(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記非止水ボタンが押動作されることによって前記発電部が発生させた電力の量が、前記制御部が前記非止水信号を送信した後に前記蓄電部に電力が残存するような所定量以上となるまでは、前記非止水信号を送信しないことを特徴とする請求項2に記載のリモコン装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
まず、
図1を参照して本発明の実施形態に係るリモコン装置の使用状態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るリモコン装置と便座装置を示す斜視図である。
【0025】
便座装置WAは、大便器CBのリムCBaに載置され、本体部WAaと、便座WAbと、カバーWAcを備えている。本体部WAaは、電装部品や給水機構等を内蔵しており、大便器CBのボウル部CBbに対し進退可能なノズルN2を有している。円柱形状のノズルN2は、その上面にノズル孔N2aが形成されおり、ボウル部CBb内に進出した状態で給水機構から水の供給を受けることで、ノズル孔N2aから使用者の局部に向けて噴流JWとして吐水する。使用者が用便時に着座する便座WAbは、本体部WAaに対し回動自在に枢支されている。便座WAbの不使用時は、同じく本体部WAaに対し回動自在に枢支されるカバーWAcによって上方から覆われる。
【0026】
リモコン装置RCは、大便器CB及び便座装置WAが設置されるトイレブースの壁面などに固定される。このリモコン装置RCは、そのパネルRCPを便座装置WA側に向けて設けられ、使用者はそのパネルRCPにおいて便座装置WAに行わせる動作を選択し、便座装置WAを遠隔操作する。具体的には、リモコン装置RCは、使用者がパネルRCPで選択した内容に基づいた高周波信号を生成し、便座装置WAに向けて無線で送信する。便座装置WAは、本体部WAaに内蔵する受信部においてこの高周波信号を受信し、その信号の内容に基づいて、ノズルN2からの吐水や止水、吐水の水勢の調整、ノズルN2の位置の変更等を行う。
【0027】
次に、
図2を参照して本発明の実施形態に係るリモコン装置のパネルについて説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るリモコン装置を示す正面図である。
【0028】
図2に示すように、リモコン装置RCのパネルRCPは、上方に配列されるメインボタン群MBと、メインボタン群MBの下方に配列されるサブボタン群SBを有している。
【0029】
メインボタン群MBは、停止ボタンMB1と、吐水ボタンWBと、乾燥ボタンMB4からなる。さらに、吐水ボタンWBは、おしり洗浄ボタンMB2と、ビデ洗浄ボタンMB3からなる。メインボタン群MBのこれら4つのボタンは、いずれも正面視で円形を呈しており、リモコン装置RCの幅方向に間隔を置いて略一直線上に配列されている。吐水ボタンWBは、ノズルN2からの吐水動作を行わせる際に押すボタンであり、おしり洗浄ボタンMB2が押された場合には使用者の肛門に向けて吐水させ、ビデ洗浄ボタンMB3が押された場合には女性の局部に向けて吐水させる。また、乾燥ボタンMB4は、局部洗浄後に、本体部WAaに内蔵されているファンから局部に向けて温風を吹き出す乾燥動作を行わせる際に押すボタンである。停止ボタンMB1は、上記吐水動作及び乾燥動作を停止させる際に押すボタンである。
【0030】
サブボタン群SBは、強ボタンSB1と、弱ボタンSB2と、前ボタンSB3と、後ボタンSB4からなる。これら4つのボタンは、いずれも正面視でメインボタン群MBの各ボタンより径の小さい円形を呈しており、リモコン装置RCの幅方向に間隔を置いて略一直線上に配列されている。強ボタンSB1と弱ボタンSB2は、ノズルN2からの吐水の水勢を使用者が好みに応じて変更する際に押すボタンである。また、前ボタンSB3と後ボタンSB4は、ノズルN2の位置を、使用者が自己の局部の位置に応じて変更する際に押すボタンである。
