(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979606
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ダイアフラムダンパ
(51)【国際特許分類】
F02M 55/04 20060101AFI20160817BHJP
F02M 59/10 20060101ALI20160817BHJP
F02M 59/44 20060101ALI20160817BHJP
F02M 61/16 20060101ALI20160817BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20160817BHJP
F16J 3/02 20060101ALN20160817BHJP
【FI】
F02M55/04
F02M59/10 Z
F02M59/44 E
F02M59/44 P
F02M61/16 X
F16F7/00 J
!F16J3/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-129369(P2013-129369)
(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-88870(P2014-88870A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-221811(P2012-221811)
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107320
【弁理士】
【氏名又は名称】高塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】小川 義博
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0017332(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0139351(US,A1)
【文献】
実開昭60−031590(JP,U)
【文献】
実開昭60−172052(JP,U)
【文献】
実開平06−040495(JP,U)
【文献】
米国特許第06901914(US,B1)
【文献】
特開2007−247462(JP,A)
【文献】
特開2008−286144(JP,A)
【文献】
特開2009−174352(JP,A)
【文献】
米国特許第07520268(US,B1)
【文献】
特開2010−180727(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0318166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00−71/04
F04B 9/00−15/08
F04B 23/00−23/14
F04B 53/00−53/22
F16F 7/00−7/14
F16J 3/00−3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外周部(10)が互いに接合された2枚の円盤状の金属ダイアフラム(1、1)により形成される高圧室(11)内に高圧ガスが封入されたダイアフラムダンパにおいて、
前記高圧室(11)内にゴム状弾性部材(2)を配置し、前記ゴム状弾性部材(2)が、前記2枚の円盤状の金属ダイアフラム(1、1)の各々に接する様に設けられた円盤状のシート部(25、26)と、前記シート部(25、26)の間に円周上に配置された複数本のゴム突起(251、261)からなることを特徴とするダイアフラムダンパ。
【請求項2】
前記ゴム突起(251、261)が、前記シート部(25、26)と一体成形され、一方の前記シート部(25、26)から他方の前記シート部(25、26)表面に向かって交互に伸びていることを特徴とする請求項1記載のダイアフラムダンパ。
【請求項3】
前記ゴム突起(251、261)の先端が断面円弧形状であることを特徴とする請求項2記載のダイアフラムダンパ。
【請求項4】
その外周部(10)が互いに接合された2枚の円盤状の金属ダイアフラム(1、1)により形成される高圧室(11)内に高圧ガスが封入されたダイアフラムダンパにおいて、
前記高圧室(11)内にゴム状弾性部材(2)を配置し、前記ゴム状弾性部材(2)が、前記高圧室(11)の中心部(112)に、前記金属ダイアフラム(1、1)と同心と成る様に配置され、前記ゴム状弾性部材(2)が、前記2枚の金属ダイアフラム(1、1)の各々に接すると共に、前記ゴム状弾性部材(2)が、前記高圧室(11)の外周側(12)と接する複数本の位置決め用脚部(21、21)を備えていることを特徴とするダイアフラムダンパ。
