠的に連続ガラス管G1の先端開口部F1又は切断ガラス管G2の先端開口部F2へ吹き込む(図4(a)〜(b)参照)。本実施形態では、仮想水平面VP2を挟んで対向する位置に設けられた一対の噴気ノズル22から同圧で噴射された噴気A3を、停止手段3における接触面CP近傍の仮想水平面VP2上で合流させた合流噴気をカウンターエアA2として吹き込むようにしている。これにより、切断ガラス管G2の管内面へのガラス微粉Pの付着を防止する。
【0065】
また、本実施形態では、図6に示すように、各噴気ノズル22からの噴気A3を耐熱ベルト32の接触面CP近傍の仮想水平面VP2上で合流させることにより、各噴気A3の噴射方向に対し直交方向へ曲げられた合流噴気をカウンターエアA2として吹き込んでいる。このことで、惰性で走行下流側へ移動し続ける切断ガラス管G2の先端が停止手段3における耐熱ベルト32の接触面CPに衝突する直前まで、カウンターエアA2を吹き込み続けることが可能となり、より確実にガラス微粉Pを切断ガラス管G2の外側へ吹き飛ばすことができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、カウンターエアA2の吹込みを終了するタイミングまたはその直前のタイミングで、切断ガラス管G2の先端を耐熱ベルト32の接触面CPに衝突させて切断ガラス管G2の走行下流側への移動を停止させるようにしている。このことで、停止手段3の耐熱ベルト32との衝突時に発生する可能性のあるガラス微粉PがカウンターエアA2によって切断ガラス管G2の管内へ吹き込まれるのを防止することができる。
【0067】
このように本実施形態のガラス管の清浄切断装置20によっても、上述したガラス管の清浄切断装置10と同様に、噴気手段2により連続ガラス管G1の先端開口部F1へ走行下流側からカウンターエアA2を吹き込んで、連続ガラス管G1の切断時に切断ガラス管G2の後端開口部B2からカウンターエアA2を噴出させることができるので、切断時に発生するガラス微粉Pを切断ガラス管G2の外側へ吹き飛ばすことができる。これにより、切断ガラス管G2の管内面へのガラス微粉Pの付着を確実に防ぎ、切断ガラス管G2の清浄性の低下を防ぐことができる。
【0068】
また、本実施形態のガラス管の清浄切断装置20は、噴気手段2が、連続ガラス管G1を含む仮想水平面VP2を挟んで対向する位置に設けられた複数の噴気ノズル22から構成れているため、各噴気ノズル22から同圧で噴射した噴気A3を仮想水平面VP2上で合流させ、その合流噴気をカウンターエアA2として連続ガラス管G1の先端開口部F1へ吹き込むことができる。このため、たとえ切断機構部1の切断ミス等により連続ガラス管G1が切断されずに走行し続けても、噴気手段2との接触事故を回避することができ、後工程の混乱を招くことがない。同時に、噴気手段2よりも走行下流側に設けられた停止手段3の存在によって連続ガラス管G1の先端開口部F1又は切断ガラス管G2の先端開口部F2へのカウンターエアA2の吹込みが阻害されることもない。
【0069】
しかも、本実施形態では、各噴気ノズル22が、停止手段3における切断ガラス管G2の先端との接触面CPに近接する位置に配設されているため、切断ガラス管G2の先端が停止手段3における接触面CPに衝突するまでの間に、切断ガラス管G2の先端開口部F2へカウンターエアA2を吹き込むことが不可能となるデッドスペースがほとんど存在しない。したがって、切断ガラス管G2が停止手段3により走行下流側への移動を停止させられる直前までカウンターエアA2を吹き込み続けることが可能となり、より確実にガラス微粉Pを切断ガラス管G2の外側へ吹き飛ばすことができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、各噴気ノズル22のノズル口23が、連続ガラス管G1の管軸(軸心C)に対し直交方向に長軸をもつ偏平形状に形成されているので、所望の風圧が十分に確保されたカウンターエアA2を横長帯状に噴射することができる。これにより、たとえ連続ガラス管G1の先端開口部F1の走行方向における位置が変わっても、確実にカウンターエアA2を吹き込むことができる。加えて、切断ガラス管G2の先端開口部F2の位置がその切断後に連続ガラス管G1の走行方向に対して左右に多少ずれてしまった場合であっても、確実にカウンターエアA2を吹き込むことができる。
【0071】
なお、上述したガラス管の清浄切断装置20及びこれを用いたガラス管の清浄切断方法では、噴気手段2を間欠作動させることにより、カウンターエアA2を所定のタイミングで間欠的に連続ガラス管G1の先端開口部F1又は切断ガラス管G2の先端開口部F2へ吹き込むようにしているが、噴気手段2を連続作動させるようにしてもよい。たとえ噴気手段2を連続作動させたとしても、切断ガラス管G2の先端が停止手段3の耐熱ベルト32と衝突するときに各噴気ノズル22から噴射された噴気A3の合流が瞬間的に遮られるので、実質的にはカウンターエアA2の吹込みが間欠的に行われることとなるからである。この場合、連続ガラス管G1の走行速度等に応じた噴気手段2の複雑な動作制御が一切不要になるという利点がある。
【0072】
また、図示を省略するが、本発明のガラス管の清浄切断装置は、上述したガラス管の清浄切断装置10が停止手段3をさらに備えた形態で実施することもできる。あるいは、上述したガラス管の清浄切断装置20において、停止手段3を備えていない形態で実施することも可能である。このように、本発明は、例えば、管引き成形される連続ガラス管G1の走行速度、連続ガラス管G1(切断ガラス管G2)の径寸法や肉厚など、生産過程における種々の条件に応じて、ガラス管の清浄切断装置の各構成要件を適宜組み合わせて実施することができる。
【0073】
本発明は、その他、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施してもよく、あるいは、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成した形態や、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
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