(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁基板上に蓄熱層が形成され、この蓄熱層上にチップヒューズ長さ方向の両側の表電極部とこれらの表電極部の間のヒューズ要素部とからなるヒューズ膜が形成され、前記ヒューズ要素部上に保護膜が形成されているチップヒューズにおいて、
前記ヒューズ要素部の周囲を囲むように前記蓄熱層上及び前記表電極部上に矩形状の土手部が形成され、
前記土手部の内側に前記保護膜が形成されていることを特徴とするチップヒューズ。
【背景技術】
【0002】
電子機器のプリント配線基板に表面実装される部品の一種として、従来から小型のヒューズであるチップヒューズが知られている。このチップヒューズによって前記プリント配線基板における電子回路の過電流破壊を防止する。
【0003】
図12には従来のチップヒューズ1の断面図を示す。同図に示すように、アルミナ基板である絶縁基板2の表面2aにはエポキシ系樹脂によって蓄熱層(接着層)3が形成され、この蓄熱層3上に銅のヒューズ膜4が形成されている。即ち、絶縁基板2とヒューズ膜4との間に蓄熱層3を介在させることによって、ヒューズ膜4が絶縁基板2に接触しないようになっている。このため、チップヒューズ1への通電時にヒューズ要素部4bに生じる熱が、絶縁基板2に放熱されずに蓄熱層3に蓄熱される。
【0004】
ヒューズ膜4は、チップヒューズ1の長さ方向(
図12の左右方向:以下、これを単にチップヒューズ長さ方向と称する)の両側の表電極部4aと、これらの表電極部4aの間のヒューズ要素部(ヒューズエレメント)4bとからなるものである。ヒューズ要素部4bは表電極部4aに比べて幅の狭い部分であり、チップヒューズ1に過電流が流れたときにヒューズ要素部4bに生じる熱で溶断する溶断部である。ヒューズ要素部4bには、拡散防止のためにめっき膜5、溶断の助長のためにめっき膜6が設けられている。めっき膜5はニッケル膜であり、電気めっき法によって銅のヒューズ膜4上に形成されている。めっき膜6は錫膜であり、電気めっき法によってニッケル膜5上に形成されている。
【0005】
そして、ヒューズ要素部4b(錫膜6)上には、エポキシ系樹脂によってアンダーコートである第1の保護膜7が形成されている。また、この第1の保護膜7上にはエポキシ系樹脂によって第1のオーバーコートである第2の保護膜8が形成され、この第2の保護膜8上にはエポキシ系樹脂によって第2のオーバーコートである第3の保護膜9が形成されている。第3の保護膜9の表面9aには、レーザーマーキングによってマーク10が形成されている。このマーク10は、チップヒューズ1の定格電流などを表している。
【0006】
絶縁基板2の裏面2bにおけるチップヒューズ長さ方向の両側の部分2b−1には、銀系樹脂によって裏電極11が形成されている。絶縁基板2におけるチップヒューズ長さ方向の両側の端面2cには、銀系樹脂によって端面電極12が形成されている。端面電極12は表電極部4aから裏電極11に亘って形成されており、表電極部4aと裏電極11を電気的に接続している。
【0007】
また、端面電極12にはめっき膜13,14,15が設けられている。めっき膜13は銅膜であり、電気めっき法によって端面電極12上に形成されている。めっき膜14はニッケル膜であり、電気めっき法によって銅膜13上に形成されている。めっき膜15は錫膜であり、電気めっき法によってニッケル膜14上に形成されている。これらのめっき膜13,14,15は表電極部4aから絶縁基板2の裏面2bに亘って形成され、端面電極12及び裏電極11を全体的に覆っている。
【0008】
なお、チップヒューズが開示されている先行技術文献としては、例えば下記の特許文献1〜3がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、電子機器に対する更なる小型化や信頼性向上などの要求にともなってチップヒューズに対しても、更なる遮断性能の向上が要求されている。チップヒューズの遮断性能には、遮断前後の外観の変化や遮断時の持続アークなどがある。遮断性能の高いチップヒューズとは、遮断後でも飛散物を抑えるとともに遮断前の外観を維持することができ、且つ、遮断時における持続アークの時間が短いものである。
【0011】
かかる遮断性能を確認するため、上記従来のチップヒューズ1に対して試験条件を変えて次のような遮断試験A,Bを行った。
【0012】
遮断試験Aは32V、50Aでの遮断試験である。この遮断試験Aが行われたチップヒューズ1の遮断試験前の抵抗値は0.029Ωである。図示は省略するが、遮断試験Aを実施した結果、遮断時間は0.38msであった。そして、持続アークが少し見られ、且つ、外観上はヒューズ要素部4bが溶断したときの衝撃(圧力)で保護膜7,8,9の一部が破壊されて飛散し、この保護膜7,8,9の破壊部の周縁にヒューズ要素部4bの溶融物4b−1が付着した状態となった。エポキシ系樹脂によって形成された保護膜7,8,9は比較的硬いため、前記衝撃によって破壊され易い。
【0013】
遮断試験Bは76V、50Aでの遮断試験である。この遮断試験Bが行われたチップヒューズ1の遮断試験前の抵抗値は0.029Ωである。遮断試験Bを実施した結果、
図10(a)に示すように遮断時間は0.55msであり、0.2ms程度の長い持続アークが見られた。また、外観上は
図11に示すようにヒューズ要素部4bが溶断したときの衝撃(圧力)で保護膜7,8,9の一部が破壊されて飛散し、この保護膜7,8,9の破壊部16の周縁にヒューズ要素部4bの溶融物4b−1が付着した状態となった。
【0014】
