(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パラメータ推定部は、前記各パラメータの値を互いに異なる複数の値に設定したときの、互いに異なる複数の前記合成加速度信号と前記観測信号との相互相関係数の値に基づいて、前記各パラメータの前記特定の値を推定することを特徴とする請求項1に記載の生体情報検出装置。
前記パラメータ推定部は、前記複数の合成加速度信号の各々に対する前記相互相関係数の値を取得し、該相互相関係数の値が極大となるときの前記各パラメータの値を前記特定の値として推定することを特徴とする請求項2に記載の生体情報検出装置。
前記複数のパラメータは、前記利用者の動作発生時点から当該動作の影響が前記観測信号に生じるまでの時間差に対応する第1のパラメータと、前記各加速度信号の前記各軸方向と前記観測部位における主要な血流方向との角度差に対応する第2のパラメータと、を含み、
前記パラメータ推定部は、前記特定の値として、前記第1のパラメータの特定の値と、前記第2のパラメータの特定の値と、を推定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生体情報検出装置。
前記観測信号選択部は、前記複数の加速度信号の各々の振幅を所定の閾値と比較し、前記各加速度信号の振幅が前記閾値より大きいときに、前記複数の観測信号から前記特定の観測信号の選択を行うことを特徴とする請求項7に記載の生体情報検出装置。
利用者の少なくとも1つの観測部位の脈波に基づく観測信号を取得するとともに、当該利用者の動作に伴う、互いに異なる複数の軸方向の各々に対応した複数の加速度信号を取得し、
前記複数の加速度信号を複数のパラメータに基づいて合成した合成加速度信号と前記観測信号との比較に基づいて、前記観測信号における前記利用者の動作に応じた加速度成分に対応する、前記各パラメータの特定の値を推定し、
前記観測信号から前記特定の合成加速度信号を除いた差分信号から、前記利用者の脈拍数を生体情報として計算することを特徴とする生体情報検出方法。
前記各パラメータの前記特定の値の推定を、前記各パラメータの値を互いに異なる複数の値に設定したときの、互いに異なる複数の前記合成加速度信号と前記観測信号との相互相関係数の値に基づいて行うことを特徴とする請求項11に記載の生体情報検出方法。
前記各パラメータの前記特定の値の推定において、前記複数の合成加速度信号の各々に対する前記相互相関係数の値を取得し、該相互相関係数の値が極大となるときの前記各パラメータの値を、前記各パラメータの前記特定の値として推定することを特徴とする請求項12に記載の生体情報検出方法。
前記複数のパラメータは、前記利用者の動作発生時点から当該動作の影響が前記観測信号に生じるまでの時間差に対応する第1のパラメータと、前記各加速度信号の前記各軸方向と前記観測部位における主要な血流方向との角度差に対応する第2のパラメータと、を含み、
前記複数のパラメータの特定の値として、前記第1のパラメータの特定の値と、前記第2のパラメータの特定の値と、を推定することを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載の生体情報検出方法。
前記各パラメータの前記特定の値の推定を、前記各パラメータの値を互いに異なる複数の値に設定したときの、互いに異なる複数の前記合成加速度信号と前記観測信号との相互相関係数の値に基づいて行わせることを特徴とする請求項16に記載の生体情報検出プログラム。
前記複数のパラメータは、前記利用者の動作発生時点から当該動作の影響が前記観測信号に生じるまでの時間差に対応する第1のパラメータと、前記各加速度信号の前記各軸方向と前記観測部位における主要な血流方向との角度差に対応する第2のパラメータと、を含み、
前記コンピュータに、
前記複数のパラメータの特定の値として、前記第1のパラメータの特定の値と、前記第2のパラメータの特定の値と、を推定させることを特徴とする請求項16又は17に記載の生体情報検出プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る生体情報検出装置及び生体情報検出方法、生体情報検出プログラムについて、実施形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
(生体情報検出装置)
図1は、本発明に係る生体情報検出装置の装着例及び外観構成例を示す概略図である。ここで、
図1(a)は、本発明に係る生体情報検出装置を人体に装着した状態を示す概略図であり、
図1(b)は、本発明に係る生体情報検出装置の正面及び側面を示す概略構成図である。また、
図2は、本発明に係る生体情報検出装置の計測面の構成例を示す概略図である。
【0014】
本発明に係る生体情報検出装置100は、例えば
図1(a)に示すように、ユーザ(利用者)USの手首等に装着する腕時計型(又は、リストバンド型)の外観形状を有している。生体情報検出装置100は、例えば
図1(b)に示すように、大別して、ユーザUSの脈拍を計測するとともに、ユーザUSに所定の情報を提供する機能を備えた機器本体101と、ユーザUSの手首UShに巻き付けることにより、上記機器本体101を手首UShに装着して密着させるためのベルト部102と、を有している。
【0015】
機器本体101の手首UShに接触する面側(
図1(b)右図の、右面側)には計測面が設けられ、例えば
図2(a)〜(c)に示すように、計測面の所定の領域(以下、便宜的に「計測領域」と記す)MSに、1乃至複数個の発光素子E1〜E9と、1乃至複数個の受光素子R1〜R4と、が所定のパターンで二次元配列されている。
【0016】
ここで、計測領域MSには、例えば
図2(a)に示すように、1個の発光素子E1の周囲に、複数個(4個)の受光素子R1〜R4が取り囲むように配置されている。すなわち、発光素子と受光素子が1対複数の関係で配列されている。また、計測領域MSには、例えば
図2(b)に示すように、1個の受光素子R1の周囲に、複数個(4個)の発光素子E1〜E4が取り囲むように配置されているものであってもよい。すなわち、発光素子と受光素子が複数対1の関係で配列されている。さらに、計測領域MSには、
図2(c)に示すように、複数個(4個)の受光素子R1〜R4の各々の周囲に、複数個の発光素子E1〜E9が取り囲むように配置されているものであってもよい。すなわち、発光素子と受光素子が複数対複数の関係で配列されている。このように、本実施形態においては、1乃至複数個の発光素子及び1乃至複数個の受光素子のうちの、少なくともいずれか一方が複数個配置された構成を有している。
【0017】
なお、計測領域MSに配列される発光素子と受光素子の個数や配置は、
図2(a)〜(c)に示したパターンに限定されるものではなく、任意の個数の発光素子や受光素子を、千鳥状や格子状、円弧状等、任意のパターンで交互に配列したものであってもよい。
【0018】
図3は、本実施形態に係る生体情報検出装置の一構成例を示すブロック図である。
生体情報検出装置100は、具体的には、例えば
図3に示すように、大別して、発光部(検出部)10と、発光制御部15と、受光部(検出部)20と、加速度計測部30と、信号増幅部40と、フィルタ部50と、メモリ部60と、静止時脈波振幅記録部(記憶部)65と、信号処理部(観測信号選択部、パラメータ推定部、脈拍数算出部)70と、表示部80と、操作部90と、を備えている。
【0019】