【請求項5】
前記複数本の位置決め用脚部(21、21)の端部が、前記金属ダイアフラム(1、1)の外周部(12)と接するリング形状部(22)と一体化されていることを特徴とする請求項4記載のダイアフラムダンパ。
【請求項6】
その外周部(10)が互いに接合された2枚の円盤状の金属ダイアフラム(1、1)により形成される高圧室(11)内に高圧ガスが封入されたダイアフラムダンパにおいて、
前記高圧室(11)内にゴム状弾性部材(2)を配置し、前記ゴム状弾性部材(2)が、前記2枚の金属ダイアフラム(1、1)の各々にその全面が接する2枚の円盤形状部(23、23)と、前記2枚の円盤形状部(23、23)を、その中心部で、相互に連結している連結部(24)とより構成されていることを特徴とするダイアフラムダンパ。
【請求項7】
前記金属ダイアフラム(1、1)は、同心円状の環状凹部(13)と環状凸部(14)の繰り返しパターンが形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイアフラムダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイアフラムダンパに関する。
また、本発明は、エンジンに用いられる高圧ポンプに発生する脈動を低減するため用いられるダイアフラムダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンクから供給される燃料をプランジャの往復移動によって加圧してインジ
ェクタ側へ圧送する高圧ポンプが知られている。
この種の高圧ポンプでは、燃料入口側に燃料チャンバが形成され、プランジャが下降するときに燃料チャンバから加圧室へ燃料を吸入する「吸入行程」、プランジャが上昇するときに加圧室の燃料の一部を燃料チャンバへ戻す「調量行程」、及び、吸入弁を閉じた後プランジャがさらに上昇するときに燃料を加圧する「加圧行程」を繰り返すことにより、燃料を加圧して吐出する。
【0003】
このような高圧ポンプでは、燃料チャンバに発生する脈動を低減するためのダイアフラムダンパを内蔵している。
そして、ダイアフラムダンパの脈動低減効果を高めるための種々の工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、ダイアフラムダンパを構成する金属ダイアフラムを支持する支持部材に弾性部材を用いた装置が開示されている。(特許文献1)
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、弾性部材が上下側両方向から金属ダイアフラムを挟み込むため弾性部材の占めるスペースが大きくなり、燃料チャンバ内で燃料が流れるスペースを阻害することとなる。
したがって、燃料チャンバに吸入できる燃料の量が減少し、ダイアフラムによる脈動低減効果が十分に得られないおそれがある。
【0005】
また、高圧ポンプの駆動時には、吸入弁、プランジャ、吐出弁等の作動により高圧ポンプの部品が振動する。
この振動が燃料に伝達し、脈動として高圧ポンプに接続される配管に伝達、共振して異音を発生するという問題がある。
【0006】
そこで、金属ダイアフラムの外周部をゴム状弾性部材と波ワッシャ(押圧部材)とにより支持する構成のダイアフラムダンパが提案された。(特許文献2)
しかし、金属ダイアフラムの外周部をゴム状弾性部材と波ワッシャ(押圧部材)とにより弾性的に支持する構成としている為、構造が複雑になると共に、ゴム状弾性部材と波ワッシャ(押圧部材)の形状の自由度が少なかった。
この為、共振周波数や圧力による体積変化量を任意に設定する事が難しく、ダイアフラムダンパ性能の最適化を図る事が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−138071号公報
【特許文献2】特開2012−132400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、従来の金属ダイアフラムの取り付け構造を変える事無く、燃料チャンバ内で燃料が流れるスペースを阻害することも無いと共に、共振周波数や圧力による体積変化量を任意に設定する事を可能にし、ダイアフラムダンパ性能の最適化を図る事が出来るダイアフラムダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のダイアフラムダンパは、その外周部が互いに接合された2枚の円盤状の金属ダイアフラムにより形成される高圧室内に高圧ガスが封入されたダイアフラムダンパにおいて、前記高圧室内にゴム状弾性部材を配置