【0031】
図2において破線で示すように、メインボタン群MBとサブボタン群SBの背面側には、リモコン装置RCの幅方向に延びるスライド部材10が内蔵されている。また、スライド部材10の側方には、発電ユニットGUが内蔵されている。
【0032】
スライド部材10は、傾斜して直線状に延びる本体部11と、本体部11の上面から上方に突出する枝部13a、13b、13cと、本体部11の下面から下方に突出する枝部13d、13e、13f、13gとを有する。この本体部11の上方側の一端である停止入力部12は、停止ボタンMB1の背面に位置し、他端である出力部14は発電ユニットGUのエネルギー入力部GU2と当接している。枝部13a、13b、13cは、それぞれおしり洗浄ボタンMB2、ビデ洗浄ボタンMB3、乾燥ボタンMB4の背面に位置している。また、枝部13d、13e、13f、13gは、それぞれ強ボタンSB1、弱ボタンSB2、前ボタンSB3、後ボタンSB4の背面に位置している。
【0033】
ここで、停止ボタンMB1が押されると、その押動作によって入力された機械的エネルギーがスライド部材10によって発電ユニットGUに伝達され、電力が発生する。詳細には、まず、使用者の手指Hによって停止ボタンMB1が背面側に向けて力F1で押されると、スライド部材10は、停止ボタンMB1の背面に位置する停止入力部12において、本体部11が延びる方向に力F2を受けるよう構成されている。そして、スライド部材10は、この力F2が作用する方向と同方向である矢印A1の方向にスライドし、その端部の出力部14で、発電ユニットGUのエネルギー入力部GU2を力F3で押し込む。発電ユニットGUは、このエネルギー入力部GU2から入力される機械的エネルギーにより、電力を発生させる。
【0034】
一方、停止ボタンMB1以外のメインボタン群MBと、サブボタン群SBのいずれかのボタンが押されると、その機械的エネルギーの伝達は、背面の枝部を介して行われる。例えば、使用者の手指Hによっておしり洗浄ボタンMB2が押されると、スライド部材10は、おしり洗浄ボタンMB2の背面に位置する枝部13aにおいて力F2’を受けるよう構成されている。本体部11から突出する枝部13aが力F2’を受け、矢印A2の方向にスライドすることで、本体部11も矢印A1方向にスライドし、出力部14で発電ユニットGUのエネルギー入力部GU2を押し込む。発電ユニットGUはこのエネルギー入力部GU2から入力される機械的エネルギーにより、電力を発生させる。
【0035】
停止ボタンMB1以外の各ボタンが押動作された場合には、まず、そのボタンの背面に位置する各枝部が本体部11に対し変位することから、各枝部に曲げモーメントが生じる。このようなスライド部材10の変形が、各ボタンの押動作によって入力される機械的エネルギーが発電ユニットGUに伝達されるまでの損失の原因となる。
【0036】
これに対し、停止ボタンMB1が押動作された場合においては、停止入力部12を通り力F2が作用する方向に延びる直線SL1と、出力部14を通り力F3の方向に延びる直線SL2とが略同一となるよう構成されている。これにより、停止ボタンMB1が押動作されることによって停止入力部12がF2を受け、入力される機械的エネルギーは、直線的に出力部14まで伝達される。したがって、スライド部材10の変形も僅かであり、停止ボタンMB1の押動作によって入力される機械的エネルギーが発電ユニットGUに伝達されるまでの損失を小さくすることができる。
【0037】
次に、
図3を参照して本発明の実施形態に係るリモコン装置の機械的構成及び電気的構成について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るリモコン装置を示すブロック図である。
【0038】
図3において、電気的に接続されている要素間は1本の線で、力や機械的エネルギーを伝達する関係にある要素間は2本の線で繋げて表示している。上記のとおり、使用者によってメインボタン群MBとサブボタン群SBのいずれかのボタンが押された場合に、その力によってスライド部材10がスライドし、発電ユニットGUに力を伝達する。