発光部10は、上述した1乃至複数個の発光素子E1〜E9を有し、
図2(a)〜(c)に示したように、機器本体101の手首UShに接触する面側の計測領域MSに、所定のパターンで配列されている。発光素子E1〜E9は、例えば発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)等を適用することができ、後述する発光制御部15による駆動制御に従って、所定の発光強度(又は、発光量)で可視光を発光し、手首UShの皮膚面(体表面)SFに照射する。ここで、可視光を用いる反射式の脈波検出法においては、可視光の体内における透過性が低いため、体内深部に存在する静脈や動脈の血流からの反射光の影響を受けにくく、それぞれの血管において発生する血流路長による拍動の伝搬タイムラグの影響を受けにくいという特長を有している。なお、発光素子から発光される可視光としては、例えば波長525nm前後の緑色可視光を良好に適用することができる。
【0020】
発光制御部15は、後述する信号処理部70からの制御に従って、発光部10を構成する1乃至複数個の発光素子E1〜E9を、所定の点灯パターン(すなわち、所定の順序、かつ、所定の発光強度)で個別に発光させる。
【0021】
受光部20は、上述した1乃至複数個の受光素子R1〜R4を有し、
図2(a)〜(c)に示したように、機器本体101の計測領域MSに、所定のパターンで配列されている。受光素子R1〜R4は、例えばフォトトランジスタや照度センサ等を適用することができ、上記の1乃至複数個の発光素子E1〜E9から個別に発光され、皮膚面SFの、脈波を観測する観測部位Pmに照射されて、観測部位Pmの近傍の血管中の血液により散乱された光を反射光として受光することにより、受光量に応じた出力信号(観測信号)を出力する。
【0022】
加速度計測部30は、3軸加速度センサを有し、ユーザUSの動作中に生体情報検出装置100に加わる移動速度の変化の割合(加速度)を、加速度信号として出力する。この加速度計測部30から出力される加速度信号は、後述するようにx軸、y軸、z軸からなる、相互に直交する3軸方向の各々に対応する3つの加速度信号として出力される。
【0023】
信号増幅部40は、受光部20により取得された観測信号、及び、加速度計測部30により計測された加速度信号を、後述する信号処理部70における信号処理に適した所定の信号レベルに増幅する。フィルタ部50は、信号増幅部40により増幅された上記観測信号及び加速度信号のうち、所定の周波数帯域の信号成分を通過させて、信号処理部70に供給する。
【0024】
メモリ部60は、例えばデータ保存用メモリ(以下、「データメモリ」と記す)やプログラム保存用メモリ(以下、「プログラムメモリ」と記す)、作業データ保存用メモリ(以下、「作業用メモリ」と記す)を有している。
【0025】
データメモリは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有し、ユーザUSの動作時や運動時に、上述した受光部20により取得された観測信号や、加速度計測部30により計測された加速度信号が時間データに関連付けられて、所定の記憶領域に保存(記録)される。プログラムメモリは、ROM(読み出し専用メモリ)を有し、生体情報検出装置100の各構成(発光部10や受光部20、加速度計測部30、後述する表示部80や操作部90等)における所定の機能を実現するための制御プログラムや、上述した観測信号や加速度信号に基づいて、脈拍数を算出する機能を実現するためのアルゴリズムプログラムを保存する。作業用メモリは、RAM(ランダムアクセスメモリ)を有し、上記の制御プログラム及びアルゴリズムプログラムを実行する際に使用、又は、生成される各種データを一時的に保存する。なお、データメモリは、その一部又は全部が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、生体情報検出装置100の機器本体101に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0026】
静止時脈波振幅記録部65は、ユーザUSが動作していない静止時や安静時に、上述した受光部20により取得された観測信号の信号波(脈波)の振幅が、時間データに関連付けられて、所定の記憶領域に保存(記録)される。
【0027】
信号処理部70は、CPU(中央演算装置)やMPU(マイクロプロセッサユニット)であり、上記のメモリ部60に保存された制御プログラムに従って処理を行うことにより、メモリ部60における各種データの保存や読出し動作、表示部80における各種の情報の表示動作、操作部90における入力操作の検出動作等を制御する。また、信号処理部70は、上記のメモリ部60に保存されたアルゴリズムプログラムに従って処理を行うことにより、後述する生体情報検出方法に示すように、受光部20により取得された観測信号や、加速度計測部30により計測された加速度信号に基づいて、脈拍数を算出する動作等を実行する。なお、信号処理部70において実行される制御プログラムやアルゴリズムプログラムは、予め信号処理部70の内部に組み込まれているものであってもよい。
【0028】
表示部80は、例えばカラーやモノクロ表示が可能な液晶表示パネルや有機EL表示パネル等の表示装置を有し、少なくとも信号処理部70により算出された脈拍数を表示する。なお、表示部80は、脈拍数に加え、又は、脈拍数に替えて、脈波(脈の波形データ)や移動速度、歩数、現在時刻等を文字や数字情報、画像情報等で表示するものであってもよい。ここで、例えば、脈拍の波形データ(脈波データ)には、血流に関連する種々の情報が含まれている。すなわち、脈拍データを、例えば、健康や体調(血管の詰まりや血管年齢、緊張状態の判定等)、運動状態等を判定するための重要なパラメータとして適用して、これらに対する判定結果を特定の文字や数字情報、画像情報、発光パターン等で、表示部80に表示するものであってもよい。なお、本実施形態においては、ユーザUSに各種情報を提供又は通知する出力インターフェースとして、表示部80のみを示したが、これに限定されるものではなく、表示部80に加えて、例えば特定の音色や音声メッセージを発生するブザーやスピーカ等の音響部や、特定の振動パターンで振動する振動部等の、他のインターフェースを備えているものであってもよい。
【0029】
操作部90は、ボタンスイッチやスライドスイッチ、キーボード、表示部80の前面に配置又は一体的に形成されたタッチパネル等を有し、生体情報検出装置100における電源のオン、オフ動作や、脈波や加速度の計測動作、表示部80における表示動作等、各種動作の選択や実行、設定値等の入力操作に用いられる。
【0030】
(生体情報検出方法)
次に、上述した生体情報検出装置における生体情報検出方法について説明する。
上述したような構成を有する生体情報検出装置における生体情報検出方法は、概略、静止時の脈波の観測信号を取得するための静止時脈波計測動作と、動作時に取得した脈波の観測信号と加速度信号に基づいて、脈拍数を算出する動作時脈波計測動作と、が実行される。
【0031】
(静止時脈波計測動作)
図4は、本実施形態に係る生体情報検出装置の生体情報検出方法において実行される静止時脈波計測動作を示すフローチャートである。
図5は、本実施形態に係る静止時脈波計測動作において実行される脈波の多点観測の一例を示す概念図である。
図6は、本実施形態に係る静止時脈波計測動作により取得される脈波信号の一例を示す波形図である。
【0032】