し、前記ゴム状弾性部材が、前記2枚の円盤状の金属ダイアフラムの各々に接する様に設けられた円盤状のシート部と、前記シート部の間に円周上に配置された複数本のゴム突起からなることを特徴とする。
また、本発明のダイアフラムダンパは、その外周部が互いに接合された2枚の円盤状の金属ダイアフラムにより形成される高圧室内に高圧ガスが封入されたダイアフラムダンパにおいて、前記高圧室内にゴム状弾性部材を配置し、前記ゴム状弾性部材が、前記高圧室の中心部に、前記金属ダイアフラムと同心と成る様に配置され、前記ゴム状弾性部材が、前記2枚の金属ダイアフラムの各々に接すると共に、前記ゴム状弾性部材が、前記高圧室の外周側と接する複数本の位置決め用脚部を備えていることを特徴とする。
また、本発明のダイアフラムダンパは、その外周部が互いに接合された2枚の円盤状の金属ダイアフラムにより形成される高圧室内に高圧ガスが封入されたダイアフラムダンパにおいて、前記高圧室内にゴム状弾性部材を配置し、前記ゴム状弾性部材が、前記2枚の金属ダイアフラムの各々にその全面が接する2枚の円盤形状部と、前記2枚の円盤形状部を、その中心部で、相互に連結している連結部とより構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明のダイアフラムダンパによれば、高圧室内にゴム状弾性部材を配置する構成としている為、従来の金属ダイアフラムの取り付け構造を変える事無く、燃料チャンバ内で燃料が流れるスペースを阻害することも無いと共に、共振周波数や圧力による体積変化量を任意に設定する事を可能にし、ダイアフラムダンパ性能の最適化を図る事が出来
ると共に、ゴム状弾性部材が、2枚の円盤状の金属ダイアフラムの各々に接する様に設けられた円盤状のシート部と、このシート部の間に円周上に配置された複数本のゴム突起からなる構成としている為、金属ダイアフラムの変形が最も大きい中心部の変形を阻害する事無く、金属ダイアフラムの共振の減衰を効果的に行える。
【0011】
請求項
2記載の発明のダイアフラムダンパによれば、ゴム突起が、シート部と一体成形され、一方のシート部から他方のシート部表面に向かって交互に伸びている構成としている為、ゴム状弾性部材のバランスが良く、金属ダイアフラムの共振の減衰を効果的行える。
請求項
3記載の発明のダイアフラムダンパによれば、ゴム突起の先端が断面円弧形状となっている為、金属ダイアフラムの変形に対し対して追随性が良く、金属ダイアフラムの共振の減衰を効果的行える。
【0013】
請求項4記載の発明のダイアフラムダンパによれば、ゴム状弾性部材が、高圧室の中心部に、金属ダイアフラムと同心と成る様に配置されている為、金属ダイアフラムの圧力による変位が不均一に成る事がない。この結果、金属ダイアフラムの共振の減衰を効果的行え、ゴム状弾性部材が、2枚の金属ダイアフラムの双方に接している為、金属ダイアフラムの共振の減衰をより効果的に行える。
更に、ゴム状弾性部材が、金属ダイアフラムの外周部と接する複数本の位置決め用脚部を備えている為、高圧室内でゴム状弾性部材が移動することを抑止出来る為、金属ダイアフラムの共振の減衰をより安定的に行える。
請求項
5記載の発明のダイアフラムダンパによれば、複数本の位置決め用脚部の端部が、金属ダイアフラムの外周部と接するリング形状部と一体化されている為、金属ダイアフラムの共振の減衰をより高められると共に、高圧室内でゴム状弾性部材が移動することをより確実に抑止出来る為、金属ダイアフラムの共振の減衰をより安定的に行える。
【0014】
請求項
6記載の発明のダイアフラムダンパによれば、ゴム状弾性部材が、2枚の金属ダイアフラムの各々にその全面が接する2枚の円盤形状部と、この2枚の円盤形状部を、その中心部で、相互に連結している連結部とより構成されている為、ゴム状弾性部材が金属ダイアフラムとより広い範囲で接している事により、金属ダイアフラムの共振の減衰をより確実に行える。
【0015】
請求項
7記載の発明のダイアフラムダンパによれば、金属ダイアフラムは、同心円状の環状凹部と環状凸部の繰り返しパターンが形成されている為、ダイアフラムダンパのより確実な脈動吸収作用が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図2に使用されているゴム状弾性部材の立体斜視図。
【
図4】本発明に係る他のダイアフラムダンパの平面図。
【
図6】
図5に使用されているゴム状弾性部材の立体斜視図。
【
図7】本発明に係るダイアフラムダンパの第2の態様を
図5と同様に示した図。
【
図8】
図7に使用されているゴム状弾性部材の立体斜視図。
【
図9】本発明に係るダイアフラムダンパに使用される第3の態様のゴム状弾性部材の立体斜視図。
【
図10】本発明に係るダイアフラムダンパに使用される第4の態様のゴム状弾性部材の立体斜視図。
【