【0039】
発電ユニットGUは、バネ機構GSと発電機構GGとを有する。バネ機構GSは、スライド部材10から入力される機械的エネルギーをバネの弾性エネルギーとして蓄積するとともに、その放出が可能な機構である。蓄積していた機械的エネルギーをバネ機構GSが放出すると、その機械的エネルギーは発電ユニットGUの発電機構GGに伝達され、ここで電気的エネルギーへと変換されて電力が発生する。
【0040】
発電ユニットGUが発生させた電力は、コンデンサ30へと供給される。コンデンサ30は、供給された電力を充電する。
【0041】
コンデンサ30の出力端子には、制御ユニット40が接続される。制御ユニット40は、マイコン42と、高周波生成回路44と、送信機46を備えている。マイコン42は、コンデンサ30からの電力供給を受けて起動し、高周波生成回路44や送信機46を制御する。ただし、コンデンサ30に接続されている充電量検知回路32が、コンデンサ30に充電されている電力が基準の量以上となっていることを検知するまでは、マイコン42は起動しないよう構成されている。具体的には、充電量検知回路32はコンデンサ30の電圧に基づいて、充電されている電力を検知する。
【0042】
メインボタン群MBとサブボタン群SBの各ボタンには、それぞれに対応する検知スイッチMS1〜MS4、SS1〜SS4が接続されている。これらの検知スイッチは、対応する各ボタンが使用者によって押されたことを検知するためのスイッチである。
【0043】
メインボタン群MBとサブボタン群SBのいずれかのボタンが押された結果、コンデンサ30に充電された電力が基準の量以上となった場合、コンデンサ30からの電力供給を受けてマイコン42が起動し、検知スイッチから情報(いずれのボタンが押されたのか)を取得する。そしてマイコン42は、取得したその情報に対応する高周波信号を高周波生成回路44で生成させ、その後、送信機46から便座装置WAに向けて送信させる。
【0044】
次に、
図4を参照して各ボタンにおける押動作とボタンの検知について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係るリモコン装置のボタンの動きを示す下面視における模式図である。
【0045】
図4では、リモコン装置RCの正面側を上にし、背面側を下にして示している。停止ボタンMB1が押された際の動きを左列に示す。また、中央列には、停止ボタンMB1以外のメインボタン群MBのボタンが押された際の動きを示しており、ここでは例としておしり洗浄ボタンMB2を示している。また、右列にはサブボタン群SBのボタンが押された際の動きを示しており、ここでは例として強ボタンSB1を示している。各列とも、上段は使用者が各ボタンの押し込みを開始する状態を示し、下段は各ボタンが最も押し込まれた状態を示している。
【0046】
図4の左列に示すように、停止ボタンMB1は、その背面の中央部に、スライド部材10の停止入力部12側に向けて延びる中央突起MB1aを有している。一方、停止入力部12には、中央突起MB1aに対向するよう延びる突起131を有しており、それぞれの対向する面には、傾斜面MB1b、傾斜面151が形成されている。また、停止ボタンMB1は、その背面の側部に、停止入力部12側に向けて延びる側部突起MB1cを有している。この側部突起MB1cの背面側の端部にも、傾斜面MB1dが形成されている。さらに、この傾斜面MB1dから距離L1だけ背面側に離間した位置に、検知スイッチMS1が配置されている。
【0047】
使用者の手指Hによって停止ボタンMB1に力F1が加えられると、停止ボタンMB1は矢印A3の方向に押し込まれる。そして、停止ボタンMB1の傾斜面MB1bが停止入力部12の傾斜面151と当接するまで押し込まれると、その後、停止入力部12(スライド部材10)は、傾斜面151で受ける力によって矢印A1の方向にスライドを開始する。
【0048】
