特許第5979614号(P5979614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979614
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20060101AFI20160817BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20160817BHJP
   G03B 17/18 20060101ALI20160817BHJP
   G03B 5/00 20060101ALI20160817BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160817BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   G03B17/14
   G03B17/02
   G03B17/18 Z
   G03B5/00 J
   H04N5/225 A
   H04N5/225 D
   H04N5/225 F
   H04N5/232 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-519857(P2014-519857)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(86)【国際出願番号】JP2013057401
(87)【国際公開番号】WO2013183333
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-126869(P2012-126869)
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100169856
【弁理士】
【氏名又は名称】尾山 栄啓
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 鉄兵
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−210143(JP,A)
【文献】 特開2005−278076(JP,A)
【文献】 特開2005−012427(JP,A)
【文献】 特開2006−121631(JP,A)
【文献】 特開平09−138434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G03B 5/00
G03B 17/02
G03B 17/18
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセサリを着脱可能なマウントを有する撮像装置であって、
前記アクセサリと通信する通信部と、
前記撮像装置を制御する制御部と、
ユーザ入力を受け付ける入力部と、
前記ユーザ入力に関する情報を表示する表示部と、
を備え、
前記通信部が前記アクセサリと通信可能であって、該アクセサリがマウントアダプタであると識別した場合、前記制御部は、該マウントアダプタに装着されている交換レンズに関する情報のユーザ入力を要求する画面を前記表示部に表示し、ユーザ入力があった場合に、該ユーザ入力に基づいて前記撮像装置を制御する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記通信部が前記アクセサリと通信不可である場合、前記制御部は、前記交換レンズに関する情報のユーザ入力を要求する画面を前記表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
ユーザ操作を受け付ける操作手段を備え、
前記操作手段が前記ユーザ操作を検知し、かつ、前記通信部が前記アクセサリと通信可能であって該アクセサリはマウントアダプタであると識別した場合に、前記制御部は、該マウントアダプタに装着されている交換レンズに関する情報のユーザ入力を要求する画面を前記表示部に表示し、ユーザ入力があった場合に、該ユーザ入力に基づいて前記撮像装置を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記操作手段は、前記アクセサリと前記撮像装置とのロックを解除するボタンである
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、
被写体の光像を電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子の防振制御を行う防振部と、
