【実施例】
【0025】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。なお本実施例は金沢大学動物実験指針に基づいて行った。
【0026】
まず、以下の実施例1〜4において用いた実験方法の手順と、材料について説明する。
(卵巣摘出(OVX)手術と骨の組織形態学的解析)
ddYマウスを、標準的な12:12明暗周期でケージ内において、飼料と飲水は自由に摂取できるようにして、飼育した。 8週齢のマウスを、 ペントバルビタール(50 mg/kg)の腹腔内注射により麻酔した。Uno et al., J Pharmacol Sci 115: 309-319 (2011)に記載の方法に従って、無菌下でOVX手術と、シャム手術(卵巣摘出疑似手術)を行った。OVXマウスに0.3 mMもしくは3 mMの濃度で飲水に溶解したSPDもしくはSPMを、毎日、経口投与した。マウスを、手術28日後に骨頭摘出により屠殺し、その後大腿骨、脛骨、脊椎骨に解剖して、10%ホルマリンもしくは70%エタノールにより固定した。骨の組織形態学的解析を、Kajimura et al., J Exp Med 208: 841-851 (2011)に記載の方法に従って、脱灰されていない脊椎骨について行った。 簡単に説明すると、脊椎骨を10%ホルマリンで固定し、種々の濃度のエタノールにより脱水し、標準的なプロトコールに従って、メチルメタクリレート樹脂に包埋した。組織体積に対する骨体積の割合(BV/TV)は、Von Kossa染色により測定した。骨形成速度(Bone formation rate:BFR)は、カルセイン二重標識法により解析した。カルセインは3日間の間隔を開けて2度マウスに注射され、その後最後の注射から2日後にマウスを屠殺した。骨芽細胞と破骨細胞のパラメーターはそれぞれ、トルイジンブルーもしくは酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)により染色し解析した。解析は、Osteomeasure Analysis System (Osteometrics, Atlanta, GA) を用いて、Parfitt et al., J Bone Miner Res 2: 595-610 (1987)に記載の方法に従って行った。
【0027】
(破骨細胞の培養とTRAP染色)
初代培養破骨細胞を、Hinoi et al., Am J Pathol 170: 1277-1290 (2007)の方法に従って、骨髄から調製した。かかる初代培養骨芽細胞(マウス骨髄単球から破骨細胞へ分化させた細胞)を、20 ng/mlのマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)と、20 ng/mlのReceptor activator of nuclear factor-κB ligand(RANKL)の存在下で、5日間連続して培養した。前駆破骨細胞 RAW264.7細胞を、20 ng/ml RANKL存在下で、4日間連続して培養した。TRAP染色については、培養した細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の10%ホルマリンと、エタノール-アセトン(50:50; v/v)により固定した。その後、細胞を50 mmol/Lの酒石酸ナトリウムの存在下で、基質としてのリン酸ナフトールAS-MXと、色素としてのfast red violet LB saltを含む酢酸緩衝液(pH5.0)中でインキュベートした。5個以上の核を有するTRAP陽性細胞を、TRAP陽性多核細胞(MNCs)として評価した。
【0028】
(細胞生存率の測定)
培養した細胞をPBSで洗浄し、0.5 mg/mlの3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide(MTT)でインキュベートし、その後ウェルにイソプロピルアルコール中の0.04 M HClを添加し、ホルマザンを溶解するため混合物を懸濁した。懸濁物を酵素免疫定量法のリーダーで、波長550 nmにおける吸光度を測定した。
【0029】
