特許第5979659号(P5979659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テンパール工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000002
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000003
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000004
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000005
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000006
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000007
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000008
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000009
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000010
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000011
  • 特許5979659-回路遮断器のハンドルロック部材 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979659
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】回路遮断器のハンドルロック部材
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20160817BHJP
   H01H 73/12 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   H01H73/02 A
   H01H73/12
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-10688(P2012-10688)
(22)【出願日】2012年1月23日
(65)【公開番号】特開2013-149544(P2013-149544A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109598
【氏名又は名称】テンパール工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今川 誠
(72)【発明者】
【氏名】毎熊 健造
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−067550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/02
H01H 73/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点開閉機構を開閉操作する操作部材が器体内に回動自在に設けられる回動部材と該回動部材から器体外に延出される操作ハンドル部材とから構成されてなる回路遮断器における
前記操作ハンドル部材を、前記器体から操作ハンドルが倒立した接点開状態及び器体に操作ハンドルが倒伏した接点閉状態に固定するハンドルロック部材であって、
該ハンドルロック部材は、
倒立した操作ハンドル部材が貫通する第一の枠部と、
前記開状態又は閉状態を示す開閉表示を器体の外部に露出させる第二の枠部とが連設されて形成されたことを特徴とするハンドルロック部材。

【請求項2】
前記第一の枠部には、前記器体の幅方向において夫々設けられた一対の凹部に嵌合する引掛爪が設けられ、前記第二の枠部には、前記倒伏した操作ハンドルの先端部を覆う覆い部が設けられるとともにハンドルロック部材を取り外すときの引掛片を設けたことを特徴とする請求項1記載のハンドルロック部材。
【請求項3】
前記枠部における開口部の器体の幅方向の大きさは、
前記第一の枠部の開口部においては操作ハンドルが貫通する程度に設ける一方、