を備え、
前記交換レンズに関する情報には、該交換レンズの焦点距離に関する情報が含まれ、
前記制御部は、前記ユーザ入力により入力された前記交換レンズの焦点距離に関する情報に基づいて前記防振部を制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記ユーザ入力により現在入力されている前記交換レンズに関する情報と前記ユーザ入力により過去に入力された前記交換レンズに関する履歴情報とを表示し、
前記制御部は、前記ユーザ入力に基づいて、現在入力されている前記交換レンズに関する情報として、前記履歴情報を選択する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ユーザ入力に基づいて、前記選択された履歴情報を変更し、現在入力されている前記交換レンズに関する情報として設定する
ことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ユーザ入力により入力された前記交換レンズに関する情報を前記撮像装置が生成する画像情報に付加する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記通信部が取得した前記アクセサリに関する情報を前記撮像装置が生成する画像情報に付加する
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセサリを着脱可能なマウントを有する撮像装置に関し、特に、アクセサリがマウントアダプタである場合に、交換レンズに関する情報の入力を要求し、入力情報に基づいて撮像装置の制御を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レンズ交換式カメラにおいては、交換レンズとカメラ本体は、相互に嵌合するマウントを備えている。特開2004−12741号公報に示すように、交換レンズには、焦点距離情報、瞳出射位置情報、周辺光量変化に関する情報、Fナンバー、収差などのレンズの固有情報が格納されている。カメラ本体は、装着された交換レンズと通信を行って交換レンズに関する固有情報を取得し、取得した固有情報に基づいて交換レンズおよびカメラ本体の種々の動作や画像処理の制御を行う。
【0003】
交換レンズのレンズマウント規格とカメラ本体のボディマウント規格とが一致しない場合がある。この場合、両者を仲立ちして装着および使用を可能にするためにマウントアダプタが用いられる。マウントアダプタは、リング状の部材であり、一方の端面に交換レンズのレンズマウント規格に適合するマウントが、他方の端面にカメラ本体のボディマウント規格に適合するマウントがそれぞれ設けられている。
【0004】
一般にマウントアダプタには、交換レンズとカメラ本体との間の通信を実現するための機構は組み込まれていない。交換レンズとカメラ本体の各マウント規格において通信を行うための電気的仕様がそれぞれ異なるため、マウントアダプタに電気的仕様の互換性を持たせようとすると、マウントアダプタの構成が複雑化し、またコストアップする。そのため、一般に、マウントアダプタを使用する場合、カメラ本体はマウントアダプタを介して交換レンズに関する情報を取得することはできない。
【発明の概要】
【0005】
カメラ本体の動作制御の一つに、撮像時のカメラ本体の手ぶれなどによって引き起こされる像ぶれを抑制する防振制御がある。この防振制御では、カメラ本体内に組み込まれた振動ジャイロ機構によって手ぶれを感知し、手ぶれによる振動の位相とは逆の位相で撮像素子を移動させることにより、撮像光軸を補正する。手ぶれの補正量は交換レンズの焦点距離に依存するため、一般に、防振制御は、交換レンズの焦点距離に基づいて行われる。
【0006】
ところが、上述のとおり、マウントアダプタを用いて交換レンズとカメラ本体とを接続する場合、カメラ本体は交換レンズの固有情報の一つである焦点距離の情報を取得することができない。このため、カメラ本体は、適切な防振制御を行うことができず、好適な撮像画像を生成できないおそれがある。
【0007】