従って本発明は上記の事情を鑑み、外観の維持や持続アークの低減などの遮断性能の向上を図ることができるチップヒューズ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決する第1発明のチップヒューズは、絶縁基板上に蓄熱層が形成され、この蓄熱層上にチップヒューズ長さ方向の両側の表電極部とこれらの表電極部の間のヒューズ要素部とからなるヒューズ膜が形成され、前記ヒューズ要素部上に保護膜が形成されているチップヒューズにおいて、
前記ヒューズ要素部の周囲を囲むように前記蓄熱層上及び前記表電極部上に矩形状の土手部が形成され、
前記土手部の内側に前記保護膜が形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、第2発明のチップヒューズは、第1発明のチップヒューズにおいて、
前記土手部におけるチップヒューズ長さ方向の両側の部分は、前記表電極部におけるチップヒューズ長さ方向の内側の端よりも、チップヒューズ長さ方向の外側に形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、第3発明のチップヒューズは、第1又は第2発明のチップヒューズにおいて、
前記表電極部は、チップヒューズ長さ方向の外側の第1電極部と、チップヒューズ長さ方向の内側の第2電極部とからなり、且つ、前記第2電極部の幅が前記第1電極部の幅よりも狭くなっており、
前記土手部におけるチップヒューズ幅方向の両側の部分は、前記第2電極部におけるチップヒューズ幅方向の両側の端よりも、チップヒューズ幅方向の外側に形成されて前記蓄熱層上に設けられており、
前記蓄熱層と前記土手部は同じ材料によって形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、第4発明のチップヒューズは、第3発明のチップヒューズにおいて、
前記蓄熱層と前記土手部は同じ感光基含有の材料によって形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、第5発明のチップヒューズは、第1〜第4発明の何れか1つのチップヒューズにおいて、
前記保護膜は、エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、第6発明のチップヒューズは、第5発明のチップヒューズにおいて、
前記保護膜上には、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって他の保護膜が形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、第7発明のチップヒューズは、第6発明のチップヒューズにおいて、
前記他の保護膜は、前記保護膜よりも膜厚が薄く形成されていることを特徴とする。
【0022】
また、第8発明のチップヒューズは、第6又は第7発明のチップヒューズにおいて、
前記他の保護膜は透明であり、
前記保護膜と前記他の保護膜との間には、シリコーン系樹脂によって前記保護層上に形成されたマークが設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、第9発明のチップヒューズの製造方法は、第1〜第8発明の何れか1つのチップヒューズの製造方法であって、
前記蓄熱層上及び前記表電極部上に前記矩形状の土手部を形成する第1の工程と、
前記土手部の内側に前記保護膜を形成する第2の工程と
を有することを特徴とする。
【0024】
また、第10発明のチップヒューズの製造方法は、第9発明のチップヒューズの製造方法において、
前記第1の工程では、前記ヒューズ要素部上、前記表電極部上及び前記蓄熱層上にシート状の感光基含有の材料を貼り付け、このシート状の感光基含有の材料を紫外線で露光し現像(フォトエッチング)することにより、前記矩形状の土手部を形成することを特徴とするチップヒューズの製造方法。
【発明の効果】
【0025】
第1発明のチップヒューズによれば、絶縁基板上に蓄熱層が形成され、この蓄熱層上にチップヒューズ長さ方向の両側の表電極部とこれらの表電極部の間のヒューズ要素部とからなるヒューズ膜が形成され、前記ヒューズ要素部上に保護膜が形成されているチップヒューズにおいて、前記ヒューズ要素部の周囲を囲むように前記蓄熱層上及び前記表電極部上に矩形状の土手部が形成され、前記土手部の内側に前記保護膜が形成されていることを特徴としているため、保護膜を形成する際に当該保護膜を形成するための材料(例えばエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂)が周辺に流れて広がろうとするのを、矩形状の土手部によって堰き止めることができる。従って、保護膜は十分に確保される。更に保護膜の端部においても膜厚が薄くなることがなく十分な厚さの膜厚が確保されるため、ヒューズ要素部が溶断したときの衝撃(圧力)によって前記保護膜が破壊されるのを防止することができる。
【0026】
第2発明のチップヒューズによれば、第1発明のチップヒューズにおいて、前記土手部におけるチップヒューズ長さ方向の両側の部分は、前記表電極部におけるチップヒューズ長さ方向の内側の端よりも、チップヒューズ長さ方向の外側に形成されていることを特徴としているため、土手部におけるチップヒューズ長さ方向の両側の部分がヒューズ要素部の端部に覆い被さることはない。このため、ヒューズ要素部が溶断したときの衝撃(圧力)によって土手部が破壊されるおそれはない。
【0027】