前記第二の枠部の開口部においては操作ハンドルが貫通されない程度に、第一の枠部の開口部よりも小さく設けて構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハンドルロック部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤に収容される回路遮断器の操作ハンドルを、開路状態又は閉路状態に保持し、不用な操作を防止するための回路遮断器のハンドルロック部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器においては、接続される電気機器の保守の観点から、該回路遮断器の接点を開閉するための操作ハンドルを閉位置又は開位置のいずれかの位置にロックして操作を禁止するためのハンドルロック部材が設けられることがある。即ち、非常灯など常時電源を供給される必要がある電気機器が接続されている場合には操作ハンドルを閉位置にロックし、所定の条件下でのみ電源を供給される必要がある電気機器が接続されている場合には操作ハンドルを開位置にロックして使用を行なう場合に、ハンドルロック装置が設けられる。
【0003】
ハンドルロック装置の例としては、例えば特許文献1に開示されているように、操作ハンドルが器体から延出している方向から該操作ハンドル部に覆い被せるように装着するものや、ハンドル部の転動軌跡を含む面と直交する方向から操作ハンドル部に装着するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−56765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたようなハンドルロック装置においては次のような課題がある。まず、操作ハンドルが閉位置にある時と、開位置にある時とで、ハンドルロック装置をハンドルに装着する方向を異ならせて装着する必要があるため、装着時に手間取るおそれがあった。分電盤は室内における暗がりや狭い場所に設けられることがあり、このような場所でのハンドルロック装置の装着においては、簡便な装着が求められる。
【0006】
次に、回路遮断器において、器体から延出している操作ハンドルの根元付近に記載されていることが多い接点位置の閉路又は開路の表示手段(入−切表示又はON−OFF表示等)が、前記ハンドルロック装置によって隠れてしまい、前記表示手段が外部から確認できないという課題がある。この場合、操作ハンドルの所在位置を確認することによって接点位置がどの位置にあるのかを確認することができるが、操作ハンドルの位置と合わせて前記表示手段を確認し得えたほうがより電気的な安全性が向上する。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、
回路遮断器の操作ハンドルが閉位置にあるとき又は開位置にあるときにかかわらず、接点位置の表示手段が外部から視認でき、なおかつ、操作ハンドルへの着脱しやすさを確保しながらも確実にハンドルロックの状態を保持することができる回路遮断器のハンドルロック部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る分電盤は、上述の課題を解決すべく構成されたもので、接点開閉機構を開閉操作する操作部材が器体内に回動自在に設けられる回動部材と該回動部材から器体外に延出される操作ハンドル部材とから構成されてなる回路遮断器における前記操作ハンドル部材を、前記器体から操作ハンドルが倒立した接点開状態及び器体に操作ハンドルが倒伏した接点閉状態に固定するハンドルロック部材であって、該ハンドルロック部材は、倒立した操作ハンドル部材が貫通する第一の枠部と、前記開状態又は閉状態を示す開閉表示を器体の外部に露出させる第二の枠部とが連設されて形成されたことを特徴として構成するとよい。
【0009】
かかる構成によれば、開閉表示が第二の枠部から外部に露出されることにより、操作ハンドルが閉位置にあるとき又は開位置にあるときにかかわらず、接点位置の表示手段を外部から視認できる。
【0010】
また、前記第一の枠部には、前記器体の幅方向において夫々設けられた一対の凹部に嵌合する引掛爪が設けられ、前記第二の枠部には、前記倒伏した操作ハンドルの先端部を覆う覆い部が設けられるとともに、ハンドルロック部材を取り外すときの引掛片を設けて構成してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、ハンドルロック部材を装着する場合は、倒立した操作ハンドルを第一の枠部に貫通させつつ、そのまま器体の前記凹部に前記引掛爪を嵌合させることによりハンドルロック部材の装着が完了する。一方、ハンドルロック部材を取り外す場合は、前記引掛片に手指を掛けて引き剥がすようにすれば、引き剥がす力に前記凹部と引掛爪との嵌合が屈して外れる。
【0012】
また、前記枠部における開口部の器体の幅方向の大きさは、前記第一の枠部の開口部においては操作ハンドルが貫通する程度に設ける一方、前記第二の枠部の開口部においては操作ハンドルが貫通されない程度に、第一の枠部の開口部よりも小さく設けて構成してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、ハンドルロック部材を回路遮断器に装着する場合に、ハンドルロック部材の装着向きを違えた状態では該ハンドルロック部材を装着することが行なえず、利用者は装着が誤っていることに気付きやすい。
