特許第5979630号(P5979630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979630
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】軒先構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20160817BHJP
   E04D 13/152 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   E04D13/15 G
   E04D13/152 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-81772(P2012-81772)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209864(P2013-209864A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】595031731
【氏名又は名称】株式会社神清
(73)【特許権者】
【識別番号】503341996
【氏名又は名称】エバー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】江原 正也
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昭範
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−032856(JP,A)
【文献】 特開2005−325543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/15
E04D 13/152
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その下端部から所定寸法だけ離間した位置に厚さ方向に貫通する空気流通孔が形成された野地板と、
上記野地板上に配置される平板状の屋根部材と、
上記野地板の軒先側で、かつ、上面側にその上端部を重ねて配置され、その下端部が上記野地板の下端部から突出する突出部を形成し、上記屋根部材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材と、
板状に形成され、上記野地板と上記屋根部材の間に位置し、その上端部が上記野地板の上面側であって上記空気流通孔の上側に固定され、その下端部が上記突出部の上方に位置すると共に、上記下端部が上記水切り部材側に近接するまで折曲され、上記下端部から上記空気流通孔まで空気を案内する案内空間を形成するための山部を有する通気部材とを備え、
上記水切り部材には、上記野地板の下端部に位置する部分と上記通気部材の下端部が位置する部分との間に通気孔が設けられていることを特徴とする軒先構造。
【請求項2】
上記水切り部材は、この上下方向の延長線上に、上記通気部材の下端部が位置する部分から突出する雨水案内部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
【請求項3】
上記水切り部材は、この上下方向の延長線上に、上記通気部材の下端部が位置する部分から突出する雨水案内部を備え、
上記雨水案内部には排水孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
【請求項4】
上記水切り部材は、この上下方向の延長線上に、上記通気部材の下端部が位置する部分から突出する雨水案内部と、
上記雨水案内部の下端部に位置し、上記野地板上面の上下方向の延長線上に設けられた緩衝板部とを備え、
上記雨水案内部には排水孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
【請求項5】
上記水切り部材と上記野地板との間には、上記水切り部材を支持するとともに、上記水切り部材の位置決めを行う水切り部材支持部材が水平方向に沿って間欠的に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
【請求項6】
上記通気部材と上記野地板との間には防水シートが配置され、
上記防水シートの下端部は、上記通気部材と上記水切り部材との間に配置され、
上記空気流通孔に対応する位置に通気孔を有することを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
【請求項7】
