(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術によれば、位置情報や時刻情報に基づいたデータの送受信を行うことができる。しかし、先に述べたように、多くのシステムにおいて、データは再活用される。そうした場合を想定すると、特許文献1に記載の技術のように、サーバクライアント間において位置情報や時刻情報によるデータの流れの制御を行ったとしても、その後にそのデータがどのように扱われるのか、という点までを制御することはできない。
【0007】
そこで、本発明では、データの伝送や利用を統括的に管理することのできる、データ伝送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るデータ伝送システムは、
複数のデータ送受信端末装置が通信可能に構成され、伝送用データの送受信を行うデータ伝送システムであって、
前記伝送用データが、
伝送対象とする実データと、
前記データ送受信端末装置の位置情報に基づいて前記伝送用データの送信範囲を制限する範囲制限情報と、
時刻に基づいて前記伝送用データの利用期間を設定する時間制限情報と、を備え、
前記データ送受信端末装置が、
前記範囲制限情報に基づいて前記伝送用データの送信経路を探索する経路探索手段と、
前記送信経路を用いて前記伝送用データを送信するデータ送信手段と、
前記伝送用データを受信するデータ受信手段と、
前記時間制限情報に基づいて前記実データの利用可否を判定し、前記実データの開封を行うデータ開封手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このように、範囲制限情報と時間制限情報とを備える伝送用データを用いることにより、情報を伝達することのできる範囲と、情報を利用することのできる時刻と、によって情報の利用を制限することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記範囲制限情報が、方向情報と、拡散角度情報と、影響範囲距離情報と、を有し、
前記経路探索手段が、前記方向情報と、前記拡散角度情報と、前記影響範囲距離情報と、に基づいて伝送経路を探索することを特徴とする。
これにより、情報の伝送を行う範囲を詳細に制限することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記時間制限情報が、前記伝送用データの有効期限を示す有効期限情報を有し、
前記データ送信手段が、前記有効期限に至っていない前記伝送用データを他の前記データ送受信端末装置へと送信することを特徴とする。
これにより、有効期限内の情報のみをデータ送受信端末装置間で伝送し、情報の寿命を適切に管理することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記時間制限情報が、前記伝送用データの無効時間を示す無効時間情報を有し、
前記データ開封手段が、前記無効時間でない場合に前記実データを利用可と判定することを特徴とする。
これにより、後に必要になる情報を予め伝送しておき、所定の時刻で一斉に利用可能とすることができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記時間制限情報が、前記伝送用データの開封後有効時間を示す開封後有効時間情報を有し、
前記データ開封手段が、前記実データの開封後、前記開封後有効時間が経過した後に当該実データを利用不可と判定することを特徴とする。
これにより、伝送された情報の利用期間を制限し、情報の秘匿性を高めることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記データ送信手段が、前記伝送用データを複数に分割して送信することを特徴とする。
これにより、大容量のデータを送信する場合においても、通信経路の混雑を避けることができる。
【0015】
本発明に係る伝送用データの送受信方法は、
経路探索手段と、データ送信手段と、データ受信手段と、データ開封手段と、を備えるデータ送受信端末装置を用いた、
実データと、範囲制限情報と、時間制限情報と、を備える伝送用データの送受信方法であって、
前記範囲制限情報が、方向情報と、拡散角度情報と、影響範囲距離情報と、を有し、
前記経路探索手段が、