第3発明のチップヒューズによれば、第1又は第2発明のチップヒューズにおいて、前記表電極部は、チップヒューズ長さ方向の外側の第1電極部と、チップヒューズ長さ方向の内側の第2電極部とからなり、且つ、前記第2電極部の幅が前記第1電極部の幅よりも狭くなっており、前記土手部におけるチップヒューズ幅方向の両側の部分は、前記第2電極部におけるチップヒューズ幅方向の両側の端よりも、チップヒューズ幅方向の外側に形成されて前記蓄熱層上に設けられており、前記蓄熱層と前記土手部は同じ材料によって形成されていることを特徴としているため、土手部におけるチップヒューズ幅方向の両側の部分が全体的に蓄熱層上に設けられて蓄熱層に密着する。このため、土手部は密着性が高くなって剥離が確実に防止される。
【0028】
第4発明のチップヒューズによれば、第3発明のチップヒューズにおいて、前記蓄熱層と前記土手部は同じ感光基含有の材料によって形成されていることを特徴としているため、感光基含有の材料によって形成された土手部が、同じ感光基含有の材料によって形成された蓄熱層に確実に密着する。
【0029】
第5発明のチップヒューズによれば、第1〜第4発明の何れか1つのチップヒューズにおいて、前記保護膜は、エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成されていることを特徴としており、このエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された保護膜は、エポキシ系樹脂によって形成された従来の保護膜に比べて柔らく弾性があるため、ヒューズ要素部が溶断したときの衝撃(圧力)を吸収することができるため、前記衝撃によって破壊されにくい。
【0030】
第6発明のチップヒューズによれば、第5発明のチップヒューズにおいて、前記保護膜上には、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって他の保護膜が形成されていることを特徴としており、この無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって形成された他の保護膜はエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された保護膜に比べて硬く耐摩擦性・耐ブロッキング性が優れており、製造装置に引っ掛かり難く剥離もし難い。このため、チップヒューズの生産性が向上する。しかも、シリコーン系樹脂によって形成された他の保護膜は、同じシリコーン系樹脂によって形成された保護膜に対する密着性が高いため、剥がれにくい。更に、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって他の保護膜を形成したことにより、製品としての強度を向上させることができる。
【0031】
第7発明のチップヒューズによれば、第6発明のチップヒューズにおいて、前記他の保護膜は、前記保護膜よりも膜厚が薄く形成されていることを特徴としており、この他の保護膜は、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂で形成して硬くしただけではなく保護膜よりも膜厚を薄くすることによって前記保護膜の弾性を確保させているため、ヒューズ要素部が溶断したときの衝撃(圧力)を吸収し、前記衝撃によって破壊されるのを防止することもできる。
【0032】
第8発明のチップヒューズによれば、第6又は第7発明のチップヒューズにおいて、前記他の保護膜は透明であり、前記保護膜と前記他の保護膜との間には、シリコーン系樹脂によって前記保護層上に形成されたマークが設けられていることを特徴としており、保護膜とマークと他の保護膜が全体的にシリコーン系樹脂によって形成されているため、相互の密着性が高くて剥がれにくく、且つ、ヒューズ要素部が溶断したときの衝撃(圧力)吸収性も高くて破壊されにくい。従って、マークや保護膜を維持することができる。
【0033】
第9発明のチップヒューズの製造方法によれば、第1〜第8発明の何れか1つのチップヒューズの製造方法であって、前記蓄熱層上及び前記表電極部上に前記矩形状の土手部を形成する第1の工程と、前記土手部の内側に前記保護膜を形成する第2の工程とを有することを特徴としているため、第2の工程で保護膜を形成する際に当該保護膜を形成するための材料(例えばエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂)が周辺に流れて広がろうとするのを、第1の工程で形成した矩形状の土手部によって堰き止めることができる。従って、保護膜は端部においても膜厚が薄くなることがなく十分な厚さの膜厚が確保されるため、ヒューズ要素部が溶断したときの衝撃(圧力)によって前記保護膜が破壊されるのを防止することができる。
【0034】
第10発明のチップヒューズの製造方法によれば、第9発明のチップヒューズの製造方法において、前記第1の工程では、前記ヒューズ要素部上、前記表電極部上及び前記蓄熱層上にシート状の感光基含有の材料を貼り付け、このシート状の感光基含有の材料を紫外線で露光し現像(フォトエッチング)することにより、前記矩形状の土手部を形成することを特徴としているため、スクリーン印刷などによって土手部を形成した場合に比べて、土手部は厚さが均一になり、保護層を形成する材料の流れを堰き止める面である内側面が絶縁基板の表面に対して垂直になるため、より確実に保護層の端部の膜厚を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
まず、
図1〜
図3に基づき、本発明の実施の形態例に係るチップヒューズ21の構造について説明する。
なお、
図3では
図1に示されている第1の保護膜28と、第2の保護膜29と、マーク30と、端面電極32と、端面電極32上の銅膜33、ニッケル膜34及び錫膜35とを除いた状態を示している。また、