上記案内空間には、上記通気部材を下面側から支持し、上記水切り部材の通気孔から上記空気流通孔へ空気を案内する通気孔を有する通気部材支持部材を有することを特徴とする請求項1に記載の軒先構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の屋根部材と水切り部材を用いた軒先構造に関し、特に雨水を軒先に案内できるとともに、雨水の野地板への流入を防ぎ、かつ、軒先から屋内へ空気が流れる換気性を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の野地板上に設置する屋根部材として、平板状のコロニアルやシングル、金属屋根等を用いた家屋の屋根構造が提案されている。このような屋根部材は低コストであるとともに、防水性及び耐久性を兼ね備えている。
【0003】
また、野地板に雨水が滴下することを防ぐため、水切り部材が設置され、この水切り部材で受けた雨水を軒先から排出する軒先構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−257019号公報(段落番号[0002]〜[0003])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した軒先構造では、次のような問題があった。すなわち、平板状の屋根部材では野地板と屋根部材との間に空間を確保することができず、屋外から屋内への十分な通気性を有しない問題があった。
【0006】
そこで本発明は、雨水の野地板側への浸入を防ぎ、かつ、屋外から屋内へ通気可能な軒先構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の軒先構造は次のように構成されている。その下端部から所定寸法だけ離間した位置に厚さ方向に貫通する空気流通孔が形成された野地板と、上記野地板上に配置される平板状の屋根部材と、上記野地板の軒先側で、かつ、上面側にその上端部を重ねて配置され、その下端部が上記野地板の下端部から突出する突出部を形成し、上記屋根部材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材と、板状に形成され、上記野地板と上記屋根部材の間に位置し、その上端部が上記野地板の上面側であって上記空気流通孔の上側に固定され、その下端部が上記突出部の上方に位置すると共に、上記下端部が上記水切り部材側に近接するまで折曲され、上記下端部から上記空気流通孔まで空気を案内する案内空間を形成するための山部を有する通気部材とを備え、上記水切り部材には、上記野地板の下端部に位置する部分と上記通気部材の下端部が位置する部分との間に通気孔が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、平板状で野地板との間に空間のない屋根部材を用いた場合であっても、雨水の野地板上への浸入を防ぎ、かつ、軒先部野地板上から屋内への換気をさせることができる。これにより、狭小地などの軒の出のない住宅においても軒先の換気を行うことができる。また、屋根葺き替え時においても、軒天などの工事をすることなく、屋根工事だけで軒先の換気を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る軒先構造を一部破断して示す斜視図。
図2】同軒先構造を示す断面図。
図3】同軒先構造の要部を拡大して示す縦断面図。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る軒先構造の要部を拡大して示す縦断面図。
図5】本発明の第3の実施の形態に係る軒先構造を一部破断して示す斜視図。
図6】同軒先構造の要部を拡大して示す縦断面図。
図7】本発明の第4の実施の形態に係る軒先構造の要部を拡大して示す縦断面図。
図8】本発明の第5の実施の形態に係る軒先構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る軒先構造100を一部破断して示す斜視図、図2は同軒先構造100を示す断面図、図3は同軒先構造100の要部を拡大して示す断面図である。なお、図1中610は軒樋、Nは屋内を示し、図2中620は水切り部材支持部材、630は屋根部材、Fは空気の流通経路、Aは案内空間を示している。なお、図1において屋根部材630は省略している。
【0011】
軒先構造100は、野地板110と、野地板110の軒先側の上面に配置された水切り部材120と、その上端を野地板110に固定され、後述する通気孔123から後述する空気流通孔115へ空気を案内する案内空間Aを形成すると共に最下段の屋根部材を支持する通気部材130と、案内空間Aに配置され、通気部材130を下面側から支持する通気部材支持部材140を備えている。
【0012】
野地板110は、この下端部111から所定寸法(屋根部材630一枚のほぼ半分)だけ離間した位置に形成された、屋内Nに貫通する複数の空気流通孔115を有する。
【0013】