この停止ボタンMB1が矢印A3の方向にL1だけ押し込まれると、その側部突起MB1cの傾斜面MB1dによって検知スイッチMS1が押され、停止ボタンMB1を押されたことが検知可能となる。
【0049】
その後使用者は、停止ボタンMB1がストッパMBSに当接するまで押し込むことができる(左列下段)。つまり、検知スイッチMS1は、停止ボタンMB1が最も押し込まれた位置に到達する前に、停止ボタンMB1が押されたことを検知可能に構成されている。
【0050】
図4の中央列に示す、停止ボタンMB1以外のメインボタン群MBのボタンについても、基本的な構成や動きは停止ボタンMB1と同様であるが、側部突起MB2cの傾斜面MB2dと検知スイッチMS2との距離が、L1よりも大きいL2に設定されている点で異なる。すなわち、停止ボタンMB1は、停止ボタンMB1以外のメインボタン群MBのボタンよりも、小さな量の押し込みによって、押されたことを検知することが可能となっている。
【0051】
図4の右列に示す、サブボタン群SBのボタンについても、基本的な構成や動きは停止ボタンMB1と同様であるが、側部突起SB1cの傾斜面SB1dと検知スイッチSS1との距離が、L2よりもさらに大きいL3に設定されている点で異なる。また、各ボタンの最大の押し込み量を規定するストッパSBSが、メインボタン群MBのストッパMBSよりも背面側に配置されている点でも異なる。したがって、サブボタン群SBの各ボタンを押して発電ユニットGUに電力を発生させる場合は、メインボタン群MBの各ボタンよりも、大きく押し込む必要がある。
【0052】
次に、
図5及び
図6を参照して、発電ユニットGUにおける電力の発生について説明する。
図5は、本発明の実施形態に係るリモコン装置のバネ機構を示す正面視における模式図であり、
図6は、本発明の実施形態に係るリモコン装置の発電機構を示す側面視における模式図である。
【0053】
図5(A)は、メインボタン群MBとサブボタン群SBのいずれのボタンも押されていない状態を示し、
図5(B)は、いずれかのボタンが押し込んでいる状態を示し、
図5(C)は、使用者がボタンを最も押し込んだ状態を示す図である。発電ユニットGUに内蔵されるバネ機構GSは、キーG2と、第1バネG4と、第2バネG7を備える。
【0054】
キーG2は、リモコン装置RCの幅方向に延びる棒状の部材であり、その下部には突起G2bを有している。また、キーG2の上面の一部にはラックG2cが形成されている。発電ユニットGUの内部に設けられる台座G6には、第2バネG7の一端が固定されている。
【0055】
図5(A)に示す状態では、この第2バネG7は、その他端によってキーG2の端面G2aを力F7で付勢し、突起G2bを発電ユニットGUの内部に設けられるストッパG3に当接させてキーG2を静止させている。また、ストッパG3には第1バネG4の一端が固定されており、他端がキーG2の凹部G2dに固定されている。
図5(A)に示す状態では、第1バネG4の長さはほぼ自然長であり、キーG2にほとんど力を及ぼしていない。
【0056】
図6に示すように、発電機構GGは、歯車G9と、回転軸G10と、永久磁石G11と、コイルG13と、出力端子G15を備えている。
【0057】
歯車G9はキーG2の上方に配置され(
図5参照)、その外周に設けられた複数の歯G9aが、キーG2のラックG2cの一部と噛み合っている。回転軸G10は、歯車G9の回転中心になるとともに、歯車G9とともに回転するよう設けられる。また、回転軸G10には永久磁石G11が固定されている。永久磁石G11の周囲には、円筒形状のコイルG13が回転軸G10とほぼ同軸となるよう設けられている。
【0058】
以上のように構成された発電ユニットGUにおいて、メインボタン群MBとサブボタン群SBのいずれかのボタンが押し込まれた場合を考える。このボタンの押し込みによってスライド部材10がスライドを開始すると、上記のように発電ユニットGUのエネルギー入力部GU2が押し込まれる(
図2参照)。この際、