図3ではヒューズ要素部(ヒューズエレメント)24b及び表電極部24a(第2電極部24a−2)におけるニッケル膜25及び錫膜26の一部を破断して示し、
図4(d)では銅箔52の一部を破断して示し、
図5(a)では銅箔52及び感光性フィルム53の一部を破断して示している。
【0038】
図1〜
図3に示すように、アルミナ基板である絶縁基板22の表面22aには感光基含有のエポキシ系樹脂によって蓄熱層(接着層)23が形成され、この蓄熱層23上に銅のヒューズ膜24が形成されている。即ち、絶縁基板22とヒューズ膜24との間に蓄熱層23を介在させることによって、ヒューズ膜24が絶縁基板22に接触しないようになっている。このため、チップヒューズ21への通電時にヒューズ要素部24bに生じる熱が、絶縁基板22に放熱されずに蓄熱層23に蓄熱される。
【0039】
ヒューズ膜24は、チップヒューズ21の長さ方向(
図1〜
図3の左右方向:以下、これを単にチップヒューズ長さ方向と称する)の両側の表電極部24aと、これらの表電極部24aの間のヒューズ要素部24bとからなるものである。ヒューズ要素部24bは表電極部24aに比べて幅、即ちチップヒューズ21の幅方向(
図2,
図3の上下方向:以下、これを単にチップヒューズ幅方向と称する)の幅の狭い部分であり、チップヒューズ21に過電流が流れたときにヒューズ要素部24bに生じる熱で溶断する溶断部である。なお、ヒューズ要素部24bは、図示例ではチップヒューズ長さ方向に直線状に延びた形状になっているが、これに限定するものでなく、所望の溶断特性などに応じた適宜の形状(例えばジグザク状など)にすることができる。
【0040】
また、ヒューズ要素部24bには、拡散防止のためにめっき膜25、溶断の助長のためにめっき膜26が設けられている。めっき膜25はニッケル膜であり、電気めっき法によって銅のヒューズ膜24上に形成されている。めっき膜26は錫膜であり、電気めっき法によってニッケル膜25上に形成されている。
【0041】
表電極部24aは、チップヒューズ長さ方向の外側の第1電極部24a−1と、チップヒューズ長さ方向の内側の第2電極部24a−2とからなり、且つ、第1電極部24a−1の幅(チップヒューズ幅方向の幅)W1(
図3)よりも第2電極部24a−2の幅(チップヒューズ幅方向の幅)W2(
図3)のほうが狭くなっている。なお、めっきされたニッケル膜25と錫膜26は、抵抗値のばらつきを調整するため、ヒューズ要素部24bだけでなく表電極部24aの第2電極部24a−2にも設けられている。第2電極部24a−2の幅W2が第1電極部24a−1の幅W1に比べてが狭いため、ニッケル膜25及び錫膜26をめっき後の膜厚のばらつきや抵抗値のばらつきを調整することができる。
【0042】
そして、本実施の形態例のチップヒューズ21には感光基含有のエポキシ系樹脂によって土手部(ダム)27が形成されている。土手部27は矩形状(即ち
図2及び
図3に示すように上面視が矩形状)のものであり、ヒューズ要素部24bの周囲を囲むように蓄熱層23上及び表電極部24a上に形成されている。
【0043】
更に詳述すると、矩形状の土手部27は、チップヒューズ長さ方向の両側の部分27aと、チップヒューズ幅方向の両側の部分27bとからなるものである。
【0044】
チップヒューズ幅方向の両側の部分27bは、チップヒューズ長さ方向に直線状に延びており、表電極部24a(第2電極部24a−2)におけるチップヒューズ幅方向の両側の端24a−3よりもチップヒューズ幅方向の外側に形成されている。従って、チップヒューズ幅方向の両側の部分27bは、チップヒューズ長さ方向の中央部27b−1が蓄熱層23上に形成されているだけでなく、チップヒューズ長さ方向の両側の端部27b−2も蓄熱層23上に形成されており、全体的に蓄熱層23に密着している。
【0045】
チップヒューズ長さ方向の両側の部分27aは、チップヒューズ幅方向に直線状に延び、且つ、チップヒューズ幅方向の両端の内側27a−1が曲線になっており、表電極部24a上に形成されている。また、チップヒューズ長さ方向の両側の部分27aは、表電極部24a(第2電極部24a−2)におけるチップヒューズ長さ方向の内側の端24a−4(即ち表電極部24aとヒューズ要素部24bとの境界位置)よりもチップヒューズ長さ方向の外側に形成されている。なお、図示例では、チップヒューズ長さ方向の両側の部分27aが、表電極部24の第1電極部24a−1上と第2電極部24a−2上とに跨って形成されている。
【0046】
矩形状の土手部27の内側には、エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によってアンダーコートである黒色の第1の保護膜28が形成されている。即ち、第1の保護膜28は矩形状の土手部27の内側面27c(
図1)に沿って形成されている。第1の保護膜28はヒューズ要素部24b(錫膜26)上に形成され、更には表電極部24a(第2電極部24a−2)上及び蓄熱層23上にも形成されており、ヒューズ要素部24b(錫膜26)の全体と表電極部24a(第2電極部24a−2)の一部分と蓄熱層23の一部分とを覆っている。このエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28は、エポキシ系樹脂によって形成された従来の保護膜に比べて柔らかく弾性がある。
【0047】
第1の保護膜28上には、無機フィラー含有(例えばシリカ粉とアルミナ粉を含有)のシリコーン系樹脂によって透明なオーバーコートである第2の保護膜29が形成されている。この無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって形成された第2の保護膜29は、エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28に比べて硬いため、第1の保護膜28よりも膜厚を薄くすることによって弾性を持たせている。