静止時脈波計測動作においては、
図4に示すように、まず、ユーザUSが運動等の動作を行っていない静止状態又は安静状態における脈波の観測信号と加速度信号が一定時間取得される(ステップS101)。具体的には、信号処理部70は、表示部80に静止時の脈波を計測する旨の文字情報や画像情報等を表示して、ユーザUSに静止状態又は安静状態を保持するように促す。次いで、信号処理部70は、発光部10の特定の発光素子と受光部20の特定の受光素子との組み合わせを指定して、発光制御部15により指定された発光素子を所定の発光強度で発光させ、ユーザUSの皮膚面SFの脈波を観測する領域(観測部位Pm)に光を照射する。照射された光の一部は観測部位Pmの近傍の血管の血液により散乱され、皮膚面SFから反射光として出射される。この反射光は、上記指定された受光素子により受光されて、その受光量に応じた出力信号が信号増幅部40及びフィルタ部50を介して信号処理部70に観測信号として出力される。
【0033】
ここで、特定の発光素子と特定の受光素子との組み合わせによる観測信号の取得動作について、
図2(c)に示した発光素子E1〜E9と受光素子R1〜R4の配列パターンを例にして詳しく説明する。まず、信号処理部70は、例えば
図5(a)に示すように、発光素子E1と受光素子R1、発光素子E3と受光素子R2、発光素子E7と受光素子R3、発光素子E9と受光素子R4の各組み合わせを指定する。次いで、発光制御部15により各発光素子E1、E3、E7、E9を所定の発光強度で発光させて、皮膚面SFの各観測部位Pm11、Pm32、Pm73、Pm94に光を照射させ、その反射光を各受光素子R1、R2、R3、R4により受光する。これにより、皮膚面SFの各観測部位Pm11、Pm32、Pm73、Pm94における静止時の脈波の観測信号が取得される。ここで、各観測部位Pm11、Pm32、Pm73、Pm94における観測信号の取得動作は、例えば観測部位Pm11、Pm32、Pm73、Pm94の順に、時系列的に実行される。なお、観測信号の取得動作は、各観測部位Pm11、Pm32、Pm73、Pm94で、同時並行して実行されるものであってもよい。
【0034】
次いで、信号処理部70は、例えば
図5(b)に示すように、発光素子E5と各受光素子R1〜R4との組み合わせを指定する。次いで、発光制御部15により発光素子E5を所定の発光強度で発光させて、皮膚面SFの各観測部位Pm51、Pm52、Pm53、Pm54に光を照射させ、その反射光を各受光素子R1〜R4により受光する。これにより、皮膚面SFの各観測部位Pm51〜Pm54における静止時の脈波の観測信号が取得される。ここで、各観測部位Pm51〜Pm54における観測信号の取得動作は、
図5(a)に示した場合と同様に、観測部位Pm51〜Pm54ごとに時系列的に実行される。なお、各観測部位Pm51〜Pm54で同時並行して実行されるものであってもよい。
【0035】
以下、同様に、信号処理部70により、例えば
図5(c)、(d)に示すように、発光素子E2と各受光素子R1、R2との組み合わせ、発光素子E8と各受光素子R3、R4との組み合わせ、及び、発光素子E4と各受光素子R1、R3との組み合わせ、発光素子E6と各受光素子R2、R4との組み合わせをそれぞれ指定して、各観測部位Pm21、Pm22、Pm83、Pm84、及び、Pm41、Pm62、Pm43、Pm64における静止時の脈波の観測信号が取得される。
【0036】
このような一連の動作(多点観測)により、計測領域MS内に配列された、隣接する発光素子と受光素子との間の各観測部位における脈波の観測信号が取得される。また、このような脈波の観測信号の取得動作は、脈波を示す波形が数個乃至十数個程度含まれる任意の時間、例えば数秒乃至10秒程度の時間、継続して実行される。
【0037】
一方、脈波の観測信号の取得動作と並行して、信号処理部70は、加速度計測部30を制御して、ユーザUSの3軸方向の加速度を計測する。ここで、3軸加速度の計測動作は、上述した脈波の観測信号の取得動作の期間中、継続して実行される。加速度計測部30により計測された3軸加速度は、信号増幅部40及びフィルタ部50を介して信号処理部70に加速度信号として出力される。このようにして取得された脈波の観測信号と加速度信号は、時間データに基づいて相互に関連付けられて、メモリ部60の所定の記憶領域に保存される。
【0038】
次いで、上記ステップS101において取得された3軸方向の各加速度信号の振幅が所定の閾値以下であるか否かが判定される(ステップS102)。具体的には、信号処理部70は、メモリ部60から脈波の観測信号の取得動作中に取得した加速度信号を読み出し、当該3軸方向の各加速度信号について、信号波形の極大値と極小値の差分である振幅の最大値(最大振幅)が、ユーザUSが運動等の動作を行っていない静止状態を判定するための所定の閾値以下であるか否かを判定する。ここで、ユーザUSの静止状態を判定するための閾値は、ランニング等の動作時の振幅の例えば5%に設定することができる。この閾値は、例えば過去のユーザUSの動作中の加速度信号に基づいて設定されるものであってもよいし、不特定多数のサンプルから取得される一般的な動作中の加速度信号に基づいて設定されるものであってもよいし、ユーザUSが静止状態や安静状態にあるときに、任意に設定するものであってもよい。なお、後述するように、本願発明者によりz軸方向の加速度信号は脈波信号にほとんど影響を与えないことが見出されているため、上記の各加速度信号の振幅が所定の閾値以下であるか否かの判定において、z軸方向の加速度信号の振幅については判定しないこととしてもよい。
【0039】
上記ステップS102において、取得された3軸方向の各加速度信号の振幅が閾値以下であると判定された場合には、そのときの各観測部位における脈波の観測信号の振幅の平均値が静止時の観測信号の振幅として記録される(ステップS103)。具体的には、信号処理部70は、取得された3軸方向の各加速度信号の振幅が、いずれも上記の閾値以下であると判定した場合には、時間データに基づいて当該加速度信号に関連付けられてメモリ部60に保存されている、各観測部位における脈波の観測信号を読み出し、それらの信号波形の極大値と極小値の差分である振幅の平均値を算出する。そして、信号処理部70は、算出された平均値を、静止時の観測信号の振幅として、静止時脈波振幅記録部65に保存(記録)して、静止時脈波計測動作を終了する。
【0040】
一方、上記ステップS102において、取得された3軸方向の各加速度信号の振幅が閾値よりも大きい場合には、ユーザUSに静止を促すエラー表示を行う(ステップS104)。具体的には、信号処理部70は、取得された3軸方向の各加速度信号の振幅のいずれかが、上記の閾値よりも大きいと判定した場合には、ユーザUSが静止状態又は安静状態になっていないと判断し、表示部80に運動等の動作を停止して、静止を求める旨の文字情報や画像情報等を表示して、ユーザUSに静止状態又は安静状態を保持するように促す。次いで、上記ステップS101において取得し、メモリ部60に保存した脈波の観測信号及び加速度信号を消去又は破棄するリセット動作を行い(ステップS105)、ステップS101に戻って、上述した一連の処理(ステップS101〜S105)を再度実行する。
【0041】
このような静止時脈波計測動作により取得される静止時の観測信号、すなわち、各観測部位における脈波の観測信号の振幅の平均値からなる信号波形は、実質的にユーザUSの動作に起因する体動ノイズが含まれていない、又は、体動ノイズを略無視できる状態の脈波信号であると規定することができ、例えば
