(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700の概略の構成を示した概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、製品マニュアル評価システム700は、マニュアル作成端末100と、マニュアル登録端末(製品マニュアル登録装置)200と、社内評価端末(評価入力端末)300と、サービス提供者端末(評価入力端末)400と、品質評価サーバ500とを備えて構成されている。
【0021】
なお、マニュアル作成端末100と、マニュアル登録端末200と、社内評価端末300は、クライアントに該当するA社に属しているものとする。また、サービス提供者端末400は、製品マニュアルを評価するB社に属しているものとする。また、品質評価サーバ500は、製品マニュアルを評価するための品質評価サーバを提供するC社に属しているものとする。また、本実施形態において、マニュアル作成端末100と、マニュアル登録端末200は、サービス提供会社であるB社に属することもあり、また、B社とC社が同一の会社に属する場合も含まれる。
【0022】
マニュアル作成端末100は、ユーザが任意の製品に対し、製品マニュアルを作成する際に使用される製品マニュアル作成装置である。マニュアル作成端末100は、製品マニュアルを文書として作成するためのアプリケーションソフトを有している。
【0023】
マニュアル登録端末200は、マニュアル作成端末100で作成された製品マニュアルを、ネットワーク600を介して、品質評価サーバ500に登録するための登録装置である。本実施形態では、マニュアル登録端末200は、ネットワーク600を介して、品質評価サーバ500と接続されている。マニュアル登録端末200は、ネットワーク600を介してマニュアル作成端末100にも接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、マニュアル作成端末100で作成された製品マニュアルをUSB(Universal Serial Bus)メモリに一度格納し、そのUSBをマニュアル登録端末200に接続することにより、USBに格納された製品マニュアルをマニュアル登録端末200によって品質評価サーバ500に登録するようにしてもよい。
【0024】
社内評価端末300は、製品マニュアルを作成した会社(すなわちA会社)の端末であって、マニュアル登録端末200で登録した製品マニュアルを評価する部署の評価端末である。本実施形態では、社内評価端末300は、マニュアル登録端末200と同一の会社に属しており、属する部署が異なるものとする。なお、本実施形態は、これに限定されるものではなく、例えば製品マニュアルを作成するマニュアル作成者と評価を担当する評価者とを兼任し、その者が社内評価端末300を用いて評価を行う形態であってもよい。また、マニュアル登録端末200に社内評価端末300の機能を備え、評価者は、マニュアル登録端末200を用いて製品マニュアルを評価する形態であってもよい。
【0025】
次に、B社に属するサービス提供者端末400について説明する。
【0026】
サービス提供者端末400は、評価項目を入力(登録)するための評価項目登録端末であり、また、マニュアル登録端末200によって登録された製品マニュアルを、評価する会社の評価用端末である。また、サービス提供者端末400は、製品マニュアルを作成した会社(A社)とは異なる会社の評価者用端末である。なお、サービス提供者端末400の会社は、製品マニュアルの評価をサービスとして提供する会社を想定しているが、本実施形態はこれに限らず、例えば、製品マニュアルを作成するドキュメント作成会社であってもよい。
【0027】
また、サービス提供者端末400は、弁護士や外部制作会社のディレクター、外部デザイン会社のデザイナーなどの外部スペシャリストや一般モニターなどが使用する端末(評価端末)であってもよい。
【0028】
この場合、サービス提供者端末400が、外部のスペシャリストや一般モニターなどが使用する端末によって構成される場合には、その製品マニュアルを一般モニターなどに評価させることができるので、ユーザ側からの評価を入力する評価端末として機能する。これにより、サービス提供者端末400は、ユーザ側からの評価を受け付けるニーズの収集としても機能する。
【0029】
なお、サービス提供者端末400、マニュアル作成端末100およびマニュアル登録端末200は、サービス提供者端末400の会社が提供する端末であってもよい。
【0030】
次に、C社に属する品質評価サーバ500について説明する。
【0031】
品質評価サーバ500は、社内評価端末300またはサービス提供者端末400において評価された評価情報を集計して、その集計内容や集計結果から評価レポートを生成する。そして、品質評価サーバ500は、マニュアル作成端末100、マニュアル登録端末200または社内評価端末300に、その評価レポートを送付するようになっている。
【0032】
ネットワーク600は、マニュアル作成端末100と、マニュアル登録端末200と、社内評価端末300と、サービス提供者端末400と、品質評価サーバ500とを接続して、相互にデータ通信を行う例えばインターネット等のネットワーク網である。
【0033】
なお、マニュアル作成端末100、マニュアル登録端末200、社内評価端末300、サービス提供者端末400および品質評価サーバ500は、それぞれ表示部を有している。
【0034】
次に、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700の全体動作について、図面を用いて説明する。
【0035】
図2は、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700の全体動作を示したシーケンス図である。
【0036】
図2に示すように、マニュアル作成端末100は、文書を作成するアプリケーションソフトを使用して製品マニュアルを作成し、その作成された製品マニュアルを電子データ(製品マニュアル情報)としてマニュアル登録端末200に格納する(ステップS001)。この場合、マニュアル作成端末100は、ネットワーク600を介して製品マニュアルを送信し、マニュアル登録端末200に格納してもよく、また、USBメモリを用いて製品マニュアルをマニュアル登録端末200に格納するようにしてもよい。
【0037】
マニュアル登録端末200は、マニュアル作成端末100から取得した製品マニュアルを、品質評価サーバ500に登録する(ステップS003)。品質評価サーバ500は、製品マニュアルの登録を受け付けると、マニュアル登録端末200に登録を受け付けた旨を通知する(ステップS005)。
【0038】