さらに、カメラ本体側で交換レンズの各種固有情報を取得することができないため、カメラ本体側では、撮像時に使用中の交換レンズの設定内容に応じた適切な動作制御や撮像画像への固有情報の付加を行うことができない。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、マウントアダプタを用いて交換レンズを使用する場合に、交換レンズの設定内容に合わせて動作制御を行うことが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、アクセサリを着脱可能なマウントを有する撮像装置であって、アクセサリと通信する通信部と、撮像装置を制御する制御部と、ユーザ入力を受け付ける入力部と、ユーザ入力に関する情報を表示する表示部とを備え、通信部がアクセサリと通信可能であって該アクセサリがマウントアダプタであると識別した場合、制御部は、マウントアダプタに装着されている交換レンズに関する情報のユーザ入力を要求する画面を表示部に表示し、ユーザ入力があった場合に、該ユーザ入力に基づいて撮像装置を制御する撮像装置が提供される。
【0010】
上記の構成によれば、マウントアダプタに装着されている交換レンズに関する情報をユーザ入力により取得し、取得した情報に基づいて撮像装置の動作制御を精確に行うことができる。
【0011】
また、通信部がアクセサリと通信不可である場合、制御部は、交換レンズに関する情報のユーザ入力を要求する画面を表示部に表示してもよい。これにより、カメラ本体と通信できないマウントアダプタを装着した場合でも、マウントアダプタに装着されている交換レンズに関する情報をユーザ入力により取得し、取得した情報に基づいて撮像装置の動作制御を精確に行うことができる。
【0012】
さらに、ユーザ操作を受け付ける操作手段を備え、操作手段がユーザ操作を検知し、かつ、通信部がアクセサリと通信可能であってアクセサリはマウントアダプタであると識別した場合に、制御部は、マウントアダプタに装着されている交換レンズに関する情報のユーザ入力を要求する画面を表示部に表示し、ユーザ入力があった場合に、該ユーザ入力に基づいて撮像装置を制御するようにしてもよい。また、当該操作手段は、アクセサリと撮像装置とのロックを解除するボタンとしてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、撮像装置の電源をオンにした後、任意のタイミングでボタンを押下して交換レンズに関する情報のユーザ入力を実行することができるため、交換レンズに関する情報の変更を迅速に反映して撮像を行うことができる。
【0014】
また、撮像装置は、被写体の光像を電気信号に変換する撮像素子と、撮像素子の防振制御を行う防振部とを備え、交換レンズに関する情報には、該交換レンズの焦点距離に関する情報が含まれ、制御部は、ユーザ入力により入力された交換レンズの焦点距離に関する情報に基づいて防振部を制御してもよい。
【0015】
上記の構成によれば、撮像時における交換レンズの焦点距離を用いて撮像素子の防振制御を精確に行い、手ぶれを良好に補正することができる。
【0016】
また、表示部は、ユーザ入力により現在入力されている交換レンズに関する情報とユーザ入力により過去に入力された交換レンズに関する履歴情報とを表示し、ユーザ入力に基づいて、現在入力されている交換レンズに関する情報として、履歴情報を選択してもよい。さらに、制御部は、ユーザ入力に基づいて、選択された履歴情報を変更し、現在入力されている交換レンズに関する情報として設定してもよい。
【0017】
上記の構成によれば、例えばマウントアダプタにズームレンズを搭載した交換レンズを装着し、交換レンズを手動で操作して焦点距離など交換レンズの設定を頻繁に変更する場合でも、履歴情報を参照しながら交換レンズに関する情報を入力できるため、ユーザ入力をより円滑に行うことができる。
【0018】
また、制御部は、ユーザ入力により入力された交換レンズに関する情報を撮像装置が生成する画像情報に付加してもよいし、通信部が取得したアクセサリに関する情報を撮像装置が生成する画像情報に付加してもよい。これにより、マウントアダプタを使用して撮像を行う場合でも、交換レンズを撮像装置に直接装着した場合と同様に、撮像に使用した交換レンズに関する情報を画像データに付加することができるという利点が得られる。
【0019】
以上のように、マウントアダプタを用いて交換レンズを使用する場合に、交換レンズの設定内容に合わせて動作制御を行うことが可能な撮像装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの外観斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るカメラのブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るカメラ本体の外観斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る焦点距離入力処理のフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る焦点距離設定サブルーチンのフローチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る割り込みルーチンのフローチャートである。