図5(B)に示すように、キーG2はその端部G2dにおいて力F9を受ける。エネルギー入力部GU2が受けた力は、図示しないラッチ機構を介してキーG2の端部G2dに伝達される。これにより、キーG2は矢印A10の方向に移動し、力F11を受けながら第2バネG7を圧縮させるとともに、力F10を受けながら第1バネG4を伸張させる。これにより、スライド部材10から入力された機械的エネルギーが、第1バネG4と第2バネG7の変形による弾性エネルギーとして蓄積されていく。
【0059】
また、キーG2が矢印A10の方向に移動することで、歯G9aがラックG2cと噛み合っている歯車G9も、矢印R1の方向に回転する。これにより、回転軸G10に固定されている永久磁石G11がコイルG13内で矢印R1の方向に回転し、電磁誘導によって電力が発生する。発生した電力は、コイルG13の出力端子より取り出され、コンデンサ30に充電される。
【0060】
使用者がさらにボタンを押し込み、ボタンがストッパに当接するまで押し込まれると(
図4下段参照)、エネルギー入力部GU2とキーG2の端部G2dとの間に介在するラッチ機構(図示せず)の解除が行われる。これにより、ボタンがストッパに当接したままの状態であっても、
図5(C)に示すように、キーG2は復元しようとする第1バネG4と第2バネG7から、それぞれ力F13、力F14を受け、矢印A12の方向へと移動する。これにより、第1バネG4と第2バネG7の変形による弾性エネルギーとして蓄積されていた機械的エネルギーが放出される。
【0061】
この際、キーG2が矢印A12の方向に移動することで、歯車G9は矢印R2の方向に回転する。これにより、永久磁石G11がコイルG13内で矢印R2の方向に回転して電力が発生し、その電力がコンデンサ30に充電される。第1バネG4と第2バネG7は急速に復元するため、永久磁石G11矢印R2の方向への回転速度は、上記の矢印R1の方向への回転速度よりも大きなものとなる。
【0062】
次に、
図7及び
図8を参照して、リモコン装置の各ボタンが押された際の信号生成と送信のフローについて説明する。
図7は、本発明の実施形態に係るリモコン装置のコンデンサ電圧の時間変化を示すグラフであり、
図8は、本発明の実施形態に係るリモコン装置の信号生成・送信フローを示すフローチャートである。
【0063】
図7は、横軸に時間tを、縦軸に充電量検知回路32が検知するコンデンサ30の電圧Vをプロットしている。具体的には、先ずおしり洗浄ボタンMB2が押され、次に強ボタンSB1が押され、最後に停止ボタンMB1が押された場合の電圧Vの経時的な変化を示すものである。また、
図8は、メインボタン群MBと、サブボタン群SBのいずれかのボタンが押された際の、信号の生成と送信に関する制御的な処理を示すものである。
【0064】
まず、
図7のt0において、用便後の使用者が手指でおしり洗浄ボタンMB2の押し込みを開始すると、それにより入力された機械的エネルギーがバネ機構GSに蓄積される。この際、同時に発電機構GGで電力が発生するため、その電力の供給を受けて充電するコンデンサ30の電圧VはV1まで上昇する(
図7:t0〜t1)。
【0065】
次に、使用者がおしり洗浄ボタンMB2をストッパMBSに当接するまで押し込むと、バネ機構GSに蓄積されていた機械的エネルギーが放出される。これにより、発電機構GGで電力が発生し、その電力を充電するコンデンサ30の電圧VがV2まで上昇する(
図7:t1〜t3)。
【0066】
ここで、使用者がおしり洗浄ボタンMB2を押し込む際(
図7:t0〜t1)に発生する電力(コンデンサ30の電圧でV1相当の電力)は、その押し込みの速度に依存し、比較的小さなものとなる。これに対し、使用者がおしり洗浄ボタンMB2から手指を離した後(
図7:t1〜t2)では、第1バネG4等の急速な復元によって永久磁石G11が高速で回転するため、比較的大きな電力(コンデンサ30の電圧でV2−V1相当の電力)が発生する。
【0067】
洗浄ボタンMB2が押し込まれることでコンデンサ30の充電が開始すると、充電量検知回路32は、コンデンサ30の電圧Vが基準値Vm以上となったか否かを判断する(