また、品質評価サーバ500は、製品マニュアルを受け付けた旨の通知と、その登録された製品マニュアルについての評価依頼を、社内評価端末300およびサービス提供者端末400に通知する(ステップS007、S009)。なお、品質評価サーバ500は、評価依頼を通知する通知先をマニュアル登録端末200に選択させ、社内評価端末300またはサービス提供者端末400のいずれかに評価依頼を通知することもできる。
【0039】
社内評価端末300は、品質評価サーバ500からの評価依頼を受け付けて、ネットワーク600を介して、品質評価サーバ500に接続し、品質評価サーバ500に格納されている製品マニュアルの評価を行う(ステップS011)。
【0040】
サービス提供者端末400は、品質評価サーバ500からの評価依頼を受け付けて、ネットワーク600を介して、品質評価サーバ500に接続し、品質評価サーバ500に格納されている製品マニュアルの評価を行う(ステップS013)。
【0041】
品質評価サーバ500は、社内評価端末300およびサービス提供者端末400から製品マニュアルの評価を受け付けて、その評価を集計した適合性を、サービス提供者端末400に通知する(ステップS015)。また、品質評価サーバ500は、その集計した適合性を、社内評価端末300にも通知する(ステップS017)。また、品質評価サーバ500は、その集計した適合性を、マニュアル登録端末200にも通知する(ステップS019)。さらに、品質評価サーバ500は、その集計した適合性を、マニュアル作成端末100にも通知してもよい(ステップS021)。
【0042】
なお、品質評価サーバ500は、適合性に関し、評価に基づく評価レポートとして、マニュアル作成端末100やマニュアル登録端末200、社内評価端末300にファイル形式で送信するようになっている。本実施形態では、品質評価サーバ500は、ファイル形式で送信する場合に限定されるものではなく、所定の格納場所にファイル化して格納するようにしてもよく、また、評価結果に基づく適合性として表示部に視覚可能に表示させるようにしてもよい。
【0043】
次に、本実施形態に係る品質評価サーバ500について、図面を用いて説明する。
【0044】
図3は、本実施形態に係る品質評価サーバ500の構成を示した機能ブロック図である。
【0045】
図3に示すように、品質評価サーバ500は、登録受付部510と、製品マニュアル格納データベース520と、評価項目データベース530と、評価項目登録受付部535と、評価対象管理部540と、評価対象蓄積データベース550と、評価対象通知部560と、評価結果取得部570と、評価結果データベース580と、評価レポート生成部590とを備えて構成されている。
【0046】
登録受付部510は、ネットワーク600を介して、マニュアル登録端末200から受け付けた製品マニュアルの情報(以下、これを製品マニュアル情報ともいう。)の登録依頼を受け付ける。登録受付部510は、受け付けた製品マニュアル情報を製品マニュアル格納データベース520に格納する。
【0047】
製品マニュアル格納データベース520は、登録受付部510によって受け付けた製品マニュアル情報を格納する。
【0048】
評価項目データベース530は、登録受付部510で受け付けた製品マニュアル情報を評価するための新規な評価項目または改訂情報を受け取り蓄積する評価項目データベースである。なお、評価項目データベース530は、所定の評価項目として、製品の分野別であって国ごとに対応づけられた準拠すべき法令、規格またはその他の遵守事項、分かりやすさなどのマニュアル品質を含んでいる。
【0049】
評価項目登録受付部535は、製品マニュアル情報を評価するための評価項目を取得し、評価項目データベース530に蓄積させる管理機能を有している。
【0050】
評価対象管理部540は、製品マニュアル格納データベース520に格納された製品マニュアル情報と、評価項目データベース530に蓄積された所定の評価項目とを関連付けて管理する機能を有している。この関連付けに関しては、詳細を後述する。
【0051】
評価対象蓄積データベース550は、製品マニュアル格納データベース520に格納された製品マニュアル情報と、評価項目データベース530に蓄積された所定の評価項目とを関連付けて格納するデータベースである。
【0052】
評価対象通知部560は、製品マニュアル格納データベース520に格納された製品マニュアル情報と、その関連付けられた所定の評価項目とに基づいて、ネットワーク600を介して、社内評価端末300またはサービス提供者端末400に評価対象を通知する機能を有している。この場合、評価対象通知部560は、製品マニュアル情報と、その関連付けられた所定の評価項目の評価依頼のみを通知して、品質評価サーバ500がASP(Application Service Provider)またはクラウドコンピューティングとして、社内評価端末300やサービス提供者端末400に、製品マニュアル情報を評価させるサービスを提供するようになっている。
【0053】
また、本実施形態では、製品マニュアル情報と、その関連付けられた所定の評価項目を、ネットワーク600を介して、社内評価端末300やサービス提供者端末400にアクセスさせ、社内評価端末300またはサービス提供者端末400で製品マニュアル情報とその関連付けられた所定の評価項目を表示させて評価させるようにしてもよい。
【0054】
評価結果取得部570は、評価項目データベース530に格納されている所定の評価項目について、社内評価端末300またはサービス提供者端末400により入力された評価情報を、評価結果として取得する機能を有している。また、評価結果取得部570は、取得した評価結果を、評価結果データベース580に格納する機能を有している。
【0055】
評価結果データベース580は、評価結果取得部570によって取得された評価結果を格納するようになっている。
【0056】
評価レポート生成部590は、評価結果データベース580に格納されている評価結果を、社内評価端末300またはサービス提供者端末400から収集された評価結果として集計し、その集計された評価結果から評価レポートを作成する機能を有している。
【0057】
ここで、評価レポート生成部590は、集計された評価情報から、法令で指定された遵守の適合の割合を定量的に示した適合割合と、適合箇所の品質の評価を定性的に示した適合品質とに基づいて、製品マニュアルの適合性として視覚可能な評価レポートを作成する。また、評価レポート生成部590は、生成した評価レポート(集計評価ともいう。)を、ネットワーク600を介して、マニュアル登録端末200や社内評価端末300に送信する機能も有している。
【0058】
図4は、本実施形態に係る品質評価サーバ500のハードウエアの構成を示したハードウエアブロック図である。
【0059】