図7図7(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る焦点距離入力画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係るカメラ100について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るカメラ100の外観斜視図である。カメラ100は、撮像装置としてのカメラ本体1にマウントアダプタ2が装着され、マウントアダプタ2に交換レンズ3が装着されている。後述するように、カメラ本体1とマウントアダプタ2は、両者に設けられた同一規格のマウントを介して接続されている。同様に、マウントアダプタ2と交換レンズ3は、両者に設けられた同一規格のマウントを介して接続されている。
【0023】
図2は、本実施形態に係るカメラ100のブロック図である。図2に示されるように、カメラ本体1は、CPU(Central Processing Unit)10、手ぶれ補正部11、撮像素子12、AFE(Analog Front End)13、TG(Timing Generator)14、DSP(Digital Signal Processor)15、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)16、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)17、SDカード18、表示部19、入力部20、押しボタンスイッチ21、ボディマウント22を備えている。
【0024】
CPU10は、EEPROM17に記録された各種プログラムおよび設定データに基づいてカメラ本体1の動作を統合的に制御する制御部である。また、CPU10は、カメラ本体1に装着されたアクセサリと通信を行う通信部でもある。EEPROM17に記録される設定データには、後述する焦点距離情報やあらかじめ設定されたデータのほか、ユーザが入力部20を操作することで任意に設定可能なデータも含まれる。
【0025】
撮像素子12は、基板上に2次元配列された光電変換素子を有する固体撮像素子であり、光電変換素子の配列面(撮像面)上に形成された光学像を電気信号(アナログ画像信号)に変換する。本実施形態では撮像素子12としてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを使用するが、撮像素子の構成はこれに限定されず、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどの別の構成の撮像素子を使用してもよい。また、撮像素子12が生成したアナログ画像信号は、AFE13により、デジタル画像信号に変換される。
【0026】
TG14は、撮像素子12を駆動するための各種タイミング信号を生成する。撮像素子12は、TG14からのタイミング信号に従って、垂直電荷転送や水平電荷転送を行い、画像信号をAFE13に出力する。
【0027】
DSP15は、画像信号処理回路であり、CPU10からの信号に従ってAFE13より出力されるデジタル画像信号に対して、ユーザにより設定された処理条件(画像処理パラメータ)に従って各種の画像処理を施した後、ユーザが設定したファイル形式(JPEG形式など)の画像ファイルとして出力する。
【0028】
SDRAM16は、DSP15によって処理される画像データを一時的に記録するバッファメモリである。SDカード18は、DSP15から出力された画像ファイルを記憶する記憶装置である。SDカード18は、カメラ本体1の図示しないメモリカードスロットに挿入されている。
【0029】
表示部19は、カメラ本体1の設定内容や動作状態に関する各種情報、被写体像または画像データの再生画像などを表示する表示システムである。
【0030】
入力部20は、ユーザによる入力操作を受け付ける入力装置である。図3に示すように、入力部20は、カメラ本体1の電源オンおよびオフを行うための電源ボタン20a、カメラ本体1の設定内容の変更や選択を行うための十字キー20b、カメラ本体1の設定内容の変更を有効にするためのOKボタン20c、レリーズボタン20d、電子ダイヤル20iを備えている。入力部20の各ボタンの機能などについては後述する。
【0031】