水切り部材120は金属製の板材を折曲して形成され、野地板110の軒先側の上面に沿って配置される本体部121と、この本体部121の下端側に形成され、野地板110の下端部111から突出した通気孔形成部122とを備え、水切り部材支持部材620を介して野地板110に固定されている。本体部121は野地板110の軒先側の上面に沿って配置されている。通気孔形成部122は、空気を案内空間Aに案内するスリット状の通気孔123を備える。
【0014】
通気部材130は金属製の板材を折曲して形成され、野地板110に固定する固定部131と、折曲されて野地板110の上面から離間する山部132と、山部132の下端部132aが野地板110側に直角に折曲された防雨部133とを備えている。固定部131は空気流通孔115の上側に固定釘Kaが貫通して固定されている。山部132は野地板110から離間して案内空間Aを形成しつつ、屋根部材630を下面側から支持している。防雨部133は、その下端部が水切り部材120の下端部に位置している。降雨時、吹き込む雨を防雨部133が受け止めることで、野地板110側に雨水が流入することを防ぐ機能を有する。
【0015】
通気部材支持部材140は案内空間Aに位置し、金属製で、相互に平行な上板141と下板142と、上板141と下板142の間に垂直に固定されている、相互に平行な複数の仕切板143とを備える構造を有する。流路144は、上板141と、下板142と、仕切板143とで囲まれた空間により形成されている。通気部材支持部材140は通気部材130から野地板110上面に貫通する固定釘Kbにより固定されている。また、流路144、水切り部材120の通気孔123から空気流通孔115へ空気を案内する通気孔144a及び144bを有する。これにより、通気部材支持部材140は通気部材130が屋根部材630や積雪等により撓むのを防ぎつつ、水切り部材120の通気孔123から空気流通孔115へ空気を案内することが可能である。
【0016】
このように構成された軒先構造100では、次のように雨水の排水、及び、換気を行う。すなわち、降雨があると、雨水は屋根部材630上を軒樋610に案内され、排水が行われる。また、野地板110側へ吹きつける降雨は、防雨部133に当たり、軒樋610に案内される。したがって、野地板110上に雨水が滴下することはない。
【0017】
一方、風Fは水切り部材120の下部を通り、通気孔123から野地板110上に案内される。その後、通気部材130下の通気部材支持部材140に形成された流路144を通り、空気流通孔115を通過し、屋内Nへ案内されて通気を行う。
【0018】
なお、水切り部材120の通気孔123から雨水が入り込むには下から上へ強く吹き上げる条件が必要であり、通気孔123から野地板110側へ雨水が浸入することは防止できる。
【0019】
本実施の形態に係る軒先構造100によれば、通気孔123を有する水切り部材120と、通気部材130とを用いることで野地板110側への雨水の浸入を防止しつつ、屋外から屋内Nへの換気を可能としている。また、通気部材支持部材140を用いることで、屋根部材630等により通気部材130が撓むのを防止しつつ、空気の流路を維持することができる。
【0020】
図4は本発明の第2の実施の形態に係る軒先構造200の要部を拡大して示す断面図である。なお、図4において、図3と同一機能部分には同一記号を付し、詳細な説明は省略する。
【0021】
図4に示すように、本実施の形態では、図1乃至図3の軒先構造100における水切り部材120に代わり、水切り部材220を用いている。水切り部材220は金属製の板材を折曲して形成され、野地板110の軒先側の上面に沿って配置される本体部221と、この本体部221の下端側に形成され、野地板110の下端部111から突出した通気孔形成部222と、通気孔形成部222の上下方向の延長線上に、通気部材130の下端が位置する部分から突出して形成される水切り部(雨水案内部)224とを備え、水切り部材支持部材620を介して野地板110に固定されている。本体部221は野地板110の軒先側の上面に沿って配置されている。通気孔形成部222は、空気を案内空間Aに案内するスリット状の通気孔223を備える。
【0022】
このように構成された軒先構造200では、次のように雨水の排水、及び、換気を行う。すなわち、降雨があると、雨水は屋根部材630上を水切り部224へ案内され、軒樋610に流れ落ち、排水が行われる。また、野地板110側へ吹きつける降雨は、防雨部133及び水切り部224に当たり、軒樋610に案内される。したがって、野地板110上に雨水が滴下することはない。
【0023】
一方、風Fは水切り部224の下部を通り、通気孔223から野地板110上に案内される。その後、通気部材130下の通気部材支持部材140に形成された流路144を通り、空気流通孔115を通過し、屋内Nへ案内されて通気を行う。
【0024】