【0048】
また、第1の保護膜28と第2の保護膜29との間には、シリコーン系樹脂によって乳白色のマーク30が形成されている。即ち、第1の保護膜28上にマーク30が形成され、このマーク30を覆うようにして第1の保護膜28上に第2の保護膜29が形成されている。第2の保護膜29が透明であるため、マーク30は第2の保護膜29の上から透けて見える。このマーク30は、チップヒューズ21の定格電流などを表している。
【0049】
絶縁基板22の裏面22bにおけるチップヒューズ長さ方向の両側の部分22b−1には、銀系樹脂によって裏電極31が形成されている。
絶縁基板22におけるチップヒューズ長さ方向の両側の端面22cには、銀系樹脂によって端面電極32が形成されている。端面電極32は、表電極部24aから裏電極31に亘って形成されており、表電極部24aと裏電極31を電気的に接続している。
【0050】
また、端面電極32にはめっき膜33,34,35が設けられている。めっき膜33は銅膜であり、電気めっき法によって端面電極32上に形成されている。めっき膜34はニッケル膜であり、電気めっき法によって銅膜33上に形成されている。めっき膜35は錫膜であり、電気めっき法によってニッケル膜34上に形成されている。これらのめっき膜33,34,35は土手部27から絶縁基板22の裏面22bに亘って形成され、端面電極32及び裏電極31を全体的に覆っている。
【0051】
次に、
図1〜
図9に基づき、本発明の実施の形態例に係るチップヒューズ21の製造工程について説明する。
【0052】
まず、絶縁基板スクライブ工程では、
図4(a)に示すように、シート状の絶縁基板(アルミナ基板)22の表面22aにレーザースクライブ法により、平行な複数本の第1スリット41と、平行な複数本の第2スリット42とを互いに直交するように形成する。その結果、個片領域43が縦横に複数連なった状態となり、1つの個片領域43が1個のチップヒューズ21に対応している。第1スリット41及び第2スリット42は、シート状の絶縁基板22を短冊状に切断し、更に各個片領域43に分割するためのものである。
【0053】
以後、絶縁基板22を第1スリット41及び第2スリット42で分割するまでは、各工程が複数の個片領域43に対して実施されるが、
図4の(b)〜(d)、
図5の(a)〜(d)、
図6の(a)〜(d)、
図7の(a),(b)、
図8の(a)〜(d)には、1つの個片領域43に相当する部分のみを示している。
【0054】
次の蓄熱層形成工程では、まず、
図4(b)に示すように蓄熱層23を形成するための材料であるBステージ状態のシート状の感光基含有の材料51を、絶縁基板22の上に貼り付ける(ラミネートする)。
なお、このシート状の感光基含有の材料51を貼り付ける方法としては、1枚又は複数枚の絶縁基板22に合わせた大きさに予め形成されているシート状の感光基含有の材料51を当該1枚又は複数枚の絶縁基板22の上に貼り付ける方法や、大きなシート状の感光基含有の材料51を1枚又は複数枚の絶縁基板22に合わせた大きさに切断して当該1枚又は複数枚の絶縁基板22の上に貼り付ける方法や、ロール状に巻かれている感光基含有の材料51を引き出してシート状にして1枚又は複数枚の絶縁基板22の上に貼り付ける方法などがある。
続いて、絶縁基板22上に貼り付けたシート状の感光基含有の材料51を、マスク(図示省略)を介して紫外線(UV)で露光し現像(フォトエッチング)することにより、
図4(c)に示すようなパターンの蓄熱層23を形成する。
【0055】
ここでは蓄熱層23を形成するためのシート状の感光基含有の材料51として、シート状もしくはロール状に形成された感光基含有のエポキシ系樹脂を用いた。なお、その他にも、蓄熱層23を形成するためのシート状の感光基含有の材料51としては、感光基を含有するポリイミド、シリコーン系樹脂、ポリエステル、アクリルポリマーなどをシート状もしくはロール状に形成したものを用いることもできる。
【0056】
次のヒューズ膜形成工程では、まず、
図4(d)に示すようにヒューズ膜24を形成するための材料である銅箔52を、蓄熱層23上に貼り付ける。
続いて、
図5(a)に示すようにマスクとなる感光性フィルム(レジスト)53を、銅箔52上に貼り付け、この感光性フィルム53を紫外線で露光し現像(フォトエッチング)することにより、
図5(b)に示すようなパターンにする。
続いて、
図5(c)に示すように銅箔52をエッチング(パターニング)し、その後、感光性フィルム53を剥がす。かくして、
図5(d)に示すようなパターンのヒューズ膜24、即ち先述のとおり、幅の広い第1電極部24a−1と幅の狭い第2電極部24a−2とからなる両側の表電極部24aと、これらの表電極部24aの間のヒューズ要素部24bとを有する構造のヒューズ膜24が形成される。
【0057】
次のヒューズ要素部形成工程では、
図6(a)に示すようにマスクとなるレジスト54を、表電極部24aの第1電極部24a−1の上にスクリーン印刷する。
この状態で電気めっき法によりニッケルめっきと錫めっきとを順次行うことによって、
図6(b)に示すようにレジスト54が施されていないヒューズ要素部24bの全体及び表電極部24aの第2電極部24a−2の上にめっき膜であるニッケル膜25と錫膜26とを形成する。
その後、
図6(c)に示すようにレジスト54を剥がして、めっき膜25,26が施されていない表電極部24aの第1電極部24a−1を露出させる。
【0058】
そして、次の土手部形成工程では、まず、