図2に示すように、交換レンズ3は、レンズマウント40、ズームレンズ48の位置を検出するズームセンサ41、フォーカスレンズ49の位置を検出するレンズ位置センサ42、レンズCPU43、フラッシュROM44、絞り45、絞り45の開口面積を調節する絞りモータ46、絞りモータ46を駆動制御するモータドライバ47を備える。モータドライバ47はレンズCPU43により制御される。
【0032】
レンズマウント40は、カメラ本体のボディマウントとの接続機構である。本実施形態においては、レンズマウント40の規格とカメラ本体1のボディマウント22の規格との間には互換性がない。したがって、交換レンズ3をカメラ本体1に直接装着することができない。このような交換レンズ3の例としては、カメラ本体に対して他社製の交換レンズを使用する場合や、カメラ本体と交換レンズが同社製でありながら互いに異なる規格でマウントが製造されている場合などが挙げられる。
【0033】
ボディマウント22とレンズマウント40の規格が異なる場合に、カメラ本体1と交換レンズ3とを接続する場合は、マウントアダプタ2を使用する。マウントアダプタ2は、カメラ側マウント30、レンズ側マウント31、フラッシュROM32、シャッタ33、シャッタ33の動作制御を行うシャッタモータ34、シャッタモータ34の駆動制御を行うモータドライバ35を備える。
【0034】
カメラ側マウント30は、カメラ本体1のボディマウント22と同一規格のレンズマウントで構成されている。また、レンズ側マウント31は、交換レンズ3のレンズマウント40と同一規格のボディマウントで構成されている。なお、図示は省略するが、カメラ本体1および交換レンズ3に対するマウントアダプタ2の嵌合部の機械的な構造や寸法などは、いわゆるねじ込み式、バヨネット式、スピゴット式など、カメラ本体1および交換レンズ3の装着形態にそれぞれ対応して構成されている。本実施形態においては、マウントアダプタ2のカメラ側マウント30は、カメラ本体1のCPU10と通信を行うことができるように、カメラ本体1のボディマウント22と電気的な互換性も有する。マウントアダプタ2のレンズ側マウント31は、交換レンズ3のレンズマウント40と電気的な互換性は有さず、CPU10からの信号を交換レンズ3に伝達する構成を有さない。したがって、CPU10は、マウントアダプタ2を経由して交換レンズ3のフラッシュROM44に格納された交換レンズ3の固有情報を取得したり、レンズCPU43を制御したりすることができない。
【0035】
フラッシュROM32には、マウントアダプタ2に関する固有情報が格納されている。マウントアダプタ2をカメラ本体1に装着すると、CPU10はフラッシュROM32と通信を行い、フラッシュROM32に格納されている固有情報を取得する。この固有情報には、マウントアダプタ2であることを識別するため情報が含まれる。
【0036】
カメラ100で撮影を行う際は、図1に示すように、カメラ本体1とマウントアダプタ2と交換レンズ3とを接続する。ユーザが電源ボタン20aを操作してカメラ本体1の電源をオンにした状態でレリーズボタン20dを全押しすると、撮像素子12により、交換レンズ3およびマウントアダプタ2を介して撮像素子12の撮像面上に結像した被写体像が撮像される。撮像された静止画像は、AFE13によりアナログ信号からデジタル信号に変換され、DSP15により各種の画像処理が施された後、表示部19に表示される。また、撮像された静止画像のデータは、ユーザにより設定されたファイル形式に変換されて、SDカード18に記録される。また、撮像素子12により生成された未現像の画像データ(RAW画像)がSDRAM16に一時記録される。SDRAM16に記録されたRAW画像は、プレビュー表示に使用されるほか、画像処理パラメータ設定時の確認画像として使用される。RAW画像は、SDカード18に記録することもできる。
【0037】
レリーズボタン20dは、押し込み量に応じて、図示しない測光スイッチやレリーズスイッチをオン状態にする。例えば、レリーズボタン20dが半押しされると、測光スイッチがオン状態になり、露出制御による測光が行われる。また、レリーズボタン20dが全押しされると、レリーズスイッチがオン状態にされて撮像が行われる。レリーズボタン20dの全押しに対応して撮像される画像は静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。
【0038】
十字キー20bおよびOKボタン20cは、カメラ本体1の各種設定の入力に使用される操作ボタンである。これらの操作ボタンを使用して、例えばDSP15が行う画像処理の条件を決める画像処理パラメータの設定が行われる。
【0039】