図6に示すような波形となる。なお、
図6においては、静止時の脈波を10秒間観測した場合の信号波形の一例を示した。また、
図6において縦軸は受光部20(受光素子)により取得された観測信号をA/D変換したデジタル値である。
【0042】
(動作時脈波計測動作)
図7は、本実施形態に係る生体情報検出装置の生体情報検出方法において実行される動作時脈波計測動作を示すフローチャートである。
図8は、本実施形態に係る動作時脈波計測動作において算出される極値間隔を説明するための概念図であり、
図9は、本実施形態に係る動作時脈波計測動作により取得される各信号の一例を示す波形図である。
【0043】
動作時脈波計測動作においては、
図7に示すように、まず、ユーザUSが運動等の動作を行っている動作状態における脈波の観測信号と加速度信号が一定時間取得される(ステップS201)。具体的には、上述した静止時脈波計測動作と同様に、ユーザUSが運動等の動作を行っている動作中に、信号処理部70は、計測領域MS内に配列された、隣接する発光素子と受光素子との間の各観測部位における脈波の観測信号を一定時間取得する。ここで、脈波の観測信号の取得動作は、上述した静止時脈波計測動作のステップS101と同様に、脈波を示す波形が数個乃至十数個程度含まれる任意の時間実行されるものであればよく、静止時脈波計測動作と同一の時間(例えば数秒乃至10秒程度)に設定されるものであってもよいし、これとは異なる時間に設定されるものであってもよい。一方、脈波の観測信号の取得動作の期間中、信号処理部70は、ユーザUSの動作に起因する3軸方向の加速度信号を継続して取得する。取得された脈波の観測信号と加速度信号は、時間データに基づいて相互に関連付けられて、メモリ部60の所定の記憶領域に保存される。
【0044】
次いで、上述した静止時脈波計測動作と同様に、上記ステップS201において取得された3軸方向の各加速度信号の振幅の最大値(最大振幅)が、静止状態を判定するための所定の閾値以下であるか否かが判定される(ステップS202)。信号処理部70は、上記の加速度信号の振幅が閾値以下であると判定した場合には、上記ステップS201において取得された各観測部位における脈波の観測信号の中から、最も振幅の大きい観測信号を、最も良好に脈波が計測できている脈波信号であるとみなして(判定して)、当該観測信号を選択する(ステップS203)。ここで、このステップS203において選択される観測信号は、体動ノイズ(加速度成分)の影響をほとんど受けていないと判断され、上述した静止時脈波計測動作において静止時脈波振幅記録部65に保存された観測信号(
図6参照)と同等又は近似する信号波形を有しているとみなすことができる。次いで、信号処理部70は、選択した観測信号から一波形ごとに極値を探索し、その極値間隔を算出する(ステップS204)。具体的には、ステップS203において選択された観測信号が、例えば
図8に示すような信号波形を有している場合、信号処理部70は、上記の極値間隔として、観測信号に含まれる各波形における振幅が、例えば極小値Pminとなる時間Ta、Tb相互の差分となる時間を算出する。なお、ステップS204における極値間隔の算出動作は、選択された観測信号に含まれる波形のうち、任意の時間の波形(すなわち、代表波形)に対して実行されるものであってもよいし、観測信号の一定時間内に含まれる複数の波形について算出された複数の極値間隔を平均化したもの(平均値)や、複数の極値間隔の分布の中から中央値を抽出するものであってもよい。
【0045】
次いで、上記ステップS204において算出された極値間隔に基づいて、単位時間当たり(例えば1分間)の脈拍数が計算される(ステップS205)。具体的には、信号処理部70は、選択した観測信号から算出された極値間隔の時間単位が秒である場合は、60を極値間隔で割る(除する)ことにより1分間の脈拍数に換算する。次いで、信号処理部70は、計算された脈拍数を、表示部80に数値情報や画像情報等により表示してユーザUSに提供又は通知する(ステップS206)。次いで、引き続き脈拍数の計測を継続する場合には、ステップS201に戻り、一方、計測を継続しない場合(終了する場合)には、動作時脈波計測動作を終了する(ステップS207)。
【0046】
なお、上記ステップS203においては、各観測部位において取得された複数の脈波の観測信号の中から、最も振幅の大きい観測信号を一つ選択する手法を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る生体情報検出方法においては、例えば、複数の観測信号のそれぞれについて極値間隔を算出して脈拍数に換算し、最終的にそれらの複数の脈拍数について平均値や中央値等をとり、ユーザUSに提供するものであってもよい。
【0047】
一方、上記ステップS202において、取得された3軸方向の各加速度信号の振幅が閾値よりも大きいと判定された場合には、この観測信号は体動ノイズ(加速度)の影響を受けていると判断され、次に示すような体動ノイズの影響を低減する処理が実行される。具体的には、まず、信号処理部70は、上記ステップS201において取得された複数の脈波の観測信号の中から、静止時の観測信号の振幅に最も近似する観測信号を、体動ノイズの影響が最も少ない脈波信号であるとみなして(判定して)、当該観測信号を選択する(ステップS208)。このような観測信号の選択処理により、脈波信号が体動ノイズによってほぼ消えてしまっているというリスクを軽減することができる。これは換言すると、脈波信号が体動ノイズによってかき消されてしまい、判別できなくなっている状態を回避することができる。ここで、このステップS208において選択された観測信号は、例えば
図9(a)に実線で示され、脈波成分と体動ノイズ成分が混合した信号波形を有している。また、
図9(a)において点線は、体動ノイズが含まれていない、又は、体動ノイズを略無視できる状態の脈波信号(例えば、上述した静止時脈波計測動作により取得された観測信号;以下、「参照脈波信号」と記す)である。ここで、
図9(a)に示した観測信号(実線)の場合は、体動ノイズの影響により、その位相が参照脈波信号の位相からずれている。
【0048】
次いで、信号処理部70は、上記ステップS208において、ユーザUSの動作が生じた時点から選択された加速度信号の合成波形及び脈波の観測信号に当該動作に起因する加速度の影響が現れるまでの時間差(タイムラグ)と、観測部位の主要な血流方向と加速度信号の軸方向との角度差に対応する回転角度と、を推定するタイムラグ・回転角度推定処理を実行する(ステップS300)。
【0049】
図10は、本実施形態に係る動作時脈波計測動作において実行されるタイムラグ・回転角度推定処理を示すフローチャートである。
図11は、本実施形態に係る動作時脈波計測動作において定義される3軸方向を説明するための概念図であり、
図12は、本実施形態に係るタイムラグ・回転角度推定処理により算出される正規化相互相関係数の一例を示す図であり、
図13は、本実施形態に係るタイムラグ・回転角度推定処理により取得される回転角度と極大値の推移の一例を示す図である。
まず、加速度信号の合成について説明する。上記のタイムラグを考慮した合成加速度信号は、次の数式(1)を用いて算出することができる。
【0051】