本実施の形態に係る軒先構造200によれば、上述した軒先構造100と同様の効果を得られるとともに、野地板110側に吹き付ける降雨が水切り部224に当たることで、更なる防水効果を付加することが可能となる。
【0025】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る軒先構造300の斜視図、図6は同実施の形態に係る軒先構造300の要部を拡大して示す断面図である。なお、図5及び図6において、図3と同一機能部分には同一記号を付し、詳細な説明は省略する。また、図5において、屋根部材630は省略している。
【0026】
軒先構造300は、野地板110と、野地板110の軒先側の上面に配置された水切り部材320と、その上端を野地板110に固定され、後述する通気孔323から空気流通孔115へ空気を案内する案内空間Aを形成すると共に最下段の屋根材を支持しつつ通気部材130と、案内空間Aに配置され、通気部材130を下面側から支持する通気部材支持部材140を備えている。
【0027】
水切り部材320は金属製の板材を折曲して形成され、野地板110の軒先側の上面に沿って配置される本体部321と、この本体部321の下端側に形成され、野地板110の下端部111から突出した孔形成部322と、孔形成部322の下端側に位置する緩衝部326とを備え、水切り部材支持部材620を介して野地板110に固定されている。
【0028】
体部321は野地板110の軒先側の上面に沿って配置されている。孔形成部322は、本体部321側に位置し、空気を案内空間Aに案内するスリット状の通気孔323と、緩衝部326側に位置し、雨水の排水を行うスリット状の排水孔325を備える。孔形成部322において、通気孔323は本体部321側に位置し、排水孔325は緩衝部326側に位置する。緩衝部326は、孔形成部322の下端部に位置し、孔形成部322から上方に折曲されて形成されており、屋根部材630を流れ降りる雨水を受け止め、排水孔325へ案内する効果を有する。
【0029】
このように構成された軒先構造300では、次のように雨水の排水、及び、通気を行う。すなわち、降雨があると、雨水は屋根材630上を水切り部材320へ案内され、水切り部材320の緩衝部326に当たり、減速する。その後、水切り部材320の排水孔325を通して軒樋610に案内され、排水が行われる。また、野地板110側へ吹きつける降雨は、防雨部133及び孔形成部322に当たり、軒樋610に案内される。したがって、野地板110上に雨水が滴下することはない。
【0030】
一方、風Fは水切り部材320の排水孔325を通り、通気孔323から野地板110上に案内される。その後、通気部材130下の通気部材支持部材140に形成された通気孔144を通り、空気流通孔115を通過し、屋内Nへ案内されて通気を行う。
【0031】
なお、水切り部材320の通気孔323から雨水が入り込むには下から上へ強く吹き上げる条件が必要であり、通気孔323から野地板110側へ雨水が浸入することは防止できる。
【0032】
本実施の形態に係る軒先構造300によれば、上述した軒先構造200と同様の効果を得られるとともに、排水孔325を通る風Fにより、更なる換気効果を付加することが可能となる。また、屋根部材630を流れ降りる雨水が緩衝部326に当たることで、雨水が軒先の下部に流れ落ちることを防止できる。
【0033】
図7は本発明の第4の実施の形態に係る軒先構造400の要部を拡大して示す断面図である。なお、図7において、図3と同一機能部分には同一記号を付し、詳細な説明は省略する。
【0034】
図7に示すように、本実施の形態では、図4の軒先構造200における水切り部材220に代わり、水切り部材420を用いている。水切り部材420は金属製の板材を折曲して形成され、野地板110の軒先側の上面に沿って配置される本体部421と、この本体部421の下端側に形成され、野地板110の下端部111から突出した通気孔形成部422と、通気孔形成部422の上下方向の延長線上に、通気部材130の下端が位置する部分から突出して形成される水切り部(雨水案内部)424とを備え、水切り部材支持部材620を介して野地板110に固定されている。本体部421は野地板110の軒先側の上面に沿って配置されている。通気孔形成部422は、空気を案内空間Aに案内するスリット状の通気孔423を備え、水切り部424は、空気を通気孔423に案内するとともに、雨水を軒樋610に案内する排水孔425を備える。
【0035】
このように構成された軒先構造400では、次のように雨水の排水、及び、換気を行う。すなわち、降雨があると、雨水は屋根部材630上を水切り部424へ案内され、軒樋610に流れ落ち、排水が行われる。また、野地板110側へ吹きつける降雨は、防雨部133及び水切り部424に当たり、排水孔425を通して軒樋610に案内される。したがって、野地板110上に雨水が滴下することはない。
【0036】