図4に示すように、品質評価サーバ500は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Real Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503、ネットワークインターフェース部504と、表示部505と、記憶部506とを備えて構成されている。
【0060】
CPU501は、ROM502に格納されている各種プログラムをRAM503にロードして、そのプログラムを展開することにより、各種プログラムの機能を実現することができる。
【0061】
RAM503は、ワークエリア(作業用メモリ)として利用されるようになっている。ROM502は、各種プログラムを格納するようになっている。ROM502に格納されている各種プログラムには、
図3で示した登録受付機能、評価対象管理機能、評価対象通知機能、評価結果取得機能、評価レポート生成機能などを実現するためのプログラムが含まれている。
【0062】
ネットワークインターフェース部504は、ネットワーク600を介して、マニュアル登録端末200、社内評価端末300またはサービス提供者端末400と接続するためのインターフェース部である。
【0063】
表示部505は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などで構成された表示装置である。
【0064】
記憶部506は、大容量不揮発の記憶装置であり、製品マニュアル格納データベース520、評価項目データベース530、評価対象蓄積データベース550および評価結果データベース580を構成するようになっている。また、本実施形態では、ハードディスク(hard Disk)やRAMによって構成されている。
【0065】
次に、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700において、製品マニュアルを評価するための準備フローについて説明する。
【0066】
図5は、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700において、製品マニュアルを評価するための評価準備処理手順を示したフローチャートである。なお、
図5では、マニュアル登録端末200がネットワーク600を介して品質評価サーバ500に接続して、評価準備処理手順を行う場合について以下に説明するが、サービス提供者端末400を用いた場合でも、同様の処理を実施させることができる。
【0067】
図5のフローチャートに示すように、まず、マニュアル登録端末200(
図1)は、ネットワーク600を介して、品質評価サーバ500に接続してログインする。ログインする際は、A社のユーザアカウントとして、ユーザID(Identification)とパスワードを用いることにより、A社のマニュアル登録端末200からの接続であることが認証される。マニュアル登録端末200は、ユーザIDとパスワードにより品質評価サーバ500に認証されると、品質評価サーバ500から提供されるサービスの中からメニューを選択する(ステップS101)。
【0068】
ここで、メニューを選択する際のメニュー画面について、例を用いて説明する。
【0069】
図6は、本実施形態に係るマニュアル登録端末200に表示される設定管理者用メニュー画面の一例を示した表示画面例である。
【0070】
図6に示したマニュアル登録端末200の表示部201の表示画面には、ステップS101のメニュー選択の一例として、製品マニュアルのマニュアル登録か評価者登録を選択することができる表示画面が表示される。本実施形態では、まずマニュアル登録を選択し、その後、評価者の登録を行うものとする。
【0071】
マニュアル登録端末200は、設定管理者用メニュー画面においてマニュアル登録が選択されると、評価対象である製品マニュアルを登録するマニュアル登録画面が表示され、評価対象の製品マニュアルの登録を受け付ける(ステップS103)。
【0072】
図7は、本実施形態に係るマニュアル登録端末200の表示部201の表示画面に表示されるマニュアル登録画面の一例を示した表示画面例である。
【0073】
図7に示したマニュアル登録端末200の表示部201の表示画面には、ステップS103のマニュアル登録の一例として、評価対象の製品マニュアル(Abcコントロール操作説明書)について、製品分野、製品出荷国、評価カテゴリをプルダウン形式で項目を選択し、また、品質評価サーバ500に登録するファイル名の選択と、評価期間を登録するための表示画面が表示される。
【0074】
具体的には、製品分野として、産業機械、医療機器、半導体機器、コンシューマ製品または玩具などを選択することができ、また、製品出荷国として、EU(European Union)、米国、中国または日本などを選択することができる。評価カテゴリについては、製品分野と製品出荷国で選択された項目に対応して、その製品マニュアルに該当する法令、規格、その他遵守事項、その他の製品マニュアル品質上の必須事項などが選択できるようになっている。具体的には、機械指令2006/AA/AA、ISO−NNNN1、ISO−NNNN2、品質評価チェックリストA、品質評価チェックリストBなどが該当する。
【0075】
また、登録するファイルは、マニュアル登録端末200の記憶領域に格納されており、ユーザは、製品マニュアル(登録するファイル)が格納されている場所を示すURL(Uniform Resource Locator)を指定する。これにより、品質評価サーバ500は、その製品マニュアルの登録を受け付ける(ステップS103)。なお、
図7では、Abcコントロール操作説明書.pdfが指定されている。
【0076】
なお、サービス提供者端末400を用いて製品マニュアルを登録する場合には、サービス提供者端末400の表示部の表示画面に、
図7に示した表示画面例が表示される。
【0077】
図8は、本実施形態に係る評価カテゴリに分類されている法令や規格を、マニュアル登録端末200の表示部201の表示画面に表示させた場合の一例を示した表示画面例である。
【0078】
図8に示したマニュアル登録端末200の表示部201の表示画面には、機械指令などの法令に対応した評価項目の一例が表示されている。この評価項目には、例えば、各種の取扱説明書の添付や翻訳文の添付を確認する必須要件が記載されている。
【0079】
図9は、本実施形態に係る評価項目の詳細を表示した詳細表示画面を、マニュアル登録端末200の表示部201の表示画面に表示させた場合の一例を示した表示画面例である。
【0080】
図9に示した詳細表示画面には、評価項目についての詳細な説明と、疑義を生じる箇所についてコントロールを行う「コントロールの入力」という欄が表示されている。この欄は、製品マニュアルが評価を受ける際、どういう評価項目でどういう評価内容(評価基準)により評価されるかを、マニュアル登録端末200の登録者が登録することができる欄である。また、マニュアル登録端末200の登録者は、
