特許第5979677号(P5979677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5979677
(24)【登録日】2016年8月5日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】電気部品
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/00 20110101AFI20160817BHJP
   H01H 9/02 20060101ALN20160817BHJP
【FI】
   H01R24/00
   !H01H9/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-80198(P2013-80198)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-203728(P2014-203728A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】二宮 伸之
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−155827(JP,A)
【文献】 実開平5−55420(JP,U)
【文献】 特開2008−159416(JP,A)
【文献】 実開平6−88019(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/00−24/20
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体から突出した隣り合う2つの接続端子とを備えた電気部品において、
前記接続端子は、電線を挿通可能な挿通孔が形成された筒状部を有し、隣り合う2つの前記接続端子の筒状部は、前記筐体に対して互いに異なる角度で突出して設けられているとともに、
当該筒状部は、前記挿通孔の一端側と他端側のいずれの方向からでも前記電線を挿通可能に、前記筐体から離間して配設されていることを特徴とする電気部品。
【請求項2】
2つの前記接続端子の筒状部は、前記筐体の側面と対向して配置されるとともに、前記接続端子の前記挿通孔の中心を通る直線が前記側面に沿った平面に対してそれぞれ斜めに交差するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気部品。
【請求項3】
隣り合う2つの前記接続端子の挿通孔の中心を通る直線同士が交差しないように、前記筒状部が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の電気部品。
【請求項4】
前記接続端子は、前記筐体から延出された延出部を有し、前記筒状部の一端側には、鍔状部が設けられており、前記延出部の先端側に前記鍔状部が配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気部品。
【請求項5】
前記接続端子の前記挿通孔には、前記電線が挿通されるとともに、前記筒状部が変形されて、前記接続端子と前記電線とが接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気部品。
【請求項6】
前記電線が挿通された前記筒状部は、封止部材によって覆われていることを特徴とする請求項5に記載の電気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線により外部と電気的な接続の可能な電気部品に関し、特に電線の引き回しに自由度のある電気部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等に搭載されている電気部品は、電線を介して接続されることが多い。また昨今、自動車の電子化が進み、従来の限られたスペースにより多くの電気部品を搭載する為、より電線の引き回しの自由度のある電気部品が求められている。
【0003】
電線を有する電気部品としては、下記の特許文献1に記載の電気部品が知られている。以下、特許文献1に記載の電線を有する電気部品について図8を用いて説明する。図8は特許文献1に記載の電線(ハーネス)を有する電気部品SWを示す図である。本来は接続端子部Tにはシール剤が充填されているが、説明を容易にするため図示していない。
【0004】
特許文献1に記載の電気部品は、図8に示すように、電気部品SWの接続端子部TにハーネスHをそれぞれ接続し、接続端子部Tの周囲(A部)はシール剤によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3038283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の電気部品SWは、製品の構成上ハーネスHを一方向にしか引き出せないため、同時に搭載される他の電気部品が増え、その周囲に配置された場合にハーネスHの引き回しがしにくくなる事が考えられる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決して、電線の引き回しに自由度のある電気部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の電気部品においては、筐体と、該筐体から突出した隣り合う2つの接続端子とを備えた電気部品において、前記接続端子は、電線を挿通可能な挿通孔が形成された筒状部を有し、隣り合う2つの前記接続端子の筒状部は、前記筐体に対して互いに異なる角度で突出して設けられているとともに、当該筒状部は、前記挿通孔の一端側と他端側のいずれの方向からでも前記電線を挿通可能に、前記筐体から離間して配設されている、という特徴を有する。