一方、風Fは水切り部材420の排水孔425を通り、通気孔423から野地板110上に案内される。その後、通気部材130下の通気部材支持部材140に形成された通気孔144を通り、空気流通孔115を通過し、屋内Nへ案内されて通気を行う。
【0037】
本実施の形態に係る軒先構造400によれば、上述した軒先構造200と同様の効果を得られるとともに、排水孔425を通る風Fにより、更なる換気効果を付加することが可能となる。
【0038】
図8は本発明の第5の実施の形態に係る軒先構造500を示す断面図である。なお、図8において、図2と同一機能部分には同一記号を付し、詳細な説明は省略する。
【0039】
本実施の形態においては、軒先構造100における屋根部材630に代わり、金属材料を有する屋根部材640を用いている。屋根部材640は金属板を折曲して形成され、固定釘Kcによって野地板に固定されている。
【0040】
本実施の形態に係る軒先構造500によれば、上述した軒先構造100と同様に、風Fは通気孔123から野地板110上に案内される。その後、通気部材130下の通気部材支持部材140に形成された通気孔144を通り、空気流通孔115を通過し、屋内Nへ案内されて通気を行う。雨水は屋根材640上を軒樋610に案内される。また、本実施の形態における屋根部材640は、上述した他の実施例にも適用でき、それぞれの軒先構造と同様の効果を得ることができる。
【0041】
上述したように本発明によれば、軒先構造を、空気流通孔を有する野地板と、通気部材と、通気孔を有する水切り部材を用いることで、雨水の野地板側への浸入を防ぎ、かつ、屋外から屋内への通気をさせることができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、通気部材に十分な剛性を付加し、通気部材支持部材を用いない場合にも同様に適用できる。また、通気部材支持部材が樹脂材料を有する場合や、流路の断面形状が三角形を有する場合にも適用できるのは勿論である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]その下端部から所定寸法だけ離間した位置に厚さ方向に貫通する空気流通孔が形成された野地板と、上記野地板上に配置される屋根部材と、上記野地板の軒先側で、かつ、上面側にその上端部を重ねて配置され、その下端部が上記野地板の下端部から突出する突出部を形成し、上記屋根部材から滴下する雨水を上記野地板の軒先側に案内する水切り部材と、板状に形成され、上記野地板と上記屋根部材の間に位置し、その上端部が上記野地板の上面側であって上記空気流通孔の上側に固定され、その下端部が上記突出部の上方に位置し、上記下端部から上記空気流通孔まで空気を案内する案内空間を形成するための山部を有する通気部材とを備え、上記水切り部材には、上記野地板の下端部に位置する部分と上記通気部材の下端部が位置する部分との間に通気孔が設けられていることを特徴とする軒先構造。
[2]上記水切り部材は、この上下方向の延長線上に、上記通気部材の下端部が位置する部分から突出する雨水案内部を備えていることを特徴とする[1]に記載の軒先構造。
[3]上記水切り部材は、この上下方向の延長線上に、上記通気部材の下端部が位置する部分から突出する雨水案内部を備え、上記雨水案内部には排水孔が設けられていることを特徴とする[1]に記載の軒先構造。
[4]上記水切り部材は、この上下方向の延長線上に、上記通気部材の下端部が位置する部分から突出する雨水案内部と、上記雨水案内部の下端部に位置し、上記野地板上面の上下方向の延長線上に設けられた緩衝板部とを備え、上記雨水案内部には排水孔が設けられていることを特徴とする[1]に記載の軒先構造。
[5]上記水切り部材と上記野地板との間には、上記水切り部材を支持するとともに、上記水切り部材の位置決めを行う水切り部材支持部材が水平方向に沿って間欠的に配置されていることを特徴とする[1]に記載の軒先構造。
[6]上記通気部材と上記野地板との間には防水シートが配置され、上記防水シートの下端部は、上記通気部材と上記水切り部材との間に配置され、上記空気流通孔に対応する位置に通気孔を有することを特徴とする[1]に記載の軒先構造。
[7]上記案内空間には、上記通気部材を下面側から支持し、上記水切り部材の通気孔から上記空気流通孔へ空気を案内する通気孔を有する通気部材支持部材を有することを特徴とする[1]に記載の軒先構造。
【符号の説明】
【0043】
100,200,300,400,500…軒先構造、110…野地板、115…空気流通孔、120,220,320,420…水切り部材、123,223,323,423…通気孔、130…通気部材、140…通気部材支持部材、610…軒樋、620…水切り部材支持部材、630,640…屋根部材。
図1
図2
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図7
図8