【発明の効果】
【0014】
以上の如く、本発明によれば、回路遮断器の操作ハンドルが閉位置にあるとき又は開位置にあるときにかかわらず、接点位置の表示手段が外部から視認でき、なおかつ、操作ハンドルへの着脱しやすさを確保しながらも確実にハンドルロックの状態を保持することができる回路遮断器のハンドルロック部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一の実施形態を示すハンドルロック部材の外観構成図を示す。
図2】ハンドルロック部材を接点開状態の回路遮断器に装着するときの説明図を示す。
図3】ハンドルロック部材を接点開状態の回路遮断器に装着した状態の説明図を示す。
図4】ハンドルロック部材を装着した状態の部分断面図を示す。
図5】ハンドルロック部材を接点閉状態の回路遮断器に装着するときの説明図を示す。
図6】ハンドルロック部材を接点閉状態の回路遮断器に装着した状態の説明図を示す。
図7】ハンドルロック部材を接点閉状態の回路遮断器に装着した状態の要部拡大図を示す。
図8】ハンドルロック部材を接点開状態の回路遮断器に装着した状態の説明図を示す。
図9】従来例におけるハンドルキャップを示す。
図10】本発明の他の形態を示すハンドルロック部材の外観構成図を示す。
図11】他の形態のハンドルロック部材を漏電遮断器に適用するときの説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のハンドルロック部材の第一の実施形態を図1を用いて説明し、回路遮断器への適用を図2から図8を用いて説明する。
【0017】
(第一の実施形態)
図1にはハンドルロック部材2の外観構成図を示している。図1(a)はハンドルロック部材2を正面から臨んだ図で、図1(b)はハンドルロック部材のやや背面から臨んだ図である。
ハンドルロック部材2は、回路遮断器の操作ハンドル部分に外部から被せるように装着することにより、回路遮断器の外部から操作ハンドルを操作できないようにするためのものである。以下、前記回路遮断器の操作ハンドルに装着したときに表側となる面を正面、裏側となる面を背面として説明を行なう。
【0018】
ハンドルロック部材2は樹脂成形されている。該ハンドルロック部材2の外形形状は、全体として略直方体形状に設けられ、正面視において枠部が2つ連設された形状で形成される。背面側は、ハンドルロック部材2を前記操作ハンドル部に被せたときに、該操作ハンドル部を収容できるよう、これら枠部の周縁部から延設された壁部24(24a〜24f)により凹部が形成される。
【0019】
次に、これら2つの枠部について説明を行なう。図1(a)における下側の枠部を第一の枠部21とし、上側の枠部を第二の枠部22とする。夫々の枠部は互いに異なる役割を有しており、第一の枠部21は、回路遮断器における倒立した状態の操作ハンドルを貫通させる枠部であり、第二の枠部22は、回路遮断器における接点の開状態若しくは閉状態を表す開閉表示を器体の外部に露出させる枠部である。
【0020】
前記枠部には夫々開口部を設けている。これら開口部の幅方向の大きさは、前記第一の枠部21の開口部21Cにおいては前記操作ハンドルが貫通する程度に設けられる一方、前記第二の枠部22の開口部22Cにおいては操作ハンドルが貫通されないように、第一の枠部の開口部よりも小さく、前記開閉表示を外部から視認できる程度に操作ハンドルの幅方向の大きさよりも小さく設けられる。ハンドルロック部材2を操作ハンドル部に被せるときの方向性が一義的に定まり、利用者にとって装着方向を自ずと分かりやすくできる。
【0021】
第一の枠部21に設けられる壁部24(24a〜24c)は、幅方向の壁部24a,24cと、下方の壁部24bが夫々分離形成されている。このうち幅方向に形成される壁部24a,24cは、第一の枠部から延出した腕部A(21D)及び腕部B(21E)により形成され、これら腕部A及び腕部Bの端部には、ハンドルロック部材2を回路遮断器の器体側に嵌合させるための引掛爪21A及び引掛爪21Bが設けられる。
【0022】
前記腕部A及び腕部Bは引掛爪21A及び21Bを回路遮断器の器体側に嵌合させるときに弾性的に撓むよう、第一の枠部21の周縁部の一部を延出させ変形しやすいように構成している。また、腕部の撓み長さを確保するため、前記枠部21の周縁部から一旦前記幅方向に延出させた後に背面方向に向かって延出させている。これにより、ハンドルロック部材2を回路遮断器に繰り返し装着又は取り外しする操作を行なったときにおいても、腕部が応力疲労し、白化、折れなどにより装着が行なえなくなることを回避できる。
【0023】