【0009】
請求項2に記載の電気部品においては、2つの前記接続端子の筒状部は、前記筐体の側面と対向して配置されるとともに、前記接続端子の前記挿通孔の中心を通る直線が前記側面に沿った平面に対してそれぞれ斜めに交差するように形成されている、という特徴を有する。
【0010】
請求項3に記載の電気部品においては、隣り合う2つの前記接続端子の挿通孔の中心を通る直線同士が交差しないように、前記筒状部が配設されている、という特徴を有する。
【0011】
請求項4に記載の電気部品においては、前記接続端子は、前記筐体から延出された延出部を有し、前記筒状部の一端側には、鍔状部が設けられており、前記延出部の先端側に前記鍔状部が配設されている、という特徴を有する。
【0012】
請求項5に記載の電気部品においては、前記接続端子の前記挿通孔には、前記電線が挿通されるとともに、前記筒状部が変形されて、前記接続端子と前記電線とが接続される、という特徴を有する。
【0013】
請求項6に記載の電気部品においては、前記電線が挿通された前記筒状部は、封止部材によって覆われている、という特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、挿通孔の一端側と他端側のいずれの方向からでも筒状部に電線を挿通可能としたことで、電線の引き出し方の自由度が高くなる。また、隣り合う2つの筒状部を筐体に対して互いに異なる角度に設けるとともに、筐体から離間して配設する構成としたことにより、電線の引き回しがしやすくなる。したがって、周囲に搭載される電気部品の配置に合わせて電線を引き出す方向を選択することができ、電線の引き回しの自由度が高くなる。よって、電線の引き回しに自由度のある電気部品を提供することができる、という効果を奏する。
【0015】
請求項2の発明によれば、挿通孔の中心を通る直線を接続端子が突出している筐体の側面に沿った平面に対して斜めに交差するように設けることで、挿通孔のどちら側へ電線を挿通する場合にも挿通孔の入り口周辺に電線引き回しの空間が確保でき、電線と接続端子との接続部の引き回しが容易になり、電線の引出方向の自由度がよりよくなる、という効果を奏する。
【0016】
請求項3の発明によれば、隣り合う2つの接続端子の挿通孔の中心を通る直線同士が交差しないように、筒状部が配設されていることで、接続端子同士が干渉し難くなるとともに、筒状部に接続される電線同士も干渉し難くなり、電線の引き回しがより容易になる。したがって、電線の引出方向の自由度をより高くすることができる、という効果を奏する。
【0017】
請求項4の発明によれば、筒状部の一端側に鍔状部を設けることで、筒状部の強度を高めることができるので、接続端子に電線を取り付ける際に、筒状部の突出方向が変わってしまうような不具合が発生しにくいため、筒状部に接続された電線を所定の方向へ引き出すことができる、という効果を奏する。
【0018】
請求項5の発明によれば、筒状部をかしめて電線と電気的に接続していることで、半田や溶接による接続と比較して、製造設備費用などの面で安価に対応できる、という効果を奏する。
【0019】
請求項6の発明によれば、接続端子と電線との接続部分の周囲を封止部材で覆うことで、不本意な力が接続端子と電線との接続部分にかかった場合でも外れにくくなり、より確実に接続端子と電線との接続を保持することが可能となる、という効果を奏する。
【0020】
以上より、本発明によれば、電線の引き回しに自由度のある電気部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態における電気部品100の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態における電気部品100を図1に示すY2方向側から見た状態を示す側面図である。
図3】本実施形態における電気部品100を図1に示すX1方向側から見た状態を示す側面図である。
図4】本実施形態における電線4の引き回しの例を示す斜視図
図5図4(b)に示す接続端子2と電線4とが接続された状態を示す拡大図である。
図6】封止部材3の取り付け状態の一例を示す斜視図である。
図7】電線4を側方に引き回した場合の封止部材3の取り付け状態を示す斜視図である。
図8】特許文献1に記載の電線を有する電気部品SWを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態における電気部品100について説明する。
【0023】