前記方向情報と、前記拡散角度情報と、前記影響範囲距離情報と、に基づいて前記伝送用データの送信経路を探索するステップと、
前記データ送信手段が前記送信経路を用いて前記伝送用データを送信するステップと、
前記データ受信手段が前記伝送用データを受信するステップと、
前記データ開封手段が前記時間制限情報に基づいて前記実データの利用可否を判定するステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る伝送用データは、
経路探索手段と、データ送信手段と、データ受信手段と、データ開封手段と、を備えるデータ送受信端末装置を用いて送受信される伝送用データであって、
前記経路探索手段によるデータ送信手段によって前記伝送用データの送信経路の探索に用いられる範囲制限情報と、
前記データ受信手段によって受信された前記伝送用データの利用可否の判定に用いられる時間制限情報と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
情報を拡散する範囲と情報を利用可能とする時刻とを制限し、データの伝送及び利用を適切に管理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るデータ伝送システムの構成を模式的に示す図である。本実施形態に係るデータ伝送システムは、1a〜1hの複数のデータ送受信端末装置1が、ネットワークを介して通信可能に構成される。なお、本実施形態においては、データ送受信端末装置1aから、データ送受信端末装置1g及び1hへとデータを伝送する処理を一例として説明する。
【0020】
また、それぞれのデータ送受信端末装置1の間は、インターネットなどのネットワークによって通信可能に構成される。そのため、各データ送受信端末装置1の間には、図示しない種々のネットワーク機器などが存在するものである。本実施形態においては、それぞれのデータ送受信端末装置1の間の伝送用データDの通り道を区間と呼称する。
【0021】
<伝送用データの構造>
図2は、本実施形態において利用する伝送用データDの構造を示す図である。ここに示すように、伝送用データDは、伝送対象とする実データD1と、伝送の範囲を制限するための範囲制限情報D2と、情報の利用可能時間を制限する時間制限情報D3と、送信元であるデータ送受信端末装置1からの情報の発信時刻を示す発点時刻情報D4と、伝送に用いる経路を示す経路情報D5と、各区間の利用の許可証である通行手形情報D6と、データの保護に関する保護情報D7と、伝送用データDを隣接する他のデータ送受信端末装置1へと送信する回数の上限である、転記数上限情報D8と、を備える。
【0022】
更に、範囲制限情報D2は、伝送用データDの伝送を行う方向を示す方向情報D21と、伝送用データDを伝送する角度を示す拡散角度情報D22と、伝送用データDを伝送する影響範囲距離情報D23と、を有する。例えば、方向情報D21により
図1中に破線Iで示す方向を特定する。そして、拡散角度情報D22より、その方向を中心として伝送用データDを拡散する角度θを特定する。最後に影響範囲距離情報D23より、破線Iの長さを特定する。このようにして、伝送用データDを送信する範囲を、
図1中に一点鎖線で示す扇形の範囲Lに設定することができる。
【0023】
時間制限情報D3は、伝送用データDの有効期限を示す有効期限情報D31と、伝送用データDを無効としておく時間を示す無効時間情報D32と、伝送用データDの開封された時刻を示す開封時刻情報D33と、伝送用データDが開封されてから有効としておく時間を示す開封後有効時間情報D34と、を有する。
【0024】
経路情報D5は伝送用データDの伝送を特定の経路にて行う場合に設定されるものである。経路の指定が特になく、任意の経路にて伝送すればよいのであれば、これは省略してもよい。
【0025】
実データD1は、伝送の対象とする任意のデータである。例えば、テキストファイルや、画像ファイル、各種の文書ファイルなど、種々の形式のデータを実データD1として、本実施形態に係るデータ伝送システムを利用することができる。
【0026】