図7(a)に示すように土手部27を形成するための材料であるシート状に形成されたBステージ状態の感光基含有の材料55を、ヒューズ要素部24b上、表電極部24a上及び蓄熱層23上に貼り付ける(ラミネートする)。
なお、このシート状の感光基含有の材料55を貼り付ける方法としては、1枚又は複数枚の絶縁基板22に合わせた大きさに予め形成されているシート状の感光基含有の材料55を当該1枚又は複数枚の絶縁基板22におけるヒューズ要素部24b上、表電極部24a上及び蓄熱層23上に貼り付ける方法や、大きなシート状の感光基含有の材料55を1枚又は複数枚の絶縁基板22に合わせた大きさに切断して当該1枚又は複数枚の絶縁基板22におけるヒューズ要素部24b上、表電極部24a上及び蓄熱層23上に貼り付ける方法や、ロール状に巻かれている感光基含有の材料55を引き出してシート状にして1枚又は複数枚の絶縁基板22におけるヒューズ要素部24b上、表電極部24a上及び蓄熱層23上に貼り付ける方法などがある。
続いて、ヒューズ要素部24b上、表電極部24a上及び蓄熱層23上に貼り付けたシート状の感光基含有の材料55を、マスク(図示省略)を介して紫外線(UV)で露光し現像(フォトエッチング)することにより、
図7(b)に示すようなパターンの土手部27を形成する。即ち先述のとおり、チップヒューズ長さ方向の両側の部分27aとチップヒューズ幅方向の両側の部分27bとからなる矩形状であって、チップヒューズ幅方向の両側の部分27bが蓄熱層23上に形成され、チップヒューズ長さ方向の両側の部分27aが表電極部24a上に形成された構造の土手部27が形成される。
【0059】
ここでは土手部27を形成するためのシート状の感光基含有の材料55として、シート状もしくはロール状に形成された感光基含有のエポキシ系樹脂を用いた。なお、その他にも、土手部27を形成するためのシート状の感光基含有の材料55としては、感光基を含有するポリイミド、シリコーン系樹脂、ポリエステル、アクリルポリマーなどをシート状もしくはロール状に形成したものを用いることができる。
感光基含有の材料55によって形成した土手部27は、紫外線を照射して硬化させる。このとき土手部27は収縮して厚さが薄くなる。このため、本実施の形態例では、1枚の厚さが20〜60μmであるシート状の感光基含有の材料55を複数枚重ねて貼り付けた後に紫外線で露光し現像(フォトエッチング)して土手部27を形成し、この土手部27に紫外線を照射して硬化させる。このことによって製品化されたときには、5〜100μmの土手部27の厚みを確保するようにしている。
【0060】
次の第1の保護膜形成工程では、
図8(a)に示すようにエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂を用いて黒色の第1の保護膜28を、スクリーン印刷により矩形状の土手部27の内側に形成する。
【0061】
エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂は流動性が高いため、もし、土手部27が形成されていなければ、前記シリコーン系樹脂がスクリーン印刷後に周辺に流れて広がってしまうため、
図9に示すように第1の保護膜28は端部28aの膜厚が薄くなってしまう。
これに対して本実施の形態例では土手部27が形成されており、スクリーン印刷後に周辺に流れて広がろうとする前記シリコーン系樹脂の流れを土手部27(内側面27c)によって堰き止めることができるため、
図1に示すように第1の保護膜28は端部28aにおいても、膜厚が薄くなることはなく、十分な厚さの膜厚が確保される。
【0062】
エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28は、エポキシ系樹脂によって形成された従来の保護膜に比べて柔らかく弾性があることから、ヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)を吸収することができるため、前記衝撃によって破壊されにくい。
しかも、エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28は、土手部27によって端部28aの膜厚も確保されるため、前記衝撃によって端部28aが破壊されるおそれもない。
また、エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28は、エポキシキ基を含有していないシリコーン系樹脂によって生成された保護膜に比べて粘りがあるため、前記衝撃によって穴が開きにくい。
【0063】
次のマーク形成工程では、
図8(b)に示すようにシリコーン系樹脂を用いて乳白色のマーク30を、スクリーン印刷により第1の保護膜28上に形成する。乳白色のマーク30を形成するためのシリコーン系樹脂としては、例えば酸化アルミニウム、シリカ、カーボンブラック、ジメチルシクロシロキサンなどを成分とするもの用いることができる。
【0064】
次の第2の保護膜形成工程では、
図8(c)に示すように無機フィラー含有(例えばシリカ粉とアルミナ粉を含有)のシリコーン系樹脂を用いて透明な第2の保護膜29を、スクリーン印刷によりマーク30を覆うようにして第1の保護膜28上に形成する。
【0065】
仮に第2の保護膜29を第1の保護膜28と同様の柔らかなものにした場合には、第2の保護膜29が製造装置に引っ掛かり易く剥離もし易くなるため、チップヒューズの生産性が低下する。これに対して本実施の形態例では第2の保護膜29を無機フィラー含有のシリコーン系樹脂で形成して比較的硬くしたため、製造装置に引っ掛かり難く剥離もし難いため、チップヒューズの生産性が向上する。しかも、シリコーン系樹脂によって形成された第2の保護膜29は、同じシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28に対する密着性が高いため、剥がれにくい。