十字キー20bは、左方向キー20e、上方向キー20f、右方向キー20g、下方向キー20hを有し、カメラ本体1の背面右側に、OKボタン20cを四方から囲むように配置されている。表示部19に各種設定画面を表示させた状態で、十字キー20bを操作することにより、カメラ本体1における種々の処理の設定内容が変更される。各種設定画面において、OKボタン20cが操作されると、変更した設定内容が確定する。変更内容は、EEPROM17に上書き保存される。
【0040】
電子ダイヤル20iは、円盤状の入力部である。ユーザは、電子ダイヤル20iを図3に示す矢印方向に沿って右回転あるいは左回転させることで、撮像時の被写界深度の変更など、各種設定値を設定変更したり、後述する焦点距離入力画面における焦点距離を変更したりすることができる。
【0041】
手ぶれ補正部11は、撮像時に手ぶれが発生した場合に、使用されている交換レンズの焦点距離に基づいて撮像素子12を防振制御する防振部である。本実施形態において、カメラ本体1は、交換レンズ3の焦点距離に関する情報を取得できない。したがって、このままでは、手ぶれ補正部11による撮像素子12の防振制御を精確に行うことができない。そこで、本実施形態においては、ユーザ入力により設定された焦点距離を用いて手ぶれ補正部11による撮像素子12の防振制御を行う。
【0042】
次に、本実施形態における焦点距離の設定について詳細に説明する。なお、説明の便宜上、本明細書中の説明および図面において、処理ステップは「S」と省略して記す。
【0043】
図4は、本実施形態に係る焦点距離入力処理のフローチャートである。焦点距離入力処理は、カメラ本体1の電源がオンされたときに通常の撮影処理(撮影モード)に先立って行われる。図4に示すように、ユーザが電源ボタン20aを操作してカメラ本体1の電源をオンすると、カメラ本体1に交換レンズまたはマウントアダプタ2が装着されているか否かが判定される(S201)。具体的には、CPU10が、ボディマウント22を介して装着されているアクセサリとの通信を試みる。アクセサリがボディマウント22と同一規格のマウントを備える交換レンズ(不図示)またはマウントアダプタ2である場合、CPU10は、当該交換レンズのフラッシュROMやマウントアダプタ2のフラッシュROM32から固有情報を取得し、アクセサリの識別を行う。説明の便宜上、ボディマウント22と同一規格のレンズマウントを備える交換レンズのフラッシュROMに格納された固有情報には、当該交換レンズの識別情報や焦点距離情報が含まれているとする。カメラ本体1に交換レンズまたはマウントアダプタ2が装着されていると判定された場合は(S201:YES)、S202へ進む。マウントアダプタがフラッシュROMを備えていない場合や、CPU10が取得した固有情報にマウントアダプタの識別情報が含まれていない場合、ボディマウント22にアクセサリが装着されていない場合など、ボディマウント22を介して装着されているアクセサリとの通信ができない場合、カメラ本体1に交換レンズまたはマウントアダプタ2が装着されていないと判断され(S201:NO)、S203へ進む。
【0044】
S202では、CPU10がアクセサリから取得した固有情報に基づいて、交換レンズの焦点距離を検出できたか否かが判定される。本実施形態では、上述の通り、マウントアダプタ2と交換レンズ3とを接続しても、CPU10は交換レンズ3の焦点距離情報を取得できない。したがって、カメラ本体1にマウントアダプタ2が装着された場合、交換レンズ3の焦点距離は検出できないと判定されて(S202:NO)、S203へ進む。カメラ本体1に交換レンズが直接装着された場合は、CPU10は交換レンズの固有情報に基づいて焦点距離を検出できるため(S202:YES)、通常の撮影モードへ移行する。なお、通常の撮影モードに移行すると、CPU10は、検出した焦点距離の値あるいは後述する焦点距離設定処理により確定された焦点距離の値を用いて、手ぶれ補正部11による撮像素子12の防振動作を精確に制御することができる。また、焦点距離の値を撮像した画像データに画像情報として付加することもできる。
【0045】
図5は、本実施形態に係る焦点距離設定サブルーチンのフローチャートである。S203に進むと、表示部19に焦点距離入力画面が表示され、本サブルーチンが開始される。図7(a)、(b)は、本サブルーチンにおける焦点距離入力画面を示す。S301では、焦点距離を手動で入力できる状態となる。図7(a)に、S301における焦点距離入力画面を示す。説明の便宜上、本実施形態では、ユーザは過去に本サブルーチンにて焦点距離を確定したことがあるものとする。焦点距離入力画面の中央付近には手動入力値Vが表示され、焦点距離入力画面内の左側にはユーザが過去に設定した履歴の値Hが履歴情報として表示される。なお、ユーザが過去に焦点距離を設定したことがない場合は、履歴の値Hにはあらかじめ設定された値が表示される。S301において表示される手動入力値Vは、前回確定した焦点距離の値である。表示部19に焦点距離入力画面が表示されると、S302に進む。