発点時刻情報D4は、データ送受信端末装置1が伝送用データDを受信した際に、受信時刻と発点時刻情報D4の差分を算出し、伝送用データDの伝送に要した時間を測定する目的などに利用することができる。このように、伝送用データDの伝送に要する時間を測定可能な構成とすることにより、各データ送受信端末装置1間で最短となる伝送経路の特定が可能となり、より効率的な伝送経路を選択することができる。また、本実施形態においては、伝送用データDに発点時刻情報D4を持たせる構成を示しているが、同様に、伝送用データDを受信した時刻として、着点時刻情報を持たせるような構成としてもよい。
【0027】
また、保護情報D7は、伝送用データDの秘匿性を保つために、情報を無効化するためのものである。
【0028】
<データ送受信端末装置の構成>
図3は、データ送受信端末装置1の機能ブロック図である。ここに示すように、データ送受信端末装置1は、実データD1に付加情報を設定し、伝送用データDとする付加情報設定手段11と、伝送用データDの送信経路を探索する経路探索手段12と、伝送用データDを他のデータ送受信端末装置1へと送信するデータ送信手段13と、伝送用データDを他のデータ送受信端末装置1より受信するデータ受信手段14と、伝送用データDを開封し、実データD1を提供するデータ開封手段15と、を備える。
【0029】
付加情報設定手段11は、範囲制限情報D2を設定する範囲制限情報設定手段111と、時間制限情報D3を設定する時間制限情報設定手段112と、発点時刻情報D4を設定する発点時刻情報設定手段113と、通行手形情報D6の発行と伝送用データDへの設定、及び伝送用データDからの削除を行う通行手形情報設定手段114と、伝送用データDが開封された時刻を設定する開封時刻情報設定手段116と、を有する。
【0030】
なお、データ送受信端末装置1としては、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、各種の入出力装置などを備える、種々のコンピュータ装置を用いることができる。本実施形態においては、データ送受信端末装置1aとしてデスクトップ型のパーソナルコンピュータを、データ送受信端末装置1b〜1eとしてサーバ装置を、データ送受信端末装置1gとしてラップトップ型のパーソナルコンピュータを、データ送受信端末装置1hとしてスマートフォン端末装置をそれぞれ想定している。ただし、これはあくまで一例にすぎず、タブレット型端末装置や携帯電話などのモバイル端末装置や、ゲーム機など、種々のコンピュータ装置をデータ送受信端末装置1として利用することができる。また、冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機、エアコンなどに小型のコンピュータ装置を内蔵した、スマート家電と呼ばれるような家電製品についても、同様にデータ送受信端末装置1として用いることができる。あるいは、自動運転車や、自律型の飛行体といった、コンピュータ装置を内蔵した移動体についてもデータ送受信端末装置1として利用することができ、それらの移動体を集団で運用する場合において特に好適である。
【0031】
また、全てのデータ送受信端末装置1が、
図3に示したすべての手段を必ずしも備える必要はない。例えば、データ送受信端末装置1b〜1eのようなサーバ装置を伝送用データの中継用に用いる場合には、データ開封手段15を省略してもよい。また、データ送受信端末装置1hのようなスマートフォン端末装置を伝送用データDの受信と閲覧の用途に用いるのであれば、経路探索手段12、データ送信手段13、範囲制限情報設定手段111、時間制限情報設定手段112、発点時刻情報設定手段113を省略する、といった構成としてもよい。
【0032】
<データ送受信方法>
図4は、本実施形態において、データ送受信端末装置1から他のデータ送受信端末装置1へと伝送用データDを送信する際の処理を示すフローチャートである。なお、ここで、伝送用データDの送信を行うデータ送受信端末装置1を送信側端末装置、それを受信するデータ送受信端末装置1を受信側端末装置とそれぞれ呼称する。
【0033】
まず、ステップS101で、伝送用データDの生成、あるいは取得を行う。ここで、送信側端末装置が情報発信の起点となる場合においては、実データD1に対して、付加情報設定手段11を用いて範囲制限情報D2や時間制限情報D3などを付加し、伝送用データDを生成する。また、送信側端末装置が伝送用データDの中継を行う場合には、他のデータ送受信端末装置1より受信した伝送用データDを用いる。
【0034】