ここで、A(t)は合成加速度信号であり、Ax、Ay、Azはそれぞれx軸方向、y軸方向、z軸方向の加速度信号であり、tは時刻を表す。また、c1、c2、c3はそれぞれ加速度信号Ax、Ay、Azに掛る比例係数であり、合成加速度信号A(t)の振幅を設定する係数である。また、d1、d2、d3はそれぞれ、脈波の観測信号に加速度信号Ax、Ay、Azの影響が現れるまでの時間差(タイムラグ)を表す。ここで、x軸、y軸、z軸は、例えば
図11に示すように、手首UShの長軸方向(腕の延伸方向;図面左右方向)をx軸方向とし、当該x軸方向に直交する手首UShの短軸方向(腕の幅方向;図面左上右下方向)をy軸方向とし、x、y軸方向に直交する手首UShの表裏方向(図面上下方向)をz軸方向と定義する。すなわち、x軸とy軸は手首UShの皮膚面SFに沿った方向に規定される。
【0052】
図11において定義したx、y、zの3軸方向の加速度信号を合成した合成加速度信号A(t)は、原理的には上記の数式(1)を用いて算出することができる。しかしながら、本願発明者は、各種検証の結果、z軸方向の加速度信号Azは脈波信号にほとんど影響を与えないこと、タイムラグd1、d2、d3は軸方向にほとんど依存することなく概ね同等の値が得られること、また、合成加速度信号A(t)はx軸方向の加速度信号Axとy軸方向の加速度信号Ayを回転させて算出することにより真(本来)の合成加速度信号と概ね同等の値が得られることを見出した。ここで、x軸方向とy軸方向の加速度信号の係数の比を軸の回転により規定できる理由は、観測部位の皮下(皮膚面SFの下層)に存在する複数の動脈や毛細血管のうちの主要な血流方向(すなわち、
図11に示す血管VSの延在方向)が観測部位ごとに異なることによるものであると考えられる。すなわち、
図11に示す回転角度θは、観測部位の主要な血流方向と加速度信号の軸方向(
図11ではx軸方向)との角度差に対応している。このような検証の結果に基づいて、上記の数式(1)に示した3軸方向の合成加速度信号A(t)は、次の数式(2)を用いて算出することができる。
【0054】
そして、ステップS300において実行されるタイムラグ・回転角度推定処理は、上記の数式(2)において、加速度信号Ax、Ayに掛る比例係数cを、c=1に固定した状態で、タイムラグdの値、及び、加速度信号Ax、Ayの回転角度θの値を推定する。
【0055】
タイムラグ・回転角度推定処理においては、
図10に示すように、まず、信号処理部70は、x軸方向(x軸)とy軸方向(y軸)に対する加速度信号の回転角度θを設定する(ステップS301)。この回転角度θは、後述する一連の処理(ステップS301〜S305)を繰り返すたびに−90°(=−π/2)〜+90°(=π/2)の範囲内で所定の角度ずつ順次更新(増加又は減少)されて、最適な回転角度θが探索される。ここでは、説明を簡単にするために、初期値の一例として、回転角度θを0°に設定し、0°から+90°まで、所定の間隔で角度を順次増加させる場合について示す。また、信号処理部70は、タイムラグが生じていない状態(すなわち、タイムラグd=0)を初期状態として設定する。
【0056】
次いで、信号処理部70は、初期値として設定した回転角度θ(=0°)と比例係数c=1、タイムラグd=0に基づいて、上記の数式(2)を用いてx軸方向の加速度信号A
x(t)とy軸方向の加速度信号A
y(t)とを合成する(ステップS302)。ここで、このステップS302において生成される合成加速度信号A(t)は、例えば
図9(b)に実線で示すような信号波形となる。また、
図9(b)において点線は上記参照脈波信号である。
【0057】
次いで、信号処理部70は、上記ステップS208において選択された観測信号と、ステップS302において生成された合成加速度信号A(t)に基づいて、タイムラグdに対する正規化相互相関係数を算出する(ステップS303)。このステップS303において算出された正規化相互相関係数は、例えば
図12にように示される。ここで、ユーザUSの動作中にある加速度が生じた結果、それが脈波の観測信号に影響するという因果関係に基づいて、信号処理部70は、
図12に示された正規化相互相関係数において、その因果関係が成り立つ方向(
図12の場合はタイムラグが0から正の方向)にタイムラグを所定の間隔で順次更新して、相関係数が最初に極大値Dmaxとなる位置を探索し、その位置のタイムラグdを抽出してメモリ部60の所定の記憶領域に保存する(ステップS304)。なお、
図12においては、極大値Dmaxとなる位置を太線で示した。ここで、
図12に示された正規化相互相関係数において、タイムラグdを抽出する範囲は、例えばタイムラグdの値を順次増加させていって、相関係数が極大値Dmaxとなった時点で処理を終了するものであってもよいし、タイムラグdの値が特定の時間、例えば1秒以上になることはないと規定して、その時間まで正規化相互相関係数を算出し、その後、相関係数の極大値Dmaxを求めるものであってもよい。
【0058】
次いで、上記ステップS304において算出された今回の相関係数の極大値が、前回算出された極大値よりも小さいか否かが判定される(ステップS305)。具体的には、信号処理部70は、メモリ部60から今回と前回の相関係数の極大値を読み出し、今回の極大値が前回の極大値より小さい(又は、前回の極大値が今回の極大値より大きい)と判断した場合には、前回の極大値の位置のタイムラグdと、前回の回転角度θを、メモリ部60の所定の記憶領域に保存(記録)して(ステップS306)、タイムラグ・回転角度推定処理を終了する。
【0059】
一方、上記ステップS305において、信号処理部70は、今回の相関係数の極大値が前回の極大値以上であると判断した場合には、今回の極大値の位置のタイムラグdと今回の回転角度θを、メモリ部60の所定の記憶領域に保存した後、ステップS301に戻って、回転角度θを再設定した後、上述した一連の探索処理(ステップS301〜S305)を再度実行する。なお、上記ステップS305において、初回の判定処理の場合には、前回の極大値が存在しないので、この場合は、無条件にステップS301に戻って、回転角度θを再設定した後、上述した一連の探索処理(ステップS301〜S305)を再度実行する。
【0060】
なお、本願発明者の検証により、相関係数の極大値は回転角度θの変化に対して単峰性を示す結果が得られたことから、上述したタイムラグ・回転角度推定処理においてステップS305に示したような判定処理を適用することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、−90°〜+90°の範囲内の全ての回転角度θについて、正規化相互相関係数を算出し、それらの中から相関係数の極大値が最大となる位置(図中、Pmax)のタイムラグdと、そのときの回転角度θを選択してメモリ部60に保存する手法を適用するものであってもよい。このような手法を適用した場合の回転角度θと相関係数の極大値の関係(推移)は、例えば
図13に示すような形となる。
【0061】
また、本実施形態においては、回転角度θの設定範囲として、−90°〜+90°の180°の範囲内で更新する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも180°の範囲を有していればよく、例えば360°(全周)を設定範囲とするものであってもよい。
【0062】