【0046】
図7(a)に示すように、本実施形態では、カーソルCの初期位置は、手動入力値Vの最上位桁である。ユーザが左方向キー20eまたは右方向キー20gを操作すると、カーソルCは各桁間を移動する。また、カーソルCは、最上位桁と最下位桁との間で循環的に移動可能である。ユーザが上方向キー20fまたは下方向キー20hを操作すると、カーソルCが表示されている桁の値が増減する。ユーザは、十字キー20bを操作して、手動入力値Vを所望の値に変更する。
【0047】
S302では、ユーザが十字キー20bを操作することにより、手動入力値Vが変更されたか否が判定される。ユーザが十字キー20bを操作してカーソルCの移動を適宜行い手動入力値Vが変更されたと判定されると(S302:YES)、変更後の手動入力値Vが表示され(S303)、S304へ進む。
【0048】
S304では、ユーザがOKボタン20cを操作することにより、焦点距離入力が終了されたか否かが判定される。ユーザがOKボタン20cを操作すると(S304:YES)、S305へ進み、手動入力値Vを焦点距離の設定値として確定し、本サブルーチンを終了する。ユーザがOKボタン20cを操作しない場合は(S304:NO)、S302へ進む。
【0049】
ここで、電子ダイヤル20iの機能について説明する。ユーザが電子ダイヤル20iを回転させると、カーソルCが、手動入力値Vから焦点入力画面に表示されている履歴の値Hのいずれか1つの値に移動する。図7(b)に、電子ダイヤル20iを使用してカーソルCを履歴の値Hに移動させた状態(履歴選択状態)を示す。本実施形態においては、電子ダイヤル20iを右回転させると、カーソルCは履歴の値Hを上から下へ順次移動し、電子ダイヤル20iを左回転させると、カーソルCは履歴の値Hを下から上へ順次移動する。手動入力値VにはカーソルCによって選択されている履歴の値Hが表示される。なお、電子ダイヤル20iを使用する場合、カーソルCは、履歴の値Hの最上部の値(図では「15.0」)と手動入力値Vとの間、あるいは履歴の値Hの最下部の値(図では「135.0」)と手動入力値Vとの間を循環的に移動可能である。本実施形態では、履歴選択状態でユーザが右方向キー20gを操作すると、カーソルCが手動入力値Vに移動し、当該移動直前にカーソルCが選択していた履歴の値Hの値で手動入力値Vが更新される。そして、ユーザは上述の通り十字キー20bを操作して手動入力値Vを変更することができる。
【0050】
S302でユーザが十字キー20bの操作を行っていない場合は(S302:NO)、S306に進む。S306では、ユーザが電子ダイヤル20iを操作することにより、カーソルCが移動して履歴の値Hが選択されたか否かが判定される。ユーザが電子ダイヤル20iを操作すると(S306:YES)、カーソルCが履歴の値Hに移動して履歴選択状態となり(S307)、S308へ進む。ユーザが十字キー20bおよび電子ダイヤル20iの操作を行っていない場合は(S306:NO)、S304へ進む。
【0051】
S308では、履歴選択状態でユーザが右方向キー20gを操作することにより、履歴の値Hで手動入力値Vが更新されたか否かが判定される。履歴選択状態でユーザが右方向キー20gの操作を行うと(S308:YES)、カーソルCが手動入力値Vに移動して、手動入力値Vに表示されている履歴の値Hを変更することができる状態になり(S309)、S304へ進む。履歴選択状態でユーザが右方向キー20gの操作を行っていない場合は(S308:NO)、S310へ進む。
【0052】
S310では、履歴選択状態でユーザが電子ダイヤル20iを操作し続けることにより、カーソルCによる選択が履歴の値Hから再び手動入力値Vに戻されたか否かが判定される。したがって、ユーザが右方向キー20gを操作せずにカーソルCを手動入力値Vに戻すと(S310:YES)、手動入力値Vとして、履歴選択状態になる直前に手動入力値Vに表示されていた値が再度表示されて、手動入力値Vを変更することができる状態になり(S311)、S304へ進む。履歴選択状態でユーザが右方向キー20gおよび電子ダイヤル20iの操作を行っていない場合は(S310:NO)、S308へ戻る。なお、履歴選択状態が解除されてカーソルCが履歴の値Hから手動入力値Vに復帰した際に、カーソルCを手動入力値Vのいずれの桁に表示するかは、あらかじめ任意に設定しておけばよい。