そして、ステップS102で、伝送用データDの有する有効期限情報D31を参照し、有効期限を超過しているか否かを判定する。ここで、有効期限情報D31の示す時刻が、現在の時刻以前である場合、すなわち、伝送用データDの有効期限が切れている場合には、ステップS109に進み、伝送用データDを削除して処理を終了する。
【0035】
ステップS102で有効期限内であると判定された場合には、ステップS103に進み、転記数上限情報設定手段115による転記数上限情報D8の設定を行う。ここでは、例えば、データ送受信端末装置1aが送信側端末装置である場合には、方向情報D21によって示される伝送用データDの送信先の方向において、範囲Lに含まれるデータ送受信端末装置1b、1dが送信先となり得るため、転記数上限情報D8は2に設定される。また、同様に、データ送受信端末装置1bが送信側端末装置である場合には、データ送受信端末装置1c、1e、1fが送信先となり得るため、転記数上限情報D8は3に設定される。
【0036】
転記数上限情報D8の設定後、ステップS104に進み、経路探索手段12によって受信側端末装置の選択を行う。ここでは、範囲制限情報D2を参照して伝送用データDの送信先とする範囲Lを特定し、それに含まれる他のデータ送受信端末装置1の内で最も距離の近い端末装置を選択することが好ましい。なお、ここでの距離とは、各データ送受信端末装置1の地理的な位置情報のみによって判定するような構成としてもよいし、それらの間のネットワーク環境なども加味して判定するような構成としてもよい。また、伝送用データDが経路情報D5を有し、特定の経路での伝送が指定されている場合には、それにしたがって受信側端末装置の選択を行う。
【0037】
受信側端末装置の選択後には、ステップS105へと進み、送信側端末装置から受信側端末装置へと、それらの間の区間の利用可否の確認を行う。
図5のフローチャートに、ステップS105における区間利用可否確認処理を詳細に示す。
【0038】
まずステップS201で、送信側端末装置より、区間利用可否確認情報を送信する。そして、受信側端末装置は、ステップS202で区間利用可否確認情報を受信し、ステップS203で当該区間の利用可否の判定を行う。
【0039】
本実施形態においては、送信経路の混雑や、区間上での伝送用データDの衝突などを避けるために、単一の経区間を複数の伝送用データDの送受信に利用することを許可しない。すなわち、ステップS203では区間の利用状況を確認し、当該経路が他の伝送用データの送受信に利用されている場合には利用不可と、そうでなければ利用可と判定する。
【0040】
なお、ここでの区間の利用状況の確認には、通行手形情報D6を用いる。後に説明するように、伝送用データDの伝送においては、通行手形情報設定手段114によって、区間の利用前に当該区間に対応する通行手形情報D6を発行し、伝送用データDの伝送の完了後に、通行手形情報D6の削除を行う。これにより、通行手形情報D6の存在する区間は、他の伝送用データDの伝送に利用されているため、利用不可な状態であると判定することができる。なお、動的な暗号化や、伝送を行う日時情報を含めるなど、同一の区間においても都度異なる通行手形情報D6が生成されるように構成することにより、区間上における複数の伝送用データDの伝送をより確実に防止することができる。
【0041】
そして、ステップS204で区間利用可否情報を回答として送信側端末装置へと送信し、送信側端末装置はステップS205でそれを受信する。以上のようにして、ステップS105における区間利用可否の確認処理が完了した後に、ステップS106に進む。
【0042】
ステップS106で区間利用可否情報を確認し、当該区間の利用が許可されなかった場合には、ステップS104へと戻り、範囲L内の他のデータ送受信端末装置1を受信側端末装置として選択し、何れかの区間の利用が許可されるまで、ステップS105の区間利用可否確認処理を繰り返し行う。
【0043】
そして、区間の利用が許可された後に、ステップS107へと進み、伝送用データDの送信処理を行う。
図6は、ステップS107における伝送用データDの送信処理を示すフローチャートである。
【0044】
まず、送信側端末装置は、ステップS301で発点時刻情報D4に現在時刻を記録する。そして、利用する区間についての通行手形情報D6を発行し、伝送用データDに設定する。その後、ステップS302に進み、伝送用データDを受信側端末装置へと送信する。