図9の詳細表示画面のコントロール入力フィールドに適合性チェックの評価基準(ガイドラインや評価尺度、具体例など)としての情報を入力し、画面の右下にある確定ボタンを押下することにより、評価基準としてのコントロール情報を登録することができる。
【0081】
また、マニュアル登録端末200の登録者は、
図7のマニュアル登録画面の右下にある確定ボタンを選択することにより、評価対象のマニュアルについて、製品分野、製品出荷国、評価カテゴリの確定と、製品マニュアルのアップロードを実施することができる。
【0082】
なお、サービス提供者端末400を用いて製品マニュアルを登録する場合には、サービス提供者端末400の表示部の表示画面に、
図8および
図9に示した表示画面例が表示される。
【0083】
次に、マニュアル登録端末200は、品質評価サーバ500に登録した製品マニュアルについて評価する評価者を登録する(ステップS105)。
【0084】
図10は、本実施形態に係る製品マニュアルを評価する評価者を登録する評価者登録画面を、マニュアル登録端末200の表示部201の表示画面に表示させた場合の一例を示した表示画面例である。
【0085】
図10に示した評価者登録画面には、評価対象マニュアル名、製品分野、会社名、評価期間の項目が記載されているとともに、評価者の一覧が記載された評価者リストのファイルの選択が表示されている。なお、本実施形態では、評価対象ファイル名としてAbcコントロール操作説明書が明記されており、製品分野として産業機械が記載され、会社名として株式会社XYZが記載されている。また、評価期間は、2011−10−01から2011−10−12として指定されている。
【0086】
評価者リストのファイルは、マニュアル登録端末200またはサービス提供者端末400の記憶領域にあらかじめ格納されており、ユーザは、
図10の評価者登録において、評価者リストのファイルを選択し、確定ボタンを押下操作することにより、評価者リストをインポートして表示させることができる。
【0087】
図11は、本実施形態に係る製品マニュアルの評価者に評価のためのアカウントを登録するアカウント送信画面を、マニュアル登録端末200の表示部201の表示画面に表示させた場合の一例を示した表示画面例である。
【0088】
図11に示したアカウント送信画面には、四人の評価者の氏名、会社名、部署名、メールアドレス、ユーザID、パスワードがそれぞれ記載されている。本実施形態では、「A川B一」と、「A田B二」と、「A村B三」が、A会社に属しており、「A山B四」がB会社に属している。このように、評価依頼は、会社に関係なく、評価対象について評価依頼先を登録することができる。また、上述した別の会社の弁護士、デザイナーまたは制作ディレクターなどを評価者として登録してもよい。また、一般ユーザを対象としたニーズの収集を行う場合には、会社名や部署名の代わりに年齢、性別、属性(趣味や区分)などを登録してもよい。
【0089】
ユーザが、
図11に示したアカウント送信画面に表示されている完了ボタンを押下操作することにより、品質評価サーバ500は、評価者の登録を受け付けるとともに(ステップS105)、登録された評価者に、それぞれのユーザIDとパスワードを通知する。以上の操作により、完了ボタンが押下操作されると、品質評価サーバ500は評価準備処理手順を終了する。
【0090】
なお、サービス提供者端末400を用いて評価者を登録する場合には、サービス提供者端末400の表示部の表示画面に、
図10および
図11に示した表示画面例が表示される。
【0091】
次に、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700において、製品マニュアルを評価する評価処理手順について説明する。
【0092】
図12は、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700において、製品マニュアルを評価するための評価処理手順を示したフローチャートである。
【0093】
図12のフローチャートに示すように、評価担当者は、マニュアル作成端末100や評価担当者の端末であるA社の社内評価端末300、B社のサービス提供者端末400から、ネットワーク600を介して品質評価サーバ500にログインする。評価担当者が評価カテゴリを選択すると、品質評価サーバ500は、評価カテゴリの選択を受け付ける(ステップS201)。
【0094】
なお、ここでは、A社の評価担当者が、社内評価端末300を用いて製品マニュアルを評価する場合について説明する。また、B社の評価担当者が、サービス提供者端末400を用いて製品マニュアルを評価する場合であっても、同様の処理手順となる。
【0095】
図13は、本実施形態に係る評価カテゴリを選択する評価カテゴリ選択画面を表示画面に表示させた場合の一例を示した表示画面例である。
【0096】
図13に示すように、社内評価端末300の表示部301の表示画面には、4つの評価カテゴリが表示されている。具体的には、法令、規格、ガイドラインおよびその他(その他のマニュアル品質評価カテゴリ)が表示されている。社内評価端末300は、評価担当者からの評価依頼を受け付けて、複数の評価カテゴリを受け付ける。ここでは、社内評価端末300は、評価担当者から、法令の評価のみを行う選択を受け付けたとする。
【0097】
図14は、本実施形態に係る社内評価端末300が法令の評価カテゴリを評価する場合の評価画面を、社内評価端末300の表示部301の表示画面に表示させた場合の一例を示した表示画面例である。
【0098】
図14に示した評価画面では、製品マニュアルに対応づけられた評価項目が列挙されており、チェックリストを構成している。すなわち、
図14に示した評価画面では、
図8で示した評価項目がチェックリストとして表示されるようになっている。評価担当者は、評価項目の左端にある評価ボタンを押下操作すると、その項目を評価するチェックシートを開くことができる。
【0099】
図15は、本実施形態に係る評価項目を評価する際に、適合割合RTと適合品質QCに基づいて評価する場合の一例を示した表示画面である。なお、
図15では、評価カテゴリの規格が選択されている場合の表示画面例を示している。
【0100】
図15に示すように、社内評価端末300の表示部301の表示画面では、その評価項目において、適合割合RTと適合品質QCのそれぞれについて、6段階で評価するようになっている。例えば、適合割合RTの場合には、その要求事項に適合していない、一部適合している、ほぼ適合している、適合している、該当しない、またはわからない/要確認、の評価を入力することができる。一方、適合品質QCの場合には、その適合の品質が非常に良い、良い、普通、悪い、非常に悪い、または該当しない/わからない/要確認、の評価を入力することができる(ステップS203)。
【0101】