次いで、信号処理部70は、上述したタイムラグ・回転角度推定処理において推定されたタイムラグd及び回転角度θに基づいて、合成加速度信号の振幅を設定する比例係数を推定して、ユーザUSの動作に起因する体動ノイズの影響が除去された真の脈波信号に近似する差分信号を生成する振幅推定処理を実行する(ステップS400)。すなわち、振幅推定処理においては、上記の数式(2)において、合成加速度信号A(t)の振幅を設定する係数として、x、y各方向の加速度信号Ax、Ayに掛る比例係数cを推定する処理を実行する。
【0063】
図14は、本実施形態に係る動作時脈波計測動作において実行される振幅推定処理を示すフローチャートである。
振幅推定処理においては、
図14に示すように、まず、信号処理部70は、上記の数式(2)において、x、y各方向の加速度信号Ax、Ayに掛る比例係数cを設定する(ステップS401)。ここでは、まず、上記の数式(2)において、上述したタイムラグ・回転角度推定処理において推定したタイムラグd、加速度信号の回転角度θの値を適用し、比例係数cを1に設定したときの合成加速度信号A(t)の振幅を算出する。そして、この合成加速度信号A(t)の振幅と、上記ステップS208において選択された脈波の観測信号の振幅とを比較し、合成加速度信号A(t)の振幅が観測信号の振幅と等しくなる比例係数cの値を比例係数cの初期値として算出し、比例係数cをこの初期値に設定する。
【0064】
次いで、信号処理部70は、設定した比例係数cと、上述したタイムラグ・回転角度推定処理において推定したタイムラグd、加速度信号の回転角度θの値に基づいて、上記の数式(2)を用いて合成加速度信号A(t)を生成する(ステップS402)。次いで、信号処理部70は、上記ステップS208において選択された脈波の観測信号と、上記ステップS402において生成された合成加速度信号A(t)の差をとり、差分信号を生成する(ステップS403)。
【0065】
次いで、信号処理部70は、生成した差分信号の振幅を算出し(ステップS404)、上述した静止時脈波計測動作において取得した静止時の脈波の観測信号の振幅と、上記差分信号の振幅の差の絶対値が、所定の閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS405)。信号処理部70は、上記絶対値が閾値よりも小さいと判断した場合には、この時の比例係数cの値をメモリ部60の所定の記憶領域に保存(記録)して(ステップS406)、振幅推定処理を終了する。
【0066】
一方、上記ステップS405において、信号処理部70は、上記絶対値が閾値以上であると判断した場合には、比例係数cの値を別の値に再設定して更新した後(ステップS407)、ステップS402に戻って、上述した一連の処理(ステップS402〜S405)を再度実行する。ここで、再設定される比例係数cの値は、所定の間隔で順次増加又は減少される。
【0067】
ここで、差分信号を生成する処理(ステップS403)において生成される差分信号は、例えば
図9(c)に実線で示すような信号波形を有している。また、
図9(c)において点線は上記参照脈波信号である。ここで、
図9(c)は、上述したタイムラグ・回転角度推定処理及び振幅推定処理の一連の処理を実行することにより、上記差分信号として、参照脈波信号の位相と略一致する信号波形が得られた場合を示している。
【0068】
なお、上述した振幅推定処理においては、静止時の観測信号の振幅を基準として、一連の処理を繰り返すか否かを判定する手法を適用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、脈波信号の振幅よりも体動ノイズの振幅の方が十分に大きいと考えられるような場合には、比例係数cの値を順次更新して差分信号の振幅の最小値を探索し、それに基づいて、一連の処理を繰り返すか否かを判定する手法を適用するものであってもよい。
【0069】
次いで、上述したタイムラグ・回転角度推定処理(ステップS300)及び振幅推定処理(ステップS400)の終了後、
図7に示すように、信号処理部70は、生成された差分信号を脈波信号とみなし、極値間隔を計算する(ステップS209)。なお、ステップS209における極値間隔の算出動作は、上述したステップS204と同様に、生成された差分信号に含まれる波形のうち、任意の時間の波形に対して実行されるものであってもよいし、複数の波形について算出された複数の極値間隔を平均化したもの(平均値)や、複数の極値間隔の分布の中から中央値を抽出するものであってもよい。次いで、上記ステップS209において算出された極値間隔に基づいて、1分間の脈拍数が計算されて(ステップS205)、表示部80に表示されることにより、ユーザUSに提供又は通知される(ステップS206)。
【0070】
以上のように、本実施形態においては、光電脈波法によりユーザUSの運動時に取得した脈波の観測信号から、当該運動に起因する体動ノイズ成分を除去して脈拍数を算出する手法において、運動時に取得した3軸方向の加速度信号の振幅が所定の閾値を超えた場合には、脈波の観測信号から体表に沿った特定の方向(x軸及びy軸を含むx−y平面における回転角度θ)の加速度成分を除いた信号(差分信号)を用いて脈拍数を計算する。ここで、本実施形態においては、脈波の観測信号から除く加速度成分を求める際に、脈波の観測信号との時間差(タイムラグd)、振幅の大きさを決める係数(比例係数c)、各方向の加速度の回転角度θの3つのパラメータを推定する手法を適用する。
【0071】
また、本実施形態においては、計測領域に複数の発光素子及び受光素子が配列された構成を有し、計測領域内の異なる複数の観測部位で脈波を計測する多点観測を行って、運動時に取得した3軸方向の加速度信号の振幅が所定の閾値を超えた場合には、体動ノイズの影響の少ない観測部位における脈波の観測信号を選択し直して脈拍数を計算する。ここで、観測信号の選択は、静止時に各観測部位において取得された観測信号の振幅に基づいて、体動ノイズの影響が最も小さい観測信号を選択する手法を適用する。
【0072】
このように、本実施形態においては、運動中の脈波の観測信号から、新たに推定したパラメータに基づいて算出された加速度信号を除くことにより、真(本来)の脈波信号と同位相の信号(差分信号)を取得することができるので、運動時の瞬時脈拍を正確に計測することができる。
【0073】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る生体情報検出装置の第2の実施形態について説明する。ここで、第1の実施形態と同等の構成や動作については、上述した図面を適宜参照して説明する。
【0074】
上述した第1の実施形態においては、
図2に示したように、生体情報検出装置100の計測領域MSに配置される発光素子及び受光素子のうちの、少なくともいずれか一方が複数個配置された構成を有し、多点観測により取得された複数の脈波の観測信号から、最適な観測信号を選択する場合について説明した。第2の実施形態においては、計測領域MSに発光素子及び受光素子がそれぞれ1個のみ配置された構成を有し、一箇所の観測部位から一の脈波の観測信号のみを取得する手法(一点観測)を有している。
【0075】
図15は、第2の実施形態に係る生体情報検出装置の計測面の構成例を示す概略図である。
図15(a)は、発光素子と受光素子の配置例を示す概略図であり、
図15(b)は、脈波の観測部位を示す概念図である。
【0076】
第2の実施形態に係る生体情報検出装置は、上述した第1の実施形態に示した構成(
図1参照)において、