図8:S101)。そして、コンデンサ30の電圧Vが基準値Vm以上となったことが検知できると(
図7:t2、
図8:S101−Yes)、コンデンサ30からマイコン42への電力の供給が開始され、マイコン42が起動する(
図8:S102)。
【0068】
次に、起動したマイコン42は、検知スイッチから情報(いずれのボタンが押されたのか)を取得する(
図8:S103)し、使用者によって押されたボタンが停止ボタンMB1であるか否かを判断する(
図8:S104)。ここでは、使用者によって押されたのはおしり洗浄ボタンMB2であるため、マイコン42は停止ボタンMB1ではないと判断し(
図8:S104−No)、次のステップへと移行する。
【0069】
次に、マイコン42は、おしり洗浄ボタンMB2に対応する高周波信号(以下、「吐水信号」という)を高周波生成回路44で生成させる(
図7:t3〜t4、
図8:S105)。そして、送信機46から便座装置WAに向けて、1回目の吐水信号の送信を行う(
図7:t4〜t5、
図8:S105)。
【0070】
次に、マイコン42は、吐水信号の送信を行った回数が、予め設定されている回数(2回)に達したか否かを判断する(
図7:t5〜t6、
図8:S106)。この段階では、まだ1回しか送信を行っていないため(
図8:S106−No)、送信機46から2回目の吐水信号の送信を行う(
図7:t6〜t7、
図8:S105)。
【0071】
便座装置WAは、2回送信されたこの吐水信号の少なくとも1つを受信することで、ノズルN2を大便器CBのボウル部CBb内に進出させ、使用者の局部に向けて吐水を開始させる。
【0072】
リモコン装置RCは、2回目の吐水信号の送信を行った後(
図7:t7、
図8:S106−Yes)、マイコン42を停止させる(
図8:S107)。
【0073】
ここで、バネ機構GSが機械的エネルギーを放出することによって発電機構が発生させる電力(コンデンサ30の電圧でV2−V1相当の電力)は、制御ユニット40が吐水信号を生成して2回送信するために必要な電力よりもよりも大きくなるよう設定されている。換言すると、制御ユニット40は、吐水信号の生成開始時(
図7:t3)にコンデンサ30に蓄電されている電力の一部のみを用いて、吐水信号の生成と送信を行う。したがって、2回目の吐水信号の送信を行った後、コンデンサ30には電圧V3相当の電力が残存している。
【0074】
次に、便座装置WAのノズルN2から吐水が行われている状態において、使用者がその水勢を強くするために強ボタンSB1を押す場合を考える。
【0075】
図7のt8において、使用者が手指で強ボタンSB1の押し込みを開始すると、それにより入力された機械的エネルギーがバネ機構GSに蓄積される。この際、同時に発電機構GGで電力が発生するため、その電力の供給を受けて充電するコンデンサ30の電圧VはV4まで上昇する(
図7:t8〜t9)。すなわち、吐水信号の送信後にコンデンサ30に残存していた電圧V3相当の電力に加えて、さらなる充電が行われる。
【0076】
次に、使用者が強ボタンSB1をストッパSBSに当接するまで押し込むと、バネ機構GSに蓄積された機械的エネルギーが放出される。これにより、発電機構GGで電力が発生し、その電力を充電するコンデンサ30の電圧VがV5まで上昇する(
図7:t9〜t11)。
【0077】
強ボタンSB1が押し込まれることでコンデンサ30の充電が開始すると、充電量検知回路32は、コンデンサ30の電圧Vが基準値Vm以上となったか否かを判断する(
図8:S101)。そして、コンデンサ30の電圧Vが基準値Vm以上となったことが検知できると(
図7:t10、
図8:S101−Yes)、コンデンサ30からマイコン42への電力の供給が開始され、マイコン42が起動する(
図8:S102)。
【0078】
次に、起動したマイコン42は、検知スイッチから情報(いずれのボタンが押されたのか)を取得する(
図8:S103)し、使用者によって押されたボタンが停止ボタンMB1であるか否かを判断する(