まず始めに本実施形態における電気部品100の構成について図1ないし図3を用いて説明する。図1は本実施形態における電気部品100の外観を示す斜視図である。図1においては、封止部材3は接続端子2に接続される電線4の引き出し方向によって形状が異なるため、封止部材3および電線4を破線で模式的な形状のみ示す。図2は本実施形態における電気部品100を図1に示すY2方向側から見た状態を示す側面図である。図2においては、説明を容易にするために封止部材3は記載していない。図3は本実施形態における電気部品100を図1に示すX1方向側から見た状態を示す側面図である。なお、図3においては説明を容易にするために封止部材3および電線4を図示していない。なお、図1および図2に示す電線4の引き回しの方向は、引き回しの一例を示すものである。
【0024】
本実施形態の電気部品100は、図1に示すように、操作部1aを有した筐体1と、筐体1から突出した隣り合う2つの接続端子2と、接続端子2を外部から遮断する封止部材3と、外部と電気的に接続される電線4と、を備えている。電気部品100は、筐体1の操作部1aを押圧操作することで、出力を変化させることが可能であり、接続端子2から外部に出力される。
【0025】
筐体1は、略直方体形状に形成された本体部1bと、本体部1bの一面(図1ではZ1方向側の面)から突出して形成された操作部1aを有する。本実施形態においては、電気部品100はいわゆるスイッチ装置であり、詳細な説明および図示は省略するが、本体部1bの内部には操作部1aの動作に連動して駆動される可動接点と、可動接点を介して導通状態が切り替えられる2つの固定接点とが配設されている。筐体1は、前記可動接点と前記固定接点とが接離し2つの固定接点間の導通状態を切り替えることで出力を変えることができる。また、操作部1aは、例えばコイルバネのような図示しない付勢部材により、操作部1aが本体部1bの一面から突出する方向(Z1方向)へ付勢されている。そのため、操作部1aを押圧操作したあとに押圧を解除すると、操作部1aは押圧操作前の位置まで復帰し、筐体1の内部に配設された固定接点の導通状態も押圧操作前の状態に戻る。
【0026】
接続端子2は、金属板からなり、図2に示すように、本体部1bの一面(図2ではX1方向側の面であり、端子面1cとする)から突出して形成されており、筐体1の内部に配設された図示しない前記固定接点とそれぞれ一体に形成されている。接続端子2は、筐体1の端子面1cから延出された延出部2cをそれぞれ有している。また、接続端子2は、電線4を挿通可能な挿通孔2bが形成された筒状部2aをそれぞれ有し、筒状部2aの一端側には、鍔状部2dが設けられており、延出部2cの先端側に鍔状部2dが配設されている。隣り合う2つの接続端子2の筒状部2aは、筐体1に対して互いに異なる角度(角度a1、角度a2)で突出して設けられている。なお、本実施形態においては、角度a1=135°(−45°)、角度a2=45°で形成されている。すなわち、端子面1cに対する鍔状部2dからの筒状部2aの突出方向は、2つの接続端子2で互いに異なる角度となるように構成されている。また、筒状部2aは、挿通孔2bの一端側と他端側のいずれの方向からでも電線4を挿通可能に、図2に示すD部のように筐体1から離間して配設されている。すなわち、2つの接続端子2の筒状部2aは、筐体1の側面(端子面1c)と対向して配置されるとともに、接続端子2の挿通孔2bの中心を通る直線(直線L1と直線L2)が側面に沿った平面に対してそれぞれ斜めに交差するように形成されている。また、図3に示すように、隣り合う2つの接続端子2の挿通孔2bの中心を通る直線L1と直線L2とが交差しないように、筒状部2aが配設されている。なお、筒状部2aはバーリング加工によって形成されている。
【0027】
封止部材3は、合成樹脂材からなり、図1に示すように、略直方体状に形成されている。
【0028】
電線4は、金属線または複数の金属線を束ねたものの周囲を、絶縁性を有する素材で被覆されたものである。なお、電気的な接続を行なう部分、例えば、接続端子2と接続される部分については被覆が剥がされている。
【0029】
次に、接続端子2と電線4との接続方法について図2図4および図5を用いて説明する。図4は、本実施形態における電線4の引き回しの例を示す斜視図であり、図4(a)は電線4の引き回しの一例を示す斜視図であり、図4(b)は電線4の引き回しの別例を示す斜視図である。図5は、図4(b)に示す接続端子2と電線4とが接続された状態を示す拡大図である。
【0030】
ここで、筒状部2aにおいて、鍔状部2dのある側を一端側とし、対向する側を他端側とする。接続端子2は、図2に示すように、電線4を筒状部2aの他端側からだけでなく、一端側からも挿入可能である。したがって、例えば図4(a)に示すように、両方の筒状部2aの他端側から電線4を挿入するとともに、側方(X1方向)へ引き回すことができる。また、例えば図4(b)に示すように、一方の筒状部2aには電線4を一端側から挿入し、かつ他方の筒状部2aには電線4を他端側から挿入するとともに、下方(Z2方向)へ引き回すことができる。以下、図4(b)に示すように電線4を下方に引き回した場合を例として説明をする。