図15(a)に示すように、機器本体101の計測領域MSに、それぞれ1個の発光素子E1及び受光素子R1が配置された構成を有している。すなわち、本実施形態においては、発光素子と受光素子が1対1の関係で配列されている。そして、
図3に示した生体情報検出装置の構成において、発光制御部15により例えば
図15(b)に示すように、発光素子E1を所定の発光強度で発光させて、皮膚面SFの観測部位Pm11に光を照射させ、皮膚面SF近傍の血管中の血液により散乱された光を反射光として受光素子R1により受光する。これにより、皮膚面SFの観測部位Pm11における脈波の観測信号が取得される。
【0077】
次に、本実施形態に係る生体情報検出方法について説明する。ここで、第1の実施形態と同等の動作や処理については、上述した図面を適宜参照して説明する。
本実施形態に係る生体情報検出方法は、上述した第1の実施形態と同様に、静止時脈波計測動作と、動作時脈波計測動作と、が実行される。
【0078】
まず、本実施形態に係る静止時脈波計測動作においては、第1の実施形態で示した
図4のフローチャートにおいて、ユーザUSに静止を促した後、発光素子E1を発光させて、その反射光を受光素子R1により受光することにより、静止状態における脈波の観測信号と加速度信号が一定時間取得される(ステップS101)。ここで、本実施形態においては、発光素子と受光素子が1対1の関係で配列された構成を有しているため、このステップS101により一箇所の観測部位Pm11から一の脈波の観測信号のみが取得される(一点観測)。そして、この観測信号の取得時に計測された加速度信号の振幅が所定の閾値以下であって、ユーザUSが静止状態又は安静状態にあると判定された場合(ステップS102)には、ステップS101において取得された脈波の観測信号の振幅の平均値が静止時の観測信号の振幅として、静止時脈波振幅記録部65に保存される(ステップS103)。なお、観測信号の取得時に計測された加速度信号の振幅が所定の閾値よりも大きい場合には、ユーザUSが静止状態又は安静状態にないと判定されて、上述した第1の実施形態と同様に、ステップS104、S105の動作を行った後、再度上述した一連の処理(ステップS101〜S105)が実行される。
【0079】
図16は、本実施形態に係る生体情報検出方法において実行される動作時脈波計測動作を示すフローチャートである。
本実施形態に係る動作時脈波計測動作においては、第1の実施形態で示した
図7のフローチャートにおいて、ステップS203及びS208の観測信号の選択処理が省かれている。すなわち、本実施形態に係る動作時脈波計測動作においては、
図16のフローチャートに示すように、ユーザUSの運動状態における脈波の観測信号と加速度信号が一定時間取得される(ステップS211)。このステップS211においても、一点観測により一の脈波の観測信号のみが取得される。そして、この観測信号の取得時に計測された加速度信号の振幅が所定の閾値以下であると判定された場合(ステップS212)には、ステップS211において取得された脈波の観測信号を良好に脈波が計測できている脈波信号であるとみなして、当該観測信号の極値間隔を算出する(ステップS213)。次いで、上記ステップS213において算出された極値間隔に基づいて、1分間の脈拍数を計算し(ステップS214)、表示部80に表示することによりユーザUSに提供又は通知する(ステップS215)。
【0080】
一方、上記ステップS212において、取得された加速度信号の振幅が閾値よりも大きいと判定された場合には、上述した第1の実施形態と同様に、合成加速度信号A(t)及び脈波の観測信号に、加速度の影響が現れるまでのタイムラグと、観測部位の主要な血流方向と加速度信号の軸方向との角度差に対応する回転角度と、を推定するタイムラグ・回転角度推定処理(ステップS300)、及び、体動ノイズの影響が除去された真の脈波信号に近似する差分信号を生成する振幅推定処理(ステップS400)が実行される。そして、上記ステップS300及びS400の一連の処理により生成された差分信号を脈波信号とみなし、極値間隔を計算する(ステップS217)。次いで、上記ステップS217において算出された極値間隔に基づいて、1分間の脈拍数を計算し(ステップS214)、表示部80に表示することによりユーザUSに提供又は通知する(ステップS215)。そして、引き続き脈拍数の計測を継続する場合には、再度上述した一連の処理(ステップS211〜S217)が実行される。
【0081】
このように、本実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様に、運動中の脈波の観測信号から、新たに推定した、脈波の観測信号との時間差(タイムラグd)、振幅の大きさを決める係数(比例係数c)、各軸方向の加速度信号の回転角度θの3つのパラメータに基づいて算出された加速度信号を除くことにより、真(本来)の脈波信号と同位相の信号(差分信号)を取得することができ、これに基づいて運動時の瞬時脈拍を比較的正確に計測することができる。ここで、本実施形態においては、計測領域に発光素子及び受光素子がそれぞれ1個配列された構成を有し、一箇所の観測部位で脈波を計測する一点観測を適用しているので、単一の脈波の観測信号に基づいて、簡易な処理で運動時の瞬時脈拍を計測することができる。
【0082】
なお、上述した各実施形態においては、生体情報検出装置100が腕時計型の形状を有し、計測領域MSを備えた機器本体101をユーザUSの手首UShの手の甲側に密着するように装着する場合について説明したが、手の平側に密着するように装着するものであってもよい。ここで、上述した実施形態に示したように、手首の手の甲側に装着した場合には、手の平側に装着した場合に比較して、手首の筋の浮き上がり等による装着状態(計測領域の皮膚面への密着状態)の変化の影響を受けにくく、良好に脈波の観測信号を取得することができる。
【0083】
また、上述した各実施形態においては、生体情報検出装置100が腕時計型の形状を有し、ユーザUSの手首UShに装着する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、計測領域MSに所定のパターンで発光素子及び受光素子が配列された生体情報検出装置が、人体の動作中の脈波を観測できる部位に密着して装着されているものであればよく、例えば上述した手首や上腕等の腕部、指先を除く指部、耳朶、足首等の観測部位に、ベルト等により巻き付けたり、挟み込んだりして装着する形状を有するものであってもよい。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0085】
(付記)
[1]
利用者の観測部位の脈波に基づいて検出される観測信号を出力する検出部と、
前記利用者の動作に伴って計測される、予め設定された複数の軸方向の各々に対応した複数の加速度信号を出力する加速度計測部と、
前記複数の加速度信号を複数のパラメータに基づいて合成し、前記各パラメータの値を互いに異なる複数の値に設定したときの互いに異なる複数の合成加速度信号から、前記利用者の動作に基づいて前記観測信号に含まれている加速度成分に対応する特定の合成加速度信号を推定するパラメータ推定部と、
前記観測信号から前記特定の合成加速度信号を除いた差分信号から前記利用者の脈拍数を計算する脈拍数算出部と、
を有し、
前記パラメータ推定部は、前記複数の合成加速度信号と前記観測信号との相互相関係数の値に基づいて前記特定の合成加速度信号に対応する前記各パラメータの特定の値を推定することにより、前記特定の合成加速度信号を推定することを特徴とする生体情報検出装置である。