ここで、適合割合RTとは、法令や規格、ガイドラインやその他の製品マニュアルの品質に適合している程度(割合)を定量的に評価するものであり、適合品質QCとは、法令や規格などに適合している場合に、その適合状態が良いか(分かりやすいか)否かを定性的に評価するものである。なお、適合割合RTおよび適合品質QCのそれぞれには、分からないという評価を含んでいるため、5段階評価と判断することもできる。また、この区分けの数は、5段階や6段階に限定されるものでない。すなわち、ユーザの任意の段数で評価を設定することができる。
【0102】
また、
図14に示した評価画面では、表示画面の右上に「PDFの表示」という項目を有しており、この項目には、
図7でアップロードしたファイルとリンクが張られている。これにより、ユーザが製品マニュアルを見たい場合には、この「PDFの表示」のボタンを押下することにより、該当する製品マニュアルを閲覧することができる。
【0103】
社内評価端末300は、各評価項目について適合割合RTと適合品質QCについて評価を行うと(ステップS203)、品質評価サーバ500は、すべて評価項目の評価が完了したかを判定するようになっており(ステップS205)、未評価の評価項目がある場合には(ステップS205のNo)、その未評価の評価項目を評価させるようになっている。そして、すべての評価項目の評価が完了した場合には(ステップS205のYes)、評価処理手順を終了する。
【0104】
なお、評価処理手順の終了は、すべての評価項目の評価が完了した場合に限定されるものではなく、社内評価端末300の評価担当者が途中までの評価を行って、その評価の途中までの状態で保存し、適宜、終了するようにしてもよい。
【0105】
また、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、ステップS201で選択された評価カテゴリについて評価が終了した場合、社内評価端末300に他の評価カテゴリ(例えば、規格やガイドライン)を続けて評価させるようにしてもよく、または評価が終了する度に、評価カテゴリ全体における評価の進捗状況を示すようにしてもよい。
【0106】
本実施形態に係る品質評価サーバ500は、社内評価端末300やサービス提供者端末400から評価結果を集計するようになっており、集計した評価結果から評価レポートを生成する機能を有している。なお、生成された評価レポートの出力先は、評価担当者が有する評価端末に限定されず、マニュアル登録端末200や品質評価サーバ500の所定の記憶領域に格納するようにしてもよい。
【0107】
また、評価レポートは、電子データとしてファイルに出力される場合に限定されるものではなく、例えば、品質評価サーバ500の表示画面上に表示されるようにしてもよい。次に、評価レポートによって出力することができる内容について説明する。
【0108】
本実施形態に係る品質評価サーバ500は、集計した評価結果に基づいて、適合割合RTと適合品質QCの分布をリスクマップとして出力することができる。これは、社内評価端末300やサービス提供者端末400によって評価項目ごとに評価された評価結果に基づいて、ユーザに評価結果の分布を視覚的に見せることができる。
【0109】
図16は、本実施形態に係る品質評価サーバ500が、集計した評価結果に基づいて、適合割合RTと適合品質QCの分布を示したリスクマップの一例を示した説明図である。
【0110】
図16に示したリスクマップでは、横軸に適合割合RTの適合度合いを取り、縦軸に適合品質QCの適合度合いを取っている。したがって、横軸に対して右方向にむほど、適合割合RTが不適合であることを示し、また、縦軸に対して上方向に進むほど、適合品質QCが悪いことを示している。すなわち、
図16に示したリスクマップでは、右上に行くほど製品マニュアルの適合割合RTと適合品質QCが低く、左下に行くほど製品マニュアルの適合割合RTと適合品質QCが高いことを示している。
【0111】
また、
図16に示したように、評価項目ごとにプロットを行うことにより、評価対象であった製品マニュアルの評価の傾向を視覚的に認識することができるようになっている。すなわち、社内評価端末300やサービス提供者端末400から得られる複数の評価者の評価のばらつきを、品質評価サーバ500は、客観的かつ視覚的に表示させることができる。特に、法令や規格への適合割合RTを定量的に把握させることができ、また法令に適合している上で、適合品質QCとして、その文章表現や視覚表現の分かりやすさを定性的に認識させることができる。
【0112】
このように、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、マニュアル登録端末200によって登録された製品マニュアルを、適合割合RTと適合品質QCから構成される複数の評価結果に基づいて、製品マニュアルを客観的に評価したり分析することができるので、ユーザは、製品マニュアルを作成する際の品質管理を容易に行うことができる。
【0113】
図17は、本実施形態に係る品質評価サーバ500が集計した評価結果に基づいて、同一の製品グループにおける製品マニュアルの平均値と、評価対象の製品マニュアルとを比較してグラフ化した場合の一例を示した表示例(これをレーダーチャートともいう。)である。
【0114】
図17に示すように、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、複数の製品マニュアルを登録することができ、同一の製品グループにおける製品マニュアルの平均値を算出することができるので、同一の製品グループにおける製品マニュアルの平均値と、評価対象の製品マニュアルとを相対的に比較して、グラフにより図示することができる。
【0115】
図18は、本実施形態に係る品質評価サーバ500が集計した評価結果に基づいて、品質評価サーバ500に登録されている全製品における製品マニュアルの平均値と、評価対象のマニュアルとを比較してグラフ化した場合の一例を示した表示例である。
【0116】
図18に示すように、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、
図17のグラフと同様に、複数の製品マニュアルを登録することができ、品質評価サーバ500に登録されている全製品における製品マニュアルの平均値を算出することができるので、品質評価サーバ500に登録されている全製品における製品マニュアルの平均値と、評価対象の製品マニュアルとを相対的に比較して、グラフにより図示することができる。
【0117】
このように、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、法令や規格などの適合性状況やその他のマニュアル品質を容易に比較することができ、評価対象の製品マニュアルの適合性やその品質における脆弱性を容易に判断することができる。
【0118】
なお、