【0031】
図4(b)に示すように、接続端子2の挿通孔2bには、電線4が挿通される。電線4が挿通された筒状部2aは、挿通された電線4の方向へ力が加えられ、筒状部2aが電線4に接触するまで変形されて、接続端子2と電線4とが接続される。本実施形態においては、図5に示すP部のように、筒状部2aを4方向から変形させて接続端子2と電線4とが接続されている。この時、電線4を所定の力で引っ張っても筒状部2aから抜け落ちない程度に、電線4は筒状部2aによって挟持されている。このように筒状部2aが電線4に接触するまで変形し、電線4を筒状部2aによって挟持することで、機械的にも電気的にも接続端子2と電線4とが接続される。
【0032】
次に封止部材3の取り付けについて、主に図4(b)に示すように電線4を下方に引き回した場合を例として、図4ないし図7を用いて説明をする。図6は封止部材3の取り付け状態を示す斜視図であり、図6(a)は封止部材3が取り付けられる前の状態を示す斜視図であり、図6(b)は封止部材3が取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。図7は電線4を側方に引き回した場合の封止部材3の取り付け状態を示す斜視図であり、図7(a)は封止部材3が取り付けられる前の状態を示す斜視図であり、図7(b)は封止部材3が取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。
【0033】
図5に示すように接続端子2と電線4とが接続されると、本実施形態においては、筐体1、接続端子2および電線4を成形金型に設置し、射出成形により接続端子2および接続端子2に接続された電線4の一部の周囲(図6(a)に破線で示したM部)に空間ができないように合成樹脂材を充填させて、直方体状に形成する。この合成樹脂材を充填させて直方体状に形成されたものが封止部材3となる。したがって、電線4が挿通されるとともに電線4に接続された筒状部2aは、封止部材3によって覆われている。このように形成された封止部材3は、図6(b)に示すように、筐体1と一体に形成されている。これにより電気部品100が形成される。
【0034】
なお、図4(a)に示すように電線4を側方に引き出した場合も同様に、筒状部2aを変形させて接続端子2と電線4とを接続させた後に封止部材3を形成することで、図7に示すように電気部品100が形成される。
【0035】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0036】
本実施形態の電気部品100では、筐体1と、筐体1から突出した隣り合う2つの接続端子2とを備えた電気部品100において、接続端子2は、電線4を挿通可能な挿通孔2bが形成された筒状部2aを有し、隣り合う2つの接続端子2の筒状部2aは、筐体1に対して互いに異なる角度で突出して設けられているとともに、筒状部2aは、挿通孔2bの一端側と他端側のいずれの方向からでも電線4を挿通可能に、筐体1から離間して配設されている、構成とした。
【0037】
このように、挿通孔2bの一端側と他端側のいずれの方向からでも筒状部2aに電線4を挿通可能としたことで、電線4の引き出し方の自由度が高くなる。また、隣り合う2つの筒状部2aを筐体1に対して互いに異なる角度に設けるとともに、筐体1から離間して配設する構成とした。これにより、挿通孔2bの一端側と他端側のいずれの方向においても挿通孔2bの端部同士が離れるとともに、筐体1からも離れて配置されるため、電線4の引き回しがしやすくなる。したがって、周囲に搭載される電気部品100の配置に合わせて電線4を引き出す方向を選択することができ、電線4の引き回しの自由度が高くなる。よって、電線4の引き回しに自由度のある電気部品100を提供することができる、という効果を奏する。
【0038】
また、本実施形態の電気部品100では、2つの接続端子2の筒状部2aは、筐体1の側面と対向して配置されるとともに、接続端子2の挿通孔2bの中心を通る直線(直線L1と直線L2)が側面に沿った平面に対してそれぞれ斜めに交差するように形成されている、構成とした。
【0039】
これにより、挿通孔2bの中心を通る直線(直線L1と直線L2)を接続端子2が突出している筐体1の側面に沿った平面に対して斜めに交差するように設けることで、挿通孔2bのどちら側へ電線4を挿通する場合にも挿通孔2bの入り口周辺に電線4を引き出すための空間が確保でき、電線4と接続端子2との接続部の引き回しが容易になり、電線4の引出方向の自由度がよりよくなる、という効果を奏する。また、本実施形態においては、筐体1の側面に沿った平面に対して一方の筒状部2aを135°(−45°)、他方の筒状部2aを45度とすることで、電気部品100の本体に近い側においても電線4の引き回しの空間が確保でき、電線4の引き回しがより容易になる、という効果を奏する。
【0040】
また、本実施形態の電気部品100では、隣り合う2つの接続端子2の挿通孔2bの中心を通る直線同士が交差しないように、筒状部2aが配設されている、構成とした。
【0041】