(リアルタイム定量的RT-PCR)
トータルRNAを細胞から抽出し、逆転写酵素と、オリゴdTプライマーを用いてcDNAを合成した。cDNA試料を、各遺伝子に特異的なプライマーを用いたリアルタイムPCR解析(MX3005P instrument:Agilent Technologies, Santa Clara, CA, USA)の鋳型として使用した。 遺伝子の発現量は、内部標準として36b4遺伝子の発現量を用いて、各試料について補正した。
【0030】
(骨芽細胞の培養と、アルカリホスファターゼ(ALP)活性とCa
2+蓄積量の測定)
初代培養骨芽細胞(マウス頭蓋骨から調製した細胞)を、Uno et al., J Pharmacol Sci 115: 309-319 (2011)に記載の方法に従って、連続的に酵素によって消化する方法により、1日齢もしくは2日齢のマウスの頭蓋冠から調製した。前駆骨芽細胞 MC3T3-E1細胞を、分化用カクテル(50 μg/ml アスコルビン酸および5 mM β-グリセロフォスフェート)の存在下で培養した。ALP活性およびCa
2+蓄積量はUno et al., J Pharmacol Sci 115: 309-319 (2011)に記載の方法に従って測定した。簡単に説明すると、骨芽細胞を0.1% Triton X-100により可溶化し、可溶化物中のALP活性を基質としてp-ニトロフェノールリン酸を用いて測定した。可溶化物を、16.24時間塩酸により処理し、20,000 × gで遠心し、市販のキットを用いて上清のCa
2+蓄積量を測定した。
【0031】
(ルシフェラーゼアッセイ)
細胞をレポーターベクターにより形質転換した。その後細胞の可溶化物を調製し、ルミノメーター(ATTO, Tokyo, Japan)により特定の基質を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。形質転換効率は、Renilla luciferaseの活性を測定することにより補正した。
【0032】
(イムノブロッティングアッセイ)
培養した細胞を、1% Nonidet P-40を含む溶解バッファー中に可溶化した。試料をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、ニトロセルロース膜に転写し、Uno et al., J Pharmacol Sci 115: 309-319 (2011)に記載の方法に従ってイムノブロッティングアッセイを行った。定量は、ImageJを用いてデンシトメトリーにより行った。
【0033】
(データ解析)
結果は全て平均±S.E.で示し、統計学的有意差はtwo-tailedおよびunpairedのStudentのt検定、またはBonferroni/Dunnettのpost hoc検定による一元配置分散分析(one-way analysis of variance ANOVA)により検定した。
【0034】
(材料)
PUT、SPD、SPM、カルセイン、ナフトールAS-MXリン酸、fast red violet Lurina-Bertani saltは、Sigma(St. Louis, MO, USA)より購入した。組み換えマウスM-CSF、組み換えマウスRANKLはR&D Systems International(Minneapolis, MN, USA)から購入した。以下の抗体はすべて Cell Signaling Technology (Danvers, MA, USA)から購入した:抗グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH))抗体、抗リン酸化p65抗体、抗p65抗体、抗リン酸化κB阻害因子(IκB)抗体、抗IκB抗体。二重ルシフェラーゼアッセイシステムおよびRNase不含DNaseはPromega(Madison, WI, USA)から購入した。pNF-κB-LucはStratagene(La Jolla, CA, USA)より得た。M-MLV逆転写酵素はInvitrogen(Carlsbad, CA, USA)より得た。THUNDERBIRD SYBR qPCR Mixは東洋紡績株式会社(TOYOBO)(Osaka, Japan)より得た。ISOGENおよびcalcium C-testキットは、和光純薬工業株式会社(WAKO)(Osaka, Japan)より得た。他の化合物は、高純度の市販品を用いた。