図17および
図18では、相対的に比較する項目として、法令A、規格A、規格B、マーケットニーズ、製作技術およびユーザ要件(実効性を含む)などの要件によって比較を行っているが、本実施形態はこれに限らず、ユーザが品質評価サーバ500に設定を行うことにより、適宜、相対的な比較を行うことができる。
【0119】
例えば、ユーザ要件に特化して、情報の適切さ、情報の正確さ、情報の検索のしやすさ、文章表現の分かりやすさ、視覚表現の分かりやすさ、情報の取り扱いやすさ、情報の安全さ、デザイン性などの視点から、相対的に比較する項目を抽出して、グラフを作成するようにしてもよい。これにより、ユーザ視点からの評価を行うことができるので、ニーズの収集の際にも、客観的かつ視覚的に評価結果を分析することができる。
【0120】
また、本実施形態では、同一製品グループの平均値および品質評価サーバ500に登録されている全製品における平均値よりグラフを作成して、評価対象の製品マニュアルと相対的に比較しているが、本実施形態はこれに限らず、同業他社を含めた製品グループの平均値や全業種を含めた製品グループの平均値を算出してグラフを作成し、比較するようにしてもよい。
【0121】
また、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、
図16に示したリスクマップを作成する際に、適合割合RTと適合品質QCを単純にプロットするのではなく、適合割合RTおよび適合品質QCのそれぞれに重み付けを行うことで、プロット点を分散させ、グラフ化する際の容易性の向上を図っている。
【0122】
図19は、本実施形態に係る品質評価サーバ500が、リスクマップを作成する際に、重み付けをする場合の加重点数を示した説明図である。
【0123】
図19に示す説明図では、適合割合RTおよび適合品質QCに対して、それぞれ評価の良くない最大の点数を1000点満点として、加重する点数を示している。具体的には、適合割合RTの評価レベルがdの場合には1点、c点の場合には12点、b点の場合には24点、a点の場合には36が加重される。また、適合品質QCの評価レベルが1の場合には1点、2の場合には9点、3の場合には18点、4の場合には27点、5の場合には36が加重されるようになっている。
【0124】
なお、この例では、加重点数の最大値が36点としており、その評価の良くない範囲の中で評価対象の製品マニュアルが何点であるか(どのくらいの割合にあるか)を換算するようになっている。具体的には、次の数式(1)で表わすことができる。
[数1]
(評価の加重点数)÷(加重点数の最大値:36点)×1000 ……(1)
【0125】
この計算方法で、評価者による評価点(換算値)を算出し、評価者ごとの適合割合RTと適合品質QCの評価点を算出して、総合評価の点数を算出する。この場合、例えば、単純平均を用いて、適合割合RTの評価点と適合品質QCの評価点の平均を算出するとともに、適合割合RTと適合品質QCの評価点を合算して評価者ごとの総合評価点を算出することができる。
【0126】
次に、
図19に示した加重点数の説明図を参照して、具体的な計算例を例示する。
【0127】
図20は、5人の評価者が任意の製品マニュアルを評価して、各評価者の評価点を算出する算出方法の一例を示した説明図である。
【0128】
図20に示すように、評価者Aから評価者Eまでの5人の評価者の評価欄が設けられており、上段には、各評価者による適合割合RTと適合品質QCの評価結果が記入されている。具体的には、適合割合RTについて、評価者Aは「c」と、評価者Bは「b」と、評価者Cは「c」と、評価者Dは「c」と、評価者Eは「b」と、評価したことが記入されている。また、適合品質QCについては、評価者Aは「1」と、評価者Bは「2」と、評価者Cは「1」と、評価者Dは「3」と、評価者Eは「2」と、評価したことが記入されている。
【0129】
図20の中段には、
図19で示した加重点数を評価結果に応じて加重したものである。すなわち、適合割合RTについて、評価者Aの評価結果は「12」に加重され、評価者Bの評価結果は「24」に加重され、評価者Cの評価結果は「12」に加重され、評価者Dの評価結果は「12」に加重され、評価者Eの評価結果は「24」に加重されている。また、適合品質QCについては、評価者Aの評価結果は「1」に加重され、評価者Bの評価結果は「9」に加重され、評価者Cの評価結果は「1」に加重され、評価者Dの評価結果は「18」に加重され、評価者Eの評価結果は「9」に加重されている。
【0130】
図20の下段には、上述した式(1)を用いて換算した換算値(評価点)が記載されている。具体的には、適合割合RTについて、評価者Aは「333」であり、評価者Bは「667」であり、評価者Cは「333」であり、評価者Dは「333」であり、評価者Eは「667」であることが記入されている。また、適合品質QCについては、評価者Aは「28」であり、評価者Bは「250」であり、評価者Cは「28」であり、評価者Dは「500」であり、評価者Eは「250」であることが記入されている。なお、小数点以下は四捨五入するものとする。
【0131】
したがって、評価者ごとに換算値(適合割合RTと適合品質QC)の平均を取り、この値を評価者ごとの総合評価点とすることができる。具体的には、評価者Aは「181」であり、評価者Bは「459」であり、評価者Cは「181」であり、評価者Dは「417」であり、評価者Eは「459」である。また、右端には、適合割合RTの換算値の評価点(平均)「467」と、適合品質QCの換算値の評価点(平均)「211」と、評価者の評価点(平均)「339」が単純平均により示されている。
【0132】
このように、
図16に示したリスクマップは、適合割合RTおよび適合品質QCのそれぞれに重み付けがされているので、リスクマップにプロットされた評価結果から評価を行った製品マニュアルの特徴(傾向)を知ることができる。
【0133】
また、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、リスクマップをマニュアル登録端末200や社内評価端末300などに出力することにより、製品マニュアルの作成者や評価者に、その製品マニュアルを効率的に改訂させることができる。具体的には、
図16に示したリスクマップの各プロット(評価点)は、評価項目ごとの評価点を示しているため、ある評価項目について複数人によるプロットが集中することにより、その評価対象である製品マニュアルの改善すべき適合割合RTや適合品質QCを認識することができる。
【0134】
したがって、例えば、製品マニュアルを作成したマニュアル作成者が、そのプロットが示す傾向に従って製品マニュアルの改訂を行うことにより、複数人によってなされた評価の傾向を反映した製品マニュアルの改訂を行うことができる。すなわち、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、リスクマップの評価結果を反映して製品マニュアルの改訂作業を行うことにより、的確かつ確実にその製品マニュアルの品質を改訂することができる。