これにより、隣り合う2つの接続端子2の挿通孔2bの中心を通る直線同士が交差しないように、筒状部2aが配設されていることで、接続端子2同士が干渉し難くなるとともに、筒状部2aに接続される電線4同士も干渉し難くなり、電線4の引き回しがより容易になる。したがって、電線4の引出方向の自由度をより高くすることができる、という効果を奏する。
【0042】
また、本実施形態の電気部品100では、接続端子2は、筐体1から延出された延出部2cを有し、筒状部2aの一端側には、鍔状部2dが設けられており、延出部2cの先端側に鍔状部2dが配設されている、構成とした。
【0043】
これにより、筒状部2aの一端側に鍔状部2dを設けることで、筒状部2aの強度を高めることができるので、接続端子2に電線4を取り付ける際に、取付作業により何らかの力が加わったとしても、変形して筒状部2aの突出方向が変わってしまうような不具合が発生しにくい。したがって、筒状部2aに接続された電線4を所定の方向へ引き出すことができる、という効果を奏する。
【0044】
また、本実施形態の電気部品100では、接続端子2の挿通孔2bには、電線4が挿通されるとともに、筒状部2aが変形されて、接続端子2と電線4とが接続される、構成とした。
【0045】
これにより、筒状部2aをかしめて電線4と接続していることで、半田や溶接による接続と比較して、製造設備費用などの面で安価に対応できる、という効果を奏する。また、筒状部2aと電線4とを、半田付けや溶接によって接続する場合には、半田温度や溶接時間など多くの作業条件を管理する必要があるが、筒状部2aをかしめて接続しているため作業条件の管理(設定)が容易である。また、筒状部2aをかしめて電線4と電気的に接続していることで、半田を使わずに電気的に接続することができるため、鉛フリー化という観点から環境負荷が軽減される。
【0046】
また、本実施形態の電気部品100では、電線4が挿通された筒状部2aは、封止部材3によって覆われている、構成とした。
【0047】
これにより、接続端子2と電線4との接続部分の周囲を封止部材3で覆うことで、不本意な力が接続端子2と電線4との接続部分にかかった場合でも外れにくくなり、より確実に接続端子2と電線4との接続を保持することが可能となる。また本実施形態においては、封止部材3を筐体1と一体に形成することで、不本意な力が接続端子2と電線4との接続部分にかかった場合でも接続端子2の変形や破断を防止することができ、より安定した電気的な接続を保持することができるという効果を奏する。また、本実施形態においては、封止部材3を接続端子2の周囲に射出成形で形成している。別の手段として、封止部材3を内部が中空の部品で設け、その内部に非導電性の接着剤などを充填して被覆するとともに筐体1と一体に係止する方法もある。このように封止部材3を内部が中空の部品で設けて、内部に接着剤などを充填して被覆する方法に比べて、本実施形態の方法は容易に、かつ安価に対応することができる。
【0048】
また、本実施形態の電気部品100では、筒状部2aはバーリング加工によって形成されている、構成とした。
【0049】
これにより、筒状部2aをバーリング加工によって形成することで、折り曲げ加工で形成した場合と比較して筒状部2aをより小型に形成することが可能となるとともに、より少ない材料での形成が可能となる、という効果を奏する。
【0050】
また、本実施形態の電気部品100では、筐体1に配設された固定接点と接続端子2とを一体に形成する、構成とした。
【0051】
これにより、固定接点と接続端子2とを接続するための接続機構を追加するなど、部品点数を増やすことなく構成することが可能となり、製品をより小型にすることができる、という効果を奏する。
【0052】
以上のように、本発明の実施形態に係る電気部品を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0053】
(1)本実施形態において、電線4の引き回し方向が側方のものと、下方のものとを例示したが、上方へ引き回したり、一方の電線4を上方へ引き回すとともに他方の電線4を下方へ引き回すなど、必要に応じて電線4の引き回しの方向を変えても良い。
【0054】
(2)本実施形態において、電気部品100(筐体1)はスイッチ装置として説明したが、可変抵抗器やエンコーダなどの電気部品であっても良い。
【0055】
(3)本実施形態において、接続端子2は2本として説明したが、筐体1の構造に合わせて接続端子2の本数を変えても良い。
【0056】
(4)本実施形態において、筒状部2aと電線4とを接続するために、筒状部2aを4箇所変形させて電線4を筒状部2aで挟持する構造としているが、変形をさせる箇所、箇所数などは、筒状部2aと電線4との電気的および機械的接続に問題の無い範囲で変更しても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 筐体
1a 操作部
1b 本体部
2 接続端子
2a 筒状部
2b 挿通孔
2c 延出部
2d 鍔状部
3 封止部材
4 電線
100 電気部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8