第二の枠部22に設けられる壁部24(24d〜24f)は、幅方向の壁部と情報の壁部が連続的に形成されている。また、該第二の枠部22の上方に設けられた壁部24eの正面側には、回路遮断器に装着されたハンドルロック部材2を取り外す際に手指を掛けるための引掛片22Bが形成されている。前記引掛片22Bは、前記第二の枠部22の周縁部から図1における上方側に延出させて形成している。回路遮断器に装着されたハンドルロック部材2を取り外す時には、前記引掛片22Bに手指を引掛け、手前側に引き剥がすようにすれば、前記第一の枠部に設けられた引掛爪21A、21Bと回路遮断器の器体の幅方向において夫々設けられた一対の凹部との嵌合が外れ、ハンドルロック部材2の装着が解かれる。
【0024】
第二の枠部22における役割は、前述したようなハンドルロック部材2の装着を解く際の手指を引掛けるための他、以下のように2つある。まず第1に、第二の枠部22における開口部22Cは、回路遮断器における操作ハンドルの根元付近に記載された開閉表示を器体の外部から視認可能に露出させるものである。
【0025】
第2に、回路遮断器の操作ハンドルが器体側に倒伏している場合、即ち接点が閉状態となっている場合にハンドルロック部材を装着するときに、この倒伏した操作ハンドルを、第二の枠部22に設けられる壁部(24d〜24f)で囲まれて形成された凹部に収容するものである。操作ハンドルが該凹部に収容されることにより、該操作ハンドルの正面側の一部が前記第二の開口部22Cから露出する一方、該操作ハンドルの先端部及び幅方向の側面部分は第二の枠部に覆われ、ハンドルロック部材2を装着した後は、器体外部からは該ハンドルロック部材を倒伏状態から倒立状態に変化させる操作を行なうことができない構成としている。
【0026】
操作ハンドルが倒伏している場合にハンドルロック部材2を装着した場合には、該操作ハンドルの根元付近において表示される閉表示が前記第二の開口部22Cから外部に露出することにより、閉表示を外部から視認することができる。
【0027】
操作ハンドルが倒立している場合にハンドルロック部材2を装着した場合には、前記第一の枠部21から操作ハンドルが露出する状態となる。この状態から操作ハンドルを倒伏状態に操作しようとしたときは、倒立した操作ハンドルの先端部よりも器体寄りに低く設けられた第一の枠部21と第二の枠部22の連設部23に、該操作ハンドルが当接することにより、倒立状態から倒伏状態への変位を妨げられることにより、倒立している状態が保持される。
【0028】
続いて、本発明のハンドルロック部材2を回路遮断器に適用する場合について、図2〜8を用いて説明を行なう。本回路遮断器1は、分電盤の分岐回路遮断器として用いられる回路遮断器である。回路遮断器1の外郭は器体A11及び器体B12から構成され、長手方向の一端には、分電盤に設けられる母線に接続される各極の電源側端子13A及び13Bが設けられ、他端には負荷側の電路に接続される各極の負荷側端子13Cが設けられる。器体内部には、前記電源側端子及び負荷側端子に接続されて電路を開閉する開閉機構部が設けられている。該開閉機構部に設けられた接点を開閉されることにより、電路に流れる電流が遮断若しくは復電される。
【0029】
器体の正面側には、器体の外部から前記開閉機構部を操作し電路を開閉するための操作部材が設けられる。該操作部材はリンク機構を介して前記開閉機構部と接続され、該開閉機構と連動して動作する。前記操作部材は、器体に回動自在に支持される回動部材14Aと該回動部材14Aから器体外に延出される操作ハンドル部材14Bとから構成される。操作ハンドル部材14Bを器体の外部から操作することにより、回動部材14Aが所定の方向に回転し、器体内部の開閉機構に操作が伝達される。
【0030】
操作ハンドル部材14Bは、接点の開閉状態に応じて回動位置が変化する。接点が開状態のときは器体から延出した倒立状態(図1)となり、接点が閉状態のときは器体側に倒れた倒伏状態(図5)となる。また、器体の正面側には、操作ハンドル部材14Bの根元付近の一部を囲むように、器体から突設配置された囲繞部12Bが設けられる。該囲繞部12Bの高さは、倒伏状態における操作ハンドルの正面側の高さと略同一に設けられる。
【0031】
前記囲繞部12Bの幅方向の側面部には、前記ハンドルロック部材2の引掛爪A21A及び引掛爪B21Bが嵌合する爪受溝12Aが、回路遮断器1の電源側から負荷側の方向に溝状に形成される。また、該囲繞部12Bの負荷側方向の突設部分は、前記ハンドルロック部材2の壁部24bと係合する。
【0032】
この囲繞部12Bの負荷側方向の突設部分と前記ハンドルロック部材2の壁部24bとの係合について補足する。操作ハンドルが倒立している場合にハンドルロック部材2を装着した場合には、前記第一の枠部21から操作ハンドルが露出する状態となる。この状態から操作ハンドルを倒伏状態に操作しようとしたときは、倒立した操作ハンドルの先端部よりも器体寄りに低く設けられた第一の枠部21と第二の枠部22の連設部23に該操作ハンドルが当接する。
【0033】
このとき、ハンドルロック部材2には電源側方向に押しやられる分力が働くが、前記囲繞部12Bの負荷側方向の突設部分と前記壁部24bとが係合すること、並びに前記引掛爪21A、21Bと爪受溝11A、12Aとが嵌合することにより、ハンドルロック部材2の電源側方向への変位が妨げられる。したがって、操作ハンドルが倒立状態から倒伏状態へ変位できず、倒立している状態が保持される。