【0135】
また、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、製品マニュアルが改訂されると、改訂された製品マニュアルについて再度の評価を行い、改訂後の評価結果を再び集計することができるようになっている。例えば、改訂後の製品マニュアルについて、最初の評価処理と同様の評価処理を複数人の評価担当者で行うことにより、実現することができる。
【0136】
図21は、本実施形態に係る品質評価サーバ500が、リスクマップに基づいて、ある製品マニュアルの適合割合RTと適合品質QCが改善された改善の度合いを視覚的に示した説明図である。
【0137】
図21に示すように、
図16に示したリスクマップの各評価点は、
図21上では左下方向に移動しており、適合割合RTでは法令などに適合している比率が高まり、また、適合品質QCでは文章が読みやすくなったことを示している。
【0138】
また、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、評価結果データベース580に改訂前の評価結果と改訂後の評価結果を格納することができるので、改訂前の評価結果と改訂後の評価結果を、同時にリスクマップや
図17や
図18と同様にグラフ化することにより、レーダーチャートとして表示させることができる。
【0139】
このように、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、改訂後の評価結果を改訂前の評価結果と同時に比較して見ることができるので、改訂により改善された改善の度合いや改善の適否を、視覚的かつ容易に認識することができる。
【0140】
また、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、評価結果に基づいて製品マニュアルごとに格付けを行い、各製品マニュアルのランキング表示を、絶対評価として行うことができる。
【0141】
図22は、各製品マニュアルに対する対応優先度ランキングとして、法令、規格などの評価カテゴリの基準を満たした比率に応じた評価の格付けをランキング表示で示した説明図である。
【0142】
図22に示すように、評価された製品マニュアルは、評価カテゴリの項目ごとに適合率に基づいて評価されている。例えば、評価項目を全て満たした場合には「◎」、評価項目をほぼ満たした場合(ほぼ適合が一つ以上、他は全て適合)には「○」、評価項目の一部を満たした場合(一部適合が一つ以上、他は適合かほぼ適合)には「△」、評価項目に不適合の場合(不適合が一つ以上)には「×」が付されるようになっている。
【0143】
また、評価の欄は、各評価カテゴリの評価を、アルファベットで表示しており、ここでは、第1列目に法令の評価を表し、第2列目には規格の評価を表し、第3列目にはその他の評価を表している。したがって、
図22が示す順位のように、アルファベットのAから評価の良い順に評価カテゴリ順に記載されている。
【0144】
例えば、製品マニュアルXXXの評価は「Abc」であったり、製品マニュアルYYYの評価は「Bab」であったり、製品マニュアルZZZの評価は「Caa」である、などと、評価者は、製品マニュアルのそれぞれについて絶対評価を行うことができる。
【0145】
このように、製品マニュアルごとに評価者がそれぞれ評価を付すことができるので、必要度に応じたランキング表示を行うことができる。また、例えば、評価の欄の法令を示す評価が「A」以外の場合には、その製品マニュアルを不適合(不合格)と判定して、その製品マニュアルを対応必要度(対応優先度)の高い製品マニュアルとして抽出するようにしてもよい。なお、このランキング表示は、総合評価レポートとしてファイルにて出力されるようになっている。
【0146】
このように、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、製品マニュアルに対応優先度ランキングを付すことができるので、その製品マニュアルの評価内容を即座かつ簡易的にユーザに認識させることができる。また、
図22に示すように、評価の表示例として、大文字と小文字を使い分け、重要度の高い法令については大文字で表記し、それ以外は小文字で表記することにより、ユーザは、評価の重要度に応じて評価結果を容易に認識することができる。
【0147】
さらに、
図22に示した対応優先度ランキングは、各カテゴリにおける要求レベルを細分化して、その細分化された要求レベルで個別に重要度を付すことができる。この場合、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、各要求レベルに重要度を付すことにより、その要求レベルにおける重要度と評価結果に基づいて、対応すべき優先順位の項目を抽出してその項目をランキング表示することができる。
【0148】
具体的には、評価カテゴリが法令や規格の場合、使用されている助動詞(must、shall/do/be、should/recommend、may/can)を元に、要求レベルとして必須や推奨などの重要度を付すことができる。本実施形態に係る品質評価サーバ500は、その要求レベルの評価結果と重要度から、「適合している」、「一部適合している」、「ほぼ適合している」などの評価結果を重要度の高い順に並び替え、また、その中から評価結果のよくない要求レベルや評価項目を抽出してランキング表示する。
【0149】
これにより、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、要求レベルや評価項目に対応した重要度が高い順(すなわち優先順位が高い順)に、品質改善に対応すべき要求レベルや評価項目をランキング表示することができるので、品質管理を行うユーザに適切な適合評価の結果の通知と、無駄の無い品質改善作業を明示することができる。
【0150】
また、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、
図22で説明した評価者による絶対評価によるランキング表示だけでなく、製品マニュアル全体または各評価カテゴリ別に標準偏差を利用して偏差値を求めることにより、その偏差値を用いた相対評価によるランキング表示をすることもできる。
【0151】
この標準偏差や偏差値は、平均値を求める集合(母集団)の違いから、類似製品グループの製品マニュアル群で偏差値を求める場合や、1企業内の全製品の製品マニュアル群で偏差値を求める場合、または複数企業の複数製品の製品マニュアル群で偏差値を求める場合などの様々なバリエーションにより、相対的に比較することができる。
【0152】