【0045】
受信側端末装置は、ステップS303で伝送用データDを受信する。そして、ステップS304で伝送用データの正常性確認を行い、ステップS305でその確認結果を含む到着通知を送信側端末装置へと送信する。
【0046】
送信側端末装置は、ステップS306で到着通知を受信し、ステップS307で、到着通知に含まれるステップS304における正常性確認の結果を参照する。ここで、何らかの原因によって伝送用データDの破損などが生じ、受信側端末装置へとデータが正常に届いていなかった場合には、ステップS302からステップS306の伝送用データDの送受信及び到着通知の受信処理を繰り返し行う。
【0047】
なお、ステップS302における伝送用データDの送信時に、伝送用データDを複数に分割して送信し、ステップS303で受信側端末装置がそれらを受信した際に、それらの分割されたデータを結合するような構成としてもよい。このような構成とすれば、実データD1として大容量のデータを送信する際にも、効率よく送信を行うことができる。
【0048】
伝送用データDが受信側端末装置によって正常に受信された後に、ステップS308で送信側端末装置において、利用した通行手形情報D6の削除を行う。また、ステップS309で、受信側端末装置においても、通行手形情報の削除を行う。
【0049】
ステップS310で、伝送用データDの転記数が転記数上限情報D8に設定された上限に達しているか否かを判定し、上限に達している場合には、ステップS311で伝送用データDの抹消を命じる情報末梢命令を作成する。また、転記数が上限に達していない場合には、ステップS312に進み、送信側端末装置へと情報の転機を命じる情報転記命令を作成する。
【0050】
そして、ステップS313において、ステップS311で作成した情報末梢命令又はステップS312で作成した情報転記命令を送信側端末装置へと送信する。送信側端末装置はこの命令をステップS314で受信し、伝送用データDの送信処理は終了する。
【0051】
以上のように、ステップS106のデータ送信処理を終了した後に、ステップS108へと進み、受信した命令の種別を確認する。情報転記命令を受信していた場合には、ステップS104における送信先端末の選択処理を再び行い、他のデータ送受信端末装置1を受信側端末装置として、伝送用データDの送信処理を行う。一方、受信した命令が除法末梢命令であった場合には、ステップS109へと進み、データ送受信端末装置1上から伝送用データDの削除を行い、処理を終了する。
【0052】
このようにして、データ送受信端末装置1間での伝送用データDの送受信が行われる。そして、伝送用データDを受信した受信側端末装置が、次の送信側端末装置となり、次の受信側端末装置を選択して伝送用データDを送信していくことにより、伝送用データDを次々と伝送することができる。
【0053】
例えば、伝送用データDがデータ送受信端末装置1aを起点として送信され、データ送受信端末装置1gへと伝送される経路を考えれば、データ送受信端末装置1aからデータ送受信端末装置1bへ、データ送受信端末装置1bからデータ送受信端末装置1cへ、データ送受信端末装置1cからデータ送受信端末装置1gへ、といった経路での伝送がされ得る。また、同様に、データ送受信端末装置1aからデータ送受信端末装置1dへ、データ送受信端末装置1dからデータ送受信端末装置1eへ、データ送受信端末装置1eからデータ送受信端末装置1gへ、といった経路での伝送もされ得る。更に、データ送受信端末装置1bからデータ送受信端末装置1e及びデータ送受信端末装置1fへ、そしてデータ送受信端末装置1dからデータ送受信端末装置1c及びデータ送受信端末装置1fへのデータ送受信も行うことにより、例え何れかの区間で通信障害などがあったとしても、伝送用データDをより確実に伝送することができる。
【0054】
また、データ送受信端末装置1cが、データ送受信端末装置1bから受信したものと同一の実データD1を備える伝送用データDをデータ送受信端末装置1dからも受信した、といったように、重複した伝送用データDを受信した場合には、送信側端末装置にすでに受信済みのデータであることを返答し、受信側端末装置上よりそれを削除することが好ましい。このような構成とすることにより、複数経路を利用した伝送を行う際、経路上でデータ送受信のループが発生してしまうような事態を避けることができる。