【0034】
操作ハンドル部材14Bの根元付近には、接点の開閉状態を示す開閉表示が設けられており、図2の場合には、丸印(○)で示される接点開表示15が設けられ、図5の場合には、棒印(−)で示される接点閉表示16が設けられる。
【0035】
図2図8を用いてハンドルロック部材2を回路遮断器1に装着する場合について説明する。まず、操作ハンドル部材14Bが倒立状態、即ち接点が開状態において、その状態を保持すべくハンドルロック部材2を装着する場合には、回路遮断器1の器体正面側からハンドルロック部材2の第一の枠部21内に操作ハンドル14Bが貫通するように操作ハンドル部分に被せていく。ハンドルロック部材2の引掛爪A21A及び引掛爪B21Bが、前記囲繞部12Bの正面側に当接するが、なお押し付けていくと、前記引掛爪を備えた腕部21D及び21Eが撓み、爪受溝11A、12Aに該引掛爪が嵌合し、装着が完了する(図4図3図8)。この状態において、ハンドルロック部材2の第一の枠部21の開口部22Cからは前記開表示15が露出する。
【0036】
次に、操作ハンドル部材14Bが倒伏状態、即ち接点が閉状態において、その状態を保持すべくハンドルロック部材2を装着する場合には、先と同じく、回路遮断器1の器体正面側からハンドルロック部材2を操作ハンドル部分に被せていく。このとき、ハンドルロック部材2の壁部24bと、前記囲繞部12Bの負荷側部分が位置合わせの目安となる。そして、ハンドルロック部材2の引掛爪A21A及び引掛爪B21Bが、前記囲繞部12Bの正面側に当接するが、そのまま押し付けていくと、前記引掛爪を備えた腕部21D及び21Eが撓み、爪受溝11A、12Aに該引掛爪が嵌合し、装着が完了する(図4図6図7)。この状態において、ハンドルロック部材2の第一の枠部21の開口部22Cからは前記閉表示16が露出する。
【0037】
図7を用いてハンドルロック部材2を回路遮断器1から取り外す場合について説明する。
ハンドルロック部材2を回路遮断器から取り外す場合は、ハンドルロック部材2の第二の枠部22Bに設けられる引掛片22Bに手指を掛けて、器体の正面側へ引き剥がすようにすれば、
まず、ハンドルロック部材2が第二の枠部22と第一の枠部21との連設部23を支点として撓み始め、なお力を加えていくと、引き剥がす力に前記爪受溝11A、12Aと引掛爪21A、21Bとの嵌合が屈して外れる。このとき、ハンドルロック部材2の壁部24bが、前記囲繞部12Bの負荷側に当接して、回転中心として作用するから、引き剥がす力が効率よくハンドルロック部材に印加され、該ハンドルロック部材の連設部23を支点とする撓みと相まって、スムーズに取り外すことができる。
【0038】
このように、本発明のハンドルロック部材2によれば、回路遮断器の操作ハンドルが閉位置にあるとき又は開位置にあるときにかかわらず、接点位置の表示手段が外部から視認でき、なおかつ、操作ハンドルへの着脱しやすさを確保しながらも確実にハンドルロックの状態を保持することができる。
【0039】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、前記第二の枠部22における開口部22Cの大きさについて、操作ハンドルが貫通しない大きさで、なおかつ電源側−負荷側方向の大きさをより小さく、又はより大きく変更して構成してもよい。
【0041】
また、ハンドルロック部材2が適用される回路遮断器が漏電遮断器である場合、接点閉状態においてハンドルロック部材を適用する際には、漏電遮断器に設けられる漏電テストボタンの不用な操作を妨げる目的で、該漏電テストボタンの正面側を覆い隠蔽する隠蔽部をハンドルロック部材に設けて構成することが好ましい。この実施形態を図10図11に示す。前記隠蔽部25は、前述したハンドルロック部材2における手指の引掛片22Bの一部を、前記漏電テストボタンを覆う程度に電源端子側の方向に延設形成している。この延設した部分の周縁部からは、前記壁部24と同様な壁部が延設形成され、該壁部により凹部が構成される。該凹部は前記漏電テストボタンを収容し、器体の外部から該漏電テストボタンの操作を行なえないように構成するとよい。
【符号の説明】
【0042】
1 回路遮断器
11 器体A
12 器体B
12A 爪受溝
12B 操作ハンドル一部囲繞部
13A 電源側端子
13B 電源側端子
13C 負荷側端子
14A 回動部材
14B 操作ハンドル部材
15 開表示部
16 閉表示部
2 ハンドルロック部材
21 第一の枠部
21A 引掛爪A
21B 引掛爪B
21C 第一の開口部
22 第二の枠部
22A 操作ハンドル収容部
22B 引掛片
22C 第二の開口部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11