すなわち、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、製品マニュアルを、絶対評価で評価するだけでなく、相対評価として評価・比較することができるので、この2つの指標を用いて製品マニュアルごとに適合性を評価・格付けすることができる。
【0153】
また、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、適合評価の要求を一元管理することができるとともに、この要求に対する品質管理も一元管理することができるので、評価要求と品質管理の両立を、作業の無駄なく容易に実現することができる。
【0154】
また、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、品質評価サーバ500の評価項目データベース530(
図3)が更新された場合に、社内評価端末300などですでに評価済みの製品マニュアルについて再度の評価を行わせることができるようになっている。すなわち、例えば、法令(法律)や規格の適用や具体的内容が変更された場合に、その改正された法令(法律)等に対して、製品マニュアルがどの程度新しい要求事項に適合しているかを評価担当者に評価させることができる。
【0155】
この場合、評価項目データベース530は、毎年国ごとに各国の国内法令が最新の法令を適用されるように更新されていたり、または法令の改正がある度に、最新の法令に更新されるようなされていれば適用することができる。例えば、評価項目データベース530は、ネットワーク600を介して、法令の改定ごとに改正された評価項目を、最新の法令の評価項目を有しているサービス提供者の端末からダウンロードにより更新したり、評価担当者やマニュアル登録者が、評価項目を手入力で更新すればよい。
【0156】
また、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、評価レポート生成部590に結果判定部を設けて、複数の評価結果に基づいてなされた評価が所定の評価の範囲に該当する場合には、その該当する製品マニュアルのリストを出力するようにしてもよい。この場合、適合割合RTと適合品質QCによって出力される所定の評価の範囲を設定してもよく、また、対応必要度ランキング(対応優先度ランキング)によって出力される所定の範囲を設定するようにしてもよい。
【0157】
具体的には、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、適合していない評価項目が、3項目以上該当する製品マニュアルを抽出したり、対応必要度ランキングの適合率が、「×」または「△」の項目を有する製品マニュアルを抽出することもできる。
【0158】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態に加えて、第2の実施形態では、2回目以降の評価を行う際に、1回目の評価において評価方法の具体的方針が不明だったところや解釈に疑義の生じるところにガイド情報を設け、その不明な評価の方法が明確になるように、評価のコントロールを行うこと(コントロール情報の提供)ができる。
【0159】
例えば、
図9に示した評価項目を表示した詳細表示画面に、評価のコントロールを入力する項目(コントロールの入力)を設け、具体的に評価をする際の判断の指針を入力することができる。
図9の例では、「一般的な教養と眼識は、当社のオペレータの技能レベルを想定する」と記載されている。
【0160】
また、
図15に示した評価項目を評価する画面のように、評価の判断方法を具体的に分かりやすくするため、評価内容の項目を設け、評価の方法の指針を入力することができる。このように、評価項目や評価方法において、評価者が評価の際に不明な評価方法を確認することができるガイド情報を設けることにより、評価者の評価のばらつきを押さえ、評価の均一性を担保することができる。
【0161】
なお、このガイド情報は、あらかじめ設けられていてもよく、または1回目の評価時に評価に支障があった評価項目について、ガイド情報を追加したり、ガイド情報の内容を変更するようにしてもよい。また、実際の評価については、全項目の評価を実施することなく、該当しない/分からない/要確認などの項目のみを抽出して評価を実施し、評価レポートを作成させるようにしてもよい。
【0162】
(第3の実施形態)
上述した第1および第2の実施形態に加えて、第3の実施形態では、評価担当者や製品マニュアル登録者が製品マニュアルを改訂したり更新したりすると、その改訂や更新によって更新された製品マニュアルの変化率を数値化し、その製品マニュアルの品質の変化率を視覚的に把握するようにすることができる。
【0163】
例えば、
図21に示したリスクマップを元に、製品マニュアルの変更の前後で評価点の推移を算出する。具体的には、本実施形態に係る品質評価サーバ500は、
図19および
図20に記載した加重点数により製品マニュアルを2回以上評価して、製品マニュアルの変更の前後で総合評価点(
図20)の改善率を算出する。
【0164】
ここで、製品マニュアルの変更後の総合評価点が増えた場合、その製品マニュアルは、変更に伴い適合性が悪化したか、または製品マニュアルの品質が低下した、と変更後の評価項目から判断することができる。また、例えば、
図20で示した変更後の総合評価の平均点が減少した場合、製品マニュアルの品質や適合性が向上(改善)したと判断することができる。
【0165】
なお、これらの変化率に伴う製品マニュアルの改訂(変更)の判断は、その評価項目の特性から、例えば、適合性が悪化、製品マニュアルの品質劣化、適合性に変化なし、製品マニュアルの品質に変化なし、適合性が改善、製品マニュアルの品質が向上、などに分類して、変化率ごとに対応させることができる。
【0166】
このように、本実施形態に係る製品マニュアル評価システム700は、法令や規格などの改訂に伴う要求事項への適合状況の変化や製品の仕様変更や品質改善を目的とした製品マニュアルの改訂作業に伴う製品マニュアルの品質の変化を変化率として数値化し、悪化した項目と改善された項目とを容易に視覚的に把握することができる。
【0167】
なお、第1から第3の実施形態では、社内評価端末300とサービス提供者端末400とを区別して実施形態を説明したが、本実施形態ではこれに限定されるものではなく、複数人による評価結果を取得することができればよい。すなわち、一台の評価端末(例えば、社内評価端末300)において、複数人がそれぞれのユーザIDを用いることにより、品質評価サーバ500が複数人の評価結果を取得する実施形態であってもよい。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0169】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。