【0086】
[2]
前記パラメータ推定部は、前記複数の合成加速度信号の各々に対する前記相互相関係数の値を取得し、該相互相関係数の値が極大となるときの前記各パラメータの値を前記特定の値として推定することを特徴とする[1]に記載の生体情報検出装置である。
【0087】
[3]
前記複数のパラメータは、前記利用者の動作発生時点から当該動作の影響が前記観測信号に生じるまでの時間差に対応する第1のパラメータと、前記各加速度信号の前記各軸方向と前記観測部位における主要な血流方向との角度差に対応する第2のパラメータと、を含み、
前記パラメータ推定部は、前記特定の値として、前記第1のパラメータの特定の値と、前記第2のパラメータの特定の値と、を推定することを特徴とする[1]または[2]に記載の生体情報検出装置である。
【0088】
[4]
前記利用者が動作していない静止状態において、前記検出部により検出される前記観測信号の振幅の値を静止時振幅として記憶している記憶部を有し、
前記複数のパラメータは、前記合成加速度信号の振幅を設定する比例係数としての第3のパラメータを含み、
前記パラメータ推定部は、前記静止時振幅と、前記観測信号と前記合成加速度信号との差分信号の振幅と、の比較に基づいて、前記特定の値として、前記第3のパラメータの特定の値を推定することを特徴とする[3]に記載の生体情報検出装置である。
【0089】
[5]
前記加速度計測部は、前記利用者の前記観測部位の体表面に沿った、互いに直交する方向のx軸及びy軸と、前記x軸及びy軸に直交する方向のz軸と、の3軸を前記複数の軸方向とし、前記複数の加速度信号として、前記x軸方向の第1加速度信号と、前記y軸方向の第2加速度信号と、前記z軸方向の第3加速度信号と、を取得し、
前記パラメータ推定部は、少なくとも前記第1加速度信号と前記第2加速度信号に対して、前記各パラメータの特定の値を推定することを特徴とする[4]に記載の生体情報検出装置である。
【0090】
[6]
前記検出部は、前記利用者の前記観測部位に対して光を照射する発光部と、該発光部から照射され前記観測部位で反射された光を受光して、前記観測信号を出力する受光部と、を有し、前記利用者の少なくとも一つの前記観測部位に対して前記観測信号を検出することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の生体情報検出装置である。
【0091】
[7]
前記発光部は、光を出射する1乃至複数の発光素子を備え、前記受光部は、光を受光する1乃至複数の受光素子を備え、該発光部及び該受光部は、少なくとも前記発光素子又は前記受光素子のいずれか一方を複数備え、
前記検出部は、前記発光部から照射され前記利用者の互いに異なる複数の観測部位で反射された光を前記受光部で受光して、該複数の観測部位の各々に対応する複数の前記観測信号を出力し、
前記複数の観測信号から、振幅が前記静止時振幅に最も近似する特定の観測信号を選択する観測信号選択部を備え、
前記パラメータ推定部は、前記特定の観測信号に基づいて、前記複数のパラメータの特定の値を推定することを特徴とする[6]に記載の生体情報検出装置である。
【0092】
[8]
前記観測信号選択部は、前記各加速度信号の振幅を所定の閾値と比較し、前記各加速度信号の振幅が前記閾値より大きいときに、前記複数の観測信号から前記特定の観測信号の選択を行うことを特徴とする[7]に記載の生体情報検出装置である。
【0093】
[9]
前記脈拍数算出部により計算された前記脈拍数を表示する表示部を備えることを特徴とする[1]乃至[8]のいずれかに記載の生体情報検出装置である。
【0094】
[10]
利用者の観測部位の脈波に基づく観測信号を取得するとともに、当該利用者の動作に伴う、予め設定された複数の軸方向の各々に対応した複数の加速度信号を取得し、
前記複数の加速度信号を複数のパラメータに基づいて合成し、前記各パラメータの値を互いに異なる複数の値に設定したときの互いに異なる複数の合成加速度信号から、前記利用者の動作に基づいて前記観測信号に含まれている加速度成分に対応する特定の合成加速度信号を推定し、
前記観測信号から前記特定の合成加速度信号を除いた差分信号から前記利用者の脈拍数を計算し、
前記特定の合成加速度信号の推定を、前記複数の合成加速度信号と前記観測信号との相互相関係数の値に基づいて前記特定の合成加速度信号に対応する前記各パラメータの特定の値を推定することにより行うことを特徴とする生体情報検出方法である。
【0095】
[11]
前記複数のパラメータは、前記利用者の動作発生時点から当該動作の影響が前記観測信号に生じるまでの時間差に対応する第1のパラメータと、前記各加速度信号の前記各軸方向と前記観測部位における主要な血流方向との角度差に対応する第2のパラメータと、を含み、
前記複数のパラメータの特定の値として、前記第1のパラメータの特定の値と、前記第2のパラメータの特定の値と、を推定することを特徴とする[10]に記載の生体情報検出方法である。
【0096】
[12]
前記複数のパラメータは、前記合成加速度信号の振幅を設定する比例係数としての第3のパラメータを含み、
前記利用者が動作していない静止状態で検出した前記観測信号の振幅の値を静止時振幅として記憶し、
前記複数のパラメータの特定の値として、前記静止時振幅と、前記観測信号と前記合成加速度信号との差分信号の振幅と、の比較に基づいて、前記第3のパラメータの特定の値を推定することを特徴とする[11]に記載の生体情報検出方法である。
【0097】
[13]
コンピュータに、
利用者の観測部位の脈波に基づく観測信号を取得させるとともに、当該利用者の動作に伴う、予め設定された複数の軸方向の各々に対応した複数の加速度信号を取得させ、
前記複数の加速度信号を複数のパラメータに基づいて合成し、前記各パラメータの値を互いに異なる複数の値に設定したときの互いに異なる複数の合成加速度信号から、前記利用者の動作に基づいて前記観測信号に含まれている加速度成分に対応する特定の合成加速度信号を推定させ、
前記観測信号から前記特定の合成加速度信号を除いた差分信号から前記利用者の脈拍数を計算させ、
前記特定の合成加速度信号の推定を、前記複数の合成加速度信号と前記観測信号との相互相関係数の値に基づいて前記特定の合成加速度信号に対応する前記各パラメータの特定の値を推定することにより行わせることを特徴とする生体情報検出プログラムである。
【0098】
[14]
前記複数のパラメータは、前記利用者の動作発生時点から当該動作の影響が前記観測信号に生じるまでの時間差に対応する第1のパラメータと、前記各加速度信号の前記各軸方向と前記観測部位における主要な血流方向との角度差に対応する第2のパラメータと、を含み、
前記コンピュータに、
前記複数のパラメータの特定の値として、前記第1のパラメータの特定の値と、前記第2のパラメータの特定の値と、を推定させることを特徴とする[13]に記載の生体情報検出プログラムである。
【0099】
[15]
前記複数のパラメータは、前記合成加速度信号の振幅を設定する比例係数としての第3のパラメータを含み、
前記コンピュータに、
前記利用者が動作していない静止状態で検出した前記観測信号の振幅の値を静止時振幅として記憶させ、
前記複数のパラメータの特定の値として、前記静止時振幅と、前記観測信号と前記合成加速度信号との差分信号の振幅と、の比較に基づいて、前記第3のパラメータの特定の値を推定させることを特徴とする[14]に記載の生体情報検出プログラムである。