図11】本発明に係るダイアフラムダンパに使用される第5の態様のゴム状弾性部材の立体斜視図。
【
図12】
図11に示したゴム状弾性部材を使用した本発明に係るダイアフラムダンパを
図5と同様に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明に係るダイアフラムダンパは、燃料タンクから供給される燃料をプランジャの往復移動によって加圧してインジェクタ側へ圧送する高圧ポンプに使用されている。
この種の高圧ポンプでは、燃料入口側に燃料チャンバが形成され、プランジャが下降するときに燃料チャンバから加圧室へ燃料を吸入する「吸入行程」、プランジャが上昇するときに加圧室の燃料の一部を燃料チャンバへ戻す「調量行程」、及び、吸入弁を閉じた後プランジャがさらに上昇するときに燃料を加圧する「加圧行程」を繰り返すことにより、燃料を加圧して吐出する。
【0018】
本発明に係るダイアフラムダンパは、このような高圧ポンプの燃料チャンバにおいて発生する脈動を低減するために使用される。
そして、本発明に係るダイアフラムダンパは、
図1乃至
図3に示す様に、以下の構成を備えている。
すなわち、その外周部10が互いに接合された2枚の円盤状の金属ダイアフラム1、1により形成される高圧室11内に高圧ガスが封入されている。
更に、この高圧室11内にゴム状弾性部材2を配置している。
【0019】
このゴム状弾性部材2の材質としては、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、ふっ素ゴム(FKM)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフオン化ポリエチレン(CSM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム(AU)等のゴム状弾性材であって、ショア硬さHs50以下のものが好ましい。
ショア硬さHs50以下とする理由は、金属ダイアフラム1、1のダンパ機能を阻害しない為である。
【0020】
この様な構成としている為、従来の金属ダイアフラム1、1の取り付け構造を変える事無く、燃料チャンバ内で燃料が流れるスペースを阻害することも無いと共に、共振周波数や圧力による体積変化量を任意に設定する事を可能にし、ダイアフラムダンパ性能の最適化を図る事が出来る。
【0021】
更に、金属ダイアフラム1、1は、平坦な2枚の金属材製円盤状部材の外周縁を曲面形状に折り曲げると共に、相互に接合一体化し、内部に高圧室11と成る円盤状の空室を形成している。
この接合一体化には、溶接手段、かしめ手段等が適宜選択して用いられる。
【0022】
このゴム状弾性部材2は、2枚の円盤状の金属ダイアフラム1、1の各々に接する様に設けられた円盤状のシート部25、26と、このシート部25、26の間に円周上に配置された複数本のゴム突起251、261から成っている。
そして、このゴム突起251、261は、
図2から明らかなように、シート部25、26と一体成形され、一方のシート部25、26から他方のシート部25、26表面に向かって伸びる構成としている。
【0023】
より具体的には、
図3に示す様に、シート部26の一方の表面には、3本のゴム突起261が円周上等配に(120度の間隔で)配置されている。同様に他方のシート部25の一方の表面にも同一形状の3本のゴム突起261が円周上等配に(120度の間隔で)配置されている。
本実施態様では、
図1の破線で示す様に、シート部25、26の一方の表面に、ゴム突起251、261が、各々3本ずつの合計6本を等配に設ける態様としたが、少なくとも各々2本ずつの合計4本以上存在すればよい。
【0024】
そして、このシート部25、26のゴム突起251、261が設けられていない面を、接着剤等により、金属ダイアフラム1、1の内面の各々に貼着した後、シート部25、26のゴム突起251、261が、互いに60度ずれた形で組み付け、2枚の円盤状の金属ダイアフラム1、1の外周部10を溶接により一体化する事によりダイアフラムダンパが完成する。
【0025】
この様な構成としてした為、従来の金属ダイアフラム1、1の取り付け構造を変える事無く、燃料チャンバ内で燃料が流れるスペースを阻害することも無いと共に、共振周波数や圧力による体積変化量を任意に設定する事を可能にし、ダイアフラムダンパ性能の最適化を図る事が出来る。
また、金属ダイアフラム1、1の外周側の変形の少ない円周上に、複数本のゴム突起251、261を等配に配置する構成としている為、金属ダイアフラム1、1の変形が最も大きい中心部の変形を阻害する事無く、金属ダイアフラムの共振の減衰を効果的行える。
【0026】
更に、