図8:S104)。ここでは、使用者によって押されたのは強ボタンSB1であるため、マイコン42は停止ボタンMB1ではないと判断し(
図8:S104−No)、次のステップへと移行する。
【0079】
次に、マイコン42は、強ボタンSB1に対応する高周波信号(以下、「変更信号」という)を高周波生成回路44で生成させる(
図7:t11〜t12、
図8:S105)。そして、送信機46から便座装置WAに向けて、1回目の変更信号の送信を行う(
図7:t12〜t13、
図8:S105)。
【0080】
次に、マイコン42は、変更信号の送信を行った回数が、予め設定されている回数(2回)に達したか否かを判断する(
図7:t13〜t14、
図8:S106)。この段階では、まだ1回しか送信を行っていないため(
図8:S106−No)、送信機46から2回目の変更信号の送信を行う(
図7:t14〜t15、
図8:S105)。
【0081】
便座装置WAは、2回送信されたこの変更信号の少なくとも1つを受信することで、本体部WAaに内蔵される給水機構の調整を行い、ノズルN2からの吐水の水勢を強める。
【0082】
リモコン装置RCは、2回目の変更信号の送信を行った後(
図7:t15、
図8:S106−Yes)、マイコン42を停止させる(
図8:S107)。
【0083】
以上のように、制御ユニット40は、変更信号の生成開始時(
図7:t11)にコンデンサ30に蓄電されている電力の一部のみを用いて、吐水信号の生成と送信を行う。また、使用者が強ボタンSB1を押すことによって発生する電力(コンデンサ30の電圧でV5−V3相当の電力)は、制御ユニット40が変更信号を生成して2回送信するために必要となる電力(コンデンサ30の電圧でV5−V6相当の電力)よりも大きく設定されている。これにより、変更信号の送信を行った後は、吐水信号の送信を行った後(
図7:t7)よりも、大きな電力(電圧V6相当)がコンデンサ30に残存していることになる。
【0084】
次に、便座装置WAのノズルN2から強い水勢で吐水が行われている状態において、使用者がその吐水を停止させるために停止ボタンMB1を押す場合を考える。
【0085】
図7のt16において、使用者が手指で停止ボタンMB1の押し込みを開始すると、それにより入力された機械的エネルギーがバネ機構GSに蓄積される。この際、同時に発電機構GGで電力が発生するため、その電力の供給を受けて充電するコンデンサ30の電圧VはV7まで上昇する(
図7:t16〜t17)。すなわち、変更信号の送信後にコンデンサ30に残存していた電圧V6相当の電力に加えて、さらなる充電が行われる。
【0086】
次に、使用者が停止ボタンMB1をストッパMBSに当接するまで押し込むと、バネ機構GSに蓄積された機械的エネルギーが放出される。これにより、発電機構GGで電力が発生し、その電力を充電するコンデンサ30の電圧VがV8まで上昇する(
図7:t17〜t19)。
【0087】
以上のように使用者が停止ボタンMB1を押すことによって発生する電力(コンデンサ30の電圧でV8−V6相当の電力)は、おしり洗浄ボタンMB2を押すことによって発生する電力(コンデンサ30の電圧でV2相当の電力)よりも小さく設定されている。
【0088】
停止ボタンMB1が押し込まれることでコンデンサ30の充電が開始すると、充電量検知回路32は、コンデンサ30の電圧Vが基準値Vm以上となったか否かを判断する(
図8:S101)。そして、コンデンサ30の電圧Vが基準値Vm以上となったことが検知できると(
図7:t18、
図8:S101−Yes)、コンデンサ30からマイコン42への電力の供給が開始され、マイコン42が起動する(
図8:S102)。
【0089】
次に、起動したマイコン42は、検知スイッチから情報(いずれのボタンが押されたのか)を取得する(
図8:S103)し、使用者によって押されたボタンが停止ボタンMB1であるか否かを判断する(
図8:S104)。ここでは、マイコン42は使用者によって押されたのが停止ボタンMB1であると判断し(