また、第2の保護膜29は、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂で形成して硬くし、第1の保護膜28よりも膜厚を薄くすることによって第1の保護膜28の弾性を確保させており、ヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)を吸収し、前記衝撃によって破壊されるのを防止することもできる。
【0066】
以後は、裏電極形成工程、一次分割工程、端面電極形成工程、二次分割工程、端面電極めっき工程などが順次実施される。
【0067】
裏電極形成工程では、銀系樹脂を用いて裏電極31を、スクリーン印刷により絶縁基板22の裏面22bに形成する(
図1)。
次の一次分割工程では、シート状の絶縁基板22を第1スリット41(
図4(a))に沿って分割することにより、短冊状にする。
次の端面電極形成工程では、銀系樹脂、ニッケル・クロム系、チタン系もしくは金系を用いて端面電極32を、印刷、ディップもしくはスパッタリングにより絶縁基板22の端面22cに表電極部24aから裏電極31に亘って形成する(
図1)。
次の二次分割工程では、短冊状の絶縁基板22を第2スリット42(
図4(a))に沿って分割することにより、各個片領域43にする。
次の端面電極めっき工程では、電気めっき法により銅めっきとニッケルめっきと錫めっきとを順次行うことによって銅膜33とニッケル膜34と錫膜35を土手部27から絶縁基板22の裏面22bに亘って形成し、これらのめっき膜33,34,35によって端面電極32及び裏電極31を全体的に覆う。
【0068】
かくして、
図1及び
図8(d)に示すようなチップヒューズ21が製造される。
【0069】
以上のように、本実施の形態例のチップヒューズ21によれば、絶縁基板22上に蓄熱層23が形成され、この蓄熱層23上にチップヒューズ長さ方向の両側の表電極部24aとこれらの表電極部24aの間のヒューズ要素部24bとからなるヒューズ膜が形成され、ヒューズ要素部24b上(図示例ではヒューズ要素部24bの錫膜26上)に保護膜が形成されているチップヒューズ21において、ヒューズ要素部24bの周囲を囲むように蓄熱層23上及び表電極部24a上に矩形状の土手部27が形成され、土手部27の内側に第1の保護膜28が形成されていることを特徴としているため、第1の保護膜28を形成する際に当該第1の保護膜28を形成するための材料であるエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂が周辺に流れて広がろうとするのを、矩形状の土手部27によって堰き止めることができる。従って、第1の保護膜28は端部28aにおいても膜厚が薄くなることがなく十分な厚さの膜厚が確保されるため、ヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)によって端部28aを含み、第1の保護膜28が破壊されるのを防止することができる。
【0070】
これに対して、もし、土手部27が形成されていなければ、
図9に示すように第1の保護膜28の端部28aの膜厚が薄くなってしまうため、この端部28aが特にヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)によって破壊され易くなる。
【0071】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21によれば、土手部27におけるチップヒューズ長さ方向の両側の部分27aは、表電極部24aにおけるチップヒューズ長さ方向の内側の端24a−4よりも、チップヒューズ長さ方向の外側に形成されていることを特徴としているため、土手部27におけるチップヒューズ長さ方向の両側の部分27aがヒューズ要素部24bの端部に覆い被さることはない。このため、ヒューズ要素部が溶断したときの衝撃(圧力)によって土手部27が破壊されるおそれはない。
【0072】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21によれば、表電極部24aは、チップヒューズ長さ方向の外側の第1電極部24a−1と、チップヒューズ長さ方向の内側の第2電極部24a−2とからなり、且つ、第2電極部24a−2の幅W2が第1電極部24a−1の幅W1よりも狭くなっており、土手部27におけるチップヒューズ幅方向の両側の部分27bは、第2電極部24a−2におけるチップヒューズ幅方向の両側の端24a−3よりも、チップヒューズ幅方向の外側に形成されて蓄熱層23上に設けられており、蓄熱層23と土手部は同じ材料(感光基含有のエポキシ系樹脂)によって形成されていることを特徴としているため、土手部27におけるチップヒューズ幅方向の両側の部分27bが全体的に蓄熱層23上に設けられて蓄熱層23に密着する。このため、土手部27は密着性が高くなって剥離が確実に防止される。
【0073】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21によれば、第1の保護膜28は、エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成されていることを特徴としており、このエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28は、エポキシ系樹脂によって形成された従来の保護膜に比べて柔らく弾性があるため、ヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)を吸収することができるため、前記衝撃によって破壊されにくい。