図2に示す様に、ゴム突起251、261は、一方のシート部25、26から他方のシート部25、26表面に向かって交互に伸びる構成としている為、ゴム状弾性部材2、2のバランスが良く、金属ダイアフラム1、1の共振の減衰を効果的に行える。
【0027】
また、図に示す様に、ゴム突起251、261の先端は、断面円弧形状としている。
この事により、金属ダイアフラム1、1の変形に対し対して追随性が良く、金属ダイアフラムの1、1共振の減衰を効果的行える。
【0028】
ついで、本発明に係る他のダイアフラムダンパについて
図4乃至
図7に基づき説明する。
先に説明したダイアフラムダンパと相違する点は、金属ダイアフラム1、1の中心部にゴム状弾性部材2を存在させている点である。
ゴム状弾性部材2は、円柱形状を呈しており、高圧室11の中心部112に、金属ダイアフラム1、1と同心と成る様に配置されている。
そして、この円柱形状のゴム状弾性部材2の軸方向両端部は、2枚の金属ダイアフラム1、1の各々と接している。
また、円柱状のゴム状弾性部材2を、高圧室11の中心部112に保持するために、金属ダイアフラムと粘着させておく事も効果的である。
また、この円柱状のゴム状弾性部材2の中心部をくり抜いた円筒形状としても良い。この様な円筒形状とした場合は、ゴム状弾性部材2がより変形しやすくなる為、金属ダイアフラム1、1のダンパ機能を阻害しない。
【0029】
ついで、本発明に係るダイアフラムダンパの第2の態様を
図7及び
図8に基づき説明する。
先に説明した態様と相違する点は、ゴム状弾性部材2が、高圧室11の外周側12と接する複数本の位置決め用脚部21、21を備えている点、及び金属ダイアフラム1、1が、同心円状の環状凹部13、13と環状凸部14、14の繰り返しパターンが形成されている点である。
この位置決め用脚部21、21は、中心に位置する円柱状部材20の外周面から3本等配に形成されている。
また、この位置決め用脚部21、21の外周端部は、円柱状突起形状と成っている。
この様な構成とする事により、高圧室内11でゴム状弾性部材2が移動することを抑止出来る為、金属ダイアフラム1、1の共振の減衰をより安定的に行える。
また、金属ダイアフラム1、1が、同心円状の環状凹部13、13と環状凸部14、14の繰り返しパターンが形成されている為、ダイアフラムダンパのより確実な脈動吸収作用が得られる。
【0030】
ついで、本発明に係るダイアフラムダンパに使用されるゴム状弾性部材2の第3の態様を
図9に基づき説明する。
先に説明した第2の態様と相違する点は、複数本の位置決め用脚部21、21の端部が、高圧室11の外周側12と接するリング形状部22と一体化されている点である。
この事により、金属ダイアフラム1、1の共振の減衰をより高められると共に、高圧室11内でゴム状弾性部材2が移動することをより確実に抑止出来る為、金属ダイアフラム1、1の共振の減衰をより安定的に行える。
【0031】
ついで、本発明に係るダイアフラムダンパに使用されるゴム状弾性部材2の第4の態様を
図10に基づき説明する。
先に説明した第3の態様と相違する点は、第3の態様のリング形状部22のみで、ゴム状弾性部材2を構成する態様とした点である。
この事により、高圧室11内でゴム状弾性部材2の占める容量をより少なく抑えると共に、高圧室内11でゴム状弾性部材2が移動することを抑止出来る為、金属ダイアフラム1、1の共振の減衰をより安定的に行える。
【0032】
ついで、本発明に係るダイアフラムダンパに使用されるゴム状弾性部材2の第5の態様を
図11に基づき説明する。
ゴム状弾性部材2が、2枚の金属ダイアフラム1、1の各々に、広い面積で接する2枚の円盤形状部23、23と、この2枚の円盤形状部23、23を、その中心部で、相互に連結している連結部24とより構成されている。
そして、このゴム状弾性部材2は、
図12に示す様に、2枚の円盤形状部23、23の全面が、2枚の金属ダイアフラム1、1の各々に接する形で収納される。
この事により、ゴム状弾性部材2が金属ダイアフラム1、1とより広い範囲で接している事により、金属ダイアフラム1、1の共振の減衰をより確実に行える。
【0033】
また、本発明は、上述の発明を実施するための形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るダイアフラムダンパは、エンジンに用いられる高圧ポンプに発生する脈動を低減するため用いられるダイアフラムダンパとして有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 金属ダイアフラム
2 ゴム状弾性部材
10 外周部
11 高圧室
12 外周側
13 環状凹部
14 環状凸部
20 円柱状部材
21 位置決め用脚部
22 リング形状部
23 円盤形状部
24 連結部
25、26シート部材
112中心部
251、261ゴム突起