【0053】
本実施形態では、S301において、手動入力値Vに前回確定した焦点距離の値が表示されているため、ユーザは前回と同じ焦点距離の値を使用したい場合は、OKボタン20cを操作するだけでよい。すなわち、手動入力値Vに前回確定した焦点距離が表示された状態でユーザがOKボタン20cを押すと、S302、S306、S304、S305の順に進み、前回確定した値が焦点距離として再度確定し、本サブルーチンが終了する。図4に示すように、本サブルーチンが終了すると、S203から撮影モードへ移行する。
【0054】
上記の説明では、焦点距離入力処理がカメラ本体1の電源がオンされたときにのみ実行されるため、カメラ本体1の電源が入っている状態で交換レンズを交換した場合や、交換レンズがズームレンズである場合にズームレンズの焦点距離を手動操作によって変更した場合、CPU10は、レンズ交換後あるいはレンズ手動操作後の焦点距離に関する情報を取得できない。このため、カメラ本体1側では適切な焦点距離情報に基づく精確な動作制御を行うことができない。そこで、本実施形態では更に、カメラ本体1の電源をオンした後に、任意のタイミングで焦点距離の設定内容を変更することができるように構成している。具体的には、後述するように、押しボタンスイッチ21によって割り込みルーチンが起動するようになっている。
【0055】
図6は、本実施形態において当該変更を行うための割り込みルーチンのフローチャートである。図1、2に示すように、カメラ本体1の前面に押しボタンスイッチ21が設けられている。ユーザがアクセサリをボディマウント22に嵌め合わせて回動操作を行うと、図示しないラッチなどの部品によりアクセサリがカメラ本体1にロックされる。ユーザが押しボタンスイッチ21を押すとラッチなどの部品によるロックが解除され、押しボタンスイッチ21を押しつつアクセサリを回動操作することでアクセサリをカメラ本体1から取り外すことができる。図2に示すように、CPU10は、押しボタンスイッチ21と電気的に接続されており、ユーザによる押しボタンスイッチ21の操作を検知することができる。
【0056】
カメラ本体1の電源オンを行った後、任意のタイミングで押しボタンスイッチ21が押下されると、S401へ進む。S401では、CPU10が、ボディマウント22を介して装着されているアクセサリの固有情報の取得を試み、カメラ本体1にマウントアダプタが装着されているか否かが判定される。マウントアダプタが装着されていると判定されると(S401:YES)、S402に進み、図5に示すサブルーチンが実行される。当該サブルーチンの処理内容は上述の通りであるため、説明は省略する。アクセサリを取り外したためカメラ本体1にアクセサリが装着されていない場合やマウントアダプタの識別情報を有しないアクセサリをカメラ本体1に装着している場合など、カメラ本体1に装着されているアクセサリがマウントアダプタでないと判定されると(S401:NO)、本割り込みルーチンを終了して撮影モードへ移行する。
【0057】
以上のように、本実施形態においては、ユーザは、電源オン時に図4、5に示すルーチンで焦点距離を確定した後に、押しボタンスイッチ21を押下するだけで、設定した焦点距離を変更することができる。また、交換レンズ3のズームを手動で変更した場合でも、同様に焦点距離を変更することができる。押しボタンスイッチ21に焦点距離を変更するためのトリガ機能を持たせることで、入力部20の各種ボタンに既に割り当てられている機能に支障をきたすことなく、任意のタイミングで簡便に焦点距離を変更することができる。これにより、適切な焦点距離の値を用いて撮像素子12の精確な防振制御や撮像画像情報の作成を行うことができる。
【0058】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば、上記の説明では、ユーザに焦点距離情報の入力を要求する場合について説明したが、カメラ本体1の動作制御に必要な種々のレンズ情報の入力をユーザに要求してもよい。これにより、マウントアダプタに装着された交換レンズのレンズ特性に好適な制御処理をカメラ本体1側で行うことが可能となる。また、上記のルーチンにおいてユーザが使用する各種ボタンは、適宜変更することができる。カメラ本体1に新たにボタンを設けて上記の各種機能を割り当ててもよい。さらに、焦点距離入力画面に表示する各値は、表示部19において任意の構成で表示することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7