【0035】
(実施例1)OVX誘導骨減少と破骨細胞活性化に対するSPDとSPMの阻害効果の確認
SPDもしくはSPMのいずれかを、卵巣摘出マウス(閉経後モデルマウス)に、経口投与した。その後、組織形態学的パラメータに加えて、組織体積に対する骨体積の割合(BV/TV)を測定した。
【0036】
OVXでは劇的に子宮の重量が減少したが、SPDもしくはSPM投与群では、OVXにより誘導される子宮重量の減少に影響を与えなかった(
図1A)。これらの実験の条件下では、シャム手術マウス群に比べて、卵巣摘出マウス群の脊椎の海綿骨におけるBV/TVの著しい減少が見られた(
図1B,C)。SPDもしくはSPMのいずれかの投与は、卵巣摘出マウスの海綿骨のBV/TVの減少を有意に抑制し、一方、シャム手術マウス群では全く影響が見られなかった(
図1B,C)。
【0037】
SPDおよびSPMの骨減少への予防的効果の細胞レベルでのメカニズムを明らかにするために、組織形態学的な解析を脊椎について行った。
【0038】
卵巣摘出マウスでは、骨表面に対する破骨細胞表面の割合(Oc.S/BS)は優位に増加しており、骨周囲長さに対する骨芽細胞数の割合(N.ob/B.Pm)と、脊椎骨における骨形成速度(BFR)は著しく上昇していた(
図2A〜C)。SPDもしくはSPMのいずれかの卵巣摘出マウスへの投与は、脊椎におけるOc.S/Bの有意な増加を防ぐが(
図2A)、N.ob/B.PmおよびBFR等の骨芽細胞に関するパラメータの顕著な上昇には影響を与えなかった(
図2B,C)。BV/TVの結果によれば、シャム手術群へのSPDもしくはSPMの投与による組織形態学な影響は見られなかった(
図2A〜C)。
【0039】
SPDもしくはSPMのいずれかの経口投与が、in vivoで卵巣摘出マウスにおいて、骨芽細胞に影響を与えることなく、破骨細胞の関与するパラメータOc.S/BSSの増加を有意に抑制することが確認された。
【0040】
(実施例2)SPDおよびSPMの、RANKL誘導破骨細胞分化の阻害効果
SPDもしくはSPMの骨吸収をする破骨細胞の細胞分化および成熟に対する影響を確認した。前駆破骨細胞のRAW264.7細胞を、RANKLの存在下で、1 nMから1μMのSPD、SPM、またはPUTとともに、4日間培養し、その後TRAP染色および、TRAP陽性の多核細胞(MNC)の数を計数した。
【0041】
SPDもしくはSPMの添加は、それぞれ100 nMもしくは10 nMを超えた濃度で、濃度依存的に、TRAP陽性の多核細胞の数を著しく減少させた(
図3A、B)。
【0042】
破骨細胞分化の阻害において、細胞生存率が関与するかを確認するために、RAW264.7細胞をRANKLの存在下でSPDもしくはSPMと共に培養し、MTTアッセイを行った。
【0043】
H
2O
2への暴露は、RAW264.7細胞においてMTT活性を著しく減少させたが、SPDもしくはSPMによる処理では、MTT活性の減少は見られなかった(
図3A,B)。さらに、ヨードプロピジウム陽性細胞は、SPDもしくはSPMで処理したRAW264.7細胞には全く見られなかった。1 nMから1 μMの濃度のPUTはTRAP陽性MNCの数と同様に細胞生存率に影響しなかった(
図3C)。 さらに、SPDもしくはSPMのいずれかの添加は、RANKL誘導破骨細胞分化を有意に阻害したが、初代培養破骨細胞(マウス骨髄単球から破骨細胞へと分化させた細胞)およびRAW264.7細胞の細胞生存率には影響を与えなった。
【0044】
さらに上記と同様にして細胞を培養した後、細胞からRNAを抽出し、各種遺伝子発現の解析を行った。
【0045】
1μMのSPDもしくはSPMで処理した場合は、数種の破骨細胞マーカー遺伝子(Ctsk、Calcr、Acp5、Mmp9、DC-STAMPとして知られるTm7sf4)のmRNA発現量が著しく減少していた(
図3D)。
【0046】
(実施例3)天然ポリアミンの細胞生存率、骨芽細胞の分化・成熟への影響の確認