図8:S104−Yes)、次のステップへと移行する。
【0090】
次に、マイコン42は、停止ボタンMB1に対応する高周波信号(以下、「止水信号」という)を高周波生成回路44で生成させる(
図7:t19〜t20、
図8:S115)。そして、送信機46から便座装置WAに向けて、1回目の止水信号の送信を行う(
図7:t20〜t21、
図8:S115)。
【0091】
次に、マイコン42は、止水信号の送信を行った後のコンデンサ30に、まだ止水信号を送信できる電力が残存しているか否かを判断する(
図7:t21〜t22、
図8:S116)。この段階では、まだコンデンサ30に電力が残存しているため(
図8:S116−No)、マイコン42は、2回目の止水信号の送信を行う(
図7:t22〜t23、
図8:S115)。
【0092】
こうしてリモコン装置RCは、止水信号を送信できる電力がコンデンサ30に無くなるまで(
図7:t27、
図8:S116−Yes)に、3回目(
図7:t24〜t25、
図8:S115)、4回目(
図7:t26〜t27、
図8:S115)の止水信号を送信した後、マイコン42を停止させる(
図8:S107)。
【0093】
このように制御ユニット40は、おしり洗浄ボタンMB2又は強ボタンSB1が1回押動作された際は、吐水信号又は変更信号をそれぞれ2回送信する。一方、停止ボタンMB1が1回押動作された際は、止水信号を4回送信することで送信精度を高めている。
【0094】
便座装置WAは、4回送信されたこの止水信号の少なくとも1つを受信することで、本体部WAaに内蔵される給水機構が給水の停止を行うとともに、ノズルN2を大便器CBのボウル部CBb内から後退させ、吐水動作を停止する。
【0095】
尚、本発明の実施形態に係るリモコン装置RCでは、止水信号を4回送信することでその送信精度を高めているが、これに代え、又はこれと同時に、止水信号の信号強度を吐水信号や変更信号の信号強度よりも高くして送信することで、送信精度を高めてもよい。
【0096】
このように、本発明の実施形態に係るリモコン装置RCでは、スライド部材10は、停止ボタンMB1の押動作によって入力される機械的エネルギーを、停止ボタンMB1以外のボタンよりも優先的に発電ユニットGUに伝達する。これにより、停止ボタンMB1の押動作によって発生する電力を比較的大きくし、高い送信精度で止水信号を送信することができる。さらに、停止ボタンMB1の押動作に要する力も比較的小さくすることが可能となるため、操作性と吐水の確実な停止とを両立させることができる。
【0097】
また、停止入力部12を通り力F2が作用する方向に延びる直線SL1と、出力部14を通り力F3が作用する方向に延びる直線SL2とが略同一となるよう構成することで、停止ボタンMB1が押動作されることによって停止入力部12が受ける力は直線的に出力部14まで伝達される。これにより、停止ボタンMB1の押動作によって入力される機械的エネルギーが発電ユニットGUに伝達されるまでの損失を小さくすることができるため、操作性と吐水の確実な停止とを両立させることができる。
【0098】
また、便座装置WAの使用者がまず行う吐水ボタンWB(ここではおしり洗浄ボタンMB2)の押動作によってコンデンサ30に電力を残存させ、その電力をその後の止水信号の生成と送信に利用する。これにより、停止ボタンMB1の押動作によって発生する電力が小さい場合であっても、高い送信精度で止水信号を送信することができる。さらに、停止ボタンMB1の操作性の向上と、重要度の高い止水信号の送信精度の向上との両立を図ることが可能となる。
【0099】
また、充電量検知回路32で検知されるコンデンサ30の電圧Vが基準値Vm以上となるまでマイコン42が起動しないことで、吐水信号の送信を行わないため、コンデンサ30に十分な量の電力が残存していない状態で吐水信号の送信を行ってしまう事態を防止し、さらに高い送信精度で止水信号を送信することができる。
【0100】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。