【0074】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21によれば、第1の保護膜28上には、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって第2の保護膜29が形成されていることを特徴としており、この無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって形成された第2の保護膜29はエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28に比べて硬く耐摩擦性・耐ブロッキング性が優れており、製造装置に引っ掛かり難く剥離もし難い。このため、チップヒューズ21の生産性が向上する。しかも、シリコーン系樹脂によって形成された第2の保護膜29は、同じシリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28に対する密着性が高いため、剥がれにくい。更に、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂によって第2の保護膜29を形成したことにより、製品としての強度を向上させることができる。
【0075】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21によれば、第2の保護膜29は、第1の保護膜28よりも膜厚が薄く形成されていることを特徴としており、この第2の保護膜29は、無機フィラー含有のシリコーン系樹脂で形成し第1の保護膜28よりも膜厚を薄くすることによって第1の保護膜28の弾性を確保させているため、ヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)を吸収し、前記衝撃によって破壊されるのを防止することもできる。
【0076】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21によれば、第2の保護膜29は透明であり、第1の保護膜28と第2の保護膜29との間には、シリコーン系樹脂によって第1の保護膜28上に形成されたマーク30が設けられていることを特徴としており、第1の保護膜28とマーク30と第2の保護膜29が全体的にシリコーン系樹脂によって形成されているため、相互の密着性が高くて剥がれにくく、且つ、ヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)吸収性も高くて破壊されにくい。
なお、仮にエポキシ系樹脂によってマーク30を形成した場合には、シリコーン系樹脂によって形成された第1の保護膜28との密着性が悪いため、マーク30が剥がれ落ちるおそれがある。また、エポキシ系樹脂によって形成したマーク30は硬く、ヒューズ要素部24bが溶断したときの衝撃(圧力)によって破壊され易いため、第1の保護膜28をエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂で形成して前記衝撃の吸収性を高めた効果が低減してしまう。
【0077】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21の製造方法によれば、蓄熱層23上及び表電極部24a上に矩形状の土手部27を形成する土手部形成工程(第1の工程)と、土手部27の内側に第1の保護膜28を形成する第1の保護膜形成工程(第2の工程)とを有することを特徴としているため、第1の保護膜形成工程(第2の工程)で第1の保護膜28を形成する際に当該第1の保護膜28を形成するための材料(エポキシキ基含有のシリコーン系樹脂)が周辺に流れて広がろうとするのを、土手部形成工程(第1の工程)で形成した矩形状の土手部27によって堰き止めることができる。従って、第1の保護膜28は端部28aにおいても膜厚が薄くなることがなく十分な厚さの膜厚が確保されるため、ヒューズ要素部24aが溶断したときの衝撃(圧力)によって端部28aを含み第1の保護膜28が破壊されるのを防止することができる。
【0078】
また、本実施の形態例のチップヒューズ21の製造方法によれば、土手部形成工程(第1の工程)では、ヒューズ要素部24b上、表電極部24a上及び蓄熱層23上にシート状の感光基含有の材料55を貼り付け、このシート状の感光基含有の材料55を紫外線で露光し現像(フォトエッチング)することにより、矩形状の土手部27を形成することを特徴としているため、スクリーン印刷などによって土手部を形成した場合に比べて、土手部27は厚さが均一になり、第1の保護膜28を形成するエポキシキ基含有のシリコーン系樹脂の流れを堰き止める面である内側面27cが絶縁基板22の表面22aに対して垂直になるため、より確実に第1の保護膜28の端部28aの膜厚を確保することができる。
【0079】
ここで、本実施の形態例のチップヒューズ21に対して行った遮断試験Cの結果について説明する。
【0080】
遮断試験Cは76V、50Aでの遮断試験である。この遮断試験Cが行われたチップヒューズ21の遮断試験前の抵抗値は0.032Ωである。遮断試験Cを実施した結果、
図10(b)に示すように遮断時間は0.14msであり、持続アークは見られなかった。また、外観上は、遮断後(ヒューズ要素部24bが溶断後)も保護膜28,29が破壊されておらず、遮断前のチップヒューズ21の外観(
図2に示すような状態)が維持された。