天然ポリアミンの骨芽細胞への機能を確認するために、前駆骨芽細胞のMC3T3-E1細胞を、10 nMから1μMのSPD、SPMまたはPUTと共に、分化カクテルの存在下で、28日までの種々の期間、培養をした。その後、MTT活性により細胞生存率を確認し、ALP活性により細胞分化度を確認し、Ca
2+の蓄積量により細胞成熟度を確認した。
【0047】
図4A〜Cにおいてみられるように、これらの化合物はいずれも、どの濃度においても、MC3T3-E1細胞の細胞生存率、ALP活性に影響を与えなかった(
図4A〜C)。また、これらの化合物はいずれも、骨芽細胞の成熟度(Ca
2+蓄積量)に影響を与えなかった(
図4D)。さらに、これらの3つのポリアミンの継続的な処理は、初代培養骨芽細胞におけるALP活性およびCa
2+蓄積量に影響しなかった。
【0048】
(実施例4)SPDおよびSPMによる、破骨細胞におけるNF-κBの転写因子活性の阻害効果の確認
RANKLは、NF-κBの活性化を介した細胞内シグナル伝達経路を刺激することにより、破骨細胞の分化を促進することが知られている。SPDもしくはSPMによる破骨細胞分化阻害のメカニズムの検討のため、前駆破骨細胞のRAW264.7細胞をpNF-κB-Luc(5個のNF-κB結合配列を含むルシフェラーゼレポータープラスミド)により、一過的形質転換をした。RANKLの存在下で、SPDもしくはSPMにより処理を行い、ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0049】
50 ng/mlでRANKLを添加した場合は、形質転換された細胞においてルシフェラーゼ活性が3倍になった。RANKLの存在下で、1μMより高い濃度のSPDもしくはSPMを添加した場合は、RANKLによるルシフェラーゼ活性の上昇を有意に阻害した(
図5A)。
【0050】
さらに破骨細胞におけるRANKLにより開始されるシグナル伝達経路に対するSPDもしくはSPMの影響を確認した。RANKLの存在に関わらず、SPDもしくはSPMのいずれかによる処理は、p65およびIκBのリン酸化に影響しなかった。
図5Bは5分間処理を行った場合の写真である。すなわちSPDやSPMは、NF-κBのシグナルを制御するIκBや、p65(NF-kB構成因子の一つ)には影響しなかった。
【0051】
さらにERK、JNK、もしくはAktのリン酸化に対するSPDもしくはSPMの影響を確認したところ、RANKLの存在に関わらず影響は見られなかった。RANKLにより開始されるシグナル伝達経路として、NF-κBを介した経路以外に、ERKやJNK、Aktを介した経路が知られているが、SPDおよびSPMは、ERK等を介した経路には影響を与えないことがわかった。
【0052】
(実施例5)コラーゲン誘導関節炎(Collagen induced arthritis:CIA)動物モデルにおける、浮腫増大とRANKL発現量増加に対する、SPDとSPMの阻害効果の確認
CIA動物モデルにSPDまたはSPMを経口投与し、体重、足の容積、軟骨または関節滑液におけるRANKL等の発現量を測定した。
【0053】
(CIA動物モデルの作製とSPDまたはSPMの経口投与)
ルイス(Lewis)ラット(雌)を、標準的な12:12明暗周期でケージ内において、飼料と飲水は自由に摂取できるようにして、飼育した。
図6に示すように、8週齢のラットに、実験開始0日目、7日目、14日目に、Type IIコラーゲンと、完全フロイントアジュバントの混合物であるエマルジョンを、ラットの背中あるいは尾部付近に皮内投与した(コラーゲン1mg/mL(最終濃度)を0.5mL投与)。また、実験開始0日目から28日目まで、3 mMの濃度で飲水に溶解したSPDもしくはSPMを、毎日、同じラットに経口投与した(各々CIA+SPDラット、もしくはCIA+SPMラットと称する)。コントロールとして、SPDおよびSPMを溶解していない飲水を与えたラットを、関節炎を呈しているCIA動物モデル(CIAラット)とした。また、コラーゲンを皮内投与していないラットを正常(Normal)ラットとした。正常ラットには、SPDおよびSPMを溶解していない飲み水を与えた。実験開始0日目から28日目まで、7日間ごとに各ラットの体重を測定した。実験開始28日目に、CIAラットから軟骨または関節滑液を採取した。