【0055】
このように、複数の経路によって伝送用データDを送信可能な構成とすることにより、経路の冗長性を確保し、何れかの伝送経路上でデータ損失などが起こった場合においても、データ送受信端末装置1aからデータ送受信端末装置1gやデータ送受信端末装置1hへと確実にデータを伝送することができる。先にステップS312で説明した情報転記命令は、このように冗長性を確保するために作成されるものである。
【0056】
なお、複数の経路を利用した伝送用データDの伝送を行う場合には、複数の経路を利用した伝送を並行して処理することが好ましい。
【0057】
また、送信側端末装置が、ステップS201における区間利用可否確認情報の送信後に、ステップS205における区間利用可否情報の受信を待機する間、ステップS302における伝送用データDの送信後に、ステップS306において到着通知を受け取る間などは、所定の時間が経過後に送信に失敗したものと判断し、再度送信するような構成とすることが好ましい。更に、所定回数の送信失敗が起きた場合に、ステップS104の送信先端末の選択を再度行うような構成としてもよい。このように、送信失敗の判定を行うことにより、伝送用データDをより確実に伝送することができる。
【0058】
<データの開封>
データ開封手段15を備えたデータ送受信端末装置1においては、受信した伝送用データDの開封が行われる。
図7は、データ開封手段15による伝送用データDの開封処理を示すフローチャートである。
【0059】
まず、ステップS401で、無効時間情報D32を参照し、現在時刻が無効時間に該当するか否かを判定する。ここで、現在時刻が無効時間に含まれる場合には、実データD1の開封をすることなく、処理を終了する。
【0060】
ステップS401で、現在時刻が無効時間でないと判定された場合には、ステップS402へと進み、伝送用データDへ開封時刻情報D33として、現在時刻を記録する。
【0061】
そして、ステップS403で実データD1の開封を行う。ここで、開封とは、実データD1を所定のアプリケーションプログラムによって展開する処理など、任意の処理で会ってよい。例えば、実データD1がテキストデータであれば、任意のテキストエディタプログラムによって表示する、実データD1が画像データであれば、任意の画像ビューアプログラムによって表示する、といったように、実データD1の内容に合わせて様々な方法で開封される。
【0062】
続くステップS404では、開封後有効時間が経過したか否かを判定する。すなわち、ステップS402で記録した開封時刻情報D33と現在時刻との差が、開封後有効時間情報D34よりも大きいか否かを判定する。
【0063】
そして、ステップS404で開封後有効時間が経過したと判定されると、ステップS405に進み、実データD1を閉じ、処理を終了する。また、ステップS405にて、実データD1を閉じるのみでなく、データ送受信端末装置1上から消去するような構成としてもよい。
【0064】
以上のように、本実施形態に係るデータ伝送システムによれば、複数のデータ送受信端末装置1を経由しながら、データを確実に伝送することができる。
【0065】
そして、範囲制限情報D2による伝送用データDの拡散範囲の指定によって、データの拡散範囲を確実に指定することができる。また、時間制限情報D3によって、データの有効期限を設定することによって、データを利用可能とする時間を確実に指定することができる。
【0066】
このように、拡散範囲と利用時間によってデータの拡散及び利用に制限を課すことによって、情報の秘匿性を格段に向上することができる。
【解決手段】複数のデータ送受信端末装置1a〜1hが通信可能に構成され、伝送用データの送受信を行うデータ伝送システムであって、伝送用データは、伝送対象とする実データと、データ送受信端末装置の位置情報に基づいて伝送用データの送信範囲を制限する範囲制限情報と、時刻に基づいて伝送用データの利用期間を設定する時間制限情報と、を備える。データ送受信端末装置が、範囲制限情報に基づいて伝送用データの送信経路を探索する経路探索手段と、前記送信経路を用いて伝送用データを送信するデータ送信手段と、伝送用データを受信するデータ受信手段と、時間制限情報に基づいて実データの利用可否を判定し、実データの開封を行うデータ開封手段と、を備える。