【0054】
(リアルタイム定量的RT-PCR)
トータルRNAを細胞から抽出し、逆転写酵素と、オリゴdTプライマーを用いてcDNAを合成した。cDNA試料を、各遺伝子(TNF-α、IL-1β、RNAKL、MMP13、Col II、Col X)に特異的なプライマーを用いたリアルタイムPCR解析(MX3005P instrument:Agilent Technologies, Santa Clara, CA, USA)の鋳型として使用した。 遺伝子の発現量は、内部標準として36b4遺伝子の発現量を用いて、各試料について補正した。
【0055】
(CIA動物モデルの足の容積の測定)
各種ラットの足(後肢)の容積を、足容積測定試験装置を用いて測定した。関節炎発症の基準を用いて4段階で評価(0:変化なし、1:足指の腫脹、2:足指および足裏の腫脹、3:足全体の腫脹、4:重度の腫脹)することにより、足の容積のスコア化を行った。
【0056】
(データ解析)
結果は全て平均±S.E.で示し、統計学的有意差はtwo-tailedおよびunpairedのStudentのt検定、またはBonferroni/Dunnettのpost hoc検定による一元配置分散分析(one-way analysis of variance ANOVA)により検定した。
【0057】
(材料)
SPD、SPMは、Sigma(St. Louis, MO, USA)より購入した。ルイス(Lewis)ラットは
Charles Riverから購入した。M-MLV逆転写酵素はInvitrogen(Carlsbad, CA, USA)より得た。THUNDERBIRD SYBR qPCR Mixは東洋紡績株式会社(TOYOBO)(Osaka, Japan)より得た。他の化合物は、高純度の市販品を用いた。
【0058】
各種ラットの体重を測定した結果を
図7に示す。SPDもしくはSPMを投与していないCIAラットでは、既報のとおり(Trentham et al., J. Exp. Med. 1977)体重減少が認められた。SPDもしくはSPMを投与した場合も同様に、体重減少が認められた。
【0059】
各種ラットから実験開始28日目に採取した軟骨における、各種mRNA発現量を確認した結果を
図8に示す。SPDもしくはSPMを投与していないCIAラットでは、TNF-αおよびRANKLの発現量が増大しており、IL-1βの発現量が減少していた。MMP13、Col II、Col Xの発現量については有意な変化は認められなかった。SPDおよびSPMを投与した場合、TNF-α発現量の増大、IL-1β発現量の減少には影響が認められなかったが、SPMを投与した場合においてのみ、RANKL発現量の増大の抑制が認められた。なお、MMP13、Col II、Col XについてもSPDもしくはSPMを投与による影響は認められなかった。
【0060】
各種ラットから採取した関節滑液における、各種mRNA発現量を確認した結果を
図9に示す。SPDもしくはSPMを投与していないCIAラットでは、TNF-αおよびRANKLの発現量が増大しており、IL-1βの発現量には有意な差は認められなかった。SPDおよびSPMを投与した場合、TNF-α発現量の増大、IL-1β発現量には有意な変化が認められなかったが、RANKL発現量の増大の抑制が認められた。
関節炎では、SPDまたはSPMがRANKL発現量の増大を抑制することにより、破骨細胞の分化及び/又は増殖を抑制し、関節の骨・軟骨破壊の進行を抑制し得ると考えられた。
【0061】
各種ラットの足の容積(浮腫)を測定した結果を
図10に示す。ラットの足の容積(左図)では、既報のとおり足の容積が増大していた。SPMを投与した場合は実験開始14日後に、足の容積の増大の抑制が認められた。また、ラットの足の浮腫の程度をスコア化したところ(右図)、SPMを投与した場合は実験開始14日後および21日後に、足の浮腫程度の減弱が認められた。関節炎による足の浮腫発症が、SPMにより遅延されることがわかった。